2023/9/22 UP!
千葉県内で、65歳以上の人口は、去年4月1日時点で、約174万人。総人口およそ631万人に占める割合は、27.5パーセントに達しています。すでに4人に1人以上が、高齢者という状況です。今後は、さらに高齢化が進んでいくとみられ、2030年には、およそ30パーセントに達すると予想されています。そうなると心配なのが、高齢者が関係する交通事故の増加です。
そこで今週は、「高齢者の交通事故を防ぐ」をテーマに、様々なポイントを、取り上げていきたいと思います。
【高齢者の死亡事故が多い】9月18日(月・祝)
きょう9月18日は、「敬老の日」ですね。まず今朝は、千葉県を例に、高齢者の交通事故の発生状況などをチェックしておきましょう。
2022年に発生した「高齢者が関係する交通事故」の発生件数は、前の年よりやや増えて4779件でした。ただし、死者数や負傷者数は、いずれも前の年より減少したそうです。
ただ、減ったからと、喜んでばかりもいられません。というのも、交通事故による高齢者の死者数は、全死者数の51.6パーセント、つまり5割以上を占めており、ここ数年では、ほぼ横ばいの状態なんです。人口のおよそ4分の1である高齢者が、交通事故の死者数の半分以上を占めているんですから、この比率はあまりに大きすぎますよね。
では、そうした高齢者の交通事故を防ぐために、私たちは、日頃からどんなことに気を付けたらいいんでしょうか?そのあたりを、明日以降、いろいろ取り上げていきたいと思います。
【高齢歩行者の傾向】9月19日(火)
きのう、千葉県内の交通事故による死者数の半分以上を、高齢者が占めているというお話をしました。では、高齢者はどんな状況の時に、そうした死亡事故に遭っているのでしょうか?
圧倒的に多いのが、歩行中です。続いて、クルマの運転中で、3位が自転車の運転中、そして4位が二輪車、つまりバイクの運転中と続きます。この順位は、ここ数年、変わっていません。
では、クルマを運転する側のドライバーさんは、高齢の歩行者を守るために、普段どんな所に気を付けて運転するべきなんでしょうか?
まず、高齢の歩行者が最も事故に遭っている歩行中で、いちばん多いのが道路の横断中です。高齢の方は、歩くスピードが遅くなるほか、走ってくるクルマの速度や距離を見誤った状態で、道路の横断を始める傾向があります。そのため、横断歩道がある場所はもちろんですが、歩行者の横断が禁止されていたり、歩行者用の信号が赤信号の時であっても、道路を横断してくる高齢者がいるかもしれないと考え、十分な注意を払ってくださいね。
また夜間においては、ヘッドライトが照らしにくい道路の右側から横断してくる歩行者がいないか、
しっかり注意を向けることも大切です。
クルマが接近しているのは、高齢の歩行者にも見えているはず…などと勝手に思い込むのは、非常に危険だということ、みなさんも常に意識しておいてくださいね。
【高齢の歩行者に向けて】9月20日(水)
このコーナーでは普段、ドライバーさんの目線から、注意点などお話することが多いんですけど、今朝は、高齢の歩行者の方々に向けて、その立場から、交通事故に遭わないためのポイントを、お話ししたいと思います。
まず、高齢の歩行者が交通事故に遭うのは、自宅から半径500メートル以内という、徒歩圏のご近所が多いそうです。そこで、たとえ歩き慣れた道であっても、気を抜いたりせずに、クルマや自転車には十分注意してくださいね。
特に、道路を横断する時には、近道だからと、横断歩道など何も無い道路を渡るのは危険です。少し遠回りになるような場合でも、横断歩道がある場所を渡るようにしてください。そして横断歩道を利用する際も、手を挙げたり、クルマのドライバーさんと目を合わせたりするなど、道路を渡ろうとしていることを、分かりやすく伝えるように心がけてくださいね。クルマのほうで自分に気づいて、「止まってくれるだろう」と一方的に思い込むのは、とても危険ですよ。
信号がある場所でも、信号が変わりそうなら、無理は禁物です。次の青信号まで、1回待つゆとりを持ちましょう。
そして、早朝や夕方、夜間などは、明るい色の服装を心がけて、できるだけ反射材を身に付けるようにしてくださいね。また、なるべく明るい場所を選んで歩くことも大切です。ご高齢の方のみならず、みなさんもお出かけされたら、周囲への注意を常に怠らず、十分気を付けるようにしましょうね。
【高齢ドライバーの傾向】9月21日(木)
近年、高齢のドライバーさんによる交通事故が、社会問題にもなっています。
では、高齢のドライバーさんが運転する場合、そんな方々は、どんなことに気をつけなければいけないのでしょうか?
まず、歳を重ねることによって、身体機能の低下があるという認識を、自分自身で持つことが大切です。例えば「動体視力」や「判断能力」そして瞬時に正しい動作を行う「反応能力」などの機能は、年齢とともに、確実に低下していくものです。「自分はまだまだ大丈夫」と思い込まず、その事実を受け入れて、ちゃんと認識するようにしましょう。
また、高齢のドライバーさんに多く見られるのが、「自分は、長年無事故で運転しているから心配無用」という大いなる過信や、そういった過去の経験にとらわれてしまうことです。そのため、「この交差点は、これまで人が出て来たことはないから、止まらずに通過しても大丈夫」などと、自分本位の運転に陥る傾向があるようです。そこで、たとえ走り慣れた道路であっても、今一度基本に立ち返ってルールを再確認し、改めて慎重な運転を心がけるようにしてくださいね。
そして最近では、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術で、安全運転を支援してくれる「セーフティ・サポートカー」など、通称「サポカー」も普及してきています。是非、そうしたクルマの利用も、積極的に検討してみてくださいね。
【#8080/安全運転相談ダイヤル】9月22日(金)
今週のテーマは、「高齢者の交通事故を防ぐ」です。
ところでみなさんは、「#8080(シャープ・ハレバレ)」/「安全運転相談ダイヤル」というものをご存知ですか?これは歳をとるにつれて感じるさまざまな運転への不安…例えば、視野が狭くなったり、体の動きが若い頃より鈍くなったり、物忘れが多くなった、運転中ヒヤッとすることがあったなど、そうした不安について、高齢者本人やそのご家族が、電話で相談できる窓口なんです。
♯8080(シャープ・ハレバレ)に電話すると、看護士などの医療系の専門職員をはじめ、専門知識の豊富な職員が対応してくれるそうです。これは全国どこからでも、この同じ番号で、その地域の安全運転相談窓口につながります。そして、歳をとることによる身体機能の低下を踏まえて、安全運転を続けていくために必要な助言や指導のほか、運転免許証の自主返納制度や、自主返納者に対する各種支援施策などについて教えてくれるんです。
ちなみに運転免許を返納すると、それに代わる公的な身分証明書として「運転経歴証明書」の交付を受けられます。また、タクシーやバスの運賃割引など、さまざまな特典もあるんです。
もし運転に不安を感じている方がいらっしゃるなら、まずは、こちらに相談してみてはいかがでしょうか。
今週は、「高齢者の交通事故を防ぐ」をテーマにご紹介しました。