毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。

生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

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Every Sun. 20:00~20:54

2022年11月のゲスト一覧

2022/11/27 UP!

◎束元理恵『幼稚園の先生から狩猟女子に~「生き物の命をいただく」を考える』(2022.11.27)

◎梶 海斗(「無人島プロジェクト」の代表)
自分の生きるを全部やってみる~「生きるを学ぶ」無人島体験ツアー』(2022.11.20)

◎荻田泰永(北極冒険家)
雪の中を歩いて旅をする男~北極冒険家・荻田泰永』(2022.11.13)

◎まつおるか(漫画家/イラストレーター)
シャチになりたい!~海の生き物が好きすぎて』(2022.11.06)

幼稚園の先生から狩猟女子に 〜「生き物の命をいただく」を考える

2022/11/27 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、幼稚園の先生から里山暮らしの猟師さんになった「束元理恵(つかもと・りえ)」さんです。

 束元さんは1994年、広島県生まれ、熊野町育ち。子供が好きで、家族の勧めもあって、2015年に、念願の幼稚園の先生に。ところが1年を過ぎようとしていた頃に体調を崩し、自主退職。苦渋の決断だったこともあり、心にぽっかり穴があいた状態になったそうです。

 そんな時、お母さんが気分転換にと理恵さんをドライヴに誘い、北広島町の芸北に連れて行ったそうですよ。芸北地区は広島県と島根県の県境にある、標高800メートルを超える場所もある自然豊かな山あいの里。

 そんな芸北に強く惹かれた理恵さんは2017年、22歳の春に移住。慣れない里山暮らしではあったものの、特に不安はなく、地域の方たちに温かく迎えてもらい、春から秋には農家さんのお手伝い、雪深い冬は子供園の先生として、生活費を得ていたそうです。

 そんな芸北での暮らしぶりは、先頃出された本『いただきますの山』に詳しく載っていますので、ぜひ読んでください。

 現在、芸北を離れ、同じ広島県の江田島に暮らしている束元さんにリモートでお話をうかがいました。

 幼稚園の先生から、なぜ猟師さんに!? と思うかも知れませんが、そこには「自分の手で獲って食べる」というこだわりがあったんです。

☆写真協力:束元理恵

束元理恵さん

現代風なデジタルな猟法

※束元さんは芸北に移住してから、猟師さんの資格を取得されましたが、以前から猟師さんになりたかったんですか?

「はい。もともと猟師ではないんですが、虫取りが好きで、小さい頃はよく野山に入って虫取りをしていました。小学生の頃に海女さんになりたいと思ったことがあったり、何かを獲って、それを食べる仕事をいつかやってみたいなとずっと思っていました」

●最近は猟師さんの資格を持つ女性も増えてきていると思うんですけれども、狩猟をするには、やっぱり地元の猟友会に入らないとダメなんですよね?

「はい。猟友会に入ったほうがいいですね。その土地の決まりとかルールとかもたくさんあって・・・また知らない人が山に入ったら、誰が何をしているんだろうって、地域のかたが不安に思っちゃったりするので、そういうことを教えていただくためにも、猟友会に入ったほうがいいかなと思います」

●猟友会や地元のかたがたは、束元さんのような若い女性が来て、びっくりされたんじゃないですか?

「はい! びっくりされていました(笑)」

●まわりはやっぱりおじ様方が多いんですか? どういう雰囲気なんですか?

「うちの父がちょうど今60代だったりするので、うちの父よりも少し年上のかたっていうイメージで、みなさん、ほんとお父さんのような、おじいちゃんのような感じで接してくださいました」

●いろいろ指導を受けられたそうですけれども、どんな指導を受けたんですか?

「指導は、怒られもしたり(苦笑)・・・やっぱり危ない現場なので、そういうことをしたら危ないよっていうことも厳しく教えてくださったり、時にはその本の中にもあるんですけど、奥さんが作ってくれたおにぎりを分けてくださったりとか、そういう優しいこともありました。

●初めて猟友会のかたたちと狩猟に行ったときは、どうでしたか?

「初めての猟期は、銃を持つこともドキドキして、銃で動物を撃つことも初めてだったので、自分が持っている銃の先を動物に向けたら、その動物の命を奪ってしまうっていうことにもドキドキして、責任をすごく感じました」

●狩猟はリーダーがいて、猟友会のメンバーが連携して動くっていう感じなんですか?

「はい。山のことをよく知っているかたがひとりいらっしゃって、本の中にも出てくるんですけど、私の師匠の元八(もとはち)さんです。どの山がどういう地形かも全部頭に入っとられて、イノシシの気持ちもすごくわかるかたなんですね。

 ”このイノシシだったら、いま向こうに歩きよるけ、あの谷に出るんじゃないか”とか、そういう指示を出してくれちゃって、それをみんなで無線を聴きながら、”どこどこで待っとくよ”とか、そういうコミュニケーションもすごく大切な猟のやり方です。
 たぶんみなさんはマタギ、そういう昔の猟法を思い浮かべられると思うんですけど、今はGPSを使ったりとか、携帯もあるので、写真を撮ってLINEで送ったりとか、本当に現代風なデジタルな猟をしています」

写真協力:束元理恵

(編集部注:北広島・芸北地区での狩猟期間は、始まりは全国と同じ11月15日からですが、終わりはほかの地区よりも半月ほど長く、2月末だそうです)

ハラハラ、ドキドキ

※猟をするために山に入っている間、どんな気持ちで獲物を待っていたんですか?

「イノシシがいつ自分の目の前に出てくるかがわからないので、最大で4時間、山の中でひとりで待っていたことがあって、そういう時はもうハラハラ、ドキドキしていました。

 足を雪の上につけていると、どんどん熱が奪われて、膝の下が感覚がないような状態になったりしたので、雪を掘って、まだ葉っぱがついている杉の葉とかを敷き詰めたりして(そこに足を置いて)待っていました。

 本当に雪山は静かで、陽が出ていないうちは静かなんですけど、陽が照り出したら、雪がぽた〜ぽた〜って水滴になって落ちたりとか、そういう音に、“わっ! びっくり”ってなったりとか、イノシシじゃないかと思ったり・・・。

 あと時々無線が人から入って、”束元のほうに行った!”って言われたら、もうドキドキが止まらなくて、どうにかして仕留めんと、と思いながら(待っていました)。今まで私の前には出たことがなくて、先輩たちに言われるんですけど、”お前は食い意地が張っとるけ、イノシシも気づいて出のんじゃないんか”っていつも言われていました(笑)」

※初めて自分の銃で仕留めた獲物はなんですか?

「その時は初めてカモを獲りました。川に浮かんでいて、今でもくっきりと覚えているんですけど、どの川でどの場所でっていうのも覚えています。
 先輩たちがまわりにいて、1発目を撃つとカモは逃げてしまうので、1発目は束元が撃ちんさいって言って、いつもみなさんが譲ってくださっていました。

 私が鉄砲を撃ってカモが落ちていって、そのカモは川に落ちていくので、川をどんどんカモが流れていくのを走って追いかけて、濡れるとかも全然気にならずに川の中に飛び込んで、カモを拾い上げて、自分の手で震えながらしたのを覚えています」

●自分の手でっていうところで、いろんな感情が込み上げたと思うんですけれども、どんな思いでしたか?

