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生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
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2023年9月のゲスト一覧

2023/9/24 UP!

◎稲垣史生(国立研究開発法人「海洋研究開発機構JAMSTEC」の上席研究員)
海底下の微生物の謎、そして人類史上初の壮大なプロジェクトに迫る!』(2023.09.24)

◎塚田 健(平塚市博物館の天文担当学芸員)
今年後半の天文現象、おすすめは「中秋の名月」「ダイヤモンド富士」「ふたご座流星群」!』(2023.09.17)

◎田井基文(動物園・水族館コンサルタント)
世界を股にかける動物園・水族館コンサルタント〜夢は家畜専門の動物園』(2023.09.10)

◎YUKA(moumoon)
moumoon YUKA「私はできるだけ自然の中にいたいなって」』(2023.09.03)

海底下の微生物の謎、そして人類史上初の壮大なプロジェクトに迫る!

2023/9/24 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、国立研究開発法人「海洋研究開発機構JAMSTEC」の上席研究員「稲垣史生(いながき・ふみお)」さんです。

 JAMSTECは、海洋・地球・生命に関する研究や調査を行なう国立の研究機関で、
科学調査船「ちきゅう」や有人潜水調査船「しんかい6500」、その母船となる「よこすか」などを保有しています。

 この番組ではこれまでにも、横須賀にあるJAMSTECの施設を取材したり、研究員のかたにお越しいただいて、深海に生息する生き物のお話をうかがったりしてきました。

 そして、今回お話をうかがう稲垣さんは、深い海のその下、海底下の岩盤に生きる微生物を研究されているスペシャリストで、国内外の科学に関する数々の賞を受賞、世界から注目されている研究者でいらっしゃいます。

稲垣史生さん

 稲垣さんは1972年、福島県郡山市生まれ。九州大学大学院の博士課程修了。専門は「地球微生物学」。この学問は稲垣さん曰く、地質学や地球科学と、微生物学を融合したもので、1980年代頃からアメリカを中心に広まっていったそうです。

 稲垣さんが、海底下の微生物を研究するようになったのは1994年、大学院生だった頃、図書館で手にした科学雑誌「nature」に掲載されていた論文に出会ったことがきっかけなんです。

 その論文には、それまで生き物はいないとされていた、深海の海底下、500メートルを超える地層に膨大な微生物が存在すると書かれていて、大きな衝撃を受けたそうです。この論文との偶然の出会いこそが、稲垣さんの壮大な研究の始まりだったといえます。

 当時は、そんな海底下の地層に本当に微生物がいるのかと、世界中で議論になったといいます。その後、いくつかの国際的なプロジェクトが組まれ、ようやく少しずつ海底下の生き物の正体が明らかになってきたそうです。そんな海底下の微生物の調査・研究をリードする存在が、今回お話をうかがう稲垣さんなんです。

きょうは稲垣さんが先頃出された本『DEEP LIFE 海底下生命圏』をもとに海底下の岩盤に生きる微生物や、人類史上初の科学プロジェクトのお話などをうかがいます。

☆写真協力:海洋研究開発機構(JAMSTEC)

写真協力:海洋研究開発機構(JAMSTEC)

科学調査船『ちきゅう』は、洋上の研究所!?

※海底下の調査で活躍するのが、日本が世界に誇る船『ちきゅう』だと思うんですけど、稲垣さんの新しい本に掲載されている写真を見ると、豪華客船並みですよね。どんな船なのか、教えてください。

「そうですね。科学調査船としては世界最大かつオンリーワンの船と言っても過言じゃないと思いますね。
 全長は210メートルもあります。幅は38メートルで、総トン数が56000トンということですので、確かに豪華客船並みですよね。港で『ちきゅう』の写真を撮ろうとすると、近くからでは大きすぎて、全体が撮れないぐらい大きいんですよ。 なので、少し引き気味で遠くから撮らないと『ちきゅう』のいい写真は、なかなか撮れないですね」

●写真を見ると、船の上にやぐらのような大きな塔が立っていますけれども、これは何に使うものなんでしょうか?

「掘削をするとなると、パイプをひとつひとつ繋げて降ろしていく必要があるんですね。降ろす時にパイプを縦に引き上げて、それを海底に降ろしていく、そのための設備として、やぐらが必要なんです。

 このやぐら、非常に特徴的で高さは70メートル、水面からだと110メートルぐらいあります。パイプの吊り上げとか、連結のために必要なやぐらの下、船体の真ん中にムーンプールと呼ばれる穴が開いていまして、そこからパイプを降ろしていくというような仕組みになっています」

掘削で使うドリル・ビット
掘削で使うドリル・ビット

●どれぐらい深いところの岩盤まで掘ることができるんですか?

「『ちきゅう』は、現在のスペックですと、水深2500メートルの海底から約7500メートル掘削することができます。 これはライザー掘削という特殊な、石油業界で開発されてきた技術なんですけども、それを使うと2500メートルの海底から大体7000メートルから7500メートル掘れるということなんですね。パイプの長さが1万メートルぐらいと富士山の高さの大体3倍ぐらい、そのパイプを『ちきゅう』の船上に乗せるのに、あれだけ大きな船体が必要ということなんです。

 そういった石油業界のシステムを使わない掘削のやり方というのもあって、そうすると水深が2500メートルではなくて、もっと深い、例えば日本海溝のような数千メートルの深さから掘削をすることもできると、そういうすごい能力を持っています。

 『ちきゅう』の最も大きな特色は、やはり世界トップレベルの分析施設が船の上にあるということだと思うんですね。例えば、医療用のXCTスキャンとか電子顕微鏡まで船の上にあります。掘削によって採取してきた『コア』と呼ばれる棒状の地層のサンプル、これをXCTスキャンで分析をして、どんな地層なのかを瞬時に調べることができます。本当に船上に研究室がある“洋上の研究所”みたいな感じの施設になっています」

『ちきゅう』で作業中の稲垣さん
『ちきゅう』で作業中の稲垣さん

海底下は、キッツキツでアッツアツ!?

※稲垣さんの研究には欠かせないオンリーワンの船『ちきゅう』は、正式には地球の深い部分を探査するための船ということで、「地球深部探査船(ちきゅうしんぶたんさせん)」と呼ぶそうです。
 そんな『ちきゅう』は2005年7月に就航。その後、青森県八戸沖や、高知県室戸沖の海底下の掘削を行ない、地層のサンプルを回収しています。

 そのサンプルからどんなことがわかったんでしょうか。

「いろいろなことが分かりましたよ。私たちの本当に想像を超える膨大な数の微生物細胞がいることが、まず確かめられたということですね。 そして地層のサンプルから直接DNAを抽出して、その配列を読む。例えば、PCRっていう言葉は非常に一般的になりましたよね。あのPCRの原理を使って、微量なDNAを増やして、一体そこにどんな微生物がいるのか、というのを調べたということなんです。

 そうすると、地下にいる微生物は例えば、私たちの腸内細菌であるとか、もしくは発酵食品にいる納豆菌とか乳酸菌、そういう地上のありふれた微生物とは全く違う微生物たちで、その海底下の過酷な環境で独自の進化を遂げた、海底下にしかいない固有の微生物たちだったということが分かりました。そしてそれらが非常にゆっくりと活動することで地球規模の元素循環に重要な働きをしているということが分かってきました」

写真協力:海洋研究開発機構(JAMSTEC)

●稲垣さんは深い海の底の、その下の環境を”キッツキツでアッツアツの世界”と表現されていました。そんな過酷な環境にいる微生物は、どんな生き方をしているんですか?

「過酷なんですよね〜。海底下の世界って深くなればなるほど、古い地層だし、温度や圧力もどんどん高くなっていきます。そういった中で海底下の微生物はどうやって生きているんだろうと・・・極めてゆっくりひっそりと暮らしているようなイメージかと思います。ただただそこにじっとしていて、何百万年もの間、生き長らえていると言ってもいいかもしれません。

 そもそも岩石、もしくは堆積物の世界なので、その現場に水とか栄養が地表のようにバンバン供給されているような場所ではないわけです。食べるものが少ないので、超エコなサバイバル生活をしていると、そういうような世界だと思っています」

●何かしらのエネルギー必要ですけど、どうやってエネルギーを得ているんですか?

