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「風と土の自然学校」〜自分の手で作る循環する暮らし

2026/5/10 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、八ヶ岳山麓にある「風と土の自然学校」の代表「梅崎靖志(うめざき・やすし)」さんです。

 実は梅崎さんには12年前にもこの番組にご出演いただいたことがあって、当時、拠点があった山梨県都留市に取材でお邪魔して、自然学校のプログラムを少し体験しながらお話をうかがったということなんです。その時の模様は番組ホームページに載っていますので、ぜひご覧ください

 きょうは「風と土の自然学校」で行なっている自給率をアップするための大人向けのワークショップのほか、梅崎さんご家族の自給自足的な暮らしについてもうかがいます。

☆写真協力:風と土の自然学校

梅崎靖志さん

我が家の自給率をアップ

写真協力:風と土の自然学校

※八ヶ岳山麓の、長野県諏訪郡富士見町に拠点がある「風と土の自然学校」は2020年4月に山梨県都留市から、現在の場所に移転。設立当初から「自給自足的な循環する暮らし」を掲げて活動されています。

●そちらのオフィシャルサイトを拝見すると「自然農とパーマカルチャーの暮らしを学ぶ大人の自然学校」と書いてありました。改めて、どんな自然学校なのか、教えてください。

「私たちの自然学校は、テーマが『我が家の自給率をアップする』、自分の手で循環する暮らしを作るということで、いろいろな講座を行なっています」

●いつ頃、どんな目的で設立されたんですか?

「もともとは、2003年に『風と土の自然学校』という名前で活動を始めたんですね。で、僕のバックグラウンドが自然体験を通じた環境教育なんです。学生の頃からそういうことに関わり始めて・・・。

 で、自然体験は自然のことを好きになったり、関心を持ったりする時に、すごく大事であるのと同時に、自然体験するだけでは、やっぱり暮らしをどう変えていけばいいのかわからないっていうこともあるので、自然と調和した生き方、暮らし方、これをテーマに伝えるということを自然学校の形でしていきたいと、それがそもそもの始まりなんですね」

写真協力:風と土の自然学校

●自然学校の運営は、ご家族でされているんですよね?

「はい、そうです。僕たち夫婦でやっているんです。あとはヤギとミツバチと猫がいます。高校生の娘がいるので時々手伝ってくれています」

●「パーマカルチャー」っていうのは、どういったことなんでしょうか。

「パーマカルチャーっていうのは、人間が地球の上で自然とか、ほかの動植物と調和しながら、ずっと生き続けるための暮らしをどういうふうにデザインするのかっていう、考え方とか具体的な方法をまとめたもので、もともとはオーストラリアで生まれたものなんですね」

●具体的にどんなワークショップやセミナーを行なっているんですか?

「やっていることとしては、先ほど少しお話ししましたが、自分の手で循環する暮らしを作るということをテーマにしているんですね。

 すごく大事なのが、できるところから少しずつやるっていうことを大切にしています。特に暮らしに必要な物って、例えば、都会の暮らしだとお金で買ってくるものが多いと思うんですけれども、すべて買ってくるのではなくて、できる範囲で楽しみながら、少しずつご自分の手で暮らしを作る・・・。

 そのために八ヶ岳で開催しているものだと、循環する暮らしの実践をテーマにした大人向けの年間講座があったり、お母さんと未就学のお子さんが一緒に参加できる母子合宿講座というものがあったり・・・。

 あと田んぼでお米づくりを学ぶ田んぼの会があったり、オンラインで循環する暮らしを学ぶ、そういった講座をやったりしています」

写真協力:風と土の自然学校

(編集部注:自然学校の畑はすぐそばに300坪ほど。お米づくり体験などを行なう田んぼは、歩いて10分くらいのところにあって、面積は450坪ほどだそうです。

 ワークショップなどの参加者はほとんどが首都圏からで、年間でトータル600〜700人ほど。オンラインの講座の参加者は年間200〜300人くらいだそうです)

梅崎家は自給自足的な暮らし

※梅崎さんは、もともと自然暮らしを目指していたんですか?

「そうですね。最初の就職先が、茨城県の里山にある環境教育をテーマにした公園みたいなところで、仕事をしていたんですけれども、そこで出会った地元の農家さんがいて、いろいろな公園の管理とかに、お仕事で関わっていただいていたかたなんです。

 そのかたが野菜づくりはもちろん、山仕事とか、筍掘りとか、しめ縄づくりとか、本当に何でもできるかたでした。僕は実家が練馬なので、東京暮らし東京育ちの僕からすると本当に田舎の人はすごいなと、自分もできるようになりたいなと思ったのがきっかけだったんですね」

●東京での暮らしと比べると、ガラッと変わりますよね?

「そうですね。田舎に来ると、消費をする部分だけじゃなくて、自分の手で生み出す部分っていうのがすごく多くなるので・・・だからそこが大きな違いだし楽しいところでもあると思います」

●梅崎家は自給自足に近い暮らしをされているんですよね。

「自給自足”的”な暮らしというふうに言っています。例えば、エネルギーも食べ物もすべてのものを自給自足するのは、なかなか大変なことだとは思うんですね。

 うちの場合はそれをできる範囲で楽しみながらやる。前回(番組に)出させていただいた時と比べると、じわじわと自分たちでできる範囲を少しずつ広げていることもあるので・・・そんなふうに楽しみながらやるということを大切にしています。
 今はお米は自給率100%は超えているんです。野菜については適宜必要なものを購入するというそんな形でやっていますね」

(編集部注:電気は、メインは電力会社の電気を利用し、補助的にソーラーパネルの電気も使うそうです。太陽熱の温水器で温めたお湯は床暖房にも使っているので厳冬期の12月から2月でも快適に過ごせるとか)

※お料理をする際の煮炊きは、どうしているんですか?

「料理をする時の煮炊きも、普段の調理はガスなんですけれども、冬は薪ストーブがあるので、薪ストーブでお湯を沸かしたり煮物をしたり、お味噌を作る時に大豆を煮たり、餅つきする時にお湯を沸かしたりとか・・・。

 あとは外で燻製づくりをするとか、講座の時なんかもそうですけれども、野外調理をしたりとかっていうのに薪を使ったりという、そういう形で併用してやっています」

●お風呂は薪で沸かすんですか?

「薪でも沸かすんですけども、これも薪ボイラーがあって、薪ボイラーから台所のお湯とかお風呂のお湯を使うということもあるし・・・ガスと太陽熱温水機があるのでミックスしながら・・・。

 温度が低い時とかはガスで加温をしたりとかっていう形で、自然エネルギーと、石油とかガスとかそういった化石燃料、それを組み合わせて、できるだけ自分たちの手で、手に入る身近なエネルギーも活かしながらやるっていう、そういう形でやっています」

自然の営みの邪魔をしない

※食料を自分の手で作れるというのは、安心感にもつながりますよね?

「そうですよね。タネを撒けば(芽が)出てきて、手入れをしてあげることで作物を収穫できる・・・お米もそうですよね。

 去年は”令和の米騒動”でお米の価格もすごく上がったりしていましたね。お店の棚にお米がない! みたいなこともよくありましたけども、自分で育てているという意味では、お米をうちは買わないので・・・。なので“高くなったな〜”とか、そういうことは思うんですけれども、やっぱり自分たちでお米を作る、野菜を作るっていうことはすごく安心感になりますね。

 田舎に行くと、なかなか喰うのが大変だみたいな、仕事の面で言ったりすることがあるけど、喰うか喰わないかっていう意味では、畑と田んぼを借りることができれば、食べるのには困らない。そういう面もあったりするかなとは思います」

●作物づくりで、何かこだわっていることってありますか?

「こだわりっていうか、大切にしていることとしては、できるだけ自然の営みの邪魔をしないっていうことです。例えば、それは農薬を使わないっていうことであったりとか、化学肥料みたいなものを使わないということは大切にしています。

 うちの場合は”自然農”っていう考え方を大切にして畑をやっているので耕さない。草も虫も敵としない。そして肥料やら何かを入れない。化学肥料は特に入れない・・・。あと、そこで出た野菜の残渣がありますよね。例えば、とうもろこしの枯れたものとか、そういうものを外に持ち出さないで、そこで朽ちさせて循環させるっていう・・・。

 だからそういう意味では、草には草の役割があるし、虫には虫の役割があるので、そうした自然の営みを邪魔しないように、自然の生態系を豊かにする。そんなことを意識しながらお米、そして野菜を育てることとしています」

写真協力:風と土の自然学校

自然がぺースメーカー

※梅崎さんは、自然学校のテーマでもある「我が家の自給率をアップする」を梅崎家でも取り組んでいて、お米は100%自給、野菜も自分たちの手で育てていらっしゃいます。自分たちで育てた作物はやはり美味しいですか?

「美味しいですね!(笑)」

●ですよね。喜びのようなものもありますよね。

「そう! よく暮らしの豊かさって何だろうって言った時に、物じゃなくて心の豊かさとか、いろんな言い方があると思うんだけど、やっぱり循環する暮らしをやっていく中で、収穫の喜びもあるし・・・例えば、田植えとか稲刈りをした時に、広い田んぼを全部、田植えをやり切ったとか、全部収穫した。そういった時の達成感があったりします。

 ひとつひとつのことに時間がかかる。手間をかける。そのことが自分の中に、そのプロセスがあることによって、自分の暮らしを自分で作る喜びであるとか、満足感がある。

 と同時に、工夫をする。いろいろな上手くいかないこともあったり、それをどうしようかなって工夫をする。そういったことの中で暮らしが作られていく。その中に豊かさを感じる。そんなことがすごくあると思うんですよね」

●自然暮らしをスローライフって表現していることもありますよね。でも自然暮らしってスローじゃなくて、日々忙しいと聞いたことがあるんですけど、実際はいかがですか?

「スローライフは忙しいです!(笑)っていうっていうのは、都会の暮らしだと自分の都合で、いろんなことができる部分はあるけど、自然は自然のペースに合わせて、例えば、今タネを蒔けないからとか、今苗が植えられないから、1ヶ月後にやろうと思っても、季節が過ぎていたら間に合わない訳ですよね。

 だからそういう意味では自然のペースに合わせていかないといけない。自然は待ってくれないし・・・。

 あと梅をたくさん収穫しましたって時に、今ちょっと梅の仕込みができないから再来週やろうとかってできない訳ですよね。これはきょうやらなきゃいけない、明日やらなきゃいけないみたいなものもあるので、そういう意味では自然がペースメーカーになってくれると同時に、季節のいろんな仕事が重なった時には忙しくなる、そんなことかと思います」

●自然が相手だと手間暇がかかりますよね。

「それがいいんですね」

循環する暮らし、じわりじわり

※「風と土の自然学校」を設立されて、23年ほどが経ちました。梅崎さんが思い描いた自然学校になっていますか?

「そうですね。お陰様で毎年講座を開催する中で、参加者さんが仲間みたいになっていって、前回(番組に)出演させていただいたのが12年前ですか? その時と比べると当時思い描いていることが随分形にできたなと、そんなふうに思います」

●これから特に力を入れていきたいことってありますか?

「”循環する暮らし”ってすごく楽しい暮らしなので、ぜひたくさんのかたにお届けしていきたいと思っています。なので、講座もこれまで通りやっていくのと同時に、電子書籍であるとかYouTubeであるとか、そういったもので情報を発信して、みなさんに小さな一歩を踏み出していただけるような、そんなことをお伝えしていくことに力を入れていきたいと思っています」

●梅崎さんは練馬のご出身ということですけれども、特に都会で暮らしているかたに伝えたいことがあれば、お願いします。

「どこに住んでいても、自分の手で作る循環する暮らしは始められるっていうことをよくお話ししているんですね。そういう意味では小さく始めて、じわりじわりと守備範囲を広げていく。これが楽しみながら長く続ける秘訣だと思っています。

 『風と土の便り』というメルマガでもお役に立つ情報をお届けしているので、そういうところから情報を得ながら、できることを楽しみながらやっていただけたらなと思います」

写真協力:風と土の自然学校

INFORMATION

 「風と土の自然学校」では、今年もお米作りの一連の作業を体験できる「八ヶ岳めぐる田んぼの会」の活動が始まりました。

写真協力:風と土の自然学校

 この「田んぼの会」は、苗代づくりから収穫まで、肥料も農薬も使わないお米づくりを体験しながら学べる会だそうです。年間パスポートのほかに、単発参加や回数券もあるそうですよ。自分のタイミングで参加してみませんか。

 メールマガジン「風と土の便り」に登録すると、いち早く最新の情報をゲットできますよ。

 ほかにもマッチを使っての火起こしや野外調理、ロープワークなどのワークショップも開催。オンラインの講座もあるそうですよ。

 同自然学校は、山梨県と長野県の県境にあって、中央高速自動車道の小淵沢インターチェンジやJR小淵沢駅から、車で10分前後だそうです。

 ワークショップや講座の申し込み方法など、いずれも詳しくは「風と土の自然学校」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎「風と土の自然学校」https://lifestyle-model.jp

植物資源として見直されている「竹」〜その魅力と不思議を「竹の代弁者」に聞く

2026/5/3 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、栃木県宇都宮市の北部で、「若竹の杜 若山農場」を運営する「ワカヤマファーム」の代表「若山太郎」さんです。

 親子三代にわたり、宇都宮で農場を営む「ワカヤマファーム」は、関東を代表する筍などの生産、植木用の竹の栽培、そして広大な敷地に竹林があることでも知られています。

 手入れの行き届いた緑あふれる美しい竹林は、映画「るろうに剣心」や「キングダム」のロケ地になったり、ほかにも多くのCMやプロモーション・ビデオなどの撮影に使われているそうです。

「若竹の杜 若山農場」を運営する「ワカヤマファーム」の代表「若山太郎」さん

 100年以上の歴史がある若山農場の三代目である若山さんは、東京農業大学に進み造園を専攻するも、ご本人いわく、当初は家業を継ぐ気はなく、卒業後は都市を緑化する仕事をしたいと、造園会社に入社。ビル周りや公園の、設計や施工管理の仕事をしていたそうです。

 そんな中、都市に近代的な建物ができて、日本らしさが失われていると感じ、「和」を感じられる、都市空間にマッチするものはないかと、考えをめぐらせていたところ、ふと、家業である竹を思い出し、竹を植栽、つまり植木として取り入れることを提案したところ、これが話題になったそうです。

 そこで、お父さんが経営していた会社から竹を買い取り、造園会社の事業として、竹の植栽を始めたそうですが、研究者気質のお父さんがもう会社をやりたくないという話になり、若山さんとしては形にしたものをやめるわけにはいかず、家業を継ぐことにしたのが正直なところだとおっしゃっていました。

 ちなみに、東京都内の竹の植栽は9割ほどが「ワカタケファーム」の竹であり、作品だそうですよ。

 きょうは、そんな農場を営む若山さんに竹という植物の不思議や、竹の品種改良、そして今が旬の筍のお話など、竹の魅力をたっぷり語っていただきます。

◎写真協力:ワカヤマファーム

写真協力:ワカヤマファーム

孟宗竹の竹林、自然循環型農法

※「若竹の杜 若山農場」のサイトを見ると、まず、手入れの行き届いた美しい竹林の写真が目に飛び込んできますよね〜。

「見渡す限り、そんな竹林が続く空間がありまして、写真では伝えきれないぐらい本物はもっと綺麗なんですよ」

●うわ~、いいですね! この竹は何という種類なんですか?

「これは孟宗竹(もうそうちく)という竹です」

●どんな竹なんですか?

「日本最大の竹で、とても竹らしい竹って言ってもいいんじゃないですかね。みなさんが頭に思い浮かべる竹、竹林の風景はだいたい孟宗竹なんですね。そんな竹の竹林がひたすら続きます」

●やっぱり竹林の中を歩くと気持ちがいいものですか?

「そうですね。写真では伝わらない音ですとか、空気感・・・風が吹くと竹の葉、笹ですね・・・笹葉がサラサラとなる音でしたり、ちょっと湿度を保つんですが、そんなひんやりしたような空気感などは、やっぱりその場を歩いてみないとわからない風景だと思いますね」

●特におすすめは、どの季節の、どの時間帯とかってありますか?

「実は竹って一年中緑なんですよ。なので、一年中おすすめです」

●なるほど!

「ただ実は、筍の時期って春ですけど、その筍が出終わると、すべての葉っぱを入れ替えるんですね。5月の俳句の季語で『竹秋(ちくしゅう)』という言葉があるんですね。全部の葉っぱを一度黄色く黄葉させて、桜吹雪のようにぶわ〜っと舞い散らせて、全部新緑に入れ替わる・・・その5月、6月がやっぱりいちばん綺麗ですね」

●「若竹の杜 若山農場」の敷地は約24ヘクタール、東京ドーム5個分ということですが、大部分が竹林と農場っていうことですか?

「8割が竹林で、その8割の竹林も実は全部、筍を採るための畑、筍畑なんですよ」

写真協力:ワカヤマファーム

●農場で生産している農産物は、どんなものがあるんですか?

「春には筍を採って、実は秋には栗を収穫するんですね。筍と栗という二本柱で農場のほうはやっております」

●農産物の生産でこだわっていることって、どんなことですか?

「代々、祖父の代からず~っとなんですが、自然循環型農法、もしくは草生(そうせい)栽培、草生っていうのは”草を生やす“っていうことですね。要はあまり余計なことをしすぎずに自然の循環に任せて・・・我々は”足るを知る”という言葉をよく使いますけども・・・あまりたくさん採ることを目指すんじゃなくて、自然から分け与えられる程度で満足をする、そんな農業を心がけています」

日本を代表する竹は・・・?

※日本には何種類ほどの竹が自生しているのでしょうか?

「笹ってありますよね。あの笹も実は竹の仲間で、その竹と笹を合わせますと200種類ぐらいが日本にはあるとされています」

●そんなにあるんですね。

「ちなみに世界には2000から4000種類ぐらいあるって言われていますけどね」

●多いですね。分布しているのは主にアジアですか?

「やっぱりそういうイメージがあると思うんですね。みなさん、やっぱり日本や中国を始めとした東アジアに竹が多いと思われていますが、実はそれだけじゃなく、東南アジアにもっとたくさんあって、そしてさらにアフリカ大陸にも竹ってあるんですよ。もっと驚くことに南米コロンビアを中心とした、割と赤道に近い暖かい所にも、実は竹がたくさん生えています」

●若山さんが今まで見た中で、これは珍しいって思った竹はありますか?

「そうですね・・・それこそ世界にはいろんな竹があるんですけど、やっぱりわかりやすいところでいうと・・・色の違う竹とか、形の違う竹ってあるんですよ。みなさんが想像する竹って緑色ですよね。でも実は世の中には金色の竹があったりね。実際は黄色いんですけどね(笑)。黄色いところに緑色の筋が・・・竹には節がありますけど・・・節ごとに互い違いになったり・・・。

写真協力:ワカヤマファーム

 それから、もしかしたら色の真っ黒い『黒竹(くろちく)』という竹を聞いたことがあるかたも多いかもしれませんが、その真っ黒い竹でしたり・・・そして形もボコボコとカメの甲羅のように節が膨れる竹でしたり・・・あとはなんでしょうね・・・そろばんの駒みたいに節のところが出っ張るとか・・・そういう形も変わった竹が世の中にたくさんあるんですね。

 そんなふうに竹はすごくバラエティに富んでいて、その中でもやっぱり僕がとても好きで、そしてみなさんも見て驚かれるのは、恐らくその金色の竹だと思いますね」

※日本の代表的な竹を教えてください。

「今でこそ多分、竹と言うとみなさん、孟宗竹をイメージするんですね。春に筍として称して食べるのは、ほぼ孟宗竹の筍なんですが、本来昔から日本に生えていた竹は違っていて、真竹(まだけ)という竹があるんですけど、日本を代表する竹はその真竹なんですね。

写真協力:ワカヤマファーム

 せっかくなので昔、我々竹材商の大先輩で『竹取の翁(たけとりのおきな)』という者がいましたが、お聞きなったことがあるでしょうか? 大先輩過ぎて、お会いしたことはもちろんないですけどね(笑)。

 彼は竹を伐って生計を立てていたんですね。その竹の中から何かが出てくるわけですが、何を発見したんでしたっけ?」

●何を発見したんでしたっけ? あれですか? かぐや姫?

「そう、その通りです! 小さな女の子、身の丈三寸、9センチぐらいの女の子が竹の中から出てくるわけですよね。そしてその女の子はたった3ヶ月で大人になってしまうっていう、まあ要約するとそんな話でしたよね。実はその竹取の翁が伐っていた竹は真竹なんですね。

 3ヶ月で育って大人になってしまうのは、実はその竹の成長なんですよ。春、にょきにょきと土の中から出てくる筍は、3ヶ月後には成長し終わって、あの大きな竹になっちゃうんですね。1日にね121センチ、1メートル21センチも伸びたっていうギネス記録を彼らは持っています」

●すごいですね〜!

