毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。

生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

~2020年3月放送分までのサイトはこちら

Every Sun. 20:00~20:54

2023年6月のゲスト一覧

2023/6/25 UP!

◎鈴木晶友(セーリング・チーム「MILAI」のスキッパー)
地球一周の大冒険「Globe 40」! MILAIの激闘に迫る!』(2023.06.25)

◎清水国明(芸能界きってのアウトドアズマン)
清水国明さんの定点観測28回目!~「あのねのね」結成50周年全国ツアー』(2023.06.18)

◎中島淳(水生生物の研究者)
自宅に「湿地帯ビオトープ」を作ろう!~生物多様性につながる水辺づくり』(2023.06.11)

◎泉 賢太郎(千葉大学准教授で古生物学者)
若き古生物学者、ウンチ化石に挑む!?~地層から読み解く化石の謎』(2023.06.04)

地球一周の大冒険「Globe 40」! MILAIの激闘に迫る!

2023/6/25 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、セーリング・チーム「MILAI」のスキッパー「鈴木晶友(まさとも)」さんです。

 稲毛ヨットハーバーのジュニアヨット教室に参加したことがある鈴木さんは、ヨットで地球を一周したい、そんな夢を抱き、なんのツテもなく、単身フランスに渡り、地道な活動を経て、ついにはセーリング・チーム「MILAI」を結成します。

 このチームはスキッパーの鈴木さんのほかに、セーリング・パートナーとして「中川絋司(なかがわ・こうじ)」さん、そしてフランス人の女性ふたり「エステル」さんと「アン」さん、イタリア人の「アンドレア」さんの、5人から成る国際チームなんです。

写真協力:Team MILAI

 そんなセーリング・チーム「MILAI」が挑戦したのが、初開催となった「Globe 40(グローブ・フォーティー)」。全長12メートルのヨットにふたりで乗って、地球を一周する外洋ヨットレースなんです。

 2022年6月にモロッコのタンジェをスタート、途中7箇所の港に寄り、8つのレグ(区間)を、およそ9ヶ月かけて、ゴールのフランス・ロリアンに戻る大冒険です。総距離はおよそ55,000キロと想像を絶します。

 今週は、そんな壮大なレースに挑戦し、見事完走を果たしたセーリング・チーム「MILAI」のスキッパー、鈴木晶友さんをお迎えし、「Globe 40」の激闘に迫ります。

☆写真協力:Team MILAI

写真協力:Team MILAI

第1レグはトップ! 第2レグは嵐!?

前回のご出演がちょうど1年前の6月ということで、その時はリモートでお話をうかがったんですけれども、今回はこうしてスタジオにお越しいただきました。ありがとうございます!

「初めまして! 今さらになりますが、よろしくお願いします」

●いや〜やっとお会いできました! よろしくお願いいたします。帰国後、いろいろ報告会とかも開催されたそうですけれども、いかがでした?

「思っている以上にみなさんが歓迎してくださって、やっと帰ってきてくれたねって言っていただきました」

●私たちもですよ~。

「ありがとうございます。ベイエフエムのみなさんにも歓迎していただいて、嬉しいです。 本当に自分が帰ってこられたなっていうのを嬉しく思います」

鈴木晶友さん

●鈴木さんがチームを組んで挑戦された、地球を一周する外洋ヨットレース「Globe 40」を振り返っていきたいと思うんですけれども、結果としては当初の目標だった完走を見事果たして、総合3位でフィニッシュしました。本当にお疲れ様でした。

「ありがとうございました。思っていた以上に地球は大きかったですね(笑)。でも本当に3位でフィニッシュすることができて、ただただ嬉しいです。

 もちろんもっといい成績を狙えたかもしれないんですけれども、私たちは地球一周を達成するということが目標だったので、今回しっかりと、こうやってフィニッシュできて、みなさんにいい報告ができて、本当に嬉しいですね」

●第1レグ、これはモロッコのタンジェからアフリカのカーボベルまでの区間でしたけれども、トップでゴールされたんですよね!

「そうなんですよ」

●これは思い通りのレースでしたか?

「手応えよくて最初からよかったですね。カーボベルまではだいたい貿易風に乗るまでの海域になるので、基本的に追っ手の風で走っていけるんですね。距離も3,000キロなかったかな、2,500キロぐらいだったので、最初の第1レグとしては、慣らし運転ってわけじゃないですけど、無理しないで行こうと思っていたんです。すごくいい走りができたので、本当にいい第1レグを走ることができました」

●幸先のいいスタートでしたね。

「そうですね」

●続いて第2レグは、カーボベルデからモーリシャスまでのレースでした。ここが今回の大会でいちばん期間が長いんですよね?

「そうですね。全体で39日間かけて、アフリカ大陸をぐるっとまわって、モーリシャスまで行きました」

●1ヶ月以上ということですね。

「海の上で1ヶ月以上ですね」

●これはやっぱり難しいコースでもあったんですか?

「8月だったので、まだ南半球は真冬なんですよ。その真冬にアフリカ大陸の下をぐるっとまわるのは、結構大変なコースだったので、すごい嵐もありましたし、あと潮の流れも速くて、すごく難しくて、きついレグでしたね」

鈴木晶友さん

●で、この第2レグでトラブルに見舞われたんですよね。

「早速ね(苦笑)」

●何が起こってしまったんですか?

「南アフリカのケープターンをまわる直前に嵐にあいまして、その時に、ヨットの下にぶら下がっている、船のバランスを保つための、2トンの鉛が付いている『キール』っていう重りが、船の揺れでちょっと動き出してしまったので、急遽ケープタウンに入港して確認をすることを決めました」

●その「キール」が機能しないと、どうなるんですか?

「転覆しちゃうんですよ」

●えっ~~〜!

「キールが機能しないで、下手したら落ちてしまうと、もう船はバランスを失って
転覆してしまうので、いちばん大事なパーツなんですね」

●それで、どうやってリカバーしたんですか?

「最初にキールが動き出してしまって、ちょっと危ないなと・・・ただこのまま走ることもできるかもしれないってことだったんですけど、まだ地球一周、先が長いので・・・」

●そうですよね。

「とりあえずここで1回確認をしようということで、一時的に緊急入港して確認をして、応急処置をして、またスタートしたっていう感じですね。2日間ケープタウンにいました」

第6レグで、最大のアクシデント!?

*第2レグでアクシデントに見舞われたMILAIでしたが、レースに復帰後、本来の実力を発揮し、ニュージーランドのオークランドからタヒチのパペーテまでの第4レグと、パペーテからアルゼンチンのウシュアイアまでの第5レグは再びトップでゴールしたんです。

写真協力:Team MILAI

 これは、2年かけて、セーリング・パートナーたちとの練習や、船の整備も含めて、いい準備ができていたから、ということなんですが・・・

 今回の「Globe 40」で最大の危機がやってくる、ウシュアイアからブラジルのレシフェまでの第6レグです。今年1月にスタートして、アルゼンチン沖でまたもやアクシデントに見舞われてしまうんですよね?

「スタートして4日目にアルゼンチンの沖で、未確認浮遊物体に衝突しました。これは、本当に何にぶつかったかわからないです。 生き物なのか、コンテナなのか、木なのか、わからないですね。

 明け方に急に船が(何かと)衝突して、船が止まってしまいました。まずは船の状態を確認しようということで、全部確認をしたらかなりの損傷だったので、一度レースから離脱しようということを決めました」

●ケガとかは、なかったんですか?

