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2023年1月のゲスト一覧

2023/1/29 UP!

◎山崎敦子(喜界島サンゴ礁科学研究所の所長)
サンゴが教えてくれる~10万年分の記録が残された島』(2023.01.29)

◎髙木佐保(ネコ心理学者)『動物心理学~ネコの心を読み解く』(2023.01.22)

◎篠原現人(国立科学博物館の研究主幹/魚類学者)
深海魚を透視!? 骨格画像にギョギョギョ!』(2023.01.15)

◎中村武弘(海洋写真家)
多様性の海~海洋写真家「中村武弘」の視点』(2023.01.08)

◎新春特別企画『キャンプ事始め~小尾渚沙、キャンパーへの道』(2023.01.01)

サンゴが教えてくれる〜10万年分の記録が残された島

2023/1/29 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、喜界島サンゴ礁科学研究所の所長「山崎敦子(やまざき・あつこ)」さんです。

 山崎さんは北海道・北見市出身。北海道大学大学院修了。当初は古生物や地質学の研究をされていたそうですが、サンゴの生き方や美しさに魅せられ、サンゴやサンゴ礁の研究へ。現在はサンゴの、ある性質に着目して研究を続けていらっしゃいます。実は山崎さん、大人になるまでサンゴを見たことがなかったそうですよ。

 喜界島サンゴ礁科学研究所は2014年の設立、日本で唯一、サンゴ礁の研究に特化した施設なんです。

 きょうは喜界島の、注目すべき特徴や研究所で行なっている100年後に残すための活動などうかがいます。

☆写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

山崎敦子さん

世界的にも珍しいサンゴの島

 九州の南、鹿児島と沖縄のちょうど真ん中あたりに全部で8つの島で構成されている奄美群島があります。その奄美群島のいちばん北にある「喜界島(きかいじま)」は、鹿児島県に属し、一周がおよそ40キロ、人口が7,000人弱の島。気候的には海洋性の亜熱帯気候で雨の多く、観光よりも農業が盛んで、島独特の伝統文化や自然がそのまま保存されているような島だそうです。

 そんな喜界島はサンゴの化石で出来ていて、実はある特徴で、世界でも類を見ない島として注目されています。いったいどんな特徴があるのでしょうか。

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

※まずは研究所設立の目的を教えてください。

「私たちは、世界中のサンゴ礁を研究させてもらっているんですけれども、研究者の人たちが研究して、そこで(得た)データとか、みなさんにいろいろお話をうかがったりとかして、(その成果を)大学に持ち帰って研究を続けて、発表は大学とか学術の分野で行なっているんですね。

 私たちがやっていることが、その地域に還元されていないんじゃないかっていうことを感じまして、私たちがお世話になっているフィールドに直接、研究所があれば、私たちの研究成果を地域の人たちに直接お話ししたりですとか、お返しできるんじゃないかなと思って作りました」

●サンゴ礁の研究に特化した施設は、なかなかないですよね?

「そうですね。日本はサンゴ礁に恵まれた国だと思うんですけれども、サンゴ礁の研究でいうと、結構バラバラにみなさん(研究を)されていたりするので、ひとつ集まれる場所があれば、同じサンゴ礁からいろんな視点で、環境を見ることができるんじゃないかなと思っていますね」

●そんな中でも、なぜ喜界島だったんですか?

「私はサンゴ礁を研究している中でも、バックグラウンドが地質学なんですね。喜界島はサンゴの化石で出来た島としては、非常に世界的に有名な島で、たくさんの研究者が訪れているんです。そこに研究所を作ったら、日本のサンゴ礁研究のシンボルになるだろうなっていうのがひとつです。

 あと、熱帯と亜熱帯のちょうど真ん中にあるっていうところで、生態系も環境に対して敏感に反応して変化するなと思いまして、日本のサンゴ礁の変化を捉えるのに、いちばんいい場所なんじゃないかなと思って喜界島にしました。

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

 サンゴ礁が作られる条件が、まずは浅瀬で暖かい海っていうことなんですけど、喜界島の場合は、島自体が地殻変動でどんどん持ち上がるような場所にあって、浅くなってきたところにサンゴが棲み始めて、そのままそのサンゴが海面に持ち上がっちゃったみたいな島なんですね。それを過去10万年間ずっと続けてきているので、10万年間のサンゴ礁の歴史が全部詰まっているということです」

●すごいことですよね!

「すごいことだと思います」

●今現在も、少しずつ流起しているっていう感じなんですか?

「そうですね。その過去10万年間で今、島の高さが200メートルぐらいなんですけれども、平均すると年間2ミリ、地核変動としてはすごいスピードで上がってきていますね」

●へ〜〜〜、サンゴ礁で出来た島は、世界的にも珍しいんですか?

「サンゴ礁で出来た島は(世界には)いっぱいはあるんですけれども、喜界島のように流起するスピードが早いのは、なかなかないですね。私たちが普段見ることのできない年代のサンゴが、そのおかげで見られているっていうのが、世界的にも珍しいところかなと思います」

(編集部注:喜界島は先ほどお話にあったようにサンゴの化石で出来ている島なので、雨が降っても隙間のたくさんあるサンゴ台地に雨水がすぐ染み込んで海に流れ出ていくそうです。なので川はほとんどないそうですよ)

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

サンゴは生き字引!?

※改めてサンゴとは、どんな生き物なのか教えてください。植物ではないんですよね?

「そうですね。いつも小学校とかに行くと、みなさんにクイズを出すんですけど、植物なんですか? 動物なんですか? って・・・石と思っているかたもいらっしゃるかなと思っていて、その3つの性質をすべて持っているのが、サンゴの面白いところかなと思っています。

 分類としては、クラゲとかイソギンチャクと同じ刺胞動物っていう種類なんです。イソギンチャクみたいな形の、その触手の中に植物プランクトンを共生させている特徴があって、それが光合成をして、サンゴにそのエネルギーをあげるっていう仕組みを持っているんですよね。

 暖かい海はすごく栄養が少ない海なんですけれども、彼らが光合成をすることによって、サンゴに栄養を直接与えることができるっていう、うまい体の仕組みを持っている生き物かなと思います」

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

●日本にはだいたい何種類ぐらいのサンゴが生息しているんですか?

「日本には400種類ぐらいあるかなと思いますね」

●そのサンゴたちが集まったのがサンゴ礁っていうことですか?

「そうですね。サンゴ礁は地形の名前なんですけど、サンゴが死んでしまったら、その体の下に作ってきた、私たちは骨って呼ぶんですけれども、みなさんがビーチで見てるような白くて綺麗な骨格ですよね。あれが堆積していって、沿岸から沖にかけて堆積物を作る地形のことを、サンゴ礁って呼んでいるんですよね。

 それを作ってくれることによって、その中にプールのような地形が出来るので、そこにたくさんの生き物が棲めるようになる仕組みになっています」

●サンゴの研究は、具体的にはどういった方法で何を調べて、どんなことがわかっていくんですか?

「私たちは主にサンゴの年輪を使って研究しているんですね。サンゴは樹木みたいに1年1年、年輪を刻みながら成長していく生き物で、その年輪を観察します。

 サンゴが生きてきた期間、大きいものは数百年とか1000年弱くらいまで生きるんです。その間の海の環境がわかるのと、さらにその年輪の中をすごく細かく分析していくと、過去の水温とか塩分とか日射量とか、いろんな情報がサンゴの中に詰まっていて、今私たちが地球温暖化って言っている記録自体も、実はサンゴから明らかになってきた部分が大きいかなと思っています」

●情報量、すごいですね! サンゴって!

「そうですね。海に生息しながら、生きてきた環境を私たちに教えてくれるので、本当におじいちゃん、おばあちゃんのような、生き字引みたいな感じで、お話を聞いているような気分になります」

(編集部注:日本には400種ほどのサンゴが生息しているとのことでしたが、喜界島周辺ではそのうち150種ほどのサンゴが確認されているそうですよ。まさにサンゴの島なんですね)

Coral CO2プロジェクト

※喜界島サンゴ礁科学研究所では2015年から「Coral CO2プロジェクト」を進めていらっしゃいます。どんなプロジェクトなんですか?

「Coral CO2プロジェクトは、サンゴが年輪を作って堆積していく中に、炭素が必ず含まれているんですけれども、その炭素が私たちが排出した二酸化炭素の素性を保存しているんですよね。なので、人が化石燃料を燃やして出した炭素の素性が海にどれくらい溶け込んできたのかのを、サンゴの生きてきた記録から解析するプロジェクトになっています」

●このプロジェクトは、ハワイで進めていらっしゃるですよね?

「そうですね。ハワイは人類の記録の中で、いちばん長く大気中の二酸化炭素の濃度を測っている場所なんです。それでも私たちが持っている記録は60年ぐらいなんですよね。なので、本当に大気の中に二酸化炭素が増えてきたっていう証拠のひとつでもあるんですけれども、それをサンゴに聞くと、その記録が200年とか300年とかに伸びるんですよね。

 まず、スタートとしてハワイで、そのサンゴの記録と私たち人が録ってきた記録を比較することによって、どれくらい大気中の二酸化炭素が増えてきましたっていう証拠と、海の中にどれくらい溶けてきましたっていう記録が、直接比べられるのがハワイだなと思って、ハワイでスタートしました」

喜界島の教育プログラム

※研究所では「キカイ・カレッジ」という教育プログラムにも取り組んでいらっしゃいます。このキカイ・カレッジとはどんなプログラムなんですか?