「それぐらいあっという間に成長するんですね。ちなみに昔はその真竹という竹しか日本にはなかったんですよ、大きい竹が・・・。今僕たちが頭に浮かべる孟宗竹は、実はたかだか350年ぐらい前に中国から日本に献上されてきた竹なんですね。

 でもあまりにも筍が美味しいし、材としても太くて厚くて、とても硬く強力でいろんな利用ができたので、それを日本で人が日本中に植え広めて、今では日本を代表する竹になっているんですね」

●成長が早いということは、寿命はどんな感じなんですか?

「とてもいいところにお気づきですね。普通の木は少しずつ、毎年成長しながら何十年も生きますでしょ? 竹はたった3ヶ月で大きくなりますが、10年ぐらいすると1本は枯れちゃうんですよ。当たり前のように緑色の竹林が続くのは、毎年毎年、筍が伸びて竹になって古いものは枯れて入れ替わっているんですね。それで初めてあんなふうにいつまでも緑でいるわけですね」

竹林は大きな田んぼ!?

※竹も植物ですから花を咲かせますよね。でも、私は見たことはないですね〜。

「そうですよね。おそらく見たことがないと思うんですね。実は当然、植物なので花を咲かせるんですが、竹はほかの植物のように毎年は花を咲かせないんですよ。なんと!120年にいっぺんぐらいしか花を咲かせないんです」

●ええ〜っ! 若山さんはご覧になったことはありますか?

「はい、もちろん! 私の父はその竹の開花、花についての研究をしていましてね。なので、我々は日常茶飯事のように竹の開花を見てきました。本来は120年にいっぺんぐらいしか(開花が)起きないので、みなさんはほとんど目にしたことはないと思うんですが、実は同じ種類の竹は120年にいっぺんぐらい、日本中、世界中、どこにあろうが、同じような年に花を咲かせちゃうんですね。

 さらに花が咲くと実をつけるんですが、実をつけて枯れちゃうんですよ、全部が・・・。竹はイネ科の植物でして、田んぼにあるお米を作る稲の仲間で、(竹林を)巨大な田んぼだと思っていただくとわかりやすいんです。

 普通の稲は毎年秋になると実をつけて冬には枯れちゃいますよね。そんなふうに毎年花を咲かせて実をつけるんですが、竹はそれが120年にいっぺんぐらい、花を咲かせて実をつけて枯れてしまう巨大な田んぼなんですね」

●どんな花でどんな香りがするんですか?

「いいですね。興味がありますよね? ちなみに田んぼにある稲の花って、何かイメージはありますか?」

●はい、ちっちゃ〜い感じの・・・。

「そうですよね。ちっちゃくて、何となくあまりイメージがはっきりないと思うんですが、実はイネ科の植物って花びらがないんですよ。

 我々はやっぱり花っていうと花びらをイメージしますよね? 桜もそうですし、チューリップにしても、やっぱりその花びらが綺麗なんですよね。でもイネ科の植物には花びらがなくて、なので、あまり花としてのイメージがないと思うんですけど、夏になると雄しべと雌しべを形成して、それがあるだけなんです。

 それが有性生殖をして結実をする、実をつけるわけですよね。なので、どちらかというと田んぼでイメージがあるのは、頭を重た~く垂れた、稲穂がぶら下がっているタネの状態だと思うんですけどね。

 実は竹も全く一緒で花びらがなくて、その代わり秋になると、ちょっとたわわに稲穂のように竹の花をつけて、実がたくさんつくんですですね。それが竹の開花、花なんですね。
 
 香りは・・・まあ正直そんなにびっくりするほどの香りはないんですけど、実は数年前に農場で何百本と竹の花が咲いたことがあるんですけどね。その時には我々人間はちょっと香りがするかな〜ぐらいだったんですが、ミツバチが大発生をしてたくさん集まってきましたね。多分彼らにとってはとてもいい香りがしたんでしょうね」

(編集部注:多くの植物は毎年のように花を咲かせ、実をつけ、タネを残しますが、竹は地中にある根、地下茎から自分の分身、いわゆるクローンである筍を出して、世代交代をしていくということなんです。

 それでもなぜ120年に一度花を咲かせるのか・・・若山さんがおっしゃるには、氷河期や温暖化など、気候の大きな変化に対応できる、違う性質を持つ種のタネを残すためではないか、ということでした)

竹の品種改良は、地道な作業

※そちらでは、竹の品種改良に取り組んでいらっしゃいますよね。企業秘密かも知れませんが、どんな方法で品種改良するんですか?

「全然、企業秘密じゃなくて、とても地道な作業です」

●どんな作業ですか?

「120年にいっぺんでは、なかなかタネも手に入らないんですが、実は種類によってはたま〜に間違って咲いちゃうやつがいるんですね。そんなものを全国から集めるとタネが手に入るんですよ。そのタネにちょっと薬などで刺激を与えてあげたりすることもあるんですが、どちらかというと、ともかくひたすら数を蒔くんです。

 有性生殖していると・・・昔、メンデルの法則とか小学校の時に理科で習った覚えがありますよね。やっぱりちょっとだけ変わったやつらが出る可能性があるんですね。例えば、色が違うとか葉っぱに模様が、”斑(ふ)”と言って白い模様が入るとか、そんなやつをともかく数を蒔いて見つけるんです。

 そのひとつをまた取り分けて増やしていって、確実に違うかどうかということを何年、何十年もかけて比較していくんですね。『選別育種(せんべついくしゅ)』っていうんですけど、そんなことをひたすらやり続けるんです」

●すごい作業ですね。

「大変な作業です」

●二代目のお父様が品種改良を始められたんですよね?

「そうですね。父は非常に研究者タイプでしてね。そんなことにとても興味を持ってライフワークとして生涯をかけて、そんなことをやり続けてきました」

(編集部注:なぜお父さんが品種改良に取り組むようになったのか。若山さんがおっしゃるには・・・筍は大きいほうがやわらかくて美味しいのに、小さい筍が料亭などで重宝がられ、高値で取り引きされていたそうです。せっかく大きい筍を苦労して掘り出したのに、値段が下がってしまう。ならば、最初から小さな筍が獲れるようにしたほうがいい、ということで、小さい孟宗竹を作ることにしたとか。

 地道な作業で品種改良された孟宗竹は、平均の背丈が4〜5メートルほど。通常の孟宗竹が20メートルを超えるので、4分の1ほどの大きさになったそうです。植栽に使われる主力の竹は「ワカヤマファーム」のオリジナルで「ヒメアケボノ モウソウチク」という名前だそうですよ)

写真協力:ワカヤマファーム

※ビルでもご家庭でも、竹を植えることのメリットといえば、どんなことが挙げられますか?

「もちろん見た目にもとても綺麗ですよね。竹って幹まで緑色ですよね。普通の木って幹は茶色いじゃないですか。そして1本ではなく竹林という群落グループで生えるので、そんな緑葉、緑色としてもとてもたくさん、都市を形成してくれるんですね。

 その見た目ももちろんですが、さらにまっすぐじゃないですか。なので、都市のコンクリートやガラスでできているような無機質なもの、それから幾何学的なデザイン、そんなところにどんな植物よりもよく映えるんですね。

 あともうひとつは木陰を作ってくれるんですよね。都市って、ヒートアイランド現象って言うんですけど、アスファルトで覆われているので、とても気温が上がりますよね。そんなところに、木は自分の大きさだけで木陰を作りますけど、竹は竹林という群落を作るので、面で日陰にしてくれるんですね。なので、そういう気候を緩和してくれたりもします」

見直されている植物資源「竹」

※日本各地で放置された竹林が問題になっています。竹の事業を行なっている若山さんとしては、どんな思いがありますか?

「竹って人間が植え広めてきたんですね。タネがないので、その場では地下茎という根で、ある程度自分の範囲を広げることができるんですが、川や海があったら渡れないわけですよね。

 どうして日本中にこんなにたくさん生えているかっていうと、我々人が利用するためにたくさん植え広げてきたんですね。でも戦後早々、化石燃料由来、石油製品のプラスチック、今ちょうどそれが世界情勢があって、手に入りにくくなって高騰化していますけどね。そんなプラスチックなどが出てくることによって、竹は取って代わられて、使われなくなってしまったんですね。

 要は伐っても売れない時代になってしまったわけですよ。もともと人間が使うために植え広げたにも関わらず、売れないとなったら放置されちゃう、ほったらかしにされちゃうんですね。

 そうすると、(竹は)どんどん繁殖して増えることができますから、あっという間に大きくなれますから、ほかの木の上に覆いかぶさって枯らしてしまったりとか、人間の生活する田畑や宅地に入り込んできてしまったりとかして、今世の中ではその放置された竹林が拡大して、竹害、公害としてちょっと嫌われる時代になっちゃっているんですね。

 悪いのは多分竹じゃないですよね。人の都合で植え広げられ、そして人の都合で利用されなくなっているんですから、悪いのは僕たち人なのかなというふうに思うんですね。

 でも今そんな竹が環境の時代になって、化石燃料由来のプラスチックなどを使う量を減らして、二酸化炭素の排出量を減らしていくことが求められる時代になりましたよね。そんな時に竹ほど資源化の早い、あっという間に大きくなって、そして伐っても伐ってもにょきにょき勝手に生えてくる、こんなに持続性のある植物資源って世界を見回してもほかにないんですね。そんなことから今実は、日本だけではなく世界から資源として見直されているんですね。

 最近ではそれが紙になったり、竹から繊維を取り出して衣服になったり、その憎っくき、とって代わられたプラスチックの代わりに生分解性プラスチックという形でなり始めたりと、多岐に渡って工業製品として利用され始めているんですね。

 そんな竹をもう一度みなさんに知っていただきたい。僕たちはそこ(若山農場)を開放して観光事業としていますが、竹に囲まれて触れて見て知って、竹を好きになってほしい。そんな思いで今『竹の代弁者』として、こんなふうにお話をさせていただいたりもしています」

写真協力:ワカヤマファーム

●長く竹に関わってこられて、改めてどんなところに魅力を感じますか?

「やはり竹の、なんて言うのかな・・・竹林として群落を造った中に入っていくと、本当に俗世と違う独特の空間があるんですね。そんな空間の中に身を任せていく瞬間というのが、とても私は好きでしてね。やっぱりそんな竹林の中にいるというのが、いちばん竹の魅力なんじゃないでしょうかね」

(編集部注:地下茎でどんどん増えてしまう竹なのに、植木としてビル周りや庭に植えても大丈夫なんだろうかと思いますよね。若山さんいわく、都市はコンクリートに囲まれているので、竹の根はその中に収まる。また、住宅の庭などに植える場合は、厚さ1ミリほどのゴムシートで囲むので根は広がらない。なので、とても手軽に植えられるそうですよ)


INFORMATION

写真協力:ワカヤマファーム

 「若竹の杜 若山農場」の名産「筍」。今年は、足の踏み場もないくらいの豊作だそうですよ。少し気温が低い北関東なので、筍狩りはGWいっぱいは楽しめるとのこと。

写真協力:ワカヤマファーム

 美しい竹林の中で「野宿」もできますよ。風でそよぐ笹の葉の音を聴きながら、空中で寝泊まりできるハンモックテントによる特別なキャンプ体験は、ここでしか味わえないと思います。

写真協力:ワカヤマファーム

 夜には竹林がライトアップされるそうです。また、敷地内には、素敵なカフェ&レストラン、ギャラリーもありますよ。

 オンラインストアから、筍などの農産物、栗のお菓子、筍の水煮などを購入することもできます。いずれも詳しくは「若竹の杜 若山農場」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎若竹の杜 若山農場:https://www.wakayamafarm.com

「この本を片手に、宇宙の冒険に旅立とう!」 by 野口聡一

2026/4/26 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、元JAXAの宇宙飛行士
「野口聡一(のぐち・そういち)」さんです。

 野口さんは1965年、神奈川県生まれ。1996年にJAXAの宇宙飛行士に選ばれ、厳しいトレーニングを経て、2005年にNASAのスペースシャトルで初の宇宙飛行。その後、2009年にソユーズ、2020年にスペースXのクルードラゴンに搭乗し、合わせて3回の宇宙飛行に成功!

 そして世界初の3種類の方法で地球に帰還した宇宙飛行士として、ギネス世界記録に認定されています。また、船外活動を4回経験。国際宇宙ステーションISSの滞在日数は通算335日となっています。

 2022年に宇宙航空研究開発機構JAXAを退職された野口さんは現在、会社の代表、大学の特任教授、財団の理事、そしていろんなメディアへの出演など、多方面で活躍されています。

 実は野口さんには、2006年にこの番組にご出演いただいたという、そんなご縁もあって、今回20年ぶりのご出演がかないました。

 きょうは野口さんが先頃出された本『宇宙でラーメンは食べられるか〜宇宙暮らしのロマンと現実』を参考に、宇宙を目指すかたに向けて、国際宇宙ステーションISSで培った「宇宙ライフの心得」のほか、「地球」や「月」への特別な思いなどうかがいます。

☆写真協力:野口聡一、幻冬舎

野口聡一さん

宇宙ライフを安全かつ楽しむための心得

※野口さんが先頃出された本『宇宙でラーメンは食べられるか 〜宇宙暮らしのロマンと現実』は、宇宙に行って生活するためのガイドブックと言ってもいいのでしょうか?

「そうですね。最近は宇宙のいろいろな本があるんですけれども、実際に自分が行くことになったら、どういう準備をすればいいんだろう。それくらい当事者意識を持って、宇宙を見ていただきたいと・・・。

 自分が急に行くことになる。あるいはお子さんが来週から修学旅行で宇宙ステーションなんだけど、何すればいいの? っていう、そういう時に読んでいただきたい本です」

●いいですね! 本の冒頭に、国際宇宙ステーションISSでの宇宙ライフを安全かつ存分に楽しむために必要な心得「宇宙ライフハック十ヶ条」があります。この十ヶ条は私たちの日常に当てはまることもありますよね?

「そうですね。そんなに崇高な思いで書いたわけじゃなく・・・今回、幻冬舎さんにお世話になって出しているんですけど・・・最初に幻冬舎さんと、宇宙の生活のことを書きたいよねって話をした時に、初めて宇宙ステーションに足を踏み入れた・・・無重力なんで足じゃないんですけど、手が先に行くんですけど(苦笑)、その辺の話は置いといて・・・まず言いたいことって何かなと思って、十ヶ条にまとめたのがスタートです。

 なんとなく面白かったんで、初めに載せたんですけど、それがキャンプ生活であれ、海外生活であれ、違う環境に行った時に、経験者がこういうことに気をつけたほうがいいよという話っていっぱいあると思うんですよ。それの宇宙版っていうことですね」

『宇宙でラーメンは食べられるか 〜宇宙暮らしのロマンと現実』

(編集部注:本の冒頭にある十ヶ条にどんな項目があるのかというと・・・例えば「ないものを嘆くのではなく、あるもので満足せよ」とか「すべての資源は有限である」。ほかにも「生活環境の整備に全力を尽くせ」とか「あわてるな、明日はまたくる」など、私たちの日常に当てはまることも多いので、本を読んで、参考にされてみてはいかがでしょうか)

宇宙の個室、無重力では1畳が六畳!?

※私たちが経験できないもののひとつに「無重力」があります。野口さんが初めてISSで生活された時は、慣れるまでに時間がかかりましたか?

「おっしゃる通り、地上で経験ができない最大のものが重力がないということで、私自身も初めて宇宙に行くまでは、この地上で似たような経験はいろいろできるんですけど、本当に無重力の状態が続くというのは、宇宙に行った時に初めて経験しました。

 慣れるまでに時間はかかりますよ。よく言われるのは『3日・3週・3ヶ月』なんて言い方するんですけど、まず3日ぐらいは無重力で気持ち悪いとかね。いわゆる宇宙酔いみたいな話も含めて、体が強烈に重力がない状況を拒否すると・・・。

 要は全部浮いているってことは、血も体の中で浮いているし、胃袋も浮いているしっていうことで、結局わかりやすく言うと、逆立ちした時に頭に血が登る感覚ありますよね。あれがずっと続いていると・・・それは気持ち悪いよねっていうところで・・・。

 ただ3日ぐらい経つと、そういう気持ち悪さはなくなって、でもいわゆる食欲とか睡眠サイクルまでなんとなく戻ってくるのが3週間ぐらいで、そういうことも含めて、ずっと住んでいた気分になれるのが3ヶ月っていうような、そういう感じなんですよね。

 よく聞かれるのは夜、寝むれるんですか? みたいな質問・・・寝むれます! 思いっきり寝むれます! (重力があるところでは)柔らかい枕がいいとか、マットレスの高さを調整したりするじゃないですか。あれって結局寝ている8時間の間にそのマットに当たっている面が痛くなって、それで寝返りうったりするわけじゃないですか。

 そういうのは全く必要ないです! 常に浮いているので・・・。そういう意味で、3週間くらいして無重力に体が慣れると、睡眠自体はすごく快適ですね」

写真協力:野口聡一、幻冬舎

●体が浮く感覚って表現すると、どんな感じなんですか?

「先ほど最初に、無重力に慣れるかどうかっていうので、すべてのものが浮いていると・・・胃袋も浮いているような、血も浮いているみたいな話で、それがまず体の中の変化ですけど・・・。

 空間の使い方、部屋の中の使い方・・・(重力がある地球では)普段は自分の足がついている面が床なわけですよね。で、物は床の上に置く。収納家具みたいなやつは別として、物は全部床に置くと・・・で、床をちょっと上げた感じでテーブルみたいな、平面がある。

 つまり当たり前ですけど、重力で下に全部行くわけだから、落ち着くところに全部のものを置くわけじゃないですか。天井に何か置くってあり得ないですよね。あるいは横の壁も、置けないことはないけど、いわゆるフックみたいなのに掛けないといけない。

 でも宇宙に行くと、上下左右と前後を合わせて6面・・・(ラジオの)スタジオ・ブースにいるとわかるけど、サイコロの中に住んでいるようなわけですよ。

 上下左右、前、後ろ、その6面全部を使えるので、通常考えるよりは広いっていうのはそういうことなんです。宇宙の個室はまさに1畳ぐらいで、1畳だけど、上下左右、前後を使うと6畳に近い感覚になるので個室としては十分だよと、そういう話です」

宇宙から戻ってくると、シャワーが不思議!?

※無重力ということはISS内では、どんなに重いものを持っても、重さは感じないんですか?

「それは半分正しくて半分間違いです。どんなものでも浮いているので、そういう意味では動かしやすいんですけど、動かしにくさはあるんですよね。

 どういうことかと言うと、空のダンボールとすごく重たい段ボールがあるとして、宇宙ならどちらも持ち上げられるんですけど、持ち上げて振り回す時に、ぴっと止めようと思うと、重たい段ボールだとやっぱり動いていた勢いっていうのはあるので、モワ〜ンと振り回されちゃう感じがあるんですね。

 なので、浮いているという意味ではその重さは感じないんですけど、それを動かそうとすると、やっぱり重たいものは重いなというそういう感じはありますね」

●宇宙から帰還されて重力のある生活に戻ると、どんな気持ちになりますか?

「もちろん私も生まれてから、初めて宇宙に行くまでは地上に住んでいるわけで、それが当たり前なんですけど、ただ戻ってくるとすべてのものが一方向に進んでいくっていうのが非常に不思議な感じがします。

 いちばんわかりやすいのはシャワーですね。上から水を出して、水は重力に引っ張られて、下の排水溝から出ていく。当たり前のことですけど、これは宇宙ではあり得ないんですね。

 出た水は四方八方に飛び散るもので、行ったお水は二度と同じところには戻らない。だから宇宙では水漏れが怖いんですけど、すべての水がスーッと下に降りて、しかも全部、足元にある穴に吸い込まれるのは、ちょっと昔の映画で、『マトリックス』っていう映画がありますけど、あの世界に来ている感じがします」

野口さん流、共同生活の心得

※国際宇宙ステーションISSでは、限られたスペースでの共同生活になりますよね。多国籍のクルーと仲良くやっていくうえで、野口さんが心がけていたことはありますか?

写真協力:野口聡一、幻冬舎

「通常7名のところを交代の時は13名あるいは14名っていう人数になるんですけど、それは何人であっても同じで、宇宙では仲良くしなきゃいけない。ただ、逆説的なんですけど、みんながいい人ではないっていうか・・・。

 『だって人間だもん』っていうのを実は(本の冒頭にあるライフハック)十ヶ条の中でも書いているんですけども、何年にも及ぶトレーニングに耐えてきた宇宙飛行士だって、心身の波や不調っていうのは必ずあるので、それはそんなに抑える必要はないと・・・。

 もちろん大勢の人が一緒にいる場合には、それぞれ譲り合って、他者に対する敬意の念も含めた譲り合いは大事だし、多様性を凝縮したような社会になるので、国別、それから性別、バックグラウンドは全部違う人が集まる中で、みんなが気持ちよく暮らせるようにはどうすればいいのか、そういう気配りはすごく大事になります。

 すごく大事になりますけど、自分が持っている好不調の波とかそういうのは決して否定するものではない。そういうのを持ちつつ、互いに譲り合って受け入れあって生活するというのが、真実かなと思いますね」

船外では、自分が天体になる!?

※野口さんは3回の宇宙飛行で、船外活動を4回経験されています。船外から見る地球は、ISSの中から見る地球とは違うものなんですか?

