2023/2/24 UP!
本来あってはいけないことですが、どんなに安全運転を心がけていても、交通事故は起きることがあります。もしそんな交通事故に遭遇した時、何より優先しなければいけないのが、負傷者の救護です。
そこで今週は、「事故での救護の大切さ」をテーマに、いろいろな情報をお届けしていきたいと思います。
【事故では負傷者の救護が最優先】2月20日(月)
まず、この負傷者の救護、ドライバーさんの義務だということは、もちろん、皆さんお分かりですよね。それを果たさないと「救護義務違反」、つまり「ひき逃げ」となって、懲役などの重い罰則を課せられることもあります。
しかし救護といっても、「何をしたらいいの?」と思う方も、中にはいらっしゃるでしょう。でも、ここでいう負傷者の救護とは、ケガがあるかどうかを確認し、救急車を呼び、安全な場所に負傷者を移動させ、二次災害を防ぐための措置のこと、です。
こうした内容なら、応急処置など専門的な知識がなくても、なんとか出来るんじゃないでしょうか?自分ひとりでは立ちゆかないなら、周りの人に手伝ってもらっても構いません。
しかし一方、事故を起こしても、周りに人がいなかった場合など、怖くなって逃げてしまったという話も、ニュースではよく耳にしますよね。しかし今や、ひき逃げの検挙率は非常に高く、逃げ切れないのが現実です。さらに裁判となれば、裁判官の心象も悪く、重罪につながる可能性が高くなるといいます。
もし事故を起こしてしまった時には、「負傷者の救護」を最優先で対応するようにしてくださいね。
【負傷者がいたら救急車を要請する】2月21日(火)
もし万が一、あなたが交通事故を起こした時、負傷者が明らかにケガをしていて、意識がない状態なら、きっと迷わず、救急車を呼ぶでしょうね。
では、接触した相手が、数メートル飛ばされたにも関わらず、意識がはっきりしていて、強い衝撃があったはずなのに、出血などのケガも見受けられないような時、みなさんは救急車を呼びますか?つい、「大丈夫そうだから、救急車を呼ばなくてもいいかな?」と思ってしまいそうですよね。しかし、そのような場合でも、救急車を呼ぶ必要があるんです。
というのも事故直後は、負傷者本人も興奮していて、あまり痛みを感じないことがあるもの。場合によっては、笑いながら「大丈夫、大丈夫!」なんて、救急車を呼ぶことを拒否するケースだってあります。しかし時間が経つにつれて、痛みが出てきて、動けなくなるケースも珍しくないんです。さらに、頭部に衝撃を受けているような時は、中で損傷を受けていても、すぐに症状が出ないことがあります。しかも、後になって症状が出てくると、急速に状態が悪化し、手遅れになることが少なくありません。
交通事故の場合、小さなケガで119番したからといって、救急隊員や病院に怒られるようなことはありません。交通事故を起こしたら、ケガの程度に関係なく救急車を呼んで、必ず医療機関の診察を受けてもらうようにしましょう。
【接触していなくても救護は必要】2月22日(水)
交通事故を起こした時に負傷者がいれば、救護を行うのがドライバーの義務・・・ということは月曜日からお伝えしてきました。では、もし接触事故じゃない場合だと、皆さんならどうしますか?
実は去年7月、兵庫県尼崎市で、こんな事故があったんです。
交差点で軽自動車が右折しようとした際、対向車線を直進してきた2人乗りのバイクが驚いて運転を誤り、歩道に乗り上げて転倒。バイクを運転していた男性が意識不明の重傷。同乗していた男性も左足を折る重傷を負いました。この事故で、軽自動車側は救護せずに立ち去ったため、兵庫県警は運転していた女性を、「自動車運転処罰法違反」と「ひき逃げ」の疑いで逮捕したそうです。
確かにこの事故の場合、軽自動車はバイクとは接触していません。しかし本来、交差点では直進側が優先ですし、バイクは右折してきた軽自動車に驚いて転倒しているので、軽自動車が、この事故の当事者であることは明らかです。
さらに言えば、あなたが運転中に、信号待ちをしている自転車のそばを通過したとします。その際、自転車が驚いて転倒したような場合は、たとえあなたが接触していなくても、救護義務は発生すると考えるべきです。
接触していないから自分に責任はない、という判断はやめて、まずは当事者の立場から、必ず救護するようにしてくださいね。
【救命講習のすすめ】2月23日(木・祝)
月曜日に、事故を起こして負傷者を救護する時には、「ケガがあるかどうかを確認」し、「救急車を呼び」、「安全な場所に負傷者を移動させ」、そして「二次災害を防ぐ」ことがポイント、とお話しました。しかし、その被害者に呼吸が無かったり、心臓が動いていなかったりした場合、そのまま救急車が到着するのを待つだけでは、その負傷者の生命に関わる可能性があります。
というのも、心臓や呼吸がとまった人の助かる可能性は、その後のおよそ10分間に急激に低くなっていきます。救急車が到着するまでに7、8分かかるとすると、その間に、応急手当を始めることが、負傷者の命を助けるためには、とても重要なんです。そんな応急手当の一つとしてよく知られているのが、「胸骨圧迫(きょうこつあっぱく)」です。
負傷者の胸とお腹を見て、上下に動いていなければ呼吸停止・心停止を判断します。
そして、自分の両手を上下に重ねて組み、手首近くの肉が盛り上がった部分を負傷者の胸骨に合わせ、
胸骨が5センチほど沈み込むように、1分間に100から120回のテンポで圧迫します。
ただ、こうした応急処置を行うには、正しい知識と技術を覚えておくことが大切です。
応急処置の講習会は、各消防署や日本赤十字社などで開催されています。イザという時のために、そして自分の周りの人の命を救うためにも、講習を受けておくことをお勧めします。
【AEDについて】2月24日(金)
ところでみなさんは、「AED」をご存知ですよね?
これは「自動体外式除細動機」の略で、心臓が細かく震えたり、心停止したときに、心臓の動きを戻すため、電気ショックを行う医療機器です。最近は、商業施設やスポーツ会場など、いろんな場所に設置されているのを見かけますよね。
でも、もし交通事故で負傷者が出た場合、皆さんはこのAEDを正しく使えますか?
AEDを使用する際には、まず電源を入れます。電源を入れたら、音声メッセージとランプの指示に従って操作してくださいね。続いて負傷者の胸をはだけ、電極パッドを取り出します。パッドに描かれた絵の通り、1枚を胸の右上、もう一枚を胸の左下の肌に直接貼り付けてください。すると「体から離れてください」などの音声メッセージと共に、心電図の解析が自動的に始まります。電気ショックが必要な場合は、「ショックが必要です」などのメッセージが流れます。自分を含め、負傷者の体に誰もふれていないことを確認しボタンを押して、電気ショックを行います。また、AEDだけでなく「心肺蘇生法(しんぱいそせいほう)」を組み合わせて行うとより効果的です。
万一に備えて、救命講習などに参加しておくことをおすすめします。
今週は、「事故での救護の大切さ」をテーマにご紹介しました。