毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
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2024年4月のゲスト一覧

2024/4/28 UP!

◎今井友樹(ドキュメンタリー映画監督)
ドキュメンタリー映画『おらが村のツチノコ騒動記』、ついに一般公開!〜果たしてツチノコはいるのか、いないのか!?』(2024.4.28)

◎柴田正輝(「福井県立恐竜博物館」の主任研究員)
福井から東京に恐竜がやってきた!〜「オダイバ恐竜博覧会2024」の見所 & 恐竜王国・福井の謎に迫る!』(2024.4.21)

◎山下晃和(自転車の旅人/モデル)
世界を放浪する自転車の旅人、山下晃和。自転車とキャンプのすすめ!』(2024.4.14)

◎風間深志(冒険ライダー/地球元気村の大村長)
番組のシンボル、風間深志さんが登場!「生きている限り、青春だ!」』(2024.4.7)

ドキュメンタリー映画『おらが村のツチノコ騒動記』、ついに一般公開!〜果たしてツチノコはいるのか、いないのか!?

2024/4/28 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ツチノコのドキュメンタリー映画を制作した「今井友樹(いまい・ともき)」監督です。

 今井さんは1979年、岐阜県東白川村生まれ。日本映画学校、現在の日本映画大学を卒業後、民俗文化映像研究所に入所。その後、2015年に映画制作会社「工房ギャレット」を設立。おもにお祭りや芸能などの民俗文化の記録映画を制作、これまでに短編も含め、30本ほどの作品を発表されています。

 そんな今井さんの最新作が自分のふるさと、岐阜県東白川村に伝わるツチノコをテーマにしたドキュメンタリー映画『おらが村のツチノコ騒動記』。2016年頃から制作を開始、人づてに目撃情報を集め、日本全国40カ所ほどをめぐり、60人以上のかたに取材、足掛け9年かけて完成させた映画です。そしていよいよ来月から一般公開されるということで、監督を番組にお迎えしました。

 きょうはツチノコとは、いったいどんな生き物とされているのか、果たして、本当にツチノコはいるのかなど、その実態に迫ります。

☆写真協力:工房ギャレット

今井友樹さん

ツチノコ、そしてふるさとへの思い

※今井さんは子供の頃から、村で開催されるツチノコ探しのイベントに参加するなど、身近にツチノコを感じて育っています。

 ツチノコをご存知ではないかたもいらっしゃると思いますので、まずは、どんな生き物とされているのか、その特徴などを教えてください。

「今ツチノコっていうと、たぶん大人から子供までみんな、同じような形状を思い浮かべると思うんですね。それは頭がぼこっと大きくて、首がきゅっと細くしまっていて、胴体がさらに太くなって、尻尾が細くきゅっとなっている、これ、例えば、今の子供たちだったら、アニメとかにもキャラクターとして登場していて、おなじみですし、僕が子供の頃はビール瓶のような形状でツチノコをたとえていました。

 それより以前は『ツチノコ』という言葉の、たぶん語源にもつながると思うんですけど、木槌の『ツチ』、それがツチノコの形状に似ているということで、胴が太くて尻尾が細いっていうようなことを思い浮かべてもらえれば、いいと思いますね。それがヘビなのかどうかはわかりません」

●なんかほんとにヘビみたいに見えますよね~。でもヘビじゃないんですよね?

「そうですね。なんなんでしょうか(笑)」

●呼び名っていろいろあったんですか?

「そうですね。僕の田舎、岐阜県の東白川村という地域なんですが、そこの山村では僕のおじいちゃん、おばあちゃんの世代は『ツチヘンビ』っていうふうに呼んでいましたね。隣村ではツチノコと同じような形状のものを『ヘンビの大将』と呼んでいましたし、また別の場所では『ノヅチ』と呼び、で、そのまた隣の地域では『転がりヘビ』・・・だから自分のふるさとの周辺だけでも呼び名がそんなにも違います。
 全国を訪ねると『ゴハッスン』であったり『サメ』と呼んでいたり、なんかもう本当にヴァリエーションがあって、10種から20種類ぐらいの呼び名があるんじゃないですかね」

※ツチノコのドキュメンタリーを制作しようと思ったのは、どうしてなんですか?

「今ツチノコっていうと、ツチノコ捜索をすることが世間でニュースになったりとかあるんですけれども、実は僕の生まれ、ふるさとである岐阜県東白川村は、今から35年前、1989年、平成元年の頃に、ツチノコ捜索イベントを行なったんですね、そしたら全国から200人以上の参加者が集まって、以来毎年ツチノコの捜索を続けている地域なんですね。

 今年も開催されるんですが、その地域で当時、僕は小学校の高学年でして、おじいちゃん、おばあちゃんから、もともとツチノコの話や存在は聞かされていたわけではないんです。突如、村で1989年がヘビ年だったっていうこともあって、ヘビ年にちなんで、ツチノコの話題が盛り上がったんですね。その時におじいさん、おばあさんたちはツチヘンビと呼んでいたものが、実はツチノコだったんじゃないかっていうようなことで、村の中でツチノコがブームになっていくんですね。

 おじいさん、おばあさんたちは当時ツチノコは、見ても人には言ってはいけないという存在だったんですね。怖れられていて神様のような存在として受け止めていて、僕もそのように聞かされていたんです。だからツチノコは、おじいちゃん、おばあちゃんたちがいるって言うんだから、僕もいると信じて疑わなかったんです。

 それがですね、だんだん・・・ふるさとを離れて、ひとり暮らしをして、仲間や知り合いに自分のふるさとを説明する時に、ツチノコで有名な村だって言うとみなさんだいたいわかってくれるんですけど、リアクションが“いないツチノコを探している村”だとか、“なんかそれ本当にいるの?”みたいな眉唾で反応してくれて、それはそれでありがたかったんですけど、だんだんそういうのを繰り返してるうちに僕自身の中でもやっぱりツチノコに対する思いや気持ちが冷めていって・・・。

 その冷めていく気持ちとふるさとへの思いがなんか重なって、“いないツチノコを探し続けているふるさと、いやだな~”なんて思っていた時期が長い間あったんですね。そういうのを振り返ってみようと思ったのが、今回の映画作りのきっかけになります」

「いるかもしれない」、それが魅力!?

※目撃情報がたくさんあるのに、一般的にはあまり知られていなかったのは、東白川村以外でも、実際に見たとしても、ほかの人に話してはいけないという、そんな掟みたいなものがあったんですよね。

「そうですね。ツチノコ探しに発展していく前までは、そういうような言い伝えと言いますか、いわれがあって、おそらく実際にツチノコを見たという人が周りにいた時に、“あんたもツチノコ、見たんか!”と言って、怖れられるような世間があったと思うんですけれど、その背景にはやっぱり自然を相手に暮らしてきた人の暮らしというか、そういうのがちゃんと展開していたんですね。

 それが自分の子供の頃を振り返ってもそうですけど、生活の舞台がどんどん機械が入ったり道路が補装されていったりとか、少しでも暮らしが豊かになっていくような形で開発されていくんですね、土地改良とか。

 そういった過程の中でツチノコという存在が変化していったと・・・それが怖れられた存在からどんどん探す対象に変わっていったのを、ちょうどふるさとでの自分の体験から見ても、自然の変化とかそういったものをうかがうことができるということですかね」

●都道府県が違っても目撃者の証言は、ほとんど同じ内容というのが興味深いなと思ったんですけれども・・・。

「そうですね。実際ヘビ自体は飛ばないんですけど、ツチノコはビュンと飛びかかったりする、(ツチノコに)噛まれたという人は聞いたことはないですが、転がってくるというような現象はあちこちで聞きましたし、非常に似たものを日本各地で目撃しているんです。それは僕もなぜだろうって不思議でした」

●目撃されたのは、みなさん山あいで豊かな自然が残っているような場所でした。やはりそういうのも、ツチノコの生き物としての信憑性みたいなものを表していますよね?

