2020/6/25 UP!
毎週木曜日は、「Daiwa Sakura Aidダイワ サクラ エイド 〜BLOOMINGブルーミング LIFEライフ〜」!
日本が誇る歴史や文化、芸術の素晴らしさを次の世代に伝えることで、
みなさんの“花咲く毎日”を応援していきます。
1924年、大阪市生まれの作家、山崎豊子さん。
毎日新聞に就職し、当時の上司だった作家の井上靖さんに、
文章の厳しさを学びます。
彼の勧めもあり、小説を書き始めた山崎さんは、
実家の老舗昆布商をモデルにした小説『暖簾』で作家デビュー。
翌年、吉本興業の創業者「吉本せい」を主人公にした『花のれん』でみごと、
直木賞を受賞。それをきっかけに、専業作家へと転身します。
社会問題をテーマにした著書は、その全てがベストセラーを記録。
『白い巨塔』『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』『沈まぬ太陽』など、
作品の大半が映画やドラマ化されています。
彼女の遺作は、2013年8月から『週刊新潮』で連載された『約束の海』。
この作品は、第1部の6回分が掲載後、2013年9月29日に本人が亡くなり、
未完の絶筆となりました。
「ディテールが私には大切なんや」。
こう言って、医学界、銀行、商社など、さまざまな業界のトップに、
綿密な取材を行い、リアルなストーリーをつむぎだした山崎豊子さん。
彼女は小説を通して、社会の不条理に警鐘を鳴らし続けたのです。
ベストセラー作家、山崎豊子さん。社会問題を鋭く切り取る彼女の作品は、
限りなくノンフィクションに近い人間ドラマとして、読者を魅了しました。
そのリアリティの元にあったのは、鬼のような取材量。
「私の作品は、取材が命」と、調べつくします。
小説「華麗なる一族」でインタビューした人数は、何と400人。
また、ある中国残留孤児の人生を描いた「大地の子」では、
3年間、中国の農村でホームステイし、監獄で囚人たちと
労働までこなしたと言います。
さらに中国共産党の胡耀邦総書記と会見。
中国の最高指導者が、外国の一作家と会うことなど、
異例中の異例だったそうです。
戦後の日中関係のリアルな姿を追究し、「大地の子」を書き上げた山崎さん。
のちに彼女は、この小説の印税で財団をつくり、中国帰国子女の子どもたちの
学費を援助し続けています。
山崎豊子さんの筆から引き継がれる「平和」への願い。
支援を受けた子供のひとりはこう、彼女に手紙を書いたそうです。
「血のつながった家族が引き裂かれ、
悲しい思いをしなければならない「戦争」。このふた文字を私たちの辞書から永遠に抹消し、その代わりに、
大きな大きな「平和」という文字に書き替えなければならないと思います。」
今日取り上げたのは、作家、山崎豊子さんでした。