「すごくいい質問です! 基本的には我々が住んでいる地表の世界だと、太陽光がバンバンと降り注いでいて、活発にそのエネルギー使っていますね。しかし海底下深部、深海底のさらにその下となると、太陽の光は届きませんよね。そもそもエネルギーはどこから得ているんだろうと思いますよね。

 基本的には、地下に埋没した有機物が餌なんですけれども、非常に使いやすい有機物は地表で食べ尽くされちゃっているので、なかなかそれもご飯としては食べにくい・・・そうすると、何を食べているんだろう? どうやって生きているんだろう? っていうのが大きな謎なんですね。

 最近の学説ですと、岩石と水が相互作用することによって、実は微量な水素とか電子とか、そういったものがゆっくり出てくるということがわかっています。 実は地下の微生物は、そういう岩石と水との反応に生かされているっていうか、地球に生かされているような感じで、地質学的な時間スケールで、それこそ何百万年、何千万年も生きているんじゃないかと、そういう学説もあるくらいです」

回収された地層のサンプル
回収された地層のサンプル

究極のエコシステム!?

※私たち人類は、いま温暖化など地球規模の環境問題や、エネルギー問題に直面していて、SDGsもそうですが「持続可能」という考え方が求められていると思います。海底下の微生物を研究されていて、どんなことを思いますか?

「エネルギーが豊富にある世界に我々は住んでいるわけですけれども、海底下はエネルギーが枯渇した世界と言っても過言じゃない。そうすると、その差について考えさせられますよね。

 地表の世界は、太陽光の恩恵を受けた非常にエネルギーに満ちた世界なんですけれども、そこでは我々人間を含めて熾烈な競争とか自然淘汰のような進化が起きていますよね。
 ですが、海底下の世界だと太陽光が届きませんから暗黒で、本当にわずかなエネルギーしか利用できないということになります。逆にそのような環境では微生物たちはエネルギーを使い果たしてしまうと絶滅してしまうので、それを避けようとしているように見えます。

 つまり争いをやめて、究極のサバイバルモードに入っていると・・・。その差、もしくはその仕組みから、じゃあ人間社会がどういうふうに地球環境に寄り添って今後発展していくのか、持続可能性を創出していくのか、お手本になるといいますか、感覚的に学ぶ点が非常に多いなというふうに感じています」

●確かに微生物の生き方には、いろいろヒントがありそうですね。

「そうなんですよね。究極のエコシステムと言ってもいいんじゃないかと思います。 そこから持続可能性について何がわかるのか・・・。例えば、海底下の微生物生態系はおそらくですけれども、プレートテクトニクスとか、地震や火山活動とか、そういった地球本来のシステムに寄り添った形で進化して成り立っていると思うんですよね。

 また、エネルギーを無駄にする余裕は全くありませんから、自分の体のメンテナンス、例えば、DNAとかタンパク質等々が老化とともに損傷を受けますよね。そういったものを直していくためだけの、最小限のエネルギーしか使わずに、可能な限りのリサイクルをし、長いこと生きていると、そういう世界なんだなというのが分かります」

『DEEP LIFE 海底下生命圏~生命存在の限界はどこにあるのか』

壮大なプロジェクト、マントル・アタック!?

※稲垣さんの本に、海底下の岩盤のその先にある、マントルを目指す構想があると書いてありました。どんな構想なのか、教えていただけますか。

「地球という惑星の体積の83%が『マントル』という物質でできているんですね。私たちが暮らすいわゆる地表の世界、海水とか陸の土壌とか、そういった地表の世界は、マントルの上に存在するシャボン玉の幕のような場所だとイメージしていただければいいと思います。

 で、マントルの色って何? ってよく(みなさんに)聞くと、赤いドロドロしたやつじゃないの? っていう人が多いんですけれども、実はそうじゃなくて、マントルは『ペリドット』っていう緑の宝石の成分を多く含む岩石なんですよね。ドロドロしているわけではありません。ペリドットっていう宝石や、もしくはガーネット、ダイヤモンドも含まれていると言われています。なので、宝石の世界と言ってもいいんじゃないですかね。

 そういったマントルに含まれるエネルギーが、実は地球のシステムを駆動していると言いますか、動かしている。例えば、どうして海洋が循環するのか? どうしてプレートが沈み込んで地震が起きるのか? そういったさまざまな地球の事象は、実はマントルの動きにそのヒントがあると考えられています。

 なので、地球に生命がいるという状態を、マントルが作り出していると言っても過言じゃない。だけど人類は、まだマントルに到達したことがないんですね。そのマントルそのものの実態はまだ不明の点が多いということで、マントルを目指すという構想があります」

●すでに候補の海域とかってあるんですか?

「マントルに到達するにはもちろん深く掘削をしていく、そして調査をするということが必要なんですが、マントルの上に存在する地殻の厚さが重要なんです。地殻は岩石です。もちろんマントルも岩石なんですが、地殻の岩石の厚さが重要で、陸の近くは分厚すぎて、マントルに到達するのはおそらく難しい。でも海洋であれば、地殻の厚さが比較的浅い場所がいくつかあって、マントルに到達することができるんじゃないかと考えられています。

 現在はハワイ沖、コスタリカの沖合、そしてバハカリフォルニアというカルフォルニア半島の沖合、その3地点が比較的マントルに到達するまでの距離が短いので、掘削調査の候補地点として挙げられています」

※マントルへの到達を目指す、人類史上初の国際的なプロジェクトには、日本が世界に誇る科学調査船『ちきゅう』が大活躍することになると思うんですけど、プロジェクトが進行し、実現するのはいつ頃になりそうですか?

「なかなか答えるのが難しいんですが、国際的な科学者コミュニティーが最近、白書と言いますか、意見を取りまとめた文章を公開しておりまして、そこには、2050年までに実現すべき科学目標のひとつとして、マントル掘削というのが位置付けられていると・・・。

 ですから、先ほども申したように、まずその掘削候補となっている場所の地質を調べて、そしてマントルに至る途中の岩石を掘ってみて、どういう技術的な課題を克服しなければいけないのか、そういったものを見定めた上で最終的には“マントル・アタック”をやるというように、一歩一歩前進していくことが大事だと思います」

●ワクワクしますね!

「そうですよね。そもそもハワイ沖ですと日本に近いわけですが、水深4200メートルの海底から大体6000メートルぐらい掘削するとマントルに到達すると・・・、もしくは地殻とマントルの境界を貫いて、マントル、いわゆる宝石の世界に人類が初めて届くということになるんじゃないかと、そういうふうに考えられています」

生命の起源と地球の謎に迫る!

※果たして、アッツアツのマントルに微生物はいるのでしょうか?

「マントルに生命がいるのか? って言われると、いや、いないでしょうというふうに答えるかと思うんですけども、ハワイ沖であれば、上部マントルの温度はだいたい150度ぐらいと考えられているんですね。この間、室戸沖で掘った120度の地層にも微生物はいましたから・・・いや、どうなんでしょうかね・・・その生命が存在するかとか、もしくは生命の起源の鍵となるような化学反応が起きているかどうか等々、生命に関する多くの疑問がマントル掘削によって明らかになるんじゃないでしょうか。

 もちろん地球の構造はどうなっているんだろう? とか、そもそも地球はどんな星なんだ? っていうことが明らかになるわけですから、さまざまなことが発見されると思うんですけど、生命にとっても非常に重要な科学的な問いが、マントル掘削によって満たされるんじゃないかと思います。その鍵になるのは”水”だと思っています」

●水!?