「その時は必死で何かを思う余裕もなくって、ただただそのカモを逃がしちゃいけんと思って・・・撃ってそのまま流してしまって、いなくなるっていうのがいちばん失礼だと思うので、どうしても持って帰らんとって思って走ったのを覚えています。

 でも後から考えると、このカモもやっぱり生活があったりとか、家族もいたんだろうなと思うと、やっぱり自分がしているのは・・・でもそれもスーパーに行って、ニワトリとかブタとかを買ったりするのと一緒なのかなと思うと、自分の手で獲るって、食べる時にとてもおいしいなと思いながら食べます」

(編集部注:束元さんは師匠から教わったことで、肝に銘じているのは、足を大切にすること。山に入って、獲物を探すのも追いかけるのも足、ということで、師匠から言われた「一足、二足、三に足」という言葉をいまも大事にしているそうです)

セミは美味しい!?

『いただきますの山』

●この本『いただきますの山』には昆虫食のお話も載っていましたよね。実は私の大学時代の恩師が昆虫食を研究していて、この番組にもゲストとして出演してもらったんですけれども、立教大学の野中教授というかたなんです。授業中に、みんなでキャーキャー言いながら、いろんな昆虫を食べさせられたんですけれども(苦笑)。

「何を食べられたんですか?」

●イナゴとか蜂の子とか食べました〜。なんかイモムシみたいなものも・・・。

「そうだったんですね〜」

●昔からイナゴとか蜂の子は食べる文化はありますけれども、束元さんはセミも召し上がっていましたよね?

「はい。セミも食べました」

●セミはどんなふうに処理して食べたんですか?

「成虫はだいたい焼いて食べて、幼虫は茹でたりとか、揚げてからポップコーンのように食べたりとか・・・昆虫の中でいちばん美味しいと思っています」

●セミによって味が違うっていうこともあるんですか?

「セミによっても味が違っていて、ツクツクボウシだったりアブラゼミだったり、いろいろと違うように思います」

●野中先生に私もセミを食べさせられたことがある、食べさせられたって言ったら、あれですけど(苦笑)、食べたことがあるんですけれども、それもパリパリしていて確かに美味しかったんですよ。それは何のセミだったんだろう? ちょっと見るのも怖くて、薄目にしながら食べたので・・・(笑)

「あ、そうなんですね〜」

●あまり覚えてないんですが、セミによって味も違うんですね?

「木の樹液を吸って育つので、樹液によって香りが違うのかなっていう研究をされているかたもいました」

●なるほど〜、昆虫食も奥深いですね。特に束元さんが美味しいなって思った昆虫はありますか?

「特に美味しいのは・・・セミが美味しいなと思うんですけど」

(編集部注:束元さんいわく、春に採れるカミキリムシの幼虫は、昆虫食界では最も美味しい虫とされ、「昆虫界のトロ」と言われるほど、人気なんだそうです)

本当の食欲とは

写真協力:束元理恵

※北広島の芸北では、借りた畑で作物を育てていましたよね。どんなものを作っていたんですか?

「畑では夏野菜をおもに育てていたり、秋から来年の春にかけては麦を育てて小麦(のタネ)を蒔いて収穫して・・・石臼も近くの石屋さんが特注で作ってくださったので、その石臼で粉をひいてパンにしていました」

●いろいろご自身でやるとなると手間暇もかかると思いますが、でもそれだけやっぱりでき上がった時の達成感というか・・・どんな気持ちになるんですか?

「なんか不思議なんですけど、パンを焼く時に麦畑の匂いがして、収穫前の麦畑にいた気持ちを思い出して、1年間通してパンを作ったと思ったら、とても感動してちょっとずつ食べました」

●そうなんですよね〜、思い入れがすごく強いですよね。都会に暮らしているとスーパーマーケットとかに行けば、すぐに食材が手に入る環境にありますよね。

 例えば食肉にしてくださるかたたちがいて、初めてお肉が食べられるわけですけれども、普段命をいただいている意識が希薄になっているなって思うんです。自然のものを獲って食べることをされている束元さんは、どのように感じられますか?

「焼肉に行ったりした時に、牛だと思って食べるよりは、何の肉とかハラミとか、そういうふうに並べてあるので、なんかいくらでも食べて・・・というか、食べ放題ならたくさん食べたほうがいいじゃないですか。だからたくさん食べるんですけど・・・。

 イノシシを実際に自分で捌いて食べた時に、これはお腹のお肉だったなとか、背中のお肉だったなと思いながら食べると、お腹がいっぱいになるまで食べることができなかったんですね。

 なぜか捌いている間にお腹がいっぱいなるような経験があって、もしかしたらそれが本当の食欲なのかなと思いながら・・・だから自分で獲って食べることが本当の食べるっていうわけじゃないですけど、私はそれを選びたいなと思って続けたいです」

芸北の人たちに恩返し

※束元さんは、現在は銃の免許は返上されていますが、今後また猟師さんに戻ることはありますか?

「銃の猟はすることはないかもしれないんですけど、箱罠っていう罠の檻をかけたりとか、ワイヤーで足をくくったりする括くり罠っていうものがあって、その罠の免許は今も継続して持っているので、罠の猟師は続けたいと思っています。

 今年、江田島に引っ越してしまったんですが、芸北の猟友会のかたたちとは今もつながりがあるので、雪が降った時に、私は銃は撃てないんですけど、イノシシを追いかける役はできるかなと思っています。そういうのを”勢いの子”って書いて、『せこ』って読むんですけど、勢子として参加できたらいいなと思っております」

●また師匠たちと一緒に?

「はい。山を歩けたらと思っています」

●いいですね〜。では最後に、北広島町の芸北地区での暮らしは、束元さんに何を残しましたか?

「私は芸北で、最後はちょっと体調崩してしまったんですけど、いろんなかたがたに教えてもらった、命のいただき方というか、イノシシの獲り方とか、あとお米の作り方とか、里山で暮らす中での自然と人との間のいろんな葛藤とか・・・。

 そういうことをたくさん経験して、実際に見て体験して、悔しい気持ちにもなったり、悲しくなったり、時にはみんなでお祭りをして喜んだりとか・・・実際に自分で経験したことで 、自分の血となって肉となって、力になっているのをすごく感じています。

 そういうことをたくさんいただいたので、今度は私が芸北に住んでいた時にお世話になったかたがたに、たくさん恩返しができたらいいなと・・・どういう形かわからないんですけど、今回この『いただきますの山』っていう生活の本を通して、北広島の素晴らしさとか、人の温かさとか、自然の豊かさをたくさんの人に届けることから始めたいなと思っています」


INFORMATION

『いただきますの山』

『いただきますの山』

 束元さんの初めての本は、副題に「昆虫食ガール 狩猟女子 里山移住の成長記録」とあるように、北広島の芸北地区で猟友会や地域の方たちにいろいろなことを教えてもらいながら、過ごした日々と自然や生き物への感謝、そして命をいただくことへの葛藤を綴った青春ドキュメントです。ぜひ読んでください。
 「ミチコーポレーション・ぞうさん出版事業部」から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎ミチコーポレーション・ぞうさん出版事業部HP:https://zousanbooks.com

オンエア・ソング 11月27日(日)

2022/11/27 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. GEORGE PORGY / TOTO
M2. BRAND NEW ME / ALICIA KEYS
M3. SITTING, WAITING, WISHING / JACK JOHNSON
M4. TOP OF THE WORLD / THE CARPENTERS
M5. 楓 / スピッツ
M6. PEACEFUL EASY FEELING / THE EAGLES
M7. POWER TO THE PEOPLE / JOHN LENNON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

自分の生きるを全部やってみる〜「生きるを学ぶ」無人島体験ツアー

2022/11/20 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「無人島プロジェクト」の代表「梶 海斗(かじ・かいと)」さんです。

 梶さんは1988年生まれ。京都出身。同志社大学卒業後、リクルートに入社。その後、無人島ツアーを企画し、2016年に株式会社ジョブライブを設立、代表取締役に。そして現在、無人島プロジェクトの事業を展開されています。

