毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。

生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

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Every Sun. 20:00~20:54

2022年9月のゲスト一覧

2022/9/25 UP!

◎堀部貴紀(中部大学・准教授/サボテン博士)
サボテンが地球を救う!? 計り知れないサボテンの可能性』(2022.09.25)

◎山本高樹(フリーライター・写真家)
味の記憶は、旅の記憶 〜世界の旅で出会った「食」紀行』(2022.09.18)

◎中田兼介(京都女子大学・教授/動物行動学者)
不思議で面白い!生き物の「りくつ」』(2022.09.11)

◎中嶋亮太・古賀陽子(情報サイト「プラなし生活」運営)
シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第8弾!「目指せ! プラスチックフリーのライフスタイル!」』(2022.09.04)

サボテンが地球を救う!? 計り知れないサボテンの可能性

2022/9/25 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、中部大学・准教授で、
サボテン博士の「堀部貴紀(ほりべ・たかのり)」さんです。

 堀部さんは岐阜県出身。名古屋大学大学院を修了後、1年ほど岐阜放送・報道部に勤務。その後、研究の道に戻り、現在は中部大学でサボテンを研究中。日本では数少ないサボテン博士でいらっしゃいます。

 堀部さんがサボテンを研究するようになったきっかけは、日本でいちばんサボテンの生産量が多いとされている愛知県春日井市のお祭りで、食用のサボテンに遭遇したこと。名古屋大学で園芸学や植物生態学を専攻していた堀部さんは俄然、サボテンに興味がわき、また、国内でほとんど研究されていないことを知って、春日井市にある中部大学にいれば、サボテンのサンプルがたくさん手に入る、そう思い、2015年からサボテンを専門に研究されています。

 そして先頃『サボテンはすごい! 過酷な環境を生き抜く驚きのしくみ』という本を出されました。

 きょうは、ほとんど知られていないサボテンのトゲの秘密のほか、いま世界が注目している、地球を救うかも知れない、サボテンの計り知れない可能性についてうかがいます。

☆写真協力:堀部貴紀

堀部貴紀さん

トゲの、驚きの役割

※園芸用として人気の多肉植物がありますが、サボテンも多肉植物、ですよね?

「はい。サボテンも基本的には多肉植物です。ただし、多肉植物って結構いい加減な言葉でして、学術上の定義がないんですね。こうだったら多肉植物という定義がなくて、だいたい水っぽくて膨らんでいたら、多肉植物っていう言葉の使われ方をしているんです。
 でもサボテンの中には見た目が樹木みたいな、木みたいなサボテンもいるので、多肉植物じゃないサボテンもいます」

●へぇ~、そうなんですね。アロエはサボテンじゃないんですか?

「よく言われるんですけど、アロエはサボテンじゃないんですね。で、サボテンは何か? ってことなんですけど、サボテンは、バラ科とかイネ科とかあると思うんですけど、サボテン科っていうのがあって、サボテン科に含まれるやつをサボテンと言います」

写真協力:堀部貴紀

●サボテンは世界に何種類ぐらいいるんですか?

「だいたい最近の研究だと、2000種類ぐらいですかね。ただし、品種がいろいろあって、イチゴでも『とちおとめ』とか『あまおう』とかあると思うんですけど、そういう品種を入れると、大体8000品種と言われています」

●そんなにあるんですね~。サボテンの原産国はどちらになるんですか?

「サボテンの原産国は、だいたい南北アメリカですね。結構広くて、北はカナダ南部から南はアルゼンチン・パタゴニア地方の先端までですね。南北アメリカ全体にサボテンはいます」

『サボテンはすごい! 過酷な環境を生き抜く驚きのしくみ』

●そうなんですね~。サボテンの大きな特徴といえば、トゲですけれども、あれは何ですか?(笑)

「あれは葉っぱが変化したものだと言われています」

●葉っぱ!?

「昔、サボテンのトゲは葉っぱだったんですけど、葉っぱがだんだんと変化していって、葉っぱになったと考えられています」

●トゲの役割って何ですか?

「実はいろんな役割があって、まずは動物から食べられないように体を守っているよ、っていうのもあるんですけど、ほかにも例えば、強い光から身を守るカーテンみたいな役割をしたりですとか、あと高温とか低温から身を守る毛布みたいな役割をしてたりとか・・・まだまだあって、トゲから蜜をだしてアリを呼んだりとか、あと空気中の水を吸着するような機能も報告されています」

●ほぉ~、そうなんですね。サボテンは独特な形をしていますけど、どうしてあんな形になったんですか?

「まずサボテンは、丸っこいイメージがあるかと思うんですけど、あれはまず体の中に水を貯めているんですね。より具体的にいうと、茎の中に貯水組織といって、水をいっぱい貯める細胞があるんです。それがいっぱいあるから、ああいう丸くて水のタンクみたいになっているんですね。なので、長い期間、雨が降らなくても平気なんです。これまで長いものだと6年間、雨が降らなくても枯れなかったという報告がありますね」

写真協力:堀部貴紀

体の一部からも繁殖!?

※植物のほとんどは花を咲かせ、タネを作って自分たちの生存範囲を広げていますが、サボテンはどうやって増えていくんですか?

「ほかの植物と同じようにまずタネで増えます。花が咲いて果実がなって、その中にタネが入っていて、そこから増えるんですけど、もうひとつ特徴的な増え方があって、植物体の一部からも繁殖するんですね。

 具体的にはサボテンの枝とか茎の一部がぽろっと落ちて、そこからまた大きくなるんです。そういうのを『栄養繁殖』って言うんですけど、イモとか球根みたいなイメージですね。ぽろっと落ちた茎とかには水分がたくさん含まれているので、タネよりも生存する確率が高くなるんですね。タネはやっぱり小さいし、水もぜんぜん含んでいないけど、植物体の一部ですといっぱい水があるから、生存する確率が高いってことになります」

●サボテンの花は毎年咲くわけじゃないですよね!? 毎年咲くんですか?

「一応、毎年咲くんです。あまりサボテンの花が咲くイメージはないと思うんですけど、花が咲くまでに時間がかかるんです。種類にもよるんですけど、例えば”桃栗三年柿八年”という言葉がありますけれども、サボテンだと長いものだと最初の花が咲くまでに30年ぐらいかかります」

●だから花のイメージがあまりないんですね。

「そうなんですよね。でも1回咲くようになったら、毎年だいたい咲くんですよ」

●受粉は昆虫ですか?

「自生地ですとハチとか、夜咲く花だとコウモリとか蛾とか、まあやっぱり昆虫が多いですね」

●過酷な環境の自然界で、どうやって増えているのか、ちょっと想像がつかない世界なんですけど・・・。

「そうですよね。まあ普通にタネで増えるのもありますし、それこそトゲを使って、ほかの動物にくっついて移動していくサボテンもいるんですよ。

 アリゾナ砂漠にいるやつなんですけど、“ジャンピング・カクタス”って呼ばれていて、ちょっとでも触るとトゲで体にくっ付いてくるんですよ。体の一部がぽろっと取れて、それを取ろうとすると、またその手にくっ付くので、ジャンプしているみたいだから、ジャンピング・カクタスっていうんですね。
 そういうやつなんかは、本当にすれ違った動物にペタッとくっ付いて運ばれていって、別の場所で落ちて、根を張って成長するみたいな育ち方をするやつもいます。たくましいですね」

巨大なサボテンの林!?

写真協力:堀部貴紀

※新しい本に、6〜7年前にアリゾナ州の国立公園に調査に行った話が載っていました。なぜアリゾナに行くことにしたんですか?

「それは、サワロサボテンっていうほんとに西部劇に出てくるような、ザ・サボテンがアリゾナ砂漠にいるんですね。それを見たかったからです」

●本の表紙になっている、大きなサボテンが林のようになっているのがその場所ですよね?

「そうです、そうです! アリゾナのサワロ国立公園っていう所ですね」

●実際にこの大きなサボテンをご覧になっていかがでしたか?

「いや〜もうびっくりというか感動ですよね! 普段そんなに生き物を見て感動するほうではないんですけれども、本当に初めて圧倒されて感動しましたね。おっ! すごいみたいな」

写真協力:堀部貴紀

●大木ですよね、このサボテン!

「そうなんです。乾燥地なので木があまり生えていないんですね。さっきの大きなサワロサボテンは10メートル以上になるものも多いんですけど、それが何千本と見渡す限り生えていてなかなか感動ですよ。日本の人にも行ってほしい、本当に!」

●世界最大のサボテンが、このサワロサボテンになるんですか?

「昔はそのサワロサボテンが世界で最大だって言われていたんですけど、実は今は世界最大じゃないんです。
 当時1996年には、17.5メートルあったので、ギネス記録を持っていたんですけど、2007年にほかのサボテンが19.2メートルの記録を出して、それは和名でいうと武倫柱(ぶりんちゅう)っていうサボテンがいて、(サワロサボテンと)同じような見た目のサボテンなんですけど、そっちが今は世界最大だと言われています」

●それはどこにいるんですか?

「それもアリゾナに生えているんですね。サワロと同じような場所に生えていて、見た目はそっくりですね」

●そんな大きなサボテンがいるんですね~。

「いやもう~びっくりしますよ! 近くで見たら」

●サワロサボテンに巣を作る鳥がいるんですよね?

