毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。

生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

~2020年3月放送分までのサイトはこちら

Every Sun. 20:00~20:54

2023年2月のゲスト一覧

2023/2/26 UP!

◎坂本 達(自転車の旅人)
家族5人で自転車旅! 坂本家「世界6大陸大冒険」続行中!』(2023.02.26)

◎大西 洋(日本初のテントサウナ専門ブランド「サウナキャンプ」の代表)
アウトドアで「ととのう」! 自然と一体化できるテントサウナ!!』(2023.02.19)

◎水口大輔(アザラシの音声コミュニケーションの研究者)
アザラシのコミュニケーションは「アザラシ語」!?~水中で聴こえる不思議な音に迫る~』(2023.02.12)

◎鈴木啓美(「ピープルツリー」の広報・啓発担当)
シリーズ「SDGs~私たちの未来」第11弾!~「ピープルツリー 」みんなが幸せになるフェアトレード・チョコレート~』(2023.02.05)

家族5人で自転車旅! 坂本家「世界6大陸大冒険」続行中!

2023/2/26 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自転車の旅人「坂本 達(さかもと・たつ)」さんです。

 坂本さんは1968年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、ミキハウスに入社。95年から99年にかけて、4年3ヶ月かけて、自転車で世界一周、43カ国、55,000キロを走破。その後、出版した本の印税で、お世話になったギニアの村に診療所を建てたり、井戸を掘ったりと恩返し、そして国内で社会貢献活動にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

 世界一周の旅については以前、この番組で詳しくお話をうかがったことがありますので、ぜひ番組ホームページのアーカイヴをご覧いただけたらと思います

 坂本さんは現在、会社員のかたわら、親子5人、自転車による「坂本家・世界6大陸大冒険」にチャレンジ中です。きょうはそんな大冒険から、四国のお遍路、そしてスペインの巡礼路の旅についてうかがいます。

☆写真協力:坂本達

写真協力:坂本達

四国のお遍路800キロ!

 2015年に8年計画でスタートした坂本家「世界6大陸大冒険」は、およそ1ヶ月、長い時には3ヶ月ほどかけて、自転車で旅をするスタイルで、第1ステージのニュージーランド編に始まり、スペイン、ポルトガルほかのヨーロッパ編、続いてカナダ・アラスカの北米大陸編、そしてネパール、ブータンほかのアジア編などを経て、2022年の第8ステージまで終えています。

 お子さんは男の子が3人。長男の健太郎くんが小学6年生で12歳、次男の康次郎くんが4年生で10歳、そして三男の大和(やまと)くんが3歳。上のふたりは、だんだん手がかからなくなり、だいぶ楽になってきたそうです。

※それではお話をかがっていきます。
 「世界6大陸大冒険」のサイトを見たら、第8ステージまで完了していました。第7ステージは四国に行ったんですよね?

写真協力:坂本達

「そうなんです。この年もコロナで海外が全然無理だったので、このタイミングで日本の文化とか日本の土地をまわるのもいいなと思いました。距離的にも文化的にも四国を一周すると約1000キロ、四国は自転車のルートを整備していたりと、お遍路の文化があるので、このタイミングでちょうどいいんじゃないかなと思って、それで四国を選んだんです」

●2021年ですよね?

「はい、2021年ですね。夏休みです」

●期間はどれくらいだったんですか?

「1ヶ月ちょっとです。徳島からスタートして、高知をまわって愛媛、香川でぐるっと一周っていう感じですね」

●自転車で走った距離はどれくらいですか?

「だいたい800キロぐらいだったかなと思います。実はその夏は台風とか雨とかが四国のほうに来ていて、全く走れない日があったりとか、ビーチに行こうと思っても荒れていたり、楽しみにしていた四万十川も濁っていたりと、ずっ〜と走れない日が続いていました。
 実は大和がまだ1歳半だったので、妻が大和を車に乗せて、サポートカーっていう形でまわったんですね。

 僕と長男と次男は自転車で走って、朝、別々に出発して、途中何ヶ所かで合流してお昼を食べたりして、目的地を大体決めていましたね。ずっと一緒に走ると車のほうもストレスなので、途中途中で会って・・・大和もチャイルドシートでぎゃん泣きしたりしていたので(苦笑)、お兄ちゃんたちがあやしてくれたりとかしながら、時には車に乗って移動したりしていました。本当は1000キロぐらい走れるかなと思ったんですけども、800キロぐらいだったと思います」

写真協力:坂本達

 

●四国のお遍路にはお接待の文化があると思うんですけれど、やはりお世話になったんですか?

「なりました。コロナっていうこともあって、お遍路さんも少なくて・・・例年、特に外国人が多いそうなんですけど、2021年はぜんぜんっていう声をよく聞きましたね。
 その分、お遍路宿に泊まっても、私たちしかいないということもあったりで、子供たちが泊まる料金をただにしてもらったりとか、草引きをお手伝いしたら、もう1泊してっていいよとか、ご飯を特別に出してもらったり、おにぎりを持たせてもらったり・・・そういった文化に触れることはすごく多かったです」

再びスペインへ、巡礼路の旅

※続いて、第8ステージについて。2022年7月から8月にかけて、再び、スペインに行っていたみたいですね?

「そうなんです。実は7年前にも同じ道を走っていたので、2回目になったんですけれども、やっぱり小さい子の安全面、交通事故に合わないようにって考えると、どうしても車が通らない道というのを選んで、なかなか海外では少なかったですね。

 あと前回、子供たちが巡礼者や現地の人にとても励ましてもらって、走ることができた一体感みたいな・・・世界中の巡礼者が集まってきて、最後は家族みたいになって一緒にゴールするっていう1〜2ヶ月の、そういうルートをまたやりたいと思って、それでスペインの巡礼路に行ったんです」

写真協力:坂本達

●どれくらいの走行距離だったんですか?

「旅の期間がちょうど1ヶ月と限られていまして、1ヶ月の間に自転車を(日本から)運んで組み立てて、最後にバラして日本に送るところまでだったので、実質走行したのは3週間ぐらいかな・・・距離にして大体500キロぐらいです。巡礼路自体は1000キロ以上あったりするんですけども、私たちはピレネー山脈を超えた平原が広がるところ、そこの町からだと、だいたい500キロという感じでしたね」

●家族5人で?

「はい、そうです」

●大和くんは、当時は2歳くらい・・・?

「そうですね。2歳半です」

●奥様は不安も大きかったんじゃないですか?

「今回は私の後ろに大和を乗せる感じだったので、妻は自転車の荷物だけで、それほど不安はなかったかな・・・あっ! 暑かったですよね? 日本も。去年は熱波がヨーロッパにも来ていたので、それは大変でしたね」

(編集部注:ちなみに今回のスペインの旅では、自転車4台や装備、ウエアなど、荷物の総重量は130〜140キロほどになったということで、特に海外に行く場合は、大変だろうなと思ったんですが、坂本さん曰く、いろんな意味で覚悟はいるけれど、準備さえしっかりしていけば、海外でも助けてくれるかたはいるので大丈夫ですよと、経験豊富な坂本さんらしいお話がありました)

子供たちの成長

※スペインの旅は、先ほど熱波だったというお話がありましたが、旅の後半に奥様が体調を崩してしまうというアクシデントがあったそうです。そんな状況の中、健太郎くんと康次郎くんがお母さんの自転車を押したり、荷物を持つなど、いろいろ気遣っていたそうですよ。子供たちの成長を感じた旅でもあったんじゃないですか?

写真協力:坂本達

「そうですね。特に健太郎は、小学6年生っていうこともあって、体力がついてきましたね。康次郎が初めて自分で荷物を積んだので、その分、妻の荷物が少なくなったんですが、それでも上り坂(標高が)1300メーターぐらいの峠が2つぐらいありますので、健太郎がもっと荷物を持ってあげるって言って、まだまだ軽いから、まだまだ大丈夫とか言って・・・一回、健太郎の荷物を持ったら、むちゃくちゃ重たくて、えっ! こんなに重たいのを持っているの! みたいな・・・そんなふうに何も言わないのにやってくれたりとか・・・。

 荷物も、毎日移動しますから、パッキングしたりとか、着いたらすぐに荷物を部屋に運び込んで、今まではこれやって、あれやってっていうのを、もう言わなくても全部自分たちで段取りをやってくれるようになりました。

 空港についても自転車の大きい箱を載せたカートを押してくれたりとか、私たち夫婦がやっていたのを子供たちがだいぶ手伝ってくれるようになったので、その辺はすごく成長して本当に助かりました」

●どんどんたくましくなっていきますね! すごいですね!

「はい、ありがたいですね」

●家族5人で、しかも自転車で旅をされていると、いろんな方々から声をかけられたんじゃないですか?