 きょうはそんな梶さんに無人島体験ツアーや、島でのキャンプ生活がもたらす効果などお話しいただきます。

☆写真協力:無人島プロジェクト

写真協力:無人島プロジェクト

生きるを学ぶ体験

※いったいどんなプロジェクトなのか、お話をうかがっていきましょう。まずは、無人島プロジェクトについて教えてください。

「はい、日本全国には6400近くの無人島があるんですけれども、そういった無人島にお客様をお連れして、『生きるを学ぶ』体験というのを提供しています」

●無人島プロジェクトのテーマが「生きるを学ぶ」なんですね。

「そうですね。まさに来ていただくお客様には『生きるを学ぶ』を大切にしていただきます。みなさん、日々色んなことをされていると思うんですね。仕事をしたりだとか趣味にいそしんだりだとか・・・・実はその生活の根底に、食べるとか水を飲むとかそういったところがありますよね。

 無人島に行くと、さあご飯を食べようと思っても食料調達から始まりますし、調理しようと思うと火を起こさなくてはいけないところがあって、それが当たり前に今の日常では提供されていることに気付けたりもするんですよね。

 無人島でしか気付けないことがたくさんあって、そういったことも含めて、生きるとは何なのか、生きることにどういうことが含まれているのかを、少し気付いていただくっていうようなことですね。生きるを学べるような価値があるかなと考えていまして、それがひとつテーマになっています。

 一方で、無人島というくくりで言いますと、先ほども言いましたように日本全国に無人島は6400もあって、(有人島を含めると)日本には6800近くの島があるんですけれども、人が住んでいない島のほうが多いんですね。それをどう活用していくのかが、地域を盛り上げるためにも非常に重要になってきますので、そういう活用プロジェクトも、ひとつのテーマだと思います」

『十五少年漂流記』に憧れて

梶 海斗さん

※梶さんが個人的に、初めて無人島に行ったのはいつ頃なんですか?

「初めては、私が19歳の頃ですので、2007年から2008年ぐらいじゃないですかね」

●どこの無人島に行かれたんですか?

「私は京都出身ですので、京都から近い島はどこにあるのかを、インターネットが(今ほど)発展していない中でなんとか調べて、たどり着いたのが瀬戸内海で・・・瀬戸内海の無人島に京都から行ったのが初めてでした」

●どうしてまた無人島に行ってみようと思われたんですか?

「無人島っていう言葉が冒険心をくすぐるというか、そういうのがあると思うんです。自分自身は小学生の時に、『十五少年漂流記』っていう小説を読んだんですね。ロビンソン・クルーソーみたいなやつなんですけど・・・15人の少年が、船が難破して、たどり着いたのが無人島で、そこで共同生活をしていくっていうストーリーなんです。

 仲間と一緒に限られた環境で生き抜いて、絆ができていくっていうようなことに対して憧れがあって、いつか(無人島に)行ってみたいなっていうことを、ずっとなんとなく心のどこかに持っていました。それが大学生になった時に何か新しいことをしたい、キャンプで何かできないかなと思った時に無人島に行ってみようって、ふと思い立ったんですね。

 行けるかどうかは全然わからないので、手探り状態だったんですけど、まずは人口が30人とか40人ぐらいしかいないような小さい有人離島にフェリーが出ていますので、そこに行って漁師さんに頼み込んでみたんですよ。そうすると無人島に渡してあげるというような話があって、今こうなるとは(その時は)思っていませんけど、そこが本当にいちばん最初の始まりでしたね」

●それを今度はビジネスにしようと思われたのは、いつ頃なんですか?

「思い立ったのは社会人2年目ですので、2013年から2014年ぐらいのタイミングだと思うんです。無人島に初めて行ってから毎年行くようになったんですよ。友達を連れて行くとすごく喜んでくれるんですね。

 こんな体験できるところないし、誘ってくれる友達もなかなかいないから、自分が楽しんでいたのと同じように仲間も楽しんでくれていたんです。そういう人たちが増えていく・・・次は誰を連れて行きたいとか、将来子供できたら子供と行きたいよね、みたいな話とかをもらうようになって、なんとなく心の中に、需要はあるんだなって思っていたんだと思います。

 で、いざ自分でビジネスを立ち上げようっていう気持ちになった時に、何をテーマにするのかを考えた時に、そのひとつとして無人島をやりたいなって思ったんですね」

(編集部注:梶さんは小学生の頃にYMCAのキャンプ教室に参加。そのとき、キャンプのスキルを身につけていたので、無人島に初めて行ったときでも、不安はなかったそうです。子供の頃からアウトドアや自然が大好きだったそうですよ)

個人から企業向けプランまで

写真協力:無人島プロジェクト

※無人島プロジェクトでは現在、どんなツアーや事業を行なっているんですか?

「まずは、今までお話ししたような私のルーツである個人向けのツアーですね。日本全国、みなさん、無人島にほぼ行ったことない人ですし、キャンプも初めてという人が20%から30%ぐらいはいらっしゃるので、アウトドアにそんなに慣れていないかたでも無人島で2泊3日、初めて出会った仲間たちと冒険するツアーをやっているんです。

 これがすごく人気で、今までで1500人近くのかたにお越しいただいています。1回あたり20人から30人で行きますので、それなりの回数になるんですけれども、みなさんすごく満足して、初めて出会ったと思えないぐらい仲良くなって、たくましくなって(無人島から)帰ってきてくれます。これが個人向けのツアーで、我々スタッフとかインストラクターが付いていくパターンです。

 もうひとつが仲間たちだけで無人島を借り切って、自分たちでキャンプするプランもやっています。これが『無人島セレクト』っていう名前でやっているんですけど、島を選べるんですよ。島がいくつかあって、その中から(参加者が)この島いいな〜って思ったら、そこに行く船の手配だとかキャンプ道具の手配は我々でさせていただきます。

 無人島で過ごす注意事項とかそういうガイダンスをさせていただいたうえで、みなさんで1泊2日楽しんでいただきます。もちろん、なにかあって連絡いただいたらすぐ助けに行くんですけど、助けに行くようなことはあまり起きないですね。そういう個人向けプランもあります。

 あとは我々、日本全国の無人島、あちこちと提携していますので、そういったところをオーダーメイドで使わせていただいています。
 例えば、無人島を借り切ってイベントをやりたいとか、子供向けの体験教室をやりたいとか、企業研修で新入社員にたくましくなる経験をしてほしいとか・・・やっぱり助け合わないと無人島では生きていけないので、難易度は会社によって様々なんですけど、こんな体験をしたいとか、そういったお話をうかがいながら、ゼロから一緒に作っていくオーダーメイド・プランがあって、これも人気ですね」

(編集部注:無人島プロジェクトでは現在およそ100の島と提携しているそうです)

ルールは敬語禁止!?