「私たちが喜界島の中でいろいろ活動させていただく中で、地域の人たちと一緒に
活動に取り組む機会もいただいているんです。それを続けていくと、サンゴとか海とか環境だけに興味がある学生さん以外にも、地域のことをやりたいっていう学生さんだったりとか、環境保全をやりたいっていう学生さんとか、いろんな興味を持った方々が集まってくれるようになりました。

 このちっちゃい島の中で、彼らがひとつプロジェクトを行なうことによって、私たち人と環境がどうやって関わっていけばいいかっていう部分を、ひとつひとつのプロジェクトで、彼らが成功体験というか実体験で学ぶことができるかなと思ったので、『キカイ・カレッジ』っていう名前にしてプログラム化しました。喜界島をモデルにしてプロジェクトに取り組むチャンスを、いっぱい増やそうと思って作ったプログラムになります」

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

●対象は大学生っていうことですか?

「そうですね。大学生・大学院生が主にそのプロジェクトに取り組んでいるんですけれども、さらに今度は彼らが自分たちの下の世代を育てるのも重要だなと思っていて、小学生から高校生までは『サンゴ塾』っていうプログラムがあります」

●サンゴ塾はどんな塾なんですか?

「私たちがこの喜界島に入った時に、いちばん最初に研究者を理解してくれたのが子供たちというか、興味の方向とか知りたいこととか、自然に対してワクワクする気持ちがすごく子供たちと近いなと思って、最初に一緒に研究をするプログラムを始めたんですね。

 そこから夏休みに短い期間、研究者と一緒に研究をする“サイエンスキャンプ”っていうイベントを毎年実施しているんです。さらにお家に帰っても、一緒につながりながら研究をしたいっていう子供たちがいて、じゃあ彼らが一緒に私たちと研究できるプログラムをちゃんと作ろうと思って、今オンラインと、あと来年度も来るんですけども、研究所で一緒に研究する子供たちが参加しているのがサンゴ塾になります」

●子供たちの感性に驚かされることもあるんじゃないですか?

「そうですね。いちばんは、面白いと思ったことにまっすぐに進んでいくので、面白くないことは見向きもしてくれないというか(笑)」

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

●(笑)正直ですね。

「すごく正直だなと思っています。逆にそれを面白いと思って目をキラキラさせて、私たちの話を聞いてきくれたりすると、研究者としてもすごく嬉しいんですよね。 これをワクワクして聞いてくれる人たちがいるんだなっていう、私たちが研究に取り組む原動力にもなっていますね。
 あとはやっぱりすごく鋭いし、感性が豊かなので、子供たちの発言から気づかされることもすごくたくさんありますね」

(編集部注:現在、サンゴ塾は春と夏に開催予定、春は奄美群島を中心にいろいろなサンゴ礁に出かける予定、夏は喜界島をフィールドに実施するそうです。

 参加した子供たちに、サンゴの化石にはいろいろな情報がつまっていることを説明すると、さっきまでただの石のように見えていたものが突然、宝物に変わり、目をキラキラ輝かせてサンゴの化石を探してくれるそうですよ)

「100年後に残す」活動

※喜界島サンゴ礁科学研究所として、今年、特に取り組んでいきたいことはありますか?

「私たちが科学の世界で積み上げてきたものを、次の世代に残さないといけないなっていう思いが強くて、弊所のスローガンは『100年後に残す』ですけれども、つないでいってくれる人たちをどんどん増やしていきたいなって考えています。

 『キカイ・カレッジ』とか『サンゴ塾』のプログラムに参加してくれるみなさんを増やしていきたいと思いますし、喜界島でやってきたことが世界の基準、モデルみたいになってくるような気がしているので、私たちの経験をいろんな地域に拡大したりとか、伝えていく活動に特に力を入れていきたいなと思っています」

●山崎さんご自身の研究で、何か明らかにしていきたいことはありますか?

「来月はタヒチに行くんですけれども、私は今、ポリネシアにどうして人が渡ることが出来たのかっていう研究をしているんですね。
 1000年前に、1000キロ離れたすごく遠い島に旅をした人たちがいて、それがポリネシアの人たちの祖先になると思うんです。その人たちが渡っていったきっかけが、もしかして気候の中にあるんじゃないかなって思っています。サンゴの気候の記録と人の記憶を融合させて、新しい発見をしたいなっていうことで、今取り組んでいるところです。

 それは多分サンゴが、私たちの記憶と同じ時間=スケールを記録してくれているから出来ることかなと思っています。サンゴが客観的に海の環境を記録してくれていることが、私たちの行動の理由だったりとか、私たちがどういうふうな将来を選択してきたか、その背景になっているような気がするんですよね。

 なので、サンゴが教えてくれる環境の変化自体が、人がどういうふうに生きていったらいいかを教えてくれるような気がするので、人とサンゴをつないでいくような研究を、これからもしていきたいなと思っています」


INFORMATION

喜界島サンゴ礁科学研究所

写真協力:喜界島サンゴ礁科学研究所

 ぜひ山崎さんの研究、そして喜界島サンゴ礁科学研究所にご注目ください。研究の成果や教育プログラム「キカイ・カレッジ」そして「サンゴ塾」については研究所のオフィシャルサイトをご覧くださいね。

 研究所では、活動をサポートしてくださる会員を随時募集しています。正会員で会費は年5,000円です。ぜひご支援ください。また、研究所では宿泊できる「サンゴ・ロッジ」や「サンゴ・カフェ」も運営。いずれも詳しくはオフィシャルサイトを見てくださいね。

◎喜界島サンゴ礁科学研究所HP:https://kikaireefs.org

オンエア・ソング 1月29日(日)

2023/1/29 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. HERE WITH ME / D4VD
M2. KEEP ON GROWING / SHERYL CROW
M3. ON AN ISLAND / AXE RIVERBOY
M4. HAWAI’I / KEALI’I REICHEL
M5. ワダツミの木 / 元ちとせ
M6. HOW WILL I KNOW / WHITNEY HOUSTON & CLEAN BANDIT
M7. BETTER THAT WAY / SUSAN CAGLE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

動物心理学〜ネコの心を読み解く

2023/1/22 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、気鋭のネコ心理学者「髙木佐保(たかぎ・さほ)」さんです。

 髙木さんは1991年生まれ。同志社大学卒業後、京都大学大学院を経て、現在は日本学術振興会と、麻布大学の特別研究員として活動中。イエネコを研究対象にされていて、2016年に発表した論文が海外のメディアでも取り上げられ、話題になりました。2017年には業績が評価され、京都大学・総長賞を受賞されています。

 ネコ好きな髙木さんは現在、兄弟のネコを飼っていて、一匹は食いしん坊、もう一匹は運動能力が優れていると嬉しそうに話してくださいましたよ。

 そんな髙木さんがおよそ10年にわたる研究をまとめた本『ネコはここまで考えている〜動物心理学から読み解く心の進化』を出されました。

 ネコの心理学とは!? イエネコの優れた能力とは!? じっくりお話をうかがいます。

☆写真協力:髙木佐保

髙木佐保さん

ネコの心理学とは!?

●髙木さんはネコ心理学者でいらっしゃいます。 こちらの勉強不足で大変恐縮なんですけれども、動物に心理学という研究分野があることを初めて知ったんですが、心理学ということはネコに心があるということですか?

「人間の心理学を想像すると、言語化した心の働きとかを想像されるかと思うんですが、動物に言語がないことから、そういうふうな心が研究しづらいんじゃないかって思われると思うんですね。

 私たちがやっている心理学は主に認知能力に関してです。例えば記憶能力ですとか、あとは飼い主さんをどういうふうに認識していますかっていうことを調べています。そういう証拠は蓄積されてきていますので、ネコにも心はあるっていうふうに考えています」

●髙木さんのご専門が「比較認知科学」ということなんですが、どんな学問なんでしょうか?

「簡単に言うと、心の進化を探る学問になっています。 それをどういうふうにして探るかというと、現存する様々な動物の心とか認知能力を比較することで、どういう動物がどんな心を持っていますか、っていうのをひとつひとつ研究していって、心の形成にはこういうことが影響しているんだっていうことを検討していくような学問です」

『ネコはここまで考えている〜動物心理学から読み解く心の進化』

●興味深いですね〜。髙木さんは昨年『ネコはここまで考えている〜動物心理学から読み解く心の進化』という本を出されました。 私も読ませていただいたんですけれども、まさにタイトルの通り、ネコってここまで考えているんだっていうことに驚きました。
 いろいろな調査結果が載っていて、この本を読んだあとにネコを見ると、より愛おしく感じられそうだなと思ったんですけれども、研究の対象がいわゆるイエネコなんですよね。イエネコに絞った理由は何でしょうか?

「研究室や実験室で飼育されているネコを対象にせずに、家庭で飼育されているイエネコを対象にしているんですけども、その理由としてはやっぱり、人との生活の中でどういうことを学習していますかっていうのを明らかにしたかったので、人に飼育されているようなネコに限定して、今は研究を行なっています」

(編集部注:人間がネコと生活を始めたのはいつ頃か、髙木さんにお聞きしたところ、最古の資料によるとおよそ1万年ほど前で、貯蔵している穀物をネズミなどの食害から守るためにネコを導入。その後、見た目の可愛さもあって、愛玩動物になっていったのだろうとのことでした。
 ちなみに、イエネコの祖先はアフリカやアラビア半島に生息するリビアヤマネコ、別名アフリカン・ワイルドキャットだそうです)

イエネコは同居するネコの名前を認識!?

※髙木さんはイエネコを研究対象にされていますが、研究するとなると、たくさんのイエネコが必要ですよね?