「スペインは本当にいろんな人が当たり前に声をかけてきてくれて、子供たちはもうべらべら喋られるのが嫌だっていうぐらい声をかけられるみたいです。

 一回、スーパーに買い物に行った時に、妻が子供たちとメロンを見ていたらしいんですね。そうしたら、おばちゃんがいたので(妻が)”ちょっとメロン高いわね”って話しかけたら、”子供を連れて自転車で冒険していたら、お金もかかって大変でしょう”って言って、子供たちに1ユーロずつ、お小遣いをあげてくれたりとか・・・。

 あとは公園に行っても、子供たちに声をかけてきてくれたりとか、巡礼者同士もお互い励まし合って、特に小さい子がいるので、“チャンピオン、チャンピオン”って、”お前はチャンピオンだ、すごいな”って声かけてくれたりするので、むしろひとりにしてもらえないというぐらいな感じで(笑)、本当にスペインは暖かかったし、すごく励まされましたね」

写真協力:坂本達

坂本家の旅はまだまだ続く!?

※2015年に8年計画で始まった世界6大陸大冒険は、予定では今年で最終となるはずでしたよね?

「はずだったんですね。さすがに子供も6年生になったら、自分の時間、夏休みとか友達とも遊びに行きたいかなとも思っていたんですけれども、三男の大和が生まれて、年の離れた子がいることで、一緒に冒険にチャレンジしたいって言ってくれているんですね。今年の夏は、どうしようかっていうのも毎日のように話したりしています。
 友達とは学校のあととか週末に遊びながら、冒険は冒険でもうしばらく続けようっていう感じで、父としては嬉しい限りですけどね(笑)」

●子供たちの意思を尊重して、続けるだけ続けていこうという感じですね?

「そうですね、はい。でもだんだん子供たちに体力がついていく一方で、私は体力の維持が大変なので・・・(笑)」

●そうですよね(笑)

「ほかにも時間を手に入れるのが私としてはいちばん難しいところ、大変なところですけど、それに向けていろんなことを調整するようにしています」

●それでもやっぱり旅を続けようって思われるのは、どうしてですか?

「なんでしょうね・・・まず私が純粋にやりたいっていうのもありますし、妻が自転車でなければ、出会えない人たちとの出会いが宝になって・・・例えば四国と北海道は妻が妊娠中だったり、大和がちっちゃくて、サポートカーだったんですけど、(妻が)やっぱり出会いがすごく少なかったと、車に乗っていると出会いが半分ぐらいになってしまうと言っていたんですね。

 やっぱり旅先で出会った人たちとの出会いって、その後もずっと続いていて、普段の生活では出会えない人たちの出会いとか経験とか、そういうものが何事にも変え難いので、子供たちにとってもすごくいい経験になりますね。

 ある意味、教育っていうには違うかもしれないんですけど、異文化を肌で感じて、予定通りにいかないこの自転車のプロセスを、どうやったら解決できるかっていう、答えのないことを家族で話し合いながら進める、そういうプロセスが私は好きですね。
 子供たちもだんだん年を追うごとに自分で決められる、意思決定して距離とか泊まる場所とかを決められるようになったので、それを楽しく感じられる、それもあると思います」

写真協力:坂本達

旅以外の異文化交流

※坂本家のように家族で自転車旅をしてみたいと思った方にぜひアドバイスをお願いします。

「家族と自転車旅ですか・・・そうですね・・・(家族で自転車旅をしているかたは)いないことはなくて、海外のかたはそれこそ1年とか2年、子供を連れて走っていて、旅先で会うと、”あれ? 子供たちは学校どうしているの?”って聞いたら、オンラインでやってるとかホームスクーリングをやっているんだとか・・・。

 現実的な仕事とか学校っていうのはあると思うんですけど、これしなきゃいけないというのも現実にはあるとは思うんですけど、本当にやりたいことが家族での自転車の旅だとしたら、それを中心に仕事もそれに向けて変えて、学校もそれに向けて変えたりとか、そのままで難しかったら、環境を大きく変えてしまうというのが、いちばん難しいんですけど、でもいちばん続けやすいとは思いますね。

 ただそうは言ってもなかなか難しいとは思うんですね。コロナもあけてくると思いますし、海外からのサイクリストも日本に来始めていて、家のほうにも泊めてもらえないかっていう連絡が来たりしているので、そういう人たちを日本でおもてなししながら、一緒に家族同士、自転車で旅をしたりとか、家にホームステイして泊まってもらったりとか・・・。

 自転車旅だけではないと思うんですけど、海外の人との交流って・・・自分たちが海外に行かなくても、週末だけ子供たちに”ちょっと部屋を貸してくれる?”って言って、海外からのお客さんに泊まってもらったり・・・。

 子供たちに、トイレとかシャワーとかタオルとか、使い方を教えてあげないと(海外からの)お兄ちゃんたちが生活できないからって言うと、なんとか案内しながらコミュニケーションを取ってくれたりするんですね。

 自転車に限らず、海外の人と交流したりすることは、だいぶできるようになると思うので、今までと違った環境とかホームステイとか、そういうのもいいんじゃないかなって思いますね」


INFORMATION

写真協力:坂本達

 「坂本家・世界6大陸大冒険」の旅の模様は、オフィシャルサイトに写真とともに詳しく載っています。子供たちの頑張りや成長がよくわかりますよ。ぜひご覧ください。詳しくは、坂本達さんのオフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.mikihouse.co.jp/tatsu

 坂本さんは、世界一周の旅の経験を子供達に伝える活動もされています。そのひとつがベネッセのオンライン対話型ライヴレッスン「未来キャンパス」、3月後半から4月に開催予定とのことです。詳しくは以下のサイトをご覧ください。

https://bit.ly/3Gf4UEG

オンエア・ソング 2月26日(日)

2023/2/26 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. BICYCLE / LIVINGSTON TAYLOR
M2. THE BEST DAY / TAYLOR SWIFT
M3. BECAUSE YOU LOVED ME / CELINE DION
M4. A SONG FOR MAMA / BOYZ II MEN
M5. Family Song / 星野 源
M6. SLIPPING THROUGH MY FINGERS / ABBA
M7. BUTTERFLY KISSES / BOB CARLISLE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

アウトドアで「ととのう」! 自然と一体化できるテントサウナ!!

2023/2/19 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、日本初のテントサウナ専門ブランド「サウナキャンプ」の代表「大西 洋(おおにし・ひろし)」さんです。

 大西さんは、テントサウナを日本のカルチャーにするために日々奮闘中。世界初とされている3層式のテントサウナなど、関連商品を海外から輸入しているほか、ご自身でもテントサウナ専用のアパレルやギアを開発されています。

 そんな大西さんが先頃『All About TENT SAUNA〜テントサウナのすべてがわかる本』を出されました。日本初のテントサウナの専門書といえる本で、基礎知識やノウハウなどが満載。テントサウナを楽しんでいる写真もたくさん載っていて体験したい! そんな気分にさせてくれます。

大西 洋さん

 きょうは自然との一体感が味わえるというテントサウナの醍醐味やノウハウなどうかがいます。

今週は「大西」さんが先頃出された、テントサウナのすべてがわかる本を、抽選で3名のかたにプレゼント! 応募方法は こちらから!

☆写真協力:SaunaCamp.

写真協力:SaunaCamp.

自由さとモバイル性!?

※いきなりなんですが、テントサウナの魅力って何ですか?

「いくつかの側面があるんですけど、ひとつはプライベート・サウナだっていうことですね。世界最小単位のプライベート・サウナって僕らは言っているんです。日本でサウナっていうと、街の中にあるいわゆる公共スペースなので、自分たちが好きなように振る舞うことってなかなかできないんですよね。

 でも本場のフィンランドとかそういった国々だと、基本的に(サウナが)ご自宅にあったりとかするので、好きなタイミングでサウナストーンにアロマ水をかけるロウリュ、あれを自分のタイミングで楽しめたりとか、家族や友達と一緒に入って、おしゃべりを楽しんだりとか、そういうことが自由にできる場所が日本にはなかなかなかったですよね。やっぱり(サウナを)買おうと思うと高いんですよね、ご自宅に作ろうと思うと・・・。

 だけど、テントサウナだったら気軽に買えて、収納もちょっとした物置に置いておけるぐらいで、使う時だけ広げて、男女で一緒に入れる、夫婦で一緒に入れる、恋人と入れる、友達と入れるので、自分のタイミングでロウリュも楽しめる、この自由さが魅力のひとつですね」

●テントサウナ は、やっぱり自然の中で体験できるのがまた魅力なんですよね?