写真協力:無人島プロジェクト

※先ほどお話にあった、アウトドア初心者のかたが多く参加する個人向けツアーで、20人から30人の参加者が2泊3日の無人島体験をする企画、これは「ベーシックキャンプ」というツアーなんですが、このツアーには、こんなルールがあるそうですよ。

「ルールは敬語が禁止(笑)。日常では社会的な立場とか年齢とか、いろいろあるけれども、 今からみんなは無人島に行って、無人島に漂着したんだと。だからひとりの人間として助け合わなきゃいけない。助け合って3日間、きちんと生き抜いて帰ってこようね。 

 もちろんスタッフはいて、そのためにサポートはするけど、みんなで生き抜くことが今までにない経験で楽しいことだから、それをサポートするガイドみたいなもんですよ。だからみんなで、スタッフも含めた30人で、3日間生きていきましょう! っていうガイダンスから始まるんですね」

●へぇ〜、面白いですね。

「もちろん敬語は、慣れなかったら、最初は出ちゃうんですけど、徐々にみんな慣れていきますね。何をするにも、火を起こすにも食料を調達するにもテント建てるにも、助け合わなきゃいけないので、固くなっちゃっているのが自然に取れていって、2日目の夜にはもう明日終わってしまうのが寂しいねとか、生き抜くことがどんなに大変なのかを一緒に理解し合えたねとか、ちょっと苦しいことを一緒に分かち合えた仲間たちになって帰ってきてくれるんですよ。

写真協力:無人島プロジェクト

 無人島を活用していろいろやらせていただいていますけど、私がこの無人島の企画をやりたいなって思えたのは、非日常体験を通じて人生の転機になり得るような、すごく濃い3日間を作れるところが、とても魅力的だなと思って始めたってことがあります。

 初めましての人たちと、敬語禁止ルールとかがある中で、3日間一緒に助け合って生き抜くツアーにはなるんですけれども、ただ体験をするだけではない深さとか、そういったものも提供できているんじゃないかなって思っています」

(編集部注:無人島プロジェクトでは、ロケ撮影のコーディネイトも行なっています。例えば、ゴールデンボンバーの全国ツアーファイナルの無人島ライヴをサポートしたこともあるそうです。無人島からの配信ライヴで、その映像にはドローン撮影もあり、島の全景が映し出され、ロマンを感じたそうですよ)

「生きる」を全部やってみる

※無人島でのキャンプは、参加者のかたの意外な才能が発揮されたりすることもあるんじゃないですか?

「むちゃくちゃありますよ。本当にひとりひとりできることもそうだし、キャラクターも違うので、みんなの中心になって盛り上げることが上手な子もいますし、みんなが見てないところで、”これから暗くなると思って”と言って、大量の焚き木を持ってきてくれる子がいたり、誰も気づかなかったわ、それ! っていうような・・・。

写真協力:無人島プロジェクト

 魚を捕ってくる子もいれば・・・スキルっていう観点でいうと、料理が上手な子とか、歌を唄うのが上手とか踊れるとか泳げるとか、それぞれ人生があって、できることが違うので、それを生かしていただける環境があって、みんなの役に立つ、っていうような状態なので、本当にバラバラな個性があって楽しいですよね」

●サバイバルに近い状態ですから、積極的に自分たちで動かなきゃっていう気持ちにもなりますよね。

「そうですね」

●動かなきゃ始まらないですよね。

「それがいいところだとは思うんですけどね。何もしないってこともできるんですけど、何もしなかったら楽しくないですし・・・」

●そうですよね〜。

「みんな、無人島って環境は、着いちゃったんで諦めるんですよね(笑)。諦めた上で、いかにみんなで楽しい時間を過ごすのか、どうやって過ごせるのかっていうことに、自然とフォーカスしていけるので、初めて出会ったんだけど、ある意味ひとつの方向を向きやすいのが面白いところですね」

●参加されたかたに、価値観が変わったとか人生感が変わったとか、そんなかたもいらっしゃるんじゃないですか?

「ありがたいことに、そういうお話をいただくことも多いですね。100円持っていれば、わずか1〜2分でコンビニで肉まんが買えて、めちゃめちゃおいしいじゃないですか。それがどれだけ恵まれたことなのか、みたいな話とか・・・お布団ってすごいんだなみたいな、そんな話もありますね。

 あとは、日常の日々の暮らしが、すごくありがたいことなんだと気づいて、違う場所に移住をすることを考えるかたがいたりとか、人々と助け合って生きていくことに、もっとフォーカスした生き方をしたいっていうので、都会からちょっと違うところに生活(の拠点)を変えたりだとか・・・。

 逆に結婚の決意をされるかたとか、離婚を決意するかたとか・・・いろんな感情が溢れるんだと思うんです。ねらっているわけじゃないですけど、島で出会って結婚するかたがいたりもしますね」

●ここまで生きることを全力でするって、都会にいたらなかなかないですよね、そういう経験ってね。

「ないと思うんですよ。便利なものはいっぱいありますし、逆に言うとそれは人の力だと思うんですけど、ただ人生に一度ぐらいは、自分で自分の生きるを全部やってみるっていう体験があってもいいかなとは思いますね」

「やりたい」をかなえる

※無人島プロジェクトの、12月以降、または来年のツアーでおすすめはありますか?

「やっぱり無人島っていうと夏のイメージ強いじゃないですか。みんなヤシの木の生えた常夏の島を思い浮かべると思うんですね。暗い曇り空のゴツゴツした岩肌の、風が吹きすさぶ島には行きたくないっていうのが本音だと思いますので(笑)、我々のツアー自体はだいたい夏なんですよ。ゴールデンウィークとか7日から10日ぐらいの連休でやることが多いんです。

 ただ、先ほどお伝えした少数のグループで、無人島を借り切って使っていただける『無人島セレクト』のプランだったりとか、あとはやりたいことに合わせた企画を提供するオーダーメイドのプランは年中やっていますので、そこはお問い合わせいただければと思います。

 たまにすごい強者が、真冬の無人島サバイバル体験をやりたい、YouTubeで配信したいとか、そういったお話もいただくことがあるので、無人島でこれをやりたいっていうのをかなえるのが我々かなと思いますので、まずはお問い合わせいただければと思いますね」

●では、最後に梶さんにとって無人島とは?

「無人島だから人の温かみだったり、社会の温かみだったり、生きることに対する大切さを感じさせてくれる場所だなって思っています」


INFORMATION

無人島プロジェクト

写真協力:無人島プロジェクト

 無人島プロジェクトで実施しているツアーは以下の通り。
 参加型の個人向けツアー、2泊3日の「ベーシックキャンプ」は現在、姫路と博多での開催となっています。
 仲間と行く個人向けツアー「無人島セレクト」は、行きたい無人島を選べるプランです。
ほかにも研修や会社の行事を無人島で行ないたい法人向けのオーダーメイド・プランなどもあります。
 詳しくは、無人島プロジェクトのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎無人島プロジェクトHP:https://mujinto.jp

オンエア・ソング 11月20日(日)

2022/11/20 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. ISLAND LIFE / MICHAEL FRANKS
M2. WONDERFUL / INDIA.ARIE
M3. ADVENTURE OF A LIFETIME / COLDPLAY
M4. EVERYBODY WANTS TO RULE THE WORLD / TEARS FOR FEARS
M5. そばにいるよ / Uru
M6. DREAMTIME / DARYL HALL
M7. FOR YOUR LOVE / STEVIE WONDER

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

雪の中を歩いて旅をする男〜北極冒険家・荻田泰永

2022/11/13 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、北極冒険家の「荻田泰永(おぎた・やすなが)」さんです。

 荻田さんは1977年、神奈川県生まれ。21歳のときにたまたま見たテレビのトーク番組で、冒険家の大場満郎さんが若者たちを連れて北極に行くことを知ったそうです。

 エネルギーを持て余していた荻田さんは、北極に行ってみたいと思い、大場さんに手紙を書き、大場さん主宰の「北磁極を目指す冒険ウォーク」に参加することに。そしてカナダの北極圏から北磁極までの700キロを、食料などを積んだ重いソリを引いて、35日間かけて、徒歩で走破。
 実は荻田さん、参加する前は、アウトドアの経験はまったくなく、海外に行くのも、飛行機に乗るのも初めてだったそうですよ。

 その後、たったひとり徒歩で、それも食料などの補給を受けずに北極点を目指す冒険にチャレンジするなど、20年間に16回、北極に行き、北極圏をおよそ1万キロ以上、移動。2018年には「植村直己冒険賞」を受賞、国内外で注目されている北極冒険家でいらっしゃいます。

 きょうはそんな荻田さんに、20年以上通い続けている北極の魅力や、先頃出された絵本『PIHOTEK(ピヒュッティ)〜北極を風と歩く』のお話などうかがいます。

◎写真:荻田泰永

写真:荻田泰永

北極冒険の扉を開く

※2000年に冒険家・大場満郎さんの「北磁極を目指す冒険ウォーク」に参加されて、北極に行ったわけですけど、初めての北極体験は荻田さんに何を残しましたか?