「はい、キツツキですね。あとフクロウなんかも棲んでいますね。というのも乾燥地に行きますと木がないもんですから、サボテンがいちばん大きな植物になるんですね。なので、キツツキなんかがサボテンの幹に穴を開けて巣を作って、そこに棲んでいるんです」

●サボテンにキツツキ!?

「実際にソノラ砂漠に行きますと、サワロサボテンは穴だらけなんですよ。いたるところに穴が開いていて、その中に鳥が棲んでいるんですね。(現地に)行った時に幹をパーンと叩いたら、中から鳥がバサバサって出てきたんです。ガイドに怒られましたけれども、叩くなって(苦笑)」

●動物たちとの関係性があるんですね。

「生態系において大事な役割をしている植物を『キーストーン種』というんです」

●キーストーン種!?

「そうです。サワロサボテンはアリゾナ砂漠において、キーストーン種であるっていうふうに言われています。大事な役割をしているよ、っていうことですね」

*編集部注:堀部さんの本には、国内でサボテンを見られるスポットも掲載されています。伊豆シャボテン動物公園や筑波実験植物園などのほかに、なんと千葉県銚子市にあるウチワサボテンの群生地が紹介されています。
 銚子市長崎町の海岸沿いにあって、海を背景にサボテンが見られる場所は珍しいそうで、堀部さんいわく、青い海にサボテンが映えて、おすすめだそうですよ。

写真協力:堀部貴紀

メキシコは国旗にもスーパーにもサボテン!?

※サボテンといえば、メキシコをイメージするかたも多いと思います。堀部さんは、サボテンの聖地ともいえるメキシコにも調査に行かれていますが、メキシコの国旗には、サボテンが描かれているんですよね?

「そうなんです! あまり知られていないんですけど、メキシコの国旗を見ると、ど真ん中にサボテンが描かれているんですよ」

●知らなかったです! その由来は?

「ちょっと難しい話になっちゃうんですけど、昔アステカ人があちこちさまよっていた時に、神様のお告げとして、サボテンの上でヘビを食らっているワシがいる土地を探しなさい! そういうお告げがあったんですね。

 そして見つかったのが、今メキシコシティがある場所なんですよ。そういう建国神話に由来していて、それで未だに国旗にはサボテンとワシが描かれているんです。国旗をよく見ると真ん中にサボテンがあって、その上にワシが乗っていて、さらに(ワシの)口にはヘビをくわえているんですよ」

●なるほど! 神話の通りなんですね。

「そうなんです!」

●メキシコでは食用サボテンをたくさん作っているんですよね。

「メキシコだとサボテンは、どちらかというと野菜なんですね」

写真協力:堀部貴紀

●へぇ〜、どんなサボテンが食用に向いているんですか?

「だいたい食べるのはウチワサボテンですね。ウチワ型の平たいサボテンがあるんですけど、それを食べますね」

●どんな味がするんですか? サボテンって。

「日本にいると(サボテンは)食べられるの? みたいな、絶対まずいだろって言われるんですけど、結構美味しいんですよ。ちゃんと調理するとサボテンは美味しいんです! 言い切れますね」

●メキシコのスーパーマーケットに行くと、野菜と同じように食用のサボテンが並んでいるっていうことですか?

「普通に並んでいますし、特設コーナーを設けられることが多いですね、食用サボテン専門のコーナーが・・・。
 サボテンはメキシコに行くと普通にその辺に生えているんですね。なので、昔は貧しい人が食べるものだと思われていたらしいんですけど、最近は機能性の報告なんかも多くて、富裕層が敢えてサボテンを食べるようになっているみたいです」

写真協力:堀部貴紀

●ちょっとサボテンの味、想像がつかないんですけど〜。

「味はひとことでいうとネバネバして酸っぱいのが、サボテンの味なんですね。ちゃんと理由があって、サボテンはCAM(キャム)型光合成っていうちょっと変わった光合成をしていて、その光合成をするとリンゴ酸っていう酸が溜まるんです。だから酸っぱいっていうのと、ネバネバの物質は多糖なんですけど、水を逃さないためにそういうネバネバ物質を溜めているんですよ。だから酸っぱくてネバネバした味になるんです」

●酸っぱくてネバネバ・・・!?

「日本でいうとオクラとかメカブが近いですね。結構美味しいですよ」

●どうやってサボテンを調理するんですか? どんな料理に使われるんですか?

「日本だとちょっと誤った認識が広がってるんですけど(笑)、まず食べるサボテンは若くて柔らかい時のサボテンを使うんですよ。日本だと大きくなったサボテンをサボテンステーキだって言って食べちゃったりする、あれは違うんですよ。ああいうふうには食べないんですよ。大きいと固くなっちゃって、あまり食べられないんですね、タケノコみたいな感じで・・・。

 メキシコや海外だと、柔らかいウチワサボテンを肉料理の添え物にすることが多いですね。というのもヌルネバ系なので、チキンとか赤みの肉とかと一緒に食べると飲み込みやすくなるんですよ。嚥下促進作用(えんげそくしんさよう)があって食べ合わせがいいと・・・。あとはそのままちょっと焼いたりとか、生でサラダに入れたりとかして食べることも多いですよね」

写真協力:堀部貴紀

●へぇ〜、食べて見たいです〜。

「美味しいですよ、結構!」

*編集部注:サボテンの生産量と消費量は、やはりメキシコが世界一とされています。

サボテンが地球を救う!?

※サボテンが地球を救うと本に書かれていますが、いま世界でサボテンが注目されているそうですね。

「はい。まずサボテンに注目が集まっている理由はひとことで言いますと、どこでも育てられて用途が広いからなんですね。

 具体的に言いますと、例えば野菜が育てられないような乾燥地でもサボテンなら育てられる。なので、地球温暖化や砂漠化に対して強いんですね。用途も例えば野菜にもできるし、家畜の飼料にもできるし、加工食品にもできるし、最近だとサプリメントや化粧品にも使える。つまりなんでも使えると。

 さらに少ない水や肥料でも育てられるし、無駄がないと! つまり持続性がある植物として注目が集まっています。すごいんですよね。
 2017年には国連食糧農業機関FAOが、これからはサボテンを積極的に使っていこうという声明も出しています。世界が注目!」

写真協力:堀部貴紀

●サボテンには知られていないポテンシャルが、もっともっとありそうですね!

「そうなんです! これまでは、今もそうなんですけど、サボテンを食べるっていうことに注目が集まっていたんですね。でも、私が個人的に注目しているのは二酸化炭素の固定です。地球温暖化対策にサボテンが使えるかも知れない、というのに注目しています」

●え〜っ、サボテンが、ですか?

「そうなんです。具体的に言いますと、例えば地球温暖化を防ごうと思ったら、空気中の二酸化炭素を吸収しないといけないんですね。それで植林というのがひとつの選択肢としてあります。木を植えると。ただし、乾燥地だと木が植えられないんですね。でもサボテンだと乾燥地でも植林できる。なので、乾燥地で二酸化炭素を固定できるっていうのがひとつあるんですね。

 しかも最近、実際に昨年の11月にイギリスで、COP26気候変動枠組み条約締約国会議というのがあったんですけど、そこでメキシコの企業がサボテンを使った植林事業、カーボンオフセット事業を実際に紹介しているんです。なので、すでに世界の企業は、サボテンを使ったカーボンオフセットを始めているんですね」

●サボテンって本当にすごいですね!

「すごいです! ついでに私の研究も紹介していいですか?」

●もちろんです!

「ちょうどそこをやっていまして、実はサボテンを二酸化炭素の固定に使うメリットがもうひとつあって、サボテンは空気中の二酸化炭素を結晶化することができるんです」

●結晶化!?

「具体的に言いますと、透明な金平糖(こんぺいとう)みたいな結晶に二酸化炭素を変換しちゃうんですよ。バイオミネラルって言うんですけど、石みたいにしちゃうんですね。そうするとなにがいいかって言いますと、普通の木だと枯れた時に木の中にあった二酸化炭素は全部また逃げていっちゃうんです。
 なので、保持できるのは一時的なんですけど、サボテンだと体に閉じ込めた二酸化炭素の一部が結晶化しているので、サボテンが枯れても出ていかないんです」

●残るわけですね!

「残るんですね、地面に。なので、二酸化炭素の長期固定にサボテンは使えるかもしれないということです。そうすると1000年以上、安定して二酸化炭素を固定できる、そのメカニズム、どうやってサボテンが二酸化炭素を結晶化しているのかとか、その結晶がサボテンの中で何をやっているのかを私は今調べています」

*編集部注:実は堀部さんはつい最近、カンボジアに行っていたそうです。これは日本の企業や政府機関とともに行なう人道支援事業のためで、カンボジアにたくさん残されている地雷原の跡地に、食用になるウチワサボテンを植え、雇用を産み出し、産業を作るというものだそうです。サボテンの可能性がさらに広がりそうですね。

●では最後に、サボテン博士として研究対象であるサボテンから、改めてどんなことを感じていらっしゃいますか?

