2021/9/26 UP!
◎大塚桃奈(徳島県上勝町にある「ゼロウェイストセンターWHY」の責任者)
『シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第4弾!
〜徳島県「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」の挑戦〜』(2021.9.26)
◎海野光行(公益財団法人「日本財団」常務理事)
『海ごみを出さない社会を目指して〜解決のカギを握るのは人の心〜』(2021.9.19)
◎滝沢秀一(お笑いコンビ「マシンガンズ」)
『4つ目のRがゴミ問題を解決する!?〜ゴミ清掃芸人「滝沢秀一」の視点』(2021.9.12)
◎じゅえき太郎(イラストレーター)
『「僕のゆるふわな絵で、昆虫を好きになってくれたらいいな〜」』(2021.9.5)
2021/9/26 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第4弾! 四国の小さな町が行なっている、ごみを大幅に減らす野心的な取り組みをご紹介します。
今回の舞台は、徳島県の山間(やまあい)にある上勝町(かみかつちょう)。全国に先駆け、2003年に町から出るごみをゼロにする「ゼロ・ウェイスト宣言」を発表。現在はなんと、ごみと資源の分別は45品目! リサイクル率はおよそ80%を達成していて、国内外から注目されています。
お話をうかがうのは、去年5月に上勝町にオープンした複合型公共施設「ゼロ・ウェイストセンターWHY」を運営する会社の責任者「大塚桃奈(ももな)」さん。去年大学を卒業したばかりの期待のホープなんです。「大塚」さんの肩書はCEO、でも「最高経営責任者」ではなく、CEOの「E」は環境的という意味の「エンヴァイロメンタル」で「最高環境責任者」なんです。
さて、SDGsとは「サステナブル ・ディベロップメント・ゴールズ」の略。「持続可能な開発目標」ということで、17のゴールが設定されています。今回はゴール11の「住み続けられる まちづくりを」、そしてゴール12の「つくる責任 つかう責任」について考えていきたいと思います。
徳島県上勝町のごみをゼロにする野心的な取り組みをご紹介する前に、今回お話をうかがう「大塚桃奈」さんのプロフィールに触れておきましょう。
「大塚」さんは1997年生まれ、湘南育ち。子供の頃からファッション・デザイナーに憧れ、高校生の時にファッションの勉強のためにロンドンに留学。自分が学んだことをどうやって社会に活かすかを考えている時に、ある映画を見て、愕然とします。
その映画とはファスト・ファッションの裏側を捉えたドキュメンタリー『ザ・トゥルー・コスト』。劣悪な環境で働かぜるえない発展途上国の人々、環境汚染、そして大量に廃棄されるウエアの現状を知って、社会や環境に目を向けるようになったそうです。
そんな大塚さんが働く「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」はいったいどんな施設なんでしょうか。このあと、じっくりお話をうかがいます。
☆写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY
ごみを見つめ直す
※まずは大塚さんに、上勝町の出会いについてお話しいただきました。
「大学生の時になるんですけれども、映画(『ザ・トゥルー・コスト』)を観て、服を取り巻くそういった社会問題に、どうやって自分なりに向き合っていこうか考えている中で、安い服が日本に入ってくることによって、日本の繊維産業が衰退していることが分かってきました。
繊維工場は地方に多くて、少子高齢化と結びついているということも、ひとつの要因としてある中で、ローカルの中でのものづくりとか、そこから派生して服だけではなくて、暮らしであったり、それを取り巻くコミュニティっていうところに興味を持ち始めたんです。
その時にたまたまこの上勝町に『RISE & WIN』というブルワリーが大学生の時にオープンしたんですけど、その建築に携わっている中村拓志さんがたまたま知り合いだったことをきっかけに、上勝町という町が徳島県にある、そして日本で初めて”ゼロ・ウェイスト”を宣言した町だということを知って、これは自分の目で見てみたいなということで、大学2年生の冬休みに初めて訪れたことがいちばん最初のきっかけでした」
●実際に大学生の時に上勝町に見学に行かれて、どんなことを感じましたか?
「いちばん最初に感じたのは、すごく緑で山の中にある町。私は徳島市内にある空港からバスを3つ乗り継いで上勝町までひとりで行ったんですけれども、半日かかってようやく上勝町に着いたという感じでした。山の中の道をくねくね辿っていって、やっと着いた町っていうのが最初の印象だったんです。
小さな町の中で、町のかたが共に支え合って暮らしているっていうことも感じましたね。農家民宿にその時は泊まって、色々町の中を案内してくださって、畑であったり町に住む人であったり、山犬嶽(やまいぬだけ)という苔がすごく綺麗な山があるんですけれども、そこに連れて行ってくださったりとか、すごく温かいおもてなしをしてくださったのを今でも覚えています。
上勝の町内に唯一あるごみステーションを見学させていただいて、すごくきっちりとごみを資源ごとに分けていることを目の当たりにした時に、自分が何気なくポイポイと捨てていたごみが、実は見えない部分に隠されているというか、見えなくても暮らしていたんだっていうことを改めて知ることになって、ごみを見つめ直すことが自分の生活を見つめ直すことにも繋がってくるんだっていうことを実感した経験でした」
※大塚さんは国際基督教大学・在学中に交換留学でスウェーデンの大学へ。滞在した「ベクショー」という町はヨーロッパいち環境に配慮したクリーンな町だそうで、たくさんのインスピレーションをもらったそうです。
実は大塚さん、スウェーデンに行く前に上勝町でインターンとして活動、また、スウェーデン留学中に、上勝町のスタッフに頼まれ、サーキュラー・エコノミーに取り組んでいるアムステルダム、ベルリン、ブリュッセルなどの視察をコーディネイト、一緒に見てまわり、とても貴重な経験になったそうですよ。
「?」の形の複合施設
※上勝町のスタッフに誘われて、大学卒業後、すぐにセンターで働くようになった大塚さんは、いまはもちろん上勝町で暮らしていらっしゃいます。山間(やまあい)の町、上勝町は人口が1500人ほどで、65歳以上のかたが半数を超えているそうですが、最近は20代のかたや海外からの移住者が徐々にふえているそうですよ。
それでは「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」とは、どんな施設なのか、うかがっていきましょう。
●大塚さんが責任者を務める「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」。オフィシャルサイトを見させていただいたんですけど、施設を上から撮っている写真が載っていました。上空から見ると「?」の形になっているんですね? すごい!
「はい、そうなんです(笑)。何故ごみを捨てるのか、という根本に迫るような問いを通じて、みんなと、何気なく捨てているごみから社会をよくするヒントを探っていきたいというような思いが込められています」
●具体的にどんな施設なのか教えていただけますか?
「上勝町ゼロ・ウェイストセンターは複合型の公共施設になっておりまして、?の上の丸い部分が上勝町の住民が利用する、町唯一のごみステーションになっています。そこから続けて、くるくるショップという町の中古品が集まってくるリユースショップと交流ホール。ここはイベントが開催できたりとか、キッチンも付いていて、レンタル貸しも行なっているスペースで、セミナーとかワークショップが行なわれる場所。常時は解放していて誰でも自由に憩うことができます。
で、コインランドリーと、あとラボラトリーというスペースはレンタルオフィスになっておりまして、上勝町をひとつの拠点として一緒にゼロ・ウェイストを考えてくださる企業様であったり、研究機関とか、リモートワークの場所として、ホテルと一緒にご利用いただけるようになっています。?の最後、丸い部分が体験宿泊施設ということで、HOTEL WHYという小さな宿になっています」
●この建物自体も廃材で作られているんですよね?
「そうなんですよ。例えばですね、この建物全体に色んな建具が使われていて、大小形も異なる建具は町の人から集めた540枚もの建具になんです。ごみって不要なものと思われがちですけれども、廃材とか地域の中で使われなくなった材料をまた建物に、デザインという命を吹き込んで使用しています。
ほかにもこの建物、木造建築なんですが、上勝町は元々林業で栄えていた町なので、地産地消ということもあって、上勝の杉の木材を活用しています。それもゼロ・ウェイストの考えに寄り添うような形で、建築家のチーム、NAP建築設計事務所がここも携わっているんですけれども、なるべく地域のものに価値をつけていこうということで活用されています。
なんと今年の春には日本建築学会賞を受賞しておりまして、この取り組みが少しずつ周りの方にも伝わっているんだなっていうのを実感しています」
ごみの行く末を日常から意識
※現在、上勝町では45分別をして、ごみゼロに取り組んでいますが、そこに至った背景として、大塚さんの説明によると、まず、ごみを「再生できるか、できないか」の視点で分けたそうです。
上勝町は小さな町なので、ごみ処理にコストをかけられない。一度、焼却炉を導入したそうですが、ダイオキシンに関する法律が施行され、たった2年で使えなくなったといいます。そこでごみを資源として分けて、生まれ変わらせるために、1997年に9つの分別からスタート、その後、徐々に増えて、現在の45分別になったそうですよ。 リユースにも積極的に取り組み、センター内ある「くるくるショップ」では住民のかたが持ち寄った衣類や食器類などを、自由に持ち帰ってもらったり。また、生ゴミは各家庭にコンポストを設置して、おうちで循環させています。
さて、気になる45分別、どれだけ細かいのか、大塚さんに説明していただきました。
「例えばですね、紙って燃えるごみとして回収されていると思うんですけれども、古紙とかは別にして、お菓子のパッケージとかトイレットペーパーの芯とか、燃えるごみとして回収されてしまいがちですが、それを上勝では9種類に分けています。この理由としては、紙ってきちんと分けたら再生紙になったりダンボールになったり、資源としてとっても価値があるものなので、それをお金をかけて焼却して消してしまうんではなくて、また分けて資源にしようと。
分けるとどんなメリットがあるかというと、資源になるだけではなくて、価値があるので、リサイクル業者さんがお金を払ってくれるんですね。1キロ数円でそれぞれ買い取ってくれるっていうこともあって、金銭的なメリットと環境的なメリットがあるということから9種類に分別しています。
例えば、紙パックが内側が白のものと銀のもので分かれていたりとか、あとは雑誌、雑紙、新聞、チラシ、ダンボール、シュレッダー屑、硬い紙芯、紙カップというように細かく分かれています」
●実際に大塚さんは上勝町に移住されて、45分別やるようになって、体験してみていかがでした?