「そうですね。その研究にもよるんですけど、ひとつの研究につき、大体50匹ぐらいは必要にはなってくるんですね」

●どうやってイエネコを集めていらっしゃるんですか?

「地道な営業活動を行なっていて、初期の頃だと知り合いの、知り合いのネコちゃんを人づてに聞いて、協力してもらえませんかって頼んで行なわせていただくっていうふうな形でしたね。最近はメディアで研究を紹介してくださって、それを見てくださった飼い主さんが、こういう研究に参加したいです! っていうふうに応募してくれるかたも増えてきてはいますね」

●この本にまとめるまでに10年近くイエネコを研究されているということですけれども、トータルでいうと何匹ぐらいのネコを調べたんですか?

「そうですね・・・(笑)難しいですけど、データになっていない個体も含めると500匹以上は調べているかなとは思いますね」

●イエネコの研究では、どんな環境で飼われているかも重要になってくると思うんですけれども、1匹で飼われているとか、髙木さんのように兄弟ネコを飼っているとか・・・そういうのでやっぱり変わってくるんですか? あとネコカフェとかもありますよね?

「そうですね。私の最近の研究からも、それぞれ1匹飼いとか複数飼いとか、ネコカフェのネコちゃんたちで行動が違うことはわかってきていますね。 それぞれの環境で何を学習しているのかとか、何が重要なのかっていうことが環境ごとに違うので、行動の違いが出るのかなと思います」

●行動の違いが出るってことは、周りの環境からそれぞれネコちゃんたちが学習しているっていうことですか?

「そうですね。具体的な研究でいうと、私の最近の研究から家庭で飼育されているネコは、同居するほかのネコちゃんの名前を認識していることがわかったんですね。その認識はネコカフェのネコちゃんでは、そういう認識はしていないんじゃないかっていう結果が得られていますね」

●自分以外のネコのことを認識はしているけど、ネコカフェのネコだと名前までは認識していない・・・それは家で飼われているネコと何が違うんですか? 

「名前を呼んで、そのネコちゃんが反応するのを(ほかのネコが)観察することで、そのネコの名前を覚えていくと思うんですけど、ネコカフェのネコの場合は飼っている数がすごく多い・・・30匹以上とかで飼われているネコカフェさんもありますし、お客さんがそれぞれネコちゃんの名前を呼んでいる状況なので、特定のニックネームがもしかしたらないのかもなっていうふうなことは考えていますね」

飼い主さんの声を記憶!?

※髙木さんはイエネコの「認知能力」に関する研究で国内外から注目されています。改めて、ネコの認知能力について解説していただけますか。

「はい、私の調べている認知能力は、実はすごく身近な能力で、飼い主さんをネコちゃんがどういうふうに認識していますかとか、人の言葉をどの程度理解していますかっていうことを調べています」

●飼い主のことはもちろん認識はしているんですよね?

「そうですね。飼い主さんの声を、知らない人の声と区別しているっていう研究ですとか、あとは飼い主さんの声を聞いた時に、飼い主さんの顔を想像しているっていう研究などが明らかになっていますね」

●ネコって気まぐれだったり、ちょっと小悪魔的な要素もあるというか、人間が振り回されるようなイメージもありますけれども、ちゃんとネコちゃんは考えているんですね。

「そうですね(笑)。飼い主さんのことはちゃんと認識して、気にしてはいるみたいですね」

●飼い主の声は、記憶しているってことですか?

「飼い主の声も記憶していると思います」

●例えば、飼い主のお友達が来て、〇〇ちゃん! ってネコちゃんを呼んだとしても、ネコは、あっ! いつもの声じゃないとかわかるんですか?

「そうですね。声だけでちゃんと判別していることはわかっていますね」

●飼い主の声を覚えているということなんですけれども、どうやってそれはわかったんですか?

「スピーカーを使った研究なんですけど、知らない人の声をまず4回再生するんですね。知らない人の声で、ネコちゃんの名前を呼ぶ音声を4回再生して、4回再生する中で、最初はネコちゃんの反応は、おっ! ていうふうな反応を見せるんですけど、だんだん1回目、2回目、3回目、4回目と続くうちに反応の強度っていうのが下がっていくんですね。

 で、5回目に飼い主さんの声で、ネコちゃんの名前を呼ぶ声を再生すると、下がっていった反応強度が、また、おっ! っていうふうに上がるっていうことがわかりました。そこから飼い主さんの声と、知らない人の声を区別しているんじゃないかっていうことが示唆されましたね」

●ちゃんと聞き分けているんですね〜!

「そうですね」

●それは飼い主にとって嬉しいですよね!

「そうですね。ちゃんと聞いています(笑)」

●この本を読んで改めて気づいたんですけど、ネコって狩りをする動物なんですよね。その狩りも「視覚」ではなくて「聴覚」を使うっていうことに驚いたんですけれども、音で獲物の位置がわかるっていうことですか?

「そうですね。やっぱりネコって聴覚の能力がすごく発達していて、見ていてもわかると思うんですけど、耳が左右別々に動いたり、その動く角度とかも360度近く動いたりするんですね。そういう耳を見ていてもわかるんですけど、ネコって非常に聴覚が優れていて、その耳で獲物の位置もちゃんと音から把握しているってことがわかっています」

写真協力:髙木佐保

ネコは聴覚動物!?

※イエネコが窓のそばで、遠くを見ながら、物思いにふけっているような写真や映像をよく見ます。ネコは何かを思い出している、そんな可能性はありますか?

「そうですね。私の研究から一度きりの出来事を後々思い出せますよっていう記憶の研究を行なったことがあるので、きょうあった出来事をぼんやりと思い出しているみたいな可能性はあるかと思います」

●えっ、それはどういった調査結果で分かったんですか?

「簡単な記憶テストを行なって、餌皿にあった食べ物を食べ逃しちゃうっていう経験をさせるんですけど、後々食べ残した餌皿をちゃんと覚えているよっていうことを明らかにした研究になります」

●時間の感覚は、ネコにはあるんですか?

「はい、おそらくあるんじゃないかって考えられています。ある研究では飼い主さんが30分間留守にしていた時と、数時間留守にしていた時では、帰ってきた時の反応が違うっていうことがわかっているので、おそらくネコにも時間の感覚があるっていうふうに考えられていますね」

●なんか愛おしいですね〜本当に。髙木さんがイエネコをこれまで研究されてきて、ほかにももっと能力があるってことを感じたりはされますか?

「そうですね。まだまだ研究が始まったばかりなので、全然科学が追いついていないというか、明らかにできたことってほんのひと握りだなって感じていて、なのでもっともっと今後ネコのすごい能力に関して明らかにしていきたいなと思っています」

●どんな能力があると思っていますか?

「私は聴覚能力に関して結構調べているんですけど、人の言葉をどの程度理解しているのか、そんなことに興味がありますね」

●確かに気になりますよね。ネコの社会性はほかの動物と違うって感じることは多いですか?

「そうですね。やっぱり祖先種が単独性なので、同じ伴侶動物の犬と比較すると、
社会的なシグナルというか社会的な行動は、犬よりは少ないかなって思いますね」

●1匹でいるのを好んでいるっていうわけではなく・・・?

「祖先種が単独性で、ネコ自体は祖先種よりは、かなり社会性を獲得して来たっていうふうには言われているんです。犬の場合だと祖先種が非常に社会的な動物なので、そういう動物から進化してきた犬と比べると(ネコは)ちょっとツンツンしてるように見えちゃうのかなとは思いますね」

ネコたちの上下関係!?

※ネコカフェもそうですが、複数で生活しているネコたちに、上下関係みたいなものはあるんでしょうか?

「研究としては調べられてはいないんですけど、ネコカフェのスタッフさんの話を聞いていると、新入りのネコちゃんにこの子がいろいろネコのルールを教えてあげているんだよ、みたいな話とかはよく聞きますね(笑)」

●ボスみたいなネコがいるわけですね。

「そうですね。面倒見の良いネコちゃんが新入りのネコちゃんにいろいろ教えて、その新入りのネコちゃんが本当に、教えてくれたネコちゃんの行動みたいになるみたいな話は聞きますね」

●へ〜〜、真似して行動しているってことですね。

「そうですね」

●ネコを飼っているかたって、リスナーさんの中にもたくさんいらっしゃると思うんですけれども、髙木さんから、ネコのこんな能力を知っているといいよ! ってことがあったらぜひ教えてください。

「リスナーのかたも、ネコを飼われているかたは既にお気づきかとは思うんですが、ネコはやっぱり想像以上に人の会話を聞いているんじゃないかなって、私は考えているので、たくさん話しかけてあげたら、すごく関係性が良くなるのかなと思います」


INFORMATION

『ネコはここまで考えている〜動物心理学から読み解く心の進化』

『ネコはここまで考えている〜動物心理学から読み解く心の進化』

 髙木さんのおよそ10年にわたる研究をまとめた本。身近なイエネコの運動能力ではなく認知能力、例えば、記憶や考える力に迫った、とても興味深い本です。ミステリアスなネコちゃんたちの心をのぞいてみませんか。ネコ好きなかた、ネコを飼っているかたには、特に読んでいただきたい一冊です。

 慶應義塾大学出版会から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトを見てくださいね。

◎慶應義塾大学出版会:https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766428438/

オンエア・ソング 1月22日(日)

2023/1/22 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. I WAS BORN TO LOVE YOU / FREDDIE MERCURY
M2. THINKING OF YOU / KATY PERRY
M3. MINE / TAYLOR SWIFT
M4. COME WHAT MAY / NICOLE KIDMAN & EWAN MCGREGOR
M5. 風になる / つじあやの
M6. THINKING OUT LOUD / ED SHEERAN
M7. MEMORY / BARRY MANILOW

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

深海魚を透視!? 骨格画像にギョギョギョ!