「そうですね。正直、サボテンに限ったことではないんですけれども、生き物ってすごいなぁっていうことですね。と言いますのは、サボテンについて調べていると、乾燥とか高温に耐えるための仕組みが何重にも存在するんです。

 さっきご紹介した茎の形だったりとかトゲだったりとか、あと根っこの構造なんかも乾燥に強くなるための仕組みが何重にも備わっているんですね。それはサボテンだけではなくて、すべての生き物はそれぞれに特徴的な生きる力っていうのを持っているんです。

 そういうのを見るとすごく感心しますし、なんか元気づけられるんです。生き物は、生きるための仕組みをすごく備えて、よくできているから、多分自分も大丈夫なんじゃないかなみたいに思っているんですよね。勝手に励まされるみたいな感じです」


INFORMATION

『サボテンはすごい! 過酷な環境を生き抜く驚きのしくみ』

『サボテンはすごい! 過酷な環境を生き抜く驚きのしくみ』

 サボテンに興味を持ったかたは、堀部さんの本をぜひ読んでください。サボテンに関する学術的なことも載っていますが、サボテンの初心者のかたが読んでも「へ〜〜っ! そうなんだ〜!」の連続で、面白いですよ。アリゾナやメキシコに調査に行った時の珍道中も楽しく読めます。サボテン・多肉植物のミニ図鑑も掲載されています。ぜひご覧ください。

 ベレ出版から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎ベレ出版HP:https://www.beret.co.jp/books/detail/841

 堀部さんの研究室のサイトもぜひ見てくださいね。

◎堀部さんの研究室HP:https://www3.chubu.ac.jp/faculty/horibe_takanori/

オンエア・ソング 9月25日(日)

2022/9/25 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. LOVE STORY / TAYLOR SWIFT
M2. RING OF FIRE / JOHNNY CASH
M3. JUMPIN’ JACK FLASH / THE ROLLING STONES
M4. RAWHIDE / FRANKIE LAINE
M5. サボテン / ポルノグラフィティ
M6. DESPACITO feat. JUSTINE BIEBER / LUIS FONSI & DADDY YANKEE
M7. ALWAYS ON MY MIND / WILLIE NELSON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

味の記憶は、旅の記憶 〜世界の旅で出会った「食」紀行

2022/9/18 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、フリーライターで写真家の「山本高樹」さんです。

 山本さんは1969年、岡山生まれ。出版社勤務と海外を巡る旅のあと、2001年からフリーランスとして活動、2007年からはインド北部の山岳地帯、標高3500メートルの地に広がるチベット文化圏「ラダック」地方を長期取材。

 その後もラダックの取材をライフワークとし、現地の人たちやその土地の気候風土と向き合い、丁寧な取材をもとに文章を書き、本として出版されています。そして2020年に出版した『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』が第6回「斎藤茂太賞」を受賞。

 そんな「山本」さんが3年ぶりにインド北部を訪れ、先頃帰国されたということで、改めて番組にお迎えすることになりました。

 きょうは最新版のラダックの旅、そして先頃出された本『旅は旨くて、時々苦い』から世界の旅で出会った「食」のお話をうかがいます。

☆写真:山本高樹

山本高樹さん

インド北部、へき地をまわるひとり旅

※山本さんはこの夏に、次に出版する本の取材のためにインド北部を訪れています。3年ぶりの海外ということで、最初は英語のフレーズがすぐに出てこなかったり、荷造りに手間取ったりと、勘が戻らなかったそうですよ。

 今回訪れたのは、山本さんのメイン・フィールド、インド北部のラダック地方ということなんですが、日本から目的地まで、どうやって行ったんですか?

「僕が取材した範囲に関しては、インドの首都デリーまで日本から直行便が飛んでいますので、それに乗って行きました。
 デリーからラダック地方の中心地になるレイという町までは、飛行機で1時間ちょっとで飛ぶので、往路は飛行機でそこまで行って、そのあとはひたすら1ヶ月半ぐらいずーっと車だったりバスだったり、陸路でだいたい1800キロぐらい移動しました。平坦な道は最後の300キロぐらいしかなくて(苦笑)、あとはずっと悪路でしたね」

撮影地 ラダック
撮影地 ラダック

●えぇ〜、そうなんですか。タフな旅でしたね。

「そうでしたね。トレッキングはしなかったので、そういう意味では体力は使わなかったんですけど、ずーっと悪路で揺られている状態だったので、別の意味で体力を使う旅だったのかなと思います」

●行かれたのは8月ですか? 

「7月の中旬から8月の下旬ぐらいまで、1ヶ月半ぐらいという感じです」

●その頃のインド北部はどんな気候なんですか? 

「僕が行った地域は、ほとんど標高が3500メートル以上の富士山ぐらいの標高のところが多くて、日差しは強くて暑いんですけれども、夜は涼しくてクーラーとか全然なくても眠れるような、乾燥してすっきりした気候ですね」

●今回もやっぱり、へき地を巡る旅っていう感じだったんでしょうか?

「そうですね(笑)。本当にへき地ばっかり。ただ、行き慣れている場所ではあるので、新鮮な驚きを持つ旅というよりは、どっちかというと帰省したみたいな感じの(笑)、久しぶりに戻ったなみたいな感じの旅でしたね」

●どのあたりを重点的にまわられたんですか?

「本のための取材という目的があったので、陸路で少しずつ移動しながら、行く先々を少しずつ、町や村の調査をしながらまわってましたね」

●今回もおひとりで行かれたんですか?

「そうですね。僕は職業がライターで、写真も撮る人間なんですね。人件費を余分にかけられないので、写真が撮れなかったらカメラマンさんをお願いするんですけど、僕は自分で撮れるので、より予算を節約するためにひとりで行くというパターンです。どんな仕事でもひとりで取材に行っていますね」

撮影地 ラダック
撮影地 ラダック

忘れられない衝撃の味

※へき地の旅は体力を維持するためにも、特に食事が大事になってくると思いますが、今回の旅で美味しいものとの出会いはありましたか? 

「まわっている中で、スピティというチベット文化圏の、標高4000メートルぐらいのところにあるデムルという村に行ったんですけれども、そこに10年以上前から友達の実家があって、彼の家に泊めてもらったんです。

 昔も食べさせてもらったんですけども・・・その村はたくさん牛を飼っていて、新鮮なミルクでヨーグルトやバター、チーズとか作るんですね。そこで朝ごはんにパンに付けて食べたバターやヨーグルトがすっごいフレッシュで、忘れられない衝撃の味で、本当に美味しいんですよ! 

 標高4000メートルの青い草しか食べていない、牛から採った牛乳で作ったバターとかヨーグルトなので、混じりっけなしのスッキリとした味なんですよ。10年ぶりぐらいに食べさせてもらって、やっぱり感動しましたね」

撮影地 ラダック
撮影地 ラダック

●いいですね〜。今回そのお友達のおうちにずっと泊まっていたんですか?

「その家に泊まっていたのは、3日間ぐらいでした。たまたま彼と連絡がとれて、行っていい? って言ったら、ちょうど今町まで車で来ているから乗っけてってあげるよって言われて、(彼の家まで連れて行ってもらって)泊まったんです」

●本当にそういうフランクな感じで旅をされているんですね。

「行く先々で知り合いの馴染みの宿のおうちに泊めてもらったりとか、友達が車を出してあげるよって言って、乗っけていってもらったりとか、その友達のやっている宿に泊めてもらったりとか、そのパターンがすごく多いですね」

●今回の旅で印象的な出来事ってありましたか?

「その友達の家に泊めてもらった時に、スピティのデムルという村に滞在している最中に、その村で夏の終わりに収穫祭をやるんですけれども、その儀式に立ち合わせてもらったのがすごく印象的でした。

 あまり詳しくは話せないんですけれども、まだマル秘の部分があるので・・・(笑)、すごくいい体験をさせてもらって、いい写真を撮らせてもらって・・・それもたまたま呼んでもらって、たまたまその場に居合わせて、たまたま天気がよくってっていうパターンだったので、本当に運がよかったなと思います」

●次回の本を楽しみにしていますね! 今回の旅を通してインドやラダックの方々に対する思いとか、何か変化はありましたか?

「いや〜どうなんですかね〜。3年ぶりぐらいに行ったので、みんな感動の再会をしてくれると思ったんですけど、全然普通でなんにもなかったです(笑)。あ〜また来たの、みたいな感じで、当たり前のように扱われて、全然なにもなかったですね(笑)」

●ある意味いいですね。家族のような感じでね!

「まったくなんにも・・・親戚に久しぶりに会ったぐらいの感じです(笑)」

撮影地 ザンスカール
撮影地 ザンスカール

旅の記憶は、味の記憶に結びつく

『旅は旨くて、時々苦い』

●山本さんは先頃『旅は旨くて、時々苦い』という本を出されました。私も読ませていただいたんですけれども、「人は旅に出るとそのうちのかなりの時間を食べるという行為のために費やす」と書かれていましたね。それぞれの国で出会った「食」と共に、様々な思い出が綴られていて、情景をすごくイメージしながら、一緒に旅をしている気分になれました。

「ありがとうございます!」

●今回、「食」を切り口にした本を出そうと思ったのは、どうしてなんですか?