「ケガは大丈夫でした。実は私は寝ていたんです。寝ていた時に急な衝撃で起きて、船の中はガラスファイバーが壊れる臭いというか・・・」

●じゃあ、また再び修理をしてっていうことですよね?

「そうです。いちばん近い岸がおよそ1,000キロの距離で、マル・デル・プラタ(*)という港があることがわかったので、4日間かけて、まずはマル・デル・プラタを目指すことにしました。とはいっても、船は結構損傷が激しかったんですね。4日間、船の修理をしながら陸に向かっていましたね」
(*アルゼンチンのブエノスアイレスにある港湾都市)

●壊れた状態で4日間過ごしていたんですね。

「そうなんです」

●不安もありましたよね?

「またもや、キールなんです」

●またですかー!?

「キールがぶつかってしまったので、船から取れて落ちる状態に近くなってしまったんですね。なので、船の中でできる補強をしながら、船のまわりにコンビニとかないから、船にあるものだけを使って修理をしながら岸を目指しました」

写真協力:Team MILAI

●修理をして、またレース続けようっていう決断をされたわけじゃないですか。そう簡単じゃないと思うんですけど・・・。

「まずは入港したマル・デル・プラタに、ヨット・レース用のヨットを修理する設備がなかったんですね。なので、その設備を作るところを探したり、船を乗せる台を作ったり、人を見つけたり・・・で、全部で1か月以上かけて船を直すことになったんです。

 自分が知らないところで、本当にここで船を直せるのかなっていう・・・直したあとに、またあと1万2000キロも走んなきゃいけないんですよ。 大丈夫かなっていう決断をするのは難しかったですね」

●もうやめようって思うことはなかったですか? 諦めちゃおうって・・・。

「100回ぐらい思ったかも(笑)」

●そうですよね~。

「やめて、それこそ貨物船に船を乗せて、フランスに帰るっていうことも、本当に何回も考えたんです。でもヨットの成績は置いといて、レースの成績は置いといて、自分たちの目標は世界一周を達成することなので、その可能性を探り続けて、これならしっかり船を直してフランスまで帰れるなっていうのを、自分で確認して修理することを決めました」

写真協力:Team MILAI

●そういう思いが支えになったわけですね。

「あとね、応援してくださる方々がたくさん、本当心配してくださって、エールだけでもなくて、いろいろアドバイスをくれたりとか、ここに聞いたらいいんじゃないかとか・・・やっぱり日本の方々からの、そういったサポートもすごく嬉しかったですね」

(編集部注:鈴木さんたちはおよそ1ヶ月かけて、船を修理したわけですが、当然その間もレースは続いていて、結果、鈴木さんたちは第6レグから第8レグまでは「リタイア扱い」になったんです。

 それでも完走し、総合3位になったのは、鈴木さんの説明によると、「Globe 40」は地球を一周するレースなので、設定したコースを通ってゴールのフランス・ロリアンに戻ってくれば、完走扱いになるとのこと。

 また、8つのレグのうち、第1レグから第5レグまでの間に3回トップになり、その時点で総合2位だった、つまり貯金があったので、後半3つのレグをリタイアしても、ロリアンに戻ってきたので、総合3位と認められたそうです)

楽しいセーリング、そして喜ぶ顔

※再スタートを切って、ロリアンまでの航海は、気持ち的にはどうでしたか? レースというよりは、外洋の航海を楽しむ感じになったんじゃないですか?

「途中で、それこそちょっとルアーを作って釣りをしてみたりとか・・・もちろんレースじゃないですか。今回はレースではあるけれども、ほかのレース艇はいなくて、無事にフランスに帰ることが大切なので、風がない時はそうやって少し、自分でルアーを作って(海に)流してみたりとか・・・釣れなかったですけどね(笑)」

●でもちょっと(航海を)楽しむ余裕みたいなものもありましたよね?

「初めて! 余裕を持ったセーリングができたっていうのは、本当に初めてでしたね。いつもやっぱりライバル艇と1分1秒を競って、少しでも早く走んなきゃいけないっていうのがあったんですけど、今回は無理せずに、無理しすぎずにフランスに帰ることが第一目的だったので、少し気持ち的な余裕もあって楽しかったですね」

●船の上で出会った、忘れられないシーンはありますか?

「いちばん印象に残っているのは・・・やっぱり生き物が世界一周、地球を一周してく上でたくさんいるんですよ。たとえば、鳥。僕はそんなに鳥に興味はなかったんです、正直に言うと・・・。

 でも地球を一周していく中で、鳥の種類、大きさ、色、性格が移動していくごとにどんどん変わっていくんですよ。きょうの鳥はちょっと色が変わったなとか、なんかきょうは種類が変わったなとか・・・それを地球の上を移動しながら、その変化を見てこられたのが、僕の中で、すごくいいもの見たなって思いましたね」

●ある意味忘れられないレースになりましたね。楽しめたレースというか・・・。

「はい、最後の大西洋、フランスまでは、本当に楽しいセーリングでした」

写真協力:Team MILAI

●最終的には当初の予定よりは1カ月遅れになりましたけれども、最終ゴールのフランス・ロリアンに無事に戻ってこられて、その時のお気持ちはどうでした?

「ただただ嬉しかったですよ。僕ら船の上で無線をいつもオンにしているんですね。船同士、走るための、話すための無線をオンにしているんですけれど、フランスに近づいてきて、久しぶりに無線からフランス語が聞こえてきた時に、あっ、帰ってきたんだなっていうのを感じましたね。

 やっぱり世界一周していると、その国の言語なんですよね、無線が。なので、久しぶりにフランス語を聞いて、あっ、本当に帰ってきたな、いよいよだなって思いましたし、フィニッシュ・ラインが見えた時に、お迎えの人たちがボートで来てくれて、すごく嬉しかったですね」

●奥様も喜ばれたんじゃないですか?

「ねっ! 本当にみんな喜んでくれて、なんだろう・・・僕以上に自分たち以上に家族だったりとか、あとはレースを応援してくれたフランスの方、日本の方、現地に来てくれた日本の方々がすごく喜んでくれたので、みなさんの喜んでくれる顔を見られて嬉しかったですね」

写真協力:Team MILAI

メンタルをポジティブに

※レース中は、睡眠はパートナーと2時間交代でとって、天候が荒れたら食事もとれないですよね。そんな中、毎日どんなことを考えていたんですか?

「もちろん船のセーリングを、しっかり安全なセーリングをしなきゃいけないので、船を走らせることをまずは考えるんですけども、それプラス、やっぱり(レグの)期間が長いじゃないですか、1ヶ月間かそれ以上・・・。

写真協力:Team MILAI

 船の中では、2〜3畳間くらいのスペースにふたりでずっといるので、メンタルをちゃんとキープしようと・・・。お互いの、ふたりの雰囲気もよくしないといけないし、自分自身の気持ちもよくしなきゃいけないので・・・いちばんメンタルをキープしやすいのが、あと何日でゴールできるかなっていうのを、僕はずっと頭の中で計算してましたね」

●カウントダウンということですね。 

「たとえば1ヶ月、30日間かかるレグだとしても、3日終われば、これで10分の1、終わったんだなとか。たとえば5日目とかになると、もう6分の1終わったんだなとか、ポジティブにポジティブに考えながら、日々過ごしていましたね」

(編集部注:ちなみに天候が安定しているときは、読書をしたり、映画を見ることもあったそうです。でも、気持ちはどこかオンのままだったとか)

自然のサインを読み取る!?