2023/1/15 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、国立科学博物館の研究主幹で魚類学者の「篠原現人(しのはら・げんと)」さんです。

 篠原さんは昨年『深海魚コレクション』という本を出版。この本はエックス線CTスキャンで撮影した深海魚の画像を集めた画期的な本として注目を集めています。今回はエックス線CTスキャンによる研究や、深海魚の驚くべき進化についてうかがいます。

☆写真協力:国立科学博物館、オーム社

篠原現人さん

深海魚の骨は美しい!?

 篠原さんは1964年生まれ。北海道大学大学院修了。現在は国立科学博物館の研究員として活動。専門は魚類の系統分類学。主な研究対象は深海の海底に生息している、細長い体が特徴の「ゲンゲ」と呼ばれる魚だそうです。

 子供の頃は藤沢市に住んでいて、毎週のように、お父さんに連れられて釣りに出かけていたこともあり、魚が大好きに。そして大学生の時に進路を決定づける本『稚魚を求めて』そして『日本海の成立』という2冊の本に出会い、研究者になることを決めたそうです。

 篠原さんの本『深海魚コレクション』には魚の骨格や、骨の隅々までがわかる立体的な画像が掲載されていて、深海魚の不思議な姿を写し出しています。

『深海魚コレクション~エックス線CTで探る不思議な姿』

●掲載されている魚の骨格の画像がとても綺麗ですよね?

「はい、綺麗ですよね。私も深海魚は実際、標本とかでたくさん見ているんですけれども、骨で見ても綺麗だなっていうのは改めて感じました」

●びっくりしました。魚の内部を見ることってなかなかないので、すごく興味深かったです。この本には深海魚をエックス線CTスキャンで捉えた画像が掲載されていますが、人間が健康診断とかで撮るエックス線写真とはどう違うんでしょうか?

「健康診断で使うエックス線写真は、レントゲン写真って言われますよね。全体を平面的に撮影するものなので、例えば臓器とか骨が重なって見えて、それを分けて見ることはできないですよね。細かいところはよく見えないと。

 それに対して エックス線CTスキャンというのは、撮る方向をちょっと変えて、対象物の断層写真、輪切りの写真をエックス線で撮るんです。それを重ねていって立体画像を作ると。それでパソコンの画面の中に立体画像ができるので、それをクルクル回すと、いろいろなところが見えます。

 例えるなら、普通のプリンターと3Dプリンター、レントゲン写真のほうは普通のプリンターで印刷した画像と思ってください。それに対して、エックス線CTで撮った画像は、重ねて立体的に見えるので、3Dプリンターで印刷したものみたいな、そんな感じですよね」

●深海魚の3D画像は、骨格とか骨の構造が一目瞭然で驚いたんですけれども、本当に魚は骨が多いんですね?

「人と比べると特に多く感じるでしょうね。人にはない骨なんかもありますけれども、魚の骨は種類にすると、70種類くらいの骨で構成されているんですね。それは主数なので実際、数はもっと多いですよね」

写真協力:国立科学博物館、オーム社

●どれくらいになるんですか?

「数は分からないです。例えば人間の背骨でいうと、人間は背骨、脊椎骨って言うんですけれども、24個あるんですね。深海魚の中のウナギの仲間、シギウナギというのがいるんですけれども、それは200個くらい脊椎骨があります。だから全然数が違うと」

●いや〜すごいですね。そういった骨のひとつひとつをこの本で見ることができるんですね。普段の研究でエックス線CTスキャンを使って、深海魚を撮影されているんですよね? この手法はいつ頃からあるものなんですか?

「エックス線自体は、1900年よりちょっと前にレントゲンという人が発見したんですよね。それから70年くらいあと、1970年くらいにエックス線CTスキャンができる機械が発明されたと言われています。先ほども少し言いましたけれども、最初はやっぱり人の体を細かく、切らずに見るために開発されたものですよね。それがだんだん工業用になって、今は研究用になってきたと・・・自然資料なんかを見るための機械になってきたっていうことですね」

●改めてこのエックス線CTで撮影すると、特にどんなことが分かるんでしょうか?

「これまで見えなかった、いろんな角度から骨なんかを見ることができますよね。新たな発見にもつながります。それからテクニックをいろいろ開発すれば、例えば骨以外のところも見えますよね。筋肉とか、あと血管なんかも見ることができますね」

アゴゲンゲの生鮮写真とCT画像
アゴゲンゲの生鮮写真とCT画像
保管中のゲンゲ類の液浸標本
保管中のゲンゲ類の液浸標本

実は身近な深海魚

※改めて、深海魚の定義を教えてください。

「これはなかなか難しいところがあるんですけれども、今は水深200メートルより深いところを深海と呼ぶので、そこにいる魚を深海魚と呼ぶようにしていますね。この水深では浅いと言われて、500とか600メートルより深いところにいる魚を、深海魚と呼んでいた時期もあるんですけれども、今は200メートルより深いところにいる魚です。

 この200は何かというと、日本の周辺には大陸棚があって、その多くがいい漁場になっているんですけれども、それより外側、沖に出るとドカッと深くなるんですよね。200メートルより深いところの海がずっと広がるんですね。そういうところがひとつ基準になっています」

●定義になる深さが変わるんですね。

「そうですね。ただ200メートルになるとほとんど光が届かないです。届く光は太陽光なんですけれども、1パーセント以下って言われているので、そういう意味で真っ暗な深海という場所に相応しい水深かもしれませんね」

●私たちが普段食べている魚にも深海魚っているんですよね?

「みなさん結構食べています。有名なのはマダラとかアンコウですよね」

●そうですね。深海魚になるわけですね。

「深海には美味しい魚が結構いますよね」

写真協力:国立科学博物館、オーム社

特徴は発光器、ブヨブヨ!?

●そんな深海魚の大きな特徴を教えてください。

「深海魚ですごく特徴的なのは発光器ですね。水深200メートルから水深1000メートルの間にいる深海魚に多いですよね。それぞれの発光器はただ光るだけじゃなくて、その外側にレンズみたいな、鱗が変形したんですけど、そういう部分もあって、それで光を調整している、いわゆる調光システムを持っていると言われています。そういうかなり特殊な発光器は深海魚でしか見られないものですね。

 それから体がブヨブヨなものも結構、深海魚に多いですよね。あまり骨の発達がよくないとか、触ったらブヨブヨするような・・・見た目は可愛いらしいんですけれども、体が柔らかくて結構もろやつがいますよね。それも深海魚の特徴かもしれません。

 深海だとやっぱり餌が少ないので骨が作りにくいとか、逆に体をブヨブヨにするってことは水分が多いんですけども、水分が多いってことは、体を軽くするのに役立つんですよね。クラゲで分かりますよね。クラゲってなんか浮いているような感じじゃないですか。あれは重いものが体にないからなんですよね。深海魚も体をブヨブヨっていうか、水っぽくすることによって浮力を得て、それで移動を楽にしているっていうのもあります 」

大きな口と、大きな目

●深海魚には、ほかにはどんな特徴がありますか?

「よくみなさんが感じる大きな目とか大きな口、これもやっぱり深海魚の特徴ですよね」

●そのイメージあります。どうして深海魚は目が大きくなったり、口が大きくなったりすんですか?

「はい、まず目が大きいほうは、深海は結構、発光生物が多いんですよね。深海魚はそういう発光生物を食べるものが多いです。だから発光生物を目で見つけて食べるために、目が大きくなって、よく見つけられるようになっていると。

 それから口は、捉えた獲物を丸飲みするとか、もしくは一撃を与えて逃げられないようにするっていうそういう仕組みがありますよね。つまり出会った餌を逃さないために大きな口とか、口に大きな牙みたいな歯ができることが多くありますよね」

●目とか口とか発光器もそうですけれども、そういった特徴は深海っていう特殊な環境で、どんどん進化していったものなんですか?

「そうですね。深海に行ったからできたものでしょうね。そうしないと多分生きられないっていうギリギリのところだったんじゃないですかね」

●すごく変化していくんですね〜。

「もちろん進化なので、すごく長い時間をかけて少しずつ変わっていったと思いますけどね」

●先ほど太陽光が1パーセントほどっておっしゃっていましたけど、そんな光の届かない深海でどうやって食べるものを探すんですか?

「先ほど言った発光生物がいる層では、目で見て探すことが多いと思うんですけれども、1000メートルよりも深いところは、逆に目がちっちゃくなるんです。代わりに何が発達するかっていうと、音を聴く器官、側線(そくせん)が発達します。だから彼らは周りの音を聴いて・・・音というのは振動なので水の動きですよね。それを感じて獲物がいるとか、危険が迫っているとか、そんなことを感じているって考えていますね」

●そんなに大きな振動ってわけではないですよね? すごく些細なものを聴き分けるってことですか?