「そうですね。ツチノコ探しが始まった発端は、1960年代ぐらいからなんですけれども、釣りのエッセイストであった、山本素石(やまもと・そせき)さんというかたが仲間を集めてツチノコ捜索に乗り出したんですね。

 彼自身は京都の山中でツチノコのようなものを目撃して、京都の地元の人に尋ねたら、それはツチノコだということで、ツチノコ探しが始まっていくんですが、何回もツチノコ探しのブームは断ち切れてはまた現れっていうのを繰り返して、今に至るっていうことで、非常に(ツチノコは)誰にとっても魅力の詰まった存在ですね。

 生き物としての存在で言えば、いるかもしれないっていう、そういうような期待がやっぱりツチノコにはあって、いるかもしれない、目撃者もたくさんいるのにまだ見つかっていないっていう、そこが最大の魅力ですね。

 中にはツチノコの誤認説っていうものがたくさんあって、ヘビだったんじゃないかとか、トカゲだったんじゃないかとか、なんかと見間違えたんじゃないかとか、いろいろあるんですけれども、そういうのも含めて、ツチノコはなにか惹きつける魅力があるんだなっていうのは素材としてよく感じました」

写真協力:工房ギャレット

ノヅチ、草の神様!?

※ツチノコらしきものの資料というのか、記録が残っているのはいつの時代からなんでしょう?

「これは民俗学者の伊藤龍平 (いとう・りょうへい)さんがおっしゃっていたんですけれども、ツチノコという言葉は江戸時代の頃には『ノヅチ』という呼び名で言われていて、そのノヅチという言葉自体は日本書紀の頃から出てくるような神様の名前らしいですね。
 草の神様なんですが、生き物というかそういった存在として文献に出てくるのは、1700年の終わりぐらいから1800年ぐらいにかけてですね。絵にもノヅチというのは、こういう形をしているっていうような、今我々が見てもツチノコと連想できるような形で描かれていますね」

●そういった文献では、どんなふうに紹介されているんですか?

「僕のふるさとの隣に中津川市加子母(かしも)という地区があるんですが、御嶽山の麓にある山の中で、彦七というかたが山を歩いていたら、笹林の中で足もとをぬるっと触るような冷たい感触があった。で、見たらかつお節のような形をしていて、太さが一尺だから30センチぐらいの太さのものがぬるっと過ぎていって、その奇妙な体験を里に降りて話をしたら、それはノヅチだとそういうような日記が残されていたりもしますね」

未来を示唆する光を探す!?

※今井さんは、映画制作会社「工房ギャレット」の代表でもいらっしゃいますが、映画監督を志したのは、なにかきっかけがあったんですか?

「僕は子供の頃、田舎で生まれ育って、テレビで映画を見る機会が多かったんですね。父親が大工で寡黙、その寡黙な父親が、映画が流れているテレビの画面に釘付けになって、毎晩見ているっていう姿が非常に僕にとっては印象的で、その父親を惹きつけるようなものを作っている、その映画監督に憧れが生まれたんですね。

 次第に劇映画、例えばハリウッドの映画とかもそうですし、アクション映画なんかもそうですけど、そういったものに憧れて、映画のことを勉強する学校に入ったんですね。そこで授業の中で自分のふるさとを取材するっていうドキュメンタリーの世界に触れて、そしたらいかに自分が自分のふるさとっていうか、足もとの部分を見てこなかったのかっていう、そういう反省に至って、それ以降はそういう民族文化に代表されるような、そういった生活の記録を中心にやってきているっていう感じですね」

●今井さんが映画制作で大事にしていることですとか、心がけていることは何かありますか?

「その時代その時代に生きてきた人の証は、もちろん偉人であれば文献にも残るでしょうし、語り継がれていくこともあるかもしれないですけど、本当に普通の、僕を含めた一般の生活者の人たちって、日々いろんなことを考えたり悩んだり、そういったことを繰り返しながら生活を営んでいるんですよね。

 それが科学技術に依存しなくても、自然の中で暮らしてきた、長い間の歴史の積み重ねがあるので、そういうところの中に、実は今生きている僕ら現代人にとって、生きる糧というかヒントというか、そういった未来を示してくれるような光みたいなものがいっぱい埋もれているんですよ。そういうのは見過ごしてきてしまいがちなんですけれど、そういうところに立ち止まって目を凝らしていきたいなっていうのが・・・自分が全部できているわけではないですけども、そういうのを心がけています」

ツチノコにはロマンがある!?

※ツチノコの目撃情報はたくさんあるのに、捕獲されていない、写真さえもない、そこにツチノコらしさがあるようにも思いますが、どうなんでしょう? 

「僕自身、取材を始めた9年前は、ツチノコなんてもういないのにっていうような気分から始めているので、疑いながら話を聞きに行っていたんですね。映画制作に一緒に付き合ってくれたカメラマンも“ツチノコですか・・・?”みたいな感じで(笑)、取材に同行してもらったんですが、その当時の目撃者であったりとか、ツチノコ探しに一生懸命に取り組んだ人たちの話を聞いていると・・・(みんな)真剣なんですよ。

 その真剣な気持ちとか、あとはその一生懸命の中にも楽しさとか、その当時を思い出すと笑顔がこぼれるような、そういう姿をじっと見ていると、大切なものがそこにあるような気がして・・・ツチノコはいないって冷めている自分の心を熱くしてくれたというか・・・カメラマンも取材を終える頃には“ツチノコ、いますね!”みたいな感じで、僕よりも乗り気になってくれたっていうのをよく覚えていますね」

●確かにツチノコはいると思いますか?

「ツチノコは実際に見た人もいますし、そういった伝承が各地にあるっていうのは、いないということはないはずですよね。いた、あるいは、今でもいる、そっちのほうが人間、未来があっていいなって思いますね。完全にいないっていうふうに言い切ってしまうと、なんか閉ざされてしまうような・・・心がですけどね。だから僕はそういう期待も込めていると思います。

 未確認動物とか、今なかなかそういう新種の生き物の発見も、地域によってはあるとは思うんですけど、かつてほどビッグニュースみたいなものってないですよね。ツチノコを発見したら、すごく明るいに話題になるなって! 

 僕は自分のイメージの中では、忙しく働いている、渋谷の交差点を歩いているサラリーマンが、スクランブル交差点の大きな掲示板に“ツチノコ発見!”っていう速報が流れた時に、はっ!て振り向くような、未来へ明るい顔で振り向くような、そういう感じの存在だと思うんですよ、ツチノコって。だからそこにはロマンがあると思うんです。そのロマンはずっと大事にしていきたいなと思います」


INFORMATION

ドキュメンタリー映画『おらが村のツチノコ騒動記』

ドキュメンタリー映画『おらが村のツチノコ騒動記』

 いよいよ来月、5月18日(土)からポレポレ東中野を皮切りに、順次全国で公開されることになっています。ぜひ劇場に足を運んでご覧ください。

 詳しくは、工房ギャレットの専用サイトを見てくださいね。公開情報は、決まり次第、順次アップされる予定です。

◎工房ギャレット:https://studio-garret.com/tsuchinoko/

 岐阜県東白川村では、ツチノコを探す「つちのこフェスタ」が今年も開催されます。去年はおよそ2500人ほどのかたが参加されたそうですよ。今井さんは、今やツチノコは立派な観光資源にもなっている、そんなこともおっしゃっていました。

 東白川村での「つちのこフェスタ」、今年の開催は5月3日(金・祝)。詳しくは、東白川村のホームページをご覧ください。

◎東白川村:
 https://www.vill.higashishirakawa.gifu.jp/syoukai/gaiyo/tsuchinoko/tsuchinokofesta/

オンエア・ソング 4月28日(日)

2024/4/28 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. ON MY WAY / GIOVANCA
M2. BREATHE YOUR NAME / SIXPENCE NONE THE RICHER
M3. GOD ONLY KNOWS / CELETIA
M4. SEMI-CHARMED LIFE / THIRD EYE BLIND
M5. Can You Keep A Secret? / 宇多田ヒカル
M6. MY FATHER’S EYES / ERIC CLAPTON
M7. WHEN YOU BELIEVE / MARIAH CAREY & WHITNEY HOUSTON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

福井から東京に恐竜がやってきた!〜「オダイバ恐竜博覧会2024」の見所 & 恐竜王国・福井の謎に迫る!