「はい、つまり生命が存在する、もしくは生命の起源となる化学反応が起きる、つまりそれは、岩石と水との反応がないと、なかなか難しいと思うんです。
 岩石の中、地球の中にどれぐらい水があるのか? というのも、実は第一級の科学的な問いになっていて、その水が供給される何らかのメカニズムがあると、低温のマントルを含めて、そこに生命が存在する可能性というのは否定はできない、それを検証したいと思いますよね」


INFORMATION

『DEEP LIFE 海底下生命圏~生命存在の限界はどこにあるのか』

『DEEP LIFE 海底下生命圏~生命存在の限界はどこにあるのか』

 稲垣さんの新しい本をぜひ読んでください。海底下の岩盤に生息する微生物研究の歴史や動向、そして最前線を知ることができますよ。なにより稲垣さんの、研究にかける熱い思いを感じます。
 講談社のブルーバックス・シリーズの一冊として絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎講談社 :https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000377075

 JAMSTECのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。科学調査船「ちきゅう」の説明や写真も載っていますよ。

◎JAMSTEC :https://www.jamstec.go.jp/j/

オンエア・ソング 9月24日(日)

2023/9/24 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. EARTH / LIL DICKY
M2. SEVEN SEAS OF RHYE / QUEEN
M3. I WILL SURVIVE / CHANTAY SAVAGE
M4. THAT’S THE WAY OF THE WORLD / EARTH WIND & FIRE
M5. GAIA / VALENSIA
M6. 瑠璃色の地球 / 松田聖子

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

今年後半の天文現象、おすすめは「中秋の名月」「ダイヤモンド富士」「ふたご座流星群」!

2023/9/17 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、平塚市博物館の天文担当学芸員「塚田 健(つかだ・けん)」さんです。

 幼少の頃から星や宇宙に興味を持っていた塚田さんは、東京学芸大学大学院の修士論文も天文学で書くほどの天文好き。専門は太陽系小天体と太陽系外惑星など。現在は学芸員のほか、東京学芸大学の非常勤講師や、月刊『天文ガイド』に寄稿する天文ライターとしても活躍、天文や宇宙に関する本も出していらっしゃいます。

 そんな塚田さんが先頃出された本『天文現象のきほん』は、初心者でもわかりやすい内容で、日常的に起きている日の出・日の入りや、月の満ち欠けを身近な天文現象と捉え、解説してあるのも特徴なんです。

 きょうは、今年後半の注目の天文現象から、おもに「ダイヤモンド富士」や「中秋の名月」そして「ふたご座流星群」のポイントや見所などうかがいます。

☆写真協力:平塚市博物館/塚田 健

写真協力:平塚市博物館/塚田 健

ダイヤモンド富士、10月23日、午後4時47分!

※太陽の現象でいうと「ダイヤモンド富士」が知られています。改めてどんな現象なのか、教えてください。

「ダイヤモンド富士というのは、富士山の頂上に太陽が沈んでいく、もしくは頂上から太陽が昇ってくるように見える、そういう現象です。富士山は頂上が平らじゃありません。火山なので凸凹している、その隙間から太陽の光が出てくる、それがすごく美しいのでダイヤモンド富士と呼ばれていますね」

●ベイエフエムのある海浜幕張からは、数日にわたって観察できるそうですね?

「ある一箇所からだと、だいたい年に2回見られることが多くて、おそらくベイエフエムさんのビルだと10月23日だと思います」

●次回のダイヤモンド富士が、そんなにすぐ見られるんですね!

「そうですね」

●ダイヤモンド富士を海浜幕張から見ようと思ったら、何時くらいから注目していればよろしいですか?

「これは計算できまして、太陽の中心が富士山の頂上に接するのが、およそ午後4時47分なんですね。その時は、富士山の上に半分ぐらい太陽が出ている状態になります。その2〜3分ぐらい前、午後4時45分ぐらいから見始めて、完全に隠れるのが48分過ぎっていう感じになりますので、午後4時45分から5分間ぐらい見ればいいのかなと思います」

●観察するときの注目ポイントはありますか?

「まずしっかりと時刻を把握しておかないと気がついたら、もう沈んでいるなんてことがあると悲しいですので・・・もちろん、30分〜40分前から待っていてもいいんですけれども、その瞬間を見逃さないためには時刻をしっかりと把握しておいてほしいかなと思うのと、やっぱり自分なりのビュースポットをあらかじめ探しておく、前の日の昼間とかでもいいので、探しておくっていうのがいいですね」

●どういう場所がいいんです?

「そうですね・・・やはり富士山が裾野まできれいに見えるところがいいのかなと思います。千葉県だと館山のほうで東京湾越しの富士山が見られます。海と富士山ってすごく綺麗なんですけれども、そういう自分が好きな風景と一緒に富士山が見える場所を探せるといいんじゃないかなと思いますね」

塚田 健さん

満月と富士山の共演! パール富士

※富士山の山頂から満月が昇ったり、沈んだりする「パール富士」という現象があることを塚田さんの本で知りました。この現象についても教えてください。

「月は白っぽく見えると思うんですけども、パール富士、パールって真珠ですよね。なので満月、ちょっとぐらい欠けてもいいんですけど、満月が富士山の頂上に沈んでいく、もしくは昇ってくる現象をパール富士と言います。これはダイヤモンド富士と違って結構珍しいですね」

●ダイヤモンド富士は1年に2回とおっしゃっていましたけれども、このパール富士はどれぐらいの頻度で見られるんですか?

「必ず年に何回とかそういう決まりが残念ながらないので、下手をすると年に1回も見えないこともありますし、運がよければ、年に2〜3回っていうこともあり得ます。月が富士山のほうに沈む時に、ちょうど満月になっていないといけないので・・・。

 そもそも満月は年に12回しかないですから、太陽はいつでも丸いまま毎日沈んでいきますけど、月はそうはいかないので、そういった意味ではパール富士は、場所を問わなくても、年に12〜13回しかチャンスがないんですよね」

●塚田さんの本に千葉の館山市で撮影されたパール富士の写真が載っていましたけれども、すごく神秘的ですね。

「そうなんです。太陽もすごくキラッとして眩しいくらいで綺麗なんですけれども、満月はすごく静かな感じがして、特に関東地方で見られるパール富士は必ず明け方ですから、月が沈む時に西の富士山に見えますので、周りも静かなんですよね、夕方と違って・・・。なので、そういった静かな、静のイベントっていう感じがします」

写真協力:平塚市博物館/塚田 健

9月29日は「中秋の名月」

※満月といえば、今年(2023)は9月29日(金)が「中秋の名月」となっています。今年の見所はどんなところですか?

「まず中秋の名月は、必ずしも満月とはならないんですけれども、今年は満月なので、丸い月がきれいに見えると思いますし、9月の下旬ということで比較的空がいい感じに晴れるかなと思うんですよね。9月下旬から10月の中旬ぐらいが、空は非常に安定しますので、晴れれば、綺麗な月が見られると思います」

●「中秋の名月」は満月じゃない時もあるんですね。

「あるんですね。中秋の名月は十五夜とも言います。これは昔の、いわゆる旧暦で15日目ってことになるんですけれども、月が地球の周りを回っている軌道、道筋が円じゃなくて楕円なので、地球に近い時は早く回って、遠ざかると遅く回っていきます。

 同じ速さで回っているわけではないので、どこで満月になるかで早い時は、ちょっと日付が早まりますし、もうちょっとずれることも、遅くなることもあって、13日から17日ぐらいまで 結構幅があるんですね」

●満月の中でも、この時期の満月を「名月」と呼ぶのはどうしてなんですか?

「まず、高さがちょうどいいんだと思います。太陽もそうですけれども、季節によって満月の高さって変わるんですね。冬の満月はすごく高いんです。空高くて、空高いと地球の空気の影響をあまり受けないので、月が真っ白く、凍てつくようなと言いますか、すごく刺さるような明るさを持つんですよね。

 それはそれで神秘的だと思うんですけれども、ちょっときついかなというか、そういうイメージがあるのと、夏は逆に満月はすごく低いんですよ。そうするとなんか霞んで色もちょっと赤っぽくなってしまいますし、ぼやけた感じになってしまいますね。

 で、高さ的には春と秋がいいんですけれども、春は春で花粉であったり黄砂であったり、空がかすんでしまいがちで、朧月夜(おぼろづきよ)って言いますよね。そうなってしまうので、定期的にもよく晴れて、月がきれいに見えるのが秋なのかなと思います」

●だから名月なんですね。満月の模様は日本では、ウサギがお餅をついているように見えると言われていますけれども、それは海外でも言われているんですか?

「海外だと別の動物ですね」

●ウサギじゃないんですか?