「もともと僕30年ぐらい前から、あっちこっち旅を繰り返してきていて、その度にまめに日記とか書いていたので、ノートは全部手元にあるんですね。そういう旅の話を、いつか振り返って書く機会があればいいなと思っていたんです。

 すごく雑多な記憶の集積だったので、何をどうまとめていいのかみたいなところで考えていたんですけれども、ある時、あ! 食べたことの味の記憶っていうのは、意外とその時、経験した旅の記憶と結びついてよく覚えているなと。

 やっぱり味覚って結構、五感全部を使って感じるものなので、そうやって自分の記憶に深く結ぶついた状態で保存されているんじゃないかなと思って、味の記憶を手がかりに記憶を振り返っていくと、たくさん思い出されることがありました。そういうのをまとめていくと、どうなるんだろうと思いついて書き始めたのが、今回の本のきっかけですね」

撮影地 (左)ラオス (右)タイ
撮影地 (左)ラオス (右)タイ

●確かに旅先での食事は、ただ空腹を満たすだけじゃない何かがありますよね?

「そうですよね。成功する時もあれば、あまりうまくいかないこともあったりとか(笑)、こんなはずじゃなかったものが出てきたりとかしますよね」

●それも思い出になりますよね。

「そうですよね。よく覚えていたりとか・・・あとトラブルにあってすごく困っている時に食べた物ってよく覚えているじゃないですか」

●確かににそうですね。

「逆に誰かに助けてもらった時に食べさせてもらった物もすごくよく覚えているし、そういう物ってずーっと思い続けていくと思うんですよね。そういうのを手がかりに本を、文章を書いてみたらどうだろうって思ったのが、この本のスタートラインだったというところです」

ドイツの安いパンと、ラダックのコーヒー

※この本に載っているエピソードから、いくつかお聞きしますね。「スーパーでいちばん安いパンとベルリンの壁」という記事がありましたが、これはどんなお話なんですか?

「これはひとつふたつ前の話から始まるんですけど、中国を旅したあとに、同じ最初の海外旅行の時に、北京からモスクワまでシベリア鉄道に乗ったんですね。

 その時にたまたま同じコンパートメントになったドイツ人の若者がいて、僕とほぼ同じ歳ぐらいの人で、僕がベルリンに行くと言うと、彼がベルリンに来たらうちの大学の学生寮に泊めてあげるよって、夏休みだから空いている部屋あるから来い来い、って言ってくれて、僕はバカ正直に本当に行ったんです。

 住所を頼りに出かけて行って、彼のところに1週間ぐらい泊めてもらって、居候させてもらった時の話を書いたんですけれども、今考えると、すごいなと(笑)、無茶やっているなと思うんですけどね。

 その時に彼の住んでいた学生寮のすぐ近くにスーパーマーケットがあって、彼に案内してもらって、毎朝、朝ご飯に食べるパンとか、間に挟むハムとかをそこで買っていたんです。彼がいちばん安いパンがいちばん美味いぞ! って言ってくれて、確かにいちばん美味しかったんですね(笑)。

 ドイツなのでパンがとても美味しくて、しかもいろんな種類のパンがスーパーに山積みになっていて、店の中にパンの焼きたての香りがふわ〜っと漂っているんです。その中でいちばん安いパンを3つ4つ買って、持って帰って半分に切って、サワークリームを塗ったりハムを挟んだり、みたいな形で食べていたっていうのを思い出して・・・」

●いいですよね〜。

「そういう話はやっぱりよく覚えているんですよね。あの時に食べたパン、美味かったなぁ〜みたいな感じで、なんか似たような匂いとか嗅ぐと、あ! あの時のあれ! みたいな感じで思い出したりとか、そういうことありますよね」

●そうですよね。記憶が蘇ってきますよね〜。あと「スノーキャップ・カプチーノと勉強の日々」、こちらはインドのお話でしたけれども・・・。

「そうですね。今年の夏も行ったラダックという場所での話なんです。僕は2007年から1年半くらい足掛け、時間をかけて、ラダックで長期取材をしていた時期があって、それはラダックについて本を書こうと思い立ったからなんですけれども、そのためには現地の言葉を学ばなければということで・・・」

●ラダック語、ですよね?

「チベット語の方言で、チベット語とも少し発音が違うんですけれども、とにかく学ぶしかないと。ちょっとでも現地の人に近づきたいなと思って・・・やっぱり現地語を喋れると現地の人の心のハードルも下がるので、なんとかしてそういう技術を身につけたいと思っていました。

 時間だけはあったので、取材に行かない時に、町にいる時にはずっと勉強していたんです。その時によく通っていたお店の、当時はまともなコーヒーを出してくれる店が、そのレイという町にはあまりなくて、貴重なカフェインを摂取しながら、勉強していた時期を思い出しながら書いた文章ですね」

●「砂漠に降る恵みの雨のような存在」っていうふうに本に書かれていましたね。

「お店の名前が「Dessert Rain Café(デザートレインカフェ)」という名前だったんですね。もう今は閉店してしまったんですけど、あの頃あのお店の中で涼しい風に吹かれながら勉強していた日々を今でもよく覚えています」

(編集部注:山本さん流の美味しいご飯の探し方として、行った先でぶらぶらしながら、地元の人たちが集まっているお店に入って、おじさんたちが食べているものを注文するそうです。ほかにも宿のおかみさんが作ってくれる「おうちごはん」的なものがいいとのことでした。つまり土地の人が食べているものが、いちばん美味しいということなんですね)

※今まで旅先で食べたもので、強烈に印象に残っているお料理はありますか?

「またラダックで食べた物なんですけれども、トレッキングに行っている時に食べさせてもらった”トゥクパ”って言って、すいとんとか、ほうとうみたいな感じで、小麦粉を練ったものを汁で煮込んだ料理があるんですね。

 ガイドしてくれた男の人がきょうはヤクの干し肉があるぞ! って言ってくれて・・・ヤクは毛長牛という、ヒマラヤの高地に住んでいる毛が長い牛なんですけど、その肉が美味しいんです。さらにそれを干し肉にしているものがあって、それをトゥクパにして煮込むと素晴らしい旨味が出て、お肉自体もホロホロに美味しくて、それはすごく美味しかったですね。
 干し肉は、ラダック人でも高地に行って遊牧民と交渉して、もしあったら買ってきてくれって言われるぐらいすごくレアなものらしくて、とても美味しくいただいた記憶です」

撮影地 ザンスカール
撮影地 ザンスカール

時々いただけるご褒美

※都会で暮らしていると、食材は買ってくるもので、お腹が空けば、食べるものはすぐ手に入ります。でも山本さんが取材に行くへき地では、そうはいきませんよね。

「そうですね。まず大地を耕しタネを蒔くところから始めますからね」

●そうですよね〜。やっぱり現地では食材は育てる物、収穫する物っていう感じなんですか?

「全部が全部、もちろんそうではなくて、やっぱり近代化に伴って外部から輸入している物だったりとかもたくさんあるんですね。でもやっぱり伝統的な料理であったり、そもそも生活を支えている基盤は、農業だったり牧畜だったりしている部分が未だにたくさんあるので、その辺はすごく大事にしているというか、生活に根ざしている、生きるために働いているっていう感じがすごくあると思います」

●食べることと生きることが直結しているんだろうなっていう印象があるんですけれども、実際にいかがですか? 感じられることはありますか?

「やっぱり旅に出ると、食べることと生きることの結びつきみたいなものが、すごく解像度が上がったように感じられる部分があると思うんですよ。

 路頭に迷ったら困るじゃないですか。泊まる宿が見つかんなかったり、どこかでご飯を食べようと思ったら、お店が全部閉まっていたりとか、ストライキかなんかでとか、実際にそういうことが時々あるんですね。

 そういう時に、どうしようって思った時に、たまたまご飯を見つけられたりとかすると、あ〜食べる物があって良かったなってしみじみ思いますし、お腹を壊して辛い時に、だれか優しい人がお粥とか作ってくれたりすると、なんかそれもしみじみ美味しかったりしますよね。

 そういう時にありがたみを感じることがあるので、やっぱり旅は僕たちが生きている、当たり前のことをわかりやすく示してくれる効能があるのかなって思いますね」

●山本さんは旅をされていて、どんな瞬間に幸せを感じますか?