「最初は戸惑うことも多くあったんですけれども、ゲーム感覚みたいな・・・このごみステーションの特徴として、それぞれがどこに行って何に生まれ変わるのか、そして1キロ当たりいくらの処理コストがかかっているのかということが記載されているので、捨てるのではなくて資源としてどこに行くのかっていうことを、日常の中から意識できるようなデザインがあるんだなという実感があります。
一方では、コツコツと分別することも大事ですけれども、やはり日々自分が使っているものをどう長く使えるようにするかとか、自分が作る側にどう携わって一緒に変えていけるのかを改めてじっくり考える機会をいただいているなと思っています」
●町全体でやるっていうことに意味がありますよね。
「そうですね。上勝町唯一のごみステーションなので、町の中にはごみ収集所もなければ、ごみ収集車も走っていないんですね。なので、町の人がみんなここに集まってくるっていうのは、コミュニティのホットスポットにもなっているなと思います」
ごみの分別を体験するホテル
※「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」にはホテルもあるということでしたが、どんなホテルなんですか?
「このホテルは”ゼロ・ウェイストアクション”をコンセプトにしたホテルになっていて、いわゆる一般的なホテルとはちょっとイメージが変わってきます。そもそもごみ集積所、ごみステーションと併設しているっていうところからユニークではあるんですけれども、チェックインの際には、例えば施設の中をご案内してスタディーツアーという形で、上勝のゼロ・ウェイストの歴史であったり取り組みを、ひとりひとりのご宿泊のお客様にご案内をさせていただいていたりします。
使い捨てアメニティをお部屋には一切置いていないので、よくある歯ブラシとかカミソリとかそういったものは置かずに、ご自身が普段使っているものを持ってきてもらうっていうところからスタートしています。ただ手を洗う石鹸と、あとお部屋でお飲みいただけるコーヒーやお茶はチェックインの時に量り分けでお渡しするっていうような、ちょっとずつコミュニケーションをとりながら考えるヒントをちりばめています。
そのスタディーツアー終わったあとに、チェックアウトまでに必要な分をコーヒー1杯からお豆を挽いて瓶に入れてお渡しします。お部屋には湯沸かし器とコーヒードリッパー、ステンレスフィルターのものを置いてあるので、ご自身で入れてお飲みいただくっていうスローな時間と、あと上勝は水源地でもあるので、この施設全体は山水が流れているんですね。なので、タップウォーターもそのまま美味しくお飲みいただけるので、そういったところも感じていただきながら、そのようなスタイルでやっています」
●宿泊することで色んな気付きがありそうですね。
「さらには、チェックアウトの時にごみの分別体験っていうのも行なっています。客室にごみバスケットが2つ設置されているんですけれども、そこで滞在中に出たレシートとか、色んなごみをまずは6分別に分けていただいて、翌日には町のかたも利用している中で一緒にごみステーションに行って、45個にまた分けるというような、ちょっと変わったホテルです(笑)」
ポジティヴな感情をみんなで!
※「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」がオープンして、1年半が過ぎました。いまはどんなことを感じていますか?
「そうですね、。少しずつこのゼロ・ウェイストセンターWHYを通じて仲間が増えてきていますし、これからどんどん増やしていきたいなとも思っています。例えばホテルはどなたでもご利用いただけるんですけれども、この施設の中にあるラボラトリーではレンタルオフィスとして今、年間契約という形で企業のかたがたにご利用いただけるようなプランを用意しております。
上勝町は2003年に日本で初めてゼロ・ウェイストを宣言して、2020年までにこの町から出る焼却埋め立てごみをゼロにしようという目標がある中で、住民のかたがコツコツと分別に取り組んできたりとか、量り売りを地域の商店が取り入れたりしてきたんですけれども、やはり日々使っているプロダクトが複合素材から出来ていて、分別が難しくて再生ができないようなデザインになってしまっているんですね。
どんどん過疎が進んでいる中では、この小さな町だけではもうゼロ・ウェイストの取り組み、そもそも暮らしの持続性が問われている中で、上勝町と関わりながら一緒にこの町のありかたをサステナブルにしていかなければならないっていうフェーズに入ってきています。 そんな中、例えばゴム製品である靴が焼却になっているっていう課題がある中で、靴のメーカーさんと一緒にディスカッションを重ねるようになったりとか、少しずつではあるんですけれども、仲間を増やしていきたいなと思っていて、可能性を感じています」
●改めて「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」の責任者として、どんなことを大塚さんは発信していきたいですか?
「ごみって聞いた時に、多分多くのかたは臭いとか汚いとかで、すごく見えないところに追いやってしまいがちだなと思っています。でもこのゼロ・ウェイストセンターはまずそもそも臭いがしないんですね。生ごみを集めていないということと、汚れているものを洗って乾かしてから町のかたが持ってきていて、すごく清潔になっています。
そういった中から、このセンターはごみと言われているものを角度を変えて、所々で活用しているんですけれども、この上勝町からすごくワクワクとするようなポジティヴな感情を一緒に作ることによって、みんなが見えていなかったごみに一緒に向き合いながら楽しく解決していけるようなカルチャーであったり、プラットフォームを作っていきたいなと思っています」
INFORMATION
上勝町はごみにしない! 資源にするということで45分別! リサイクル率はおよそ80%を達成。全国平均で20%ほどと言われているので驚異的な数字です。人口が1500人ほどの小さな町だからできることかもしれませんが、やればできるんですね。人の気持ち次第だと思いますね。また、ファッションの勉強もされていた「大塚」さんは、できる範囲内で衣服の「心のあるものづくり」にも携わっていきたいとおっしゃっていました
ぜひ「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」、そして大塚さんの活動にご注目ください。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY:https://why-kamikatsu.jp/
2021/9/26 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. THE 3 R’S / JACK JOHNSON
M2. TAKE A CHANCE ON ME / ABBA
M3. KNOCK ON WOOD / SEAL
M4. EVERYBODY WANTS TO RULE THE WORLD / TEARS FOR FEARS
M5. lemon / 米津玄師
M6. SLOW NIGHT / DAVID MEAD
M7. PEOPLE HELP THE PEOPLE / BIRDY
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2021/9/19 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、公益財団法人「日本財団(にっぽんざいだん)」の常務理事「海野光行(うんの・みつゆき)」さんです。
海野さんは藤枝市出身、1990年に日本財団に入り、海洋関係の事業を担当。そして2016年に美しく豊かな海を次の世代につないでいくために「海と日本プロジェクト」を創設。そこには子供たちや若い人たちに、もっと海に親しんでほしいという熱い思いがあるんです。現在は1万をこえる団体が協力する一大プロジェクトになっているそうです。そして、その功績により、先日、令和3年「海の日」海事関係功労者大臣表彰を受賞されています。
きょうはそんな海野さんに海洋ごみの現状や、減らすために取り組んでいる大きなプロジェクトのお話などうかがいます。
☆写真&ロゴ協力:日本財団
ペットボトル450年! 漁網600年!
※それでは海野さんにお話をうかがっていきましょう。この番組でも海洋ごみの問題は以前にも取り上げ、その厳しい現状をお伝えしてきましたが、世界の海には大量のごみが漂っているんですよね?
「はい、色んな調査、各国でなされているものはあるんですけれども、やっぱりプラスチック類が最も高い割合を占めているということが分かっています。世界では毎年少なくとも800万トンのプラスチックごみが海に流れ出ていると推計されています。東京スカイツリーの重さが約4万トンなので大体200本分、こういったものが出ているということなんです。日本からも毎年2万トン〜6万トンが流出していると言われています」
●膨大な量ですよね。北太平洋には太平洋ごみベルトと呼ばれる一帯もあるっていう風に聞いているんですけれども、これはどんなエリアなんですか?
「アメリカのカリフォルニア州からハワイ沖にかけての北太平洋上の海域なんですけれども、ここの大きな潮の流れに乗ってプラスチックごみが集まってくる。プラスチックごみだけではないんですけど、いわゆる海洋ごみが集まってくる海域があります。これが帯のように見えるようなことから太平洋ごみベルトという風に言われているところなんですね。
面積は大体160万平方キロメートルを超えると言われていまして、日本の面積の約4倍以上の大きさになってきます。ここに漂っているプラスチックのごみの総重量で言いますと、大体7万9000トンという数値も言われているところでありますね」
●色んな場所から漂って来ちゃうっていうことなんですか?