「ウサギじゃないんです。カニだったりカエルだったり、あとは本を読んでいる人とかですね。ひとつ変わった例が、ウサギにしてもカニにしてもカエルにしても、土の中に見える黒っぽいところをその形に見るんですけど、ヨーロッパの一部では逆に白っぽいほうを女の人の横顔と言うとか、本当に文化によって様々です」

写真協力:平塚市博物館/塚田 健

12月のふたご座流星群、好条件!

※今年(2023)10月以降の天文現象でおすすめはありますか?

「まず、なんといっても、 12月のふたご座流星群かなと思います」

●見どころはどんなところでしょう?

「まず、流れ星がたくさん流れるんですけれども、今年は月の条件がいいですね。流れ星がたくさん流れる時間帯に、月が残っていると明るくて、どうしても暗い流れ星が見えなくなっちゃうんですけれども、今年はその心配がないですね。

 あと、ふたご座流星群が全体的にそうなんですけれども、夜更かしをしなくても見られるんですね。ペルセウス座流星群って8月によく見える流星群であるんですけれども、ペルセウス座流星群は午前2時とか3時じゃないとたくさん流れてくれないんです。ふたご座流星群は夜の8時、9時でもまあまあ見えるので見やすいかなと・・・まあ寒いっていうのはあるんですけどね」

●1時間にどれぐらい出現しそうですか?

「空が暗いところであれば、50個60個は見えます」

●いいですね! 今年のふたご座流星群は観察しやすそうですね。

「そうですね。今年はおすすめです」

●同じ流れ星でも、光ながらも燃え尽きずに再び宇宙へ飛び出していく流れ星があると、塚田さんの本で知ったんですけれども、改めてそれはどんな流れ星なんでしょうか?

「流れ星は、そもそもの話をすると、小さな砂粒が地球に落ちてきて、地球の空気とぶつかって熱くなって光るんですね。地球は丸いですから、すれすれに(砂粒が)来ると、水切りと同じ要領で一回、地球の空気に入るんですけれども、そのまますっ〜と落ちずに飛んでいくっていうのがあるんです。地球の空気に入っている間だけ光ってそのまま去っていくので、見ていると入ってきて、また上がっていくっていうような不思議な感じがするんですね」

●それは実際に見ることはできるんですか?

「見ることはできるんですけれども、いつどこでっていうのは全く予想がつかないので、もう運次第です!  『アースグレイジング』と言って、流星群の時に見えることもあれば、そうではなく普段の日に何の前触れもなく見られることもあるんです」

●ものすごくレアなんですね!

「そうですね。なかなか機会はないですね」

(編集部注:お話にあった「アースグレージング流星」、「アース」は地球、「グレージング」には、かする、という意味があるそうです。塚田さんの本には2022年5月に観測された「アースグレージング流星」の写真が載っていますよ。ぜひご覧ください)

『天文現象のきほん』

星の色の違いは表面温度!?

※これから秋も深まり、冬になると空気が澄んできて、星空観察にはいい時期なりますよね。「冬の大三角形」や「冬のダイヤモンド」、そして「オリオン座」などが見頃だと思いますが、星空を見ていると、白だけじゃなくて、青い星だったり、赤く見える星もありますよね。星の色が違うのは、どうしてなんですか?

「星の色は、その星の表面の温度で変わるんです。イメージとちょっと反対かもしれませんけれども、青っぽい星のほうが温度が高く、赤い星のほうが温度が低くて、太陽はどちらかというとその真ん中へんの、遠くから見ると黄色っぽく見える星なんですけれども、大体6000度くらいですね。

 青白い星、冬の星で言いますと、オリオン座の『リゲル』っていう星がだいたい10000度とか20000度とかそれぐらいありますね。一方で3つ星を挟んでオリオン座の反対側にある 『ベテルギウス』っていう明るい赤い星があるんですけど、こちらは3000度くらいです。温度で色が決まっているんですね」

写真協力:平塚市博物館/塚田 健

(編集部注:今年、秋から冬にかけての天文現象として、土星の輪っか「リング」のお話もありました。塚田さんによると、土星のリングは、地球から見ると毎年傾きが変わるので、来年以降は見えなくなるそうです。
 次に見えるのは2027年だそうで、土星のリングを見たいかたは今年がチャンスだとおっしゃっていましたよ。望遠鏡を持っているかた、ぜひ観察してみてください)

見あげてごらん、星空を

※塚田さんは、小惑星探査機「はやぶさ2」の記事も書かれたことがあるそうですが、いま注目している宇宙開発や宇宙探査はなんですか?

「打ち上げが来年度で、詳しい日付は決まってないんですけれども、『MMX』っていう探査機を日本が打ち上げることになっています。MMXのMは『Mars(マーズ)』、つまり火星なんですね。

 火星の衛星、火星の周りを回っているお月様に行って、『はやぶさ』の時のようにそこの砂を採ってきて、地球に帰ってくるっていうミッションなんですね。まだ火星の衛星から砂を持って帰ってくるっていうのは、どの国もやったことがないことなので、新しいチャレンジになりますので、ぜひ成功してほしいなと思いますね」

●塚田さんのお話を聞いて、星や宇宙に興味を抱いたかたに何をいちばんお伝えしたいですか?

「星や宇宙っていうと遠いというか、自分たちのいる世界とは、かけ離れた世界と思ってしまいがちなんですけれども・・・でも地球は宇宙の中にありますし、当然私たちは太陽の光を浴びて昼は暮らしていますし、夜には月や星が見えます。

 宇宙は、実はそんなに遠いものではなくて、距離は確かに遠いかもしれないですけれども、身近なものですし、何より私たち生き物は宇宙から生まれてきた、宇宙の星とかそういったものから生まれてきたので、本当に無関係どころか密接な関係があるんです。

 なかなかそれを見て感じるっていうのは難しいんですけれども、晴れれば誰でも見られるんですよね、星って。もちろん街中では明るい星しか見えないってこともありますけれども・・・でも誰にでも、頭の上に等しく星空は広がっているので、ぜひ日頃から空を見上げてほしいなと思います」

写真協力:平塚市博物館/塚田 健

INFORMATION

『天文現象のきほん』

『天文現象のきほん』

 塚田さんの新しい本をぜひ読んでください。副題は「今夜はどの星をみる? 空を見上げたくなる天文ショーと観察方法の話」。天文と星空に関する説明が、太陽、月、惑星、太陽系の小天体ほか、全部で6つのチャプターに分かれ、62の項目がそれぞれ見開き2ページで完結、チェックポイントと楽しみ方が写真や図でわかりやすく解説されています。特に初心者におすすめですよ。
 誠文堂新光社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎誠文堂新光社:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/astronomy/81383/

写真協力:平塚市博物館/塚田 健

 塚田さんが解説されているプラネタリウムの投影プログラムについては、平塚市博物館のサイトをご覧ください。

◎平塚市博物館:https://hirahaku.jp/

オンエア・ソング 9月17日(日)

2023/9/17 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. STARLIGHT / TAYLOR SWIFT
M2. SUNSET BORDERLINE / SANDI THOM
M3. TALKING TO THE MOON / BRUNO MARS
M4. DANCING IN THE MOONLIGHT / TOPLOADER
M5. 夜空ノムコウ / SMAP
M6. ベテルギウス / 優里
M7. STARDUST / NAT KING COLE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

世界を股にかける動物園・水族館コンサルタント〜夢は家畜専門の動物園

2023/9/10 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、動物園・水族館コンサルタントの「田井基文(たい・もとふみ)」さんです。

 田井さんは1979年生まれ、早稲田大学卒業。2009年に世界で初めての動物園・水族館の専門誌「どうぶつのくに」を創刊。その後、日本動物園水族館協会の広報誌を手掛けるなど幅広く活動。2012年から動物園・水族館コンサルタントとして活躍。さらに動物園写真家としての顔も持っていらっしゃいます。

 そして先頃、『世界をめぐる 動物園・水族館コンサルタントの 想定外な日々』という本を出されました。

 きょうは、この本をもとに動物園・水族館コンサルタントとは、どんな仕事なのか、国内外の動物園や水族館の現状やあり方はどうなのか、そして、田井さんが作りたい夢の動物園のお話などうかがいます。