「はい、非常に感度の高いセンサーを持っている深海魚は多いですよね」

(編集部注:篠原さんによれば、深海魚は世界に約4000種ほどいて、世界の魚類の11%ほどを占めているそうです。最終的には新種を入れて6000種を超えるのではないか、とのことでした。ちなみに日本の近海で見つかっている深海魚は約600種、日本列島の周りには深海が多いので、深海魚の研究には適しているそうです)

ドイツの深海調査船「ゾンネ」
ドイツの深海調査船「ゾンネ」

オニキンメに感動

※今まで見た中で、特に強く印象に残っている深海魚を教えてください。

「私が深海魚を捕るために調査船に乗ったんですけれども、オニキンメが捕れたんですよね。オニキンメって金目鯛(きんめだい)の仲間なんですけど、普通の金目鯛とは違って、口が非常に大きくて、牙が発達しているんですよ。目もちっちゃい、色も黒っぽい、そういう魚なんですね。それが非常にいい状態、生きた状態で捕れたんですよね。

 水族館ではまだ飼育できていない、非常に珍しいオニキンメという魚を、船の上でしたけど、しばらく水槽で見ていましたね。生きた状態で見られたので、非常に感動して・・・それがひとつすごく印象に残っていますね。

オニキンメの液浸標本
オニキンメの液浸標本

 あとはバケダラっていう名前もちょっと変わっていますけれども、タラの仲間ですね。ソコダラの仲間なんですけれども、深海にしかいないんですよ。頭が風船のように膨らんでいて、つぶらな瞳と、口が下にぽこっと付いているやつがいるんですけれども、それも非常に印象に残っていますよね。

 膨らんでいる部分が何かっていうことなんですけども、実は皮をめくってみると、中に側線が発達しているんですよ。だから頭全体が水の流れなんか感じる、非常に感度の高いセンサーになっているんですよね。いろんなところでソコダラの写真が最近は図鑑とかに出ているので、興味のある方はソコダラの姿を見て、あっ、 あの頭はセンサーなんだと、そういうふうに思ってください」

(編集部注:深海魚は何を食べているのか・・・篠原さんにお聞きしたら、深海では植物プランクトンは生育できないので、海の上のほうから落ちてくる生き物の死骸を食べる種が多いそうです。いわゆる肉食性ということになるんですが、中には、ほかの魚の鱗を食べる深海魚もいるそうですよ)

深海魚は外見も内部も魅力的!

※これまでにたくさんの深海魚を見てこられて、どんなことを感じていますか?

「やっぱり深海魚は個性的な魚が多いので、面白いですよね。生き方というか、それになんか感動することが多いです。先ほどからも何回か言いましたけれども、オニキンメっていう魚は、実はすごくちっちゃいんですよね。顔だけ見ると非常に怖そうな、牙が発達して怖そうなんですけれども、ちっちゃくて体は柔らかいんです。

オニキンメのCT画像
オニキンメのCT画像

 でも頭と顎だけすごく発達しているんですね。硬いんですよ。なんて言いますかね・・・潔いというか、餌を取るための器官だけは、すごくしっかり発達させて、体はわりとあっさりしているっていうか、全然防御もしないような体ね。そんな姿を見ると、なんか気持ちのいい生き方しているなっていう感じもして、そういうのに感動することがありますよね」

●では最後に『深海魚コレクション』はエックス線CTで深海魚の骨格を見せている本ですが、この本を通してどんなことを伝えたいですか?

「魚ってやっぱり美しいんだっていうのを、いろんな人に知ってもらいたいですよね。 深海魚ってどちらかというと、なんか黒っぽいとか、なんか真っ赤とか、どっちかっていうと地味な魚と思われがちなんですけれども、形は非常に面白いんです。

 外見も非常に面白いんですけれども、内部を見ると、さらに深海魚の魅力に気づいて、それで魚が好きな人や魚に興味を持つ人が増えてくれたらいいなっていうつもりで書きました。対象は小さいお子さんから社会人、それから研究者まで耐えられる、そんな内容を目指しましたので、いろんな方に見てもらいたいっていうのが私の気持ちです」

(編集部注:お魚屋さんやスーパーで売られている魚にはアンコウやタラ、キンメダイのほかにも、目が光っているので関東では「メヒカリ」と呼ばれる「アオメエソ」やメバルの仲間「メヌケ」、そして篠原さんが好きな「キンキ」と呼ばれるカサゴの仲間「キチジ」など、食用になる深海魚は意外に多くいるそうです)


INFORMATION

『深海魚コレクション~エックス線CTで探る不思議な姿』

『深海魚コレクション~エックス線CTで探る不思議な姿』

 エックス線CTスキャンで撮影した深海魚の、立体的な画像をもとにその生態や特徴などを解説、特に名前の由来などをまとめた豆知識は「へ〜〜そうなんだ!」の連続で面白いですよ。そしてなにより、今まで見たこともない深海魚の骨格や骨の隅々までわかる綺麗な画像をぜひご覧ください。オーム社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトを見てくださいね。

◎オーム社HP:https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274229060/

 国立科学博物館の篠原さんの研究サイトもぜひご覧ください。

◎篠原さんの研究サイト:
https://www.kahaku.go.jp/research/researcher/researcher.php?d=s-gento

オンエア・ソング 1月15日(日)

2023/1/15 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. TIME OF MY LIFE / MACY GRAY
M2. YOU’RE BEAUTIFUL / JAMES BLUNT
M3. VANILLA TWILIGHT / OWL CITY
M4. OCEAN EYES / BILLIE EILISH
M5. 浜辺の歌 / スーザン・オズボーン
M6. DROP IN THE OCEAN / MICHELLE BRANCH
M7. NOBODY DOES IT BETTER / CARLY SIMON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

多様性の海〜海洋写真家「中村武弘」の視点

2023/1/8 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、海洋写真家の「中村武弘(なかむら・たけひろ)」さんです。

 中村さんは1979年、東京生まれ。子供の頃から海や自然に親しみ、写真家になってからは、海を幅広くとらえて撮影されています。海洋写真家としてのキャリアは18年ほど。そして先頃、初めての写真集『海』を出されました。ちなみにお父さんは海洋写真家の第一人者「中村庸夫(なかむら・つねお)」さんです。

 きょうは、海上や海中、磯や干潟など、様々な表情を見せる海への思いや奇跡的ともいえる写真の撮影エピソードなどうかがいます。

☆写真:中村武弘

写真:中村武弘

表紙は「半水面写真」

※写真集のタイトルを、ストレートに「海」としたのは、どうしてなんですか?

「私は海洋写真家を名乗っておりまして、海中に限らず、幅広い海を撮っているんですね。それで今回の写真集には、海中や海上の自然、そして海の動物とかを選んで掲載しています。海には様々な環境があって、そういうものを感じていただきたいなと思って、タイトルをシンプルに『海』にしました」

●まさにおっしゃっている通り、写真集には海面だったり海中だったり、いろんなシーンがありました。魚たちが海の中でとっても近くにいて、こちらを見ている写真があって、魚と目が合っているような感覚になりました。あれはそーっと魚に近づいているんですか?

「魚が並んでいる写真があって、こっちを向いているみたいなんですけど、実はそういうふうに並ぶところがあるんですよ。海流の関係でそうやって並ぶんですね。なので、ゆっくり行くと結構近づけて、魚も大きいのであまり驚かないっていうか・・・(笑)」

●かなりの至近距離ですよね。怖さとかはないですか?

「危険な魚ではないですし、向こうもダイバーに慣れているので、あまり逃げたりはしないんです。あともうひとつ、ハリセンボンっていう魚の顔のアップの写真があるんですね。ハリセンボンは泳ぐのがゆっくりな魚で、近づくことはできるんですけど、実はあそこまで寄ることはできなくて・・・なぜ撮れたかっていうと・・・」

●どアップでしたよね?

「そうですね。あれは潮溜まりと言って、磯にある、要は潮が引いて岩の隙間に海水が取り残されてできるのが潮溜まりと言うんですけど、そこにハリセンボンが取り残されていたんですよ。僕は水中に入らないで、防水のデジタルカメラを手に持って、それだけ(潮溜りに)突っ込んで撮ったので、全然警戒心がなくて、こっちを見ている感じになりました」

●本当に写真のど真ん中にハリセンボンの顔がどアップで写っていましたね。
 あと表紙にもなっている、海中と波、白い雲と青空が写っている写真、これはどうやって撮ったんですか?

『海』

「これは半分が水中、半分は海上で、半水面写真っていう・・・要は(写真の構図の中に)水面が半分ぐらいある写真を半水面写真って言うんですけれど、これはダイビングが終わってボートに戻る前に海面に浮いて撮りました」

●すごいですよね。海の中と海の上が見える、なかなか見ることができない写真ですね!

「そうですね。見ていただくと分かるんですけど、小さい波がいっぱいあるんですね。なので、ちょうどレンズの真ん中辺りにこの水面が来ないと、こういう写真は撮れないんです。
 こっちもただ浮いているだけで、踏ん張ったりできないので、なかなか撮れなかったんですけど、数枚いい写真が撮れて、こうやって表紙になるような写真になりました」

●ぜひリスナーさんにも見ていただきたい写真です!

(編集部注:中村さんの撮影の主なフィールドは東京湾や房総半島、三浦半島など。最新の写真集『海』ではそのほか、沖縄の西表島や小笠原諸島の西之島の近海、そして海外で撮った写真も掲載されています)

クジラからタツノオトシゴまで

※今回の写真集には、海に暮らすいろいろな生き物が登場します。撮影した中でいちばん大きな生き物はクジラですか?