「そうですね。アジア諸国ですとか、北アメリカから流れ出てきたものがあると言われていますけれども、当然のことながら、この日本からのものも含まれていると言われています」
●以前、海洋研究開発機構 JAMSTECのかたに、深い海の底にプラスチックごみが沈んで分解されることなく、そのまま残っているんだっていうお話もうかがったんですね。さらに行方不明のプラスチックごみがまだまだ大量にあるんだっていうお話もうかがったんですけれども、このままですと世界の海がごみで埋まっちゃうんじゃないかっていう危惧もありますよね?
「まずプラスチックのごみが海に出ると、どういう風になるかっていうことがあるんですけれども、いずれにしても人工的に作られたプラスチックっていうのは、基本的には自然界で完全に分解されるということはありません。ですので長い年月、海を漂うことになります。例えば最近、有料化になったものとしてはレジ袋、これ海に流れ出ると何年ぐらい漂うと思います?」
●どうなんでしょう・・・かなりずっといそうな気もしますよね。
「ものにもよるんですが大体20年。その他にも私たちがよく使うペットボトル、これ450年ぐらいなんです。さらには、プラスチックごみの中の4割くらいを占めている、いわゆる漁具、漁網ですね、これに至っては600年って言われているんですね。そういったものが、形はある程度保ったまま浮遊していると・・・。
ですから、今私たちがごみを捨てて海に流れ出てしまうと、私たちの子供の世代、孫の世代、ひ孫、玄孫(やしゃご)、その先なんだろう、来孫(らいそん)とか、その世代まで影響を及ぼしてしまうという問題があるということなんですね。
現在、世界の海に流出している海洋ごみの量は、大体1億5000万トンという風に言われているんですけれども、このまま何もしなければ、2050年に重量ベースでいくと、魚よりもプラスチックごみの量のほうが多くなると発表している機関、あるいは学者さんもいるんです」
●そんな未来、いやです!
「一体どうなっちゃうんだろう!? って思いますね」
プラスチックに囲まれた生活
●海洋ごみの問題を解決するためには、家庭から出るごみを減らすために生活を見直すことも大事かなと思うんですけれども、なるべく家庭にプラスチックを持ち込まないようにしたいなと思っても、スーパーとかコンビニに並ぶ商品って、ほとんどプラスチックの容器とか袋に入っていると感じるんですが、どうしたらいいんでしょうか?
「どうしたらいいんでしょうね(笑)。自分も同じような疑問を持って一度試したことがあって。それは何かというと、朝起きてから寝るまでプラスチックに触れないで、自分は生活できるのかどうか、これやってみたんですね」
●どうでした?
「大失敗しましたね。朝起きる時、目覚ましを鳴らします。目覚ましが鳴って押した瞬間にその目覚まし時計がプラスチックで・・・」
●ああ〜!(笑)
「もう何もならない、そこでもうゲームは終わってしまうというところがあります。そういったところからすると、プラスチックに触れないで、今、現代人が生活できるかっていうと、これはほぼ無理なんだろうなと思いますね」
●(プラスチックは)至る所にありますよね。
「フランスのルモンド紙に載っていた写真を見たんですけど、愕然としたんですね。その家の中からプラスチック製品を全部出してみようと、庭に全部出していたんですよ。そしてその写真を見たら、家の中はもうほとんど何も残っていなかった。プールサイドに家財道具が全部並んでいたというぐらいなんですね。
そういったところからも、今の私たちの社会にとってプラスチックは欠かせないものになっているのかなと。今収録している部屋の中にも、どれだけプラスチックがあるかっていうようなことにもなってきますよね(笑)。
ただ、よく誤解されるところがあるんですけれども、たとえプラスチックをたくさん使っても、きちんと分別をするとか処理さえすれば、海洋ごみになることはないんですね。逆に、たとえプラスチックの使用を減らす、もしくは生産を減らしていったとしても、ポイ捨てしたり、あるいは我々がずさんな管理をしてしまえば、それは海洋ごみになってしまう可能性があるということなんです。
プラスチックが生活にこれだけ浸透しているのは、やっぱり便利で安くできるからというところだと思います。今のコロナ禍においては感染対策においても、改めて使い捨てのプラスチックの価値が見直されているというところも聞いていますので、プラスチック並に便利で、たとえ海に流れても分解されるような代替の素材が開発されるまで、まだまだ時間がかかりますので、それまではプラスチックの使用を中止するのは現実的ではないと思います。
プラスチック=悪と決め付けるのではなくて、例えばリサイクルをして再利用していく。そういったものをしっかりとシステムとして作り上げるとか、あるいは再利用できないものは、例えば日本でいうと燃やしてエネルギーにしていく。これはCO2の問題なんかもあるので、各国では問題になるんですけれども、こういった活用方法を賢く考えて使うということを、私たちは生活の中でも考える、もしくは政府の中、研究者の中でも考えていく必要はあるのかなと思っています」
※補足:ポイ捨てや、うっかりで出てしまったペットボトルやレジ袋など、ごみとなってしまったプラスチックは、河川や水路を通って海に流れ出しています。そんなプラスチックごみは海洋生物や海鳥などに影響を与えていることは以前番組でもお伝えしました。
また、5ミリ以下のマイクロプラスチックや、肉眼では見えないナノサイズのプラスチックが魚などから見つかっていますが、人体への影響については、まだはっきりしたことはわかっていないそうです。
たくさんの企業の技術を結集
※日本財団では海洋ごみの削減に向けた取り組みを行なっています。去年立ち上げた連携組織「アライアンス・フォー・ザ・ブルー」ではどんな活動をされているのか海野さんにお聞きしたら、まず、素敵なバッグを見せてくださいました。
「これが何からできているかってご存知ですか? 見た目で分かりますか?」
●見た目では全く、素敵な水色の、あと皮と、おしゃれなバッグです。
「何からできているかというと、実はこれ、魚を捕る網で出来ています。リサイクルなんですね。リサイクル商品としてはものすごくいい形で仕上がっていると思うんですね。海洋プラスチックの中でも重量ベースで最も多いのがいわゆる漁具、その中でもやっぱり悪さをするのは漁網って言われているんです。
これをたくさんの企業のお力をお借りして実現したのが、ひとつのものとして、これなんですね。実はこの取り組みの前に、日本最大の消費者団体であります生活協同組合のCO・OP(コープ)ってご存知ですよね? 彼らと一緒に消費者のプラスチックごみに対する声っていうものちょっと調べてみました。そうしたところですね、興味深い実態が浮き彫りになってきました。
挙げるとですね、3つほどあるんですけれども、ひとつは、消費者は企業が提供する選択肢が乏しいことに不満を持っている、これがまずひとつ。それともうひとつは、企業による新しい選択肢の提供を待っている。もっとたくさん(選択肢が)出てきたら私たち消費者は買いますよと思っているんですね。
さらに、環境に配慮した商品がたくさん出てくれば、それは一定のコスト負担、付加価値が付いたものがあれば、コストを負担してもそれを許容できますと、要は買いますよということを生活者の皆さんは思っているんですね。
この調査結果からも、何が言えるかというと、企業の協力、企業の貢献というのは、これはやっぱり欠かせないということを改めて感じたところです。もちろん一筋縄じゃいかないところもあるんですけれど、例えばプラスチック製品の商品企画から流通、製造、消費、処分、あるいはまたこれを再利用していくと、こういった一連の過程の中で色んな企業さんが関わってきます。ですので、ひとつの企業や業種で取り組むだけでは、限界が出てくるんですね。
なので、日本財団では石油化学ですとか、あるいは日用品、食料品、包装材のメーカーさん、小売さん、リサイクル企業さん、色んな企業のかたがたを集めて、本気度のある、ちゃんとした製品を作ろうじゃないかということで集まったのが、”アライアンス・フォー・ザ・ブルー ”というもので、2020年7月に立ち上げて、今、大体34社になっています。
自分たちが足りないもの、もしくは自分たちはこんないい技術を持っているっていうものを出し合って、ひとつのいい製品を作ろうと出来たのが、この漁網のバッグということです」
●リュックもトートバッグもショルダーバッグも、本当に生地もしっかりしていますし、見た目もお洒落ですね。
「そうなんです」
※補足:日本財団が立ち上げた連携組織「アライアンス・フォー・ザ・ブルー」にはセブン&アイ・フォールディングスや大日本印刷、三菱ケミカルなど、いろいろな業種の企業が34社参加しているとのことでした。
そして、漁網をリサイクルしたバッグは10月1日から「豊岡カバン」のオフィシャルショップやオンラインで販売される予定だそうです。ぜひネットでチェックしてください。
ごみは人の心から出てくる
※日本財団の取り組みとして、きのうから「秋の海ごみゼロウィーク」がスタートしました。海野さん、これはどんな活動なんですか?
