2023/10/20 UP!
私たちの身の周りには、実にいろいろな光があります。普段、モノを見ることができるのも、そんな光があるお陰です。でも、クルマを運転する時、光はその強さや当たり方によって、ドライバーさんたちへ様々な影響を与えます。
そこで今週は、「光のイタズラに注意」をテーマに、様々なシチュエーションでの注意点などを、取り上げていきたいと思います。
【まぶしい太陽に気を付けて】10月16日(月)
まず今朝は、秋から春ごろにかけての太陽の動きについてです。
みなさんは冬場などに、クルマを運転していて、気づくことはありませんか?そう、夏に比べて太陽をまぶしいと感じることが、多くなってきますよね。その理由は、夏の頃より、太陽が空の低い所を通るようになるからです。
太陽が高いところを通る夏は、上から照らす時間が長くなり、太陽の光が目に入りにくくなります。一方、秋から春にかけては太陽が低い所を通るため、どうしても視界に入りやすくなってしまうんです。さらに、日の出が遅くなり、日の入りの時間も早くなります。そのため、多くの方がクルマを運転する通勤や帰宅の時間帯のほか、日中の仕事中にも、太陽がまぶしい高さに入ってくることがあるんです。
特に、交差点などを曲がって、クルマの向きが変わる時は、要注意です。曲がった瞬間、急に太陽が視界に入って、前を見られなくなることがあります。
そこで秋から冬への運転では、そういったことも事前に想定し、サンバイザーはもちろん、サングラスなども上手に使って、太陽のまぶしさを防ぎながら、慎重に運転してくださいね。
【秋はマジックアワーに注意】10月17日(火)
先月の秋分の日を境に、この時期になると毎年のことながら、最近、日が暮れるのがますます早くなったなぁ~、と皆さんも感じませんか?そんな夕暮れ時を表す言葉の一つに、「マジックアワー」というものがあります。これは日没後、太陽は沈んでいるのに、まだ辺りに光が残っている、ほんのわずかな時間のことをいいます。日本語では、「薄明(はくめい)」といいますね。ちなみに、「マジックアワー」はもともと撮影用語で、この時間帯に撮影した写真は、まるでマジックのように芸術的な写真になることから、そう呼ばれているんだそうです。
光がもたらす特別な時間、「マジックアワー」。
しかし、交通事情では恐ろしい一面もあって、死亡事故が多発する時間帯でもあるんです。というのもこの時間帯は、コントラストがなくなって、景色全体が薄暗くなり、モノが見えにくくなってしまいます。しかし空には、日没後にも関わらず明るさが残っているため、人は「まだ明るい」と錯覚してしまい、ヘッドライトを点灯せずに走行、そのせいで事故を起こすケースが後を絶ちません。しかも、この「マジックアワー」ですが、9月から10月頃が、一年の内で特に短いというデータがあり、あっという間に暗くなってしまうんです。そんな状態の中をライトも点けずに走るのは、いわば、目隠しをして運転するようなものです。
ということで、まず肝心なのは、ヘッドライトを早めに点灯すること!皆さん、日没前にはライトを点けるよう心がけましょうね!
【光で歩行者が消える蒸発現象】10月18日(水)
光が当たると、モノがよく見える…、普通はそれが当たり前だと思いますが、その光の当たり方や強さによっては、逆に照らされたモノが消えてしまうことがあるんです。
クルマの運転においても、同様のことが起こります。それが「蒸発現象」や「グレア現象」とよばれるもので、対向車と自分のクルマのヘッドライトが重なる部分に、歩行者などが入ると、それが見えなくなってしまうんです。特に雨の日には、路面の水に光が反射して、蒸発現象が起こりやすくなるといいます。とはいっても、原因がヘッドライトですので、夜道など、ライトを点けて走行している限り、それを完全に防ぐことはできません。
そこで大切なのは、夜間走行する時などは、常に蒸発現象が起きるかもしれない、と意識しておくことです。例えば、ライトに照らされた道路の中央付近で何か動いている感じがしたら、そこに歩行者がいるかもしれません。あらかじめ意識を向けておくことで、その違和感に気づくことができる可能性が高まります。
また、左右に目を配り、歩行者や自転車などがいないか、常に注意することも大切です。そして、道路を横断する歩行者や自転車に気づいたら、すぐに減速できるよう、スピードを出し過ぎないことも重要です。ドライバーの皆さん、日頃から十分注意してくださいね。
【ライトが照らす場所以外に注意する】10月19日(木)
夜間クルマを運転している時、リスナーのみなさんも、周囲に十分注意を払って運転していることと思います。でも、そんなみなさんにお聞きしますが、ヘッドライトが当たっていない所にも、しっかりと注意を向けていますか?
夜間運転をしていると、私たちは、ついライトに照らされている範囲の前方のみに、意識を集中してしまいがちです。でも、歩行者や自転車などは、常にライトが照らしている所にいる訳ではありませんよね。そのため、危険の発見が遅れがちになります。
例えば、交差点を右折している時、右方向から道路を横断してくる歩行者や自転車は、ヘッドライトで照らすことができないため、気付くのが遅れることがよくあります。特に右折の時には、対向車が途切れたわずかの時間に、曲がってしまおうとすることが多いので、より注意して、自転車や歩行者が接近してきていないか、あらかじめ確認する必要があります。
もちろん、左折の時も要注意。後方から走ってくる自転車などは、やはりライトで照らすことができません。ましてや、その自転車が無灯火の場合、より発見しにくくなります。左折の際、巻き込むことのないよう十分な安全確認を行いましょう。
そしてヘッドライトは、対向車にまぶしい思いをさせないように、左方向を広く照らすように設定されています。つまり右方向から近づく危険に、気づくのが遅れがちとなります。道路を直進している時、右方向から横断してくる歩行者がいないか、常に注意するようにしてくださいね!
【ライトで目が眩んだ時には】10月20日(金)
夜間クルマを運転していると、対向車がハイビームのまま走ってくることって、結構ありますよね。
ロービームに切り替えるのを忘れているのか、それとも、ハイビームになっていることに気付いていないか、そもそも対向車への配慮などまったく無関心なのか、一概には分かりませんが、あのまぶしさは、たまったもんじゃありません!
では、ハイビームで照らされ、もし目がくらんで前が見えなくなったら、どうしたらいいんでしょうか?
まず強い光で目がくらんだら、そのまま走り続けるのは危険です。ハザードランプを点灯するなどして、できる限り安全に、すぐ道路脇にクルマを停めて、視力が回復するのを待ちましょう。
とはいっても、出来るものなら、あらかじめ、そこまでひどい状態にならないようにすることが大切です。そのためには、コツがあります。
対向車のヘッドライトにまぶしさを感じたら、ブレーキペダルに足を置いて、少しスピードを落としながら、目線を左側前方へ置くようにしましょう。この時、目を細めておくのがポイントですよ。人は、危険と思うものに思わず目を向けてしまう習性がありますが、くれぐれも、そのままライトを見続けることは、しないようしてくださいね。
今週は、「光のイタズラに注意」をテーマにご紹介しました。