「ふたつ目の魅力がやっぱりモバイル性なんですね。どこにでも持って行けて、どこにでも建てられる、小さいものだと2メートル四方ぐらいのスペースがあれば、そこがサウナになるんで、世界が違って見えるんですよ。

 このラジオの収録スタジオの中にも、物理的にはサウナが作れると思うと、綺麗な湖のほとりに建ててみようとか、綺麗な川の横でやってみようとか、そういうふうに世界が違って見えてくるんですね」

●なるほど。確かにすぐ冷たい水に入れるっていうことで、川とか湖とか海の近くがいいっていうことなんですね。

「いわゆるサウナは、サウナだけじゃなくて、サウナ、水風呂、外気浴のこの3つがセットなので、やっぱり体を冷やす水風呂となる場所が必要なんですけど、自然の中で楽しむとなると、川、湖、海みたいなところでやると、熱々に体を温めたあと、すぐに綺麗な湖に飛び込むみたいなことができるので、これがやっぱり本場の楽しみ方なんですね。

 今まで日本でそういうことを楽しめる場所は、ほとんどなかったので、テントサウナさえあれば、海外の本場のサウナが気軽に体験できるっていうことなんですね」

●確かに川とか湖とか海の近くがいいっていうことは、カヤックやラフティング、サーフィン・・・そういった水遊びのアクティビティとも相性がいいっていうことなんですよね?

「そうですね。僕も実際、釣りとサウナを一緒に楽しんでいたりするんですけど、キャンプ場に行ってテントサウナを建てて、一旦釣りを楽しんで、その間にサウナを温めておくんです。で、ひとしきり終わって、ご飯とか食べたあとにサウナに入って、夜は焚き火を楽しんで、みたいなことができたりしますね」

●贅沢な1日になりますね!

「そうですね」

(編集部注:サウナは、2000年ほど前にフィンランドで始まったとされています。白夜の国フィンランドで、冬の厳しい寒さや労働の疲れを癒すために、生活の知恵として生み出され、現在はおよそ550万人の人口に対して、300万個ほどのサウナがあり、フィンランドでは家を建てる時、サウナを中心に設計すると言われています。フィンランドの人たちは、友人や知り合いを食事に招く時、サウナへも招待するそうです。

 先ほど、釣りとの相性がいいというお話がありましたが、サーフィンも相性抜群で、寒い時のサーフィン大会にテントサウナが一台あるだけで、体を温められるとサーファーには大人気だそうです。

 ちなみにテントサウナの起源は、紀元前5世紀頃までさかのぼるそうですが、現在のようなスタイルは、フィンランドや北方の軍隊が戦時中に利用していた簡易型のサウナがもとになっているそうです。

 大西さんによれば、日本でテントサウナが初めて紹介されたのは、2008年頃で、その後、2016年から2017年にかけて、徐々に話題になり始めたということで、まだまだ新しいカルチャーと言えそうです)

富士山を見ながら、非日常!?

写真協力:SaunaCamp.

※大西さんはいつ頃、テントサウナを知ったんですか?

「僕が初めてテントサウナを買ったのは、2016年です。その頃、本当にサウナから湖に入りたいっていう夢があったんですけど、それが叶う場所が日本になくて、それでインターネットでいろいろ調べていたら、テントサウナというものがあるというのを知りました。
 もともとキャンプをずっとやっていたので、なんとか自分ならこれを使いこなせるんじゃないかと思って、フィンランドから輸入したのがいちばん最初ですね」

●実際、テントサウナをやってみてどうでした?

「なんかちょっと笑っちゃうというか、非日常がすごすぎて・・・いつも行っている、富士山の目の前にキャンプ場があるんですね。本栖湖っていう綺麗な湖があって、そこの前でいつものようにテントを建てるんですけど、その中がサウナになるなんて考えたこともなかったんですね。

 いつも見ている風景がサウナの中からの風景に変わって、サウナの中から富士山と本栖湖を見て、さらにそこに入るっていう経験がちょっと自分の想像の外にありすぎて、笑いが・・・(笑)、もちろん感動と、とんでもない気持ちよさがあったんですけど、ちょっと笑っちゃいましたね、すごすぎて」

●そこからどハマりして、ついにはテントサウナの専門ブランド、サウナキャンプを作られたんですよね?

「そうですね。日本にテントサウナって文化がそもそも全くなかったので、必要な道具もないし、必要な知識もない、どこで楽しんだらいい、どうやって楽しんだらいい、どんなものが必要、みたいなことが全く情報として整理されてなかったんですね。

 僕らも初めて買ったテントサウナは、全部フィンランド語で書かれていたので、何が何だか分からないまま読んでやっていて、結構苦労することも多かったんですよね。なので、日本にテントサウナの文化を根付かせるための活動が必要だなと思って、それで立ち上げたのがサウナキャンプっていうブランドですね」

●そうだったんですね。去年には一般社団法人「アウトドアサウナ協会」も設立されたそうですけれども、この設立の動機とか目的は何なんでしょうか?

「テントサウナ自体が、ありがたいことに人気が出てきて、キャンプ場に行ってもよく見るようになってきたんです。そうなると問題が出てきて、テントサウナってキャンパーの目線から見ると、結構高度なことをやっているんですよね。テントの中で火を扱うってことなので、当然危険が伴うんです。

 もしキャンパーだったら、ある程度経験を積んでから、多分トライする内容なんですけど、テントサウナを楽しむ方々って基本的にはサウナが好きでやっている方々で、アウトドアの知識が全然なかったりとか、危ないことを想像できなかったりとかするんですね。これは結構問題だなと思っていて、安全対策を発信することが必要と考えたのがまずひとつですね。

 もうひとつがマナー問題です。これもやっぱり同じなんですけど、アウトドアを楽しんでいると、例えば釣りをやっている人の横で、水風呂だっていって(川に)ボチャンって飛び込んだら、当然魚は逃げるじゃないですか。そういうことって想像すればわかるんですけど、視野が狭くなっちゃっていると、なかなか気づけなかったりするんですね。要はそこにいる場をみんなでシェアしようっていう感覚ですね。

 焚き火をする人もいれば、釣りをする人もいて、サウナを楽しむ人もいるっていう、みんなでマナーを、気をつけていかないと、テントサウナを禁止しようとかなっちゃうじゃないですか。
 なので、安全もマナーも自分たちが楽しめる場所を守るために必要だなと思っていて、これは社会的意義があるなと思ったので、一般社団法人にしてしっかり安全啓蒙をやっていこうっていうのが設立のきっかけですね」

テントサウナの基本セット

写真協力:SaunaCamp.

※実際にテントサウナをやるときに必要な道具を教えてください。基本セットには、どんなものがありますか?

「まず、テントサウナがテントとストーブとサウナストーン、この3つで構成されているんですね。それ以外に必要なものとしては、中で使うベンチ、それからバケツ、柄杓(ひしゃく)、アロマオイル、あと細かいですけど、耐熱グローブだったり、ペグとハンマーですね。そういったキャンプに必要なものが(テントサウナにも)必要になってくるんですけど、逆に言うとそれぐらいですね」

●テントはテントでも、キャンプ用のテントとはまた違うんですよね?

「普通のキャンプ用のテントには、煙突を付ける穴が開いていないので、専用品じゃないものは、テントサウナとしての使用は基本的に推奨していません。
 (専用のテントサウナ には)吸気口が備わっていたりですとか、特殊な気口があるんですね。サウナをやるために、安全に楽しむための気口が備わっていないものに、DIYとかでやっちゃうと事故につながりやすいので、基本的には販売されているテントサウナを使うのがおすすめですね」

●テントサウナ用のテントにもいろんな形があるんですよね?

「そうですね。ワンポールと言ってポール1本とサブポールで構成されているものから、巨大なドーム状のものとか、大きいものだと20〜30人が入れるものもありますね。一般的なのはドーム状で4〜5人が入れるぐらいのものが、いちばん使いやすいので、一般的にはそれを使うんですけどね。

 大きいテントを使うとリスキングとか、アウフグースって言われている、白樺の枝葉で体を叩いたり、タオルで風を送ったりとか、そういったアウトドアサウナならではのアクティビティも楽しめるようになるので、そういうのもやりたいって人はちょっと大きめのテントを買ったりするのがいいのかなと思いますね」

写真協力:SaunaCamp.

※続いて、道具が揃ったところで、次はどこでやるか、なんですけど、テントサウナを楽しめる場所を探すには、どうすればいいですか?

「基本的には4つ条件があります。ひとつがテントを建てていい場所、それから火を使っていい場所、テントサウナが禁止されていない場所、あと水遊びがOKな場所、この4つが条件になるんですね。

 これを満たしていれば、変な話、怒られないというか、怒られる理由がないなと思って、僕らもやっているんですけど、キャンプ場の方針、基本的にはキャンプ場が多いかなと思うんですね。そういったところで楽しむのがいいのかなと思いますね。
 地方だとお庭に(テントサウナを)建てて、毎日入っているみたいな方もいらっしゃるんで、そういうのは羨ましいなと思います」

●憧れますね〜。キャンプ場に普通のテントでキャンプしてる人もいれば、すぐその隣でテントサウナをしてる人もいるっていう、そういう状況なんですか?