「日本財団と環境省で共同開催しているものでございまして、全国一斉の清掃キャンペーンになります、要はゴミ拾いキャンペーンですね。で、この春の海ごみゼロウィークというものがあって、こちらは5月30日、ごみゼロの日から6月8日まで。6月8日っていうのは国連で定められた世界海洋デーなんです。
この期間を“春の海ごみゼロウィーク”ということで、一斉ゴミ拾いをやってもらったら、コロナ禍でもありますのでなかなか難しいということで、今回は秋にもこれを設置しようということで、9月の第3土曜日、これはワールドクリーンアップデーにもかかるんですけれども、この前後を踏まえて、1週間は“秋の海ごみゼロウィーク”と名付けて今、実施をしているところであります」
●これ、今からでも参加はできるんですか?
「もちろん参加できます。“海ごみゼロウィーク2021”のホームページがありますので、こちらの応募フォームから申し込んでいただければ、ごみ袋を無償で提供をさせていただきますので、ぜひ参加していただければと思っています」
●日本財団のご協力をいただいて、bayfmでは”LOVE OUR BAY! 海ごみゼロ!プロジェクト”を進めております。私も近所のごみ拾いをして、写真を撮ったりしているんですけれども、色々な企業や自治体などが連携していけば、どんどん大きな力になっていきますよね」
「おっしゃる通りだと思います。海ごみと聞くとあたかも誰かが海に行って、そこでごみを捨てているような感じに捉えられるかもしれませんが、先ほど申し上げた通り、もともとは陸から出たものなんですね。
海洋ごみは川から来ます。川のごみはどこから来るかというと町から来ます。町のごみはどこから出てくるかというと、やっぱりこれは人の心から出てくるというところはあると思います。海洋ごみ問題というのは全ての人に関わる問題ではあると思っています。
そういった意味ではプラスチックを製造販売している企業、そして処理関係の権限を持っている自治体さん、各地のNPO団体、スポーツ団体、あるいはマスメディアのかたがた、あらゆるステークホルダーと連携しながら、国民ひとりひとりがこれ以上ごみを海に出さないんだという強い意志を持って連帯していく、こういう気運作りというかムーブメント、こういったものを作っていければと思っています。解決のカギを握るのはやっぱり人の心だと思いますので」
※補足:2019年の「海ごみゼロウィーク」では全国1500カ所でおよそ40万人のかたが参加する一大イベントになったそうです。新型コロナの影響で、今年は開催規模は小さくなってしまっているそうですが、感染が落ち着いている地域で対策を万全にして実施しているところもあるとのことです。開催は9月26日まで。詳しくは「日本財団」のホームページでご確認ください。
◎日本財団「海ごみゼロウィーク2021」:https://uminohi.jp/umigomi/zeroweek/
「瀬戸内オーシャンズX」!
※それでは最後に、今後取り組んでいきたいこと、そして目標について海野さんにお話いただきました。
「”海と日本プロジェクト”、これは前からやっていたんですけど、この一部に”チェンジ・フォー・ザ・ブルー”という海洋ごみ対策のプロジェクトを2018年の11月から開始をいたしました。
チェンジ・フォー・ザ・ブルーのザ・ブルーというのは、青は海を象徴する色なので、海の豊かさを守るという意味。それとチェンジというのは、海にごみを出さない社会に変えていこうという理念のもと、チェンジ・フォー・ザ・ブルーって名付けたんですけれども、こういった中で産学官民が連携したオールジャパンの取り組みとして、海洋ごみの問題を解決するモデル事例を、とにかくたくさん作っていきたいという思いで今進めているというところではあります。
もちろん何をするにしても調査結果、いわゆる科学的なエビデンス・データっていうのは必要です。ですので、これを踏まえた上で何をすることが効果的なのかということを考えながら今、対策というか事業を進めているところであります。
チェンジ・フォー・ザ・ブルーを開始しまして、自治体とも連携してモデル作りを進めていくような中で色んな課題も見えてきました。そもそも海に流れ出たごみというのは県や市町村を越えて移動してしまうんですね。ごみに県境はないし、海も県境や市境はありませんので、そうなってくると誰がどのように回収するのか、あるいは役割分担や回収の責任の所在というのは結構曖昧になってくるんですね。
そうなると各地域で海洋ごみ対策というのが、地域の人たち、あるいは個人、個々の人の取り組みに任せられてというのがあるんですね。なので、ある意味放置されている状態であったというところはありました。
そこで、単一の自治体の枠を超えて、広域のエリアで海洋ごみ対策、これのモデルを構築しなければいけないのではないかということで、2020年の12月だったんですけれども、ターゲットは瀬戸内海、美しい海ですよね、美しい海にもごみってあるんですよね。このごみをなんとかゼロにしてきたいということで、新しいプロジェクトを開始しました。
それが”瀬戸内オーシャンズX”。何でXかというと、今回参加してくださっている自治体というのは香川県、愛媛県、岡山県、広島県、これは瀬戸内を巻き込んでいる自治体になっていますけれども、(地図で見ると)X型に連携をするというところで、このプロジェクトを進めました。
なんで瀬戸内海かというと、瀬戸内海ってやっぱり外海からごみが流れ込む確率は少ないんですね。そういった意味では我々、閉鎖性海域と言っているんです。瀬戸内にあるごみは逆に言い換えると、ほぼ自分たちの出したごみなんです。なので、ここで対策をすると何が起こるか可視化しやすいんですね。
要は対策をして、県民の皆さんがしっかりと取り組んでさえくれれば、瀬戸内のごみは限りなくゼロに近づくということが分かってきました。ですので、今、環境省さんが法律を変えるような形で進めているんですけれども、それと相まって私たちもこういうプロジェクトを進めていく中で、瀬戸内のごみをゼロにするということで、ごみを通じてちゃんと海のことを考えてもらう意図も踏まえて、この瀬戸内オーシャンズXを始めました。
大体5年間でゴミの流入を70%減らす。これは川のゴミを遮断すれば、ある程度できます。それと同時に回収ですね、海洋ごみの回収を10%増やす。これをすることによって理論上、ごみはゼロに近づいていくと。5年間でなんとかこの取り組みを成功に導きたいなと思っています。
当然のことながら調査研究をしながら、企業の皆さん、地域連携をやりながら、あとは教育と、市民の皆さんに対しての行動ですね。こういったことをしながら政策形成、自治体の皆さんに対して、私たちもごみに対するシンクタンクを持っているものですから、こういった政策形成の部分もサポートしながら、この4つの柱を掲げ、先駆的な様々な取り組みを進めていきたいなと思っておます。上手くいけば、この成功事例が海外にも持っていけるのかなと、日本発、瀬戸内発のモデルとして出ていけばいいなという風に思っています」
INFORMATION
日本財団が進めている海洋ごみ対策のプロジェクト「チェンジ・フォー・ザ・ブルー」そして連携組織「アライアンス・フォー・ザ・ブルー」に今後も番組として注目していきます。
海野さんが創設した「海と日本プロジェクト」は海洋ごみの削減だけでなく、子供たちや大人たちにも海に関心を持ってもらうための様々な取り組みを行なっています。詳しくはぜひ日本財団のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎日本財団 HP:https://uminohi.jp/
ベイエフエムでは日本財団の協力のもと、「LOVE OUR BAY! 海ごみゼロ!プロジェクト」を進めています。参加方法は簡単! ゴミを拾って、それを写真に撮って送るだけ。ぜひ一緒にチーバくんごみゼロMAPを完成させましょう。詳しくはベイエフエムのサイトを見てくださいね。
◎bayfm HP:https://www.bayfm.co.jp/info/umigomi0/
2021/9/19 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. BLOW / 山下達郎
M2. OCEANS / COLDPLAY
M3. IN THIS LIFE / DELTA GOODREM
M4. HAPPY WITH YOU / PAUL McCARTNEY
M5. BEYOND THE SEA featuring JOHN SHIPE / HALIE LOREN
M6. HAPPY PEOPLE / R.KELLY
M7. WAITING ON THE WORLD TO CHANGE / JOHN MAYER
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2021/9/12 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ゴミ清掃のお仕事もされているお笑いコンビ「マシンガンズ」の「滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)」さんです。
滝沢さんは清掃員の体験などをSNSで発信、また、ゴミに関する本も出され、ゴミ清掃芸人として大注目されています。去年10月には「環境省サステナビリティ広報大使」に就任されているんです。そんな滝沢さんをお迎えして、ゴミにまつわる、眼から鱗のお話満載でお送りします。
☆イラスト:本田しずまる
ゴミには人間性が出る!?
●きょうはゴミに関するお話を色々と聞かせてください。よろしくお願いいたします!
「よろしくお願いいたします〜!」
●滝沢さんの新しい本については後ほどお話をうかがいますが、その前に滝沢さんがSNSや本で発信されて話題になった言葉について、いくつかうかがっていきたいなと思います。
「はい、なんでも聞いてください」
●まずは「地域の品格はゴミ集積所で分かる」というお言葉ありましたけれども、これはどういうことですか?