「何を残したんでしょうね。最初は大場さんの旅に参加する前は、なんか広い世界に出てみたいなっていう思いはありながらも、出方が分からないし、出る扉の存在も分からなかった。どの扉を開ければいいのか全く分からないし、(大場さんが)扉の存在を教えてくれたし、開けたらどういう世界が待っているかを、一回体験させてもらったんです。

 その翌年から今度はひとりで行くようになるんですけども、やっぱり一回(扉を)開けると、次もう一回、自分で開けてみようっていうところに、えいや〜っと行けるので、そのきっかけを作ってもらったって感じですね」

●その扉を開けて、もう20年以上、北極に通われていますよね。何がそんなに荻田さんを惹きつけるんですか? 

「よく(言われるのは)初めの北極で夢中になっちゃったんですね、とかね。翌年からひとりで行くんですけどね。確かに魅力があるんですけど、正直に言うと別にほかに行けるところがなかったから、また北極に行っただけです。

 行動力が本当にある人は、たぶん大場さんのテレビを見る前にもう動いているんですよ。でも私はその行動力はなかったんですね。動けなかったんです。だから大場さんの計画、言葉に乗ったんです。連れて行ってもらったんです。”行った”んじゃないんです。”連れて行って”もらったんです。

 翌年、北極に行くんですけども、その時も北極以外行ったことがないから、今度はひとりで動かなければって時に、必然的に行ける場所は北極しかないわけですよ。土地勘があるのはそこしかないんで・・・。

 だから魅力があったから重ねて行ったっていうよりは、最初のうちはそこしか行けないから、もう1回行ったっていう要素が強くて・・・ただ何度も重ねて行くと、今度は北極に行く理由がちょっとずつ見つかってくるし、面白さとか難しさとか、そういうものが分かってくるんですよね。

 例えば現地で、昔から住んでいるイヌイットの人たちと一緒に狩りに行くと、やっぱり日本とは違う常識に出会えるし、違う価値観に出会えるし、全く違う自然の世界がそこにあるし、そういうのも魅力ですね。

 極地冒険は、やる人が少ないので情報も少ないですし、装備もないです。ないからこそ自分で考える、自分で工夫しなければいけない。アウトドアショップに行ってお金で解決できないんですよね。

 ないものは自分で作るとか、地元の人たちはどんなものを使っているんだろうっていうのを観察して、そこから真似るとかね。なんかエッセンスを盗むとか、そういうのが必要になってくるんですけど、それがまた面白い。そこに主体性があるんですね。道具をお金で解決できるって、そこにはあまり主体性がないんですよ。そういうところの面白さですかね」

(編集部注:荻田さんが北極冒険の拠点にしているのは、おもにカナダ北極圏のレゾリュートという、人口が200人ほどの小さな村だそうです。食料や装備などは、もちろん日本で準備していくそうですが、足りないものはカナダのバンクーバーほか、レゾリュートでも調達するとのこと)

いちばん怖いのは自分自身

※荻田さんは2012年と2014年に北極点に向けて、無補給単独徒歩での到達にチャレンジされました。北極点は南極と違って海の上、なんですよね。

「そうですね」

●ということは、氷の上をずっと歩いて行くっていうことですよね?

「そうですね。みなさんはあまり北極と南極って何が違うんだろうとか、イメージがわきづらいとは思うんですけど、大雑把にいうと南極は”南極大陸”であって、北極の場合は”北極海”って海なんですね。
 私は南極は1回行ってますけども、メインは北極であって、北極の場合はだから海の上を歩く、海の表面を歩くんです。

 北極海ってまあ広いわけですね。対岸はロシア、シベリア、ユーラシア大陸、その反対側に北米大陸があって、2000キロから3000キロ四方の大きな海になっていますけども、平均の水深でいうと2000メートル近くあるんです。

 海の深さが平均して2000メートルあるんですけど、氷の厚み、海の表面の氷の厚みは平均すると2メートルくらいのもんですね。2000メートルの海の水に対して、表面の2メートル凍っているだけなんで、本当に薄い膜が張っている程度です。その上を歩いて行くのが極地の冒険です。薄膜なので、氷は流れるし、動くし、風の作用で流れたりとか、海流で流れたりとか、表面の氷は激しく動き回るんです。

 だから、割れたりとか、ぶつかったりとか、流されたりとかっていうのはしょっちゅう起きる。平らなスケートリンクみたいな平原とか氷原を想像するかもしれないですけど、現場に立つと凸凹なんですよ。海辺のテトラポットを積み上げたみたいな氷が、自動車大のブロックが、何個も積み上がった壁のような状態が永遠と続いているのが北極海ですね」

写真:荻田泰永

●危険だらけじゃないですか! 何がいちばん怖いですか?

「いちばん怖いのは自分自身ですよね。我々、東京で生活していても危険はいっぱいあるじゃないですか。みなさん、自然の中に行くと、危険でしょ危険でしょって言うんですけど、私は都市のほうが予測不可能な危険がはるかに多いと思うんです。

 なぜかっていうと、都市の中では人為的な作用で、どうにもできない要素があまりにも多いんです。他者が多いから・・・。では極地でそういうことが起きるかっていうと、極地っていうか自然の中ってないんです。自然の中で起きることは、全部自然の法則に則っているんです。

 よく言われるのが、自然の中では何が起きるか分かんないでしょって・・・。分かるんです。ただいつどこで起きるかが分からない、もちろんね。北極を歩いていても、起きる危険の要素は種類をあげつらえば、数は少ないんですよ。寒さとか、ホッキョクグマとか、風とか、足元が薄い氷であるとか、数えられるぐらいのものしかないんです。

 都市だったら、数えきれないぐらい要素がありますよね。その要素はすべて他人が関わっているんです。全く予測不可能です、こっちのほうが・・・。でも極地は起きる要素は数限られているし、そのひとつひとつが、なぜどういう理由で起きるかがちゃんと分かるんですよ」

●想定できるってことですね。

「できるんですよ。ただそれを事故に結びつけちゃうのは、自分自身の経験不足だったりとか、知識不足だったりとか、準備不足とか、装備が不足しているとかっていう自分の中の問題だから、いちばん怖いのは自分自身ですね」

(編集部注:荻田さんは2018年に日本人として初めて、南極点・無補給・単独徒歩での到達に成功されています。荻田さんいわく、南極は大陸でほぼ平坦なので、極端な言い方をすると、北極よりは簡単だったそうですよ。北極の経験があるからこその成功だったんでしょうね)

できることのちょっと上!?

※食料や燃料などを補給せずに、ひとりで歩くスタイルは、冒険のハードルを一気に上げている気がするんですけど、どうして、そこにこだわっているんですか?