「そうですね。いちばん大きいのがこの写真集でも使われているんですけども、ザトウクジラの写真ですね」

写真:中村武弘

●かっこよかったです。水の飛沫が舞っていて。

「大きさでいうと大体15メートルぐらいなんです。場所はアラスカで、海面に(ザトウクジラの頭が)出ている写真なんですね。なぜこういうふうになっているかっていうと、実はバブルネットフィーディングっていう漁をしているところなんですよ。

 バブルネットフィーディングっていうのは、バブルは泡で、ネットはネットなんですけど、要は複数のザトウクジラが一緒になって泡を吹いて、その泡でネット(のようなもの)を作って、その中に魚を追い込んで、魚が海面近くに行ったら、複数のクジラたちが大きい口を開けて、海面にガバっと飛び出して魚を食べるっていう漁なんですね」

●大きな口を開けている姿がどアップで写されていますけど、この周りが泡なんですね。

「そうですね。本当その泡の中から(ザトウクジラたちが)飛び出すっていう写真です」

●実際ご覧になってどうでした? 迫力がものすごくありそうですけど・・・。

「実際はかなり遠い距離なので、レンズを覗いた風景しか僕は見られないんですけど、やっぱり遠くでもその音が聴こえてくるわけですよね、ガバッていう音が・・・そういう水飛沫の音が聴こえてきて、やっぱりそれはまさに大自然の中にいるなっていう感じですね。
 クジラはこの口の大きさなので、人間は口の中入っちゃいますからね(笑)。実際食べることはないんですけれど、やっぱりそれだけ大きな生き物がこうやって地球上にいて暮らしているんだなっていうのは、すごいことだなと思っています」

●逆にいちばん小さな生き物だと、どんな生き物になりますか?

写真:中村武弘

「いちばん小さいのは、タツノオトシゴの仲間のピグミーシーホースという魚なんですね」

●ピンクの! 水色の海にピンク色がバーッと、もうお花のような感じですね!

「周りはサンゴの仲間なんですけれど・・・このピグミーシーホースの大きさは大体2センチくらいです」

●そんな小さいんですか! 

「はい、その周りのサンゴに擬態しているっていうか、ほとんど同じような模様と色をしていて、こうやって隠れているんですね」

●なんか梅の花かな? みたいな・・・本当にそんな感じもしますけど、2センチって大変じゃないですか? 小さな生き物を撮影するのは大変かと思うんですけど・・・。

「まず、小さいものは見つけるのがとても大変で、大体現地のダイビングガイドさんに教えてもらってから撮るんですね。
 やっぱり撮影するときに難しいのは、小さい生き物を撮る時、マクロレンズっていう(被写体に)寄れるレンズを使うんですけど、そのレンズで寄るとピントの合う範囲が狭くなるんですよ。

 生き物は基本的に目にピントを合わせて撮るものなんですけど、海の中は相手が止まっていても海水は動いているので、生き物自体も動いているし、撮る僕も動いています。そういう状況の中で、目にぴったりピント合わせて撮るのは大変だなっていつも思いますね」

(編集部注:写真集『海』には、東京湾の最奥部にある貴重な干潟「三番瀬」を、セスナ機に乗って上空から撮影し、群れをなして飛ぶスズガモとらえた写真や、西之島の近くまで行くクルーズに参加して、船上から海面に飛び出した無数のトビイカをとらえた奇跡的な写真も掲載されています。ぜひご覧ください)

写真:中村武弘
三番瀬を上空から撮影、スズガモの群れ

自然を相手にする難しさ

※撮影のテーマというか、大事にしていることはありますか?

「あまりそういうのを意識してきたことはないんですけど、常に思っているのは、珍しいものとかそういうものよりも、当たり前にあるものや身近にあるものを撮りたいなっていうのが常に頭にありますね。例えば磯とか干潟とか身近な場所なんだけど、プロで撮っている人があまりいないとか、そういう世界を見せたいなっていう思いがあります」

●撮影に行く前は、どこに行けばどんな生き物に出会えるとか、そういったことはしっかりリサーチしてから行かれるんですか?

「いつか撮りたい被写体に関しては、どこに行けば何が見られるかは頭に入っているんですね。そういう情報は結構溢れているので、例えば撮影をする時、リサーチってほどではないんですけど、現地のガイドさんにお話を聞くとか、そういうことで詳しい情報を得たりします。

 あとは、SNSをやっているダイビングガイドの人が、撮影した写真をアップしたりするんです。それを見て、これ見たいな、撮りに行きたいなと思って出かけたりとか、そういうスタイルのことが多いです」

●SNSも駆使しながら、ですね。

「やっぱり生き物はいつもいるものと、たまに出るものとか珍しいものとかってあって、いつもいるもの以外は結構すぐにいなくなっちゃったりするんですね(笑)。なので、その時に時間があれば撮りに行ったりとかはします」

●本当に海とか生き物の撮影は、天候も含めて難しいことだらけだと思うんですけど、どんなところが大変ですか?

「やっぱり自然を相手にしているので、本当に天候に左右されることがとても多いです。やっぱり海が荒れると危険なので潜ることができなかったりするので、本当に普通に海に行って楽しもうと思ったら、晴れている海がいちばん(笑)」

●そうですよね(笑)

奇跡は二度ある!? イルカのジャンプ

※中村さんは、うまくいかなかったことはあまり覚えていないそうですが・・・

「実はひとつだけ覚えていることがあって、今回の写真集でも使われている写真なんですけど、逆光の中を飛ぶイルカ(の写真)なんですね」

写真:中村武弘

●キラキラキラーって光の中に、イルカが飛び上がっていますよね。

「実はこれを撮る前にすごく悔しい思いをしていまして・・・それ何かっていうと、同じようなシーンでイルカがジャンプしたんですよ。でもイルカってどこで飛ぶのか分からないので、その時は反応できなくて、カメラを向けることができなかったんですよ。ご覧いただいたようにすごく良いシーンなんで・・・」

●垂直にブワーッと飛んでいますよね!

「逆光の中にいるっていうのは、太陽と僕の一直線上でイルカが飛んでいるっていうことなので、そういうチャンスはもう二度とないだろうと、その瞬間すごく悔しく思ったんですけど、そしたら次の瞬間に同じところで(イルカが)飛んでくれたんです!」

●そうだったんですね! 本当に御光が射しているような神々しい写真ですよね。

「これ、ハシナガイルカなんですけど、スピンジャンプをするイルカなんですよ。なので、まっすぐ飛んでいるいわけではないんですね。体をくねらせながら飛んでいるんですよ」

●うわぁ〜〜すごい!

「その中で、このイルカらしいシルエットの瞬間が切り取れているのも奇跡的だなと思って・・・」

●奇跡が重なった写真なんですね。

磯や干潟は重要な場所

※写真集には磯や干潟で撮った写真も多くありますが、中村さんは、磯や干潟のどんなところに魅力を感じますか?

「まず、磯とか干潟は子供が遠足で初めていく場所だと思うんですよ」

写真:中村武弘

●そうですね〜。

「僕は子供の頃は、小学校の遠足で行った記憶はあったんですけど、それ以外では行ってなくて・・・。それで写真家になって磯と干潟に行くタイミングは、最初の頃に結構あったんですね。行ってみると、とにかく生物数の多さにすごく驚いたんですね。

 僕が子供の頃から見ていた海は、南国の生物が当たり前にいるような海だったりしたので、関東の海はあまり色のない海で、生き物がたくさんいるっていう意識があまりなかったんです。でも磯や干潟に通って見てみると、地球環境にとってすごく重要な場所であるっていうことに気づいたんですね。

 どちらもとても地球環境に重要な役割を果たしている、そんな海に東京の自宅から車で1時間くらいで行けるんです。磯や干潟は潮が引くと海中だった場所が海底になって現れるので、大人や子供でも歩いて磯や干潟に行くことができるんですよ。

 そんな大人も子供を簡単に親しめる海で、それでいて地球環境にとって重要であるっていうところがすごく魅力的だなと思っています。そういう意味でこれからも長く撮っていこうと決めたところであります」

●潮の満ち引きによって、全く違う表情にもなりますよね。

「そうですね」

● 首都圏でリスナーさんにおすすめの干潟とか磯はありますか?

「干潟ですと、この近くにある三番瀬とか、あと内房に木更津とか富津とか、そういうところに塩干狩りができる干潟があるので、そちらがいいですね。 三浦半島だと公園になっていて駐車場とかトイレがあるようなところも何か所かあって、そういうところは車で気軽に行くことができますね」

中村武弘さん

海は守らなければいけないもの

※地球温暖化や海洋プラスチックが、海という環境にいろいろな影響を与えていることが指摘されています。中村さんが、特に気になっていることはありますか?

「海水温の上昇とかプラスチックごみ、台風の異常発生はとても気になっていますね。 特にプラスチックごみについてなんですけれど、マイクロプラスチックになって、小さい生き物の体内に取り込まれていくんですね。そういう小さい生き物を食物連鎖で、人間が食べるような食用の魚介類であったりするわけですね。
 結局それを人間が食べることになると、人間が捨てたゴミが人間に戻ってきてしまっているので、やっぱりゴミの問題はすごく深刻だなと思っています」

●そうですよね〜。

「あとは海水温の上昇についてなんですけれど、海水温が上昇すると何が起こるかっていうと、生き物の生態系が変わってきてしまうんですね。 当たり前にいた生き物が見られなくなって、例えば関東近辺だと南国の生き物が見られるようになってきたと・・・。
 あと海水温の上昇で影響を受けるのが海藻なんですね。海藻は冬に海水温が下がることによって育つんです。なので海水温が下がらないと育たないんですよ。

 海藻は何が大事かっていうと、珊瑚と同じで光合性をしているので、二酸化炭素を吸収して酸素を排出してくれるっていうそういう役割を果たしています。あとは小さな生き物の隠れ家になったりとか、食料になったりするので、海藻がなくなるっていうのはすごく深刻なことだなと思っています」

●では、海洋写真家として伝えたいことはありますか?