「どうですかね〜。人によっていっぱいあると思うんですけど、今回に関しても自分が想像もしていなかった時にとてつもないギフトを貰える時があって、あまり詳しくは話せないんですけど・・・(笑)。

 今までの旅でも、本当に奇跡なんかじゃないかと思うような瞬間に立ち会えることがあったりしたんです。それは狙って体験できるものでは、絶対ないんですけれども、ずっと現地のことを見守り続けていると、時々そういうご褒美をもらえることがあるのかなと思える時があります。

 そういう自分がいただいたものを、僕は物書きであったり写真家であったりするので、ひとりでも多くの人に本という形で伝えていけたらなと思っています」

☆この他の山本高樹さんのトークもご覧下さい


INFORMATION

『旅は旨くて、時々苦い』

『旅は旨くて、時々苦い』

 30年以上、世界を旅してきた山本さんが訪問先で出会った「食」をテーマに書き上げた本です。味の記憶とともに綴られた旅の紀行文を、じっくり味わうことができますよ。ぜひ読んでください。「産業編集センター」から絶賛発売中です。
 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎「産業編集センター」HP:https://www.shc.co.jp/book/17377

 本の出版を記念して、鎌倉市大船の書店「ポルべニール ブックストア」で現在、ラオス写真展と、世界の食文化フェアが開催されています。会期は10月3日まで。ぜひお出かけください。
 詳しくは「ポルべニール ブックストア」のサイトをご覧ください。

◎「ポルべニール ブックストア」HP:https://www.porvenir-bookstore.com/

 山本さんのオフィシャルサイト「ラダック滞在記」そして個人サイトもぜひ見てください。

◎「ラダック滞在記」HP:https://ymtk.jp/ladakh/

◎山本高樹さんの個人サイト:https://ymtk.jp/wind/

オンエア・ソング 9月18日(日)

2022/9/18 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. THE SUN WON’T SET / ANOUSHKA SHANKAR & NORAH JONES
M2. 500マイル / 忌野清志郎
M3. FRIEND OF A FRIEND / FOO FIGHTERS
M4. MORE THAN A FEELING / BOSTON
M5. 旅路 / 優河
M6. HELLO GOODBYE / THE BEATLES
M7. A GIFT / BASIA

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

不思議で面白い!生き物の「りくつ」

2022/9/11 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、京都女子大学・教授、
そして動物行動学者の「中田兼介(なかた・けんすけ)」さんです。

 中田さんは1967年、大阪生まれ。子供の頃から生き物好きだったそうですが、ご本人曰く、昆虫少年ではなく、普通の子供だったとか。専門は動物の行動学や生態学で、おもにクモの研究をされていて、「クモ博士」として知られています。

 そして先頃、中田さんも所属する「日本動物行動学会」から動物行動学を広める活動や以前出版された『クモのイト』という本が評価され、賞を授与されています。

 きょうはそんな中田さんに、生き物たちの摩訶不思議な生態や、クモの驚くべき営みのお話などうかがいます。

☆写真協力:中田兼介、ミシマ社

中田兼介さん

「りくつ」に込めた思い

※中田さんは先頃『もえる! いきもののりくつ』という本を出されました。本のタイトルに「りくつ」と入れたのは、どうしてなんですか?

「生き物って、やっぱり僕らと全然違いますやん。僕ら人間は、なんとなく自分と違うものを、ちょっと遠ざけたりとか下に見たりとか、そういうことをしがちでしょ? 
 やっぱりそれって生き物好きとしては悲しいじゃないですか。違うものでも受け入れてもらおうと思ったら、相手もちゃんと理由があって、合理的なもんなんだっていうことがわかれば、ちょっと違うから嫌だ、みたいなところが和らげられるかなと思って、そこの部分を”りくつ”っていう言葉に込めたんですけどね。

 全然違う生き物でも、相手がなんでそうしているのかがわかれば、ちょっと近づけるじゃないですか。そういうことです。

 人間でもそうでしょ? 全然知らん人がやってきて、なんかわけのわからんことをやっていても、話を聞いてみると、この人こういうことしてんねんやって思ったら、ちょっと近づけるかなっていう感じですね。そういう言葉を“りくつ”っていう言葉に込めたんですね。理屈って、ちょっと堅苦しいなみたいに思われるところがありますけど、まぁそう言わんとっていうところですね」

『もえる! いきものの りくつ』

●この本では81編の生き物たちの面白い生態が紹介されています。その中から気になった生き物についてうかがっていきたいと思います。まずはタツノオトシゴが”イクメン”とありましたが、そうなんですか? 

「はい、オスのお腹に育児嚢(いくじのう)っていう小さな袋があるんです。で、メスがその袋の中に卵を産み付けるんです。そうすると、卵からかえって小さなタツノオトシゴが育つまで、時間が掛かるんですけど、その間はお父さんがお腹の中で子供を守っている、育てるっていうんですかね」

●オスが妊娠しているみたいな感じっていうことですか? 

「そうです、そうです。で、お腹の中でかえると、ある程度大きくなったタツノオトシゴがたまってくるんだけど、それをギュッとお腹から噴き出させるんです。だからオスが出産するっていうんですかね(笑)」

●すごい! そういう世界がタツノオトシゴにはあるんですね。

「魚の中にはオスが子育てをする、卵を守るっていう種類は結構いるんです」

●メスはその間は何をしているんですか?

「メスは、ほかのオスを探しに行きます」

●え!? そうなんですか。

「だから、逆ですよね(笑)」

卵が育つ場所で性別が変わる!?

※新しい本には、中田さんがご自宅で飼っているイシガメの話が載っています。卵から孵化する子ガメがオスになるのか、メスになるのか、何が作用して、オス・メスが決まるのか教えていただけますか。

写真協力:中田兼介、ミシマ社

「カメの仲間って、特にイシガメとかそうなんですけど、卵が育つ場所の温度でオスになるかメスになるかが決まるんです」

●温度が高ければ・・・?

「高いとメスで、低いとオスになります。これ”温度性決定”って言うんです。温度によってオスかメスかの性が決まるっていう意味なんですけど、結構こういうことをする動物はほかにもいて、爬虫類では割といますし、そのほかにも結構いますね」

●例えばオスが欲しいな、なんて思ったら、卵が置かれた場所の温度を低くすれば、オスが産まれる可能性が高いってことですか? 

「そうですね。うちで産まれてくる子ガメって、結構オスばっかりなんですよ」

●ということは、温度が低いってことですか?

「多分温度が低いところに産んでいるんでしょうね。ここ3年くらい毎年、子ガメが産まれているんですけど、最初の頃はオスばっかりやったんです。最近ちょっとメスが混じってきているなっていう感じで、暑い夏やからかな〜とか・・・本当かどうかわかりませんけどね(笑)」

●面白い〜! 温度によってどうして性別が変わるんですか? 

「それは卵が成長していく時に、そうなるようなメカニズムがあるんですけどね。オスになるのかメスになるのかっていうのは、僕ら人間は遺伝的に決まっていますけど、そんなにカチッとしたものじゃないんです。

 遺伝的にはっきり決まっているっていうわけでもないですし、魚の中には性転換するものもいて、若い時はメスだけど、歳をとってくるとオスになるとか、体の中が作り変わるとか、そういうことをするのもいるので、僕らが思っているほど(性別は)ガチっと固まっているものじゃないんです」

つられ「あくび」には意味がある!?

※新刊の『もえる! いきもののりくつ』には「つられあくびのライオンたち」という話が載っていましたが、動物もつられてあくびをするんですね。 

写真協力:中田兼介、ミシマ社

「そうですね。結構そういうことが知られている生き物もいますね。猿の仲間とか、豚とか犬とか、うつるみたいですね」

●あくびしているのを見ると、別に眠いわけではないのに勝手に出ちゃいますよね。

「そうですね。そういう動物ってみんな社会で暮らしているから、なんていうか気持ちを同調させるっていうかな、そういう効果があるんじゃないかっていうことを言ってる人もいます」

●ライオンもそうなんですね。

「ライオンもそうだっていう話で、ライオンの場合は誰かがあくびをしたら、ほかにうつるだけじゃなくて、立ち上がったら一緒に立ち上がることもあるみたいで、やっぱりそれが同調の、みんなで気持ちを一緒にするような効果があるんじゃないかっていう、そういう話です。

 ただね、あくびをなんでするかって、ほかにもいろんな説があって、脳を冷やすっていう話もあるらしいんですよ。大きく息を吸うでしょ。そうしたら冷たい空気を取り入れて喉を通すと、喉に血管が走っているから、その血管が冷やされて脳が冷やされるという話があってね。脳の大きな動物ほど、あくびがたくさん出るっていう話もあって・・・いろいろあるみたいなんですけどね」

写真協力:中田兼介、ミシマ社

●へ〜! あと、シマウマのシマの謎、これもすごく意外だったんですけれども、ぜひこちらも説明をお願いします。

「シマウマになんでシマがあるかって不思議じゃないですか。昔は、彼らサバンナにいるから、草がいっぱい生えていて、草の陰に自分の身を隠すために役立つんちゃうかっていうようなことを言われていたらしいんです。

 ところが調べてみたら、病気を媒介するハエがいるところにシマウマがおるでっていう話があって、ひょっとして病気にならないために、ハエを寄せ付けないためにシマができたんちゃうかって考え始めたんですって。なんでそんなことを思い付いたんか、僕も分からないんですけど(笑)、そういうことを思い付いた人がいて、調べてみたらシマ模様にはハエがとまりにくいらしいんですよ。だから病気になりにくいって効果があるみたいですね」

●シマシマ模様は虫対策ってことですか?

「そういう話らしいんです。ちょっと不思議ですよね。なんか聞いたところによると、黒い部分と白い部分があると、太陽の光を受けて温まるところと、あんまり温まらないところってできるでしょ。それで微妙な気流が生じてハエがとまりにくくなってんちゃうか、みたいなことを言ってる人もいるんです。
 
 ホンマかどうか、こういうのっていろんな論文に書かれているんですけれども、論文に書かれているだけで、即本当かっていうとそれは必ずしもそうではないので、なるほど、こんな説もあるんだなくらいの形で聞いとく感じですね」

クモのギョッとする生態

※中田さんはおもにクモを専門にされているということですが、具体的にはどんな研究をされているんですか?

「最初の頃は網(蜘蛛の巣)の作り方をずっとやっていたんですけど、最近は交尾行動で、なかなかエグいことをするのがいるんですよ、クモの中には。ギョッとするような交尾行動を研究しています」

●クモは、私は正直苦手なんですけど(笑)、クモの研究はどうですか、面白いですか?