写真協力:野口聡一、幻冬舎

「宇宙船の中からはもちろんガラス越し・・・ガラスと言っても(船内の)空気と、宇宙の低温から守んないといけないので、すごくガッチリとしたガラスなんですけど・・・そのガラスから見ていると、景色が美しいという感じですね。

 それはそれで綺麗なんですけど、宇宙空間に出ると真空の宇宙、冷たい宇宙の中に自分が入っていっているっていうことも含めて、地球が自分と同じ天体というか、逆に言うと自分が地球と同じ天体となって、宇宙を漂っているような気持ちになります。

 見え方も当然違うので、手を伸ばすと地球のゴツゴツ感が、山脈の山のゴツゴツ感とか、雲のフワフワ感っていうのが、本当に手で触れるんじゃないかと思うくらいリアルに感じられるんですね」

●ええ~っ! すごいですね! ISSに滞在している時って、宇宙から見下ろすような感じで青い地球をご覧になっていたと思うんですけど、地球に戻ってきて空を見ると、どんな感覚になるんですか?

「宇宙は重力ないので上下がないんですけど、おっしゃる通り見下ろす感じで青い地球を見ていて、雲が地表にくっついているような感じで、雲の存在がよく見えるんですよ。

 雲があってそれ越しに下が見えると・・・そういう感じでずっと見ているんですけど、地球に戻ってすぐに、逆に空を見た時に、これまでは地表を覆うように見えていた雲が上に見えると・・・。

 つまり感じとしては、スキューバダイビングとかされるとわかると思うんですけど、下から見ると水面がすごく綺麗じゃないですか。だから、今僕たちは空気の海の底にいて、水面が雲になるんだなっていうふうに感じましたね。

 だから雲を境に上と下で、地面はある意味、大気圏っていう空気の層のいちばん下なので、それより下には海があるわけですけども・・・だから“空気の海”の下に我々は住んでいて、そこから上を見上げている・・・水面に当たるのが雲であるという感覚になりました」

月のクレーターで温泉!?

※野口さんは、20年前にこの番組にご出演いただいた時に、「きっとまた月面に人が立つ日がやってくると思うので、そのときにそのメンバーになれたらいいなと思います」と語っていらっしゃいました。

 その予想通り、月に人類を送るNASA主導のアルテミス計画が進んでいます。どんな思いで見ていらっしゃいますか?

「そうですね・・・ちょうど20年経って、その時代がようやくやってきたと・・・半世紀ぶりにNASAが人類を月の周回軌道に送ったということで、本当に素晴らしい活躍だなと素直に思います。私がその頃思っていたよりも、ちょっと時間がかかっていますけどね(苦笑)。

 私は現役を引退していますけれども、日本人が月面に立つ日も近いと思いますし、逆に今、有人宇宙計画には民間の宇宙船も増えてきているので、政府機関のプロの宇宙飛行士じゃなくても月面に行けると・・・。

 だから私の今の目標は卒寿90歳になったら、月に行って温泉に入って地球を見たいなと思っていますけどね」

●素敵な夢ですね! 月に行けたら、やはり温泉ですか?

「温泉ですね! 月に水があるっていうのが最新の研究結果で、もちろん科学実験のための水分のことを言っているんですけど、日本人は水があれば、温泉でしょ! どう考えても! それを温めて月のクレーターに温泉をドボドボと惜しげもなく入れて、ちゃんと空が見えるようにドームを作って、月見で一杯、あっ違った、地球見で一杯っていう感じですね」

写真協力:野口聡一、幻冬舎

地球、こんなに美しい天体はほかにはない!

※本の冒頭にある「宇宙ライフハック十ヶ条」の第十条に「宇宙は楽園である」と書かれています。そこにはどんな思いがあるんですか?

「これは本を読んでいただくと、『ライフハック十ヶ条』自体はいかに宇宙が大変か、ISSは別にホテルじゃありませんと、あくまで合宿所みたいなもので、ここにはメイドはいません、掃除をしてくれる人もいませんみたいな、すべて自分たちでやんなきゃいけませんと・・。

 (宇宙に行くと)地上にあるものがどんどんなくなると・・・蛇口をひねれば、水が出るとか、ちょっと食べたければ、すぐレストランがあるみたいな、そういうのが全くない世界なんで、極めて不便であると・・・。

 そういう前提の上で、これもない、あれもない、これはできないみたいに人生を捉えてしまうとそれは辛いと・・・そういう環境だからこそ、宇宙は楽園である! と思いなさいと・・・いろいろ不便は数えきれないけれど、何と言っても目の前に美しい地球があるじゃない! そこから来たという思いだけで十分でしょう!と・・・いうのが私の意図ですね」

●宇宙が楽園だったら、地球は何ですか?

「地球はまさに、この美しい地球・・・私が少なくとも見回す限りですけど、宇宙に3回行って、船外活動を4回やった私が思うのは、こんなに美しい天体は、ほかにはない。地球以外にはあり得ない。そこに住んでいるあなたたちは、幸せに感じないでどうするの! ということですね。この環境を大事にしていきましょうということです」

●では最後に、宇宙を目指すかたにアドバイスをお願いします。

「私は今回、幻冬舎さんから『宇宙でラーメンを食べられるか』ってことで、本を出させていただきましたけども、思っているより、宇宙は近づいてきていると・・・行くのが大変だよね~とか、なんか難しそうって思われるかたが多いとは思いますけれども、知らないうちに宇宙のほうが、みなさんの日常に近づいてきているんじゃないかなと・・・。

 思っているよりも早く、“急に宇宙に行くことになったよ!”と、みなさん自身がそうなるか、あるいはみなさんの子供たちが思うかは別として、急に宇宙に行かなきゃいけないんだけど、何をしたらいいの? って思った時にぜひこの本を手に取って・・・。

 もう少し真面目に言うと、今の地球で思っている常識が覆される世界は意外に近くにあるので、宇宙という、そういうところでも恐れずに冒険して欲しいなと、こういう本を片手に冒険に旅立ってほしいな~と思います」

写真協力:野口聡一、幻冬舎

INFORMATION

『宇宙でラーメンは食べられるか 〜宇宙暮らしのロマンと現実』

『宇宙でラーメンは食べられるか 〜宇宙暮らしのロマンと現実』

 野口さんの新しい本には、宇宙に行くための準備から、ISS内での過ごし方や個室の利用法、宇宙飛行士の下着やユニフォーム、宇宙食やトイレ、体を清潔にする方法などなど、経験豊富な野口さんだからこその実践的なアドバイスが満載! 宇宙に行くために参考になる冒険手帳です。とても読みやすいのでおすすめですよ。

 ところで、宇宙でラーメンが食べられたのか、ぜひ本でお確かめください。
 幻冬舎新書の一冊として絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎幻冬舎:https://www.gentosha.jp/store/ebook/detail/12741

 野口さんのSNS、そして20年前にこの番組に出演された時のインタビューも番組HPに載っていますので、ぜひチェックしてください。

◎野口聡一さんSNS:https://x.com/Astro_Soichi

◎2006年4月16日、野口さん出演回 :http://www.flintstone.co.jp/20060416.html

春の植物観察、不思議いっぱい、身近なフィールドワークのすすめ!

2026/4/19 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自然科学系ライター、そして気象予報士の「わぴちゃん」こと「岩槻秀明(いわつき・ひであき)」さんです。

 わぴちゃんには3年前にご出演いただき、その時は気象予報士として、おもに雲のお話をうかがいましたが、今回は自然科学系ライターとして『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』を出されたということで、改めて、番組にお迎えすることになりました。

 小さい頃から植物大好きだったわぴちゃんは、観察すればするほど、いろんな発見がある植物に大人になった今でも魅了されていて、独学で植物を学んだそうです。
 現在はいろんな人とつながり、情報交換を行ないながら植物の知識をブラッシュアップ! また、千葉県立関宿城博物館の調査協力員として、おもに川の植生などを調べているそうです。

 そんなわぴちゃんの新しい本は、タイトルに「図鑑」とついていますが、植物の不思議を、わぴちゃんと相棒のキャラクター「ふわぴかちゃん」との会話形式で解説する手法をとっているので、図鑑とは一味違った内容になっています。ポイントは「観察の眼」。いろんな視点で植物を見てほしいということで、60のテーマが設定されています。

 きょうはわぴちゃんに普段、何気なく見ている身近な植物の不思議について、花や葉っぱなど、観察のポイントなども含め、解説していただきます。

☆写真協力:岩槻秀明

岩槻秀明さん

タンポポは不思議だらけ

※普段、私たちが植物に目がいくとしたら、やはり花が咲いたときだと思います。4月から5月に身近に咲く花の不思議を教えてください。例えば、タンポポはどうですか?

「タンポポも不思議だらけですよ!」

●不思議だらけ!

「何年か前にタンポポだけで2時間も話したことがあって(笑)、それぐらい(不思議だらけ)」

写真協力:岩槻秀明

●本にも“タンポポは謎多き存在”と書かれていましたけれども、謎が多いんですか?

「そうなんです。タンポポって実は何種類あるかわかってないし、何の種類なのかっていうのが正直わかっていないんですよ。
 外国から来たタンポポは“セイヨウタンポポ”、日本にあるやつは“ニホンタンポポ”とか言ったりしますけれども、ニホンタンポポのほうは、わりかし研究が進んでいて、一応20種類ぐらいあるんです。

 千葉県だと“カントウタンポポ”と“トウカイタンポポ”っていう2種類があるんですけれども、外国から来たセイヨウタンポポのほうは、実はなんていう種類のタンポポが日本に入ってきているのかがわかってないんです。

 もしかしたら1種類だけじゃなくて何種類も入ってきていて、それをまとめてセイヨウタンポポって呼んじゃっているかもしれないとか。あともっと言っちゃうと、日本のタンポポと外国から来たタンポポが交雑して、雑種を作っちゃうんですよね。掛け合わさっちゃってね。それもすごくいっぱいあるんですよ。

 だから、タンポポがいっぱい生えている所をぐる~っとまわっただけで、丁寧に観察するとタイプの違うやつが10タイプ、20タイプと出てくるんですよね。そういう世界ですね(笑)」

●全部似ているように見えますけれども、それぞれ異なっているんですね。

「よ~く見るとやっぱり違うんですよね」

●では続いて、ツツジはいかがですか?

「ツツジもいいですよね! 4月から5月頃・・・5月がいちばんツツジの季節になるのかな。これもいっぱい種類が多くて、いろんな切り口があるんですけれども、よくあるのはどんな種類があるかっていうのはよくやるんです。

写真協力:岩槻秀明

 ひとつ、ぜひ花の仕組みにも注目していただければな~と思いまして・・・ツツジの花って花びらは何枚ですかね?」

●えーっと・・・5枚ぐらいですか? そんなイメージありますが、どうでしょう?

「(5枚)ありますよね。でも図鑑でツツジの花びらは5枚って書けないんですよ。5枚じゃないんですよね。5つなっていますけれども、(花びらが)つながっているんですよ」

●なるほど!

「筒みたいにつながっているんで、5枚とは言い切れなくて・・・だから図鑑を見ると花冠が5列とか、そういう表現になっちゃうんですね」

●先が5つに分かれているっていうことですね? 

「そういうのを合弁花(ごうべんか)って言いまして、意外に多いんですよ」で、いまのところ、400種くらいだとおっしゃっていました)

ハナミズキ、花はどれ!?

※この季節に見ごろを迎えるハナミズキには、どんな不思議がありますか?

「ハナミズキって花びらというか・・・ハナミズキの花びらって何色だと思いますか?」

●ピンク・・・?

「ピンク?」

●白・・・?

「白いのもありますよね」

●はいはい。

「あれ、花びらじゃないんですよ」

●えっ!? ピンクとか白とかの部分じゃないんですか? 花じゃないんですか?

「そうなんですよ。真ん中をよ~く見ると、ちょぼちょぼしたものがいっぱいあって、そのちょぼちょぼしたもの、ひとつひとつがお花、(白やピンクのは)そのお花を束ねるものなんです。

 束ねている部分で葉っぱが変化してできたものなんですよね。苞(ほう)とか総苞(そうほう)とか、そういうふうに言ったりするんですけれども、だからあれは花びらじゃないんですよね」

写真協力:岩槻秀明

●へ~〜、あの中央に黄緑色の、てんてんてんってあるものがお花なんですね?

「はい、お花です。ハナミズキは花が黄緑色なんですよ」

●なるほど~。

「外側の総苞がなかったら、多分誰も見向きもしないような花かもしれないんですけど(笑)」

●いや~勘違いしていました!(苦笑)

「面白いですよね。こういうのね」

●面白~い! あと千葉の名産と言えば、落花生です。落花生にも花がありますよね?

「ありますね。見たことがある人、少ないかもしれないんですけれども、最近は家庭菜園用の苗が売られるようになってきて、普通にホームセンターで買えるようになりましたね。
 私が子供の頃は落花生、ピーナッツってぜんぜん目にする機会がなかったですけれども・・・。だから今は割と簡単に、4月の終わりから5月ぐらいになるとホームセンターに苗が並び始めるので、育ててみたいと思った人はぜひぜひと思いますね」

写真協力:岩槻秀明

●家でも花はちゃんと咲きますかね?

「咲きますよ! 実もなりますよ! 面白いのが、花が咲いたあとに土の中に潜っていくんですよね、あれね」

●花が咲いたあとに潜る!?

「はい! 土の中であのピーナッツができるという・・・」

写真協力:岩槻秀明

●ピーナッツは土の中にできるんですよね。

「土の中に! だから豆なのに掘るんですよね」

●そうですよね~。

「はい!」

●潜っているわけですよね。

「自分から潜っていくんですよね。なんで潜っていくのかを考えてみると、不思議ですけれどもね」

●それを実際見ることができるっていうのはいいですね。

「そうですね! その潜っていくところを毎日観察してみるといいですよね」

(編集部注:落花生について、少し補足させていただくと、黄色の花が咲いたあとに、その根本から茎のようなものが伸びて、地中に潜り込み、実がなります)

雨の日にタネを飛ばす!?

※雨の時だからこそ見ることができる植物の不思議な姿はありますか?

「やっぱりいろいろありまして・・・まずひとつは、雨の日に植物の花は開いているのか、閉じているのかって観察してみるといいかもしれないですね。閉じる花も多いんですけど、閉じない花も結構あったりしてね・・・。結構かわいそうなことになっていたりするんですけれども、そういうのもあったりとか・・・。

 それから雨に濡れると、ちょっと表情が変わって見えるんですよね。なので、それを見てみるのもよくて、特に白い花は濡れると、なんかちょっと透き通るような感じになるものもあったりするんですよ」

●へえ~〜。

「そういうのを見てみたりするといいですよね」

●表情が変わるんですね。

「あと花だけじゃなくて、ほかのパーツ・・・例えば、さっきのタンポポだと、綿毛は晴れていると開いていてふわふわで、風が吹くと飛んでいくんですけど、雨の日は綿毛は閉じているんですよね。そういうのを見てみると面白かったり・・・。

 それから逆に雨でパシンとはじけて飛んでいくタイプのタネもあったりします。本にも書いた“ユウゲショウ”っていう植物は普段、実が閉じているんですけれども、雨が降った時だけパカーンと開いて、そこに雨が当たると雫でピシャーッと跳ねるので、その勢いでタネを飛ばしていくという、そういうのもあったりしますね」

●わぴちゃんがこれまでで、いちばん不思議だな〜と思った植物って何ですか?

「これ、いっぱいありまして、どれにしようかすごく悩んだんですけれども・・・植物の種類っていろいろありますよね。
 種類によって似ても似つかないような姿なのに、実はこれとこれが同じ種類だったりとかってすることがあって、一方で、これ何が違うんだろうっていうような、私が全然見分けがつかないようなやつで、全く違う種類だったりとかね。種類によってたたずまいが全然違うもんだから、不思議だなぁと思いますよね」

●例えば、どんなものがありますか?

「例えばなんですけれども、まずさっきのタンポポ、日本だけで20種類あるって言いましたけれども、正直そっくりなんですよ」

●そうですよね~。

「でも全然違う種類なんですよね。ほかにもいわゆる雑草って呼ばれる類のものに多いんですけど、例えば“ペンペン草”がいいかな・・・“春の七草”でもおなじみですね。

 あれって葉っぱの形がすごく変化するんですよ。ギザギザギザって鳥の羽のように切れ込むものから、全く切れ込まなくて、まんまるに近いものまで、“これとこれ同じ葉っぱなんだよ~”“ええっ、マジで?”みたいな・・・そんな感じになのが、“ナズナ”だったりするっていうね」

植物の世界が広がるキーワード!?

『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』

※新しい本には植物の専門用語も解説されています。その中からこの専門用語を知っていると、植物の見方が変わるとか、植物の世界が違って見えるとか、そんな用語があったら、教えてください。

「実はこれ、敢えて専門用語って呼ばれるものをたくさん入れたんですよ。今ってあとで調べようと思えば、ネットとかいろいろ使えるので、それに役立つキーワード・・・専門用語がキーワードとして使えるので、みなさんがフィールドに出て、そのキーワードをもとに自分なりに話を膨らませてほしいなっていう意味で、敢えていろいろ専門用語的なものをたくさん盛り込んだんですね。

 専門用語の数を増やせば増やすほど、“あっ、これにはこういう名前がついているんだな!”とか、さらにこの名前で何か関連する情報があるかなっていう感じで、世界を広げられるので・・・。

 やっぱり専門用語的なのを知って覚えていくと、話が広がりやすくなるのと、あと図鑑に登場する言葉、専門用語・・・花の形とか葉っぱの形、いろんな植物の葉っぱの形があって、言葉で表すんですけれども、ちゃんとキーワードがあるんですよ。

 例えば、切れ込みかた・・・浅く切れ込むのは、浅く裂けると書いて『浅裂(せんれつ)』とか、ちょっと深く切れ込むと、真ん中くらいまで切れ込むので『中裂(ちゅうれつ)』、深く切れ込むのは深く裂けるで『深裂(しんれつ)』、付け根まで全部裂けると『全裂(ぜんれつ)』とかって呼び方が変わったりするんですね。

 そういうキーワードを知っていると、図鑑の記述ってなんかおまじないみたいな難しい言葉が並んでいるように見えるけれども、実はその葉っぱの形を言葉で表しているのがわかるようになるので、そういう言葉も覚えておくと、いざという時いいかも知れないですね」

フィールドワークが育む「観察の眼」

※新しい本の中で「フィールドワークを大切にしている」と書かれていました。やはり、フィールドに出てこそ、わかることがあるということですか?

「いっぱいあるんですよ。むしろ図鑑に書いてあることは、本当にいろんな人たちが集めている情報の、わかっているところをちょっと切り抜いていて、しかも紙面の関係があるので、さらに情報を省いているだけなので、現物を見て得られる情報って全然違うものがありまして、図鑑に書いてないようなことがいっぱいあったりします。

 あとは、図鑑だと言葉と写真なので、目で入ってくる情報なんですけれども、実物と対面した時に“あっ、なんか触ってときにベタベタする”とか、“不思議な匂いがするな~”とか、“写真で見ている以上にちっちゃいんだな~”とか・・・。

 私が出前授業とかで(フィールドに)行ったときに、よくあるパターンが“えっ、これ、こんなにちっちゃかったのね!”っていうのがありますね。やっぱり図鑑だと、わかりやすく見せるために写真を拡大してパーンと載せますのでね」

写真協力:岩槻秀明

●やっぱり観察の眼はフィールドワークが育むと言っていいっていう感じですね。

「あっ、いいと思います! 実物、現物を見たものがまさにそれが答え、そこで自分で感じたものが答えですので、やっぱり自分の目で見て、自分で感じ取るのがいいかもしれないですね」

●では改めて著者として、新しい本『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』をどんなふうに活用してくれたら嬉しいですか?

「ありがとうございます。とりあえず60のテーマで観察の眼っていうのを載せてみました。“観察の眼”ってなあに? っていうと、植物を見る時の、こういう視点で見てみると面白いっていう、その“視点”なんですね。

 視点はとりあえず60載せたけれども、載せきれなかったものがいっぱいあるので、これをもとに自分なりの新たな観察の眼をどんどん作っていっていただければな、書き足していただければなというのと・・・

 先ほどちょっとお話しした専門用語ですね。キーワードをたくさん盛り込みましたので、キーワードをもとに調べてみたりとかして、自分なりに幅を広げていっていただくと、新しい発見があるのかなというところですかね」

●では最後に、この本を通していちばん伝えたいことはどんなことでしょうか?