2024/4/21 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、現在開催中の「オダイバ恐竜博覧会2024」の監修を統括された「福井県立恐竜博物館」の主任研究員「柴田正輝(しばた・まさてる)」さんです。

 柴田さんは1975年、兵庫県生まれ。子供の頃からお城や古墳など、古いものに興味があり、特に幼稚園の頃に見た、小さな葉っぱの化石に感動! いまだに印象的な出来事として覚えているそうです。

 そして、地質の研究をしていた広島大学大学院時代に偶然にも恐竜の歯の化石を発見。これを機に、恐竜の研究をしたいと思うようになり、恐竜研究の先進国アメリカに留学。モンタナ州立大学ボーズマン校を経て、現職の福井県立恐竜博物館の主任研究員、そして福井県立大学・恐竜学研究所の教授として活躍されています。

 今週は、いま話題の「オダイバ恐竜博覧会2024」をクローズアップ! 恐竜博の見所ほか、なぜ福井で恐竜の化石が多く発掘されるのか、そして見つかった新種など、恐竜王国・福井の謎に迫ります。

「オダイバ恐竜博覧会2024」

なぜ福井で恐竜化石!?

※「オダイバ恐竜博覧会2024」のお話の前に、なぜ福井県で恐竜の化石が多く発見されるのか、そのあたりのお話から・・・どうして福井県で恐竜の化石がたくさん発掘されるのでしょうか?

「よく聞かれる質問のひとつではあるんですけど・・・現在、日本では実は北海道から鹿児島まで様々な場所で、恐竜化石は発掘されているんですね。

 恐竜化石を見つけたいとか見つけようと思った時に、恐竜化石が見つかるポイントが大きく3つあります。 まずひとつ目は、恐竜時代の地層があることなんですね。恐竜時代は時代名でいうと、三畳紀から白亜紀っていう時代なんですが、ざっくりいうと、だいたい2億3000万年前ぐらいから6600万年前ぐらいの地層なんです。やっぱり恐竜がいた時代の地層がないと、化石は見つからないんですね。それがあるってことがひとつの条件なんですね。

 もうひとつは、恐竜は、みなさんよく間違えちゃうんですけども、陸にいたその時代の大型の爬虫類なんですね。ですから、空を飛んでいる翼竜だとか、海にいた首長竜は、恐竜とは呼ばないんです。なので、陸の体積した地層、川とか湖で溜まった地層があるということ、これがふたつ目になります。

 ですので、恐竜時代の陸とか川とか湖で溜まった地層があれば、そこでは絶対に恐竜化石が見つかるんですね。それに加えて最後は、その地層が見えていないと化石を見つけることができないので、その地層が見えていることっていうポイントがあります。

 というのも、日本の山々を見ていただければわかるんですけども、恐竜で有名な、例えばアメリカや中国のそういう発掘現場をイメージしてみても、日本の山は木々で覆われていまして、地層がほとんど見えないんですよね。そこに今の条件のふたつを満たす地層があったとしても、やっぱり見えていなければ、見つけることはできない。その3つの条件さえ満たせば、日本のどこでも恐竜化石は発掘されます。

 現在、兵庫県や熊本県でも多くの恐竜化石が発見されているんですね。その中でなぜ福井県が日本でいちばん恐竜化石が多く発見されているのかというと・・・これがいちばん大きなポイントではあるんですけれども、継続的に発掘調査を行なっていると・・・。
 福井県の発掘調査は1989年から始まっていまして、そこから1年とか2年の休止時期はあるんですけれども、ほぼ継続的にここ30年以上発掘調査を行なっています。そこにほかの県、ほかの場所とは違うポイントがあるので、そういうところから福井県が、日本でいちばん恐竜化石を産出する場所になっていると言えると思います。

 福井県の場合は、私たちの発掘現場は勝山市というところにあるんですね。その隣の大野市でも恐竜化石は発見されているんですが、恐竜博物館が発掘調査を行なっているのはまさに、その勝山市のひとつの発掘現場のみ。その現場だけでずっと発掘調査をやっています。
 ですから、もちろん先ほど言った3つの条件も重要なんですけれども、我々の場合は、先人たちが恐竜の骨も含めたその当時の骨の化石、脊椎動物の化石が密集している地層を見つけてくれていますので、そこをずっと調査することによって多くの化石を発見することができています」

福井県立恐竜博物館・主任研究員 柴田正輝さん
福井県立恐竜博物館・主任研究員 柴田正輝さん

福井で発見された6種の新種

※勝山市北谷町の発掘現場で、これまで6種の新種が見つかったそうですね。どんな恐竜の化石が発掘されたんですか?

「全部説明するとたぶん1時間ぐらいかかるので、だいぶ割愛しないといけないんですが、特に重要なものとしては、日本の恐竜として名前が付けられた『フクイラプトル』という恐竜がいるんですね。これは肉食恐竜なんですが、福井の恐竜の代名詞みたいな感じで、よく使っている恐竜になるんです。鋭い前の爪を持つ全長4メートルほどの肉食恐竜、これが非常に代表的な恐竜のひとつです。

 そのほかに植物を食べる草食恐竜の『フクイサウルス』。これは日本で最初に全身骨格が復元された恐竜になるんです。そういった恐竜も発見されたり、全長10メートルほどの首と尻尾の長い『フクイティタン』という草食恐竜も発見されています。

 まだまだいるんですよ。最も新しいものとしては・・・論文になることによって、学名としてちゃんと恐竜に名前が付くんですけども、昨年の9月に名前が付いたばかりの『ティラノミムス』という新しい恐竜ですね。

 これはオルニトミモサウルス類という恐竜で、(映画)『ジュラシックパーク』をご覧になられたかただったら、ダチョウ型の恐竜が集団で走ったりするのを覚えていらっしゃるかたもいると思います。その恐竜のずっと祖先になるタイプにはなるんですけれども、このような恐竜が発見されているように、非常に多様な恐竜化石が発見されて、名前が付いているんです。今回のお台場恐竜博でも展示しています。

ティラノミムス・フクイエンシス
ティラノミムス・フクイエンシス

 『スピノサウルス』っていう、みなさんによく知られた恐竜がいるんですけども、その歯の化石も発見されています。それ自体はまだ骨の化石が発見されていないので、種類だとか新種なのかどうかっていうところも含めて、はっきりはわかってないんですね。歯の化石だけが発見されていますので、今知られている6種類に加えて、将来まだまだ新しい種類を発見することができるんじゃないかなというのが、私たちの発掘現場になります」

●その6種の中に、柴田さんが発掘された新種も含まれているんですか?

「私も2007年から発掘調査に参加していますので、私が調査に参加してから発見して名前が付いたものも半分ほど含まれています。やはりその中でも思い入れのある恐竜のひとつは、フクイティタンという首と尻尾の長い恐竜ですね。これはちょうど私がこの恐竜博物館で仕事を始めた次の年に発見できた恐竜ですので、非常に思い出のある恐竜のひとつになります」

世界に誇れる恐竜博物館

※柴田さんが所属する福井県立恐竜博物館は、規模や展示内容も含め、世界的にも評価されているそうですね。どのあたりがいちばんのアピールポイントなんですか?

福井県立恐竜博物館の全景
福井県立恐竜博物館の全景

「当館は恐竜博物館としては、やはり世界的にも展示標本数も展示の仕方も展示内容も、かなり誇れるレベルにあると、自画自賛ですけれども、私も海外の博物館を見てそのように思っています。

 私たちの博物館が目指してきたところのひとつとして、まずはアジアの恐竜を数多く展示して、当館に来れば、アジアの恐竜を様々たくさん見られる、そんなふうにしたいという、私たちの先輩がたの思いもあります。そういった中で、去年の7月にリニューアルしてから、恐竜の全身骨格が50体展示されているんですね。こんな博物館は日本にはどこにもなくて、世界的にも非常に少ないんですね。

 その中で、もちろん福井県の恐竜は当館でしか見られませんけれども、それ以外にも中国やタイ、そういったところで発見されている、当館でしか見られないユニークな恐竜化石を展示できているのが、ユニークなポイントのひとつですね。

 もうひとつは、やはり発掘現場を持っている博物館、世界的にもあるんですけど、発掘現場の近くにある博物館はなかなかないんですよね、世界的にも。で、発掘現場を持っていることと、発掘現場から15分しか離れていないという利点を利用して、博物館本体とは別に、発掘現場に『野外恐竜博物館』っていうちっちゃな博物館も持っています。

 もちろんここは非常に雪が多い地域ですので、雪が溶けた春から秋までしかオープンしてないんですけど、発掘現場を直接見ていただける、なおかつそこで私たちが発掘している岩石を直接割って、化石調査の体験もできるというような、ほかの博物館にはない特徴があるということが、たくさんのお客さんに来ていただいている理由になるんじゃないかなと思います」

(編集部注:実は福井県立恐竜博物館は世界三大恐竜博物館のひとつとされています)

福井県立恐竜博物館の近くにある発掘現場
福井県立恐竜博物館の近くにある発掘現場

※柴田さんは、どんな恐竜を専門に研究されているんですか?