「そうですね。テントサウナがやりやすいキャンプ場に行くと、必ず3〜4組いたりしますね」

●そうなんですね〜。流行ってますね〜!

「そうですね。僕が使い終わったウィスクっていう白樺の枝葉を束ねたやつとか(テントサウナを)終えて、きょう帰るなと思ったら、やっている人たちに”これよかったら使ってください”みたいな感じで、お譲りしたりとかもしてますね」

●テントサウナを楽しむためのコツっていうのはありますか? 温度とか湿度とかの調整がすごく難しそうだなって思うんですけど・・・。

「そうですね。そこは難しくもあり、楽しいところでもあるんで、やっぱり使う薪の割り方ですね。火力調整は基本的に薪でやるので、最初は細目の薪に火をつけて、だんだん温度が上がってきたら、太めの薪を入れてキープして、ちょっと温度が下がってきたなと思ったら、また細目の薪を入れるみたいなことで細かく調整ができるんです。
 それをやっていると焚き火がうまくなるんですね、火の扱いを覚えるようになるので。そこはちょっと難しいんですけど、楽しみのポイントではありますね。

 あとは、季節によっても結構(水風呂の)入り方が変わるんで、例えば冬だと水風呂に10秒ぐらい入ったらもう限界が来るんですね。なので、さっと入って外気浴を長く楽しむようにするとか・・・。
 逆に夏だとずっと泳ぐぐらいな感じで長〜く水風呂楽しんで、体が芯まで冷えたらサウナに帰るとか、そういう細かい調整をするのも楽しいですね」

写真協力:SaunaCamp.

「ととのう」の語源

※テントサウナで、これは絶対やってはいけないという注意事項を教えてください。

「まずはテントサウナの中で寝るのが、いちばんダメですね」

●そうなんですね。

「宿泊は僕らは禁止していて、なぜかというと、やっぱり一酸化炭素中毒の危険性が上がっちゃうんですね。これは本当にみんなでやめていこうって、僕らは言っていて、絶対NG! 

 あとは強風ですね。風速5メートルを超える日だと、普通のテントでも結構倒壊したり吹っ飛んじゃったりするので、そういう時にもし裸同然で、中にストーブがある状態で、風でテントが倒れたら、これは火傷とか火事にどうしてもなるので、風が強い日はやめましょうって、僕らは声を大にして言っているところですね」

●命に関わってきますよね。

「そうですね。そのふたつだけは、やめましょうっていう感じですね」

●ちなみに「ととのう」っていう語源はなんですか?

「これは諸説あるんですけど、いちばん正式には”濡れ頭巾(ずきん)ちゃん”っていう、僕らもよく一緒にサウナに入るんですけど、レジェンド・サウナーの方がいらっしゃって、その方が言い出したのがきっかけなんですね。

 サウナ、水風呂、外気浴を繰り返していると、なんとも言えない気持ちよさになるんですね。これ、なんだろう、今まである言葉ではなかなか当てはまるものがないなっていう中で、大喜利みたいにいろいろ言っていたらしいんですけど、その中で”ととのう”っていうキーワードが出てきて、あ、これかも!ってなったのが広まっていったんですね」

●そうなんですね〜!

「で、”ととのう”も漢字で書かれている場合もあるんですよ。整理整頓の”整”で、これで整うっていう場合もあるんですけど、これちょっと僕ら的にはそうじゃないよねと・・・」

●えっ、違うんですか?

「はい、調律の”調 ”、調べですね。あれも“ととのう”って読むので、さっきからチューニングとか調整みたいなことを言っていると思うんですけど、そういう要素もあるんで、ひらがなで”ととのう”って書くのがいちばんしっくりくるなと・・・。”心と体をととのえる”、マイナスをプラスにするというよりは、全部一旦ゼロに戻すみたいなイメージですね。フラットな状態に戻す・・・。

 サウナ、水風呂、外気浴をくり返した後に気持ちよくなると、心身ともにぼーっとした状態になるというか、いろんな悩みごととか、もうどうでもいっか、みたいな状態になったり、悩んでいたこととか忘れちゃったりとかして、フラットな状態に戻るんですね。これが”ととのう”っていう状態の意味というか・・・」

(編集部注:大西さんは2019年に、サカナクションの「山口一郎」さん率いるカルチャー・プログラム「NF」と、音楽とサウナの融合体験をテーマにコラボ・イベントを開催。プールサイドにテントサウナを設営し、参加者に体験してもらったそうです。参加者からは五感が研ぎ澄まされ、感受性が豊かになったと大好評だったということで、今年もコラボする予定だそうです)

テントサウナの体験施設

※テントサウナの基本セットを揃えて始めるのは、ちょっとハードルが高い気もするんですけど、テントサウナを体験できるような施設はあったりしますか?

「結構あるんですよ。グランピングがブームになっているので、そういった施設に最近(テントサウナを)導入していただくことが増えていますね。千葉だと例えばマザー牧場さんがやられている”THE FARM”というグランピング施設があるんですけど、そこはテントサウナが常設してあるので、泊まりに行ったお客さんだったら誰でも手ぶらで、テントサウナを楽しむことができますね」

●グランピング施設内にテントサウナがあるんですね〜!

「そうですね。結構、最近多いですね」

●水風呂はどうするんですか?

「川とか湖があれば、もちろんそれを使うパターンもあるんですけど、ドラム缶風呂の水風呂版みたいなものがあって・・・」

●それも楽しいですね!

「そうですね。ドラム缶風呂というかドラム缶に水が入っているだけなんですけど(笑)」

●ドラム缶に入ることもなかなかないですよね。

「そうですね。あとはプールを用意されているところもあるんで、家庭用のプールで水風呂代わりにすることもありますね」

●では最後に、テントサウナの伝道師・大西さんにお聞きします。大西さんにとってテントサウナとは?

「テントサウナは、僕は自然と人間の距離を縮めてくれる道具なのかなと思っていますね。僕は今37歳なんですけど、テントサウナがなかったら、こんなに川に入っていたかなってやっぱり思うんですよね。子供の頃は入っていたかもしれないんですけど・・・。

写真協力:SaunaCamp.

 露天風呂とかって、みなさん日本人は好きじゃないですか。でもあれってちょっと自然と一線を引いて、愛でるみたいな感覚だと思うんですよ。でも、テントサウナってある種、自然の中に飛び込んでいく、よりダイレクトに自然と一体化したいっていう行為だと思うんで、そういうふうに自然と、より近くなれる道具なのかなと思いますね」

●ありがとうございます。


INFORMATION

『All About TENT SAUNA~テントサウナのすべてがわかる本』

『All About TENT SAUNA~テントサウナのすべてがわかる本』

 テントサウナをやってみたいと思ったら、ぜひこの本を読んでください。基礎知識やノウハウなどが満載。タイトル通り、テントサウナの全部が分かります。写真がたくさん載っているので分かりやすいし、すぐにでもテントサウナを体験したくなりますよ。日本初のテントサウナの専門書、おすすめです。
 山と渓谷社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎山と渓谷社HP:https://www.yamakei.co.jp/products/2822150370.html

 テントサウナ専門ブランド「サウナ・キャンプ」、そして一般社団法人「アウトドアサウナ協会」のサイトも見てくださいね。

◎「サウナ・キャンプ」HP:https://saunacamp.net

◎「アウトドアサウナ協会」HP: https://outdoor-sauna-association.jp

<プレゼントの応募方法>

『All About TENT SAUNA〜テントサウナのすべてがわかる本』を、抽選で3名のかたにプレゼントいたします。応募はメールでお願いします。
件名に「本のプレゼント希望」と書いて、番組までお送りください。
メールアドレスはflint@bayfm.co.jp

あなたの住所、氏名、職業、電話番号を忘れずに。番組を聴いての感想なども書いてくださると嬉しいです。応募の締め切りは2月24日(金)。当選発表は発送をもって代えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています。
応募は締め切られました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。

オンエア・ソング 2月19日(日)

2023/2/19 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. HEARTBEAT / TAHITI 80
M2. A DAY IN YOUR LIFE / MATT BIANCO
M3. BUILT TO LAST / MÊLÉE
M4. TO FEEL THE FIRE / STEVIE WONDER
M5. 新宝島 / サカナクション
M6. ALWAYS / ATLANTIC STARR

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

アザラシのコミュニケーションは「アザラシ語」!?〜水中で聴こえる不思議な音に迫る〜

2023/2/12 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、アザラシの音声コミュニケーションを研究されている「水口大輔(みずぐち・だいすけ)」さんです。

 水口さんは、石川県出身。動物の音声を使ったコミュニケーションに興味を持ち、様々な動物を研究。2016年に京都大学大学院を修了。その後、北海道区水産研究所でトドの研究、そして韓国の研究所で、歌う鳥の研究を経て、現在はPST株式会社で、ヒトの声を研究されています。

 そんな水口さんが先頃『アザラシ語入門〜水中のふしぎな音に耳を澄ませて』
という本を出されました。この本にはアザラシの研究やその調査方法、そして水口さんの奮闘ぶりが記されています。

 アザラシの音声と聞くと、なんとなく陸上で発している声と思うかも知れませんが、実は水中で聴こえる鳴き声のような音なんです。いったいどんな音なんでしょうか。きょうはアザラシ語ともいえる音に迫っていきたいと思います。

☆写真協力:水口大輔

水口大輔さん

水中で音を出すための器官!?