「そうですよね(笑)。(クモの研究は)面白いですよ、結構複雑なことをいっぱいしてくれるので、見ていて飽きないですね。網を張るクモはどこかへ行かないんですよ。だから同じ場所で割と長いこと1匹を見続けることができて、いろんなことがわかるんですね」

●そもそもクモは、どうして巣を作れるんですか?

「なんて言うんですか・・・もともと体の中にそういうプログラムを持っているみたいで、体から糸を出すんですけど、その糸を組み合わせて、自分の種類に応じた形の巣を作るんですね。だからどうしてっていうのは・・・これで答えになっていますかね(笑)」

ギンメッキゴミグモの巣。見事です!
ギンメッキゴミグモの巣。見事です!

●縦糸と横糸で強度が違う、なんてことも聞いたことがあるんですけど・・・?

「そうですね。いろんな種類の糸をクモは出すことができて、種類によっていろいろなんですけど、最大で7種類の糸を持っているんです。その中には強い糸もあるし、ネバつくのもあるし、すごく伸びるっていうような糸もあって、用途に応じて使い分けているっていう感じなんですね」

(編集部注:クモの糸の特性を研究し、微生物を使ってタンパク質素材を量産、そして作られた糸を使った繊維製品が開発されているそうですよ。今後も注目です)

●先ほど中田さんが、ギョッとする行動をするなんておっしゃっていましたが、どんな行動をするクモなんですか?

「オスとメスが交尾をするんですけど、その時にオスがメスの交尾器を壊して、今後使えなくして去っていくんです。

 オスの側からすると、今交尾したメスが自分の子供を確実に産んでくれるかって分からないんですよ。自分が離れたあとに別のオスがやって来て交尾すると、このメスが産む卵がほかのオスの卵になっちゃうかもしれない。それを防ぐために交尾器を壊しちゃうんです。使えなくしちゃうんです。
 そうすると、そのあと交尾はできなくなるんですけど、卵は産めるので、自分が後尾したあとの子供は、全部自分のものみたいな・・・(笑)」

●へぇ〜すごい〜!

「ちょっと、人間の目からするとギョッとするんですけど・・・」

※先ほどクモの糸のお話がありましたが、その強度はどれくらいなんですか?

ギンメッキゴミグモ
ギンメッキゴミグモ

「クモの糸は自然界にあるやつは、めちゃくちゃ細いので・・・あの細いのがそれなりの太さになっていれば、結構強いんです。鋼鉄ぐらいの強さはあります。ここで強さって結構面倒臭くって、切るのにどれぐらいの力が必要かっていう話で言うと、鉄と同じぐらいなんですよ」

●すごい強度ですね!

「それだけじゃなくて、クモの糸は伸びるんですよ! 切るのに力がいるのに加えて伸びるんです。

 伸びるとなにがいいかと言うと、虫が飛んできた時にぶつかりますよね、糸に。ぶつかった動きを止めるためには、鉄やったら鉄自体が壊れる割れるとか、そういうことになるんですけど、糸は伸びるから、ぷにょーんって変形して、また伸びたもんが元へ戻る時に動きを止められるので、糸は切れずに止められるんですよ。

 これ結構クモにとっては便利で、昆虫がぶつかるたびに糸が切れて、網が壊れていたら餌が獲れなくなるんで、そこがいいところですね」

写真協力:中田兼介、ミシマ社
チュウガタコガネグモの巣。X字状に見える部分は、ほかの糸とは違い、
よく光る糸で作られているそうです。昆虫をおびき寄せる働きがあるらしいと
クモ博士・中田さんに教えていただきました。クモの世界は摩訶不思議!

(編集部注:クモの糸が強くて伸びるというお話で、映画のスパイダーマンを思い浮かべたかたもいらっしゃると思いますが、クモ博士の中田さんは2012年公開の『アメイジング・スパイダーマン』のワールドプレミア、そのYouTubeの生中継にコメンテーターとして登場されたそうですよ。映画好きでクモ好きな中田さんだからこそのエピソードですね)

人間の外側にものさしを持つ

※生き物の生態を知ることは、人間そのものや、人間社会を知る手がかりにもなりますよね?

「なんて言うんかな・・・自分のことを知りたいって思った時に、何かものさしってっていうか基準が必要だと思うんですよ。自分のことを知りたいと思った時に、ほかの誰かと比べてみて、あっ、僕はあの人と比べて、ここが違うから僕はこういう人間なんやと思うと思うんですね。

 人間ってなんやろなと思った時に、人間じゃないものを見て比べる、そういうことをすることが、自分自身を、人間を、理解するひとつのやりかたになるんちゃうんかなと思っているんです。

 生き物のことを知るっていうのは、人間の外側に何かものさしを持つっていうのかな、そういうことになるんかなと思っています」

●中田さんご自身も生き物たちの行動から学ぶことも多いですか?

「あ〜いやぁ〜、生き物は僕らと違いますから、学ぶとかっていうんじゃないです。生き物がこういうことするから、僕らもっていうのは、それはちょっと違うと思うんです。彼らは彼らだし、僕らは僕らだと。違いがあって、違いがあるけど同じ環境、地球をシェアしている仲間ですからね。そういうものとして、自分たちを位置付けられるようになればいいなって思いますけどね。学ぶっていうのはちょっとなんか違いますね」

●では最後に長年、生き物たちを見てきて、どんなことを感じられていますか?

「なんだろうな・・・いろいろあるんで・・・生き物に対してというか、自分の人生が短すぎるなとよく思います。
 僕30年以上も研究しているんですけど、それでわかったことなんて、本当にちょっとしかないんですよ。いろんな生き物がやっていることのちょっとだけしかわかっていなくて・・・まだまだたくさんあるのにね。
 自分の寿命が1万年ぐらいあったら、もっと面白いことがわかるのにな〜と思っています」


INFORMATION

『もえる! いきものの りくつ』

『もえる! いきものの りくつ』

 中田さんの新しい本をぜひ読んでください。世界の動物行動学者たちの最新研究をもとに、中田さんがわかりやすく解説した、生き物の不思議で面白い生態が81編、載っています。中田さんのキャラクターも垣間見られて、楽しく読めますよ。各解説の最後にQRコードが載っていて、その話のもとになっている論文にリンクしています。

 「ミシマ社」から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎「ミシマ社」HP:https://mishimasha.com/books/9784909394729/

 動物行動学に興味を持ったかたは中田さんも所属する「日本動物行動学会」のサイトもご覧ください。

◎「日本動物行動学会」HP:https://www.ethology.jp/

オンエア・ソング 9月11日(日)

2022/9/11 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. ANIMAL INSTINCT / THE CRANBERRIES
M2. MY BEAUTIFUL CREATURE / CURLY GIRAFFE
M3. A CHANGE IS GONNA COME / AARON NEVILLE
M4. ZEBRA / THE JOHN BUTLER TRIO
M5. チノカテ / ヨルシカ
M6. TIL KINGDOM COME / COLDPLAY
M7. HOW WILL YOU KNOW / BECCA

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第8弾!「目指せ! プラスチックフリーのライフスタイル!」

2022/9/4 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第8弾!「目指せ! プラスチックフリーのライフスタイル!」。

 ゲストは、情報サイト「プラなし生活」を運営されている「中嶋亮太(なかじま・りょうた)」さんと「古賀陽子(こが・ようこ)」さんです。

 中嶋さんは実は、国立研究開発法人「海洋研究開発機構」JAMSTECの研究員で、海洋プラスチックの調査・研究をされていて、2年ほど前にもこの番組にご出演いただきました

 古賀さんは、プラなし生活を実践している主婦として、主婦目線で見つけたプラごみを減らすアイデアや優れものの生活雑貨などの情報を発信されています。

 きょうはおふたりが先頃出された本『暮らしの図鑑 エコな毎日』をもとにお話をうかがっていきますが、今回は国連サミットで採択された「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「つくる責任 つかう責任」そして「海の豊かさを守ろう」について考えていきましょう。

そして今週はプレゼントがありますよ。先頃、おふたりが出された本『暮らしの図鑑 エコな毎日』を、抽選で3名のかたにプレゼント! 応募方法はこちら

『暮らしの図鑑 エコな毎日』

 お話をうかがう前に、プラスチックフリーの生活を目指すための基礎知識。

 あなたのおうちにプラスチックで作られたもの、たくさんありますよね。実は、毎年作られるプラスチックの4割近くは、食品トレーやポリ袋などの容器包装、いわゆる「使い捨てプラスチック」なんだそうです。

 日本は、ひとりあたりが消費する容器包装プラスチックの量は、世界第2位。確かにスーパーに行けば、ほとんどの食材がプラスチックで包まれていますよね。

 でも、プラごみを捨てるときは、リサイクルのために、ちゃんと分別しているから、問題はないと思っていたんですが、日本ではプラごみのおよそ70%は焼やしていて、日本国内でリサイクルされているのは、わずか8%ほどだそうです。

 世界の海に流れ出ているプラごみは2050年には魚の量を超えるとも言われています。自然環境では分解されることがほとんどないプラごみ、少しでも減らさないと、近い将来、地球は「ごみの星」になってしまうかも知れませんね。

☆写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

おうちですぐ減らせるプラごみ

※それでは中嶋さんと古賀さんにお話をうかがいます。本に掲載されているアイデアやヒントの中から・・・まずは、生ごみを、ポリ袋ではなく、新聞紙で作ったごみ袋にためて処分することを提案されていますが、新聞紙のごみ袋はすぐ作れそうですね

中嶋亮太さん・古賀陽子さん

古賀さん「そうですね。慣れたらひとつ20秒くらいで作れるんですよ。新聞紙にはすごくメリットがあって、ポリ袋だと通気性がないので悪臭がして、虫が寄って来やすくなるんですけど、新聞紙だとそういうことがほとんどなくて、ものすごく快適に生ゴミの処理ができますね。

 あとは新聞紙って自然に乾いていくので、焼却する時のエネルギーも少なくて済みます。生ごみの80%が水分って言われているので、少しでも省エネに役立つんじゃないかなと思っています」

●本にはイラストで作り方が載っていました。必要なものは新聞紙1枚、大きなサイズでも新聞紙が2枚あれば作れる、本当に簡単なものですよね。

古賀さん「そうですね。新聞紙を持っているかたは、ぜひ作ってみていただきたいなと思っています」

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

●あと台所でもお風呂でも、固形の石鹸を使うことを推奨されていましたけれども、固形を使うメリットは、どんなところにあるんでしょうか? 