「私は今、恐竜博物館では恐竜を研究していますが、恐竜といってもやはり恐竜博物館の研究員も複数人いますと、個々に研究する種類が分かれているんですね。
 私の場合は植物を食べる草食恐竜のイグアノドン類っていう種類で、それを専門的に研究しています。その軸となっているのが福井県で発見されているフクイサウルスという恐竜になります。このフクイサウルスという恐竜なんですが、ぱっと言ってしまうと、一般的に子供たちにはあまり人気がない恐竜の仲間なんですね」

●え、そうなんですか?

「というのも、なんていうかな・・・ツノも持たない、敵も襲わない、武器も持たない・・・見た目がツルッとしているって言ったらおかしいですけど、走って逃げるぐらいの恐竜なので、子供たちを魅了するような恐竜ではないですね。

 ですが、やっぱりその当時の恐竜の中では非常に重要で、どの発掘現場でも恐竜の中では比較的多く見つかる種類です。もちろん肉食恐竜の餌にはなっていたんですが、非常に多様に進化して世界的に広まる種類なので、その種類を調べることで、その当時の恐竜の移動みたいなことが議論できればなと思っています」

(編集部注:柴田さんは博物館のプロジェクトとして、中国やタイでの発掘を10年以上、行なっているそうです。特にタイでは福井と同じ時代の地層から、福井で発見された恐竜に近い化石が発掘されていて、その中から「シリントーナ」と命名された恐竜の発見があったそうです。
 名前の由来はタイのシリントーン王女で、古生物学の発展に寄与したことから王女の名前をとって「シリントーナ」と名付けられたそうですよ。この「シリントーナ」の骨格標本は福井県立恐竜博物館に展示されているそうです)

お台場を背景に泳ぐスピノサウルス

●柴田さんが監修を統括されました「オダイバ恐竜博覧会2024」を、私も先日見学させていただきました。第1会場から第3会場までどれも本当に楽しかったです。

「ありがとうございます」

●多くの家族連れのかたがいて、賑わっていました。お父さんお母さん、大人たちもみんな夢中になっている姿がすごく印象的だったんですね。今回の恐竜博覧会は福井県立恐竜博物館の特別協力ということで、福井からどれくらいの数の全身骨格ですとか標本などを持ってこられたんですか?

「ロボットと一部の実物以外は、ほぼ全部、福井県立恐竜博物館から持ってきたものを展示しております。全身骨格だと恐竜以外のものも含めて21体持ってきておりまして、そのほか細々なものを含めると、もう少し展示数が増えるんですが、その標本すべて恐竜博物館から持ってきております」

●恐竜の復元ロボットも迫力ありますね!

「今回展示しているロボットはすべて実物大です。実物大のスケールで、なおかつロボットを作っている会社さん自体が世界的に恐竜のロボットでは有名なところです。非常に作り込んだ、リアルに動く、非常に鮮やかな生き生きとしたロボットが展示できているのかなとは思います」

●今回の恐竜博覧会でいちばんのアピールポイントというと、やはり第3会場の展示ですか?

泳ぐスピノサウルス
泳ぐスピノサウルス

「第3会場の、やっぱり展示自体ですね。フジテレビ本社屋の“はちたま”という球体展望室、あそこで見られる景色と展示はここでしか見られないものになるんですね。
 当初この展示を作る時に、やはりスピノサウルスっていう恐竜にフォーカスするとなった時に・・・このスピノサウルスは、ぜひフジテレビで見ていただきたいんですけども・・・遊泳スタイル、水中で泳ぐような感じで復元されていることが一般的になってきて、その泳ぐスタイルでロボットを作るということになったんですね。

 そのロボットが“はちたま”から見た背景、東京の背景の中を泳いでいるようなイメージで、ロボットを配置できればという思いがあって、それが見事に表現されています。やはりここでしか見られないポイントとしては、“はちたま”でのスピノサウルス、第3会場のその展示かなとは思います」

(編集部注:第3会場に展示されているスピノサウルスは全長15メートル! 第1会場にあるティラノサウルスの12メートルよりも大きいんです。迫力がありますよ! そんなスピノサウルスには、ある仕掛けが・・・ぜひ会場で体感してください。

ティラノサウルス
ティラノサウルス

誰でも楽しめる恐竜博覧会

※福井県立恐竜博物館の研究員でいらっしゃる柴田さんとしては第2会場の「恐竜研究最前線!」に注目してほしいんじゃないですか?

「今回このように恐竜博物館の恐竜を研究している研究員の、それぞれの研究のトピックっていうか研究テーマみたいなものを、このように展示するのは初めてでした。どのようになるのかなと思ったのですが、各研究の個性も出たし、その研究員がどんなことをしているのかを、みなさんに知っていただく非常にいい機会になりましたね。

 また、その展示も我々研究員からすると、全体的にけっこうカタくなってしまうイメージなんですけれども、今回フジテレビさんでやらせていただくっていうことで、フジテレビさんがかなりポップで明るい雰囲気にしてくださったので・・・。なんていうのかな~、博物館はカタくてなかなか行きにくいって思っているかたがたにとっても、言い方はいいかどうかはよくわかりませんけども、ハードル低く、恐竜展示を見ていただいて、我々の研究を知っていただく、いい機会になったんじゃないかなとは思います」

●今回の展示で、特にこだわった点があったらぜひ教えてください。

「やっぱり我々の感性だけではできないところを、フジテレビさんの柔らかい、けっこう明るくカジュアルなところと、融合できたっていうのがいちばん大きいのかなと・・・。  
 先ほどもおっしゃっていただいたように、お父さんお母さんが来て、一緒に驚いていただけるっていうように、やはり第1会場と第3会場に関しては、一般のかたが恐竜を楽しんでもらえるような展示を含めているんですね。

 難しくならずに、“恐竜って、こんなんで、こんなんだったわ!”っていうような感じで楽しんでいただいて、第2会場では少し学術的なところをお勉強していただく、なおかつ福井県立恐竜博物館がどういう研究を行なっているのかを知っていただくという、ちょうどカタいところと、柔らかいところをミックスした、一般の人が受け入れやすい、来やすいような展示にできたというところが、今回の魅力になるんじゃないかなと思います」


INFORMATION

「オダイバ恐竜博覧会2024」

 現在開催中の「オダイバ恐竜博覧会2024」は第1会場では、全身およそ12メートルのティラノサウルス・ロボットがお出迎え! 第2会場の「恐竜研究最前線!」では、福井県勝山で発見された6種の新種のうち、3種の全身骨格を展示。中でも東京初展示が新種「ティラノミムス・フクイエンシス」! 

 第3会場には世界初展示となる、全長15メートル! 新作スピノサウルスのライフサイズロボット、そして実物のスピノサウルスの下顎と、同じく頭の骨の復元模型は日本初展示となります。

 「オダイバ恐竜博覧会2024」は5月6日まで、フジテレビの本社屋で開催。時間は午前10時から午後6時まで。チケットの料金など、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎オダイバ恐竜博覧会2024:https://www.odaiba-dino2024.jp

 日本が世界に誇る「福井県立恐竜博物館」にもぜひお出かけください。

◎福井県立恐竜博物館:https://www.dinosaur.pref.fukui.jp

オンエア・ソング 4月21日(日)

2024/4/21 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. DINOSAUR / KE$HA
M2. NOW THAT I FOUND YOU / CARLY RAE JEPSEN
M3. WALK THE DINOSAUR / WAS(NOT WAS)
M4. NOW I’M HERE / QUEEN
M5. 怪獣の花唄 / VAUNDY
M6. BOOGIE WONDERLAND / EARTH, WIND & FIRE
M7. WANNA BE STARTIN’ SOMETHIN’ / MICHAEL JACKSON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

世界を放浪する自転車の旅人、山下晃和。自転車とキャンプのすすめ!