※本を読んで驚いたのが、アザラシが鳴き声のような音でコミュニケーションをとる動物だということ。海洋生物だと、クジラやシャチなどが知られていますが、アザラシもそうなんですか?

「そうですね。意外と知られていないんですけど、アザラシもそうですし、海の動物は音を使ってコミュニケーションをとるやつが多いです。

 というのも、音の伝わる速さ、空気中に比べて水の中は3倍から4倍ぐらい早く音が伝わって、とても伝達の効率がいいということで、アザラシもそうですし、あとはジュゴンとかマナティみたいな哺乳類も音を使ってコミュニケーションをとっています」

●アザラシの音声の研究については、今回初めて知ったんですけれども、以前からある研究分野なんですか?

「音声の研究を広く見ると海外では昔からよくやっていました。ただまあ、基本的には野外で水中マイクを垂らして音を録るだけなので、どんな音が録れているかはわかっているんですけど、誰が鳴いているか、どんなふうに鳴いているかが観察できていないので、結局は謎が多いままですね。

 それで私は直接、目でアザラシを見ることができる水族館で音声の研究を始めることにしました」

写真協力:水口大輔

●水口さんがアザラシを研究するようになったのは、何かきっかけがあったんですか?

「実は私、最初からアザラシの研究をしていたわけではなくて、もともとダニの研究をしていたんです」

●ダニ!? へぇ〜!

「ネズミとかモグラとかコウモリに付いているダニの研究をしていたんですけど、その時にお世話になっていた哺乳類の研究者の先生が、アザラシの研究もされていて、解剖でアザラシの体をさばいて、どんな仕組みかを調べている方でした。

 その方に今回のテーマの、クラカケアザラシの体の中のことを聞いたんですね。空気嚢(くうきのう)っていうアザラシがおそらく音を出す時に使っているであろう器官の話を聞いて、そんな面白い体の仕組みがあるんだと思って、じゃあ実際どんな音を出しているんだろうとか、そもそも誰が鳴いているんだろう、みたいなことを調べたくなって、ダニからアザラシに変えて研究しました」

●そうだったんですね〜。素朴な疑問なんですけど、アザラシはどうやって音を出すんですか?

「実はまだはっきりわかっていないんです。声帯はもちろんあって、空気中では声帯で声を出すんですけど、水の中で果たしてアザラシが何を使って音を出しているかって、実はわかってないんですよね。

 さっき言ったように空気嚢っていう、体の中に空気の袋があるクラカケアザラシだったり、アゴヒゲアザラシも肺の近くというか、首の部分がぷくっと風船みたいにふくれるんですね。おそらく水の中で音を出すために特殊な体の仕組みがあって、それを使って音を出していると思われているんですが、誰もちゃんと調べていないんです」

●研究がまだまだこれからっていうことですね。

「そうですね」

アザラシは耳たぶで見分ける!?

※アザラシの音声に関する研究についてお話をうかがう前に、改めてアザラシとはどんな生き物なのか、教えていただきたいのですが、世界には何種類ほどいるんですか?

「世界で18種類か19種類いると言われています」

●日本では何種類くらいですか?

「日本で見られるのは5種類ですね」

●どんなアザラシなんですか?

「今回、本にも登場するワモンアザラシ、アゴヒゲアザラシ、クラカケアザラシの3種類に加えて、水族館でもおなじみのゴマフアザラシと、ゼニガタアザラシの全部で5種類ですね」

ゴマフアザラシの幼獣
ゴマフアザラシの幼獣

●それぞれどんな特徴があるんですか?

「そうですね・・・5種類の中でゼニガタアザラシだけは北海道に定住している種類になります。あとの4種類については、流氷が来る時期に合わせて、北のほうから南に下ってくるような種類ですね」

●群れで生活する生き物なんですか? それとも単独なんですか?

「どちらかというと基本的には単独性の強い動物ですね。集団で移動する種類もいるにはいるんですけど、例えば協力して餌をとるみたいな、そういう群れでの行動はしないと言われています」

●その餌となるのは魚ですか?

「これも結構いろいろで、もちろん魚も含まれますし、あとは頭足類(とうそくるい)といってタコとか、あとはちっちゃい生き物でオキアミとかですね。小さいものも獲って食べている種類もいます」

●似たような海洋生物と言えば、アシカとかオットセイがいますが、それらと違ってアザラシの大きな特徴は、どんなところですか?

「アザラシはアザラシ科っていう分類になって、アシカとオットセイについてはアシカ科という別のグループになっています」

●なんか似ていますけどね?

「みんな鰭足類(ひれあしるい)、鰭脚類(ききゃくるい)という言い方をします。同じグループの中にはいるんですけど、その中で別れています。

 アザラシについては、いちばん見た目のわかりやすい特徴は耳たぶですね。アザラシの場合は耳たぶがない、その見た目でアシカとアザラシの区別がつきます」

●耳たぶがないけど、耳はあるんですよね?

「耳は、穴だけ空いているって感じになるんです。アザラシのほうが水の中での生活に、より適用していますので、体が丸くなっていて、あまり陸上で動くのは得意じゃないですね。なので、水族館で芋虫みたいに動いているやつはアザラシです」

●確かにそのイメージはありますね(笑)

アザラシの不思議な音声

※水口さんの本はおもにワモンアザラシ、クラカケアザラシ、そしてアゴヒゲアザラシ、この3種類の研究について書かれています。

おたる水族館
おたる水族館

 調査方法としては、船に乗って知床半島沖で野生のアザラシの調査もされていますが、多くは北海道「おたる水族館」で飼育されているアザラシに密着して得られた成果が記されています。

 アザラシの鳴き声は、水中マイクで録音するわけですが、好奇心旺盛なアザラシがマイクをかじったりするので、防御するために塩ビのパイプでマイクを覆ったりと、いろいろ工夫してやっと録音できるようになったそうです。

 とはいえ、いつアザラシが鳴くかわからず、最初は極寒の中、四六時中、飼育されている水槽に密着。その甲斐あって、夜から朝方によく鳴く、繁殖期にオスからメスにアピールするために鳴く、そしてオス同士の縄張り争いで鳴くことがわかってきたそうですよ。

 そして今回、根気強い調査で水口さんが録音することに成功したワモンアザラシ、クラカケアザラシ、そしてアゴヒゲアザラシの、貴重な鳴き声のデータをお持ちいただきました。ひとつのデータは数秒ほどなので、何回か繰り返しています。

ワモンアザラシ
ワモンアザラシ

まずは、ワモンアザラシです。

(※放送ではここで、ワモンアザラシの鳴き声をオンエア)

●これがワモンアザラシ?

「はい、そうなんです」

●これはどんな状況で、どこで録られたんですか?

「これは水族館で録った音なんですけど、メスの若い個体(アザラシ)が、ちょっと大人のオスにちょっかいを出した時に攻撃されまして、その時に逃げながら、やめてくれっていう感じで出している音ですね」

●なんでやめてくれってわかるんですか?

「噛まれたりとか追っかけられたりしている時に、後ろにのけぞってというか、逃げている時にしか出さない音なんですね」

●音を出しているのはメスなんですね?

「はい、でもこれは性別は関係なくて、オスでも出している音ですし、また野外でも北極の海でも全く同じ音声が録られています」

●へぇ〜〜、ワモンアザラシはどんな特徴があるんですか?

「アザラシの中ではかなり小型の種類になります。北極のほうの海にいるんですけど、産室といって分厚い氷の中で捕食者から隠れて子育てをするというか、とにかく分厚い氷のエリアに棲むアザラシなんです。

 呼吸をするための穴、哺乳類なのでちゃんと陸上で息をしなきゃいけないんですけど、そういう呼吸穴の数がすごく少ないんで、その呼吸穴の周りにアザラシが集まると、呼吸穴を巡って攻防があるというか戦わなきゃいけないと・・・自分が息をするための場所を守らないといけないので、ほかの種類と比べると、私の個人的な印象としては喧嘩っ早いと・・・」

●面白い!

「そういうことで、さっき聴いてもらったような、逃げる時に出る音声がすごくたくさん録音できます」

●そうなんですね。アザラシの中でもちょっと喧嘩っ早いのがワモンアザラシ! 覚えておきます。

「もしかしたらアザラシのファンの方からすると、いやっ! そんなことはない! って言われるかも知れませんが、愛らしい見た目のアザラシです」

クラカケアザラシのオス(知床半島沖)
クラカケアザラシのオス(知床半島沖)

※続いて、クラカケアザラシを聴いてみました。

(※放送ではここで、クラカケアザラシの鳴き声をオンエア)

●ええっ! これもアザラシですか?