「逆を言えば、一般的に治安のあまりよくないと言われる場所ってあるじゃないですか、 そういうところって必ず、集積所を見ると汚かったりとかするんですよね。だから言ってみたら汚くなっている状態でも誰も何も気にしないということで、それが何を意味しているかって言ったら、やっぱり近所の目がないっていうことなんですよね。だから綺麗なところっていうのはやっぱり目が行き届いているわけですね」
●引っ越しする時に治安がいいところに住みたいなと思ったら、ゴミ集積所を見に行けばいいかもしれないですね。
「見るといいと思いますし、あとは例えば不動産屋さんとかに、ちょっと集積所を見せてもらっていいですかとお願いして、見たほうがいいですね」
●なるほど!
「なんかそのアパートとかマンションにどういう人が住んでいるのかっていうのがやっぱり分かりますね。ゴミの出し方が汚いだけでは多分ないんですよ。ゴミの出し方も悪いし、例えば夜中に騒音を出すとか、やっぱり繋がっているんですよね、生活で。その人間性みたいなところを表しているのがゴミっていうことだったりするんですよね」
●本にもゴミは伝染するっていうことで、適当なゴミを見るとこのくらいの分別でいいのかなということで、悪い人の真似をしてしまうっていうのが人間であるっていう風に書かれていましたけれど。
「そうなんです。自分に置き換えると分かりますけど、例えばペットボトルのラベルを剥がしてペットボトルの日に出そうと思ったら、みんなラベルを剥がしていなかったら、剥がさなくっていいんだ! ってやっぱり思いますよね」
●確かに思っちゃいます。
「来週から剥がさなくていいや、そのまま出そうってなるんで、やっぱり自分の出したゴミって意外と人に影響を与えているんですよね。だから僕、ゴミ回収に色んな場所に行くじゃないですか。そうすると綺麗なところは本当に綺麗なんだけど、汚いところはどんどん汚くなっていくんですよね」
●そういうものなんですね。続いて「ゴミは生活の縮図で人格をも表現する」というお言葉、これもまさにそういうことですよね。
「そういうことですよね。やっぱりゴミって結局、嘘をつかないんですよね。人間って結構意外と色んな嘘とかついていたりするんですけど、ゴミ自体は嘘つくことがなかったりするので、意外とその人自身を表しているのかな〜なんて思ったりしますね。
例えば、色んなお金持ちの地域みたいな、高級住宅街みたいなところがあるじゃないですか。そういうところと一般的な住宅街っていうのは、出るゴミが違ったりとかするんですね」
●お金持ちのかたほどゴミのことを考えていらっしゃるっていうことですか?
「あ、小尾さんは勘がいいですね! お金持ちなんじゃないですか!?(笑)」
●いやいや、全然です!(笑)。でもどういうことですか? お金持ちのかたほどっていうのは・・・。
「買っている商品はもちろん違うみたいなこともあったりするんですけど、意外とね、一般的な住宅街のほうがゴミの量が多かったりするんですよ。一見、逆のようなイメージないですか? お金持ちの人がいっぱい買って、バンバン捨てているみたいなイメージですけど、実際は逆で、お金持ちのかたのほうがゴミがすごく少ないんですよ。極端に少ない。
でも一般的な住宅街のほうが結構ゴミが多いのは、意外と中身をバッと、見ようと思ってみるわけではないですよ、見てみると100円ショップのものとかで、そんなにまだ使っていないようなグラスみたいなものとかね、そういうものが結構出ていたりするんですよね。
あとはファストファッション的なこと、そんなに袖を通していない綺麗な洋服でも、結構、年末年始や引越しシーズンになると意外とバンバン捨てて、洋服の束が4袋とか5袋とか・・・出すかたが結構いるんですよ。やっぱりそういうのって普段の生活で適当に買っちゃう、でも100円だから捨てちゃおうみたいなのが、結構表れているのが一般的な住宅街のゴミだったりするんですね」
●へ〜〜、面白いですね! ゴミって(地域性が)出るんですね!
「そうなんですよ。逆に言えばお金持ちの地域のかたとかは、皮肉じゃないですけど、自分の好きなものをちゃんと買っているから、そんなに捨てることもあんまりなかったりするんですよね。そこに量の違いが出てくるのかなと思いましたね」
ゴミ清掃車1台で1日10〜12トン!
※滝沢さんがゴミ清掃のお仕事は始めたのは、36歳のとき。奥様から、妊娠したのでまとまったお金が必要よ、といわれ、友人の紹介でゴミ清掃のお仕事をやることになったそうです。お笑いだけで食べていきたいと思っていた滝沢さんは、最初は気が進まなかったそうですが、その後は本気で取り組むようになり、今年で丸9年に続けているんです。
滝沢さんはゴミ清掃員になった当初、とても驚いたことがあったそうです。いったいどんなことに驚いたんですか?
「こんなにゴミ出ているんだ! って、まず思いましたね。みなさん、自分のゴミしか見ていないじゃないですか。でもゴミ清掃員って当たり前なんですけど、みんなのゴミを回収するんですよ。例えばパッカー車って分かります? ゴミ清掃車。あれって最大2トンぐらい(のゴミを)回収するんですよね。小尾さんはあれをパンパンにしたら1日の仕事は終わりっていうイメージないですか?」
●あります、あります!
「あれね、実は1日6回やるんですよ。6台分」
●ええっ!?
「ゴミがパンパンになったらゴミ清掃工場に持って行って捨てて、またその続きからやるんですよ。それを1日6回。だからつまり1日10トンから12トンくらいのゴミを回収しているんですね。1台でですよ」
●すごいですね。そこまでくると想像がつかない量ですね。
「それがもう何十台とその自治体で(パッカー車が)出るじゃないですか。えっ! うちの自治体だけでこんなにゴミが出ているの!? って本当に思うんですよ。清掃工場とか見たことあります?」
●はい! あります!
「ゴミを溜めるところ見た?」
●溜めるところ?
「清掃車がゴミをバーって出して、大きな穴みたいのがあって、うちの自治体だと横30メートル、深さ20メートルくらいあるんだけど、それがね、年末年始になるとパンパンになるくらいすごい量のゴミになるんですよ。これを見ていると、本当にゴミで日本は埋まらないのかなって、当たり前のように思うようになるんですね。これが衝撃だったんですよ」
●ゴミが多い多いと言われていても、実際にそこまで!っていう感覚がないですよね、普通に生活をしていると。
「目の前からなくなると、もうゴミって消えてなくなっちゃったものだと思いません?」
●はい、思っています。
「意外とゴミってなくなることはなかったりするんですよね」
●(ゴミ清掃会社の)非常勤とはいえ、今でもゴミ清掃のお仕事を続けているのは、何か思いがあるってことですか? やりがいとか。
「やりがいがありますね。ありますし、もうゴミ清掃をやっているのが好きの領域に入ってきましたね! 本当はお笑いをやりたいからゴミ清掃なんかやりたくねーよなんて、思いながらやっていると意外とね、逆に辛いんですよね。
だから3年目くらいの時に、ゴミ清掃自体のことを好きになろうって思って仕事に取り組むと、色々やっぱり見えてきて面白かったんですよ。それこそ金持ちのゴミと一般的なゴミの違いをよく見て、焦点を当てると全然違うんだなとか思ったりして、面白い発見がいっぱいあったんですよね。やっぱり日々発見があるので今は楽しいですね」
※滝沢さんからこんなお話もありました。ゴミの袋を結ばずに出しているかたもいるので、ゴミを出すときはしっかり、出来れば二重に結んで出していただけるととても助かるとおっしゃっていました。
また、嬉しかったお話としては、竹串を空になったティッシュの箱に入れてくるんで、ゴミ袋から飛び出さないようにしてくださったかたもいたそうです。「プロの主婦」だと感じたそうですよ。ゴミ清掃員のかたがケガをしないようにという思いやりですよね。
ゴミか資源か、重要ポイント
※いまはゴミの分別は当たり前のことですが、分ける時に、これは燃える? 燃えない? どっちなんだろうと迷うことも多いですよね。地域によってルールが違うこともありますが、何かわかりやすい基準はあるんでしょうか?
「小尾さんはゴミって何種類あると思いますか?」
●燃える、燃えない、あと缶とかビンとか、そういったことですか? 粗大ゴミとか?
「6種類?」
●10未満!(笑)
「10未満(笑)、正解は2つです!」
●2つ!?
「実はゴミっていうのは燃えるゴミと燃えないゴミしかないんです。ビンとか缶とかペットボトルとか古紙とか、これはじゃあなんだ? ゴミじゃないのか? って言ったら実はゴミじゃないんですね。これは”資源”なんですよ。みなさん多分、資源って言っているはずなんですよ。中には資源ゴミって言っている人もいるんですね。僕らの世界で資源ゴミって言うと怒られるんですよ。何でかって言ったら、資源であってゴミじゃないだろって言われるんですね。
つまりゴミと資源の2種類なんです。だからゴミって何種類?って言ったら7〜8種類って大体答える人が多いんですけど、それは資源”ゴミ”として扱っているわけなんですね。なので、まずゴミというのは燃えるゴミと燃えないゴミ。例えば、燃えるゴミの中にまだまだ資源として活躍できるものがあるかどうかっていうのを考えるのが大切かなと思いますね。
結構みなさんが何気なく捨てているんですけれど、紙っていうのがありますね。燃えるゴミの中に結構、雑紙というものを捨てていらっしゃるんですよ。例えば小尾さんだったら台本の紙だとか、あとはメモ用紙だとか、あとティッシュの箱なんかもそうだったりするんですけど、こういうのって意外と可燃ゴミでみなさん捨てているんですよ。これを抜き取ると3分の1ぐらいゴミが減ったりするんですね」
●へぇ〜! 紙だけでも!?