☆写真提供:田井基文

田井基文さん

動物園・水族館コンサルタントの仕事

※まずは、動物園・水族館コンサルタントとはどんなお仕事なのか、教えていただきました。

「私は10数年ほど前から、動物園・水族館コンサルタントの名刺を持つようになったんですね。といっても、これに明確な、例えば資格試験があるというわけではない仕事で、どれだけこの業界のことであるとか、人のこと、ネットワークや知見があるかっていうことが、問われる仕事なのかなと思っています。

 つまり単純に、特定の動物の種類やその個体に対して、深い知識を持っていますっていうことよりは、自分の持っている知識や経験、そういったことを、いかに柔軟にクリエイティヴに結びつけて、新たな価値を提示できるかっていうことが私の仕事になるのかなと。

 例えば、ある動物園で新しくホッキョクグマの展示を作りますと、なにかいいアイデアはないでしょうか? なんていうご相談を受けた場合に、あの動物園ではホッキョクグマのこんな展示が人気ですよとか、あるいはあの水族館ではこんなふうにチャレンジしていますよとか・・・。

 あるいは全く別の種類で、こんな動物はこんなふうに見せていますけど、これをホッキョクグマの展示にうまく応用できないかなっていうようなことだとか・・・。それを生物学的なことはもちろんなんですけど、動物園学的、あるいはデザインだったり建築学的なこと、そしてそれを受け入れる背景としての社会学的な部分も含めて、非常に多面的に検討して検証しながら、動物園や水族館に対して提案をしていくということになるかなと思います」

写真提供:田井基文

●動物園・水族館コンサルタントという肩書きで仕事をされているのは、日本では田井さんだけでいらっしゃいますけれども、海外ではスタンダードな存在なんですか?

「そう言っていいんじゃないでしょうか。非常に専門性の強い分野でもありますし、経験が物を言う業界、そんな背景がありますので、どこかの動物園や水族館で長くご活躍された館長、あるいはキュレーターみたいなかたを、そういったポジションで、また別の施設でお迎えするというのは珍しいことではないと思いますね」

●それだけ需要があるってことですよね。

「まあそうですね。そう言っていいと思います」

(編集部注:田井さんが動物園・水族館コンサルタントになった大きなきっかけは、ビジネスパートナーであるユルゲン・ランゲ博士との出会い。
 ランゲ博士は、ベルリン動物園の統括園長を長年続け、ヨーロッパの業界では大変有名なかたで、田井さんいわく、魚類や哺乳類、家畜ほか博物学にも精通し、その幅広い知識とネットワークは、ランゲ博士の右に出る人はいないそうです。そんなランゲ博士から、一緒にやらないかと誘われ、ふたりで動物園・水族館コンサルタントの仕事を始めたということです)

ランゲ博士と田井さん。ガラパゴス諸島での写真。
ランゲ博士と田井さん。ガラパゴス諸島での写真。

動物と動物園のサステナビリティ

※田井さんによれば、日本には大小合わせて、動物園が160から170箇所、水族館が120から130箇所、合わせると300箇所ほど、アメリカにはおよそ200箇所、ドイツには150箇所ほどあるそうです。海外との違いは、日本は県や町が運営する公立の施設が多いのに対し、海外はほとんどが企業が運営しているとのこと。

 田井さんは取材を含めて、国内外の施設を1000箇所以上訪れているそうですが、特に感銘を受けた施設を挙げるとしたら、どこになりますか?

ベルリン動物園
ベルリン動物園

「動物園は、ひいき目なしにやっぱりベルリン動物園が大好きですね。飼育している数、飼育の展示施設のデザイン、それから歴史的な背景も含めて、やっぱり動物園ではベルリン動物園に右に出るものはいないでしょうね。

 水族館で言うと、スペインのバレンシアの水族館(*)が、僕は大好きですね。建築にご興味のあるかたは特におすすめしたいんですけど、水族館の肝になるのはひとつ建築の要素が、本当に大部分を占めると僕は思っているので・・・」

(*編集部注:施設名「オセアノグラフィック」)

●建築ですか?

「はい、建物としての美しさはバレンシアの水族館はダントツですね。ぜひ行ってください(笑)」

オセアノグラフィック
オセアノグラフィック

●水族館と建築には、そんなに深い関わりがあるんですか?

「やっぱり日本でも水族館を作るにあたっては、単なる四角い箱の中に(生き物を)入れるということではなく、それをある種の美術館や博物館のような感じで捉えて、建築している例がいくつかありますよね。海外の場合はもっと顕著にそういうのが出てくるわけですけれども・・・」

●日本では新たにオープンするっていうよりも、リニューアルが多いように思います。やっぱりコンサルタントとしては腕の見せ所だと思うんですが、田井さん自身、コンセプトというか、どんなことを大事にされていらっしゃいますか?

「いかにその展示施設全体が、その動物にとって自然な環境であるかっていうことは、大前提になると思います。動物たちにとってナチュラルな環境がなかったとすると、本来彼らが自然界でとる自然なアクションは、もちろん見られなくなるし、そうなってくると、本質的な動物の魅力も引き出してお見せすることはできなくなる・・・。

 さらにそういった環境下になければ、もちろんペアリングだとか子育てみたいな、次なるミッションにもなかなか取り組んでいけない、無駄なハードルを勝手に作っちゃうみたいなことになるわけです。その動物たちにとってのサステナビリティは、動物園としてのサステナビリティにも直結するっていうのが、ひとつのモットーですかね」

●その施設のある町がどんな町なのかを調べると、本に書かれていましたけれども、それはどうしてなんですか?

「先ほどの自然環境の話と、ある意味では遠からず、つながった話かなとは思うんですね。本にも書きましたが、例えば 日本の高知県で高知のかたにアンケートを取った時に、きっと坂本龍馬のことを知らない人いないと思うんですよね。もちろん直接的に龍馬ゆかりの何かをっていうことでは、決してないんですけど、そのことを知った上でやるか、あるいは知らずにやるかは大違いだと思います。

 だから世界的に有名かどうか、そんなことは割とどうでもよくて、むしろその地元ゆかりの人物、あるいは建物、文化でもいいし、風習でもいいし、郷土料理なんかもいいと思うんですが、そういうところには必ず何かヒントがあると私は思っています」

(編集部注:田井さんは、個人的に期待している動物園として、千葉県では市川市動植物園の名前を挙げてくださいました。園長さんも優秀なかたで、施設自体にも高いポテンシャルがあるとおっしゃっていましたよ)

田井基文さん

動物園と水族館のあり方

※時代とともに動物園と水族館のあり方が変わってきているように感じます。以前は狭い檻での展示でしたが、今はその生き物がもともといた環境に近い状態で展示している施設も多くなったと思います。そうなった背景にはなにがあるのでしょう?

「いちばん大きな要素としては動物福祉、『アニマルウェルフェア』なんていう言い方をしますけれども、あるいはその動物たちがより自然な、よりナチュラルな形でいられるような『ウェルビーング』なんていう言い方をする、そういう考え方、観点が非常に強く意識されるようになってきたというのが、大前提としてあると思います。

 アメリカやヨーロッパでは30年40年前ぐらいから、そういう意識がどんどん高まっていて、そういったことをスローガンに掲げた団体が非常に活発に活動されていました。そういった考え方や概念が日本の動物園や水族館にも、ちょっとずつ持ち込まれるようになってきたというのが、経緯かなとは思いますね」

●動物園も水族館も飼育展示する生き物を、どこから持ってくるのかが課題だと思いますけれども、絶滅の恐れのある動植物の取引を禁止したワシントン条約の存在も大きいですよね?

「そうですね。日本はワシントン条約を1980年に批准し、現在183カ国が加盟しています。これらの国と地域では、この条約に定められたルールにのっとってのみ規定された動植物に関して、輸出・利用させるということが大前提になりましたから、それまでとは違って、簡単に動物を持ち込むことができなくなっていると思いますね」

●となると、やはり繁殖させるっていうのが大事になってくるわけですよね?