写真協力:Team MILAI

※ヨットレースは、刻々と変化する気象を読んで、いかに風をつかむかが大事だと思うんですけど、これは経験を積むとわかるようになるんですか?

「最初は、インターネットが海の上でも使えるんですよ。飛行機の機内wi-fiみたいな形でインターネットにつながるので、そこで天気のデータをダウンロードして、1週間2週間先までの自分たちの航海計画は毎日立てるんですね。

 ただやっぱり予報なので、海の上で天気がガラッと変わったりするんですね。その時はやっぱり勘かな、経験かな・・・雲を見たりとか、途中、たとえば湿気が多くなってきたなとか、匂いが少し違うなっていうのを・・・」

●匂いまで!?

「体で感じて、それで早めに、セイル(帆)を小さくしたり、大きくしたり、方向転換したり・・・予報が外れた場合は、自分の勘で(船を)走らせるっていう感じですね」

●そういったわずかな自然のサインをすべて感じ取るんですね。

「そこがすごく大切です。それをちゃんと感じないと、船が壊れちゃうかもしれないし、そうしたら自分の力でゴールできないかもしれないので、そこが大切なところですね」

もう1回、地球一周したい!

※今回初めて開催された外洋ヨットレース「Globe 40」に挑戦し、そして完走を果たした今、鈴木さんの中にどんな思いがありまますか?

「本当にありがたいことに、この「Globe40」を通じて、世界一周を体験することができたので、日本全国のヨットをやっている方、何かに挑戦したいなと思っている方に、この体験、経験をお話しさせていただきたいなと思っています。

 まずはこの1年、2年かけて、日本全国をまわって、世界一周の体験をいろんな人にお伝えしようと思っています。あとはこの世界一周の体験がすごく楽しかったし、自分自身も挑戦することが好きなので、まだ今は明確には決まってないですけど、次の挑戦を決めて、それに向けて活動したいなとも思っています」

●漠然と、なんとなくはあるんですか、次の目標が?

「ねえ~何かな・・・はっきりとは言えないけど、やっぱりセーリングが好きですし、地球一周もすごく楽しかったので、もう1回、地球一周したいなと!」

●またお話を聞かせてくださいね、その時に!

「ぜひ!」

●では鈴木さんにとって、ヨットとは?

「難しい質問ですね(笑)。ヨットとは・・・まぁ僕そのものかな。自然の力で自分の力で、大陸と大陸の間にある海を横断できる、地球の上を移動できる、それを叶えさせてくれるのがヨットであるし、それに乗れるのが自分であるので、これからもヨットに乗り続けていきたいなと思います」

鈴木晶友さん

INFORMATION

 セーリング・チーム「MILAI」や「Globe 40」の激闘の模様、そして近況についてはオフィシャルサイト、または「MILAI」のfacebookをご覧ください。

◎「MILAI」HP:https://milai-sailing.com

◎「MILAI」Facebook:https://www.facebook.com/milai.aroundtheworld/

オンエア・ソング 6月25日(日)

2023/6/25 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. RIDE LIKE THE WIND / CHRISTOPHER CROSS
M2. TROUBLE / COLDPLAY
M3. DON’T STOP BELIEVIN’ / JOURNEY
M4. LA MER / CHARLES TRENET
M5. Ride On Time / 山下達郎
M6. HERE COMES THE SUN / THE BEATLES
M7. ルージュの伝言 / 荒井由実

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

清水国明さんの定点観測28回目!〜「あのねのね」結成50周年全国ツアー

2023/6/18 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、芸能界きってのアウトドアズマン「清水国明」さんです。

 清水さんには毎年一回、この番組にご出演いただき、そのとき、どんなことに夢中になっているのかをお聞きする定点観測を続けさせていただいています。その定点観測、今年でなんと28回目! つまり28年以上前からこの番組にお付き合いいただいているんです。

 今回は、結成50周年を迎えた伝説のフォーク・デュオ「あのねのね」のツアー情報ほか、茨城県常総市に整備したキャンプ場「くにあきの森」や「笑顔食堂」プロジェクトのお話などうかがいます。

☆写真協力:kuniaki.plus

全国ツアーの前にリハビリ・ライヴ!?

●毎年この時期にご出演いただいて行なっている定点観測、今回で28回目となります。本当に長いお付き合いありがとうございます!

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

清水国明さん

●まずはなんといってもこの話題からです。伝説のフォークデュオ「あのねのね」が今年で結成50周年なんですよね。おめでとうございます!

「ありがとうございます! めでたいのかどうか、まあ50年も続けばね・・・昔、原田(伸郎)が言っていたけれど、中途半端に古いと値打ちはないけども、このくらい古くなると、骨董品としての値打ちが出てくるとか言うてましたね(笑)。
 自分で言うのもおかしいけど、レジェンドっていうようなことを各局で言われるようになってね。あ、俺レジェンドなんだとかって、思いますけれども、そのくらい(長く)やらさせていただいているということは、確かなことなのでありがたいです」

●その50周年を記念して全国ツアーを行なうんですよね?

「これはね、本番の50周年のコンサートがあるじゃないですか。それに向けてのリハビリ・ライヴということで・・・実は40周年をやりました。その頃の感を取り戻すために・・・この10年間やっていないようなものなんでね。
 生きてはいたんですけど、もちろん解散もしていないんですけれども、活動もしていなかったものですから、あのねのねとしてのトークであるとか、歌の間とか音程とか、そういったことをリハビリしないと、みっともないことになるぞということで、ライヴをやろうやないかという思いで、リハーサル代わりにやっているわけです」

写真協力:kuniaki.plus

●全国ツアーの前にリハビリ・ライヴってことですね。

「そうですね。だから何箇所かやってきたんですけれども、もちろんぐしゃぐしゃなんですよ。演奏して歌を忘れるし、音を外すしで、まあ本番で頑張ろうやとか言いながら・・・それをお金を出して見にきた人にはえらい災難ですけどね。まあそんなふうに全国でやらさせてもらっています。

 みなさんの評価は、すごく楽しかったとかっていうのと、それから元気になったとかも・・・それは確かにわかるんですよ。俺72歳だし、原田も71歳の爺さんふたりが、50年も前と同じような感じで、キャッキャ言いながらアホな歌を歌ったりしているわけだから・・・。同世代の人たちに見にきていただいたんですけれども、あ〜我々もまだできるなという、そういう励みにはなったかもわからないです」

あなたまかせのキャンプ場

写真協力:kuniaki.plus

※清水さんは先頃、茨城県常総市の「ふるさと大使」に就任されました。常総市のほうから、キャンプ場を作って欲しいという要請があり、それを受けて、「くにあきの森」というキャンプを整備、今月グランドオープンを迎えたそうです。どんなキャンプ場なんですか?