「これ、クラカケアザラシの音声ですね」

●テレビとか映画の効果音みたいな感じですけど、これはどういう状況だったんですか?

「クラカケアザラシがいちばん観察されていない種類で、本当にどういう時に鳴いているのかって全くわからない種類なんですよね。

 水族館でも2年間ぐらいクラカケアザラシの音を録り続けていたんですが、結局一回も鳴かなくて・・・だから今、聴いていただいた音声は知床で録った音なので、どういう時に鳴いているかはわからず、音だけが繁殖期に聴こえたことになります」

※続いて、同じクラカケアザラシなんですが、前半と後半では微妙に音が違います。

(※放送ではここで、前半にクラカケアザラシの鳴き声・ベーリング海編。後半にクラカケアザラシの鳴き声・知床編をオンエア)

「2種類聴いていただいたんですけど、前半がベーリング海っていう北のほうの海で録ったクラカケアザラシの音ですね。後半が先ほども聴いていただいた知床の音なんですけど、明らかに2種類の音が違っているんですよね。

 同じクラカケアザラシなんですけど、地域によって音が違う、方言みたいなものがあるということがわかりました」

●アザラシの世界にも方言があるんですね! オス、メスで鳴き方が違うとかはあるんですか?

「それが知りたいんですけど、まだ鳴いている姿を誰も一度も見たことがないので、オスが鳴いているのかメスが鳴いているかもわからないんですね」

オスとメスがデュエット!?

アゴヒゲアザラシ
アゴヒゲアザラシ

※続いては、アゴヒゲアザラシの音声データを聴いてみました。

(※放送ではここでアゴヒゲアザラシの鳴き声をオンエア)

●これ、アザラシですか?

「さっきと全然違うんですけど、これは北極海で録ったアゴヒゲアザラシの音になります」

●なんか花火のような音でもありますし、お化けが出てくるような、怪談の話で使われる効果音のような気もしますし、いろんな音に聴こえますね。

「これ、すごく長くて1分以上続くような音になります」

●アゴヒゲアザラシは、ワモンアザラシとは全然違う鳴き声というか、ピロピロピロ〜という音ですけど、これはどんな状況で録った音なんですか?

「これは北極海で録った音です。先ほども言った通り、観察が難しいので、実際どんな時に鳴いているかはわかってないんですよね。おそらくオスが鳴いていて、自分の縄張りを保持するため、示すためとか、メスへアピールするために使っているのかなと思われるんですが、野生ではなかなかそれがわからないですね」

●水中でこういう鳴き声を出しているんですよね?

「はい、そうですね」

●こういう音が聴こえるんですね?

「はい、マイクを垂らすと、そこかしこでこういう音が聴こえます」

●アゴヒゲアザラシの生態とか習性には、どういった特徴があるんですか?

「アゴヒアザラシに関しては、これも個人的な印象ですが、ものすごくおっとりしているというか、繁殖期以外は複数頭、水族館にいたりしても、全然お互い干渉しないというか、のんびりマイペースなんですね。

 それが繁殖の時期になると急に一変しまして、オスは一生懸命一日中鳴いて、メスも決まった時期だけなんですけど、オスの歌に、オスの音に対して、返事をするような感じで鳴き返すような行動も見られています」

●オスとメスで鳴き方が違うとかは特にないんですか?

「オスだけに特有な音とか、メスだけに特有な音っていうのもあります」

●アゴヒゲアザラシは、オスとメスでデュエットすることがわかったそうですね。

「そうなんです。その音声があります」

●じゃあ、ここでちょっと聴いてみましょう。

「オスとメスが同時に鳴いている音です」

(※放送ではここで、アゴヒゲアザラシのオスとメスのデュエットをオンエア)

●あ〜〜!

「これが今2頭同時に(鳴いています)」

●綺麗にハモってますね! これは意気投合してハモろうぜみたいな、デュエットしようぜ、みたいな感じなんですか?

「そうですね〜そうかなと思うんですけど、なかなかそこはアザラシに聞いてみないとわからないところではあるんですが・・・(笑)、こんな感じで鳴いています」

●すごい! お互いわかってやっているんですよね?

「そうですね。わかっているっていうのはなかなか難しいんですけど、少なくともタイミングを合わせて、あまり無駄に被らないというか・・・基本的には交互にオス、メスと順番に鳴いて、時々息をぴったり合わせてオスとメスが同時に鳴く、そういうようなことをやっています」

水族館で鳴き声を聴くには!?

※アザラシの音声を研究されてきて、今どんなことを感じていらっしゃいますか?

「いちばんはやっぱり未だによくわからんな〜というのが、正直なところなんですけれども(笑)、音のヴァリエーションがとっても面白いですし、今誰が鳴いているか、いつ鳴いているか、どんなふうに鳴いているかが、水族館でようやくわかってきたところなんですね。

 ここからまだまだやりたいことがたくさんあるので、新しくいろんなことがわかっていけばいいなと、やりたいことがもっとたくさんあるなという印象です」

●具体的にどんなことを今後、解き明かしていきたいですか?

「先ほどもおっしゃっていただいたように、繁殖期に相手を探すための音っていうのが通説なんですけど、それだと説明がつかないことが結構あってですね。実は野生で録られている音は繁殖期だけではなくて、全然繁殖期に関係ない時期にもアザラシがたくさん鳴いていることが最近わかってきています。

写真協力:水口大輔

 そうすると結局、果たしてなんで単独で、別に群れで生活するわけでもないのに繁殖にも関係ない時期に鳴くのか、繁殖期じゃない時の音の役割みたいなことがすごく気になるところかなと思います」

●へぇ〜〜不思議ですね、確かに。ぜひ解き明かしてください!

「はい!」

●アザラシが飼育されている水族館はすごく多いと思うんですけれども、今後水族館を訪れるかたに、アザラシのこんなところに注目するといいよ! というアドバイスがあれば、ぜひ教えてください。

「はい、注目よりも何よりも、まずアザラシはほとんど基本的にはゴロゴロしているという・・・(笑)」

●そのイメージあります!

「寝ているイメージがあるかなと思うんですよね。確かにそうで、かなりの時間、寝ているんですけど、意外とじっと待っていると、水の中に入っていろんな面白い行動を見せてくれることがあります。

 なので、まず第一に待つことですね(笑)。じっくりと待っていただくと、アザラシの面白い行動が見られるんじゃないかなと思います」

●音声は発してくれないですよね?

「種類によっては一年中出している音もありますので、ねばっていると聴けるかもしれないです」

●ねばることが大事!

「はい(笑)」

●ありがとうございました。

(編集部注:アザラシに会いたくなったな〜というかた、首都圏では、鴨川シーワルドがおすすめですと、水口さんはおっしゃっていました。現在はワモンアザラシ、ゴマフアザラシ、アゴヒゲアザラシ、そしてゼニガタアザラシの4種を飼育しているので、ねばっていれば、水中で発する音を聴けるかもしれませんね)


INFORMATION

『アザラシ語入門〜水中のふしぎな音に耳を澄ませて』

『アザラシ語入門〜水中のふしぎな音に耳を澄ませて』

 アザラシの研究成果やその調査方法など、興味深い話が満載です。なにより水族館に通い詰めて「アザラシ語」の解明に挑んだ水口さんの奮闘ぶりに研究者魂を感じました。面白いです! QRコードからアザラシの声を聴くことができますよ。ぜひチェックしてください。
 京都大学学術出版会から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎京都大学学術出版会HP:
https://www.kyoto-up.or.jp/books/9784814004393.html

オンエア・ソング 2月12日(日)

2023/2/12 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. BLEEDING LOVE / LEONA LEWIS
M2. SPEED OF SOUND / COLDPLAY
M3. PRETTY BABY / VANESSA CARLTON
M4. CRY / MANDY MOORE
M5. KISS FROM A ROSE / SEAL
M6. I’M STILL WAITING / DIANA ROSS

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第11弾!〜「ピープルツリー 」みんなが幸せになるフェアトレード・チョコレート〜

2023/2/5 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第11弾!バレンタインデーを前に環境や人にも配慮したチョコレートをクローズアップ! 