「紙と、あとプラスチック! 容器包装プラスチックっていうのがあるんですけど、本当に可燃ゴミの中に大きな割合であるのがこの2つなんですよ。紙とプラスチック、これを抜くと3分の1くらいゴミが減るんで、これも可燃ゴミとして出す、資源として出す、って人の気持ち次第でどっちに出すかって変えられるじゃないですか。
可燃ゴミってさっきも言いましたけれど、清掃工場に持っていくんですね。これはもう燃やすしかないんですよ。燃やすと次は灰になるんですね。こうなったらただのゴミなんですよ。資源に回すとなると雑紙、これ古紙の日に、新聞とか雑誌とか段ボールの日に出すんですけど、雑紙として出せば、また紙として生まれ変わるんですよ」
●そうですね〜。
「灰になるか紙になるかで、やっぱり行き先が全然変わってくるんですね。だから基本的には、ゴミの中からまだまだ使える資源はないのかなって探すのが、いちばんいいかなと思いますね。
不燃ゴミも同じです。意外とビンや缶を不燃ゴミで捨てている人が結構いるんです。缶は缶で出したら資源として生まれ変わるということなんで、是非ここは結構、重要ポイントなんで、ゴミと資源ということをまずしっかり認識して、昔から混ぜればゴミ、分ければ資源みたいなことを言いますけれど、そこらへんは今すぐ明日にでも地球のためにできることだと思いますね」
※滝沢さんによると、清掃工場で燃やされたゴミは灰が残るので、その灰と、砕いた燃えないゴミは、最終処分場に運んで埋めるそうですが、東京都の場合はあと50年ほどでいっぱいになるとか。最終処分場の寿命は全国平均でいうと、あと20年くらいではないかということでした。ごみを減らさないと日本はゴミで埋まってしまうかも!?
市川市・24時間営業の生ゴミボックス
●滝沢さんが先ごろ出された新しい本『日本全国 ゴミ清掃員とゴミのちょっといい話』を私も読ませていただきました。自治体の野心的な取り組みがたくさん紹介されていて、この町ではこういう工夫をしているんだっていうアイデアが豊富に載っていて、すごく勉強にもなりましたし、読んでいてすごく面白かったです。
「ありがとうございます。もう100点の答えですね!」
●ありがとうございます(笑)。その中からいくつか気になった取り組みについてうかがっていきたいなと思います。まずは千葉県市川市の事例を紹介しているページで、24時間営業の生ゴミボックスという見出しがありましたけれど、これはどういう取り組みなんでしょうか?
「これは本当にそのまんま、市川市は24時間生ゴミを捨てに行けるボックスみたいなものがあるんですね」
●まだ試作品ということですけど・・・。
「もちろん成功して全国に広がってほしいなと思うんですよね。これね・・・色々分別とかしていたりするじゃないですか。可燃ゴミの中から紙を抜き取ったり、プラスチックを抜き取ったりすると、3分の1くらいは減るんですよ。で、残りの3分の2で結構、大きな割合を占めているのが生ゴミなんですよ。
生ゴミはやっぱりゴミ清掃員にとっても意外と大敵で、生ゴミをぎゅっと絞るとかしないで、そのまま捨てるかたもいらっしゃいますね。各家庭の生ゴミの、絞っていない汁があるでしょ。あれって清掃車で圧縮しながら回収しているから、各家庭の生ゴミのあの匂いの汁がぎゅっと出てくるわけなんですよ。あれがかかるともう1日中臭いですし、町で回収しながら小学生とかに”臭えーよ!”みたいなことを言われるんですけど、あれが原因なんですよ。
なので、みんな本当に各家庭で絞ってほしいんですけれど、その生ゴミ自体がなくなれば意外とそんなに、可燃ゴミって臭くならないんですよね。他に臭いになる原因ってあんまりなくて、例えばオムツみたいなものは臭いの原因になったりするんですけれど、それ以外ってあんまり臭うってことはなかったりするんですよ。
しかも生ゴミって濡れているでしょ。焼却炉の敵なんですよね。水に濡れているから燃えにくいんですよ。燃えにくいってことはそこにエネルギーを足さなきゃいけないので、二酸化炭素とかもやっぱりより多く出るし、あとはこのエネルギーっていうのがみんなの税金なんですよ」
●そうですね・・・。
「なので、みんながぎゅっと生ゴミを絞れば、税金も節約できるんですよね」
●この市川市の(生ゴミボックス)は、いつ生ゴミを出しに行ってもいいってことですか?
「24時間いつ出してもいいし、だからみんなの生ゴミがなくなるんです。税金自体も安くなりますし、また、生ゴミをエネルギーに変えるらしいんですね。だからいいことしかないんですよ。本当にさっきも言いましたけれども、混ぜれば全部ゴミになるんですけど、こういう風に分別したら何かに利用できるんですよね」
●すごいですね〜!
「いい取り組みでしょ! これは全国に広がってほしいんですよ」
●続いて、新潟県南魚沼市の取り組みで、特産品のお米が指定ゴミ袋に! これはどんな取り組みなんですか?
「考えてみればゴミ袋って、世界で唯一ゴミになるために生まれてきているものなんですよね」
●そうですよね。ゴミ袋もゴミになっちゃうんですよね。
「ゴミになるんですよ。燃やすものなんですよ。なのでただ単純に新しく生み出すんじゃなくて、例えば魚沼はお米がとれるところであって、全部が売り物になるかって言ったらそうでもないお米もあったりするんですよ。(粒が)欠けているお米だとかそういうものを利用して袋を作っているわけなんですね。普通に作るよりも燃やした時に、言ってみたら二酸化炭素が新しく袋を作るよりも出ないっていうことなので、これもとてもサステナブルな取り組みですよね」
●ゴミとなったゴミ袋は袋だけで年間で28万トンと本に書かれていてびっくりしました!
「まとめるとそのくらいになるんですよね。だから塵も積もれば山となるって本当なんですよ。こういうところにも配慮するっていうのは素晴らしいですよね」
●その袋も当たり前のように燃やされていくわけですよね。
「自治体は横の繋がりってそんなになかったりすると思うんですよね。なのでこの本で、意外と隣の自治体はこんなことやっているんだっていう、みんな見て、お互いがお互いにいいところをパクるべきだと思うんですよね」
※新宿区の区役所には「入れ歯」の回収ボックスがあって、滝沢さんもそれを見つけたときは驚いたそうですよ。私たちが知らないだけで、こんなものまで! っていうものを回収しているかもしれませんので、お住まいの自治体のホームページなどをチェックされてみてはいかがでしょうか。
また、滝沢さんは「洋服はレンタルの時代だ!」と提案されていて、ご自分でも実践されています。衣類が増えなくて、自宅にスペースがあるのは気持ちいいとおっしゃっていましたよ。いまは洋服のレンタルサービスがいろいろありますので、これも調べてみるのもいいかも知れません。
4つ目のR=リスペクト
※ゴミを減らすために3R「リデュース、リユース、リサイクル」が大事だと言われますが、滝沢さんは4Rを提案されていますよね?
「僕は4R、4つ目のRを提案したいのは、”リスペクト”ということなんですね。リスペクトって尊敬するとか敬意を払うって意味じゃないですか。これってその気持ちがあれば、意外とゴミ問題って大概、解決するんじゃないのかななんて思ったりするんですね。
僕なんかゴミを回収していて、洋服とかも適当に買って適当にばーって捨てている姿を見ていると、やっぱりものを作った人もいたりするわけじゃないですか。それを作った、携わった人ってこういう風に新品のうちに捨てられているのを見たら、やっぱり心痛むと思うんですよね。
ゴミを回収していると、本当にまだまだ食べられる物もバンバン捨てられているんですよ。メロン丸ごと3つだとか、高級ゼリーのセットだとか、お歳暮やお中元シーズンにすごく捨てられるんですね。
それってなんかもう、人の顔があんまり見えていないから、能率を最優先しちゃうから、別にいらなきゃ捨てちゃおうっていうことなんですけど、例えば自分の子供が作ったものだったら、ちゃんと食べるじゃないですか。
顔の見えない社会って意外とそういう風にバンバン捨てられたりとかして、そこにやっぱり敬意を払う、リスペクトするという気持ちが欠けているような気がするんですよね。
僕はこのリスペクトという気持ちがみんなにちょっとずつあれば、意外とゴミ問題は解決するかななんて思ったりしますね」
●4つ目のR、リスペクト、大事ですね!