「あのね、水とトイレと電気、これはやっぱりいるなと思って・・・トイレも、僕はアウトドアズマンと言われていますが、ウォシュレットがないとだめなもんですからね(笑)。洗浄便器をくっつけたトイレはしっかりあるんです。あとは何にもなしのとりあえず森、雑木林ですね。

 何があるか、いるかというと、クワガタとカブトムシ。これは、そこを開発しようと思って、ユンボをガーーーっと・・・草ボーボーで薮とか竹とか茂っていて、ガガガガッと3〜4メートル入った瞬間に、カブトムシの幼虫が5〜6匹ポロポロって出て、いや〜すげー!って、もう一気にそこが気に入りましてね。

 それまでも隣の柏市で杉林を開発して(キャンプ場を)作っていたんですけど、その時はそういう昆虫はいなかった・・・ところが雑木林ってすごいね。入り口にそれだけいるってことは、奥のほうにはもうてんこ盛りにいるんじゃないかと思って勇んで行ったら、奥にはあんまりいなかった(笑)」

写真協力:kuniaki.plus

●あははは(笑)

「そういう虫がいっぱいいる場所で、クワガタ、カブトムシの森というのも施設として作ろうかなと思っています。で、自然が豊かなのと、それから自由が豊かっていうか、自由がいっぱいある、ほったらかしの・・・キャンプ場の前に“あなたまかせ”というフレーズをつけたんですよ。

 いろいろ設備だったり、グランピングとか、いろいろどうじゃーってなっているけど、あれは方向性として違うなと思っているんですよ。

 なんにもなしで、自ら然(しか)るって『自然』ってそういうことで、自分でやる、自分で決める、自分で楽しむっていうのが、キャンプであり自然だと思うから、ほったらかしです。 

 なんでも自由にしてください、自己責任ですよと。自他自由と言っているんですが、あなたも自由だけど、他人も自由だから、他人の自由を犯す自由はないよ、みたいな・・・それから自修自得って言っているんですが、自分で楽しめよと。

 なんやここなんにもないから、つまんないっていう人は自分で楽しんでないです。ここ何でもできるなって自分で喜びを作りだせる人は、これ以上のところはないと思います。もうほったらかしですからね。そういう自由がある自然な森をキャンプ場というふうに捉えていただければいいんじゃないかな」

●あなたまかせのキャンプ場、面白いですね!

「このあいだね、ホームページを作っているやつからね、“チェックイン、チェックアウトの時間はどうしたらいいですか”って質問がきたから、“あなたまかせ”って(笑)、好きな時に出てって好きな時に入ってちょうだいって(笑)」

●いいですね〜(笑)

写真協力:kuniaki.plus

笑顔食堂、あした笑顔になあ〜れ

※清水さんはほかにも「笑顔食堂」というプロジェクトを進めていらっしゃいます。これはどんなプロジェクトなんですか?

「これはですね・・・ご存知のように子供食堂っていっぱいあるじゃないですか。日本に7300ぐらいあるんですって」

●全国いろんなところにありますよね。

「それをやっている人は庄野真代さんとか、うちの会社グループもふたつぐらいやってるんですけど、いいことやってんなと思いながらも、あんまりそれに関心を示さなかったんです。

 私は毎日の食事を用意するっちゅうなことは、いちばん苦手なんです。ぽっと瞬間的にそういうことするのはできるんだけども・・・だから子供食堂はできないなと思っていたんですが、それっていわゆる社会が子供たちを育てるという形なんですね。自分の子供だけ育てればいいっていうわけじゃないなと思い始めたんですよ。

 72歳ということは、そろそろエンドがちらほらと見えてくるわけですよ、終活というかね。もうこの先、俺も72だからせいぜい生きて、あと60年ぐらいですか(笑)。だからそろそろ亡くなった後、あ〜、あの人、ひどいことしていたけど、こういうこともやってたんだっちゅうなこともやらないかんからね。

 それと、人さんのお子さんを育てるということは、今まで考えてなかった・・・自分の利益、自分の家族の幸せというものを中心に考えてきた・・・けど、今度うちのライヴでもやってくれる、ナオちゃんっていうハーモニカのミュージシャンがいるんですが、その人がね・・・“ナオちゃん、家族どうなってんの?”って、“今、里子(さとご)がいます”って言って里親になって、それも二組目なんですって! いや〜偉いねって・・・考えてみたら、俺そういうことしてこなかったなということで、無関心だった・・・。

 無関心ってのは、愛という言葉の裏返しが無関心だそうでね。これは愛のない日々を過ごしてたなということで、だから『笑顔食堂』・・・ちょっと話が長くなりましたけど、『笑顔食堂』というのは、自分ができることをやろうと思って、キャンプ場をいっぱい作ってますから、そこに来てもらって自由に遊んでもらう・・・それはもうただで来てください、中学生までですね。ただで遊んでもらって、お父さんお母さんも来てくださいよと・・・で、『笑顔食堂』の食事作りを手伝ってくれたら、大人は入場料半額ですよっていうことで、なるべくみなさんが来やすいようにね。

写真協力:kuniaki.plus

 つまり、子供の支援っていうか貧困というのは、経済的なものと時間的なものと、それから愛情の貧困って、いろいろあるらしいのね。そういう意味では、食べ物は我々もやりますけれども、子供食堂があるけれども、自然体験とか親子の触れ合う時間とか、自然の中でのびのび、というものを提供できる・・・そして子供たちが今苦しくても、あした笑顔になあ〜れって言ってるんですが、あした笑顔になれるような、そういう取り組みをやろうというふうに思いたったわけです」

(編集部注:「笑顔食堂」プロジェクトのキックオフ・イベントが10月5日に東京国際フォーラムのホールAで開催予定だそうです。清水さんは、みんなが楽しむためのフェスティバルにしたいと、いろいろ構想を練っているようですよ。もちろん「あのねのね」も出演するとのことです。楽しみですね)

遊びも仕事も、常に全力!

●河口湖にある自然体験施設「森と湖の楽園」、瀬戸内海の無人島リゾート「ありが島」、あとは3年ほど前に千葉県鴨川の杉林を開拓して作られた「かもがわ自然楽校」、そして今回の「くにあきの森」がありますが、ご自分で汗を流して切り開いて何かを作るっていうのは、アウトドアズマンである清水さんの得意とするところだと思うんですけど、改めてどうですか?

「あのね、この28年間で何回か言ったかもわかりませんが、ある人の評価で“清水さんの頭の中は、おもちゃ箱をひっくり返したようになってる”・・・それでよく言われるのは“どこまでが仕事で、どこまでが遊びか、そのメリハリがない”・・・ずっ〜と遊び、ずっ〜と仕事みたいな感じで、自分の人生を使い切って終われたら幸せやなと思ってるんですね」

●常に全力ですよね。全力で遊ぶ! 全力で仕事する! 

「多分ね、中途半端に何かをやった時、中途半端な感動しか得られないからね。思いっきり、おら〜って言った時は、おりゃーという喜びがあります。それはもう何回か繰り返してきてね。

 ”楽(らく)”と”楽しい”は違うって言いますよね。楽(らく)しちゃうと、本物の感動は得られないんじゃないかなと思って、わざわざしんどいほうを選ぶ・・・僕はリスクテイカーとも言ってるんですが、リスクのあるほうに飛び込んでしまう・・・体質がMなんでしょうね。これね〜、そういう生き方を貫いていると、ややかっこいいですけど、そんなことやってますね」

生きる力が退化!?