 今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「貧困をなくそう」「働きがいも経済成長も」そして「人や国の不平等をなくそう」ということで、フェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」の活動をご紹介したいと思います。

 先日、ピープルツリーの自由が丘店にお邪魔して、広報・啓発担当の「鈴木啓美(すずき・ひろみ)」さんにおすすめのオーガニック・チョコや、フェアトレードの取り組みなど、いろいろお話をうかがってきました。

広報・啓発担当の「鈴木啓美」さん

「ピープルツリー」に込めた思い

 ピープルツリーは、1991年に発足したNGO「グローバル・ヴィレッジ」を母体に、フェアトレード専門ブランドとして、誕生。ものづくりに関して「森を壊さない」「水を汚さない」「空気を汚さない」「人と命を守る」「無駄にしない」という5つの環境ポリシーを掲げ、活動。フェアトレード・アイテムのお買い物を提案しています。

 そんなピープルツリーの広報・啓発担当の鈴木さんは、もともとはピープルツリーの商品が大好きな、いちファンだったそうですが、もっとみんなに知って欲しい、そんな熱い思いが募り、スタッフとして働くようになったそうです。

写真協力:ピープルツリー

※まずは、ピープルツリー というネーミングにどんな思いが込められているのか、お話しいただきました。

「そのままズバリなんですけど、ピープルは人、ツリーは木。でもそれだけじゃなくて、地球環境とか動物とか、生きとし生けるものという括りで考えていただけたら、人も地球もみんなが幸せに暮らせるように、そんな思いを込めて作られたブランドです」

●改めて「フェアトレード」とは、どういうことなのか説明していただいてもよろしいですか?

「フェアなトレード、直訳すると公正な貿易とか、公平な取引と訳すことができるんですけれども、簡単に説明する時は、人と地球に優しい取り組みです、とお伝えしています。

 今、フェアなトレードでないことがありますので、どうやったら関わる人たちがみんな幸せになれるのかを考えて活動しているんですね。なので、貧困問題と環境問題を、ビジネスの仕組みによって解決したいという取り組みが、フェアトレードだと考えています。

 例えば問題は、たくさんの解決策があったほうが早く解決するので、解決方法、手段はいっぱいあっていいと思うんですよね。だからビジネスじゃなくて、例えば寄付とかボランティアとか、そういうことで解決したいっていう取り組みがあってもいいし、あったほうがいい。フェアトレードは物を作って販売するビジネスの中で、貧困問題と環境問題を解決したい取り組みになっています」

●フェアトレードで大事にしていることだったり、実践していることはありますか?

「やはり人を大切にすることですね。環境も大事なんですけれども、働く人たちがちゃんと生活ができて、幸せに希望を持って生きていけることがすごく大事ですので、フェアであること、公平であること、公正であることが、人と人との関係性も作って物作りをしていくこと、そのためにも自然がないと続けることができませんから環境も大事にしていく・・・」

●まさにピープルツリーですね!

「そうですね!」

写真協力:ピープルツリー

手仕事で作られたこだわりの商品

※続いて、自由が丘店で販売している商品について。現在、どんなファッションや雑貨のアイテムを扱っているのか、教えていただきました。

「今この寒い冬のシーズンですので、イチオシは手編みのニットですね。あとはオーガニック・コットンの肌に心地いいウエアですとか、雑貨もザルもあったりカゴもあったりしますし、可愛い動物のモチーフのアイテムがあったりとか、バッグとかアクセサリーとかいろいろあります」

●楽しいですね。いろんな商品があって・・・。主にどこから輸入された商品が多いんですか?

「今ピープルツリーでは18カ国145の団体と、いろいろやり取りをしながら物作りをしています」

●18カ国、例えばどんな国がありますか?

「主にお洋服だとインド、バングラデシュで作っていただいていて、あと編み物だとネパールですね」

●こだわりはやはり自然素材?

「そうですね。環境を大切にするっていうところで自然の素材を、なるべくオーガニックの素材を、としているんですけれども、大事なのはやっぱり入手しやすこともあると思うんですよね。

 流通するのにいろいろ負担がかかるわけですから、入手しづらいと生産が滞ってしまうので、現地で手に入りやすくて、あとは例えば成長が早いとか、環境への負荷がかからないとか、そういう要素も入れて、その土地土地で手に入りやすい天然素材を使っています」

写真協力:ピープルツリー

●一点一点、手で作られているんですよね?

「そうなんです。手仕事をやはり大事にしています」

●判子のようなもので押して作ったウエアもありましたけれども・・・。

「はい、ブロックプリントという手法なんですね。柄を作り出すのに判子でポンポン押すように模様を作っていくんですけど、あれも1色につき、ひとつの判が必要なので、多色刷りする時にはその木の判がいくつも必要になる、本当に手間がかかっていますね」

●すごいですね〜! あとスカーフも手で描かれているんですよね?

「そうなんです。職人さんがアーティストのように筆運びをしてくださって、素敵な絵を描いてくださっていますね」

●味がありますよね〜! 唯一無二ですよね。

「そうですね。手仕事の場合、途上国で物を作っていただいているんですね。フェアトレードでは途上国に住んでいる経済的に立場の弱い方が、ちゃんと自立して生活できるように、仕事の機会を提供することも大事にしています。そういう方々が住んでいる地域は、例えば電気が通ってないとか社会的なインフラが整ってないケースがあるんですよね。

 そんな中ですぐに仕事になる、手を生かすことが大事。手編みだったりとか手刺繍だったりとか、そういうことなんですね。だから大規模な設備投資をしなくても大きな工場を作らなくても、すぐ現金収入が得られる仕事を作り出すためにも、手仕事を大事にしています」

●手仕事だからこそ、ファストファッションとは違った味わいみたいなものがありますよね。

「そう言っていただけると本当に嬉しいです。やっぱり作って、物として販売している以上、素敵だなと思っていただかないと手に取っていただけないので、そこはやっぱり欲しくなる魅力的なものを作る、そこもとても大事、それがピープルツリーの役目でもありますね」

大人気! ピープルツリーのチョコレート

※もうすぐ「バレンタインデー」ということで、ピープルツリーで販売しているフェアトレード・チョコレートをご紹介したいと思います。

 いつ頃からチョコレートの販売を始めたのか、お聞きしました。

「(販売を始めたのが)1994年から1995年にかけてなので、もう30年近くもなります」

●そうだったんですか! きっと見たことあるっていう方も多いと思うんですけれども、何種類くらい販売されているんですか? 

「業務用のチョコチャンクも含めて、今25種類販売をしております」

写真協力:ピープルツリー

●見た目もパッケージも可愛くて、食べ比べしたいな〜なんて思うんですけれども、それぞれどんな特徴があるのか教えてください。

「わかりました。オーガニックでフェアトレードの素材を使っているのは、もちろん全部共通する特徴になっています。そして美味しさの秘密はココアバターですね。口に入れるとすぐとろけるココアバターを贅沢に使っているので、とてもなめらかな口どけを楽しんでいただけます。

 それぞれにフレーバーがあって、フレーバーによって黒糖と砂糖を使い分けたりしているので、味わいを楽しんでいただけます。作っているのはスイスなんですけれども、ミルクチョコレートとか、すごいクオリティなんですね。
 材料は世界中からやってきていて、黒糖はフィリピン、砂糖はパラグアイ、カカオはボリビアやペルーといったところからやってきます」

●さまざまな国から材料を集めているわけですね。どんな味があるんですか? 

「定番のミルク、これは本当に30年前のスタートからあります。ミルクベースのチョコレートでもオレンジ・フレーバーだったり、ヘーゼルナッツやレーズン&カシューがあったりとか・・・あとはカラメル・クリスプ、キャラメルじゃなくて、わざわざカラメル、カリカリしているんですよ。その食感も楽しんでいただけます。

 ミルクを使わないビター・ベースのものもありますし、あとはレモンピールが入っていたりですとか、アーモンドが入っていたり、ザクロのゼリーが入っている甘酸っぱいのもありますよ。ビターは58%カカオのものと、75%のハイカカオのものもあります。珍しいところでは牛乳は使ってないんですけれども、ヘーゼルナッツのミルクを使った植物性のミルク・ベースのチョコレートもありますよ」

●見た目も可愛いからギフトにもピッタリですよね。

「ありがとうございます。フェアトレードのチョコレートだと知らなくても、可愛いって手に取っていただけたり、可愛いから友達にあげるっていうふうにして広まっていくので、ピープルツリーの名刺代わりのチョコレートだと思っております」

チョコレート試食レポ!

写真協力:ピープルツリー

●ではなにか試食させていただいてもよろしいでしょうか?

「ぜひ! 何か気になるフレーバーはおありですか?」

●なんだろう・・・おすすめをいただいてもいいですか。ビターだとハイカカオが気になりました。

「ぜひ食べていただこうと思うんですけれども、普通(カカオ)75っていうと、かなりハイカカオなので、苦いぞって思われると思うんです」

●そんなイメージがありますけど・・・。

「ピープルツリーのカカオは、その中ではマイルドな味わいになっているので、ぜひ食べていただきたいです」

●板チョコのような感じなんですね、長方形で・・・では、いただきます。

「いかがですか?」

●苦みはあるんですけど、でも苦すぎないっていうか、ちゃんとまろやかで美味しい〜!