「今はAIとか、それからネットが普及して、それこそパソコンとかスマホとかチャチャっとやると、いろんな情報が出てきて写真も出てきてね。それだけで知った気になっちゃうんですけれども、それってあくまで自分で見たものじゃなくて、既にあるものの寄せ集めに過ぎませんので・・・

 ぜひ自分の目で見て、自分の足で稼いで、自分の肌で感じて、自分なりの気付きを、この時代だからこそ、得ていただけると嬉しいなというところを伝えたいなと思って、(本の)はじめにと終わりにもその旨を書いてみたりしました」

(編集部注:フィールドワークが大切だというお話がありましたが、身近な場所でのフィールドワークでも注意していただきたいことがあります。

 服装は長袖・長ズボンが基本。これからの季節は帽子もお忘れなく。靴は履き慣れたものがおすすめです。虫刺されなどからお肌を守るために、首元にタオルなどを巻くのもいいですね。わぴちゃんはスカーフを愛用しているそうですよ。

 水辺などは特に足元に注意。道端での観察は車にも注意しましょう。里山などに行くと、危険な生き物もいますので、事前に調べてから出かけるほうがいいかもしれません)


INFORMATION

『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』

『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』

 フィールドワークに出かけて、植物を観察する際は、わぴちゃんの新しい本を持っていきませんか。オールカラーで300点以上の写真を掲載。知っておきたい植物の用語や、観察のポイントをわかりやすく解説してありますよ。
 時事通信出版局から絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎時事通信出版局:https://bookpub.jiji.com/book/b674423.html

 わぴちゃんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。

https://wapichan.sakura.ne.jp/

鳥たちの名前を楽しむ! 語源や由来が面白い!

2026/4/12 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、野鳥写真家の「大橋弘一(おおはし・こういち)」さんです。

 野鳥の撮影キャリア37年の大橋さんは、図鑑や書籍、新聞や雑誌、テレビやラジオなど、いろいろなメディアで日本の野鳥の魅力を伝える活動を続けていらっしゃいます。

 大橋さんは、野鳥の生態を写真で伝えるだけでなく、鳥の名前の語源や由来を丹念に調べ、解説することを専門とされている唯一無二の野鳥写真家なんです。

 そんな大橋さんが『鳥たちの素敵な名前の物語』という本を出されたということで、番組にお迎えすることになりました。

 きょうは、「鳥の名前」のスペシャリスト大橋さんに古い文献や書物から導き出した、スズメやウグイス、ツバメやカモメなど、その名前の知られざる秘密についてうかがいます。

☆写真協力:大橋弘一

大橋弘一さん

日本の野鳥を撮る

※現在、札幌にお住まいの大橋さんは早稲田大学を卒業後、21年間の会社員生活を経て、野鳥写真家に転身されています。

 会社員時代、この職種では自分の能力を活かせないと迷いながら会社員を続けていたという大橋さんなんですが・・・ある時、転勤になった北海道で「ノビタキ」という野鳥に出会い、たまたま持っていたカメラで写真を撮ったそうです。

 その瞬間に、自分には鳥があった!と気づき、鳥の写真を仕事にしようと決断!
 実は大橋さんは、子供の頃から野鳥の図鑑を見るのが大好きで、中学生の頃は親のカメラを借りて、鉄道の写真をよく撮っていたそうです。

 「ノビタキ」に出会ったことで、「野鳥」と「カメラ」と「写真」が一瞬にして結びついたんでしょうね。言い方を変えると、野鳥写真家になるべくしてなった、
そういう運命だったということでしょうか。

写真協力:大橋弘一
ノビタキ

●野鳥写真家として掲げているテーマとしては、どんなことが挙げられますか?

「日本の野鳥なんですよ、最初から日本の野鳥。私は何をするにも、まず自分が日本人だっていう意識がどこかにあって、やっぱり日本のものを突き詰めたいっていう思いが一方ではあるんですよね。野鳥に関してもそういう感じなんです。

 ただし、日本の野鳥をテーマにしている野鳥写真家はたくさんいるわけです。だいたい日本人だったら、まず身近なところから、日本の野鳥から撮り始めるのが普通ですから・・・だから誰でもやっているテーマっていうことになってしまうんですけど、それを突き詰めて考えて、ただ日本の野鳥とは言わずに、これをどういうふうにみなさんに広く伝えられるかっていうことを考えながら、そういうテーマを持ってやっていると言ったらいいんでしょうかね」

●野鳥を通して、日本の姿を伝えていらっしゃるっていうことですね。

「結果的にそういう活動に今なっていますね」

●撮影も日本国内にこだわっていらっしゃるんですね。

「こだわっているというか日本国内でしか撮りません。というのは、さっき言ったように私はやっぱり自分が日本人であるということは、どこかに必ず持っている意識なので・・・。

 ただし、鳥は渡りをしますので、夏に日本で見られる鳥が、冬には東南アジアに行っていたりということもあるわけですよ。それでもし、夏の間に日本で撮影している鳥の、冬の生態も写真として必要だということが起こった場合、その時は私は越冬地である東南アジアにも、その鳥の取材のために喜んで飛んでいくつもりはあります」

●季節によって撮影のフィールドも変わると思うんですけれども、これから4月後半から5月、6月にかけてですと、どんな野鳥を求めて、どちらに出かけますか?

「そうですね・・・その年その年によって違うんですけど、4月から5月、6月って1年の中でもいちばんいい季節なんですよね。鳥たちの活発な繁殖の活動が見られる面白い時期になります。

 それから南のほうから日本に渡ってくる夏鳥と言われるものがたくさんやってきて、こういう鳥たちは姿も声も美しいってことになりますので、そういうものをメインに撮る季節になるかなと思うんですね。

写真協力:大橋弘一

 で、今私がいる北海道で言えば、例えば森・・・いろんなところにいろんな森があります。どこの森へ出かけるか、その日の気分次第ってところがありますけど・・・。

 それからもうひとつ、同じような渡り鳥で干潟に現れる鳥がいるんですね。シギ類、チドリ類って言いますけど、こういうものを探してシギ・チドリ類のいる場所へ行く、干潟や海岸へ行くということもあります。

 千葉県で船橋に三番瀬っていうところがありますけれども、ここなんか、そういう意味でとってもいいフィールドなんですよね」

(編集部注:大橋さんがこれまでに撮った野鳥は400種ほどだそうです。日本で記録されている野鳥はおよそ600種。大橋さんとしては、図鑑を作りたいという目標があるので、全部を網羅したい気持ちはあるそうですが、「日本らしい鳥」にこだわっているので、いまのところ、400種くらいだとおっしゃっていました)

面白い!鳥の名前の語源や由来

※ここからは、先頃出された本『鳥たちの素敵な名前の物語』を参考にお話をうかがっていきます。

『鳥たちの素敵な名前の物語』

 この本はタイトルにあるように「鳥たちの名前」にまつわる「物語」を記した本ですが、鳥の和名に興味を抱くようになったのは、いつ頃からですか。なにかきっかけがあったんでしょうか?

「これはちょっときっかけがありまして、2003年にほかの出版社から出した『鳥の名前』っていう本があったんですよ。で、この本を作らないかという話をいただいた時に、その時はまだ鳥の名前に対する興味はあまりなかったんですね。でも鳥の名前を詳しく語る本ということだったんですね。

 それを執筆するためには、正しいことを書かなきゃいけないっていう責任がありますので、図書館にずいぶん通いましたし、ネットで調べるってことももちろんやりますけど、ずいぶんその本を作るためにいろんな鳥の名前の語源や由来、これを調べたんですね。

 で、その2003年の本がひとつのきっかけにはなったと思っているんですけど、実はそういうことをやろうと思うひとつの理由として、野鳥写真家として活動し始めて、どういう意識を持っていたかということもお伝えしたいんですね。

 写真家は自分が撮る被写体、つまり私のような野鳥写真家の場合は、野鳥に関してもプロフェッショナルでありたいと、専門家じゃなきゃいけないっていう意識がもともと強かったんですよね。

 野鳥をとにかく深く知ってこそ、いい写真も撮れるっていうイメージと言ったらいいんでしょうかね。そういう気持ちを強く持っていたので、写真の専門家であると同時に鳥の専門家でなければならないという思いがあって・・・。

 で、そこへ持ってきて、『鳥の名前』という本を書かないかと言われて調べていたら、これが面白いんですね、鳥の名前の語源や由来が・・・。

 それでいわゆるハマってしまったというか・・・。 毎日のように鳥の名前の語源や由来を調べる生活を続けていましたので、その本が出た後も何か鳥のことを考えるときは、必ず語源や由来まで調べないと気が済まないような、そういう生活習慣ができちゃったんですよ。それでその本が出た後もずーっと調べ続けているということなんですね」

●そうだったんですね。この本には鳥の名前にまつわる59の物語が掲載されています。ページをめくるたびに野鳥の美しい写真に釘付けになるんですけれども、日本の歴史や文化に由来する奥深い話にも圧倒されました。

「ありがとうございます」

●その一方でわからないことも多いということで、古い文献とか古文書を深掘りしながら、まるで謎解きの冒険に出ているかのような感覚になりますよね。

「そうですよね。そう言っていただけると嬉しいなと、著者としてはそう思いますね。でも知っている人でも調べていくと、どんどん謎が出てくるんですよ。新しい謎をまた調べるというすごく奥深い世界があるので ・・・。

 鳥に限らずですけど、名前の語源を考える時に、どうしても古い昔の、歴史的なと言ってもいいかもしれませんが、古典文献とか、古い昔の辞書とか、そういったものにも、どんなふうに書かれているかっていうことを、どうしても調べる必要があるんですよね。

 中には例えば、清少納言の『枕草子』とか、あるいは有名なところでは『万葉集』とか、みなさん名前を知っているような古い文学作品がありますけど、そういうものもありますし、全然聞いたこともないなって思うようなものもたくさんある・・・そういうものを調べていく作業になります。そうすると今言ったような奥深い世界が待っている、そんなことなんですよね」

(編集部注:大橋さんが鳥の名前の由来や語源を調べる際によりどころにしている本を教えてくださいました。その本とは1993年に出版された『図説日本鳥名由来辞典』。700ページほどもある分厚い辞典で、図書館などに置いてあることが多いとのこと。

 この辞典には、ある鳥の名前の語源は、この文献にこういうふうに書かれていると簡単に記されているそうで、大橋さんはそれを参考に古い文献などを調べるか、ネットで国会図書館や博物館のアーカイヴにアプローチするか、または『枕草子』や『源氏物語』など有名な本は現代語訳を読んで調べるそうです)

『シュンシュンメ』はスズメ

※大橋さんの本に載っている「鳥の名前の物語」から、一般のかたがすぐ思い浮かぶ野鳥に絞って、お話をうかがいたいと思います。

 まずは「スズメ」。よく知られている鳥ですが、古い文献にもよく出てくるんですか?

写真協力:大橋弘一
スズメ

「そうですね。やっぱり昔から人間の身近にいた鳥のようなんですよね。例えば、古いところでは『古事記』、それから『日本書紀』、そういったものにも出てきます。

 さっきから名前を出している『枕草子』には・・・『枕草子』って清少納言が好きなものを結構並べて書いていたりするんですよね。”春はあけぼの”で始まる、みなさんよくご存知だと思うんですけど、その中に”心ときめきするもの”っていう表現があるんですね。

 心がときめくものっていう意味だと思うんですけど、心ときめきするものの例のひとつとして、“スズメの子飼い”っていうのが出てくるんですよ。これはスズメのヒナを飼育して育てるっていうことですね。だから平安時代、『枕草子』の時代にスズメのヒナを育てることを、みなさん楽しんでいたんじゃないかなっていうこともわかるわけですね。

 それから、『源氏物語』にもスズメの子飼いのことが出てきます。逆に意外なのは万葉集には、スズメを読んだ歌がひとつもないんですよ。これは私自身、意外でしたね。これだけ昔から親しまれていたのに、和歌の題材とは見なされていなかったということなんでしょうね、きっとね」

●スズメの名前の由来って何なんですか?

「スズメっていう言葉で、みなさん現代人は呼ぶわけですけど、スズメのスズの部分は鳴き声だと思われるんですね。それは今スズメの鳴き声って、だいたい”チュンチュン”って思うかたが多いんですけど、これを昔の人は”シュンシュン”って聴いていたらしいんですね。

 シュンシュンに最後、“メ”をつける『シュンシュンメ』という言葉だったようなんです、昔は。メという言葉は小さい鳥を意味する接尾語なんです、古い接尾語。だがら、シュンシュンメって言うとシュンシュンと鳴くメ、鳥っていう意味になる。シュンシュンメって言っていたのがシュジュメ、シュズメ、スズメに変化して落ち着いたと、そういうふうに想像されるわけです」

(編集部注:鳥の名前は地域によって呼び方が変わることも多く、例えば、スズメは千葉県や富山県では「おはぐろ」、千葉県でも、ある地域では「いじくろ」と呼ばれることもあるとか。大橋さんがおっしゃるには「おはぐろ」「いじくろ」の「くろ」はスズメのほほに黒い大きな斑点があるので、そのことではないか、ということでした)

名前の由来は「ウーーグイス」!?

●では続いてウグイスです。本にこの和名は鳴き声を表した呼び名と書いてありましたけれども、鳴き声って“ホーホケキョ”ですよね?

「はい、これも現代人はみなさん“ホーホケキョ”だと思っているんですけど、それは結構新しい時代になってからのことなんですよ、そういうふうに聴こえるのは。実は例えば、平安時代とか室町時代、鎌倉時代、このあたりは“ウーーグイス”と聴こえていたんですよ(笑)どうも・・・」

●え~~っ!?

「“ウーーグイス”、そのものです、名前が。“ス”っていうのは、実はやっぱり鳥を示す接尾語だっていう説もあって、若干大きめの鳥は・・・先ほどスズメの“メ”は小さい鳥って言いましたけど、ウグイスの“ス”は、ホトトギスなんかもそうなんですけど、大きめの鳥の場合は“ス”って使っていたのかなって、そういう説もあるんですね。

 一方では“ウグイス”っていう言葉が全部鳴き声だと、”ウーーグイス“だったと、そういう説が定説になっていますね。だから鳴き声をそのまま表したのが、ウグイスってことになるんです」

●そうだったんですね。

「じゃあなぜ、“ホーホケキョ”だと思ったのか・・・?」

●確かにそうですね。

「思いますよね。これは戦国時代ぐらいに、臨済宗の有名な御坊さんが、どうも“ホケキョウ(法華経)って聴こえるぞ”って言い出したんですよ。“ホーホケキョ”、我々現代人が言う“ホーホケキョ、法華経”って言うことですよね。

 そういうこと言い出したのは、法華経って仏教のお経ですから、やっぱり仏教を仕事にしていらっしゃるかた、お坊さんはいつもそういうことを考えていると、そう聴こえるんですよね、きっとね。

 でもそう言われたら、誰しもが“ああ、なるほどな、法華経、ホーホケキョって言っているよな”って思う・・・こういう鳴き声を人間の言葉に置き換えることを、“聞きなし”って言うんですけど、とってもうまい聞きなしなので、これが定着した。

 ですから、だいたい戦国時代にそういう話が出てきて、江戸時代ぐらいからはみんなウグイスの鳴き声は“ホーホケキョ”って言うようになったと、いろんな文献を見てみるとそういう歴史的なこともわかってきますね」

「籠(かご)の目」がカモメの由来!?

※この時期に日本に渡ってくる「ツバメ」の名前の由来は、どんなことがあるんでしょうか?

「これも鳴き声由来なんです。やっぱり鳴き声が語源になっている鳥って多いんですよね。ツバメの場合は“チュバチュバ”って鳴く“メ”、さっきのスズメの“メ”ですよ。“チュバチュバ”で“チュバメ”、これが縮まってツバメになったと・・・ほかの説もあるんですけど、これが定説になっていますね」

●カモメはどうですか?

「カモメは、これは鳴き声語源ではないんです。カモメは結構難しい難解な鳥の名前だって言われています。

 例えば、カモに似ていて小さいから、スズメのメ、これをカモに似ている小さいカモのメで“カモメ“と、メをつけているんじゃないかって説もあるんです。

 これは江戸時代の新井白石っていうかたが提唱した語源説なんですけど、これはどうもちょっと腑に落ちないというか、カモよりも大きいくらいの大型のカモメもいるので、これも違うだろうって思っちゃうわけですね。

写真協力:大橋弘一
オオセグロカモメの幼鳥

 ほかにもいろいろな説があって、今ほぼそうだろうなって思われている説は、カモメは白っぽかったり、そこに翼の色がグレーだったりっていう姿を思い浮かべると思うんですけど、幼鳥のうちは、若いうちは茶色っぽいんですよ、全体が。

 茶色っぽくて細かい模様が全体に入っていて、まるでそれが籠(かご)の目のように見える、細かい茶色い模様がたくさんあるので、籠の目に見える“籠目”、カゴメって言っていたものが、だんだん言葉が変化して“カモメ”になったんじゃないかと・・・」

●なるほど。

「これが定説と思っていい考え方なんですね」

美しい名前の付け方、「ヤブサメ」!

※鳥の名前を紐解いていく中で、特に印象に残っている由来や説があったら教えてください。

「“ヤブサメ”ですね。ヤブサメって言うと、馬に乗った武士の姿をしたかたが弓矢で的を射る、そういう伝統行事がありますよね。これを思い浮かべるかたが多いんですけど、“ヤブサメ”っていう名前の鳥の、ヤブサメの意味はそうではなくて、“藪(やぶ)”っていう字に“雨”、“藪雨”と書いて“ヤブサメ”って読むんです。

 どういうことかと言うと、これもやっぱり鳴き声に関連するんですけど、ヤブサメという鳥の鳴き声は、非常に高い声で“シシーーシーシーシシーー”、あまり似てないと思いますけど・・・。すごく高い声で“シーシシーー”ってこんな感じなんですね。

 これはまるであえて声と言うなら、虫の音みたいに聴こえるし、鳥の声とはとっても思えない、音ですよね・・・声なんですけど、この音を笹藪(ささやぶ)の葉っぱに当たる雨の音にたとえたんですよ。笹薮に降る雨、それで藪の雨だから“ヤブサメ”っていう名前がつけられたっていうことがわかっているんですね。定説として・・・。

 私この名付け方に、これを知った時に感動しました。なんて美しい名前の付け方たなんだろうと・・・。日本語の古い時代の伝統的な表現なのかなとも思いましたし、すごく詩的ないい名前の付け方だなと思ったんですよね。

 これがいちばん今でも名前としては好きな鳥なんですけど、でも調べると実は意外と、ヤブサメって呼ばれるようになったのは新しい時代のことなので、そんなに古い昔の言葉ではないみたいなんですけどね」

知るは楽しい

※鳥の和名を探究することは、私たち日本人の歴史や文化を知るきっかけにもなりますよね?

「さっきも言ったように、古い古典文学作品とか歴史上の書物にどうしてもあたる必要があるので調べる。そういう物を調べないとわからないという世界なので、調べていくと鳥の名前からだんだん離れてきて、“あっ日本ではそういう文化が昔あったんだな”っていうことにも気がつくんですね。

 例えば、スズメの子飼いの話をさっきしましたけど、平安時代、枕草子の時代に、そういうことが行なわれていたとか・・・現代ではそんなことはやれませんからね。スズメを飼育するなんていうことは、禁止されていますから、できませんので・・・。
 それから鳥が、どういうふうに利用されていたかっていうことも、古い文献を見るといろいろわかってくるわけなんですよね、そういうことが面白い。

 結局それって例えば、学生時代に習う歴史とか古典の授業から離れた、歴史でも教えてくれない、“昔はスズメのヒナを飼っていたんですよ”なんてことは、歴史の教科書に書いていませんので、そういったこともわかってくるわけですよね。

 鳥の利用っていうと例えば、食べることがよく行なわれていました。現代では基本的にそういうことは行なわれません。だから大きなギャップがあるわけですよね。

 そうすると昔から日本人が鳥とどう接してきたのかっていうことを知ることにもなって、それが日本の文化にもつながるし、日本の歴史を別の意味で知ることにもなる。これがとっても面白いことなんですよね。私自身がとても面白い。この面白さを広く伝えたいっていうのが、今回のこの本っていうことになるんですよね」

●鳥の名前を調べるようになって、写真の撮り方が変わったりしましたか?

「そうですね。撮り方というよりも(鳥の)見方が変わりましたよね。昔の人がこの鳥と、こういうふうに接していたんだってことを知ると、そのことを表現するような形で写真に撮りたいなって思うようになる。そういう鳥を見る目が変わったというか、そんな感じが自分ではしています」

●では改めてになりますが、著者として『鳥たちの素敵な名前の物語』を通して、いちばん伝えたいことはどんなことでしょうか?

「それは、私がこの本を書くためにいろいろ調べてきました。古い文献にもあたりました。それで先ほどもちょっと言いましたけど、とにかくそうやって調べて新しいことを知るのは、とっても楽しいんですね。鳥と関連づけて新しいことを知ることの楽しみ。まさに“知るは楽しい”っていうことなんです。

 こういったことを、この本を読んで実感してもらえると嬉しいし、そこからさらに自分も調べてみたいなって思うようなかたが、ひとりでもふたりでも出てくれれば、とっても嬉しいなと・・・。それからそういったものを通して広く、日本の野鳥に親しんでくれるかたが増えればいいなと、そんな願いを持っていますね」


INFORMATION

『鳥たちの素敵な名前の物語』

『鳥たちの素敵な名前の物語』

 大橋さんの新しい本をぜひ読んでください。日本の鳥59 種の名前の、語源や由来が書かれています。一級品の素晴らしい写真を見るだけでもわくわくしますが、「読み物」としての奥深さにどんどん引き込まれると思います。この本を読んで、鳥の名前を探究する世界にどっぷりハマってみませんか。

 文一総合出版から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎文一総合出版:
https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-7518-3/Default.aspx

 大橋さんは「ウェルカム北海道 野鳥倶楽部」を主宰されています。この倶楽部は、バードウォッチングなどの野鳥の趣味を、総合的に楽しむためのもので、会員になると、大橋さんから北海道のどこに行けば、どんな鳥が見られるかなどの情報をもらえたり、レクチャーがあったりと、いろんなサービスを受けられるそうです。入会方法など詳しくは、大橋さんのオフィシャルサイトを見てください。

◎オフィシャルサイト:https://ohashi.naturally.jpn.com

◎Facebook:https://www.facebook.com/koha0602/?locale=ja_JP

「ザ・フリントストーン」35年目に突入! 番組のシンボル、風間深志さんが登場!