※清水さんが、自然体験のできる施設やキャンプ場を作っているのは、やはり多くのかたに「生きる力」を身につけて欲しい、そんな思いがあるからなんでしょうか。

「今の生活プラス生きる力というよりも、生きる力がものすごくなくなってきたような気がするんですよ、大人も子供も。つまりスマホで全部解決してしまうから、地図を覚えないしね。
 俺、東京のテレビ局とかラジオ局に行ってても、そこから帰る時、必ずナビ入れてしまうもんね。そんなもん、もう100回ぐらい通ってんやから、それなしでも帰れそうなのに、でもなぜかナビを入れてしまう・・・。

 それと漢字が書けなくなってきたんですよね。それとか、なんか調べ物するにしても、自分の頭の中にある記憶を取り出そうとせずに、ついスマホで調べてしまう・・・スマホ依存症ということらしいね。

 そのくらい、子供と大人も、やっぱり今の便利なものにどんどん飛びついて、そして生きる力っちゅうか、工夫する力、自分で考える、思い出すというようなところを手放してしまってる・・・人類ってどんどん成長してるように思うけど、実はどんどん退化してるんじゃないか・・・その退化しているのは何かというと、やっぱり何もないとこでも、生きていけるような生きる力というのがない。

 それを補填してくれるというか、読み出してもう1回リスタートしてくれる、そのスイッチを入れてくれるのは、自然の中の、これもずっと言い続けてると思うんですが、そういう中で得られる『熱い、寒い、臭い、痛い』みたいなものを得ることによって、むくむくっと出てくるんじゃないかなと・・・最後のリハビリというか立ち直るには、その環境が本当に外せないなと思うわけですね」

●今年の後半は「あのねのね」の50周年全国ツアーに全力投球だと思うんですけれども、その先はまた新しいことにチャレンジするとか考えていらっしゃるんですか?

「はっきり言えるのは、60周年はないということ! ってことは最後だと・・・この50周年のライヴがですね。だから生で『あのねのね』というものを・・・噂で聞くか、ちらっとお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが言ってたなみたいな『あのねのね』を、生で見られる最後のチャンスなんでね、ぜひ(ライヴに)来ていただいきたいなと思います」


INFORMATION

「あのねのね」結成50周年を記念したツアー情報

 リハビリ・ライヴを終えた「あのねのね」は6月24日・京都、11月5日・東京でコンサート。ほかにも7月23日・神戸、9月10日・福岡、10月15日・長野でライヴを行なうことになっています。ぜひ、生で「あのねのね」のライヴをお楽しみください。会場によっては、すでにソールドアウトになっているところもあるそうです。

 詳しくは「あのねのね」の公式Facebookでご確認ください。

https://www.facebook.com/profile.php?id=100089085037073

 茨城県常総市にある「くにあきの森」については、以下のサイトをご覧ください。

◎くにあきの森:https://www.kuniakinomori.com

 清水さんの近況はFacebookをご覧ください。

◎清水国明さんFacebook:https://www.facebook.com/kuniaki.shimizu2/?locale=ja_JP

オンエア・ソング 6月18日(日)

2023/6/18 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. ALL FOR YOU / JANET JACKSON
M2. 赤とんぼの唄 / あのねのね
M3. FREE / DENIECE WILLIAMS
M4. I LOVE YOUR SMILE / SHANICE
M5. TATTOO / Official髭男dism
M6. DON’T WORRY BE HAPPY / BOBBY MCFERRIN
M7. 生きるチカラ / 清水国明

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

自宅に「湿地帯ビオトープ」を作ろう!〜生物多様性につながる水辺づくり

2023/6/11 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、水生生物の研究者「中島淳(なかじま・じゅん)」さんです。

 中島さんは1977年、静岡県生まれ、東京育ち。幼少の頃から、生き物全般が好きで、特に淡水に棲む魚と昆虫に興味を持っていたそうです。

 その後、九州大学に進学し、大学院を経て、現在は、福岡県保健環境研究所の専門研究員でいらっしゃいます。専門は淡水魚と水生昆虫の、生態学と分類学。これまでに新種としてドジョウ類12種、そして水生昆虫4種に名前をつけたそうですよ。

 研究の傍ら、生き物の観察会や講演会の講師としても活動。また、ネット上では「オイカワ丸」という名前でも活動されていて、淡水魚が好きな人には、お馴染みのかたかも知れません。

 きょうはそんな中島さんが先頃出された本『自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり』をもとにいろいろお話をうかがっていきます。

☆写真協力:中島 淳

中島淳さん

湿地帯と生物多様性

※まずは「ビオトープ」とはなにか、改めてご説明しておきましょう。
 ビオトープはドイツ語なんですが、もともとはギリシャ語で「命のある場所」、つまり「生き物が生息している場所」のこと。森や川、海岸など、生き物が生息している場所はすべてビオトープになります。そういう意味では地球そのものも、巨大なビオトープと言えますね。

 中島さん曰く、湿地帯ビオトープには4つの大事なキーワードがあるそうです。その4つとは、湿地帯、生物多様性、外来種、そしてエコトーン。

 それではひとつずつ詳しくうかがっていきましょう。まずは湿地帯なんですが、水辺全般を湿地帯と呼んでもいいのでしょうか。

「そうですね。大きな意味では、海は除くんですけれども、だいたい水深6メートルより浅い沿岸域、だから潮の満ち引きの影響があるところ、そこから陸域にかけてですね。河川とか、ため池とか湖とか田んぼ、あと地下水、こういったものは湿地帯と定義されます」

●やっぱり、かなり重要な場所なんですよね?

「はい、そもそも人間は水、淡水を飲まないと生きられません。その淡水の主要な供給源がこの湿地帯になるわけです。また湿地帯で生きている生き物は、例えばアサリとかでもそうですけれども、食べ物として非常に重要ですね。本当に大事なビオトープ、生息場のひとつというのが湿地帯だと私は思っています」

●湿地帯ビオトープを作ると、それは生物多様性を守ることにつながっていくんですか?

「そうですね。森にも砂浜にもビオトープはあるんですね。それぞれ特有の生き物が暮らしているので、どこの環境も非常に貴重なんですけれども、特に日本では湿地帯、身近な水辺の環境がかなり破壊されています。

 そういうところに暮らす生き物の多くが絶滅したり、絶滅危惧種になってしまっているということで、そういった湿地帯を想定したビオトープ、生物の生息場所を増やしていくというのは、生物多様性に大きく(貢献し)、特に日本で広くつながると考えています」

●生物多様性が失われてしまうと、私たちの生活に具体的にはどんな影響が出てきてしまうんでしょうか?

「いちばんわかりやすいのは、握り寿司ですね。お寿司とか好きかなと思いますけれども、種類がいろいろあるのが、お寿司の楽しみのひとつだと思うんです。これがまさに生物多様性の恵みそのものですね。生物多様性が失われると、寿司ネタが一品ずつ減っていくというようなことになります」

『自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり』

外来種とエコトーン

※大事なキーワードの続き、外来種とエコトーンについて。湿地帯ビオトープを作るときに、もっとも注意しなければいけないのは、外来種を育ててしまうことなんですか?