古賀さん「液体の洗剤だと、ボトルとか詰め替えパックがプラスチックのごみになるんですけど、固形の場合は紙包装のものもあるし、仮にプラスチック包装だとしても、すごく小さなごみだけで済みますよね。

 あと成分的にも優れていて、石鹸の成分が凝縮されているので洗浄力は高いですし、液体に比べて、刺激の強い成分とか保存料なんかもほとんど入っていないので、洗浄力は高いのに肌に優しいっていうのがすごくいい点です」

●油汚れが落ちにくいイメージだったんですけど、そんなことはないんですね。

古賀さん「そうですね。使い方にちょっとコツがあるんですけど、最初にギトギトした油汚れは、あらかじめいらない布とかで拭き取って洗ってもらうと、すごく綺麗になりますね。

 石鹸で洗ったあとも水を張ったタライにつけないほうがいいです。なんでかって言うと、泡の中に閉じ込めた油がタライの水の中に広がっちゃうんですよね。それでほかの食器が汚れちゃったりするので、ためすすぎはせずに一個一個洗っていったほうが綺麗になりやすいです」

●食器洗い用のスポンジは、プラスチック製のものだとダメなんでしょうか?

中嶋さん「プラスチック製のスポンジやタワシは、だいたい使っているうちに小さくなってきたりするんですけど、あれってプラスチックが削れて、微小なマイクロプラスチックになって下水に流れているんですよね。だから使っていくうちにどんどん環境を汚染していくことになるんですよ。なのでプラスチック製のスポンジやタワシを、天然素材に代えることがとってもおすすめなんです」

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

●例えば、どんなものがいいんでしょうか?

中嶋さん「例えば木綿で作られたガラ紡のふきん、よく『びわこふきん』って名前でも売っているんですけど、これがとってもよく落ちるんですよね。
 あとは、ちょっと焦げ付きのものとかであったら、白のタワシ、天然素材でできたタワシもよく落ちます。それだけあれば、まったく困ることないですね」

(編集部注:先ほど、固形洗剤のお話がありましたが、古賀さんによると髪の毛がさらさらになる美容成分の入った固形シャンプーがあるそうですよ。
 また、食品用にたくさん使ってしまうラップ、これもすぐごみになってしまいますよね。『暮らしの図鑑 エコな毎日』には、みつろうラップなどで代用するアイデアが載っていますので、ぜひ参考になさってください)

洗濯バサミをステンレス製に

※本ではステンレスの洗濯バサミやハンガーが紹介されていました。プラスチックより、ステンレスのほうがいいということなんですね?

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

中嶋さん「小尾さんの家に多分、プラスチック製の洗濯バサミがあるかもしれないんですけど、使っているうちに割れますよね。あれ、実はプラスチックが劣化して割れて、そのうちマイクロプラスチックになって、一部が飛んでいって、その割れた小さなプラスチックの破片はずっと消えずに環境に残るんですよ。

 どうしてもプラスチックって劣化していく、特に外に置いてある洗濯バサミは青い洗濯バサミが多いですよね。なんでかって言うと、青いと劣化の要因となる紫外線をちょっとはね返すことができるんですよ。だから劣化を少しでも遅らせるために洗濯バサミを青くするんですね。

 洗濯バサミだけじゃなくて、外に置いてあるバケツも青いですよね。外に置いてあるコンテナとかも青いですよね。ごみ箱も青いと思います。それはみんな劣化を遅らせるためなんですけれども、やっぱりどうしても、使っているうちに白っぽくなっていきますよね。あれは色が抜けていって、それで劣化して割れてしまうんです。
 なので、そういった心配がないステンレス製に代えていく、洗濯バサミもステンレス製に代えれば、ずっと劣化することなく使えますので、とってもおすすめですよ」

●毎日使うものですよね。あとトイレットペーパーを箱買いするというアイデアも載っていました。これはどんなメリットがあるんでしょうか?

古賀さん「小分けで売られているトイレットペーパーもプラスチック包装されていて、消耗品なのでよく買うし、その度にかさばるごみが出てしまいますよね。
 いろいろ探してみると業務用のトイレットペーパーを見つけまして、ダンボールに40個ぐらい入っていて、ひとつひとつの包装、紙包装も何もないんですよ。そのままきっちり入っていて、売られているんですね。

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

 そういったものを買って(トイレットペーパーを)一度にまとめ買いしちゃって、たくさんあるのでティッシュペーパーの代わりにもなるんですよ。例えば鼻をかんだりとか、油汚れを拭く時に使ったりもできますね。使う分だけちぎって使えるので無駄がないですし、あとは災害時とか緊急事態の時の備蓄にもなるので安心感もありますね」

●お掃除用の洗剤の代わりに、重曹やクエン酸が大活躍とも書かれていましたね。

古賀さん「はい、以前は私もいくつも専用の洗剤を買っていました。いろんな種類があるから、収納も結構大変なことになってたんですけど、家の汚れって、実はそんなに大したものがなくて、重曹とかクエン酸で十分綺麗になるんですよね。

 例えば、台所の油汚れも重曹を溶かしたスプレーをかけておいたら落ちますし、焦げなんかも、重曹は研磨剤の代わりにもなるんで、それを振りかけて擦れば綺麗になりますし、本当にいろんなところに使えますね」

長く続けることが大事

※プラスチックをなるべく使わない生活をしようと思っても、私たちの身のまわりには、プラやビニールがあふれていますよね。やっぱり無理! と思ってしまうかたにアドバイスするとしたら、どんなことがありますか?

古賀さん「確かに自分ひとりではどうにもならないことってたくさんあって、社会が変わらないといけない面もほんとにたくさんあると思います。でもだからといって、何もできないってことはないと思うんですよね。

 まずは自分の生活を振り返ってみて、変えられるところから始めてみてほしいんですよ。でも完璧にやるっていうことよりも、長く続けることのほうが大事なので、ほんとに小さなことでも長く続けていけば、大きな成果になっていくと思います。

 あとは企業とか、お住まいの地域の自治体に対しても、もっとこういうものがあったらいいなとか、こんな仕組みができたらいいのにっていう要望を伝えていくってことも大事になってきますね」

●主婦のかたですと自分ひとりが気をつけていても、ちょっと主人がとか、息子がとか、いろいろなことがあると思うんですけど、家族みんなで意識を変えるいい方法はありますか? 

古賀さん「私も最初は結構突っ走って(笑)、理屈っぽくなったり押し付けみたいな感じになってしまった時がありましたね。でもいくら正論を言ったところで、分かっているけど、ついていけないみたいな感じ、反感をかってしまうことがあるので、そういうのは一切やめましたね。

 今は、私はこういうことが気になっているとか、私はこういうことが好きっていうのをさりげなく言ったりしています。なので、ふとした時に周りが、家族が気をつけてくれることが、ちょっとずつ増えてきたような感じがしますね。

 あとは家族が興味のあることにリンクさせていくといいかなと思います。例えば、可愛いものが好きなら、海のプラごみで作った綺麗なアクセサリーの話をしたりとか、何か欲しいものがあるんだったら、エシカルな商品を一緒に見たりとか、そこから話題が広がっていったりもしますね」

中嶋さん「さっき話していた新聞紙で作るごみ袋は、子供のお小遣い稼ぎにとっても良くて、1枚作ったら10円とか。そうすると子供たちは楽しみながら作って、その時になんでこうやって(新聞紙のごみ袋を)作らなきゃいけないのっていう話をしたりすると、どうして問題なのかを自然に分かってくれたりしますよね。子供ってとっても敏感なのですぐ理解してくれたりします」

●確かに楽しみながら学べるのは素晴らしいですよね。おふたりはプラなし生活をしてみて、どんなことが喜びとして感じますか?