「ゴミを回収する人がどういう風に思うのかなっていうのを考えることも、リスペクトだと思うんですよね」
●そうですね。ゴミの出し方を変えますよね。
「そう、そこがやっぱり、僕がゴミ清掃員を9年間やっていて、日本人に欠けていることかなって思いますね」
●もうひとつ、「ラストロング」という言葉もお好きっていう風にうかがっていますけれども・・・。
「そうなんですよ。ラストロングっていう言葉はアメリカの、言ってみたらひとつの思想みたいなことなんですけれども、直訳すると長持ちだとか、持ちがいいみたいなことなんですけれど、それの真意っていうのは愛しているものならば命なくなるまで使うっていう思想なんですね。やっぱり最後まで使い切るっていうことが大事だなと思いますね。
意外とだから、日本でいうと、もったいないが近いんですけれど、もったいないって捨てる時にまだまだ使えるじゃないかっていう気持ちだったりとかするんですね。ただこのラストロングっていうのは、買う時にちゃんと愛せるかなとか、愛しているものであれば、買ったあとに命なくなるまで使えるかなっていう気持ちが、ラストロングっていう精神だと多分思うんですけれど。
そうなるとやっぱりものを買う時に、これはちゃんと使い切れるかなって考えたりする、買う時に捨てる時のことを考えるみたいなことで、これを本当に愛せなければ買わない、これが意外とリユースに繋がったりするんですよね。だからとても大切な言葉だなと思います。日本でも流行ったほうがいいなと思いますね」
●番組を聞いてくださっているリスナーのみなさんに、改めていちばん伝えたいことってなんでしょうか?
「やっぱり僕がやりたいのは『使えるゴミの日』があったらいいな、なんて思ったりするんですよね。バンバンみんな使えるものを捨てたりするんですけど、もう一度なんか、リユースじゃないんですけれども、フリマアプリで売れるかなだとか、誰か貰ってくれないかなとかって、やっぱり考えたりすることって、それだけでもゴミが減ることになると思うんですよね。あとは買う時にこれは本当に最後まで使えるかっていうことを、みなさんに考えていただけると嬉しいなと思いますね」
INFORMATION
『日本全国 ゴミ清掃員とゴミのちょっといい話』
この本にはゴミ問題に対して斬新で野心的な取り組みをしている自治体が紹介されています。ゴミの収集や削減にかける各自治体の熱意を感じる一冊です。ぜひ読んでください。滝沢さんが言うように、各自治体がいいところはどんどん真似するようになればいいですね。主婦の友社から絶賛発売中です。詳しくは、出版社のサイトをご覧ください。
◎主婦の友社HP:http://shufunotomo.hondana.jp/book/b587092.html
滝沢さんのTwitterやYouTubeもぜひ見てくださいね。ゴミを減らすためのヒントがあると思いますよ。
◎滝沢さんYouTube:https://www.youtube.com/channel/UCyIxk4FS9xziPrnbxGQabEw
◎滝沢さんTwitter:https://twitter.com/takizawa0914
滝沢秀一さんの新しい本『日本全国 ゴミ清掃員とゴミのちょっといい話』をサイン入りで、抽選で3名のかたにプレゼントいたします。メールでご応募ください。件名に「本のプレゼント希望」と書いて、番組までお送りください。
flint@bayfm.co.jp
あなたの住所、氏名、職業、電話番号を忘れずに。番組を聴いての感想なども書いてくださると嬉しいです。応募の締め切りは9月17日(金)。当選発表は発送をもって代えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています。
応募は締め切られました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
2021/9/12 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. SMILE / ELVIS COSTELLO
M2. WE BUILT THIS CITY / STARSHIP
M3. EVERYDAY / INCOGNITO
M4. PAPERBACK WRITER / THE BEATLES
M5. I SAY A LITTLE PRAYER / ARETHA FRANKLIN
M6. SAVE THE BEST FOR LAST / VANESSA WILLIAMS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2021/9/5 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、イラストレーターの「じゅえき太郎」さんです。
じゅえきさんは1988年、東京生まれ。子供の頃から絵をかく仕事を志し、会社員を経て、現在はフリーのイラストレーター、画家、漫画家として、おもに昆虫をモチーフにした作品を発表。2016年には、草むらと昆虫をえがいた5メートルの大作で「第19回 岡本太郎 現代芸術賞」に入選。ちなみに「岡本太郎」さんはじゅえきさん憧れの芸術家でペンネームにある「太郎」は「岡本太郎」さんから来ているんです。
2019年には『すごい虫ずかん』で絵本作家としてもデビュー。また、この夏に出版された最新刊『もしもカメと話せたら』ではイラストを担当されています。
そんなじゅえきさんはTwitterの「ゆるふわ昆虫図鑑」やYouTubeの動画でも注目されています。SNSの総フォロワー数はおよそ30万人だそうですよ。YouTubeには「君の名は。」のパロディで「セミの名は。」、そして大ヒット曲「香水」のパロディ「Gの香水」のアニメ動画を公開していて、絵はもちろんなんですが、歌や動画制作もじゅえきさんがやっているんです。
☆写真&イラスト協力:じゅえき太郎
パロディ「セミの名は。」!
※パロディの発想はどこからくるんですか?
「『香水』は瑛人さんの歌なんであれなんですけど(笑)、”夜中に〜”って最初に言うじゃないですか、”いきなりさ〜”って言ったところで、夜中にいきなりってゴキブリだよなと思って、そのまま全部作った感じですね。そういうワンフレーズだけを勝手にどんどん広げていくスタイルでやっていますね」
●「君の名は。」も「セミの名は。」で、ミンミンミンって面白かったです(笑)
「やっぱり『セミの名は』も『君の名は』から来ていますね。キミの名はを、セに変えただけでセミになるってなって、セミも結構外で恋愛していると思うと似てるなっていう感じがしませんか」
●面白いだけじゃなくて、ちゃんと生き物の生態を知ることができて、本当に学びにもなるというか。
「そうですね。学んでくだされば嬉しいですね。なんか笑っていたら分かっていたみたいな感じがいちばんベストですかね」
●まさにそうですよね。オリジナルソングもありますよね?
「『タマムシのうた』がありますね(笑)」
●あれも全部、演奏もじゅえきさん?
「一応そうですね。タマムシをたまたま見つけるっていうダジャレから思いついた歌ですね」
●歌とかギターは独学で学ばれていたんですか?
「そうですね。歌は小学校の時に合唱団に入っていたんですけど、その効果はあったのか、多分あったと信じております!」
●お上手です〜。本当に聴き入っちゃうくらい・・・。でもどうやって創り上げていくんですか?
「最初はさっきみたいに一言で、『夜に駆ける』のパロディで、『鳴く虫の夜に駆ける』とかもやったんですけど、あれも”騒がしい〜”っていう歌詞があって、騒がしいって言ったらクツワムシだなと思ったんです。そこから逆にずっと騒がしい虫を考えて、それに合わせて、最初に歌詞と歌を考えて、最後にアニメーションをどんどん付けていくっていう感じですかね」
※YouTubeで公開されているパロディ「セミの名は。」、そして「Gの香水」、ほんとによくできています。特に歌詞に注目ですよ。オリジナル・ソングのアニメ動画「タマムシのうた」もありますので、ぜひYouTubeをチェックしてみてくださいね。
夏休み、虫取り放題!
※じゅえきさんは、子供の頃から昆虫が好きだったんですか?
「そうですね。みんなそうかもしれないんですけど、やっぱり幼稚園の頃、ダンゴムシから入って、小学校1年生からもっとグンとハマっていったって感じですかね」
●何かきっかけはあったんですか?
「きっかけは小学校1年生の夏休みに、虫捕りをしていたんですけど、全然捕まらなくて。そうしたら現地の少年にたまたま会って、本当に絵本みたいな話なんですけど、水生昆虫っていう、タガメとかそういう虫がいるっていうことをまず教えてくれて。
一緒に虫捕りをしていたら、でっかいタガメがいっぱい捕れて、それがずっと楽しすぎて、もう毎年夏休みが楽しみな人生を送っていて、それが現在までまだ続いているっていう感じですかね」
●どこで虫捕りをされていたんですか?
「岩手県で虫捕りをしていました」
●どうして岩手で?
「母の実家が岩手で、おばあちゃん家の外がものすごい田んぼとかがあったんで、虫捕り放題の場所でした」
●今も昆虫を飼ったりとかはされているってことですか?
「もうたくさん飼っています」
●え! どれぐらい、何を飼ってらっしゃるんですか?
「クワガタ、カブトムシはいますし、タガメとかコオイムシ、水生昆虫もちょこちょこいたり、あとカエルがいて」
●へ〜! じゅえきさんは本当に昆虫と共に生きているっていう感じですね。
「そうですね。夜行性の虫が多いので、ヘラクレス(オオカブト)とか夜お腹が減ると部屋の中で飛びだすので、すごくガタガタっていって目が覚めたりしますね」
●そうなんですね〜! じゅえきさんが昆虫とか生き物のイラストを描くようになったのはいつ頃からなんですか?
「小学1年生の自由研究はカブトムシで、2年生はクワガタになって、カエルやって、カブトムシ、クワガタ、カエルみたいな連続だったのと、何を描くかって言われたら、虫以外あんまり想像つかなかったっていう感じですかね」
●虫を捕るだけじゃなくて、絵に描くっていうのもお好きだったっていうことなんですね?