2026/4/5 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、冒険ライダーで地球元気村の大村長「風間深志」さんです。

 風間さんは1982年に日本人として初めて「パリ・ダカールラリー」に参戦。その後、バイクによる史上初の北極点と南極点に到達するなど、前人未到の数々の大冒険を成し遂げたレジェンドです。

 そして1988年に宇崎竜童さんほか、仲間と共に「地球元気村」を設立。現在はNPO法人として「人と自然が調和している社会」の実現を目指して活動されています。

 きょうは、そんな風間さんが代表を務める「日本ライダーズフォーラム」の一大イベント「SSTR=サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」や「地球元気村」の活動など、うかがいます。

☆写真協力:地球元気村、日本ライダーズフォーラム

風間深志さん

SSTR、明日に向かって大地をかける

●今週のゲストは、冒険ライダーそして地球元気村の大村長、風間深志さんです。去年は私が産休のため、お会いできなかったんですけれども、お久しぶりです!

「どうもどうも、こんばんは!」

●この番組「ザ・フリントストーン」は、この4月から35年目に入りました。

「もうそんなになるんですか!? 長いですね、35年!」

●風間さんは記念すべき1回目のゲストでしたので・・・

「いや〜(笑)、ついこの間のようですね!」

毎年4月の第1週にご出演いただいています

「そうなんだよね」

●今回もよろしくお願いいたします。

「はい、どうも! 年1回じゃ忘れちゃうので、もう少し出して欲しいな~(笑)」

●4月の第1週は風間さんと決まっているので、今回もお願いします!

「そうだね。年度初めね」

写真協力:地球元気村、日本ライダーズフォーラム

●まずは、風間さんが総合プロデューサーを務めるオートバイのツーリングイベント「SSTR=サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」についてうかがいたいんですけれども、今年も5月に開催されることになっています。

「はい、14回目を迎えますね。あっという間だ、これも!」

●このイベントの主催は一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」なんですよね?

「そうですね」

●風間さんが立ち上げた・・・?

「立ち上げた!」

●改めてこのSSTRって、どんなイベントなのか教えていただきたいです。

「これはツーリングですね。まずジャンル的に言うと、ちょっと冒険のスパイスを散りばめて、“あなたも冒険の旅に出よう!”みたいな感じでね。

 スタートは東の海、昇る朝日を見てキックオフですね。そこをスタートにして日本列島を、縦に横にどうやってもいいから、コースを自分でクリエイトして、あそこの観光地に行こうとか、あの人に会いながら行こうとか、橋をいくつか渡って行こうとか、いろいろ考えながら山を越えて峠を越えて・・・。

 それで日本海の能登半島・・・スタートはどこでも自由だけど、ゴールは千里浜っていうところに設けてあるゴールゲート、そこに行ってください。日没までサンセットまでに・・・それで『サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー』って呼んでいますね」

●速さを競うようなラリーではないんですね?

「もちろん! 自分で時間内、日の出から日没までの間に、自分の考えたコースと自分で設定をしたものをクリアしてゴールする。5月だとデイライトがだいたい13時間近くあるんですよね。その間に自分の決めたコースに挑戦して、それで時間内だったら完走、時間外だったらリタイアっちゅうわけですね。

 その間に各都府県にある道の駅とかで、最低でもひとつふたつクリアしてこなければダメだよとかね。そういうふうに少しお休みいただきつつ、ゲームを楽しんでくださいっていう、バイクのツーリングラリーです」


●今年もテーマはあるんですか?

「今年のテーマは・・・何だっけ? 毎年なんか決めて、今年は・・・え~となんだっけ?」

●『明日に向かって・・・大地をかける。』じゃないですか?

「ははは! 知っているじゃないですか! ちゃんと調べてくれたんですね。“明日に向かって撃て”じゃなくて、“明日に向かってかけろ”。

 能登の復興はまだまだ続いているんですね。そういうわけで1日も早い復興を願いながら、かつ“明日に向かっていこうよ!”っていう、一緒に参加者と共に能登の復興を願って、やっていくイベントになっています」

(編集部注:今年5月に開催される「SSTR=サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」。年々参加者が増え、今年はなんと!  14,000人あまりが参加することになっています。残念ながら、今年の応募は締め切られていますので、参加したいかたは来年、ぜひチャレンジしてみてください)

地域のために、にっぽん応援ツーリング!

●日本ライダーズフォーラムのイベントとしては、今月4月から「にっぽん応援ツーリング」も開催されますね。

「そうですね。今月29日に海の森公園、オリンピックをやったところに集まって、これから半年間ですけれども、ツーリングしがてら地域の応援にまわって、例えば災害地に行ってお手伝いするとか、いろいろな地域のためになるような走りをしようよ! というわけですね。これも11回目になりますけれど、『最優秀ライダー』っていうのを決めて毎年やっているんですよ。それを表彰しています」

●誰でも参加できるんですか?

「誰でも! 誰でも参加して、みんなで共有する一定のルールがあるからね。自分の旅をクリアしながら、地域の人たちのためにもなるというね。

 僕は二輪ライダーで、二輪(ライダー)の地位向上と言うと大げさだけれど、二輪ライダーが地域とか人の役に立つような走りをすることは、とても大事なことだと思って、最近そういうことも一生懸命やっています」

●改めて、どんな楽しみ方があるんですか?

「楽しみ方? あるんですよ! 僕らはその楽しみ方の指標として・・・僕は冒険家だから、日本には最南端、最西端、最東端とかそういうのがあるから、4極巡りとか・・・本州、中国、四国、九州の4ブロックの中で、4極があるから16極巡りとかね。そういうことをいくつか示唆しながら、僕らは400ヵ所も500ヵ所もポイントを作るから、そこをクリアしてポイントを稼ぎつつ、自分のテーマをクリアしながら・・・そういうことだね。

 例えば『ジオパーク協会』が日本にはあるよね。そういった地理的な部分とか、来てほしい地域はいろいろあるから、そういう団体さんの掲げるいろんなテーマを含めながら、みんなのためになりながら旅をするという、そういうことをやっています」

(編集部注:「にっぽん応援ツーリング」は4月25日から11月1日までの開催で、4月29日には東京都江東区の「海の森 水上競技場」東イベント広場でキックオフ・ミーティングが開催されることになっています。参加は無料です。詳しくは一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」のオフィシャルサイトをご覧ください。)

☆日本ライダーズフォーラム:https://www.round4poles.com

モンゴル、素晴らしいショック!?

●では続いて、地球元気村の話もうかがいたいんですけれども・・・。

「はい、地球元気村、まだやっていますよ、しっかり(笑)」

●2013年から始まった地球元気村のモンゴルでの活動・・・去年は風間さんが講師を務める「東京環境効果専門学校」の生徒さんと一緒に行ったんですよね?

「行きましたね。モンゴルはずーっと植林しながら、好きなバイクに乗ってるんだけどね。ここは遊牧民のかたたちが住んでいる、自然と共に生きる人たちの国だから、そこへ行くと大きな学びがあるし、ある種カルチャーショックにも近い状況の中で、寝起きをして帰ってくるのは、とてもいいですよ(笑)」

写真協力:地球元気村、日本ライダーズフォーラム

●どれくらいの日程で行かれたんですか?

「だいたい10日間ぐらいで、馬に乗ったり、日本にはない植生があって、植物にも動物にもあるから、それをフィールドワークで観察したりしながら、乗馬をしてテント泊をして、夜は星を眺めて、焚き火をやって帰ってくるっていう、とても素晴らしいメニューで喜んでもらっていますね」

●生徒さんたちは何名ぐらい参加されたんですか?

「だいたい・・・えっとね、20人ぐらいかな・・・去年はね。今年もまた2回目やるんですけど、みんな喜んでいますね」

●去年参加した生徒さんたちからは、どんな反応がありましたか?

「なんていうかな・・・日本では得難い感動があるからね。心に突き刺さるようなぐっとくる、かみ締めるようなね。やっぱりある種、素晴らしいショックがあるんだよね、動物を見ても・・・。

写真協力:地球元気村、日本ライダーズフォーラム

 あるいは、そこで生活している人々の暮らしぶりは、例えば、自然と共に生きる人たちの家族の絆とか・・・家畜がいるわけだよね、空を行きかう鳥がいるわけだよね。そういった中で“あ〜いいな~”って本当の意味で生きていて、よかったなってものを感じ取れるわけ。

 自然というのはそういうものなんだよね。自然は力強い何かを見せてくれる、シーンで見せてくれる。あるいは姿でそれを訴えてくるからね。それを感じ取るのはやっぱりこっちも生きている生き物として、なんかぐっとくるんだよね。

 そんなものを感じるのは、ああいう自然体験っていうか・・・ダイナミズムがモンゴルはすごく顕著に、砂漠にしても草原にしても、でっかいイヌワシがいるとかね。すごいですから・・・」

世界遺産「熊野古道」と、地球元気村

※去年、地球元気村として、世界遺産に登録されている和歌山県「熊野古道」の清掃活動をされていました。これは、どんな経緯で清掃活動をすることになったんですか?

「何しろ和歌山県の、昔は大塔村(おおとうむら)って言ったんですね。現在の田辺市、そこで地球元気村をやったのが33年前なんですよ、第1回目。元気村全体で38年しかないからね。そのうち去年、32回目をやったんですよ。

 ほぼ地球元気村と同じような歴史をたどって、ずっと元気村を絶やさずに開催してきてくれた『田辺市地球元気村』、『大塔地球元気村』って呼ぶんだけど、今は合併して田辺市になっていますけど、未だに頑張ってやってくれたこと自体がものすごいこと。

 何しろその規模は、花火大会も一緒にやっているんで、1万5000人ぐらいの規模の地球元気村になっている・・・ちゃんとみんなで地球元気村の歌を、宇崎さんには言えないけどね(笑)、向こうで作って(笑)、みんなでギターを弾いて全員で合唱したりしているんですよ。びっくりしたね! ここまで盛大に元気村が発展しているのは、例を見ないという感じで、こちらも学ばせていただきましたよ! 

 そこは何が秘密かって言うと、みんなが楽しめる花火大会がひとつあること。一方、ちゃんと元気村の主題でもある“自然と人との調和”って言うものを、例えば、去年は『SDGs展』をやったりとか、川魚を捕る子供たちとかと何かやったりとか、そういう基本を外さないで、みんなが楽しめるようなことをやったりとかね。

 警察署長さん、農協の組合長さん、県会議員さん、市議会議員さん・・・ありとあらゆる人たちが総出で実行委員会やっているんだよね。これがやっぱり長く続けるひとつの(秘訣)・・・あらゆる人間を取り込んでいるってことね。

 つまり多様性のある生活の、あらゆるものをテーマした地球元気村だから、やめるきっかけにはならないんだね。だからずっと続けてくれるっていうのは、そういう構成する人たちの顔ぶれもあるな~とかね。

写真協力:地球元気村、日本ライダーズフォーラム

 そんな中で、あそこが長くつながってきたのは、やっぱり世界遺産の熊野古道が存在すること。あと、日置川(ひきがわ)とか、すごい清流があるとか、和歌山県の奥に高野山もあるよね。あの辺の山から湧き出た水を集めて流れる川があるっていう、やっぱり誇らしい自然がある。あるいは自然遺産みたいなものがあるっていうことが、やっぱり長く続いているひとつのストーリーになっているかもしれないね。

 だから1300年も続いてきた熊野古道を、やっぱり地元のひとたちは誇らしく思っているし、そこを清掃することは大事なことだよね。それを僕らが清掃させていただいて、去年から本部からも行って応援している状況だけど、今年も行って(清掃を)やろうと思っています」

自然との共生はエンドレス!?

●以前にも増して、益々勢力的に活動されているような印象を受けるんですけれども・・・。

「しゃべりっぱなしで、うるさいでしょ(笑)。反省しています」

●いえいえ、アウトドアでの活動は、風間さんの原動力というか活力源になっているっていうことですね?

「そうだね! 好きだから(笑)」

●好きという気持ちが、ここまでのモチベーションになるんですか?

「やっぱり自然との共生は、エンドレスなんだよね。つまり古来、縄文時代からそのテーマで、みんなはいかに、より豊かにより楽しく、それで安全に、そういうものをテーマにあらゆる時代にも闘いがあったわけだね。だから元気村の活動は終わるわけないですよ。元気村、あと2年だね?」

風間深志さん

●1988年に設立されているので、2年後に40年を迎えるんですね。

「40年! でも何も変わってないですよ。昔のほうがよりよく、まだある意味ではおじいちゃん、おばあちゃんたちの習慣、慣例・・・いろいろな節句の習わしとか継承してきてたじゃん。それがだんだん希薄になって、新しければいいのかよ!? っていう、そういう時代でもあるわけだよね。

 そんな時にやっぱり我々の未来は、古来の懐かしい時代の中にあったりするわけです。そういったものをもう1回リプレイして継承していったり、あるいはその中からまた新しいテクノロジーや科学を駆使して、自然に寄り添ったライフスタイルとか、そういうものも考えていきたいなといろいろ思っている・・・だから試行錯誤はずっとこれからもある。終わらないんですよ(笑)」

●今年も自然の中でいっぱい遊ぶんですか?

「まあ、そうだね。基本は自然が心地よく、みなさんの愉快さとか楽しい時間を演出するものであるのは、間違いなく保証するから、自然の中に行ったら、きっと楽しい時間を間違いく手に入れることができると思う。なので頑張ってほしいです。いろいろやることは山積しておりますけど、(私も)頑張っていきたいと思います」


INFORMATION

 地球元気村ではモンゴルの植林ツアー、熊野古道の清掃活動のほか、福島県只見町でのイベント、さらには山梨市にある地球元気村ファーム「天空のはたけ」での活動など、4月以降もいろんなイベントが予定されています。

 ほかにも地球元気村が運営している山梨県山中湖村の「村営 山中湖キャンプ場」もありますので、ぜひご利用ください。

風間深志さん

 地球元気村のログマークがあしらわれたTシャツがモンベルから発売されました。このTシャツを購入していただくと、売り上げに応じて、モンベルクラブ・ファンドから地球元気村に活動資金として寄付されることになっています。

◎モンベル・オンラインストア:
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1114958

 地球元気村では、随時村民を募集中です。プレミアム村民は会費が年間10,000円、村民になると年4回、会報誌「地球元気村」が届くほか、イベントの参加費が割引になるなどの特典がありますよ。詳しくはNPO法人「地球元気村」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎地球元気村:https://chikyugenkimura.jp

 風間さんが主宰されている一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」のオフィシャルサイトは以下から、どうぞ。

◎日本ライダーズフォーラム:https://www.round4poles.com

植物好きの心をくすぐる とっておきの植物園

2026/3/29 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、漫画家、そしてイラストレーターの「カシワイ」さんです。

 線や余白を大切にする、柔らかくフェミニンなタッチの絵が好評のカシワイさんは本や雑誌の表紙、広告のイラストレーションなど、多くのメディアで活躍されています。

 そんなカシワイさんは植物が大好きで、有名な植物園のすぐそばにお住まいだそうです。そして先頃『植物園の歩き方』という本を出されました。

 きょうはその本に載っている選りすぐりの植物園から、京都府立植物園や高知県立牧野植物園など、植栽もたたずまいも、個性的で圧倒的な植物園の楽しみ方などうかがいます。

☆協力:グラフィックス社

協力:グラフィックス社

全国9箇所の植物園めぐり

※カシワイさんは子供の頃から植物好きで、スケッチや押し花をして、草花を観察していたそうです。千葉大学を卒業後、京都市に移り住み、いまはマンションの室内やベランダで鉢植えの植物を育て、朝起きてからの水やりが日課だとか。

 現在、育てているのはシダ植物の「コウモリラン」や、マダガスカル原産のマメ科の植物「センナ・メリディオナリス」、そして植物園の取材で知ったというシダの一種「リュウビンタイ」など、個性的な観葉植物を育てているそうです。

 カシワイさんは生き物も好きで、今回の本には一緒に植物園めぐりをするたぬきのキャラクターも登場します。ほかにも宇宙や海、宝石や岩石などにも、なぜか昔から惹かれていて、自然科学系の本を読んだり、博物館に行くのも好きなんだそうですよ。

●カシワイさんの新しい本が『植物園の歩き方』です。やはり植物園にはよく行くんですか?

「そうですね。今は私は京都に住んでいまして、この本の最初にも取り上げている京都府立植物園は近所なのもあって、年パスを持っていて、よく行きます」

●年パスですか! どれくらいの頻度で行かれるんですか?

「どれくらいだろう・・・週一は行っていると思います(笑)」

●そうなんですね! 『植物園の歩き方』では、全国にたくさんある植物園から9つの植物園を取り上げて紹介されています。この本の企画は出版社から提案があったんですか?

「そうなんです。編集のかたが植物園のガイドというか、コミックエッセイを出しませんかとご提案くださって、この9つの植物園も、全国には魅力的な植物園がたくさんある中で、目玉のお花があるものとか、植物園の取り組みに特色があるものを選んで、全国にまんべんなく散らばるように選んでいただきました。

 そこでしか見られないようなお花がある所でしたりとか、絶滅危惧種の植物をなるべく増やす取り組みをしているですとか、そういう特色がある植物園を、今回は特にピックアップしているのかなと思います」

●本に「さまざまな『うつくしい』を求めて」という副題がありますけれども、やはりそういったところもポイントになっているんですか?

「そうですね。ガイド本とは言っても、私自身が植物の専門家ではなくて、同じように一般の目線で、植物好きとして(植物園を)巡って、美しいな、素敵だなって感じたことをこの漫画で表したいと思って、そういうところはポイントにもなっているので、この副題にしていただきました」

●この本を出すために全国9箇所の植物園をまわったんですか?

「そうですね。9箇所全部、実際に取材してまわっています。漫画に取り上げたい植物の見頃に合わせていくので、春とか夏とかはやっぱり植物は見頃が多いので、毎月のように旅に出ていました」

●北は北海道から南は九州、宮崎県までありますけれども、かなり時間も費用もかかりますよね。大変だったんじゃないですか?

「そうですね。やっぱり帰ってきてすぐ、記憶が新しいうちにネームっていう漫画の下書きを書いて・・・で、本番の原稿を書いてってやっているうちに、次の取材が来てっていうのは、結構慌ただしいスケジュールではありました」

●いつどこの植物園に行くのかっていうのは、その植物園の代表的な花の開花に合わせてとか、そういった感じだったんですか?

「そうですね。例えば、スイレンとかハスも取り上げているんですけど、そういったお花はやっぱり午前中に見頃が来るので、朝早起きして行ったりとか結構調べて・・・専門のかたが一緒に調べてくださったんですけど、そのあたりも気をつけながら行ってました」

●絵を描くために取材中は写真を撮られるんですか?

「たくさん撮っていますね。写真をたくさん撮っているんですけど、その花の根元のほうですとか、葉っぱの付き方とかは、写真だけ見直してもわからないことがあったりするので、その場でも簡単にスケッチをしたりしてました」

日本最古の公立植物園

※ではここからは、本に載っている植物園からいくつか選んで、その植物園の魅力をうかがっていきたいと思います。まずは、先ほどもお話がありました京都府立植物園。いちばんの魅力は、どんなところでしょう?

「地下鉄の駅から徒歩2〜3分っていう、すごくアクセスがいい所にあるんですね。この京都市内で 広大な敷地があって、多様な植物が育てられているところが魅力ですね。
 春とか秋に楽しめるバラ園ですとか・・・あと100年という歴史があるので、川端康成の『古都』という小説に登場するクスノキの並木とか、すごく好きな場所のひとつですね」

協力:グラフィックス社

●日本最古の公立植物園ということですよね。「植物たちは力強い美しさを見せてくれる」と本に書かれていましたけれども、やはり力強さというのは感じますか?

「そうですね。やっぱりその植物園に入ると、今まで町中だったことを忘れるような植物の生き生きとした表情とか力強さを感じられると思います」

●ガラスドームのような大きな温室もあるんですよね?

「そうですね。金閣寺とか北山連峰っていう京都の山並みをモチーフにした巨大なガラスドームの温室が見どころのひとつになっています。気候ごとに部屋が分かれていて、様々な植生の植物を見ることができます」

●どんな植物が見られるんですか?