2024/4/14 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自転車の旅人、モデルの「山下晃和(やました・あきかず)」さんです。

 山下さんは1980年生まれ、東京都出身。高校生の時に海外に行きたい、そんな思いから、ロサンゼルスに語学留学。その時、文化の違いにカルチャーショックを受け、もっと広く世界を見てみたいと思い、大学では語学を学んだそうです。

 きょうは、そんな山下さんに東南アジアや中南米の自転車旅のお話ほか、山下さんが主宰する自転車とキャンプを楽しむイベント「BIKE & CAMP」についてうかがいます。

☆写真協力:山下晃和

写真協力:山下晃和

スペイン語と自転車旅

※得意の語学を活かす意味でも、山下さんは自転車での旅をライフワークにされ、海外に出かけています。移動手段に自転車を選んだのは、なにかきっかけがあったのでしょうか。

「それは20代の頃に、モデルの仕事が本業なので、自転車雑誌の仕事で自転車ウエアを着ることがあったり、あと自転車メーカーのカタログとか、雑誌のページで自転車を見ることがあって、その中でツーリング自転車っていう、旅専用の自転車があるのを知ったんですね。

 その雑誌はレース系の雑誌だったので、普通の自転車ではなくて、レース用の、ドロップハンドルって言われているような、スピード出すための自転車が多かったんですけども、バッグをくくりつけて、タイヤがちょっと太めで、いろんなキャンプ道具を積載できる自転車があるのを知って、すぐ買いましたね」

●実際に初めて、そのツーリング自転車で行った国はどちらだったんですか?

「いちばん最初に行った国は東南アジア、早速縦断しました」

●えー! いきなり縦断ですか! そんな急にできるものなんですか?

「できると思って行ったんですけど、もちろんできないところというか・・・そもそも僕は香港からスタートしたんですね。香港のチョンキンマンションっていう安宿街があって、沢木耕太郎さんの『深夜特急』っていう本を読んで憧れていたんで、そこをスタート地点にしたんですけど、行ってから香港が地続きで自転車で走れないことに気づいて(笑)、早速フェリーに乗せて中国本土に渡るみたいなこともあったりしました。

 ほかにもカンボジアも国道がつながっていると思ったら、川を渡らないと国道がつながってないってところがあるんですね。そういうところも含めると、全部自転車じゃねえだろうってなると思うんですけど、でも一応、目的としていた国は全部走りましたね」

●それ以降、旅する時の移動手段は基本的には自転車なんですか?

「自転車のことが多いですね」

●今まで自転車で、どんなところを巡ったんですか?

「最終的に僕が目標にしていた中南米に行きたいと思って、大学で勉強していたのがスペイン語 だったんですよ。スペイン語は中南米の国で主要な公用語になっているところが多いんです。そこを(地元の人と)話をしながら旅をするには自転車がいちばんいい手段というか・・・観光地をずっと旅していくと英語を使うケースが増えてしまうと思ったんで、できるだけ公共交通機関、バスとかそういうものを使えればいいなと思ったんですね。

 自転車雑誌でツーリング自転車を見つけてから、自転車だともっと面白い旅になりそうだぞって思って、それを組み合わせて、中南米を自転車で走ったら、たくさん言葉を使えるんじゃないかっていうのがあって、それを最終目的で、練習で東南アジアを走ったという感じです」

●確かに自転車だと出会う人の数が増えそうですよね?

「そうですね。困りごとがあったら自転車の場合、本当にすぐその人に話しかけないと、次にどなたに会えるかがわからないので、身振り手振りいろいろ使ってですけども、会話しようと頑張るんですね。自分は、そういうところに身を置かないと、ついついほかの言葉を使っちゃいそうになるんですよ」

写真協力:山下晃和

(編集部注:山下さんがこれまでに自転車旅で訪れた国は約30か国。国内外を走ったトータルの距離はおよそ3万3千キロ。ちなみに、キャンプ道具と自転車の総重量は50キロから55キロ、1日の移動距離は80キロから100キロほどにもなるそうです。
 旅のスタイルは目的地だけを決めて、あとは行き当たりばったり。東南アジアも中南米も、半年くらいかけて旅をされたそうです)

笑って旅したバングラデシュ

※自転車旅の魅力は、どんなところにありますか?

「自転車旅の魅力は、いちばんはやっぱりその国の純度の高い文化が見えることだと僕は思っています。観光地は英語がしゃべれるかたがいたりとか、観光地でもその国の文化、ちょっと着色しているような文化があると思うんですね。

 観光地と観光地の間にある、本当に小さな町とか村には全くそういうのがなくて、日々の暮らしそのままを見せてもらえるというか、見ることができる機会があるので、それが自転車旅のいちばんの良さかなって思いますね」

●これまでの旅で印象に残っている場所とか、人との出会いって何かありますか?

「観光する場所としては、マチュピチュとかアンコールワットは素晴らしいとは思ったんですけども、実際にそういう素晴らしい景色以外に、自分の中に面白いとか、記憶にずっと残っているところは、実はバングラデシュという国で、そこが本当に面白かったですね」

●どういうふうに面白いんですか?

「まず、人が面白いです! 僕が自転車で旅をしているので、その時はインドから入ったんですけど、最初の町に着いて、商店みたいなところで飲み物を飲んでいたら、村中の人が集まってきたんですよ。日本人が来たぞ、みたいな噂が流れたらしくて、たくさん集まってきて、ジロジロジロジロ見て一緒に写真を撮ろうとか、あとSNSにあげてもいいかみたいに言われて、ちょっとヒーローみたいな気分になって、面白いなと思っていたんですね。

 その村が特別に日本人が少ない場所なんだと思っていたところ、止まるところ止まるところで集まってくるんですよ、人が・・・。どうやらSNSを見た人が次にこの町に来るかもしれないよみたいになって、僕を追いかけてくれるというか、(SNSを)見たよっていうような人もいて、本当に笑っちゃいましたね。なんで知ってるのとか、君見たよ、何かで、みたいな感じで、もう笑い続けてました。おじさんが隣にいて写真を撮ったりするんで、誰だろうとか思いながら、そんな笑いの連続でしたね(笑)」

写真協力:山下晃和

ラオスの親切、ボリビアのアルパカ

※ほかにも東南アジアの旅でこんな出来事があったそうですよ。

「いちばん面白いことがありまして、ラオスで・・・本当にラオスという国を僕は知らなさすぎて、町と町の間がけっこうな山あいで、進むのが本当に大変だったところが多かったんです。

 なにせ50キロ近いキャンプ道具を積んで、さらに自転車でアップダウン、標高1000メートルから0メートルみたいなところを、ずっと行ったり来たりして大変だった時に、僕はキャンプするつもりで、その村に入ってテントを張らせて欲しいっていう感じで、民家のかたにお願いしようとしたら、そんなことしなくていいよ、こっちに部屋があるよって言われて・・・学校の小屋みたいなところがあって、誰も人はいなかったんですけど、小さな小屋にここに寝ていいよって言って案内してもらったんですね。

 で、けっこう綺麗だったんですよ。ここで寝ていいんだと思っていたら、この町は実はお風呂は少ないから、あの竹から出ている水で水浴びしてもいいよっておっしゃって、子供たちと一緒にキャッキャッ言いながら水浴びさせてもらったんですよ。で、就寝しようと思っていたら、コンコンって音が鳴って、ろうそくを持ってきてくれたんですよ。暗いだろうって言って、これ使っていいよって持ってきてくれて・・・そこで、一晩過ごしたことがありましたね」

●すごいですね。親切なかたというか。

「最高でしたね。0円でしたけど、本当にスーパー高級ホテルなんじゃないかなってぐらい感動した 1日でした。
 また面白いのは、その小屋から夜ちょっと外に出たら、星空がめちゃくちゃ綺麗で、光がないとこんなに星って見えるんだって思って、黒いカーテンみたいなところにいっぱい白いペンキをバーッてつけたような、そんな夜空でした。震えました」

●忘れられない情景ですね。

「一生たぶん忘れられない景色ですね、あの星空は」

※ほかに 自転車の旅で出会った絶景などありますか?

