2022/11/4 UP!
10月31日はハロウィーン。近年は、趣向を凝らしたユニークな仮装で盛り上がっていますが、そんな中でも定番の一つといえば、魔法使いでしょうね!
ところで、クルマの運転中にも、まるで魔法使いに魔法をかけられたように、不思議な錯覚に陥り、それが交通事故へつながることがあります。
そこで今週は、「事故につながる錯覚」をテーマに、ご紹介していきたいと思います。
【歩行者が消える蒸発現象】10月31日(月)
まず今朝ピックアップするのは、「蒸発現象」と呼ばれる錯覚です。
これは夜間、対向車とすれ違う時に、自分のクルマと対向車のヘッドライトが交錯する場所にいる歩行者などが、まるで蒸発したように、一瞬見えなくなってしまう現象をいいます。
これはライトによってまぶしさを感じ、光が当たっている部分のものが見えにくくなることが原因だといいます。特に雨が降っている日は、ライトの光があちこちに乱反射してしまい、余計に歩行者などが見えにくくなってしまうので、要注意です。
ただ残念ながら、ドライバーさんの方で、この蒸発現象を防ぐことはできません。そこで、こういう現象が起こるということを念頭に置いて、日頃から運転することが大切です。例えば、停車中の対向車がライトを点けっ放しにしている場合、その光の中に歩行者が溶け込んでいる可能性があります。また、ヘッドライトの光の中で、何か動いている感じがしたら、そこに歩行者がいるかもしれません。そういう際は、すぐに停止できるようスピードを抑えて走るなど、より慎重な運転を心掛けてくださいね。
【危険なものに引き寄せられる視覚吸引作用】11月 1日(火)
「目が釘づけになる」という言葉がありますよね。
興味のあるものだけでなく、ホラー映画など、危険だと感じるものにも、そこから目が離せなくなってしまった経験、みなさんはありませんか?実は、人は興味のあるものや危険なものに、つい視線を集中させてしまう性質があるんです。これを「視覚吸引作用」といいます。
この現象はクルマの運転中にもちょくちょくあって、特定のものに集中するあまり、無意識にそっちへと近づいてしまうことがあるんです。その結果、交通事故につながる危険性もあります。
例えば、大型車の隣を走っている時、大きな車体やタイヤを見て、「巻き込まれたら大変だ」と、思わず意識することありませんか?すると、視覚吸引作用が起こって、目が離せなくなります。そして見続けることで、無意識にハンドルをそちらに切ってしまい、接触事故につながるケースがあるというんです。
そんなことにならないようにするためには、見続けているものから視線をはずすことが大切です。ただ、凝視していることに気づいていない場合もあるので、日頃から運転をする時には、周囲にも視線を配るようにし、安全確認を心がけましょう。
また車内にも、危険なものはありますよ。例えば、ダッシュボードの上に荷物を置いたりしていると、それが落ちそうになれば、やはり目が離せなくなります。そうした運転の妨げになるようなものは、出発前に、さっさと片づけておきましょうね。
【カーブで対向車線が広く見える曲方指向】11月2日(水)
「事故につながる錯覚」をテーマにお送りしている今週の「千葉トヨペット レガーメ・ワンダフル・ドライブ」。
ところでカーブでは、しばしば衝突事故が起こりますが、中には、目の錯覚が関係していることもあるようです。例えば、片側一車線のカーブを思い浮かべてみてください。ドライバーさんから見ると、左カーブでは自分が走る左側車線が広く、右カーブでは右側の車線、つまり反対車線が広く見えてしまうんです。そして人間には、広く見える方に寄っていく性質があります。そのため無意識のうちに、左カーブでは左側に、右カーブでは右側に寄っていく可能性があるんです。
特に危険なのが、対向車線側に寄って行ってしまう右カーブです。その錯覚に従って、カーブの内側に寄りすぎると、対向車と接触する恐れがありますし、センターラインを越えてしまえば、対向車と正面衝突・・・なんて危険性もあるでしょう。
さらにセンターラインのない右カーブでは、自分は左側を走っているつもりでも、実際には対向車線側にはみ出している、ということも十分考えられます。もちろん、左カーブでも、ガードレールに接触したりする場合があるので要注意です。
ということで、カーブの多い道を通行する時には、そうした錯覚が起こることを十分理解し、スピードを落として、車線内を走行するよう心がけましょうね。
【上り坂に見えるのにスピードが上がる】11月3日(木・祝)
今週お送りしているテーマは、「事故につながる錯覚」です。
ところで、坂道を惰性のまま走っていれば、上り坂なら自然にスピードが落ちていきますし、下り坂ならスピードが上がっていくのが、普通ですよね。そのため坂道では、アクセルやブレーキを使って、スピードをコントロールすることが大切です。
ところが走行中にしばしば、上り坂を走っているつもりでアクセルペダルを踏むと、急にスピードが上がり、また下り坂のつもりでアクセルを緩めたら、どんどんスピードが落ちてしまったりすることがあります。なんとも不思議なお話ですが、これも目の錯覚が引き起こす現象なんです。
原因としては、さまざまな地形的な要因が考えられ、その一つが「縦断勾配錯視(じゅうだんこうばいさくし)」というもの。縦横の縦に、断面の断、坂道などの勾配を錯視、見誤ると書く「縦断勾配錯視」。坂道錯視」ともいわれます。
例えば、急な下り坂の次に、緩やかな下り坂が続いていたとします。基本的には、ずっと下りが続いているんですが、その道を走っているドライバーさんからは、勾配の角度が変わることで、急な下り坂に続く緩やかな下り坂が、上り坂に見えてしまうことがあるんです。そのため、上り坂になったからとアクセルを踏み込むと、実はまだ下り坂なので、よりスピードが出てしまうことになります。
こうした錯覚を起こす坂道は、全国各地にあるそうで、その不思議な現象から、「幽霊坂」とか「おばけ坂」なんて呼ばれているケースもあります。そこで坂道では、自分のスピード感覚だけに頼らず、時々スピードメーターを確認して、常に安全な速度を保つよう、心がけてくださいね。
【大型車の尾灯は遠くに見える】11月4日(金)
ところで夜間走行する時、前のクルマのテールランプを見て、その車間距離を判断することが、皆さんもあると思います。ただ、あまりそれだけに頼っていると、錯覚に陥ることがあるようです。
というのも、トラックなどの大型車は、テールランプが一般の乗用車よりも高い位置にありますよね。そのため、テールランプだけを見ていると、乗用車と同じ距離にある場合でも、大型車の方が、遠く見えてしまうんです。
実際に、「乗用車」と、テールランプが乗用車よりも40センチ高い「トラック」を使い、100メートル後方から見て、その位置を比較する実験が行われたそうです。それによりますと、トラックと乗用車が同じ距離に見えるのは、トラックが乗用車より50メートルも手前にある時、だったといいます。50メートルは、かなり大きな差ですよね!それだけ大型車は、遠くにあるように見えるということです。もちろん、街灯などによって大型車が照らされている場所なら、車体そのものが見えますので、こうした錯覚は起きにくいと考えられますが、街灯もまばらな暗い道路などにおいては、大型車との車間距離に十分注意してくださいね。
今週は、「事故につながる錯覚」をテーマにご紹介しました。