「育てることが問題ということではないですね。どちらかというと、育てた外来種が野外に出て行って、それがそこに、もともといた生き物とか生態系に悪影響を与える、これが問題だということですね。

 外来種というのは、人が持ち込んだものという定義ですけれども、その定義で言えば、稲とかカボチャとか、野菜の多くは外来種ですね。それが問題だというわけではないということですね。それがコントロール不能になって野外に出て行って、生物多様性を破壊してしまうことがあるわけですね。そういうことにならないようにすることが重要だということです」

●エコトーンという言葉を、私は初めて知ったんですけれども、詳しく教えていただけますか。

「エコトーンは端的に言えば、異なるふたつの環境です。それが少しずつ変化しながら接する場所という意味で、水辺に関して言えば、陸と池・・・その陸と水の間、陸から徐々に水の中に入っていくような・・・一見、陸だと思って踏み込んだら、ズブズブと足が沈んでしまうような、そういった場所がエコトーンということになります」

●ちょうど狭間のようなものっていうことですね。エコトーンこそ湿地帯ビオトープの要と言えるんですか?

「そうですね。ビオトープという言葉は古くからある言葉ですけれども、あえてタイトルに“湿地帯”を付けたのも、そういった概念として、連続的に変化するような環境を含めて、ビオトープ化して楽しむことができないかなと思って付けたものです。
 そういう意味で湿地帯というのは、エコトーンを含むような意味合いとして、湿地帯ビオドープという一連の言葉は、これは造語だと思いますけれども、それで今回、本の名前として付けたものになります」

●エコトーンで暮らしている生き物って、どんな生き物がいるんですか?

「身近でよく知られているもので言えば、ドジョウという魚ですね。あるいはサンショウウオとかトノサマガエルみたいな両生類ですね。こういったものはエコトーンを重要な生息場にしている、田んぼとかでよく見られるような生き物ですね。

 こういったものは、完全に干上がらない川とかは好きじゃないんですけれども、陸もダメで、陸と水の間のときどき干上がったりはするけれども、割と常に水があるような環境、そういった場所じゃないとうまく繁殖できなかったり、生きられなかったりするような生き物になりますね」

写真協力:中島 淳

湿地帯ビオトープの作り方

※中島さんの本によると、実際に自宅に湿地帯ビオトープを作るには、水と陸、そしてその境であるエコトーンを作ることがポイント。用意するのは、水を貯めておくための防水シート、プラスチックのコンテナ、そして小型の睡蓮鉢など。小型のコンテナや睡蓮鉢は手軽なのでマンションのベランダでも活用できるそうです。容器に入れる土は、ホームセンターなどで売っている赤玉土など。

 湿地帯ビオトープの作り方について、詳しくは中島さんの本をご覧いただきたいのですが、小さなビオトープだったら、数時間で作れるそうですよ。

写真協力:中島 淳

 さあ、生き物たちが暮らせる場所が整ったところで、育てる水生生物や植物はどうすれば、いいのか、中島さんにお聞きしました。

「植物についても本の中でいくつか詳しいことを書きました。外来種の話を本の中でも解説しているんですけれども、ビオトープから外来種が出ていって、野外に行ってしまうという構造の場合は、やっぱり変な外来種の植物は入れないほうがいいわけですよね。

 ただそうじゃなくて(外に)出にくいような構造であれば、ある程度自由に、売られているものを入れてもいいかなと思いますが、真に生物の保全につなげるためには、できれば住んでいる家の、まずはビオトープを置く場所の、周囲の川から取ってきたものを中心に入れるのが、いちばんいいかなと思います。

 それから動物、魚なんかは、メダカであれば、買ってきて入れるということも、やむを得ない場合もあるかなと思いますが、そんな場合もメダカが逃げ出さないように、逃げ出すとそれが外来種になってしまいますので、そういった点には注意する必要があります。

 あとは水生の昆虫類なんかは、実はゲンゴロウとかトンボとか、いろんな種類が日夜、我々の頭上を飛び回っているんですね。なので、いい水辺があれば、棲みつくようになります。 いろんな昆虫が突然現れたりするので、それを楽しむというのがいちばんいいかなと思います」

写真協力:中島 淳

●本には何も入れない湿地帯ビオトープっていう説明もありましたけれども、何も入れなくても、いずれは生き物たちが暮らすビオトープになるっていうことなんですか?

「はい、実は水草というか水生植物の中でも、タネが空を飛んでいるような種類は結構多いんですね。タネがうまく発芽するようなエコトーン、これがあれば、実は何らかの植物は、意外と生えてくるものですね。場を作って粘り強く待つという楽しみ方もひとつあります」

●場所だけ作っておいて、何も入れなくても、生き物たちってやってくるものなんですね。

「そうですね。周辺の環境にもよりますけれども、粘れば何かしらくるのは、日本の場合は間違いないだろうと思います」

(編集部注:先ほど、近くの川から植物や生き物などを持ってくるというお話がありましたが、なんでも持ってきていいという話ではありません。中島さんによれば、魚などは各都道府県が定める規則に従わなくてはいけないとのこと。また、植物や土、石は河川法という法律によって、個人が自由に採取することは禁じられているそうです。

 とはいえ、採取する量が極めて少ない、または常識の範囲内であれば、問題にはならないそうですが、個人での判断が難しいときは行政の担当部署に問い合わせてくださいとのことです。詳しくは中島さんの本に載っていますので、ご確認いただけければと思います)

人間は自然を再生できる

写真協力:中島 淳

※中島さんのご自宅の庭には、10年ほど前に作った湿地帯ビオトープがあります。現在はメインのビオトープのほかに、埋めるタイプのコンテナ・ビオトープが5つ、睡蓮鉢ビオトープが2つ、それらを管理しているとのことです。

 勝手に飛んできたトンボ類やアメンボなどの水生昆虫がどんどん増えているそうですよ。どんな湿地帯ビオトープなのか、これも本に載っているので、ぜひご覧ください。

 お休みの日にご自宅の湿地帯ビオトープにいると、どんなことを感じますか?

「植えた植物もあるんですが、勝手に(池に)やってきた昆虫はやっぱり嬉しいですよね。場を作ってその生き物に選んでもらえたというところですね。この池がなければ、その虫はここで増えることはなかったわけですから、そういう意味では生物の保全にもつながる新しい場作りができたし、そういったのを呆然と眺めているのは楽しいですね」

写真協力:中島 淳

●首都圏でおすすめのビオトープってありますか?

