2023/5/26 UP!
5月も下旬になり、今まさに新緑が気持ちのいい季節ですね。そんなこの時期、キャンプ場などを目指し、山あいの道を運転する機会も増えるでしょう。でも、そんな山あいをクルマで走る際には、町なかでの走行とは違った注意点が必要な場合もあります。
そこで今週は、「山のドライブで気をつけたいこと」をテーマに、いくつかの注意点を取り上げていきたいと思います。
【「落石のおそれあり」の標識を見たら】5月22日(月)
まず山道を走っていると、「落石のおそれあり」という崖からの落石を描いた黄色い警戒標識を目にすることがありますよね。この標識は、「この先に路側より落石のおそれがあるため、車両の運転上注意が必要である」ということを意味しています。
でも、「突然落ちて来る石に、どうやって気をつけたらいいの?」と思ったことがある方、いらっしゃいませんか?実は、この標識を見かけた時に気をつけたいのは、「落ちて来る石」だけでなく、「道路に落ちている石」にも注意しなければいけないのです。
山道ではカーブが多く、見通しがきかない所が少なくありません。そんな所に不用心に突っ込んで行って、大きな石が落ちていたら、大事故につながりかねません。また、10センチ程度の比較的小さな石でも、踏み越えれば、運転操作を誤る可能性は十分にあって、対向車線に飛び出したり、ガードレールや崖に衝突したりすることだってありえます。
ということで、この「落石のおそれあり」の標識を見かけたら、路面の状態に十分注意を払いながら、
見通しの悪いカーブでは、速度を落として慎重に運転するようにしてくださいね。
【山道でのクラクション】5月23日(火)
以前このコーナーでも、町なかの普通の道路でむやみやたらにクラクションを鳴らすのは「交通ルール違反」だということをご紹介しました。
実はクラクションは、鳴らしていい場所、鳴らさなければいけない場所が、道路交通法で決められていて、それ以外の場所では、危険を回避するためにやむを得ない場合を除いて、鳴らすことはルール違反なんです。では、どんな場所でクラクションを鳴らすかといいますと、原則として「警笛鳴らせ」の標識がある場所です。
この標識は、右向きのスピーカーのようなものから、2本、右方向の上下に稲妻のような絵柄が延びている青い標識で、立っている場所は主に、見通しの悪い山間部です。山道を走っていてこの「警笛鳴らせ」の標識を見たら、クラクションを鳴らすのが義務です。
一方、その標識の下に区間を表す矢印が付いている時は、その区間にある、左右の見通しの悪い交差点や曲がり角、上り坂の頂上などを通過する時、クラクションを鳴らさなければいけません。
ちなみに、どうしてそうした場所でクラクションを鳴らさなければいけないかというと、見通しの悪い場所で、音によって周囲のクルマなどに、自分の存在を知らせるためです。皆さんも、ぜひ正しくクラクションを使って、山道を安全に通行してくださいね。
【長い坂道を下る時には】5月24日(水)
「山のドライブで気をつけたいこと」をテーマにお送りしている今週の「千葉トヨペット レガーメ・ワンダフル・ドライブ」。
ところで、山道での運転で、大切な鉄則の一つに「長い下り坂では、フットブレーキばかりを多用しない」というものがあります。きっと皆さんも、教習所などで教わったことでしょう。
長い下り坂でフットブレーキを使いすぎると、二つのブレーキトラブルが発生する可能性があります。その一つが、「フェード現象」です。フットブレーキを踏み続けていると、ブレーキディスクとブレーキパッドが接し続け、ブレーキパッドが高熱になる恐れがあります。実はブレーキパッドには、その素材に応じた許容温度があって、その温度を超えてしまうと、摩擦係数が下がり、ブレーキが一気に効かなくなってしまうんです。この状態を、「フェード現象」といいます。
そして、さらにフットブレーキを使いつづけると、ブレーキペダルを踏んだ力をブレーキに伝える液体・・いわゆる「ブレーキフルード」に、熱が伝わって沸騰し、中に気泡が出来てしまうんです。そうなると、いくらブレーキペダルを踏んでも、その力は気泡をつぶすだけで、ブレーキパッドに伝わらなくなってしまいます。これが二つ目のトラブルで、「ベーパーロック現象」といいます。
そんな、「ブレーキが効かない」という恐ろしいトラブルを防ぐためにも、長い下り坂では、シフトダウンなどエンジンブレーキを併用しながら、スピードのコントロールを心がけてくださいね。
【下り坂でブレーキが効かなくなったら!?】5月25日(木)
長い坂道をフットブレーキばかり使って下っていると、「フェード現象」や「ベーパーロック現象」によって、ブレーキが効かなくなる危険性があるというお話をしました。では、実際に坂道を下っている時に、もしもブレーキが効かなくなったら、その時、皆さんはどうしますか?
そんな緊急時は、原因をあれこれ考えるよりも、とにかくクルマを停めなければ、いけません!停まらなければ、先に待っているのは恐ろしい大きな事故です。
その際、まずしなければいけないのは、シフトダウンして、エンジンブレーキをかけることです。そして、サイドブレーキも引きましょう。ただし、一気にサイドブレーキを引くと、後輪がロックしてスピンをする恐れがありますので、何回かに分けて、引くようにしてくださいね。
それでも止まらなければ、多少強引な方法でも、クルマを停めることが最優先となります。
例えば、クルマをガードレールにすり寄せたり、山側の溝に車輪を落としてみるのもいいでしょう。
また山道では、ブレーキ故障に備えて、砂利などが積まれた「緊急避難所」が設けられている場合があります。そうした場所があれば、迷わず利用してくださいね。
でも、できればそんな事態にならないことが、もちろん一番です。
ブレーキトラブルを未然に防ぐためには、長い下り坂では、フットブレーキだけに頼らず、エンジンブレーキを併用するのがポイント。日頃からブレーキの点検・整備を、くれぐれもお忘れなく!
【未舗装路に遭遇したら】5月26日(金)
「山のドライブで気をつけたいこと」最後にご紹介するのは未舗装路について。
山あいへお出かけすると、場所によっては舗装されていない道路に出くわすことがあります。そうした未舗装路を好む方も、ドライバーさんの中にはいますが、基本的にそのような道を走ることはお勧めできません。というのも、未舗装の道路の中には、一部分だけ砂利道となっていたり、道の凹凸が激しかったりして、ハンドルを取られてしまう危険性があります。ましてや雨が降ったりすると、さらに状態は悪くなり、場合によっては、スタックして抜け出せなくなる事態も考えなければいけません。
段差や陥没のほかにも、とがった石があったりして、パンクする恐れもあります。また砂利道では、石が跳ねてボディなどにキズが付くこともあるので、クルマをきれいに乗りたい方は、そうした道は避けた方が無難でしょう。もしやむを得ず、未舗装路を走行しなければならない場合は、細心の注意を払う必要があります。
例えば、発進する時、アクセルを強めに踏むと、スリップする可能性があります。アクセルはゆっくりと踏んでいくようにしましょう。そしてブレーキも効きにくいので、先々の路面状況は早めに確認し、
手前からゆっくりとブレーキを踏むようにしてください。さらに急ハンドルも、スリップにつながり易いので、注意しましょうね。
今週は、「山のドライブで気をつけたいこと」をテーマにご紹介しました。