「海っていうのは面白かったり、かわいいとかすごいなど、魅力的な生き物で溢れているんですけれども、僕たちはそれを写真に収めてみなさんにお見せするのが仕事なんですね。同時に海の現状をお伝えするっていう役割も担っていると思うんです。 なので、海っていうのはご存じの通り、環境が壊れていっているので、海は当たり前にあるものではなくて、守らなければいけないもの、そういう意識を持ってもらいたいなと思いますね」


INFORMATION

『海』

『海』

 中村さんの初の写真集をぜひご覧ください。国内外で撮った様々な海の表情を見ることができます。海の多様性を感じられる力作! 素晴らしいです。中村さんのオフィシャルサイトから直筆サイン入りで購入できます。ぜひチェックしてください。

◎中村武弘さんHP:https://nakamuratake.base.shop/

オンエア・ソング 1月8日(日)

2023/1/8 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. HEAT WAVE / LINDA RONSTADT
M2. BEYOND THE SEA / STEVIE WONDER
M3. TO THE SEA / JACK JOHNSON
M4. MIRACLE / THE CORRS
M5. SEA OF DREAMS / Misia
M6. SEA DREAMER (featuring STING) / ANOUSHKA SHANKAR & KARSH KALE
M7. COLORS OF THE WIND / SARAH ÀLAINN

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

キャンプ事始め〜小尾渚沙、キャンパーへの道

2023/1/1 UP!

 新年第1回目の放送は、新春特別企画! 題して「キャンプ事始め〜小尾渚沙、キャンパーへの道」。ということで、先日モンベル御徒町店にお邪魔して、キャンプの基礎知識や最低限必要な道具、そして使い方などを伝授していただきました。

 今回は、いま流行っているソロキャンプにならって、ひとりひとりがキャンプに必要な道具をそろえて、キャンプ場に集まる。そして季節は春、という設定でウエアや道具をコーディネートしていただいたんです。

 きっとキャンプ初心者、そしてキャンプをやりたい女性にも参考になることがたくさんあると思いますよ。

☆協力:株式会社モンベル

協力:株式会社モンベル

機能的でおしゃれなアウトドア・ウエア

●今回、モンベル御徒町店にお邪魔しています。そして私の隣にはモンベル新宿南口店から来ていただきました店長の川上和克(かわかみ・かずよし)さんがいらっしゃいます。川上さん、よろしくお願いいたします。

 きょうはキャンプのインストラクターとして、いろいろと教えていただければと思います。

「はい、よろしくお願いします」

協力:株式会社モンベル

●私はキャンプの初心者で、一度しかやったことがないという・・・しかもちょっと便乗したっていうだけで、本当に本当の初心者です。キャンプに必要な道具も使い方もわからないという状態なんですが、川上さんはアウトドアのプロでいらっしゃるんですよね?

「そうですね(苦笑)。登山を始めとしてマウンテンバイクをおもにやっています」

●アウトドア歴も長いんですか?

「そうですね・・・30数年っていう感じですね」

●もう大ベテランでいらっしゃるということで、きょうはいろいろ教えてください。

「よろしくお願いします」

●まず、アウトドアのウエアやシューズについてうかがいます。
 今回は春キャンプをイメージしてウエアを全身コーディネートしていただきました。女子ですので、アウトドア・ファッションも楽しみたいなと思いまして、暖かいんだけど、ちゃんと可愛げもある、そんなファッションでお願いします、というオーダーをさせていただいたんですが、見事! 希望通りの全身コーディネートになりました。

「気に入っていただいて、ありがとうございます」

●ロングのTシャツにフリース、ダウン、そしてジャケットと4枚着ているんですけど、本当に軽くて動きやすくて、色も見た目も可愛いです。帽子もチェック柄で可愛かったりで、映えますね。可愛いのに暖かいし、機能性もあって素晴らしいですね。

「そうですね。機能と見た目というかデザイン性というか、そういったところも含めて作っております。またアウトドア・ウエアの場合、重ね着が基本になりますので、それぞれの素材のいいところを取って、重ね着をしていただくということになりますね」

協力:株式会社モンベル

●アウトドアのウエア選びポイントとなるのは、やっぱり重ね着になるでしょうか?

「そうですね。気温の寒暖差が結構激しくなりますし、動いたりすると暑くなりますので、脱いだり着たりを組み合わせてやっていきますね」

●確かに脱ぎ着して調節できるっていうのが大事なんですね。

「そうですね」

●インナーとかアンダーウエアは、どんなところをポイントに選んだほうがいいのですか?

「春先ですと保温性と、あとは汗をかいたりする時の吸水速乾性というのがいちばん重要になってきますね。また防臭効果ですとか、そういったこともアンダーウエアには求められます」

●あと今回、タイツの上にレッグウォーマーを着けましたが・・・

「はい、これは保温力を高めることと、タイツと重ねることで、より可愛く見せるというのもありますね。暖かさと可愛さの両面を持たせています」

●本当にお洒落だし、機能性もあるしってすごいですね〜!

「ありがとうございます」

●いやぁ〜感動しています!

(編集部注:ほかにも川上さんから、帽子は、日除けにも防寒にもなるのであったほうがいいというお話がありました。用意していただいたキャップには耳あてが付いていて、あったかでしたよ。
 ハイキング・シューズも軽くてびっくり!靴選びで大事なことは防水性だったり、滑らないようにソールにグリップ力があることだそうです。
 そして、忘れてはいけないのが、レインウエア! アウトドアの必需品ですね)

テント、寝袋、マットは必需品!

協力:株式会社モンベル

●続いて、キャンプをするために最低限必要な道具について教えていただきたいと思います。どんなものが必要なんでしょうか?

「はい、まずはテントです。寝るために必要なものになります」

●そうですね。

「これは『ステラリッジテント』と言いまして、重量が1.14キロです」

●ちょっと持たせてもらっていいですか。

「はい、どうぞ」

●あっ! 本当だ〜軽いですね! これ、テントですか?

「はい、テントとフライシートがセットになっています。モンベルの山岳用テントとして出しているもので、非常に軽量なものになります」

●コンパクトにまとまった状態で袋に入っているんですけど、取り出したらテントになるってことなんですね?

「そうです。フレームとテントと本体を組み立てて、フライシートを被せれば完成です。慣れれば3分ぐらいで組み立てできます」

●そんな手軽にできるんですか?

「そうです」

●テントのハードルがだいぶ下がりますね。

「本当に組み立てやすくて、風にも強いので、ひとりでも簡単に立てられます。
 次に寝袋、シュラフです。モンベルでは女性用の寝袋も出しておりまして、これは『シームレスダウンハガー800』というシリーズですね。 3シーズン用の寝袋として出しているので、春・夏・秋・・・冬はちょっとこれは寒いですけども、お使いいただける感じですね。女性のサイズに合った形になります」

●確かに夜はぐっと冷えますよね。

「そうですね。テントと寝袋は基本セットです。あとはマットですね。寝袋の下に敷いていただくもので、こちらは『アルパインパット』っていうものになります。空気とスポンジが入っています」

●サーフィンのボードみたいな形なんですね。

「これは人型なんです」

●本当に人がひとり寝るのにちょうどいいというか・・・ふわふわ!

「そうなんですよ」

●すごく弾力性があって!

「快適に寝ていただくためにはマットは必需品です」

●テントにこのマットを敷くんですね。

「はい、(テントの)中に入れて」

●その上に寝袋で、万全ですね!

「マットは断熱効果もありますので、寒い時は下からの地熱を抑えてくれる効果もあります」

●キャンプに行こうって友達に誘われたこともあったんですけど、(地面に)寝るのがきっと(ゴツゴツして)痛いんだろうな〜と思って、それで断ってしまっていたんです。今はこんな素敵な商品があるんですね。

「マットが地面のゴツゴツをある程度吸収してくれるので、だいぶ寝やすくなりますね」

実際にテントを組み立ててみた!

●ここからは実践編ということで、テントの立て方を教えていただければと思います。

「はい、では一緒にやってみましょう」

●人生初です、テントを立てるのは・・・。

「簡単なんで大丈夫です。まず、このステラリッジテントは今回ひとり用をご用意しております。ポールとテント本体、そしてフライシートというような構成になっております。

 ではまずテントを広げてみましょう。これがテントのベースになります。あとポールを伸ばしていきます。これは、中にショックコードというゴムがついているので、ポールが全部つながっています」

●えー! そうなんですね?

「真ん中をこんなふうに・・・」

●わ〜なんですかー、いきなり! 一気にポールが長くなりました。

「そうなんです。ゴムが入っていることで、ポールが全部つながっていくんですね。なので、非常に素早く組み立てができます」

●今まで短かいポールが何本も連なっていましたけど、それが一気に長くなりましたね。

「はい。そしてポールの真ん中にジョイントがありまして、そこにポールを差し込んでいただくとフレームが完成します」

協力:株式会社モンベル

●一気にポールが組み上がりましたね。

「続いて、このポールをテントの本体の四隅に、はめ込んでいく作業になります」

●そんなに簡単にできるんですね。

「そうなんです。ではこちら側に来ていただいて、実際にはめていただきましょう」

●はい、テントの四隅にはめ込みますね。

※このあとも作業を続けて・・・

「最後にフライシートを被せることで、雨にも風にもより耐えうるようになります。はい、フライシートを被せて完成です」

●おお〜〜、被せました!

「これでテントの形が完成しました」

●すごい〜、こんな簡単に! だって5分も経ってないですよね。

「そうですね。あとは風が強かったりすると、テントは軽いので飛ばされちゃいますので、”ペグ・ダウン”と言って、地面にペグを打ち込んでテント本体を固定します」

●なるほど・・・。

テントの中に入って寝袋にくるまれてみた!