「嬉しいです!」

●これ、ハイカカオですよね! もっとすごく、うわっ、苦い! っていう感じなのかと思っていました。

「マイルドに作られております」

●ビターじゃないものもいただいてみてもいいですか?

「定番のミルクを」

●牛さん(のイラスト)がパッケージにありますね。それぞれイラストが描かれていて本当にパッケージが可愛いですね。

「何が入っているのか、中のフレーバーがわかるようなイラストを描いていただいています」

●ではミルクですね。

「ダントツのいちばん人気です」

●そうなんですね(チョコレートを割る音があって)

「お〜〜、いい音です(笑)」

●いただきます。う〜ん、甘い! ほっとする味ですね。

「まさにそのほっとするっていうのが、人気の秘密だと思うんです。 いっぱいフレーバーがあって、中身にナッツだったりとかレーズンだったり、いろいろ入っているものもあって、つい私もいっぱい入っているほうがお得感があるわって、そっちばっかり選んでしまった時期もあるんですけど、やっぱり王道のミルクに戻ってくる・・・黒糖のコク! 美味しいですよね」

●甘いです!

「甘いんだけど、余韻はあるんだけれども、嫌な甘さじゃないですよね」

●そうなんです。すっきりしていて・・・。

「これを食べて、コーヒーを飲んでほっとするのが、私はこの寒い冬の待ち遠しい時間ですね(笑)」

●本当に癒されます〜。

写真協力:ピープルツリー

(編集部注:鈴木さんによると、72時間練り上げるスイスの伝統技法により、 ココアバターやカカオなど、チョコの材料が均質に混ざり合うので滑らかさを味わえるし、香りもよくなるとのことでした。

 そしてもうひとつ「ホワイトアーモンド」というホワイトチョコも試食させていただきました。鈴木さんからは、ココアバターの品質がストレートに出てくるので、ホワイトチョコはまずなめて、ココアバターが溶ける感触を味わってから食べるといいですよ、というアドバイスをいただきましたよ)

「カカオ・ポイント」農家支援

※ピープルツリーでは「カカオ・ポイント」というプロジェクトを進めています。どんなプロジェクトなのか、ご説明いただきました。

「もともとスタートしたのは、ボリビアでカカオの木の病気が蔓延したことが理由なんです。病気なので、ほかのカカオにうつっちゃうんですよ。だから伐採して焼却処分しなきゃいけなくなっちゃうんですね。そうすると1割とか2割しか育たなくなって、カカオの収穫がどんどん減ってしまったっていうことが、2012年ぐらいに起きました。

 それで産地をサポートするために始めたのがカカオ・ポイント、板チョコ1枚につき1ポイントにして、10ポイント集めてピープルツリーに送っていただいたら、1本苗木を産地に送るプロジェクトとしてスタートしました。

 で、何年も続けて、今は やっと落ち着いたかなと・・その時に植えたカカオの木がすくすくと育っているので、今度は違うプロジェクトにしようということで、今はコスタリカのカカオ農家を支援するような取り組みにしています。

 ピープルツリーのチョコレートは、すべてオーガニックな素材を使っているんですけれども、 オーガニックにするには様々な条件があるんですよね。 今まで普通の作り方をしていたのを、ちゃんとオーガニックの作り方にしようって切り替えることがやっぱり必要になってくるので、どうやったらちゃんとオーガニックで育てられるのかとか、そういうこと学びながら(カカオの木を)育ててもらうので、その支援をするようにしています」

(編集部注:ピープルツリーのチョコの購入は、ピープルツリーの通販サイトをご利用くださいとのことです。ちなみに千葉県内でも扱っているお店はありますので、いずれも詳しくは、ピープルツリーのオフィシャルサイトを見て、チェックしていただければと思います)

エシカルウエディング!?

写真協力:ピープルツリー

●ほかにもピープルツリーでは、エシカルウエディングも提案されています。お店に白いドレスが飾られていて、私も新婚なので気になったんですけれども・・・。

「気になりますよね」

●これはどんなことなんですか? エシカルウエディングというのは?

「はい、結婚式はやっぱり人生の中でも最大級に幸せなことだと思うんですよね。だから幸せのお裾分けではないんですけれども、作ってくれた人も幸せなアイテムを使ってほしいなと思います。

 式の会場に来てくださった方も、結婚されるおふたりの幸せももちろんのこと、それに関わる人たちを広げてみると、ウエディング・ドレスであったりとか、いろんな小物とか、そういうものを作ってくれた人がちゃんと幸せになれる、そんなアイテムを使っていただきたいなっていうのが、エシカルウエディングですね」

●ドレスだけじゃなくて、引き出物とか・・・。

「はい、カードとか手すき紙の、味のあるカードがありますので、そういうのを使っていただいたりとか・・・。あとは例えば食材として、ピープルツリーのココアパウダーとかコーヒーとかチョコレートとかを使っていただいて、それを式の時に出してくださるカップルの方もいたりとか・・・。最後にプチギフトを出口でお渡ししたりしますよね。そういうのにチョコレートを使っていただいたりしています」

●いいですね〜!

フェアトレードは1枚のチョコレートから

※では最後に、環境や経済、人権など幅広い分野にかかわるフェアトレードに関して、私たちはどんなことを心がければいいのか、お話しいただきました。

「まずはそういうことを知ったら、なにかアクションに起こしてほしいと思っています。 例えば今回のフェアトレード・チョコレートも、フェアトレードを知ったらまず食べてみる、フェアトレードのチョコってどんななんだろう、誰が作ってくれたんだろう、どんなふうに作られたんだろう、そういうことに思いを馳せるところからスタートしていただけたら嬉しいなと思います。

 社会的な課題は続けていくのがしんどくなっちゃうというか、自分ひとり何ができるんだろうとか、自分ひとりが頑張っても意味がないんじゃないか、みたいな無力感を感じることがもしかしたらあるかもしれないんですけれども、やっぱりひとりひとりの力ってすごいものがあると思うので、続けるっていうのも大事ですよね。
 そのためには自分自身も楽しいっていうことがすごく大事だと思うので、美味しいとか可愛いとかおしゃれとか、そういうところから始まって、生活の中に取り入れていただけたらいいかなって思っています。

●フェアトレードの商品は、お値段的にちょっと高いんじゃないかって思う方もいらっしゃると思うんですけれども、そんな方にはどんなお声がけをされますか?

「そうですね。高いというのが何と比べて高いのかって言った時に、安すぎるものと比べて高いと思っていないかってことをまずお伝えしたいなって思います。

 安く売ることができる背景に、例えば作っている人たちが生活できないような搾取をされているんじゃないかとか、安全面とか健康面とかでの配慮がされてないんじゃないかっていう、そういう可能性もあるわけですよね。だからどうしてこの値段で成り立つんだろうって、ちょっと疑問を持っていただきたいなっていうふうにも思います。

 いきなりすべてをフェアトレードのものにっていうのはなかなか無理だし、すべてのアイテムを賄えているわけではないので、それだと息が詰まっちゃうと思うんですね。ぜひご自身の関心のあるところからスタートしていただくのがいいのかなと。
 1枚、本当に味わえるチョコレートを食べてみる、そうなると物との付き合い方が変わってくると・・・自分の生活も、チョコレートの枚数は減ったかもしれないけど、豊かさは増すかもしれないですよね。そういうふうにして工夫するといいのかなって思います」

写真協力:ピープルツリー

INFORMATION

 ピープルツリーは、発展途上国の生産者=パートナーのスキルアップや資金、さらには現地の学校運営など様々な支援をしている「世界フェアトレード連盟」に加入しています。

 フェアトレードの商品かどうかを見極めるポイントとしては「世界フェアトレード連盟」の認証マークがあるか、ないかがお買い物をするときのひとつの目安になるとのことです。ほかにも、認証マークがなくても、フェアトレードの商品が販売されているケースもありますので、鈴木さんのアドバイスとしては、確かめる意味でもお店の人に、どこでだれが作った商品かを尋ね、そのストーリーを知ると、大事にしたい気持ちが生まれてくるのでは、ということでした。

 ピープルツリーでは、フェアトレードをひとりでも多くのかたに広めるために、「フェアトレードの学校」というプログラムを実施しています。今月2月は26日の開校予定です。

 ピープルツリーで販売されているオーガニックチョコはチョコレートのほんとうの美味しさを味わえますし、パッケージが可愛いので、プレゼントにぴったり! おすすめですよ。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎ピープルツリーHP:https://www.peopletree.co.jp/

オンエア・ソング 2月5日(日)

2023/2/5 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. SWEETEST LIFE / KWAYE
M2. POWER TO THE PEOPLE / JOHN LENNON/PLASTIC ONO BAND
M3. STYLE OF LIFE / THE JACKSONS
M4. CHOCOLATE / SNOW PATROL
M5. SWEET BEGINNINGS / MARLENA SHAW
M6. MERCY MERCY ME / CRAIG DAVID

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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