「なぜかって言ったら、そうしないとできちゃうから。要は無補給は外部からの物資補給を受けない。外部のサポート、人の力を借りない。単独はひとりで徒歩、機動力は自分の体っていうことですね。つまり条件は”無補給・単独・徒歩”の3つです。

 無補給じゃなかったら、外部からの物資補給を受けるっていうこと。単独じゃなかったら複数人ってことですね。徒歩じゃなかったら機動力を使うってことです。スノーモービル使うとか、犬ぞりを使うとか。

 要は物資補給を受けたら、北極点(到達)なんて今の自分の力だったらできちゃう。初めからできると分かっていることをやったって、何にもやる必要ないじゃないですか。ただの確認作業なので・・・。

 これは自分ができるかな、できないかなっていうのを見極めて、今自分が確実にできることのちょっと上をやらなかったら、そこのちょっとの部分が成長なわけですよ。確実にできることの下をやったところで成長はないんですよね。

 かといって、あまりにも飛び越えすぎて、確実にできることと、やろうとしていることに、あまりにも乖離(かいり)があると、それは無謀と言われることになっちゃうので、 そのさじ加減は全部自分で決めるんですけどね。で、なんでそれ(無補給・単独・徒歩)をやるかっていうと、 それが自分ができることのちょっと上のところだから、それを選んだだけですね」

写真:荻田泰永

●なるほど、そういうことなんですね。当然、多めに食料とかは持って行くってことですよね?

「ある程度多めに、といっても、そんなにたくさんは持っていかないですけどね」

●テントとかも含めて装備や物資は、どれぐらいの重さになるんですか?

「大体50日とか60日分の食料や装備を引くんですけど、100キロから120キログラムぐらいですね」

●へ〜! それをソリに積んで引っ張るっていうことですか?

「そういうことですね。自分の力で、体にハーネスっていうベルト付けて、腰からロープを取ってソリにつないで・・・。ソリといっても船の形でボート状のものなんですけど、足元はスキーを履いて、自分の力で引っ張っていくっていうスタイルですね」

※北極の場合、冒険に適した時期はいつ頃なんですか?

「北極の場合は海が凍った時を狙っていくんですね。 北極といってもやっぱり季節の巡りがあるので、北半球ですから日本と同じです。8月ぐらいがいちばん暖かくて、そうすると海の氷も大体、全部じゃないですけども、結構溶けるんですね 。また青青とした海に戻るんです。そうなると、もちろん歩けない。

 いちばん歩ける時期が3月前後ですね。その時期がいちばん気温も下がって、いちばん氷が分厚く安定した時を狙って行く、っていうのが2月から3月、4月、5月の上旬ぐらいまでですね」

●最低気温だと、どれぐらいになるんですか?

「私が軽減したのはマイナス56度までは、動いていますね」

(編集部注:荻田さんが経験したマイナス56度、想像できない世界ですよね。荻田さんによれば、現地で低温に体を慣らすトレーニングを行なって、冒険の旅に出るので、時にはマイナス30度でも暖かく感じることがあるそうです。寒さとは温度という数字ではなく、寒く感じるかどうかだとおっしゃっていましたよ)

イヌイットからもらった名前!?

●先頃「PIHOTEK (ピヒュッティ) 北極を風と歩く」という絵本を出されました。私も読ませていただきましたけれども、たったひとりで北極を歩く”僕”の1日が描かれていますよね。この僕を通して 生きるということをすごく考えさせられたんですけれども、このタイトルの「ピヒュッティ」にはどんな意味があるんですか?

『PIHOTEK(ピヒュッティ)〜北極を風と歩く』

「これはぜひ本を読んでいただきたいなっていうのもあるんですけど、ネタバレをしちゃうと、私が北極のイヌイットの村で、イヌイットのおじさんからもらった名前なんですね。
 イヌイットってよそから来た人たちと親しくなると名前をくれるんです。 で、ピヒュッティっていう名前をつけてくれたんですけど、その意味は”雪の中を歩いて旅をする男”っていう意味があって、お前にぴったりだろう! って、つけてくれたっていうのがエピソードですね」

●初めてピヒュッティという言葉を聞いた時は、どんなことを感じられました?

「語感は可愛いらしいじゃないですか(笑)。 だから、なんかしっくり来るような来ないような、みたいな感じでしたけど・・・嬉しかったですね」

●この絵本は荻田さんがストーリーを考えたんですよね? 

「そうですね」

●絵本のイメージは、いつ頃からあったんですか?

「2020年の年末ぐらいから動き出して、実際、完成して発売したのが今年の8月です。だから1年半以上やってましたね。
 きょうの話を通して、私かなり理屈でしゃべってるんですよ 。理屈っぽくしゃべってるし、たぶん理屈をだいぶしゃべってると思うんですけど、こうやって言葉で説明できる部分は、実は私のやっていることもそうだし、世界全体を見渡しても、言葉で表現できる部分は本当にごく一部でしかないんですね。

 例えば、ホッキョクグマは言葉を持ってないわけですよ。ホッキョクグマは何を考えているかって言葉では表せないですよね。でも彼らだって何かを考えているわけですよ。それは、人間の言葉で書き起こそうと思ったら言えるけども、でも人間の言葉で書き起こした瞬間に、それはホッキョクグマの考えていることじゃないし、とかね。

 だからなんていうかな・・・言葉の限界はどうしてもあるし、私がやっていることって冒険とか探検って言われますけども、 日本語を分解したら、”冒険”は危険を冒す、険しきを冒す、危ないことをするっていう意味ですよ。”探検”は、探り調べること、探査・検査・検証とかっていう意味ですから、探検っていうのはね。

 私は確かにさっきも言ったように、危険なことはあるかもしれないけど、危険を冒しに行っているわけじゃないし、 危険であるのは(北極に)行っている間の付随事項みたいなものであって、それがメインじゃないんですよね。

 何かを調べに調査に行っているかって言ったら、そういうわけでもないし・・・そうなると、私がやっていることは、探検とか冒険っていう言葉で100パーセント言い表しているかっていうと、全く言い表せていないんです。

 じゃあなんですかって言っても、 言葉がないから言い表せないんですよ。言葉で表せられないんだったら絵で表現するとか・・・別の表現方法も人間は持っているんですよね。そういうイメージもあって、絵本を作ってみようかなっていうのはありますね」

(編集部注:絵本『PIHOTEK(ピヒュッティ)〜北極を風と歩く』の絵は、絵本作家で画家の井上奈奈さんが担当されています。荻田さんは以前から井上さんとは知り合いで、絵を描いてもらうのは、この人しかいない、と思ってお願いしたそうです。お陰で、深味のある“大人の絵本”に仕上がったとのこと)

写真:荻田泰永

テーマは「風と命」

※この絵本を通して、どんなことを伝えたいですか?

「そうですね。感じ方は人それぞれで全然いいんですけども、今回、私が書いた絵本は、”風と命”をテーマにしています。命をテーマにすると、生きる生かされるとか、食べる食べられるとか、主体と客体に分けた話にどうしてもなりがちなんですけど、命に主体も客体も本来ないはずなんですよ。

 全部つながっているわけですから・・・全てつながっていますよね。地球っていう宇宙から閉ざされた空間の中で、40億年ほど前に生命が生まれてから、ずーっと繰り返しているわけですよ。

 私の体を作っているカルシウムとかアミノ酸とかっていうのは、ある日突然、無から急に発生したものじゃなくて、分子レベル原子レベルでいったら、100年前とか1万年前とか1億年前には何かの植物だっただろうし、土の中に埋まっていたかもしれないし、何かの動物だったり・・・そういう物質が私を作っているわけであって、そういった時に私という主体はどこにあるかって言ったら、そんなものないんですよね。

 そういうつながり、その関係性全体こそが主体であって・・・だから命っていう話を書こうかなって思った時に、主体と客体に分けない話にしようと思って、全部が交じり合っていくような話にして、ああいう感じになりました! ぜひみなさんに読んでもらえたら嬉しいですけど・・・」

(編集部注:荻田さんは、北極に行くきっかけを作ってくれた冒険家の大場満郎さんがしてくださったように、2019年に若者たちを連れて、カナダ北極圏をおよそ1ヶ月かけて600キロ歩いたそうです。20年前の自分と旅したような気分になり、とても新鮮だったそうですよ。この活動はできれば、今後も続けていきたいとのこと)