「順番に、熱帯系の植物ですとか、高原に生えているような植物ですとか、ランやアナナスといった仲間の植物ですとかがありますね。あとは最後のほうに昼夜逆転室っていう本来、夜に開花する植物を調整して、日中の開館時間に見られるような部屋があります。そこでは月見草とか月下美人が見られます」

(編集部注:京都府立植物園は2024年に開園100周年を迎えた日本最古の公立植物園で、面積は甲子園球場、約6個分。広大な園内には約1万2000種、日本最大級のガラス温室には4500種の植栽を誇り、年間の来場者は90万人以上という、とても人気のある植物園です)

※続いて、滋賀県にある「草津市立 水生植物公園 みずの森」について教えてください。どんな特徴がありますか?

「琵琶湖のほとりにある植物園なんです。水生植物を中心にすごくたくさんの、スイレンですとかハスですとか、そういったものが育てられています」

協力:グラフィックス社

●幻想的な感じもしますけれども・・・。

「はい、早起きしてスイレンの開花に合わせて行きました」

●いかがでした?

「朝の光の中で、花が開いている様子を見るとすごく素敵で・・・スイレンとかハスは古代から清純であるとか、時間とか、そういったモチーフにも好んで使われていて、壺とか絵画なんかにも模様として現れているんですよね。

 で、その模様だけ見ても、特に今まで感じたことはなかったんですけど、実際、朝の空気の中で見ると、そういう特別な意味を見い出すのもわかるなって、そんな体験でした」

(編集部注:お話にあった「草津市立 水生植物公園 みずの森」は、水生植物の宝庫である琵琶湖のほとりにあって、テーマが「植物と人、水と人のふれあい」。屋外にあるハス池やスイレン池の花の見頃は6月から7月にかけて。毎年7月には「ハス祭り」が開催されます。ほかにも屋外には秋の七草園や、丘の上の花園など、琵琶湖周辺の自然を感じながら、植物を鑑賞できる植物園だそうです)

植物学者「牧野富太郎」ゆかりの植物園

※もう1カ所、「高知県立牧野植物園」をご紹介しましょう。ここは、高知が生んだ「日本の植物分類学の父」といわれる植物学者、牧野富太郎の功績を広く知らせるために作られた植物園なんですよね。この植物園の特徴を教えてください。

「本当に広大な土地を使った植物園になっていまして、五台山(ごだいさん)っていう山の起伏を活かしたような構成になっています。博士由来の植物などが約3000種以上育てられていることと、園内には博士の描いた精巧な植物画や、使っていた道具とかを見られる展示館もあります」

協力:グラフィックス社

●山の上にあるってことですか?

「そうなんです。バスでひたすら山登りして行った先にあります」

●へ〜〜それもワクワクしますね。

「はい」

●カシワイさんは以前、牧野博士の誕生日4月24日に開催された「標本庫ツアー」に参加されたということですが、これはどんなツアーだったんですか?

「本来入れない本館があって、そこの植物標本庫に入らせていただいて、実際に押し花標本を作る様子を見せていただきました」

●いかがでしたか?

「ちょうど高知県の植生を調べるっていうような、調査で集めた植物の標本を作っていました。その植物の標本はボランティアのかたが総出で集めたものだったそうです。多様な植物を繊細な手つきで、テキパキと(標本を)作られていて、すごく感動しました」

●牧野植物園のサイトで、牧野博士が描いた植物図を見ることができます。特徴を捉えた緻密な絵に驚きました。植物の絵を描くカシワイさんとしては、牧野博士の植物図を見て、どんなことを感じますか?

「植物のその姿をそっくりそのまま正確に写し取りたいっていう(牧野博士の)凄まじい情熱を感じますね。部分拡大図とか断面図とかを駆使して、本来立体である植物の特徴を平面で分かりやすく表す、その図の技術にすごく感動します」

(編集部注:高知県立牧野植物園は約8ヘクタールの敷地に、牧野博士ゆかりの野生植物や園芸植物など、3,000種を超える植物が植えられているそうです。ほかにも牧野富太郎記念館や、国内外の貴重な植物が見られるジャングルのような温室など、見どころがたくさん。また、植物園オリジナルのグッズを販売するショップも見逃せないそうですよ)

行ってみたいのは「キュー 王立植物園」

※この本では植物だけではなく、植物園の建物や歴史などにも触れていて、勉強にもなりますし、想像力がすごく膨らみますよね。その辺も意識して説明を書いたんですか?

「はい、調べていくうちに植物園の成り立ちとかにもそれぞれ歴史があって、人と植物の関わりとか土地の記憶を内包したものだなって感じていて、それが面白かったので、読者のかたにも知っていただきたいなと思って漫画にも入れ込みました」

●各植物園にそれぞれの背景があるのが興味深いですよね?

「本当ですね」

●付録として本のカバーの裏面に、全国おすすめ「植物園MAP」が載っています。全部で27ヵ所掲載されていますが、全部行かれたわけではないですよね?

「行けていないです。編集部のかたが選んでくださったものですので、私も行きたい場所が増えました」

『植物園の歩き方』

●BAY FMの地元千葉県で気になっている植物園はありますか?

「そうですね・・・千葉の大学に通っていたので、千葉県立中央博物館には行ったことはあるんですけど、生態園には行ってなかったので、行ってみたいなって思いました」

●ちなみに海外の植物園に行かれたことはありますか?

「簡単な植物園みたいなのはタイで行ったことはあるんですけど、いちばん行ってみたいなって思っているのは、イギリスの*『キューガーデン』ですね」

*キュー 王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)

●どうしてそこに行きたいと思われているんですか?

「やっぱり植物園の祖みたいなところと、あと本当に広大なガラスドームに植民地から持って来た植物を集めてっていう、その歴史とかも含めて、勉強したいなと思っていて、行ってみたいです」

植物の知識を深められる場所

※カシワイさん流の植物園の楽しみ方を教えてください。

「植物園は、町に暮らしていく中で、いちばん身近に植物と触れ合える場所だなって感じています。ですので、散歩するだけでも楽しいですし、いつ行っても季節によって、その時々で表情が変わるところも面白いなと思っています」

●場所によっては、森林浴みたいなこともできますよね?

「そうですね。歩いているだけですごく気持ちいいですし、晴れた日はお弁当とか持って行って食べたりするのも楽しいと思います」

●植物園の役割って何でしょうか?

「植物園は、植物の研究とか保存といった学術的な役割に加えて、一般の私たちが生きた植物を見て触れて、植物の知識を深めることができる場所だなって思っています。

 植物のことを知ると、それまでただの風景だった街路樹とか道端の草も、“これ、なんだろうな?”って目がいくようになって、知ることっていうのは、植物と私たちのこれからの関係を見つめ直すことにもつながっていくのかなと思っています」

●では最後に、この本から読者のかたが、どんなことを感じ取ってくれたら嬉しいですか?

「私自身この取材を通して、植物とか植物園のことがもっと好きになったので、この本が植物園へ足運んでみようかなっていうきっかけになったら嬉しいなと思っています」


INFORMATION

『植物園の歩き方』

『植物園の歩き方』

 この本では、9箇所の個性的な素晴らしい植物園が紹介されています。ガイドブックではありますが、カシワイさんが描いた、優しいタッチの絵を見ているだけで、幸せな気持ちになれますよ。

 監修を担当された「たんぽぽ工房」を主宰する植物学者「保谷彰彦(ほや・あきひこ)」さんの、素朴な疑問に答えたコラムも興味深く、さらに植物のミニ解説が随所にあって、植物好きの好奇心をくすぐります。巻末には、本に登場する植物全109種類の植物図鑑も掲載!

 グラフィック社から絶賛発売中です。ぜひお買い求めください。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎グラフィック社:https://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=63397

 カシワイさんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。

◎カシワイ:https://kashiwaikfkx.com/

電車に乗って、山へ行こう〜初心者向け、日帰り、春山のすすめ

2026/3/22 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、山好きで知られるイラストレーターの「鈴木みき」さんです。

 東京生まれの鈴木さんは、24歳の時に1年ほど、カナダで暮らし、カナディアン・ロッキーに魅了され、帰国後、同じような景色が見たくて、山登りを始めたそうです。そして、山雑誌の読者モデルや、山小屋などでのアルバイトを経て、イラストレーターに。これまでに登山初心者に向けた本や、防災関連の本を出版されています。

 以前、札幌にお住まいだった鈴木さんには、リモートでこの番組にご出演いただき、登山やアウトドアのスキルが災害時に役立つ、というお話をうかがいましたが、数年前に札幌から東京にお戻りになったということで、海浜幕張のベイエフエムのスタジオにお越しいただいて、お話をうかがことになりました。

鈴木みきさん

 今回は先頃出された本『改訂版 鈴木みきの休日ふらり山旅計画』をもとにお話をうかがっていきます。

 この本は副題に『アルプス特急「あずさ」に乗って、日帰りできる12コース』とあるんですが、きょうはその12のコースの中から、初心者向けに鈴木さんおすすめの山や電車で行くメリット、そして山の注意事項のほか、鈴木さんと行く「山っていい友!」ツアーのお話などうかがいます。

☆写真協力:鈴木みき

鈴木みきさん

「あずさ」、日帰り、温泉、ビール!

※先頃出された本は2017年に出版されて、ロングセラーとなっているガイドブック『鈴木みきの休日ふらり山旅計画』の改訂版ということなんですが・・・今回、改訂版を出すことになったのは、どうしてなんですか?

「その前の本は2017年なので、8年、9年経つと・・・いちばん大きかったのはコロナですよね。コロナ禍の前と後では随分(交通機関の)ダイヤが変わってしまいました。『あずさ』の時刻表というよりも、登山口のバスであるとか、そういうのもガラッと変わってしまったんですよね。

 なので、時刻表付きがこの本の特色なので、その時刻を信じて行っちゃうと行けない山が出てきたので、それでは信憑性に欠けて申し訳ないなっていうのがあって、改訂版の話はコロナ禍ぐらいからちょっと出ていた感じです」

●最新情報を盛り込むためという感じだったんですね?

「おもに登山口までのアクセスを見直したという感じですね」

●この本の特徴は、本の副題にある、アルプス特急『あずさ』に乗って日帰りできる12コースにありますよね? やっぱりポイントは『あずさ』ですね?

「そうですね。わかりやすく言うと『あずさ』なのかなと思うんですけど、東京近郊、千葉とかもそうですが、山へ行くってなると、やっぱり中央線沿いの山が行きやすいっていうのと、『あずさ』だと特急なので速いし、日帰りの距離の幅が広がるんですよね。時間を買うではないですけど、忙しいみなさんが休日1日過ごすにあたって特急がいいかな! という感じかもしれないですね」

●日帰りというのもポイントですよね?

「そうですね。これが特急に乗っていなかった日帰りできないんですよね、やっぱり。なので『あずさ』だから日帰りできるのが魅力かな~と思います」

●車じゃなくて電車で行くメリットがあるんですね?

「私自体が車を持っていないっていうのはもちろんあるんですけど、意外と車を持ってないかたも多いかな~と思うのと、あとは運転であるとか、渋滞であるとか、駐車スペースも登山口の場合は小さいことも多いので、そういうのが私は結構ストレスになったり・・・なので、山に集中できるっていうのはひとつあるし、あとは降りてきてからビールが飲めるっていう魅力は大きいんじゃないですかね(笑)」

写真協力:鈴木みき

おすすめは山梨の「菊花山」

●春の陽気になってきましたけれども、山に行くにはいい季節だと思います。初心者に向けて、今回の改訂版からおすすめのコースをいくつか挙げていただきたいなと思うんですけれども、私がちょっと気になったのは長野県の「雨池(あまいけ)」ですね。

「八ヶ岳ですね」

●はい。ガツガツ登らなくても山に行けるっていう、なんかのんびり行けそうで、いいかななんて思ったんですけれども・・・。

「そうですね。八ヶ岳は南北に長くて、これは北側のほうの八ヶ岳になるんですけど、ここにはロープウェイがあるんですね。冬の間はその下がスキー場になっていて、通年で営業しているんです。夏の間は登山者とか山岳の景色を楽しみに行く観光客のかたが乗れるようになっていますね。

 なので、これで標高をまず稼いでしまって、雨池はどっちかと言ったら、そこから下っていくようなイメージ、帰りにちょっと登るっていう感じなんですね。

 雪が5月ぐらいまではまだ残るので、雨池まで行くのは初心者のかたにはおすすめできないですけど、ロープウェイを降りた目の前がちょっと広場のようになっていたりとか、そこから見る八ヶ岳の景色も十分美しいので、この(本の)計画通りに行ってみて山の内容を変えてみるのは、初心者にもおすすめできるかなと思います」

●ロープウェイってテンションが上がりますよね。

「上がりますよ! こんな景色はなかなか見られないし(笑)、ちょっと飛んでいるみたいな気分にもなるし、このロープウェイに乗ると結構遠くの山まで見えます。南アルプスであるとか天気がよければ、北アルプスのほうまで見えると思うので、それもいいんじゃないかなと・・・」

●ほかに鈴木さんがおすすめのコースはありますか?

「そうですね・・・12コースの中では、今ちょうど3月とか4月とかで雪がなくて登れるってなると、今回改訂版で追加した『菊花山(きっかさん)』っていうところだと、雪の心配はあんまりないんですね。前日に降ったとかそういうことさえなければ、足元は雪ではないところが多くて、初心者のかたでも山頂まで結構、時間も短く行けるんですね。

 富士山の眺めがすごく抜群なので、カレンダーの富士山みたいな景色が見えるのが、ここの山の、私がすごく好きなところです。もしその先に(この本の)計画通りに進むのであれば、経験者のかたが一緒のほうがいいと思いますけど、本当に初心者のかただったら、そこ往復だけでもいいと思うんですよね。

 菊花山を往復して帰って来るだけでも充分です。富士山の眺めは、逆にそこから先は(富士山が)見えなくなってしまうので、山頂までの往復に変えて行ってみたら行けそうかなと思います」

●山梨県にある「菊花山」?

「そうですね。大月駅からバスにも乗らずに徒歩で登山口まで行けるので、その辺りも多分、初心者のかたは戸惑わない、地図さえあれば登山口まで行けます」

●“駅前登山”って言う感じですね。

「そうですね。20分・・・早い人だったら15分くらいで着くかな・・・道もそんなにわかりづらくはないです」

●(本に)写真も載っていますけど、本当に富士山が絶景ですね。すごいですね!

「それが歩き出して多分15分とか20分ぐらいで、1回富士山が見えてくるんですよね。絶対声が出ますよ! 晴れていたら! なので、絶対晴れている時に行ってください!! 見えなかったらちょっと寂しいと思うので・・・」

●わ~いいですね。縁起いい感じがしますね!

「はい! 新宿から(「あずさ」に乗って)それほど遠くないっていうか、遅い時間から出発ができるので、きょう晴れている! と思って出かけても、大丈夫なぐらい近いです」る仕事は、とても面白いなという認識を持っていました」

最高の休日の出来上がり

※下山後のお楽しみは、やっぱりご飯と温泉ですよね?

「そうですね。やっぱりそれを楽しみで行っているってところは、多くの登山者の人は思っているんじゃないかなと思うんですけど、この12コースに至っては全部が温泉付きというか、温泉のガイドも付いているのもひとつの特徴かな~と思います」

●なにか絶品料理だったり絶景温泉だったり、鈴木さんのおすすめはありますか?

「うーん、この本でいうと結構スケジュールが、みちみちに決められている計画なんですね。“この電車に乗って、この時間に降りて、この電車に乗って、帰って来たらいいんじゃない!”っていうところまでケアしているので、入浴時間が結構短いんですが・・・(笑)、30分1本勝負みたいな時もあるんですよね。

 だからミッションみたいなのをこなしていく面白さもあるし、最近は随分、施設も変わっていて、下山してすぐあった温泉がなくなっていたりとかしていたんですね。今回改訂版を作ってみると・・・。

 なので、途中下車をしてでも(温泉に)寄るっていうふうに改訂しているので、そのタイム・ミッションみたいのを楽しんでもらえたらな~と思っています。どこの温泉も本当にいいとは思いますけど、やっぱり山を降りて汗かいて、“あ〜やったぁ~”と思いながら浸かる湯は本当に最高なので(笑)」

●いいですね。

「なんか山のことより熱く語っているような気がしますけど(笑)。で、その後に電車だから、ぷはぁ~っと(笑)ビールを飲んで帰ってこられるっていう最高の休日の出来上がりです!」

(編集部注:電車で行くからこそ、温泉のあとにビールを飲めますし、車だとありがちな、帰りの渋滞の心配もない。電車で山へ行くメリット、大いにありますよね)

自分に合った靴を選ぶ

※この春から山登りを始めようと思っているかたに、事前に用意する登山用品を教えてください。

「いろんな基本装備はあるんですけど、今まで何もやってないっていうかたであったら、やっぱり靴は山用のものを買ってもいいのかなと思います」

●どういうタイプの靴がいいですか?

「登山用品屋さんっていうものがあって、登山用品を専門に扱っているところが大きな町に行けば、必ずひとつぐらいはあると思うので、そういうところに行って“軽登山”であるとか、“ハイキング”って書いてあるジャンル、カテゴリーの辺りを店員さんと相談して決められたらいいと思うんですね。

 必ず “どこの山に行かれるんですか?”って聞かれるんですよ、靴を選ぶ時。でも初心者のかたって答えられない。なので、この本を見せて“こういうところです!”って言ってもらえれば、じゃあこの程度かなって、向こうはプロなので選んでくれると思うんですよ。

 そんなに見た目ほど重くもないし、最近の靴は軽くなっているので、ほかの時、旅行の時とかでも履けたりするので、登山だけではなくいいと思います」

写真協力:鈴木みき

●選ぶポイントみたいなのってありますか?

「足の形はみんな違うから、私がこれがいいですよ! っていうふうには言えないんですけど・・・。最初から欲張らず、ゴツゴツしている重いものは結局、高い山では歩きやすいんですけど、森の中を歩くとかっていうと、ちょっとToo Muchになってしまいますね。

 やっぱり軽くて自分が履きやすいなと思うものと、普段、運動してない運動習慣がないかたとかは、やっぱり足首までホールド感があるミッドカットがいいかな・・・。普段走っているとか、そういうかただとローカットとかでも行ける山は多いんですけど、大は小を兼ねるので(笑)、最初の1足はミッドカットでもいいかなと思います」

●確かに春といっても、まだ雪が残っているところってたくさんあると思うんですが、やっぱり足まわりって重要になってきますよね?

「重要ですね。今回(本で紹介している)この12コースは『あずさ』で時間短縮できるから、標高が高いコースが多いんですね。簡単にローブウェイとかでは登れるけど、行った先がちょっと標高が高いってなると、雪がまだまだ残っているので、そういうところをちょっと散策するだけでも、普段の靴だと水が染みてしまったりとか、汚れなんかも気になると思います。そういうところに行くのでも足元はしっかりしていたほうがいいですね」

(編集部注:靴のほかに用意するものとして、よく言われているのがレインウエアとヘッドライトです。どんなものを選べばいいのか・・・特に初心者のかたは登山用品店でスタッフのかたに相談するのがいいかもしれませんね。

 山のマナーとしては、自然にも人にも思いやりを持つこと、ではないでしょうか。「撮っていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ」なんて言ったりしますが、植物を持ち帰ったり、ゴミのポイ捨てはダメですよね。

 また、初心者のひとり登山はやめておきましょうね。最初はガイド付きのツアーに参加するなど、山の経験者と行くことをおすすめします)

事前の準備がなにより大事!

※山登りで、初心者が特に注意することは、どんなことでしょう?

「事前の準備が私はいちばん大事だと思っています。本にもあるんですけど、計画、何時にこの電車に乗って、登山口に何時ぐらいに着いて、山頂に何時ぐらいに着いて、何時ぐらいに降りてくるよ! っていうぐらいの事前の計画をやっぱり頭に入れておかないとペースも崩れるし・・・。

 あとはそれに対して30分遅れた、1時間遅れたっていう時に焦らないように準備をしていく。暗くなったら怖いな~と思うので、ヘッドライトを持っていこうとか、おやつをちょっと余分に1食入れていこうとか、やっぱりそこまでの事前の準備で、大体当日の登山で、成功って言ったらあれですけど、安全に降りてこられるかどうかって決まると思うんですよね。

 初心者のかたの場合、やっぱり暗くなったりとか天気が悪くなったりとか、それだけでも、ものすごくストレスっていうかプレッシャーになって焦ってしまうんですよね。メンタル的にですね。

 なので、そこでちゃんと計画していれば、予備の準備もしておけば、少し強くいられるというか、やっぱり焦りがいちばん道迷いとか、そういうことにも直結していくので、余裕を持った計画を事前にしてほしいなと思います」

●そうですね。低い山でも迷うことってありますよね。

「低い山のほうが迷うんですよね」

●低い山のほうが!?