「もちろんです。やっぱり飼育下での繁殖は喫緊の課題ですよね。動物園業界では『ブリーディングローン』なんていう言い方をしていますけれども、繁殖を目的とした動物の個体の貸し借りは、本当に国内外問わず積極的に行なっていますね。

 ただその動物を貸し借りするにあたっても、やっぱり常にリスクは伴います。例えばゾウとか、大きな動物キリンでもいいですけれども、Aという動物園からBという動物園に貸し出すことが決まっても、運ぶリスクがあったりするし、運んだはいいけれど、行った先で体調を崩してしまうとか、環境が肌に合わないとか、水が合わないとかっていうようなことも常にあります。

 それに対して例えば、冷凍で精子だったり細胞を保管しておく方法も、最近は少しずつ考えられていくようになりましたね。
 アメリカのサンディエゴの動物園だったり、イングランドの自然史博物館なんかが有名なんですけれども、本当に100単位の種類の動物たちの細胞だったり、精子だったりっていうのを冷凍状態で保管して、いざという時にはそれを利用して繁殖させられるように、ということも考えてやっていますよ。
 もちろんそれぞれ全部がうまくいっているわけではないですけれども、そういう考え方も一般的にはなってきましたね」

写真提供:田井基文

(編集部注:田井さんの本によれば、国内で飼育されているラッコは1990年代には120頭ほどいたそうですが、年々減って、現在なんと!たったの3頭。なぜ減ってしまったのか、それはぜひ本を読んでいただければと思います。田井さんがおっしゃるには、飼育下で絶滅が危惧されている動物は意外とたくさんいるそうですよ。対策が急がれますね)

夢は家畜の動物園

※田井さんは「家畜専門の動物園」を作りたい! そんな夢があると本に書かれています。それはどうしてなんですか?

「家畜ってまずなんなのか、説明できない人が圧倒的に多いと思うんですよね。家畜ってなんですかって言われて、説明できます?」

●豚とかそういうのは言えますけど、確かに家畜とは?って言われても・・・人のために、っていう感じですか。

「そうそう、おっしゃる通りです。いちばん重要なのはそこで、もともと家畜動物は人間が作り出して、人間と共に暮らして、人間と共に進化してきた、人間のために生きてきた動物です。我々人間にとっていちばん身近な存在の動物だって言えると思うんですよね。

 毎日みなさん、きっと牛乳を飲んだり、チーズを食べたり、あるいは卵を食べたりすると思うし、寒くなってくると、まだ暑いですけど、ウールのニットのセーターを着たりとか、あるいはダウンジャケットを着たりするかたが多いと思います。 あるいは革製品のバッグだったり、靴だったり履くでしょうし・・・。
 もちろんペットもそうですよね。飼っているかたはたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。これ全部、家畜がいなかったら成立しないことばっかりです。

愛媛県の在来馬「野間馬」
愛媛県の在来馬「野間馬」

 牛も馬も羊も鶏も豚も、それから犬も猫もみんな家畜です。この家畜はやっぱりその国やその地域によって、それぞれ暮らしてきた人たちに合わせて進化してきているので、非常に多様な進化をそれぞれの地域で遂げてきているわけですよね。

 つまり住んでいる人が違えば、その環境も違えば、やっぱりそれに適した家畜も違ってくるということなんです。アメリカにはアメリカの家畜がいるし、インドにはインドの家畜がいると・・・。もちろん日本には日本の家畜がいるんですけど、じゃあここで質問です。みなさんに牛を絵で描いてくださいって言ったら、どんな牛を描きます?」

●白に黒の・・・?

「そうですよね。きっとそうだよね」

●はい。

「鶏を描いてくださいって言ったら、どんな色で鶏を塗りますか?」

●えっと・・・トサカがあって、赤で・・・。

「トサカが赤で、足が黄色ってイメージすると思うんですけど・・・。みなさんが描かれる、白くて大きな体に黒いドットのある牛は、ホルスタインという品種ですね。あれはもともとオランダとかドイツの家畜ですし、みなさんが鶏だと思ってイメージされる、白い羽根で赤いトサカの黄色い足をした鶏は、『白色(はくしょく)レグホン』という品種で、あれはもともとはイタリアの品種だったりするわけなんです。

 じゃあ日本を代表する家畜とか動物ってどんなの? って言っても、9割以上のかたはきっとご存じないので、そこのギャップをちょっとでも埋められたらいいなっていうのを考えていますね。

 きっとみなさん動物園に行かれても、パンダのために2時間3時間並ばれることは、今はざらだと思うんですけど、じゃあ牛や鶏のためにきっとそんなことなさらないと思うんですよね。
 もちろん好みもあって、それでいいんですけど、希少性っていう意味で考えた時に、よほどパンダよりも希少な家畜は本当にたくさんいます。それが古来から日本で暮らしてきて、我々日本人の生活を支えてきてくれた存在だっていうことだったりとか・・・。

 あとはさっきも言った通り、所変われば品変わるじゃないけれども、家畜としての多様性、世界中にいろんな種類の家畜がいるよっていうことを、少しでも興味を持って知っていただけたら、いいんじゃないかなっていうことは考えていますね」

(編集部注:家畜専門の動物園、その手始めとして、田井さんは世界中の家畜などを知ってもらうために「LIVESTOCK ZOO」というサイトも運営されています。現在はリニューアル中とのことですが、ぜひサイトを見ていただければと思います)

◎LIVESTOCK ZOO http://livestockzoo.com

写真や映像にはないものがある

※以前から、動物園や水族館はほんとうに必要なのか、そんな問いもあったと聞いています。今後、動物園や水族館はどう進化していけばいいのか、田井さんは何が大事になってくると思いますか。

「やはり教育ということが、その大部分を占める要素になることは間違いないでしょうね。あらゆる動物たち、それは植物もそうですし、昆虫もそうですけれども、あらゆる生き物って我々人間が暮らす地球をシェアする、ある意味では仲間だと思うんですね。
 その仲間たちがそれぞれ今どういう環境で、どんな状況で暮らしているかを知っていただく、あるいは思いを馳せていただく、最低限そんなきっかけを得られる施設って動物園・水族館を差し置いて、ほかにないと僕は思っているんですよね。

 もちろん写真も素晴らしいし、映像だってクオリティが上がっているし、AIだってすごいなと思いますけど、チャットGPTでは教えきれないものが、やっぱり生の動物のインパクトにはある、そこにはかなわない要素が必ずあるんじゃないかなっていうのが僕の考え方です。

 例えば、その動物を実際に見に行くために、野生に行けばいいじゃないかっていう考え方もちろんあるし、それは重要なことですけれども、ライオンを見ようと思った時にまずアフリカまで飛行機で飛んでいかなきゃいけないですよね。何十時間もかけて、何十万円もお金をかけて旅をして、現地でレンジャーに案内をしていただいてライオンが出てくるのを待つ、探す、でも確実にライオンを見られるかどうかなんて本当はわからないですよね。

 それがありとあらゆる種類に対して言えるわけで・・・ただそういう希少で稀有な動物たちに出会うチャンスを、数百円、数千円で、動物園に行けば、自分の町で 生きた動物たちに出会うことができる、こんな施設が今すぐなくなっていいとは、僕は思わないですけどね」

●そうですね。飼育されている生き物たちからどんなことを感じますか?