「ボリビアのアルティプラーノっていうところがあるんですけど、標高が3000メートル近いところで山の上なんですね。でも山の上だからといって、アップダウンがあるんじゃなくて、アルティプラーノは高い所の平らな所っていう意味があるんです。

 高い所をずーっと走る、山の稜線をずっと走るみたいな箇所があって、そこは人工物がほぼなくて、高い所なんで植生がなくて、草原みたいな感じのところが続いて、ずーっとアルパカの群れがいて、その中を走るみたいな光景があったんで、それは感動しましたね」

●アルパカと一緒に走れちゃうんですか?

「走れていましたね、その時は。草を食べている姿を横に見ながら、ずーっと自転車で直線の道を永遠に走っている時は、幸せだな〜自転車でよかったな〜っていう瞬間がありましたね」

(編集部注:山下さんが海外に旅に出るのは、いろんな国の文化や風土に触れることで、改めて、日本の良さを再認識することや、現地の人々の暮らしや生き方を見てみたい、そんな理由もあるそうです)

山下晃和さん

自転車とキャンプ、恩返しと車椅子

※山下さんは「BIKE & CAMP」というイベントを主宰されていますが、どんなイベントなのか、教えてください。

「このイベントは自転車とキャンプをテーマにした『旅イベント』ってうたっています。自転車とキャンプって、けっこうハードなイメージだと思うんですけど、旅フェスにするとちょっと緩く感じると思うんですよ。
 そこに会場があって、みんなで集まってキャンプをして1日過ごすのは、旅の目的地としてもいいですし、あとは自転車の試乗もできるんです。旅用の自転車ってなかなか見る機会少ないと思うんですけど、自転車メーカーが来てくださって、そういう試乗もできて、アウトドア道具とかも展示してある、そんなイベントになっています」

●イベントの趣旨というか目的っていうのは、どんなところにありますか?

「いちばんの目的は、自転車キャンパーをひとりでも増やすことっていうのが僕らの目標にあります。自転車で早く走る、ロードバイクとかはけっこう今人気になってきてはいるんですけど、ちょっとスポーツになってしまうので、その土地の魅力をもうちょっと感じてもらいたい場合には、キャンプで一泊をすることによって、たとえば地元のスーパーで買い出ししたりとか、本当に行き先がわかんなかったら誰かに聞かなくちゃいけなかったりとか・・・。

 あとはキャンプを終えた次の朝とかは、学生が通学している風景が見られて、その横を自転車で走ることができたりとかすると、その場所の暮らしがわかるんですよ。

 そういった観光の新しいスタイルが自転車キャンプには含まれているなと思っているんです。そういうのをもっと体験してもらいたい、自分が好きだからっていうのもあるんですけど、それをもっと初心者向けにワークショップなどをしながら、やりやすいような環境を作りたいなと思って始めたイベントだっていうのがひとつ。

 あともうひとつは、僕が海外を旅していて、いろんな人にお世話になったんですね。たとえば自転車で走っていたら、うちに来てご飯を食べていきなよ!とか、突然言われたこともあったりしたんです、カンボジアとかであったんですけど・・・。あとは突然、これはネパールだったかな・・・これ食べていいよ!とか水を飲んでいいよ!って言って渡されたことがあったりとか、いろんな人に助けてもらいながら旅をしていたんで、恩返しをしたいっていう思いもあって・・・。

 実はこのイベントでチャリティオークションをやっているんです。このチャリティでは『海外に子ども用車椅子を送る会』に全部寄付金としてお渡ししています。  海外にはその車椅子がすごく少なくて・・・日本の車椅子は世界でもナンバーワンの造りなんですね。そのナンバーワンの車椅子が、子供が成長したら捨てられてしまうケースが多いので、それを会のかたが修理して直して、海外に送るっていうボランティアをやっているんです。それに僕はすごく感銘を受けて、実は僕もボランティアで年に何回か直しに行っています。自転車と同じパーツなんで直せるんですよ」

写真協力:山下晃和

●なるほど〜。

「タイヤも一緒、ブレーキも一緒なんで、協会のメンバーみんなで直しに行ったりしています。海外の子供たちに恩返しになるかなと思って、それは(イベントで)前面にはうたってはないんですけども、何か役に立てるかなと思って、そういう思いも込めてチャリティにはしています」

(編集部注:「BIKE & CAMP」は一般社団法人「自転車キャンプツーリズム協会」が行なっているイベントで、山下さんはその協会の理事でもいらっしゃいます)

5月開催の「BIKE & CAMP」

※5月に開催を予定している「BIKE & CAMP」、その日程や開催場所など、詳細を教えてください。

「5月の25日、26日の土日で、福島県いわき市のワンダーファームという所でやります。あと関東でも10月26日、27日に茨城県土浦市で開催が決定しました」

●お〜、そうなんですね! 秋に!

「秋に関東でやります」

●ワークショップみたいなものはありますか?

「はい、あります。毎回焚き火のワークショップはやっているんです。それ以外に僕はたぶん、自転車キャンプの道具をどうやったら、バッグにうまく詰められるのかなとか、どういったバッグを選べばいいのかとか、あとはどういう自転車を選べばいいのかみたいなところを含めた自転車旅のワークショップっていう、ざっくりとした本当に初心者向けのものをやる予定ですね」

写真協力:山下晃和

●自転車でキャンプって、どうしてもちょっと大変そうなイメージがあるので、一歩踏み出すのに勇気がいると思うんですけど・・・。

「そうなんですよね(苦笑)」

●でもそういうかたには絶対いいですよね。簡単にできるんだよっていうのを教えてもらえるわけですよね。

「そうなんです。だからカゴ付きの普通のシティバイクで乗りつけてもらっても、できるようなやりかたを教えます」

●いいですね! 参加したいかたはどうしたらいいんでしょうか?

「ワークショップは基本的には無料でやっているので、その場に来てもらえればすぐ教えます。宿泊だけはホームページから予約いただくんですけども、だいたい100名くらいまでで締め切りにはなっちゃうんですけど・・・」

●なるほど。じゃあ早めがいいですね?

「そうですね。宿泊したいかたは、できるだけ早めにホームページから予約していただければと思います。日帰りで来たいかたはもう自由です! 無料です! 誰でもOKです」

●では最後に、今後こんな旅をしてみたいという夢があれば、ぜひ教えてください。

「そうですね・・・夢というか、今年は中国の(新疆)ウイグル自治区を旅したいなと思っています。そこは本当に以前からずっと行きたかったんですけど、コロナ禍があってなかなか行けなかったんですね。民族衣装とか、あとウイグル人は帽子をいっぱい被るのがオシャレだっていうの聞いて、見てみたいなと思って・・・」

●きょうも帽子をかぶっていらっしゃいますね!

「帽子が好きすぎて(笑)」

●そうなんですね!

「いっぱい持っているんですよ。ウイグル人はどうやら男性は帽子をかぶることがオシャレだっていうことで、もともとモデルとして仕事をしていて、ファッションにも興味があるんで、どんな帽子なんだろうと思って・・・」

●いいですね〜。

「帽子探しの旅にしようかな〜(笑)」

●いいですね! ファッション・チェックに!