「山の形をちょっと想像して欲しいんですけど、三角の形しているとすると、上のほうは狭いじゃないですか、範囲が・・・でも下はすごく広くなるじゃないですか。それだけやっぱり面積も広いし、歩けるところが無尽にあるんですよね。

 (山の)上のほうだと岩になったりとか、歩けるところが目に見えて、ここしかないな、みたいに思えるんですけど、森の中とかだと逆にあっちにも行けそう、こっちにも行けそうに見えてしまうので・・・」

●確かにそうですね。

「なので、道迷いは低い山のほうが気をつけなきゃいけないですね」

●去年、特にクマの出没がニュースになりましたけれども、クマ対策としては、どんなことがありますか?

「以前のようにはいかないのかな~っていうふうに、私もいろんなことを考えている途中ではあるんですけど、登山者ができることとするなら、鈴を持つとか笛を吹くとか、事前に自分の存在をクマに知ってもらうことは、本当に絶対条件っていうか、最低限やらなきゃいけないことだとは思うんですね。

 クマだって餌がないとこにはいなかったりするんですよね。なので、クマの習性を知ることも大事で、夜行性でもないし、どういうことにクマが弱いかとか相手を知ることを始めると、山選びも変わってくると思うんですよね。

 クマが怖いんであれば、クマのいなさそうなところに行こうとか。あとは今、そういう事故も多かったので、あらゆる自治体が出没情報とかをホームページなどに載せているので、そういうのも参考にして、最近すごく出ているんだったら行かないほうがいいかなとか、そういうふうにこちらが選んでいかないといけないかなと思います」

「山っていい友!」ツアー

写真協力:鈴木みき

※鈴木みきさんと行く「山っていい友!」ツアーが今年も開催されます。2011年に始まったこのツアーはほぼ毎年、国内外でのツアーが5〜6本、組まれています。鈴木さんが山登りを始めるきっかけとなったのが、カナディアン・ロッキーということもあって、海外の山を見せたいというテーマで始まったそうです。

 行き先は、ツアー会社と相談して決めるとのことですが、今年からコロナ禍で中止していた海外ツアーを再開。国内外を含め、5本のツアーを企画しているそうです。ツアー・スケジュールは決まっているんですか?

「年間で(予定を)出していて、これからだと5月の韓国のチェジュ島の漢拏山(ハルラサン)。島にある富士山みたいに一個ポーンと高い山なんですけど、なんと韓国ではいちばん標高が高い、世界遺産でもあるんですね。
 整備もすごくされている山なので登山初心者のかたでも、日本の山をいくつか登っていて楽しかったなっていうかたであれば、全然登れる山ではあります。

 なので、海外登山デビューみたいな感じで来ていただいてもいいし、趣がやっぱり違うんですよね。海外のやり方ってあるんですよね。韓国は韓国のやり方があって、日本の登山は日本の登山のマナーやルールがあって、それこそ欧米とか全然違うんです。
 だからそういう文化の違いもいろんなところを、“百聞は一見に如かず”で見てもらえたらいいなと思います」

●5月の韓国、それ以降はどんなツアーがあるんですか?

「そのあとは8月の終わりに富士山があるんですけど、これは2泊・・・普通の富士山って大体1泊仮眠して、わ~って登って降りてきちゃうのが一般的な富士登山なんですけど、たっぷり2泊して山頂に1泊するんですね。なかなかそういうゆっくりした富士山でのツアーもないので、それが魅力ではあるかなと思います。星とかどんな感じかな~って・・・」

●わぁ~いいですね。

「天気が悪くても面白そうだし(笑)、良くてもすごそうだし、山頂に泊まるっていうのが魅力ですね。

 あとは10月に私の思い出の地の、カナダのツアー、ちょっとビッグなツアーです。日数も料金もそれなりにビッグにはなってしまうんですけど、チャレンジングツアーということで、これもどこか山頂に登るわけではないので、雄大な自然の中にポツンと佇むっていうことを、日本で味わえないような規模のところに自分がいるっていうのを、体感して欲しいなと思うようなツアーです」

●鈴木さんと一緒に行けるわけですよね。いろいろなお話とかもしながら行くんですか?

「お話しかしてないですね(笑)。お話ばっかりしています」

●楽しそうですね(笑)。

「そうなんですよね。いろんなツアーがあると思うんですけど、私と一緒に行くツアーは厳しいところはあんまりやらないんですね。っていうのは、やっぱり親睦したりとか、みなさんと交流して・・・(参加者は)女性が多いんですけど、やっぱり女性っておしゃべり好きじゃないですか(笑)。なので、おしゃべりしながら行けるコースばっかりなので、もうずっと喋っています(笑)」

●改めてお聞きします。山登りの魅力って何でしょうか?

「本当によく聞かれるんです (笑)。何かひとつってなかなか言えないんですけど、自分のその時々によって、魅力ってちょっと変わるな~って最近思っていますね。年齢であるとか、今置かれている環境であるとか、立場であるとか、そういうので・・・。

 私も30年ぐらい山と関わってきて、それも若い時と今では全然違うんですよね。東京に戻ってきて思う魅力は、やっぱり今の東京の生活と別に、山の世界みたいなのを持っていることの幸せみたいなのを感じています。

 同じ時間なんだけど、自分の中では違う自分がどっちにもひとりずついるみたいなところが救いになっていたりとかあるので、これからも年齢的とかいろんなことと兼ね合いで、山と付き合っていけたらなと思いますね」

写真協力:鈴木みき

INFORMATION

『改訂版 鈴木みきの休日ふらり山旅計画』

『改訂版 鈴木みきの休日ふらり山旅計画』

 この本には、特急「あずさ」やロープウェイなど公共の交通機関で行くおすすめの12コースが掲載されています。東京近郊の、日帰りの山歩きをこの春、この本を参考にチャレンジしてみては、いかがでしょうか。すべてのコースに温泉情報がありますよ。エクスナレッジから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎エクスナレッジ:https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767834818

 鈴木みきさんと行く「山っていい友!」ツアー、韓国・済州島の「ハルラサン」ツアーは5月22日から、富士山ツアーは8月28日から、カナディアンロッキーのツアーは10月6日からとなっています。詳しくは「アルパインツアー」のサイトを見てください。

◎アルパインツアー:https://www.alpine-tour.com/japan_category/suzuki-miki/

 鈴木さんのオフィシャルブログやSNSのリンクは以下。

◎ブログ:https://ameblo.jp/suzukimiki/

◎Facebook:https://www.facebook.com/Mt.mikisuzuki/

◎Instagram:https://www.instagram.com/mt.suzukimiki/

「人も自然も豊かに」〜首都東京の郊外にある農業法人の挑戦

2026/3/15 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、株式会社「アンドファームユギ」の「長谷裕介(はせ・ゆうすけ)」さんです。

 アンドファームユギは、東京都八王子市堀之内地区、旧地名「柚木村(ゆぎむら)」にある農業法人です。設立は2012年、当初の社名はFIO(フィオ)でしたが、2018年に現在の社名アンドファームユギに変更。地域とともに、という意味を込めたそうです。

 アンドファームユギがある堀之内地区は、多摩丘陵に整備された日本最大規模といわれる、多摩ニュータウンの開発区域に入っていたそうですが、農業や酪農に従事する人が多くいたことから開発から除外され、昔ながらの農村風景が残っています。

写真協力:アンドファームユギ

 長谷さんは1987年生まれ。東京農業大学卒業。高校生の頃に農業や造園を学び、大学では土木や地域資源、そして養蜂を学んだそうです。

 設立当初は裏方として手伝っていたという長谷さんですが、現在はアンドファームユギの中心メンバーとして、養蜂とCSA(地域支援型農業)という新しい事業を担当するプロジェクトマネージャーとして活躍されています。

 きょうはそんな長谷さんに、アンドファームユギのミッションのほか、生産している野菜や蜂蜜のこだわり、そして「エシカルファーミング」という取り組みについてもうかがいます。

☆写真協力:アンドファームユギ

長谷裕介さん

有機JAS認証、小規模な養蜂

※アンドファームユギで取り組んでいる農業には、どんなこだわりがありますか?

「農業に関しては、野菜を専門に育てる担当がいますので、彼からこだわりを聞くのがいちばんいいかなと思うんですけども、普段近くで見ている私からすると、ひとつは、みなさんがわかりやすい形なのが、有機JAS認証ですね。有機JAS認証を取った有機野菜を生産しているというところになります。

 あとは、弊社が掲げるアンドファームユギのミッションとして、”人も自然も豊かにする”という言葉があります。なので、環境に負荷を与えるのではなく、生き物がいて土があって、そこでお野菜を作るということに重きを置いています」

●どれくらいの種類の野菜を栽培されているんですか?

「お野菜の種類自体は、設立当初はものすごく多くの種類を作っていました。ただ、お野菜には1種類1種類、栽培技術が必要ですので、そういった練度を上げていく、より高品質なお野菜をお届けしていくというところで、現在は数十種類から数種類まで絞り込みをしているところです」

写真協力:アンドファームユギ

●長谷さんは、おもに養蜂業を担当されているんですよね?

「はい、私は養蜂業の担当になります」

●その養蜂にはどんな特徴があるんですか?

「養蜂業というのは非常に面白い仕事です。ミツバチの巣箱を置けば置くほど、蜂蜜が採れるわけではなくて、地域の自然がミツバチが抱えられる・・・ミツバチが飛んで行って花の蜜を集めてこられる限界というのが、地域の自然の力としてあるので、この辺の地域特性からすると、そう大きくはできないという、小規模な養蜂場であるというのがひとつの特徴です。

 もうひとつは、この地域の花から採った蜂蜜に限定しています。全国区の養蜂家さんを見てみると、全国を飛び回って花のある場所に行って、蜂蜜を採るというのが基本的なスタイルなんですけど、私たちはここの・・・ここでは柚木村と呼びましょうか・・・この地域の特徴を活かした蜂蜜を生産しています」 

写真協力:アンドファームユギ

景色そのものの「蜂蜜」!?

※以前ハチミツから、その地域の植生、つまりどんな植物が生えているのかがわかると聞いたことがあります。やはりそうなんですか?

「そうですね。ミツバチが花を巡って蜂蜜を作っていくというプロセスの中で、ミツバチにとって、より近く、より多く、より甘い花の蜜を集める習性があるんですね。

 学術的な植生の細かさ、精度って言うんですかね・・・竹が生えてたりとか、草が生えてたりということはわからなくても、おおよそこの辺の地域で生えている植物の花ということはわかります」

●アンドファームユギのある地域の植生は、どんな特徴があるんですか?

「ひとことでいうと農村環境と言いますか、僕なりの言葉で話をすると、春に菜の花が咲いて、菜の花の蜜がいっぱい入ってきて、里山に生えている山桜がその後に咲いて、その桜の蜜が入ってくる。そこで一度収穫をする。

 で、アカシアの蜂蜜、ニセアカシアの木であるとか、山に生えている藤の花の蜜が入ってきて、最後にエゴノキという、里山にはよくある木なんですけど、爽やかな香りがする蜂蜜が入ってくると・・・。

 こういった植物というのは基本的には田畑があって里山がないと、なかなか集まらない種類かなと思うので、そういった意味では今見ている景色そのものかなというふうに認識しています」

写真協力:アンドファームユギ

●どんな味がするんですか?

「今の話の中で、花の種類がいくつか出てきたわけなんですけど、おもに3種類に分かれるんですね。

 春の菜の花だとか桜が入った蜂蜜は、非常に香り豊かで甘みが強い特徴がありますし、その次に採れるニセアカシア、アカシアの蜂蜜ですので爽やかというか、よく言うとフラットで、淡白な味わいが基本になってくる。

 そして最後に採れるエゴノキの蜂蜜はやはり爽やかな香りがして、甘みもほどほどにあり、非常にバランスが取れた蜂蜜だと・・・植物の特徴に沿った味わいがしますね」

写真協力:アンドファームユギ

●普段、長谷さんがミツバチたちを見ていて、どんなことを感じますか?

「ミツバチは社会性を持つ生き物なんですね。おおよそ何千匹の単位から何万匹の単位で生活をしているので、私たち人間の暮らしの社会構造と非常によく似ているるんですね。なので、人を見ているような感じがしますね」

●へえ〜っ! 長谷さんご自身は、もともと農業とか養蜂に興味があったんですか?

「そうですね。私が高校、大学と農業関係を専攻をしていたというのもありまして、大学時代に畑を造る学科にいました。農業土木という学科なんですけども、そちらのほうで畑を造る勉強をしながら、ミツバチ研究会というサークルに入っていました。

 そこではミツバチを育てて、あと養蜂業者さんのところに実際に研修に出向いて、ミツバチから蜂蜜を採る作業をお手伝いしたりだとか、そういったことをしていて、趣味として興味があったというよりも、営みって言うんですかね・・・仕事として食べ物を作る仕事は、とても面白いなという認識を持っていました」

写真協力:アンドファームユギ

CSA=地域支援型農業

※アンドファームユギでは、2022年から「CSA」という事業に取り組んでいます。長谷さんがおもに担当されているそうですが、CSAとは、具体的にはどんな事業なのか、教えてください。

「CSAというのは“地域支援型農業”と日本語で訳されるものなんですけども、1980年代のアメリカで発祥した仕組みと言われています。

 農場で野菜が採れたり採れなかったり、これはお米でも同じですが、農作物の豊作凶作によって生産者が負うリスクを消費者も共有して、かつ食べ物、食料をシェアリングしていこうというのがCSAの定義になります」

●その事業の一環として「エシカルファーミング」という取り組みもされています。これはどんな取り組みなんですか?

「CSAの基本的な仕組みは、非常に理想的な形ではあるんですけれども、リスクを共有するという考え方は、やはり私も含めて日本に住む人間からすると、非常に思うところが多いというのがあります。

 そこでCSAのベースの仕組みは変えずに、それにプラスして、共同菜園で野菜を育てたり、あとは農にまつわる関わりを持つとか、そういった副的なコンテンツを重ね合わせることによって、みなさんがCSAという社会意義を感じながらも、暮らしにゆとりが生まれるようなサービスができないかということで開発したのが、このエシカルファーミングです」

写真協力:アンドファームユギ

年間のプログラム「エシカルファーミング」

※先ほど、長谷さんが担当されている、新しい事業「CSA/地域支援型農業」の一環として行なっているエシカルファーミングについてうかがいました。

 ここからは、より具体的に教えていただきたいのでが、エシカルファーミングには、どんなかたたちが参加しているんでしょうか?

「みなさんの特徴は本当にさまざまです。女性が多いですね。人格像としては女性が多くて、いわゆるエコ意識というでしょうか・・・エコロジーという概念はあまり強くはないけど、やはり“自然に負荷をかけないようにしたいよね!”という考え方をお持ちのかたは数多くいらっしゃいます」

●何人ぐらいのかたが参加されているんですか?

「現在は21組の世帯が加入しています」

●これは月1回とか年間の活動なんですよね?

「そうですね。CSAというもの自体がもともと年間で組まれるプログラムです。私たちもそれに倣って1年単位でのお付き合いということになります」

●やっぱり月1回でも八王子にある農地に来て、五感で感じるということは大事ですよね?

「そうですね。市民農園とか様々な都市型農業の形はあるんですけども、やはり農村の環境と言うんですかね・・・空間があって多くの人が集うと、そこに小さなコミュニティが生まれて、そういったところで、視覚であったり聴覚であったり、五感を使って過ごしていくという時間は、非常に意義があることかなと感じています」

写真協力:アンドファームユギ

●エシカルファーミングは、具体的にどのような活動をされているんですか?

「お野菜とハチミツを年間10回に分けて、まずはお渡しできると・・・この農場に来てお野菜やハチミツを受け取れるというのがひとつと、あとは共同菜園での農作物の栽培ですね。みなさんが持ち寄ったタネを植えて育てることができると・・・。

 最後に農にまつわる催しですね。例えば、さつまいもを育てて、最後に焼き芋を作るところまでをみんなでやったり、あとは地域には里山がありますので、自然環境に触れられるような、ちょっとした自然観察なんかも行なうことができます」

(編集部注:4月から始まる年間10回のプログラム「エシカルファーミング」の参加者募集の受付は、3月31日までです。応募方法や参加料金など、詳しくはアンドファームユギのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎アンドファームユギ:https://fio8.com

戻ってこられる場所

※大都会東京の郊外、多摩地域の八王子に農地があって、そこで農業や養蜂を営むというのは、とても意義があるように思います。いかがですか?

「東京で農業を営むことに意義があるというよりかは、僕たちはやっぱりこの仕事に携わって全国津々浦々の同業者のかた、農家さんや養蜂家さんとコミュニケーションを取りながら仕事をしているんですけど、こういった仕事、食べ物を作る仕事をすることは、たとえ沖縄であっても北海道であっても、それは等しく意義があることだと思っています。

 ただ私たちがここで農業をやる意義というのは、首都東京と言われている人口が最も多い都道府県、そこの食料を供給することと、みなさんの暮らしに寄り添えるような、自然との接点を持つことができる。そのガイダンスができるという意味では、東京で農業をやること特有の意義があるかと思っています」

●アンドファームユギの事業には、人も自然も豊になるためのヒントがありますね。

「そう言っていただけると大変ありがたく感じています。ただですね・・・この会社は設立して現在に至るまで、成功よりも失敗の方が多い会社でして、“こうしたら上手くいくよ“ということは、おそらくヒントとしてみなさんにお渡しすることはできない。ただ”これをやって失敗したよ“ということであれば、山ほどヒントをお渡しできるかと思います」

写真協力:アンドファームユギ

●アンドファームユギの活動を通して、どんなこと伝えていきたいですか?

「私たちがやっている事業は、つまるところみなさんの暮らしを支えることになる仕事だと思っています。

 農作物をお届けしたりということは、これはどこに行っても伝わることだとは思うんですけど、私たちが特に今やっているエシカルファーミングは、戻ってこられる場所を作るということが、もうひとつ副次的なメッセージとして含まれています。

 ここに実家があるわけでもないですし、ここで生まれ育ったわけでもなくても、この農場に戻ってこられる・・・初めて来た人もそんな感覚で過ごしていただけるような、ひとつの“心の安寧”と言いましょうか、そういったところをお伝えできれば、私たちがここでやっている意義、メッセージというのはお届けできるかと思っています」


INFORMATION

写真協力:アンドファームユギ

 アンドファームユギのオフィシャルサイトには、東京とは思えない里山や農地の風景写真のほか、採れたての野菜や、蜂蜜の写真も載っています。オンラインショップから蜂蜜なども購入できますよ。

◎アンドファームユギ・オンラインショップ:https://shop.fio8.com

 先ほどもお知らせしましたが、4月から始まる年間10回のプログラム「エシカルファーミング」の参加者募集の受付は、3月31日までです。参加ご希望のかたはお早めに、どうぞ。詳しくはアンドファームユギのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎アンドファームユギ:https://fio8.com

大切な人を守るために〜「災害が起きてからでは手遅れ。きょうできることに目を向ける」

2026/3/8 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、防災アナウンサー、そして環境省アンバサダーとして活躍されている「奥村奈津美(おくむら・なつみ)」さんです。

 奥村さんは2011年3月11日に、当時暮らしていた宮城県仙台市で被災するも、テレビ局のアナウンサーとして、すぐに緊急報道に携わり、災害現場を取材。その経験から、いかに平時の防災が大事かを痛感し、その後、防災士などの資格を取得。現在は「おうち防災」の専門家として活躍されています。

 きょうは、そんな奥村さんの本『大切な家族を守る「おうち防災」』をもとに、暮らしの中の防災の知恵や、おうち防災のポイントのほか、サステナブルな生活が防災につながるというお話もうかがいます。

☆写真協力:奥村奈津美

奥村奈津美さん

防災活動の原点

※奥村さんは立教大学卒業後、広島や仙台のテレビ局で、アナウンサーとして活動。その後、東京に戻り、フリーランスとして、NHKやTBSなどのワイド番組や報道番組で活躍。

 2011年3月11日は、冒頭でも触れましたが、仙台の自宅で被災。台所にいたため、大きな揺れで、冷蔵庫の上に置いていた重さ30キロの電子レンジが飛び、もし当たっていたら、どうなっていたのか・・・死の恐怖を感じたそうです。

 奥村さんがおっしゃるには、キャスターとして様々な災害報道に携わってきたけれど、恥ずかしながら、当時は災害の備えをしていなかったとか。

 自宅で被災して間もなく、テレビ局に戻ることができた奥村さんは、救急報道に携わり、72時間ノンストップで続けたそうです。

 奥村さんは、当時を振り返って、こんなことを痛感したと言います。

「ヘリコプターの映像などから、例えば津波の一波二波が到達しているような光景は、私たちは見えていたんですね。ですが、危険な場所にいる人に(津波の)情報を伝える術がなくて・・・“逃げてほしい”と、どれだけ願っても、“逃げて!”と叫んだとしても、そこにいるかたたちには情報だったりとか、その(避難の)行動を伝えることができなかったんですね。

 そこでいちばん感じたのが、災害が起きてからでは手遅れだということです。起きる前のきょうだったらできることはたくさんある。放送でも様々な情報を伝えることができるんですけれども、起きてからでは手遅れなので、起きる前にどうするかということに目を向けて、この15年は過ごしてきました」

命を守る家に住む

※奥村さんはその時の教訓や思いを込めて、『大切な家族を守る「おうち防災」』という本を出されています。防災に関する知恵や情報、そしてヒントが満載で、細かく、わかりやすくまとめてあって、大変参考になります。

 この本は2021年に出した本の改訂版で、本のタイトルも新たに去年6月に出版。第1章の「『水害』から家族の命を守る」から、第6章の「家族の未来を守る!『毎日』できること」までありますが、今回は東日本大震災から、もうすぐ15年ということで、第2章の「『地震』から家族の命を守る」と、「おうち防災」のお話をメインにうかがっていきたいと思います。

●本に「最も重要な地震対策は、命を守る家に住むこと」とあります。これについて、ご説明いただけますか?