「飼育されている生き物から感じることか〜どんなことだろうなぁ〜」

●動物の身で考えると、野生で生きていたほうが幸せなのかな?とか・・・。

「なるほど、なるほど、そういうことか。それってよく言われることですけど、動物に聞いてみないとわかんない(笑)」

●確かに(笑)

「聞いてみてって思いません? いや、もちろんわかりますよ。とってもわかるし、動物園反対論者のかたに面と向かって、それがすべて間違っているなんて、僕は到底思わないんだけど、本当にその動物が幸せかどうかなんて、本人にしかきっとわからないし・・・」

●おっしゃる通りですね。

「ホッキョクグマ、ライオン、なんでもそうですけど、それだけ広い環境、それだけ自然に近い環境を与えられていれば、本当に幸せかっていうことはわからないんですよね。と同時に野生で暮らしていて、明日食べるものがどうなるかもわからない状況で暮らしているホッキョクグマが本当に幸せなのか、どっちがハッピーですか?って言ったらわからないし・・・。

 ただ忘れてはいけないことは、やっぱりその動物たちのことを、自然を第一に考えて飼育をすることは、もう大前提にはあるわけです。かつての見物小屋だった時代に戻ることは、決してあってはいけないことだとは思いますが、とはいえ、そうやって動物園や水族館で今暮らしている動物たちにも、それ相当の役割があって、今そこにいることに我々は感謝しながら付き合っていくべきなんじゃないかなと思いますね」


INFORMATION

『世界をめぐる 動物園・水族館コンサルタントの 想定外な日々』

『世界をめぐる 動物園・水族館コンサルタントの 想定外な日々』

 田井さんの多岐に渡るお仕事やその流儀、動物園・水族館の舞台裏、海外出張でのハプニングや、ビジネス・パートナー「ユルゲン・ランゲ博士」への思い、そして国内外のおすすめの動物園や水族館なども載っています。動物園・水族館好きにはたまらない一冊! 産業編集センターから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎産業編集センター:https://www.shc.co.jp/book/18861

 田井さんは、動物園の様子を有料でライヴ配信するプロジェクト「KIFUZOO(きふずー)」も運営されています。これはコロナ禍で入場料収入が激ってしまった動物園や水族館を支援するために「寄付しよう」をコンセプトに3年ほど前にスタート。北海道の旭山動物園や、沖縄こどもの国ほかから定期的に配信中です。過去には千葉市動物公園からの配信もありました。

 「KIFUZOO」については、オフィシャルサイトを見てください。

https://kifuzoo.com

 田井さんのオフィシャルサイトもありますよ。

http://motofumitai.com

オンエア・ソング 9月10日(日)

2023/9/10 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. THE ANIMAL SONG / SAVAGE GARDEN
M2. ANIMAL INSTINCT / THE CRANBERRIES
M3. AT THE ZOO / SIMON & GARFUNKEL
M4. ANIMAL / TOTO
M5. CAN’T STOP THE FEELING / JUSTIN TIMBERLAKE
M6. ANIMALS / COLDPLAY

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

moumoon YUKA「私はできるだけ自然の中にいたいなって」

2023/9/3 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、moumoonの「YUKA」さんです。

 ユニット名のmoumoonは「やわらかい月」という意味で、フランス語のmou 「やわらかい」と英語のmoon「月」を掛け合わせて作った造語なんです。

 そんなmoumoonは、2005年にヴォーカルのYUKAさんとコンポーザーのMASAKIさんによって結成され、2007年にメジャー・デビュー。2010年にリリースしたシングル「サンシャイン・ガール」がスマッシュ・ヒット! また、YUKAさんはベイエフエムで2007年から2016年までレギュラー番組「moumoonのやわらかい月の下で」のパーソナリティとしても活躍されていました。

 YUKAさんには、以前にもこの番組にご出演いただき、大好きな山や自然のお話をしていただきましたが、きょうは、およそ4年ぶりにリリースしたニュー・アルバム『FELT SENSE』に込めた想いほか、山歩きや自然から感じることなどうかがいます。

☆写真協力:YUKA(moumoon)

写真協力:YUKA(moumoon)

『FELT SENSE』〜ジャケット秘話

※『FELT SENSE(フェルトセンス)』というタイトルには、どのような想いが込められているのでしょうか?

「『FELT SENSE』という言葉は、なかなか言語化するのは難しいけれど、自分の内側に流れている確かな感覚みたいな、そういうものを意味する言葉なんですね。4年半くらいかけて作ったアルバムなんですけど、自分の感覚を信じて進んでいけるようにという思いをすごく込めて、このタイトルにしました」

●アルバムのジャケットが水色の水面に光が漂うような写真で、すごく美しいですね。これはどなたが撮った写真なんですか?

「これは、アルバムを出すまでに何曲かシングルをリリースさせてもらっているんですけど、そのミュージック・ビデオを撮ってくれた、水野那央貴(みずの・なおき)監督というかたがいらっしゃいます。私はそのかたの色彩感覚というか、独特の色の表現が本当に好きで、もともとは映像を作られるかたなんですけど、ぜひ(アルバム)ジャケットのほうもお願いしますと強くオファーさせていただいて、写真を1000枚ぐらい撮ってくださったんですよね。

『FELT SENSE』

 何を撮ったかっていうと・・・このアルバムの中に『ブルーアワー』という曲が10曲目に入っているんですけど、この曲は鎌倉の海に出かけた時に見た夕陽とか・・・ブルーアワーっていう言葉はご存知ですか? 夕暮れ時にあたり一面が、日が沈んだ後に少しの間だけ真っ青に染まるんですよ。

 マジックアワーやピンクアワーという言葉もあるんですけど、そのブルーアワーっていう時間がとっても素敵だなと思って、その景色を絵に描いたものを水に透かして、写真に撮ってもらったんですね。なので、ちょっと夕暮れの空の色合いみたいなものが映っているかなと思うんですけど・・・」

●初めてこの写真をご覧になった時は、どんなふうに思われました?

「やっぱり水野監督に頼んでよかった〜ってすごく思いましたし、自分がやりたかったことをすごく感じてやってくださったんだなっていうことと、”YUKAさん、1000枚くらい撮りました!”っていうその熱意に本当に心打たれて、あ〜本当によかったって思いました」

●とっても素敵なジャケットです。

「ありがとうございます!」

自然の中に身を置く

※今回のアルバムには全部で10曲収録されていますが、作詞は基本的にYUKAさんが担当されています。歌詞を見てみると「水」や「波」、「虹」や「太陽」、「月」や「星」、そして「風」や「storm(嵐)」など、自然や地球、そして宇宙を感じるワードがよく出てきます。これは無意識に、それとも意識的、なんでしょうか?

「もう本当に無意識に入れているんだと思います。敢えて入れているっていうよりも、自然の景色を見ながら歌詞を書くこととか、自然の中に身を置いて感じたことを言葉にしていくことがとっても多いので、やっぱり必然的にそうなっちゃうんだなっていう感じですね」

写真協力:YUKA(moumoon)

●自然に関係するワードが出てくるのは、やはり趣味の山歩きが影響を与えているんですかね?

「そうですね。山で過ごすのが本当に好きで、なんて言うんだろうな・・・自然に触れていないと、私は頭がどんどんごちゃごちゃしちゃうというか、リセットされないので、できるだけ時間があったら山に行ったりとか、海辺に行って砂浜の上に座ってぼーっとするとか、そういう時間を取らないとダメなんですね。すごく(自然の)影響はあると思います」

●例えば、山登りしながら、ふと、いい歌詞が思い浮かぶっていうような感じなんですか? 

「やっぱり自分ひとりだけになって、山の中で小鳥のさえずりとか、木が風に吹かれて、枝が葉っぱとともに一緒に揺れる音とか、その風の音とかを聴いていると、どんどん余計なものがそぎ落とされていって、いちばんシンプルに自分が大事だなって思うことが浮かんでくるので、ああそうだったな、私、忘れちゃってたな、これが大切だったんだよなっていうことを思い出せた時に、本当に伝えたいことが出てくるんじゃないかなって思います」

●自然の中で過ごしている時に、幸せを感じる時ってどんな時ですか?

写真協力:YUKA(moumoon)

「植物を観察したりするのが、私すごく好きで、小さい頃から長野県の山の野草とか野山の草花とかキノコとかを図鑑を片手に観察していたんですね。

 これがふむふむこの植物か!って見たりとか、それを絵に描いて自分で図鑑を作るのを夏休みの宿題でやったりとかするぐらい、植物を観察するのがすごく好きですね。植物を見ていると、家でも育てたりしているんですけど、気持ちがあんまり急がなくなるというか・・・。

 だから本当に風が吹き抜ける中で目を閉じて、すごく深く呼吸すると、自分の持っているペースに戻ることができると思うんですね。できるだけ自分が穏やかでご機嫌でいられたら、まわりの人のことも大切に心に余裕を持って、仲良くしていけるかなと思うので、私はやっぱり自然の中にいたいなって。いつもは無理かもしれないんですけど、できるだけそこにいたいなって思いますね」

写真協力:YUKA(moumoon)

高尾山で「わ〜冷たい!」

※今は夏山シーズンですけど、最近どこかに出かけたりしましたか?