「生息場として、いい湿地帯はたくさんあるんですけども、本でも紹介しましたが、エコトーンに注目するのであれば、やはり東京の井の頭池ですね。あそこはかなり意識的にエコトーンを再生するということをしています。

 エコトーンというものをこの本でちょっと読んで、どんなものかなと脳内にイメージを置いて、改めて井の頭池だけ見てみると、あ〜こういうことをしているのかというのがよくわかってきます。

 実際あそこは生き物も多いので、私も何度も行きましたが、そういう知識があると解像度が上がると言いますか、あ~なるほどというので全く見え方が違ってきて、面白いんじゃないかなと思いますね。町の真ん中にありますので、そういう中でもこういった場を作ると、これだけ生き物が棲めるようになるんだということがよくわかって、東京都周辺では井の頭池はおすすめポイントですね」

●では最後に、この本『自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり』 を通して、いちばん伝えたいことを教えてください。

「伝えたいことはたくさんあるんですけれども、そうですね・・・場を作ることですね。人間は自然を再生することができるっていうことに気付いてほしいなというところがあります。

 家にエコトーンを含む湿地帯を作ってみて、それを維持したり管理したり開発したりする、そういった経験を持った上で、今度は野外の池とか川とかを見て、その実態を見る、解像度というか見る目、それが上がっていく、そういった経験を楽しんでもらえるといいなと思います」

(編集部注:お話にあったおすすめの井の頭池は、都立井の頭恩賜公園の中にあります)


INFORMATION

『自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり』

『自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり』

 自宅の庭やベランダに湿地帯ビオトープを作るためのノウハウが、写真やイラストとともにわかりやすく解説。また、湿地帯ビオトープの生き物図鑑ほか、入れてはいけない外来種も写真入りで掲載されています。大和書房から絶賛発売中です。
 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎大和書房HP:https://www.daiwashobo.co.jp/book/b618603.html

 中島さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。

◎中島淳さんHP:http://kuromushiya.com/koushiki/top.html

<全国砂浜ムーブメント2023>

 以前番組でもご紹介しましたが、日本自然保護協会のキャンペーン「全国砂浜ムーブメント」が今年も始まりました。海や砂浜のことを楽しく学べる特製の「砂浜ノート」や専用のアプリを使って砂浜を守る3つのアクションにぜひご参加ください。砂浜にいる生き物調査や、ゴミ拾い活動を多くの人たちと共有します。
 詳しくは「日本自然保護協会」のホームページをご覧ください。

◎日本自然保護協会HP:https://www.nacsj.or.jp

<オンライン講座「身の回りのマイクロプラスチックと、私たちにできること」>

 現在、マイクロプラスチックがどのような問題を引き起こしているのか、環境ジャーナリストの「栗岡理子(くりおか・りこ)」さんが解説します。開催日時は6月29日(木)午後7時から8時10分まで。Zoomを使用、参加費は無料、定員は先着300名です。
 詳しくは「日本野鳥の会」のホームページのお知らせをチェックしてください。

◎日本野鳥の会HP:https://www.wbsj.org

<#リユースでラブアース>

 国際環境NGOグリーンピース・ジャパンのリユースを広めるSNS投稿キャンペーン。マイタンブラーやマイ容器の写真を、ハッシュタグ「#リユースでラブアース」をつけ、メッセージを添えて、インスタグラムに投稿してください。期間は6月30日まで。集まった画像はメッセージとともにカフェや企業に届けることになっています。
 詳しくはグリーンピース・ジャパンのホームページをご覧ください。

◎グリーンピース・ジャパンHP:https://www.greenpeace.org/japan/

オンエア・ソング 6月11日(日)

2023/6/11 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. CREATURES OF THE NIGHT / HARDWELL & AUSTIN MAHONE
M2. MY BEAUTIFUL CREATURE / CURLY GIRAFFE
M3. EVERYTHING HAS CHANGED / TAYLOR SWIFT feat. ED SHEERAN
M4. あてもなく / Aimer
M5. ときめきpart1 / スピッツ
M6. COMES A TIME / NEIL YOUNG
M7. SOUL PARADISE / DES’REE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

若き古生物学者、ウンチ化石に挑む!?〜地層から読み解く化石の謎

2023/6/4 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、千葉大学准教授で古生物学者の「泉 賢太郎」さんです。

 泉さんは1987年、東京都生まれ。子供の頃から、地球や生き物に関心があり、ざっくりいうと「昔」が好きで、歴史本や図鑑、博物館に置いている石などに興味を抱く少年だったそうです。

 その後、東京大学大学院で地球惑星科学を専攻し、2015年に博士課程を修了。専門は、古生物の活動の痕跡である「生痕化石(せいこんかせき)」に記録された生き物の生態の研究など。

 泉さんは、チバニアンの研究チームで活躍するなど、その活動が注目されている若き古生物学者です。

 ちなみに古生物学とは、泉さんによると遥か昔、地球上に生息していた生き物の暮らしぶりなどを、化石や今生きている生き物の研究を通して推論する学問だそうです。

 そんな泉さんが先頃、『化石のきほん』という本を出されました。きょうはその本をもとに、ティラノサウルスのものと考えられている超巨大なウンチ化石や、チバニアン含め、地質や地層と化石の密な関係についてお話をうかがいます。

☆資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

糞の化石を研究!?

※まずは、化石の基礎知識。
 化石は大きく2種類に区分されます。ひとつは、恐竜の骨や歯、アンモナイトなどの古生物そのものの痕跡で、「体の化石」と書いて「体化石(たいかせき)」。

 もうひとつは、足跡や巣穴、糞など、古生物の活動の痕跡である「生痕化石」。
1万年より古いものを化石と呼ぶことが多いそうです。

 泉さんは、化石の中でも「生痕化石」に着目されていて、中でも糞の化石、いわゆるウンチ化石を研究されています。

 もっとも化石にならないと思われる糞が、化石として残っているというお話に驚いたんですけど、この本『化石のきほん』に、ティラノサウルス類のウンチ化石と推定されるものが発見されたと書いてありました。どこで、どれくらいの大きさの化石が見つかったんですか?

「これは、数は少ないんですけど、カナダで見つかっています。大きさは、いちばん大きいやつで、長さが60センチぐらいで、幅というか太さが20センチですね」

●巨大ですよね〜。

「巨大ですよね。両手で持って、たぶん崇めるみたいな、そんなものだと思うんです。実は私も対面したことがなくて、そういう意味でも貴重な化石標本なんですけど・・・」

●でも、それがティラノサウルスのものだというのは、どうやってわかるんですか?

「そこがすごく個人的には興味持っているところです。論文もしっかり端から端まで読んでみると、だいたい3本の推論の柱みたいなのがありますね。

 イメージ的には事件現場に残されたあらゆる痕跡を頼りに、その容疑者が自分がやりましたって言わない限りは、厳密には証明できないので、同じようなジレンマを持っているんですけど、なんとか可能性の高い仮説を出したいというので、ひとつめの証拠がまずそのサイズですよ、でかい! 

 でかいだけだと、でかい動物だろうということにしか絞れないんですけど、次は中身ですね。でっかいウンチの一部を切り出して、プレパラートみたいなのを作って顕微鏡で見てみると、中に骨の断片とか(見つかると)肉食性のでかい動物だろうというところが第2段階ですね。

 第3段階が状況証拠・・・アリバイっていうんですかね。化石は、ウンチ化石でも骨の化石でも、必ず地層の中にもともとは埋まっているんですね。なので、登場人物を洗い出すっていうイメージで、その当時の同じ地層にどういう化石が見つかるか、いろいろ登場人物を洗い出すんですね。
 その中でこのふたつの特徴、大きいかつ肉食動物の化石の中で、いちばんでかいのはティラノサウルスだよねと! そんな感じで推論されています」

(編集部注:なぜ糞が化石になるのか、不思議ですよね。糞は、一般的には微生物などで分解されてしまうんですが、例えば、水中とか酸素が少ないところに落ちて、その後、なんらかの作用が働き、鉱物化してしまったのではないかということなんです。でも、実際のところはわかっていないそうですよ)

泉 賢太郎さん

化石と地層の密な関係!?