「地震対策には大事なことがふたつあります。ひとつ目が地震に耐えられる家に住むということ。そしてふたつ目が地域のリスクを知るということなんですね。

 どれだけ防災グッズを備えても、家が潰れてしまったら、それを使うこともできません。津波とか土砂災害のエリアは、やはり木造家屋などはそのまま流されてしまうような恐れがありますので、まずは家の耐震基準ですとか、家の中の安全性をみていただく、そして(住んでいる)地域のリスクをハザードマップなどで確認していただくということを大切にしております。

 家の中を安全にする前に、まず家が壊れないかどうかということを確認していただきたくて、そのひとつの目安となるのが、いつ建てられた家なのかということなんですね。

 日本では家の基準が何度か見直しをされているんですが、1981年6月よりも前に建てられた家は、『旧耐震基準』と言われていまして、大きな地震には耐えられないというのが国のほうからも言われているんですね。ですので、そういった家にいる場合は、家の中に留まるのではなく、揺れを感じたら、すぐに家の外に出ていただきたいですね。

 今『耐震診断』を自治体で無料で受けられるような、そういった助成をしているところも多くありますので、まずは診断を受けていただいて、地震の揺れに耐えられる家なのかどうかというのを確認していただく。

 耐えられないとなった場合は耐震補強の工事をするとか、あとは引っ越しをして別の家に住む。そこまでは予算がないという場合は、ベッドのところだけでも・・・家の下敷きにならないような耐震ベッドっていうものがあるんですけど・・・空間が残るようなベッドにするですとか。あとは一室だけシェルターのような形の部屋を作るなど、そういう方法があります。

 今は2000年6月よりも前に建てられた木造住宅も、大きな地震ですと被害を受けてしまう確率が高いということで、東京都とか神奈川県の一部の自治体などでは、そこも耐震診断を受けていきましょうというふうに変わったんですね。

 ですので、まず家が建てられた、“建築確認された日”と正確には申し上げるんですけれども、そこをまず確認していただいて、それによって行動も備えも変わってきます。まずそこが(防災の)スタートかなと思います」

すべての家具・家電は固定する

※続いて、家の中を安全にするポイントを、いくつか教えてください。

「大きな揺れになりますと、固定していないものは倒れたり、飛んできたり、動いたりして大変危険なので、すべての家具・家電は固定することをおすすめしております。もちろん置かないのがいちばん安全ではあるんですが、日本の住宅事情では収納が備え付けだけではなかなか足りないので、家具を置くかたが多くいらっしゃると思います。

 まず置き場所なんですけれども、ベッドの上とか布団の上とかそういったところに倒れてくると、寝ている時は無防備なので、逃げたりすることができないですよね。なので、そういった場所には置かない。

 あとは避難経路を塞いでしまうと逃げられなくなりますので、ドアですとか倒れてきたらドアが開かなくなるような場所にも(物を)置かないっていうことになります。

 どうしても腰よりも高い家具を置かなくてはいけない時は、転倒防止器具を設置するという方法になるんですね。
 転倒防止器具と聞くと、突っ張り棒タイプの、天井と家具の上の部分を突っ張るような形で止めるものが、ポピュラーだと思うんですけれども、東京消防庁の実験結果などでもそういった器具単体では、ほとんど効果を発揮できないというような結果もあるので、できればストッパーとセットで使っていただいたりとか、あとL型金具とか、より効果の高い転倒防止器具を設置していただきたいと思います。

 冷蔵庫とか電子レンジとかテレビとか、そういった家電も専用の転倒防止器具がいろいろと出ていますので、その家具・家電に合ったものでしっかり固定することをお願いしたいです」

(編集部注:家具を固定するには、段ボールを使って、家具と天井の隙間をふさぐ方法もあるとのことです。詳しくは奥村さんの本に載っていますので、ぜひ参考になさってください)

『大切な家族を守る「おうち防災」』

避難の前にブレーカーを落とす

※家の外に避難することになった場合に、避難する前にやっておくことは、どんなことですか?

「どういう地域に住んでいるかによって変わってくるんですね。例えば、津波とか土砂災害のような一刻を争うような場所に住んでいる場合は、何もしなくて、とにかく安全な場所に走って逃げていただきたいんですね。また、家が倒壊しそうな状況だったりとか、隣の家が燃えているとか、自分の家が燃えているような時は、まず一目散に安全な場所にご移動いただきたいと思います。

 そうではなくて、家の中が壊れていなくて、(自分が)動くことができるような状況にあった場合は、まずブレーカーを落としていただく。それからガスの元栓や水道の元栓を締めていただく。また災害時は防犯面も脆弱になりますので、しっかり施錠をしておくというような、そういった対策をして避難していただくことも大事です。

 ブレーカーを落とすのは、地震の時に(起きる火災の)半分以上が電気による火災がなんですね。ブレーカーが落ちていないと、電気が復旧した時に何か可燃物が落下していて、火の元になるような家電にスイッチが入ってしまった場合、そこから出火したりですとか、配線がショートしていて、そこから出火したりという恐れがあります。

 ですので、ブレーカーを切っていただきたい。留守の時に地震が起きることもありますので、できれば『感震(かんしん)ブレーカー』と言いまして、ブレーカーを自動で切ってくれるものがあるんですね。揺れに応じてブレーカーが“バンッ!”と切れるような、そういった機能の付いたブレーカーだったりとか、後付けできるものもあるので、感震ブレーカーを設置していただければなと思います」

(編集部注:避難所については、地域の自治体が指定している避難所のほかに、企業や寺院などが設置する場合もあるということですので、事前に問い合わせるなどして、確認しておくといいですね)

※本に「福祉避難所」というのが載っていました。これはどんな避難所なんですか?

「これは要配慮のかたがた、例えばご高齢のかたとか障害があるかたとか、あと乳幼児、妊産婦など、そういった要配慮のかたを受け入れる避難所を各自治体で指定するようになっております。

 今はいろいろと自治体によって取り組みが変わってくるんですけれども、国のガイドラインではやはりそういった要配慮のかたがたが直接避難できるように、事前に個別避難計画などを作って、取り決めしていきましょうっていう流れにはなっているんですね。

 例えば、介護度が何以上の人とか障害の程度によって変わってくる・・・本当に自治体によって取り組みは様々あるかと思うんですけれども、避難所に行って体調が悪くなってから違う場所に移送するとなると本当に命に関わりますし、要配慮のかたを移送するのもすごく大変なんですね。

 ですので、最初からそういったケアができる専門的な場所、介護施設だったりとか障害者施設、そういったところに直接避難できるようにしていこうというものですね。

 乳幼児に関しては、母子避難所のようなものを設置するということを取り決めしている自治体さんもありますので、ホームページですとか自治体の窓口に、要配慮のかたがご家族にいる場合は聞いてみてもいいかもしれないですね」

在宅避難〜最重要アイテムは「トイレ」

※自宅にとどまれる状況だった場合、「在宅避難」がベストということで、本に「自宅を最強の避難所にするため」のポイントが載っていました。ご説明いただけますか?

「耐震基準を満たした家で、地域のリスクもそれほどなくて、火災などもなくて、そして家の中が安全な空間になっていた場合は、自宅に留まって生活をするというのも立派な避難の選択肢のひとつになります。

 ただそういった状況でも、電気や水道、通信などのライフラインは寸断されてしまうんですね。なので、代替アイテムを備えていくという話になります。

 いちばん優先順位が、私は高いと思っているのはトイレで、災害時、飲まなくても食べなくてもトイレは行きたくなりますが、そのトイレの水は流せなくなってしまうんですね。

 流せなくなる理由としてはいくつかあります。例えば断水していたら水は出ないですし、停電して流せなくなっちゃうようなトイレもあります。それから便器や便座が壊れてしまって使えなくなったりとか、ドアが開かなくなったりとか・・・あとは配管がずれてしまって、そこから水漏れしたり逆流したりとか、様々な理由でトイレが使えなくなります。

 そこで災害用トイレというものがあるんですね。袋と凝固剤がセットになったものが売られていまして、それを災害時はトイレに少し備蓄しておいて使っていく。1週間分くらいは備えておいていただきたいなと思うので、トイレに備蓄しきれない分は、どこか収納場所を作って置いておいて欲しいなと思います」

●災害グッズを備えるにあたって優先順位があると、本に書かれていますけれども、やはり最重要アイテムはトイレになってきますかね?

「そうですね。様々な考え方はあるかなと思うんですけれども、多くのアンケートなどでやはり困ったことの上位に登ってくるのがトイレですし、災害関連死を防ぐ・・・災害関連死というのは、被災後の生活で体調などを崩してしまって亡くなるかたが大変多くいらっしゃるんですけれども・・・その災害関連死を防ぐという観点からも、やはりトイレは重要になるんですよね。

 トイレを我慢してしまうと、水を飲むのも我慢してしまったりとか、食べるのも我慢してしまったり・・・。またトイレが綺麗な環境じゃなかったりとか、列ができていて、なかなかトイレを使えないみたいな状況だと、便秘になるかたも多かったりですとか、とにかく体調に直結するものでもあるんですね。

 ある妊婦さんが能登半島地震で災害用トイレを備えていたんですけれども、十分な量を備蓄していなくて、家族で1個をちょっと節約して使っていたそうなんですね。そうしたらお腹が痛くなってしまって救急搬送されてしまったんです。その妊婦さんが“災害時、こういう衛生に関わるものはケチっちゃダメですね”っておっしゃっていたんです。

 きっと防災グッズにあまりお金をかけずに備えたいと思っているかたも多くいらっしゃると思うんですけれども、そういう衛生、命に直結するものに関してはしっかり備えておいていただきたいなと思います。

 どうしても凝固剤とかそういうものを買う予算がないという場合も、例えばペットを飼っている場合だったら、ペットのトイレシートを活用するとか、介護用とか育児用のオムツがある場合は、サイズアウトした時に捨てずに取っておくとか・・・多めに備蓄をしておいて、それを大人も災害時にちょっと使わせてもらうとか、そういうふうに対応することもできるので、本当に衛生用品に関してはしっかり備蓄しておいていただきたいなと思います」

防災の基本は「普段」を災害時にも

※赤ちゃんがいるご家庭の場合、例えば、ミルクや離乳食、オムツとか、どんなものを、どれくらいの量を用意しておけば、いいでしょうか?

「国のほうからも乳幼児、要配慮のかた、みなさんなんですけれども、2週間分は各家庭で備蓄しておくようにと言われています。やはりそういった支援物資はなかなか届かないので、在宅避難できる場合は2週間ぐらいは、家にあるもので何とかお子さんのケアができるようにということが大事になります。

 災害時、初めてのものに挑戦するのはリスクが高いので、平時と同じことができるようにしてほしいんですね。なので、例えば母乳で育てている場合は、母乳育児を継続することが何よりも大事になってきます。

 そういった時にミルクを与えてしまうと、そのミルクにアレルギー反応が出て体調が悪くなってしまうかもしれないですし、母乳が1回ミルクに置き換わることで母乳が出なくなってしまうとか、様々なリスクがあります。

 またミルク育児している場合も、普段飲んでいるミルクだったら災害時に与えても問題ないと思うんですけれども、備蓄用に別のミルクを用意していて、初めて飲ませると合わなくて飲めなかったりとか、アレルギー反応だったりとかあると思うんですね。

 ですので、普段やっていることを災害時もやれるように、離乳食とかも普段食べているもの、例えば、外出する時に瓶詰めの離乳食とかパウチの離乳食とか活用されることあると思うんですけれども、そういったものも1年とか長期保存できるものがたくさん出ているので、普段のお出かけの時もそういうものを食べるし、災害時もそれを活用していくっていう考え方をしていただけたらなと思います」

●いつも通りのことができるようになればいいんですね。

「そうですね。初めてはそのお子さんにどういう反応が出るかわからない。特に小さいお子さんだと、それは乳幼児だけではなくて、小学生とかそういったお子さんもだと思うんですけれども、普段もあまり食べ慣れていないものとかを出すと、食べなかったりとかってあると思うんですよね。

 災害時の非常食も1回も食べたことないものを出すってなると、ちょっと大人でも怖いですよね。どんな味なのかもわからないですし、なのでやっぱり普段食べているもの、普段使っているものを災害時も使えるように備えていくのが防災の基本かなと思います」

「持ち出し袋」と「防災ポーチ」

※非常持ち出し袋の考え方として、これも優先順位があると本に書いてあります。どんな優先順位があるのか、教えていただけますか?

「はい。非常持ち出し袋を使うということは、家にいると危険だっていう状況だと思うんですね。例えば火災ですとか、津波が襲ってきているとか、土砂災害とか、そういった時にパッと持ち出せることが最も大事になります。

 ですので、持ち出し袋でいちばん大事なのは、背負って逃げられる重さに留めることですね。どれだけ物入れていても、重くて持ち出せなかったら意味がないですし、玄関とかパッと持ち出せる場所になければ、一刻を争うような時に持って逃げられないと思うんですよね。なので、そこはやっぱりどのくらいの重さにするのかと、あと収納場所が大事になってくるかなと思います。

 その上で中身の考え方なんですね。なくては命がつなげないものって人によって違うと思うんですけど、あると思うんですよね。私自身だったらコンタクトなので、眼鏡がないとコンタクトが乾いてしまった時とか困ります。

 あとは補聴器を付けているとか、入れ歯があるとか、お薬を飲んでいる、アレルギーがある、それぞれそのかたの特徴によって必要になるものって変わってくると思うんです。そういったものを必ず持ち出せるように用意しておくのが、何よりも大事ですね」

●普段、私も息子とお出かける時は、おむつとかおしり拭きとかを入れたバックを持ち歩いているんですけれども、奥村さんは防災ポーチを推奨されていました。これはどんなポーチなんですか?

「普段のママバックをそういうふうに持ち出すことも、すごくいいと思うんですね。普段のママバックって、そのお子さんに必要なものが全部入っていると思うので、それを持ち出していただくっていうのも大事なんですけど、そうすると自分にとって必要なものって、その中に入ってなかったりしませんかね?」

●確かにそうですね。

「お子さん優先になっちゃって、自分の身を守るためとか、自分がないと困るものが入ってなかったりすると思うので、せめて防災ポーチの中にそれは入れて、持ち出しましょうということをおすすめしています。

 非常持ち出し袋の考え方と同じになるんですけれども、やっぱり体の一部になるものですね。お薬だったりとか、私はコンタクトなのでコンタクトの予備だったりとか、そういったものは入れておいていただきたいですね。

 あとは、濡れてしまうと低体温症のリスクとかもあるので、『エマージェンシー・シート』っていう、折り畳める銀色のシートがあるんですけれども、そういったものを入れたりですとか、生理用のナプキンとかも普段、必要になるものばかりだと思うんですけれども、そういったものを自分の身を守るために入れておくことをおすすめしています」

「SOSカード」のすすめ

※本に『子供も大人も、ひとり一枚「SOSカード」を作ろう!』というページがありました。このSOSカードとは、どんなカードなんですか?

「災害時に携帯電話は使えなくなってしまうので、そういった時に困らないようにいろんな情報をまず書き出しておくっていうのが大事になります。
 特にお子さんと一緒に避難したとしても、途中で離れ離れになってしまったりする時もある、そういった時に、お子さんがこの『SOSカード』を近くの大人のかたとかに見せたら助かる確率が上がるような、そういった情報を書いておいていただきたいんですね。

 例えば、ご自身の情報とか、ご家族の携帯電話とか、勤め先の情報とか、避難場所・避難所の情報だったりとか、お子さんがアレルギーとか何か障害があった場合は、どんな特性があるのかっていうことをまとめていただく。

 あとは、なかなか家族の特徴を言葉で伝えることって難しいと思うので、写真も一緒に入れておいていただきたいんですね。

 東日本大震災の時に写真がなくて困ったというお話は、すごくいろんなかたからおうかがいしていて、それはペットもそうなんですけれども、自分の子供は“身長が120センチで、体重が20キロちょっとで、きょうは紺色のトレーナーを着て出かけました”みたいに言ったとしても、うちの子小学校1年生なんですけど、小学校1年生のお子さんってそういう感じなので、体格も見た目もなかなかその特徴・・・ご主人だったり、奥様の特徴を言葉で伝えるのって難しいと思うんですね。

 そこで写真の裏を活用すれば、その写真を見せるだけで、どういう特徴のあるかたなのかは一発で伝わりますし、スマホが使えなくなっても(写真の)裏の情報で連絡を取り合うってことができると思うんですね。

 お子さん自分自身に何かあった時に困らないように、少しでも助かる確率を上げるために『SOSカード』を作ることをおすすめしています」

地球に優しい暮らしは「防災」につながる

※本に「地球に優しい持続可能な生活は防災にもつながる」と書いてありました。これについてご説明をお願いします。

「最近は地球温暖化の影響で気候危機と言われていますけれども、昔とはフェーズが変わってしまって、雨の降り方も夏の暑さなどもより厳しくなっています。

 そういった中でどれだけ備えても根本的な解決にはつながらない。やはり地球温暖化を止めなくては、夏の暑熱災害もですし、豪雨ですとか、そういった被害もより厳しくなっていくので、地球温暖化対策なども含めて、“地球に優しい暮らしをしていただくとそれが防災にもつながるよ”ということを綴りました。

 地球温暖化の影響を受ける最初の世代と私たちは言われていますけれども、一方で地球温暖化を止められる最後の世代とも言われているんですね。なので、私たちがどういう選択をしていくかによって未来が大きく変わる、そういった分岐点に生きていると思います。

 自分自身は子供がいるので、やっぱり子供たち・・・大人もおじいちゃんおばあちゃんもそうですけど・・・その先の子供たちも幸せにより良い毎日を送っていけるような地球を残していきたいなと思っています。

 “日々の買い物は投票だ!”って言われたりしますよね。例えば電気代・・・どんな電気を買うのかによって未来は変わってきますよね。化石燃料由来の電気を使うのか、それとも再生可能エネルギーなど、CO2を排出しない電気を使うのか・・・によって、未来が変わっていくっていう中で、毎月の電気代どっちに支払うのか・・・。

 本当に小さな選択ではあるように思うかもしれないですけれども、日々の何を食べるのか、何を買うのか、そういった選択が子供たちの未来につながっていくので、日々そういったことをちょっと考えて、物を選んでいただけたらなと思います」

●では最後に、奥村さんが防災アナウンサーを志すことになったと言える3.11がもうすぐやってきます。どんな思いがありますか?

「そうですね・・・3月11日、私がこの活動を始める原点となったのが、石巻の日和(ひより)幼稚園で起きた津波被災事件というものになります。

 園は高台にあったので、そこに留まっていれば、全員無事だったんですけれども、大津波警報が出される中、なぜか送迎バスが海のほうに向かって走っていってしまって、津波に巻き込まれ、その後、延焼火災で園児5名が焼死してしまうという痛ましい事件がありました。

 私はそのご遺族の佐藤美香さんというお母様とずっと交流をさせていただいて、今年も3月にお会いする予定になっているんですけれども、そのお母様のメッセージをみなさんにもお伝えできたらなと思って活動しております。

 そのお母様がおっしゃっているのが『知らないことがいちばん怖いことです』ということです。その園の防災マニュアルがどうなっているのか、その地域のリスクがどうなっているのか、今はいろいろと知る術があるんですけれども、知らなければ、なかったことと同じです。

 起きてからでは手遅れなので、起きる前のきょうできることに目を向けて、大切なかたを守れるように備えを進めていっていただけたらなと思います」


INFORMATION

『大切な家族を守る「おうち防災」』

『大切な家族を守る「おうち防災」』

 この本には、水害や地震から家族の命を守るためにすることや、自宅を最強の避難所にする方法などが最新データや知見をもとに書かれています。ママ目線のアドバイスも多く、また、育児支援の専門家のインタビューなども載っていて、とても参考になります。

 あなたのうちの防災を、この本を見ながら、ひとつひとつ検証していま家族のためにできることをやっておきませんか。

◎辰巳出版:https://tg-net.co.jp/tatsumi_book/21362/

 役立つ情報が満載の、奥村さんのオフィシャルサイトもぜひ見てください。奥村さん考案の「地震ロードマップ」と「水害ロードマップ」をダウンロードできますので、ぜひチェックしてください。

◎奥村奈津美オフィシャルサイト:https://natsumiokumura.com

 奥村さんのオフィシャルYouTube「妊娠・出産したら見る防災チャンネル」もおすすめです。

◎YouTube「妊娠・出産したら見る防災チャンネル」:
https://www.youtube.com/@natsumiokumura-bousai

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