「ファッション・チェックに行こうと思っています!(笑)」


INFORMATION

写真協力:山下晃和

 5月開催の「BIKE & CAMP」、日程は5月25日(土)から26日(日)。開催場所は福島県いわき市の「ワンダーファーム」。どなたでも無料で参加できますが、宿泊を希望される方は、事前にご予約ください。山下さんのワークショップほか、ツーリング自転車の試乗もできます。ぜひご参加ください。
詳しくは「BIKE & CAMP」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎BIKE & CAMP TOUHOKU24:https://touhoku24.bikeand.camp

◎自転車キャンプツーリズム協会:https://bikeand.camp

 山下さんのオフィシャルブログもぜひ見てくださいね。

◎山下晃和オフィシャルブログ:http://blog.livedoor.jp/akikazoo/

オンエア・ソング 4月14日(日)

2024/4/14 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. BICYCLE / LIVINGSTON TAYLOR
M2. CONVERSATIONS / CILLA BLACK
M3. FUNNYMAN / KT TUNSTALL
M4. BEAUTIFUL TIMES / OWL CITY
M5. サイクリングに行こう / 村田和人
M6. ALL GOD’S CHILDREN / BELINDA CARLISLE
M7. I’M YOURS / JASON MRAZ

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

番組のシンボル、風間深志さんが登場!「生きている限り、青春だ!」

2024/4/7 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、記念すべき第1回目の出演者、冒険ライダー、そして地球元気村の大村長「風間深志」さんです。

 風間さんは1950年生まれ、山梨市出身。1982年に日本人として初めて「パリ・ダカールラリー」に参戦。さらに、バイクによる史上初の北極点と南極点に到達など、前人未到の大冒険を成し遂げたレジェンドなんです。

 そんな風間さんが1988年に仲間と設立したのが「地球元気村」で「人と自然が調和している社会」の実現を目指して活動しているNPO法人です。

 今回は、20年以上続けているモンゴルでの植林活動のほか、地球をナビゲートする「テラなびサミット」のことなどうかがいます。

風間深志さん

モンゴルのゴビ砂漠で植林活動

●今週のゲストは、この番組の記念すべき第一回目のゲスト、冒険ライダーそして地球元気村の大村長、風間深志さんです。ご無沙汰しています。よろしくお願いいたします!

「どうもどうも! あれからあっという間の1年だね〜、早いもんですね、本当に」

●風間さんには、毎年4月の第1週目にご出演いただいています。

「そうだ。この時期にお声がかかるんですよね、なぜかね」

●この番組「ザ・フリントストーン 」がこの4月から33年目ということで、長いお付き合い、本当にありがとうございます!

「33年! すごいな〜、よく続いているね、フリントストーン。まあ続かないとね!」

●長寿番組として頑張っております!

「意味は火打ち石でしょ? フリントストーンっていうのは・・・みなさん、わかっていますか〜?」

●今回は、この話題からいきたいと思います。地球元気村では2013年からモンゴルで植林活動などを行なっていらっしゃるということで、モンゴルで活動するようになったのは何かきっかけがあったんですか?

「きっかけ? モンゴルに通い始めてから20年は経つんですよ。ただ行くだけじゃ、と思ってね。どうせなら、ゴビ砂漠が好きだから、あそこは砂漠化していて、遊牧民のかたたちの牧草地も草がなくなってきているって話を聞いたんですよね。だったらゴビ砂漠で植林やっちゃおうって・・・。で、行き始めたのが2013年で、まあそれからもう10年経ちましたね」

●どのあたりに行くんですか?

「僕がよく行っているのは・・・いろいろあるけど、最初に行ったのはドルノゴビ県って言って、中国との国境に面しているっていうかね。まあモンゴルのいちばん暑いところだね。ラクダに乗って、それで時として馬にも乗りながら内陸のほうに入っていって(植林を)やるんですね」

●植林は毎年されるんですか?

「毎年! 大変なんですよ。植林はするだけだとだめでね。(植林)した後のメンテナンス、それで水をちゃんとあげるとかやらなきゃいけないから、やっぱり井戸掘りからだなっていうんで、いちばん最初の2013年は植林だけやったんだけど、2014年には井戸を掘りました」

●すぐに水って出るんですか?

「いやもう大変・・・150メートルとか掘って、それで水がピューって出るわけ。出るんですよ、結構!」

●どうでした? その時。

「すごく気持ちよかった! あそこはある意味、永久凍土なんだよね。地下水はすんごい冷たいから、夏でも手が痺れるほど冷たい。その水も美味しかったな〜」

●感動しそうですね、水が出た時! 

「もう感動、感動しまくりのゴビ砂漠(笑)」

●モンゴルの活動には地球元気村の村民(会員)のかたがたも参加されているんですよね。

「行けるんだよ、いつでも。いつでも行ってもらいたいし、今年も行くからね。今年もたぶん7月の終わりくらいに行くかな。行こうと思っているので、ぜひ興味のあるかたは行ってもらいたいですね」

●行ってみなさんで何をされるんですか?

「僕の場合バイクに乗るのが好きだから・・・植林するでしょ? で、植林を3日間くらいやるんだよね。そうしたら飽きるじゃないですか。バイクでトレッキングに行くわけ。あちこちを見学しながら、それがすごく楽しい」

●いいですね〜!

「あんまり早いマシンに乗ると、かっ飛びたくなるから、あれはだめなの! パワーのない125ccくらいのマシンで行くといいね。モンゴルはやっぱり草原が魅力ですから、遊牧民のかたたちがいっぱい住んでいて、もう本当にピースフルだね」

ノマド文化に学べ

※地球元気村では、モンゴルの遊牧民の生き方や伝統ともいえる「ノマド文化」に学ぶことを提唱されています。改めて「ノマド文化」について教えてください。

「ノマドっていうのは遊牧民っていう人たち、定住しない人たちのことをノマドって言って、例えばサハラ砂漠周辺にはトゥアレグ族って人たち、ラクダの民がいて、200万人くらいいるんだよね。

 一方モンゴルにも、モンゴル全体で300万人だけど、ウランバートルに180万人が住んでいて、300万人引く180万人、120万人がノマドなんですね! って言ったら、いやそこまではいかないと(笑)。ということで、80万人くらいいるんだよね。その人たちが本当に昔ながらの生活をしているわけ。南米のパタゴニアに行くとガウチョっていう人たちがいて、それもやっぱりノマドの人たちなんだよね。

 で、僕らは定住して、物質文明に、氾濫する物質に覆われていて、幸せの単位が物の数とか、たくさん物を持つとかっていうところに幸せを感じるけど、大間違いなんでよね。

 モンゴルの人たちは、1年間に5回くらい場所を変えて住むわけ。そうすると、持っていく物は本当に必要最低限の、これはいらないかなっていうのは、絶対捨てていくっていう流儀なんだって。そのくらい、俺たちの1%にも満たない物で過ごして、幸せを感じて子供も作って、豊かな生活を送っているんだよね。

 だから僕らはそこの人たちに、あなたたちにとって幸せとは何ですか? とか聞いてみたい。そういう勉強を今、俺たちはしなきゃいけないなと思って、地球元気村で、一生懸命ノマド・ノマド・ノマド! って言っています(笑)」

●2019年には「地球元気村 in モンゴル」を設立されました。その拠点はどこにあるんですか?

「向こうに地球元気村モンゴルがあるの。Googleで調べて、モンゴル地球元気村って(検索)やるとパシっと出てくる。ウランバートルから南に40キロくらい走ったところにキャンプがある。そこがモンゴル地球元気村で、そこで楽しくやっています。
 来てくださいね、ぜひ。いいんだよ〜本当に! 夜は満点の星空なんていうもんじゃない。ものすごい。星が降るっていうのはあのことだね。そうやって焚き火して、みんなモンゴルの人たちはやっぱり遊びがないから、結構みんな歌を歌うんだよね。代わる代わるにみんな歌を歌って夜を過ごすわけ。心が高揚して、人情も濃いし、本当に現代社会の人間たちが忘れかけてしまったことや物が全部あるね」

●あったかい場所ですね。

「そうです。だから今モンゴルの遊牧民たちに目を向けて、全員あの真似はできないけど、俺たちはね。でもそこにある心の持ち方、俺たちはやっぱりすごくそこを学ばなきゃいけない時期かなと思って・・・」

「テラなびサミット」開催!