「私、高尾山が大好きなので、高尾山に沢の上を歩いていくコースがあるんですけど、水が流れてくる沢の上をゆっくり歩いて、すごく洗い流されるような感覚がありました。もう最高でした!」

●久々の登山は、かなり気持ちよかったんじゃないですか?

「もうすごくはしゃいでしまって・・・(笑)。大学生ぐらいの男の子なのかな〜? ふたりですごくびしょびしょになって、小さな川の中に入っている子たちが見えたんですね。登山の途中に(川に)入りたいって思っちゃったんだと思うんですけど、全部リュックとかおろしてTシャツとズボンで入っていて、”冷たくないの?”って聞いたら、”気持ちいいですよ!”って答えてくれたので、友達と一緒に“じゃあ、うちらも入ってみる!?”みたいな感じで、パシャンと入れないですけど、トレッキング・シューズを脱いで靴下も脱いで、裸足になって”わ〜冷たい!”とか言いながら、せせらぎに足を入れてみたら、本当に気持ちがよくて、あっ! これだよなと思って、はしゃいでしまいましたね(笑)」

写真協力:YUKA(moumoon)

※山に行くときに必ず持っていくものはありますか?

「やっぱり頂上で食べるご褒美の食べ物!(笑)ですかね。この間の登山では母が送ってくれたすごく立派なさくらんぼがあって、それを小さいタッパーに、冷え冷えの状態で食べたいと思って、保冷剤をたくさん入れて持っていって、頂上でさくらんぼを食べて、すごく幸せな気持ちになりました」

●あ〜いいですね!  女性がアウトドアに行くときに、これがあると便利だよっていうようなおすすめグッズってありますか?

「私、登山が終わった後、下山した時に温泉に入るのが大好きなんですよ。なので、ちょっとしたお風呂キットとか持っていくと、紫外線も多分浴びると思うので、保湿のためのパックを1枚だけとか入れておけば、多分そんなに重くないし、ちょっとご褒美時間が味わえるんじゃないかなと思うので、そういうのもいいかなって思います」

写真協力:YUKA(moumoon)

※以前、森の中で自然の音を録音したりすることがあるとおっしゃっていました。今でも録音したりするんですか?

「そうですね。私やっぱり水の、せせらぎの音が大好きなので、本当に日常でもちょっとリフレッシュしたい時は、あそこで録った水の音を聴こうとか、YouTubeにあがっているせせらぎの音を聴いちゃったりとか、けっこう変なことしているなと思うんですけど、こういうことする人いるのかな〜? 
 小川があったらすぐその時に持っているレコーダーで、1分とか2分ぐらい、ちょっと静かにしててもらっていい? ちょっと、しーっ! みたいな感じで録ったりしますね」

●癒されますよね、そういう自然の音って・・・。

「そうですね。けっこう前に作ったアルバムでは、自分が録った水の音を相方のMASAKIくんに渡して、この音をちょっと使ってくれないかとか言ったりして、いいね、この音いいね! じゃあ例えばこの雨の音を入れてみようかとかやってくれることはあります。今回のアルバム、さっきのお聴かせした『ブルーアワー』はMASAKIくんチョイスなので、どこの水の音かはわからないんですけど(笑)」

写真協力:YUKA(moumoon)

サプライズ! ウェディング・パーティー

※去年の春、長年活動を共にしているメンバーのMASAKIさんと入籍されたことを発表されました。そして、サプライズのウエディング・パーティーがあったということをInstagramで知ったんですけど・・・グランピングでのパーティーだったようですが、どういう状況だったんですか?

「すごく照れくさいんですけど、あの時はキャンプがすっごく好きな、もともとすごくお世話になっている方がいて、YUKAとMASAKIの結婚祝いにグランピングをプレゼントしたいからぜひ来ないかって、なんだったらすごく大切な友達とかそういう人を呼んでいいから、連れておいでって言ってくれて、さらになんだったらウェディング・フォトも撮ろうみたいな感じで言ってくれたので、せっかくだと思ってウェディング・ドレスといろいろ持っていって、ヘアメイクさんの友達も一緒に来てくれて撮影しに行ったんですけど、行ったらなんか披露宴みたいになっていて(笑)」

YUKA(moumoon)

●素晴らしいですね!

「本当! 先輩のアーティストさんもお祝いしに来てくださったりして、何もかもにびっくりしすぎて、ずっと私たちは、あぁぁぁ〜ってなっていたっていう・・・」

●素敵なサプライズ! 知らなかったのはYUKAさんとMASAKIさんだけだったんですね!

「ですね!」

●どんなことがいちばん記憶に残っていますか?

「 えぇぇぇ! なんですかね・・・ウエディング・ケーキを、すごくお世話になっているというか、仲よくさせていただいているシェフのかたがいるんですけど、振る舞ってくださって、ケーキカットやりましょう! みたいになった時に、すごく恥ずかしい、どうしようと思いながら、ケーキカットした瞬間にmoumoonの曲が流れて、うわぁ〜みたいな、なんだこれは! みたいな感じになったのは、すごく覚えていますね。不思議な感じでした」

●素敵ですね〜、愛に溢れていますね! 素晴らしい!

「もう本当に恥ずかしさがいっぱいだったんですけど、みなさんに祝っていただけて、本当に幸せな時間でした」

写真協力:YUKA(moumoon)

月から感じるパワー

※moumoonといえば、満月の日にライヴを行なう「FULLMOON LIVE」が有名ですが、そのスペシャルが11月19日にLINE CUBE SHIBUYAで開催されることになっています。どんなライヴになりそうですか?

「毎年この日のために準備をしていると言っても、過言ではないぐらい気合が入っているライヴなんですね。楽曲のアレンジもすごくこだわっていたりとか、今回は新しいアルバムの曲もあるので、とにかくどっぷりと浸かれるような、心揺さぶられることもあるかもしれないけど、最後には本当にあ〜気持ちよかったって思ってもらえるようなライヴにしたいなと思っています」

moumoon

●月は潮の満ち引きとか人間の体にも影響を与えると思うんですけれども、満月の日のライヴでは何かパワーみたいなものを感じたりしますか?

「うん、そうですね・・・どんな時も月がポンと空に浮かんでいると、すごく悲しい時でも慰めてくれるような優しい光だなぁと思うし、見ているとすっごく気持ちが柔らかくなるなと思います。

 すごく素敵だなと思うのは、みんながなんとなく空を見上げた時に月があって、もうすぐ満月になるな、そしたらライヴでみんなと会えるなって思い出してもらえるのがなんかいいなって・・・。月が綺麗だねって、なんとなく言い合うっていうのもすごく素敵なことだなと思うので、そういうところにもパワーは感じていますね。

 ファンのかたがたに、きょうはこんなに綺麗な三日月でしたとかメッセージをもらったりとか、なんとなく月の写真を撮ってSNSでシェアし合うみたいなのが、みんなの日常の中にもうあるんだなっていうのを感じた時に、とても素敵だなと思いましたね。私も綺麗な月を見かけた時は、”ねぇねぇ、綺麗な月が出てるよ!”って呟いたりとか・・・身近な人とそういうものをシェアするのも、とっても素敵なことだと思いますね。

 ある意味、月は人と人をつなげてくれる特別なものなんじゃないかなって感じています」


INFORMATION

『FELT SENSE』

 ニュー・アルバム『FELT SENSE』には、きょうオンエアした「ブルーアワー」「わたしに還ろう」「Beautiful Sky」ほか、全部で10曲収録されています。ポップでキラキラしていて、何度でも聴きたくなるアルバムです。YUKAさんの声に元気と癒しをもらえますよ。ぜひ聴いてください! おすすめです!

 11月19日(日)にLINE CUBE SHIBUYAで開催される「FULLMO
ON LIVE SPECIAL 2023 ~中秋の名月~」にもぜひお出かけください。ほかのライヴ情報も含めて、詳しくはmoumoonのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎moumoon:https://moumoon.com

オンエア・ソング 9月3日(日)

2023/9/3 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. SUNSHINE GIRL / moumoon
M2. ブルーアワー / moumoon
M3. わたしに還ろう / moumoon
M4. LIFE / DES’REE
M5. STAND BY ME / OASIS
M6. SUGAR / MAROON 5
M7. Beautiful Sky / moumoon

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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