「そうですね。これは僕の持論になっちゃうんですけど、ライオンとかを描いたらアフリカの人に勝てないんじゃないかっていう気持ちがちょっとあるんですよね。やっぱり日本を代表する日本の生き物で、日本人としてちょっと勝負したいってところがありまして。そうするとやっぱりカブトムシとかクワガタは日本にいる、側にいる虫なので、すごくやっぱり好きなんですよね」
顔が決め手!? リアル過ぎずに
※じゅえきさんの作品は、昆虫や生き物の特徴や生態を知ってないと、上手に描けないことも多いと思いますが、生態などは研究されているんですか?
「研究っていうか昔から部屋で飼っていたり、自分で虫を探したり、しょっちゅう家の周りとかでも虫探しはしている日常なんですね。勉強はそこまで得意じゃないんですけど、そうやって経験からなんとか得てきたもの、例えば(オンブ)バッタは下がメスだとか、意外とみんなデカいほうがオスっていう風に思っていたりすると思うんですけど、それをちゃんと勘違いせずに、リボンを下のほうに付けてメスだっていうことにしたり、色々キャラクター設定も変えています」
●擬人化した漫画チックというか、ゆるい作風っていうイメージがあるんですけれども、そういう風に擬人化してみようとか思われたのは何か理由があったんですか?
「それはもう小学校の時からずっと考えていて、なんか動物の擬人化は結構見るんですけど、昆虫の擬人化は図鑑とか見ていても、いいやつがいないっていうか・・・例えばミッキーとミニーがいるなら、カブトムシにもそういうキャラクターがいてもいいんじゃないかなって、小学校の時からずっと考えていたんですけど」
●へ〜〜!
「昆虫って顔がみんな違うんです。目の位置がすごく離れていたり、カブトムシだったらすごく近かったりするんですよ。しかも大体、うつ伏せ気味になっているので、どうしようかなーって悩み続けて、20代半ばで顔をはめ込もうって思いついたのが、今描いているゆるふわの顔で、顔は全員ここだっていう風に決めちゃったんですよね」
●じゅえきさんが昆虫の絵を描くときに何か心掛けていることとかってありますか?
「昆虫の絵を描くときに心掛けていることは、顔をはめ込んでいる以上、他の部分をある程度しっかり何の虫かって分かるように描こうっていうことと、あとやっぱり虫が苦手な方にも見てもらえるようにということで、あんまりリアル過ぎずに・・・結構(昆虫の)裏面が苦手って方が多いと思うんで」
●分かります!
「あ、そうなんですね(笑)。なんかそこはシンプルめに描こうかなと思ったりしていますね。あんまり毛とかを描くとね、皆、うわーっていう感じですよね。だからそういうのは省いて、徐々に慣れていってもらえたらなと思っていますね」
※じゅえきさんは昆虫を観察したりするために季節によって、いろいろなフィールドに行くそうですが、よく行くのが山梨で、とあるペンションでは夜に明かりをつけて虫をおびき寄せる「ライト・トラップ」を貸してくださるそうです。ここは虫好きには有名だとおっしゃっていましたよ。
シジミの顔、どうしよう〜
●じゅえきさんは先ごろ発売された本『もしもカメと話せたら』でイラストを担当されています。この本の設定が、浦島太郎の”竜宮城”ならぬ、優遇される”優遇城”で、カメに拾われてお城にやってきた人間の次郎くんが、水辺の生き物たちから周りとうまく生きるコツを学んでいくという内容です。
本にはカメやカエル、メダカやザリガニなど、水辺の生き物14種類の生態などが会話形式で面白おかしく紹介されています。特に私が気に入ったのがトンボの幼虫ヤゴで、嫌な環境バンバン避けようっていうことなんですよね(笑)。メスは秋に卵を産むけれど、卵のまま冬を越すんですよね。本にも、わざわざキンキンに冷えた環境に生まれる必要なくない? って書かれていて笑っちゃったんですけれども。
「無理する必要ないっていうことを教えてくれる虫なのかもしれないですね」
●都合のいい環境を選んで生まれてくるっていうことなんですか。
「素晴らしいことだと思います(笑)。そうじゃない虫ももちろんいると思うんですけれど、やっぱりそういう虫もいて、人間もあんまり無理しすぎないほうがいいっていうことを多分、文を書いたペズルさんは思っているんじゃないですかね」
●面白かったです〜。夏にヤゴからトンボになって、しばらくしたら山のほうへ行くっていうことで、これも暑いから涼しいところへ逃げるんだ、みたいな感じで書かれていました。
「僕らは冷房がありますけど、彼らにはないので、その辺は工夫して生きているんだなーっていう感じですよね」
●この本では、じゅえきさんのイラストがその面白さを倍増していると思うんですけれども、昆虫ではないので作画するにあたり難しかったこととかもあったんじゃないですか?
「シジミのキャラクターが出てくるんですけど、シジミってキャラクター化したことなくて、外側の貝の部分に目を付けるか、守られている中の部分に目を付けるかってなって。貝の部分に付けるとちょっとカエルっぽくなるのと、あとは貝の外壁の部分には目がないだろうと。なので内側の隙間に顔を全部(入れました)」
●確かに隙間からなんかほっこりした表情で笑ったりっていう・・・
「シジミは今まで描いたことが本当になかったんで、(最初は)結構シジミか〜とは思いましたね」
●この本『もしもカメと話せたら』を手にする方々に、ここを見て欲しい! っていうポイントってありますか?
「さっきもあったように、生き物の生態なんですけど、それを人間の考え方に置き換えているので、色んな考え方があるんですよ。さっきのヤゴとは逆にシジミは耐える型だったり、自分に合った生き物を見つけて共感してもらって、ちょっとストレスとかが減れば、いいんじゃないかな、嬉しいなと思いますね」
自分しか描けない昆虫の絵
※ところで、地球にいる全生物の6割が昆虫といわれています。ということは、地球は昆虫の星といってもいいかも知れませんね。
「そうなんです。それで例えば虫が苦手とか、嫌いっていう方はしょうがないですけど、でも地球の6割嫌いって思うと結構大変だなって思うんですよね」
●6割ってすごいですよね。
「すごいですね。もっといるかもしれないですよね」
●昆虫好きのじゅえきさんにとっては、どんなことを思われますか?
「まあたくさんいるな〜って思うのと(笑)、これからも新発見というか新種はバンバン出ると思うんです。やっぱりさっき言ったように苦手な人は辛いなと思うところもあって、それを例えば、僕のゆるふわの絵や漫画がちょっとでも好きとか触れるとか、それぐらいになったら、すごくなんか人の人生を変えられる、だって6割ですからね。外に行けばアリはいますし蝶々は飛んでいますから、好きになってくれた方が日常は華やかになるんじゃないかなと思いますけどね」
●これからじゅえきさんが描いてみたいっていう昆虫はいますか?
「描きたい昆虫はもう勝手にというか、毎日のように自分で描いているんですけど、今後描き方を考えたいっていう風に思っていて。リアルに描くだけじゃなくて、昔の江戸時代の絵師の人とかは、写真を見て描いていないじゃないですか。そういう絵を見ていると、なんか自分の思った空想の昆虫と合体していて、蝶々の柄とか正確じゃないんですけど、すごくいい感じなんですよ、自分の視点が入っていて。なので僕も写真に頼りすぎずに、自分がかっこいいなと思う、例えばカブトムシの角をちょっと大きくしてみるとか、そういう自分の考えを入れた昆虫を描いてそれを見てもらいたい、離れ過ぎずの昆虫なんですけどね」
●リアル過ぎないというか、ちょっとアレンジした昆虫ということなんですね。
「リアルは写真にお任せして、自分しか描けない昆虫っていうのをやりたいなと思っていますね」
●楽しみです! 改めて昆虫のイラストを通して、どんなことを皆さんに伝えていきたいですか?
「やっぱり虫はものすごく身近なので、キャーッて毎日なっていたら辛いだろうなと思うんで(笑)、怖くない虫は怖くないってちゃんと分かりつつ、だって圧倒的に人間のほうが強いですからね。スズメバチとかは別としても、こっちのほうが巨人みたいなものなので、そんなにビビらず仲良くしてもらえたらいいんじゃないかなと思います」
INFORMATION
『もしもカメと話せたら』
じゅえきさんがイラストを担当された新刊。カメやカエル、メダカなど水辺の生き物14種の生態などが、会話形式で面白可笑しく紹介。生き物たちから「周りとうまく生きるコツ」を学べますよ。じゅえきさんのイラストが面白さを倍増! ぜひ読んでみてください。
プレジデント社から絶賛発売中です。
◎プレジデント社HP:https://presidentstore.jp/category/BOOKS/002420.html
じゅえき太郎さんのTwitterの「ゆるふわ昆虫図鑑」、そしてYouTubeのアニメ動画もぜひ見てください。
◎ゆるふわ昆虫図鑑:https://twitter.com/64zukan
◎YouTubeのアニメ動画:https://www.youtube.com/channel/UCx352t4iA2OUvXCOM0p_lEw
2021/9/5 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. I LIKE IT / THE BRAND NEW HEAVIES
M2. 香水 / 瑛人
M3. ALL NIGHT LONG / PETER FRAMPTON
M4. YOUR SMILING FACE / JAMES TAYLOR
M5. 夜に駆ける / YOASOBI
M6. TALK TO ME / HEATHER NOVA
M7. EARTH / LIL DICKY
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」