古賀さん「私は普段使うものに愛着がわくようになりましたね。しっかりひとつひとつ選んで、質のいいものを長く使うことに気をつけていると、ひとつひとつのものに愛着がわいてきて、そういったものを使いこなせていることにも自信がつきますね。なので、使い捨てのものをちょいちょい買う無駄もなくなったっていうのがよかったなって思っています」

中嶋さん「私の場合は、間違い探しでもなくてパズルでもないですけど、“あ! こんなところもプラスチックが使われている”っていうのを見つけて、“これはこれに代えられるじゃん”っていうのを見つけた時の喜びは、僕も古賀さんもとっても大きいですね」

●エコな商品は価格がちょっと高いイメージがあるんですけれども、購入をためらうかたに声をかけるとしたら、どんな声をかけますか?

古賀さん「無理に高いものを買う必要はないですし、一気に買い換える必要はないと思うんですね。今、家にあるプラスチック製品で、まだ使えるものは大事に使い続ければいいと思いますし、新しく買い換える時にひとつずつじっくり選んで欲しいですね。
 今は価格が高くても購入者が増えると、ロット数も増えて価格が下がることもあるので、長い目で見て計画的に切り替えてもらうと無理がないかなと思います」

日本近海は、ごみの溜まり場!?

※海洋研究開発機構JAMSTECで海洋プラスチックを調査・研究されている中嶋さんにお話をうかがいます。2年ほど前にご出演いただいたあと、なにか新たな発見などありましたか?

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

中嶋さん「はい、前回小尾さんと話した時は、深海の水深約6000メートルの海底に行った時の話をしましたよね。なぜあの調査をしたかというと、プラスチックごみが行方不明になっているのが問題だったんですね。

 ひとことで言うと、海にはたくさんのプラスチックごみが流れ込んでいるんですけど、実は海面にぷかぷか浮かんでいるごみって、全体の1%くらいしかなくって、残り99%はどこかに行っちゃっている、行方不明になっているというのが問題だったんです。

 おそらくほとんど深海に沈んでいるんじゃないかってことで、深海の調査を開始したわけです。前回小尾さんにお話しした時は、水深約6000メートルの海底のごみの調査をした時のお話しをしたんですけども、新たに分かったことは、前回調査した房総半島から500キロメートルぐらい離れた、陸からすごく離れているところの海底に落ちていたごみが、世界でもトップクラスに多かったっていうことがわかったんですよ」

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

●えぇ〜! 世界でトップクラスですか?

中嶋さん「はい、世界の同じような水深帯で比べたら、間違いなく世界一という、ほかの陸から近いようなところと比べても、やっぱり多かったんですね」

●そんなに!?

中嶋さん「つまり、どういうことかと言うと、やっぱり日本の近海の深海底は、ごみの溜まり場になっていることを意味しているんです。今後は、今年の冬も来年も調査は続けていくんですけど、日本の周辺でもっとごみが溜まっている深海があると予想されているので、そういったところをどんどん明らかにしていく予定です」

●今後、解き明かしたいことと言うと・・・? 

中嶋さん「今後解き明かしたいことはやっぱり、日本の近海の海底に沈んでいるプラごみの量を見えるようにすることです。ちょっと難しく言うと可視化するってことなんですけど・・・。

 深海に沈んでいるごみって見えないじゃないですか。海に浮いていたら見えるけど、深海にいっていたらまず見えないので、そこにたくさんのごみがあることがだんだん分かってきましたから、日本の周辺のどこの深海にどれだけごみが溜まっているのか、どのように溜まっていくのか、そういったことを知ることが、今後プラごみを減らすための対策を打ち立てていくうえで、とっても重要な情報になるんですね。なので、まずは見えるようにすることが目標です」

写真協力:中嶋亮太、古賀陽子、プラなし生活、海洋研究開発機構

●コロナ禍で何か海洋ごみに影響はあったんですか?

中嶋さん「コロナになって、まずはマスクのごみと手袋のごみが世界中で増えたんです。マスクなんて毎月、世界中で数千億枚とか使われていますので、非常にたくさんごみになって環境に漏れ出ていますよね。やっぱり落ちているのを見たことありますよね」

●あります〜。

中嶋さん「ああいうことが世界中で起きていて、それがやっぱり海にも入っていますし、あとコロナ禍になって、使い捨てのプラスチックの消費量が圧倒的に増えました。どうしてもテイクアウトするようになりますし、なんでも使い捨てのほうが安心っていうのもあって、やっぱり使い捨てが増えたのは否めないですね」

目指せ! プラなし生活

※ところでいま、おふたりがいちばん減ったらいいなと思うプラごみは、なんでしょうか。まずは古賀さんからお願いします。

古賀さん「私は個人的にはポリ袋ですね。スーパーでお買い物をした時に、お肉とかお魚を小さなポリ袋に入れて渡されることがよくあるんですけど、毎回レジに行く前に、ポリ袋はいりませんって言わないといけないっていうのがあって・・・。汚れないようにするために、そうしていただいているのは分かるんですけど、せめてレジ袋みたいに、いるいらないを選択できたらいいなって思っています」

●確かにそうですね〜。これ、ポリ袋に入れましょうか? っていうのを聞かれる前にもう入れられていますよね、中嶋さんはいかがですか?

中嶋さん「いろいろありますけど、特に思うのは使い捨てのお手拭きですね。日本ってレストランに行ってもフードコートに行ってもどこに行っても、お手拭きを出されますよね。お弁当の中にも入っていることありますし、こんなにお手拭きを配っている国は日本しかないですよ。

 ファミリーレストランでも、お手拭きを何気なく渡されて、当たり前のように開けて手を拭いて、(テーブルに)置いておきますよね。見た目がめちゃめちゃ汚いんですよ。ご飯を食べ終わったあとにトイレに行って戻ってきて(テーブルを見ると)袋とお手拭きがすごく散乱していますよね。

 見た目も良くないし、お手拭きの袋もプラスチックでしょ。お手拭き自体もプラスチックでできているんですよ。あれは不織布ですよね。不織布ってプラスチックを混ぜて作りますので、あれは使い捨てプラスチックなんですね。とにかくこれをなるべく出さないようにするには、みんな手を洗えばいいんですよ。
 そういうふうにちょっと習慣を変えていくだけでも、ごみの量は大きく減るんじゃないかなと思っています」

●確かに当たり前とみんなが思ってしまっていますよね。
 では最後におふたりにお聞きします。プラなし生活を実践してきて、ご自身の中で何が自分でいちばん変わりましたか?

古賀さん「私は使い捨てを見直すようになって、本当に必要かどうかをすごく考えるようになりましたね。新しく買うときもすごく慎重になっていて、ごみになったらどうやって捨てるのかなとかいろいろ考えるようになりました。

 あとは買わずに、あるものでどうにかできないかとか、自分で作ることも増えましたね。それによって好奇心みたいなものが満たされて、クリエイティヴなことが増えていくのがすごく楽しいですね」

●中嶋さんはいかがでしょう?

中嶋さん「私はやっぱり研究者なので、こういったプラスチックが健康に影響するかもしれないというのを見つけることにやりがいを感じるようになりましたね。

 この問題を解決するのは私たちの世代だけじゃなくて、今の若い世代、あるいは子供たち、未来を担う時代の主役たちに問題を伝えていかなくちゃいけないんだっていう意識が、どんどん高まってきましたね。プラなし生活を通じて、なぜこれは問題なのかっていうことをどんどん広めていって、さらに知ることでアクションにつながるので、そういった活動をもっともっと広げたいなって強く思うようになってきました」

(編集部注: SDGsの目標「つくる責任 つかう責任」そして「海の豊かさを守ろう」は、あまりにもプラスチックに依存している、私たちのライフスタイルを見直すためにある目標なのかも知れません)


INFORMATION

『暮らしの図鑑 エコな毎日〜プラスチックを減らすアイデア75×基礎知識×環境にやさしいモノ選びと暮らし方』

『暮らしの図鑑 エコな毎日』

 おふたりの新しい本をぜひ参考になさってください。プラスチックを減らすためのアイデアや情報、基礎知識が満載です。写真を豊富に使ってわかりやすく解説、プラなし生活を目指すための、まさに参考書です。おすすめです。

 「翔泳社」から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎「翔泳社」HP:https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798173580

 情報サイト「プラなし生活」もぜひご覧ください。

◎「プラなし生活」HP:https://lessplasticlife.com/

◎国立研究開発法人「海洋研究開発機構」JAMSTECのオフィシャルサイト:https://www.jamstec.go.jp/j/

<プレゼントの応募方法>

『暮らしの図鑑〜エコな毎日』を抽選で3名のかたにプレゼントいたします。
応募はメールでお願いします。
件名に「本のプレゼント希望」と書いて、番組までお送りください。
メールアドレスは flint@bayfm.co.jp

あなたの住所、氏名、職業、電話番号を忘れずに。
番組を聴いての感想なども書いてくださると嬉しいです。

応募の締め切りは 9月9日(金)。
当選発表は発送をもって代えさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募は締め切られました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。

オンエア・ソング 9月4日(日)

2022/9/4 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. MY UNIVERSE / COLDPLAY ×BTS
M2. EBONY & IVORY / PAUL McCARTNEY & STEVIE WONDER
M3. BEAUTIFUL / CARLY RAE JEPSEN feat. JUSTIN BIEBER
M4. SITTING, WAITING, WISHING / JACK JOHNSON
M5. SHAPE OF MY HEART / STING
M6. WAITING ON THE WORLD TO CHANGE featuring BEN HARPER / JOHN MAYER

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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