INFORMATION

『PIHOTEK(ピヒュッティ)〜北極を風と歩く』

『PIHOTEK(ピヒュッティ)〜北極を風と歩く』

 荻田さんが先頃出された絵本は、北極をたったひとりで歩く“僕”の1日が描かれ、北極の冒険を追体験できます。井上奈奈さんの、柔らかいタッチの絵とのコラボレーションが深みのある世界を醸し出しています。素敵な大人の絵本、ぜひ読んでください。講談社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎講談社HP:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000363049

写真:荻田泰永

 荻田さんは去年、神奈川県大和市に「冒険研究所書店」という本屋さんを開業されました。冒険に関する本は多いものの、普通の本屋さんだそうですよ。詳しくはぜひ荻田さんのオフィシャルサイトを見てください。

◎荻田泰永さんHP:https://www.ogita-exp.com

オンエア・ソング 11月13日(日)

2022/11/13 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. WALK ON BY / BRYAN ADAMS
M2. A REASON / DANA GLOVER
M3. SCARED OF MYSELF / SIMON DAWES
M4. COLD / MAROON 5 feat. FUTURE
M5. No Stars / 由薫
M6. WORDS / BOYZONE
M7. LIFT ME UP / RIHANNA

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

シャチになりたい!〜海の生き物が好きすぎて

2022/11/6 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは漫画家、そしてイラストレーターの「まつおるか」さんです。

 まつおるかさんは1994年生まれ、大阪出身。小さい頃から絵を描くのが好きで、中学生の頃から漫画家になりたかったそうです。そして現在はプロとして活躍、シャチを始めとする海の生き物のコミック・エッセイやキャラクター・グッズ、LINEのスタンプなどが人気なんです。特に可愛いシャチのキャラクターで知られています。

 ペンネームのまつおるかは、シャチの別名「オルカ」を文字っていて、それほど、シャチにぞっこんなんです。

 きょうはそんなまつおるかさんに、大好きなシャチへの思いや、「すみだ水族館」の愛くるしいペンギンのお話などうかがいます。

☆イラストレーション:まつおるか
☆誌面提供:まつおるか著『下町ペンギン物語』(発行:株式会社KADOKAWA)

イラストレーション:まつおるか

可愛くて強いシャチ

※シャチは英語名で「キラーホエール」とも呼ばれていて、怖いイメージがあると思うんですが、シャチのどんなところに魅力を感じているんですか?

「目の上のところに白い“アイパッチ”って言われる特徴的な模様があるんですけど、あれが人に例えると眉毛っぽくて、ちょっと癒し系な顔をしているんです。あとは口の下に白い部分があるんですけど、あれもにっこり笑っているような、そんな顔をしています。

 実は顔だけ見るとすごく可愛らしくて、そういう可愛らしさと、海の王者と言われるほどの強さを持っているところが、私は魅力だと感じています」

●シャチのことを好きになったきっかけは、何かあったんですか?

「和歌山県にアドベンチャーワールドという動物園と水族館が一緒になったような施設があるんですけど、そこで小さい頃、初めてシャチを見たんです。私はそのアイパッチの部分が目だと思って、なんか変な顔をした生き物だなと感じていたんですね。

 でも大人になってから、そこが目じゃないっていうのが分かって、意外と可愛い顔をしているっていうのと、その生態をものすごく調べて、サメも食べるし、頭もいいし・・・でも家族思いで、すごく可愛らしい生き物だと知ってから、すごく虜になりました」

●小さい頃からずっとシャチが好きだったっていうよりは、大人になってからいろんな魅力を知ったという感じなんですね。

「そうですね。改めて知ってからですね」

●シャチが飼育されている水族館として、関東で有名なのは千葉県の鴨川シーワールドだと思うんですけれども、行かれたことはありますか?

「もちろん、あります」

●私は千葉出身なので、小さい頃はよく鴨川シーワールドに連れて行ってもらったんですけど、やっぱりシャチを間近で見ると、大きくてカッコ良くて迫力がありますよね。ショーを見て、あるいは展示プールで泳ぐシャチを見て、まつおるかさんはどんなことを感じましたか?

「耳を澄ますと、シャチたちの鳴き声が聞こえるんですね。喉から出しているわけじゃなくて、超音波みたいな音だと思うんですけど、”キューン”みたいな、すごく小っちゃい可愛らしい声なんですよ。

 あの大きい体で見た目に反して”キューンキューン”って言ってるのが、すごく可愛くて・・・あとは飼育員さんを見つけたら追いかけて遊んでって、子供のような感じで、すごく可愛らしいと思っています」

イラストレーション:まつおるか

シャチの婚活パーティー!?

(編集部注:海の王者ともいわれるシャチ、別名オルカは体の大きさはオスの平均で6メートルから7メートルくらい、メスで5メートルから6メートルほど。体重はオスで4トンから6トンくらいだそうです。

 数は多くはありませんが、世界中の海に生息するシャチは地域によって食べるものや習性は少しずつ異なっていて、クジラやアザラシなどを好む肉食派もいれば、おもにサケなどの魚を好む魚食派もいるようです。また、同じ海域にいる定住型、世界の海をめぐる回遊型、そして沖合にいる沖合型の3つのタイプに分かれるとのこと。

 そんなシャチは、年長のメスを中心とした、数頭から数十頭の群れで暮らしていて、高い知能と社会性があるとされています。また、エコーロケーションという方法でコミュニケーションをとり、仲間と一緒に巧みに狩りを行なうこともあるそうです)

※まだまだ知られていないシャチの生態があると思うんですが、オスとメスがたくさん集まって婚活するって、ほんとですか?

「らしいですね。絶対そうとは言い切れないと思うんですけど、おそらく100頭ぐらい集まって、パートナーを探しているんじゃないかとは言われていますね」

●なんか婚活パーティーみたいですね(笑)

「ほんと、時代でいうと、そんな感じなんでしょうね」

●何かアピールとかお互いにし合うんですか?

「シャチは目が横に付いているので、真っ正面からお見合い、っていうか、婚活をしているのではなくて、横並びになって、お互い見えるようにするそうです」

●へぇ〜! 面白いですね。まつおるかさんが描かれているシャチは、とっても可愛くて愛嬌があると思うんですけれども、やっぱり生態を知って自分なりにデフォルメして描かれているんですか?

「そうですね。背びれの形がオスとメスでは違うんですね。あとはお腹の模様が違うっていうのがあるんです。(その違いに)めちゃくちゃ沿って描いているわけではないんですけど、オスだったらオス、メスだったらメスみたいな、(シャチを)好きな人が見ても、この人、間違ってるってならないように気をつけてはいます」

●具体的にオスとメス、どう違うんですか?

「オスは、背びれがめちゃくちゃ垂直というか、真っ直ぐ伸びていて、2メートルぐらいまでなるそうなんです。それに対してメス(の背びれ)はイルカみたいな、鎌形って言われているんですけど、ああいう形になっていますね」

●お腹も違うんですか?

「やっぱり哺乳類なので、実はメスには尾びれ側におっぱいがあるんですね。ちょんちょんって、よく見たらなんですけども(おっぱいが)あるのを、気をつけて描いていますね」

●ほかに何か心がけていることはありますか?

「やっぱり絵を描くので、これは色を変えたほうがいいかなとか・・・つやとか気にして描いていますね」

●つや!? なるほど、シャチはつややかですよね。

「そうですね。ツルツルしているので・・・犬とか猫とかモフモフした感じではなくて、ツルツルしたように見えるように描いていますね」

イラストレーション:まつおるか

美しい生き物、野生のシャチ

※野生のシャチに会いに行ったことはありますか?