※地球元気村では、先月の3月6日から7日に山梨市で「第一回 テラなびサミット」を開催しました。これは2022年に「地球元気村」のサポートメンバーと作った「テラなび委員会」がもとになっているということなんですが、改めて「テラなび委員会」とは何か、説明していただきました。

「『テラ』はギリシャ語の地球、『ナビ』はナビゲーションのナビで、地球をナビゲートするっていう委員会を作って、それでなんか考えようってね。

 この夏、くそ暑い夏がまた来るんですよ。お年寄りみんな、いやだって、なんとかしてほしいって言うじゃん。でもこれは文明が作った、様々な部分で作ったひとつの結果だから、直そうったって、そうはいかねえんだ。だからそれを考えての結論は、ひとりひとりのライフスタイルを変えていくってことに、そこにゴールするんだけど、みんなの生活の価値観を変えるってことなのね。

 例えば10何年前に計画停電があったよね。あの時、真っ暗になったよね。8時以降は電気を止めようとかね。みんな、できるのかなって(思って)やったけど、やったらさ、気持ちよかったじゃん。夜なんて暗いのは当たり前だよって。何も夜中に落とした10円玉探さなくていいだろうって。
 そういうことで、夜の闇は闇として受け入れるほうが気持ちいいねっていう気づきがあったよね。そういうふうにライフスタイルを、みんな自然に寄り添うような形で変えていくっていうのは、大事な時代になったね」

●「テラなびサミット」は山梨市で行なわれたんですよね?

「やった! このあいだね、すげえウケたよ! 小学生たち30人呼んでね。テラなびサミットの人たちは、だいたい先生ばっかりだから、大学の教授、校長先生を40年やりましたとか、なんかの先生だから、子供たちに話しかけるのが上手でさ。(小学校の)校長先生がすっげえ感動しちゃった。”素晴らしい1日をきょうは過ごしていただきました”ってすごく喜んでくれた。

 この時代はみなさん、こういうふうに変えましょうなんて言わないでしょ。だから俺は地球元気村を36年やって、何のために地球元気村を今までやっていたんだろう・・・やっぱりこういう時に、言わない大人が言おうと、みなさん変えましょうって、生活のベクトルっていうかね、そういうものを変えていくっていうのが、どっかですごく必要だ。
 そうしなかったら、また40度を超える夏は来るし、生物多様性もこの30年で8割の昆虫がいなくなって、それから脊髄動物の67%がこの27年でいなくなっちゃったんだって。そのぐらいひどいんだよ、今」

風間深志さん

能登の被災地で炊き出し

●今年の初めには能登半島で大きな地震があって、多くのかたが被災されて、風間さんも地球元気村のスタッフのみなさんと一緒に現地で炊き出しされたんですよね。

「行きましたよ! ちょっと(名刺を)あげるね」

●お名刺、ありがとうございます。石川県観光大使!?

「去年の10月に(石川県観光大使に)なったの、観光大使だからね。能登半島は羽咋市と輪島市の観光大使もやっているからね。3つに関係するからじゃないんだけど、非常に馴染み深いのね。あの人たちが大変なことになったので、できることって何かと思ってね。
 とんでもない倒壊とかね、道が混乱するほどの状態になったから、なかなか近づけなかったけど、先月は行ってきました。今月も再来週に行きます。山梨のほうとうを持って行ったの! 喜んでくれたよ!」

●風間さんがネギを切っている写真がホームページに載っていましたね。

「ネギをあんだけ切るとさ、400人分切ったの、目にすげえ染みるね! 玉ねぎだけかと思ったら、ネギもこんなに染みるのかって、やってみなきゃわかんないことをやりましたけど。もうなんだろう、あんなに時間が経っているのに、こんな料理を食べたのは初めてだっていうんだよ。ほとんどカップラーメン、あれが定番化していて、ああいうものばっかり食べているみたい・・・」

●風間さんは能登にバイクのイベントで何度も行っていますよね。

「SSTR(*)ですごくお世話になっているんですよ。SSTRで(参加者が)1万人を超えたでしょ。調査とそのあとにも行くから、数万人のかたたちがお世話になっているからね、年間。だからそこにはみんなふるさと意識を持っているしね。やっぱり困った時は本当にお助けさせてもらいたいと思うんですよ」

●今後も支援活動は続けていくんですか?

「これから2年から3年続くね。間違いなくずっとやりますよ」

(*「サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」の略)

自然と共存できるように

※風間さんは去年、この番組のインタビューで、2026年頃に4輪で「ダカールラリー」にチャレンジしようかな〜というお話もされていたんですが・・・その後、4輪の国際ライセンスを取得するなど、着々と準備を進めているようですよ。

「なんか自分でも思うよ。なんつーのかな・・・富士スピードウェイのストレートを200何十キロで走って、そんなこと、俺やっていいのかよって・・・現実に潰されちゃうような歳だからね、今(笑)。
 そういう心の葛藤がありながら、でも生きている限り青春でね、頑張ろうと思っています。そういったことでみなさんが、なんか勇気をもらえるって言ってくれるから、俺はそういう役割だなと思って、向こう見ずみたいなことやっていますけど、要は簡単に言うとバカなんだけどね(笑)」

●生きている限り青春ってかっこいいです!

「あ、本当ですか? 言ってみたいでしょ!」

●素敵です!

「言っちゃたら、自分も」

●はい! メモらせていただきます。

「言えばいいんですよ、生きている限り青春だって!」

●全力で遊んで全力で学ぶって、かっこいい!

「遊ぶってのがいちばん大事なこと。仕事は誰でもやるんだけど、遊びがうまくできるか、遊べる時間を確保できるか、これはやっぱりね、人生の生き方上手かもしれないね。だからみんな楽しく過ごしたいじゃない? どうせこの地球に生まれたら、楽しく笑って死にたいよね、年寄りっぽいけど(笑)」

●改めて、今後の地球元気村としてのチャレンジがあれば、教えてください。

「今ね、この時代でしょ、地球温暖化、気候変動、ひどいじゃん。こういったものさ、笑って見ていられないから、本当にみなさんが地球元気村で感じたような、自然に親しみを持って、自然に優しい生き方が、まず自分のそれぞれのスタンスでできるようになってくれればいいなっていう・・・。
 そういうかしこまった言い方をするとすごくウケないんだけど、本当にそれをやんないといけないんですよ。 だから俺は本当にみんなが楽しく、そういったことを受け入れられて、それが実践できる方法がないかなって、もう20年も考えていますね。

 昔はよかったんです。(自然を)好きになることがいちばんの普及だって言って、キャンプも流行らせました。アウトドアも思いっきり流行らす原動力になりました。でも今この状態じゃん。
 で、それがどういうことかって・・・この自然というものに対する向かい方、人間と人間が生きることっていうことを、みんなで考えなきゃいけないね。俺ひとりの力では何にもできないから、みなさんの力を借りて、メディアの力も借りながら、みんなと自然と共存できる方向に歩いていきたいね」

☆この他の風間深志さんのトークもご覧ください


INFORMATION

 山梨市の地球元気村ファーム「天空のはたけ」では5月中旬にサツマイモの植え付けが予定されています。また、地球元気村が運営している山梨県山中湖村の村営山中湖キャンプ場では、だれでも参加できるイベントを月に一回開催しているそうです。

 そんな地球元気村では、随時村民を募集中です。プレミアム村民は会費が年間10,000円、村民になると年4回、会報誌「地球元気村」が届くほか、イベントの参加費が割引になるなどの特典がありますよ。
詳しくはNPO法人「地球元気村」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎地球元気村:https://chikyugenkimura.jp

 風間さんが主宰されている一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」でもイベントが目白押しです。
 地域社会を元気にするための「にっぽん応援ツーリング」が4月27日からスタート。そして世界環境デーにあわせて、6月2日にはライダーの立場で地球環境の未来について考える「第2回 へそミーティングin山中湖」が開催されます。ほかにも、女子だけのツーリングラリーなども予定されていますよ。
詳しくは「日本ライダーズフォーラム」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎日本ライダーズフォーラム:https://www.round4poles.com

オンエア・ソング 4月7日(日)

2024/4/7 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. 地球は元気 / 地球元気村の仲間たち
M2. PEACEFUL EASY FEELING / THE EAGLES
M3. WAITING FOR A STAR TO FALL / BOY MEETS GIRL
M4. EVERYTHING HAS CHANGED / FRIDA
M5. 幾億光年 / OMOINOTAKE
M6. 真心おたがい様 / 地球元気村の仲間たち
M7. WALK ON / U2

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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