※テントの組み立てが終わったところで、テントの中にマットと寝袋をセットして、寝床の準備が整いました。

●テントにお邪魔します〜。いいですね〜自分で仕上げたテントに入ってみます。わぁ〜! えっ! 天井も高い! 川上さん〜、見えますか〜? 天井が高くてなんか秘密基地みたいで、いいですね〜!

「そうなんですよ」

●これは本当に自分の空間っていう感じで・・・では寝袋に入ってみます。うわっ!温かい、ふわふわ〜、これダウンですか?

「そうです。ダウンを使っています」

●寝袋にはフードもあるんですね。

「そうですね」

●本当に覆われてない部分が顔だけっていう感じで、頭まで全部覆ってくれるんですね?

「保温性を確保するためですね。また顔の周りを絞っていただくと・・・」

●あ! どんどん、おお〜!

「本当に(外に出ているのは)顔だけっていう・・・そういうこともできます」

協力:株式会社モンベル

●うわっ! 本当だー、すごい! 目と鼻と口だけ! すっごく温かくて寝心地がいいんですね! マットと寝袋のおかげで、こんなに寝心地がいいんですね。すごいな〜。

「ダウンもかなり高品質なダウンを使っていますので、少ない量ですけども、温かさを十分確保できるようになっています」

●もうなんかちょっと汗ばんできました。それぐらい温かい! すごーい! 本当に軽いので、なんか重く覆われているって感じじゃないですよね。

「そうですね」

●身動きもしやすいです! 寝返りもしやすい!

「足を結構広げられますよ」

●本当にそうですね

「あぐらもかけるような、そういうストレッチ・システムを採用していますので、より快適に寝返りを打ったりとか、そういったことにも対応している寝袋になります」

協力:株式会社モンベル

●確かに(あぐらも)かけます。寝袋って入ってしまったら、少しも動けないのかと思っていました。こんなに自由に動けるんですね。

「でも一度入ってしまうと出るのが・・・」

●もう出たくないです! もうこれできょうの取材は終わりにしたいぐらい、気持ちいい〜、温かい〜、はぁ〜。

(編集部注:小尾さんがもぐり込んだモンベルの寝袋は、女性用の「シームレス・ダウンハガー800」。特徴は、高品質のダウンを使っていることと、シームレス、つまり縫い目がないので、高い気密性が保たれ、抜群の保温力があること。とにかく温かくて軽くて心地よくて、ずーっとくるまれていたいと思えるほどの寝心地だったそうです)

おすすめキャンプ・グッズ!

協力:株式会社モンベル

※続いては、個人装備としてそろえておきたい、おすすめのグッズをご紹介いただきました。

「テントの周りにセッティングするような形で、椅子ですとかテーブル、あとは料理をするために、バーナー、コッヘル、焚き火台という感じになりますね。それぞれご案内させていただくと・・・」

●教えてください。

「椅子に関しては、『ヘリノックス』というブランドの椅子なんですけども、持っていただくと・・・」

●おっ、軽い!

「(重さは)1キロぐらいでして、組み立ても非常に簡単ですし、テントサイトでリラックスするのにお使いいただけます」

●えっ! これ、椅子が入っているんですよね?

「そうなんです」

●こんなにコンパクトで・・・!?

「袋を開けると座面と、あとはフレームが一緒に入っています」

●折りたたみになっているんですね?

「そうですね。組み立ても非常に簡単ですので、どなたでも組み立てることできます。 椅子とテーブルは大体セットになってくるかと思いますので、例えばご飯を食べる時とか、物をちょっと置いたりする時にテーブルがあったほうがいいと思います。 ひとりでキャンプする際は、ローテーブルと言って、高さの低いテーブルがおすすめですね」

●これ、今すごく薄くなっていますけど、これがテーブルなんですか?

「テーブルなんです」

●細長いですね。

「そうですね。非常にコンパクコトになります。これはライトウエイトテーブルという製品で軽いです」

●テーブルと椅子を持ち歩くって、本当におおごとかと思っていたんですけど、これなら女性ひとりでも軽々持てますね。

「あとは食事のためのバーナーとコッヘル、お鍋のセットですね。バーナーのほうは『ジェットボイル』というブランドのものになります。すぐにお湯が沸くので食事もすぐに取れますし、このジェットボイルはお鍋もセットになっていますので、これだけ持っていけば、ひとつ料理ができちゃうよという感じです」

協力:株式会社モンベル

●これも片手で持てるぐらいの軽さですね。

「そうですね。あと、あると便利なものとしては焚き火台、火を見ながら落ち着いた時間を過ごすというのがあると思うんですけども・・・」

●はい、過ごしたいです。

「ちょっと重さはあるので、頑張って持って行っていただくことになりますが・・・。次にヘッドランプですね」

●あ〜大事ですよね。

「そうですね。頭に付けることによって両手が空きますので、懐中電灯よりも
ヘッドランプのほうが、より行動的に使えるかなと思います。
 ”クラッシャブル・ランタンシェード”というのがありまして、これを(ヘッドランプに)付けることで、テント内とかでランタンの代わりにもなるんですね」

●えっ! この袋みたいなものが・・・!?

「使用しない時は袋としてもお使いいただけますが、これをヘッドランプに付けて被せると、行燈(あんどん)のような灯りになります」

●お〜〜、灯りがふわっと拡散されるというか・・・。

「そうなんです。本を読む程度の灯りは取ることができますので、テント内で過ごす時にも十分お使いいただけるかと思います」

●この小さな袋がそういう効果を発揮するんですね。

「そうなんです」

(編集部注:ほかにもおすすめのグッズとしては、スプーンとフォークが一体となった「スポーク」や、「野箸(のばし)」という軽量コンパクトなお箸。
 そしてフィンランドの「クピルカ」というアウトドア食器のブランドで、一見すると木をくり抜いたようなマグカップやお皿など素朴な味わいがあって、おすすめです)

キャンプに行って何をするか!?

協力:株式会社モンベル

●全国にいろんなタイプのキャンプ場があると思うんですけれども、キャンプ場選びのポイントは何かありますか?

「周りに何があるか、何をするかをまず考えて、例えばカヌーがしたい、トレッキングがしたいっていうことになれば、カヌーだったら水辺の近くのキャンプ場ですし、登山がしたいということでしたら、登山口の近くのキャンプ場とか・・・。またキャンプをするということでは、海辺もひとつの選択肢に入ると思いますね」

●事前に予約していったほうがいいですよね?

「そうですね。最近は予約が不要のキャンプ場でも並んでいたりするケースが・・・朝並んでいますので、特に初めての場合は予約したほうがいいと思います」

●ちなみに千葉県でおすすめのキャンプ場はありますか?

「はい、モンベルのフレンドショップにもなっているんですけども、”ゆめパーク牧野”というキャンプ場おすすめですね」

●私のような初心者は、最初はキャンプすること自体が目的になると思うんですけれども、モンベルさんではベースキャンプというスタイルを提案されているんですよね。これはどういうことでしょうか?

「いわゆるキャンプが目的ではなくて、キャンプに行って何をするかということが我々のキャンプの提案ということで、先ほども言ったようなトレッキングだったりカヌーだったり、また自転車でのツーリングだったり、そういったスタイルでキャンプをして、周りで遊ぶというようなことを提案しています」

●アウトドアのベテランでいらっしゃる川上さんですけれども、川上さんご自身が感じるキャンプの良さってどんなところだと思いますか?

「非日常というか、私はキャンプも趣味ですし、マウンテンバイクに乗ったり、登山したりするので、その遊ぶをするためにキャンプをする、ということを考えていますね」

●番組スタッフは焚き火こそがキャンプの楽しみだって言っていたんですけれども、そういうものでしょうか?

「それもひとつの楽しみ方だと思いますよ」

●ゆらゆら揺れている火を見るのも気持ちいいですよね。

「そうですね」

●今ソロキャンプが流行っていますけれども、モンベルストアにもソロキャンプ志向のお客様は結構いらっしゃいますか?

「増えてきておりますね。特に女性が増えています」

●コロナ禍の影響とかもあるんですか?

「そうですね。やっぱり人と接しないで自由にできるという良さもありますので、そういった意味でも増えてきているかなと思いますね」

●実際にテントを立てさせてもらって、すごく自分の空間が保たれるなって感じたので、いいですね。人との距離も保てるし、自分の空間がありますよね。
 これからキャンプやってみたいという方にアドバイスをお願いします。

「はい、装備をそろえていただいたら、お友達同士で行くのもいいでしょうし、(キャンプの)イベントなどに参加していただくのもいいかと思います」

●まずは、キャンプを身近に感じるっていうのが大事ですよね。

「はい、そうですね。気楽に参加してみてください。モンベルストアに来ていただければ、親身になってご相談に乗りますので、お待ちしております!」


INFORMATION

協力:株式会社モンベル

 きょうご紹介したウエア、テントやシュラフ、椅子やテーブル、ストーブ、焚き火台などは全国のモンベルストアで販売されています。川上さんもおっしゃっていましたが、グッズの選び方や使い方など、わからないことはなんでもお気軽にモンベルストアのスタッフにお声がけくださいとのことでした。

 モンベルでは、アウトドアの様々なアクティヴィティにユーザーを誘う「モンベル・アウトドア・チャレンジ」も実施しています。

 モンベルで販売している製品や、モンベルストアの所在地など含め、詳しくは「モンベル」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎モンベル HP:https://www.montbell.jp

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