「以前、北海道の羅臼で野生のシャチを見ることができたんです。どうしても行ってみたいなと思っていたら、家族が行ってみたいって言ってくれて、4人で見に行くことになりました。
 私は北海道が初めてだったので、ものすごく遠く感じて(笑)、関西から行ったんですけど、こんなにかかるのか、北海道すごい! ってなったんですけど・・・。

 ホエール・ウォッチングとして船が出ていて、午前と午後の便で1日2回出てくれているんですけど、午前中はまったく全然見られなくて、いても鳥みたいな、海鳥がちょこちょこいるくらいで、ものすごくガッカリしたんですね。

 (見られる)確率が40%で、一緒に(船に)乗っていらっしゃったお客さんのおじさんが、僕は3年通っているんだけど、見たことないんだよねとか言っていて、私も見られなかったら、どうしようって、期待半分、絶望が半分って感じだったんです。

 午後の便ですごく探してくれて、遠くのほうにシャチがおったぞ! と言われて、すごく遠くにオスの背びれが見えて、見られた! と思ったら、船を近くに寄せてくれて、結構な群れが海の中に見えたんですよ。
 シャチは息継ぎをするために水面に上がってくるんですけど、その時に顔がバッチリ見えたんですね。10メートルくらい先だったんですけど、結構近くて、大きかったんですよね、ものすごく。

 その野生のスケールというか、本当に地球上にこんなに美しい生き物がいるんやと思って、私、感動しすぎて、ずっとぼろぼろ泣いていたんですね。携帯のカメラで撮っていたんですけど、それどころじゃないのでブレブレで(笑)、あとから見たら、なんかちょっと写ってるかなぐらいで・・・ちょうど繁殖期のシーズンだったんですかね・・・赤ちゃんもいる、小っちゃい、可愛いって言って、ずっと泣いていました」

●感動の対面だったんですね。

「一生の思い出ですね」

すみだ水族館の、恋多きペンギンたち

●まつおるかさんは先頃、『下町ペンギン物語』という本を出されました。 この本では東京スカイツリータウン内にある、今年開館10周年の「すみだ水族館」に飼育されているペンギンたちの日常や生態が、とっても面白く描かれていますよね。

『下町ペンギン物語』

 私も読ませていただいたんですけど、カラーでイラストもすごく可愛いですし、ペンギンが先輩カップルたちを見て、恋愛を学ぶ様子など、すごく微笑ましくって楽しく読ませていただきました。

「ありがとうございます」

●海の生き物好きとしては、ペンギンも以前から気になっていたんですか?

「水族館っていうとやっぱりペンギンが人気で、(地元の)名古屋港水族館にももちろんいるので見るんですけど、私はシャチがいちばん好きやからっていうので、これ以上好きになっちゃいけないというかセーブをかけていたんです。

 でもお仕事を通して(ペンギンが)こういうことをしているんですよとか、こういう生態なんですよとか、やっぱり密接に絡んでいったので、どうしてもあらがいきれずに、あっ、ペンギン可愛い! ってなっちゃいました(笑)」

●すみだ水族館には、何種類ぐらいのペンギンがいるんですか?

「すみだ水族館には、マゼランペンギンのみですね。 私が(取材で)聞いた時は49羽とおっしゃっていました」

●ペンギンたちの名前もすごく可愛いですよね。

「可愛いですよね(笑)」

●特に気になったペンギンはいましたか?

「お気に入りというか、推しなんですけど、”わっしょい”っていう子が健気で可愛らしいなと思っています(笑)」

●健気というのは、具体的にどんなところが・・・?

「わっしょいは、今”つむぎ”っていう女の子に片思いをしているオスの子なんですけど、つむぎちゃんは若くて恋っていうのをあまり分かっていないんです。でも、わっしょいはその子に対して、ちょっとずつアピールをしているところなんですね。
 ガツガツいって引かれないように、ちょっとずつ距離を詰めようっていう感じがすごく可愛らしくて、頑張れ! って思っています(笑)」

誌面提供:まつおるか著『下町ペンギン物語』(発行:株式会社KADOKAWA)

●飼育員の方々にお話を聞いて、いちばんびっくりしたペンギンの行動はありますか?

「ペンギンは一生に一羽というか、パートナーは大体決まっているんですね。ほかのペンギンを調べる上で、私はそういうのは知っていたんですけど、今回(飼育員さんに)お話うかがって、修羅場がありました! って言われたんです。

 略脱愛というか浮気をしたりとか、ほかの彼氏を取ったりとか、そんなことがあるらしくて、(ペンギンは)意外と情熱的に生きているんだなっていうのを知ってびっくりしました」

(編集部注:まつおるかさんは「すみだ水族館」の取材で、特別にバックヤードに入れてもらって、ペンギンの赤ちゃんとご対面、その愛くるしさにも魅了されたそうですよ)

誌面提供:まつおるか著『下町ペンギン物語』(発行:株式会社KADOKAWA)

シャチのイメージを変えたい

※まつおるかさんは、今後も海の生き物を描いていかれると思いますが、やはりいちばん題材にするのは、シャチなんでしょうね。

「そうですね。やっぱりシャチなんですけど・・・シャチは怖いとか、あまり知られていないんですね。そういうイメージを払拭したいですね。家族愛があって、すごく可愛らしい生き物なんだよっていうのをアピールしたいなと考えています」

●シャチは家族愛があるんですね。 

「そうなんです。家族で子育てをするんです。おばあちゃんがリーダーで、その娘や孫とかでグループを形成しているんですね。

 例えば、お母さんがちょっとご飯を食べたいってなったら、おばあちゃんが子守を代わったりとか、すごく賢くて本当に人間と同じような感じで、里帰り出産じゃないですけど、順番に子供をみんなで育てるっていう習性があって、家族愛が強いすごく可愛らしい生き物です」

●海の生き物たちのいちばんの魅力は、どんなところだと思いますか?

「海は中身を見ないと分からないというか、ぱっと見だと海に生き物がいる感じがしませんけど、ひとたび海の中に入ったら、いろんな生き物が命を営んでいるというか、小っちゃいプランクトンから大きい、それこそクジラまで、あらゆる命がそこにいるんだなっていうのをすごく感じます」

●では最後に、もし海の生き物になれたとしたら、何になりたいですか? そして何をしたいですか?

「そうですね・・・シャチになって、ダイナミックにジャンプをしてみたいなって思いますね」

●いいですね〜!

「あとは仲間と”キューン”って言ってお話をしたりとかしてみたいですね」


INFORMATION

『下町ペンギン物語』

『下町ペンギン物語』

 まつおるかさんの新しい本は「すみだ水族館」で飼育されているペンギンたちの意外で面白い生態、例えば、うぶな恋心、夫婦間のトラブル、ただならぬ男女関係など、人間よりも複雑なペンギンの世界を垣間見られるコミック・エッセイです。ペンギンの可愛いイラストはもちろん、飼育員さんが撮った貴重な写真も掲載されています。おすすめです!
 KADOKAWAから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎KADOKAWA :https://www.kadokawa.co.jp/product/322204001093/

オンエア・ソング 11月6日(日)

2022/11/6 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. MOONLIGHT SERENADE / CHICAGO
M2. LONGING IN THEIR HEARTS / BONNIE RAITT
M3. WHEN A MAN LOVES A WOMAN / PERCY SLEDGE
M4. SWEET MEMORIES / JADE ANDERSON
M5. アイ ラブ ユー / back number
M6. PENGUINS / ED SHEERAN
M7. WILL YOU BE THERE / MICHEAL JACKSON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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