●泉さんの新しい本『化石のきほん』の最初のところに、地質年代表っていうのが掲載されていました。やはり化石と、地質や地層は非常に密な関係にあるということなんですね。

「そうなんです。おっしゃる通りです。この『化石のきほん』でひとつ重点的に意識したのが、”化石のきほん”というタイトルなんですね。
 その化石の文脈っていうんですかね・・・地層の中に埋まっているので、その化石からいろいろ読み解いていくためには、文脈ごとにやっぱり知る必要があるんです。化石と地層の関わりはすごく意識して書きました」

●化石の中にはいろんな情報が込められているんですね?

「そうなんです。ただ地層から取り出して、綺麗な化石だけの状態になってしまうと、見た目は美しくなるかもしれないんですけど、文脈が失われてしまうので、その途端に情報量が激減してしまうんですね。
 古生物の研究者は私も含めて、いろんな研究対象とかいろんな目的があるので、全員というわけじゃないんですけど、地層ごと化石の資料を取るということが多いんですね。

 そうすると、化石とまわりについている地層を同時に観察することができるんです。文字通り、本当に切っても切り離せないというか(情報が)埋まっているので、そこを化石だけ取り出すことができる場合もあるんですけれども、大半はこの本の表紙のようにまわりの地層ごと化石を取り出します。

 たとえば、アンモナイト化石が地層の岩石に埋まった状態のイラストが、表紙に載っているんですけど、これもこだわりのひとつです。ここに生物学を代表する有名化石のアンモナイトが、アンモナイトの化石単体じゃなくて、地層に泥岩に埋まっているこの状態を、やっぱり出したかったんですよね、表紙に」

●化石だけじゃなくて、地層ごと取る化石っていうことですね。

「まさにおっしゃる通りです。そこに地層をなくしちゃうと、化石から見ための情報は増えるかもしれないんですけど、どういう時代に生きていたのか、どういう環境にいたのかと、そういった背景にある文脈の情報が一気に失われてしまうんですね。
 目的次第なんですけれども、完全に化石のことを知るために、化石だけを見るっていうよりも、一般的には地層も含めて見たほうが、より広範囲にわかるかなと思います」

資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

「チバニアン」誕生に貢献

※3年ほど前に、地質年代にラテン語で「千葉の時代」を意味する「チバニアン」が誕生し、一大ニュースになりました。泉さんも協力されたということですが、どんなことをされたんですか?

「専門のひとつである生痕化石ですね。地層に生痕化石が何種類ぐらいいるんだろう、どんな種類がいるのかなというのを観察することで、その当時の生態系の様子を推定したりですとか・・・。生痕化石も、地層がどんな環境でできた地層なんだろうっていうのを推定するのに一役買っているんですね。

 見た目は本当に何の変哲もない川沿いの崖って感じで、調査に行ってみたら、その辺の崖って感じでしたね(笑)。その辺の崖と言っても、なかなか人によってイメージが違うかもしれないんですけどね。そんなところで、文字通り這いつくばるというか、壁にぺたっと(はりついて)生痕化石を探したんです。

 こういう種類とこういう種類がいるってことは、たとえば水深帯だったら、これぐらいでとか、こういう環境でできた地層じゃないかなと・・・そういったデータを出して、それが研究プロジェクトの中のひとつの立ち位置っていうんですかね。

 地層の成り立ちを、やっぱりその由来を知らないと、ここの地層がいいと言っても、どういう理由でいいのか、どんなことがわかっているのか、なにがわかっていないのかとか・・・。ほかと比較するとこの辺がやっぱり優れていると、一個一個証拠を出すということで、生痕化石の観察というところでは、うまくひとつデータを出せたかなと思っています」

●あの一大ニュースの裏には化石が活躍していたわけですね!

「ほかにも目に見えないぐらいちっちゃくて、顕微鏡じゃないと見えない、微笑の微に化石と書いて“微化石”って言って・・・」

●微化石!?

「それはそれで顕微鏡から広がる形も多様で、いろいろ見た目も綺麗なんですけれども、そういったちっちゃい、人知れず崖の中の泥とか砂粒の粒子と同じぐらいの大きさの、そういうのを一個一個取り出して調べて、どれぐらいの年代だったんだろうとか、あとどういう環境でできたりするのかなとか、そういうのを調べたんですね。ということで、千葉の名前が世界中に、地質学の中でもひとつ認知されたと・・・。

 たとえば有名な地質時代、ジュラ期っていうのがあると思うんですけど、『ジュラシックパーク』『ジュラシックワールド』のジュラシックが、”ジュラ期の”っていう意味なんです。あれも地名なんですよね。ジュラ山脈っていうヨーロッパの地名から来ているんですね。ジュラ期とかジュラシックが有名になりすぎて、地名に由来しているんだっていうこと自体が逆に(知られていないと・・・)。

 けっこう地名が由来となっている場合が多くて、ほかにもペンシルバニア期とか 、“ペンシルバニアン”って言いますし、意外と地名由来っていうところがあったりします」

(編集部注:泉さんによると、古生物学の研究が盛んなのは、太古の地質が残っているヨーロッパで、国でいうと、ドイツやイギリス、フランスなどだそうです。一方、恐竜の化石が多く見つかっているのは、アメリカやカナダ、中国あたりだそうですよ)

資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

化石は意外と日常に!?

※化石は意外と私たちの身近にあったりしますよね?

「“近すぎて見えない化石”と呼んでいるんですけど、たとえば珪藻土(けいそうど)、吸水性がいいので、よくバスマットとかに使われていますよね。あれも珪藻って植物プランクトン、目に見えないちっちゃいプランクトンがガラス質の殻を持っているんです。
 そのプランクトンの本体の、アメーバ状の部分は化石に残らないんですけど、そのまわりを覆っている殻が化石になって、たくさん集まっていると・・・化石の殻にいっぱい穴が開いているんですよね。吸水性がいいってのはスカスカなんですよね、珪藻土のマット自体。なので、水が効率的に染み込んでいくということなんです。

 本当に感動しますよね。足を乗っけてすぐ乾いている、みたいな! 緻密な岩石で、中にスカスカの空間がほとんどないやつだと、水がベチャってなったまんまっていうのがあると思うんですけど、珪藻はガラス質で穴がたくさんあるスカスカな化石がいっぱい詰まって、そのスカスカの部分がいっぱいあると水がすぐ浸透していくと、そういうことが起こります。
 あとはビルの石材とかですかね。デパートの白っぽい壁や床に大理石が使われたりとか。そういうところにアンモナイトの化石があったりすることもありますね。

 個人的には、お寺の石碑っていうんですかね。黒っぽい文字が刻まれたりしているんですけど、そこにむしろ生痕化石を見ちゃうと。文字は読めないけど、なんて書いてあるかわかんないけど、生痕化石はあるな! みたいな、そういう体験もします」

●素人の私たちが、なにか見つけるコツがあったりしますか?

「あると思います。一応こういうやつがいるかも知れないよみたいな、いくつかの鑑定ポイントみたいなのはありますね。ただ日常生活だとやらないぐらい(石碑に)近づかないと・・・。触れられないところでも見ることはできると思うので・・・生痕化石のひとつのいいところって、見て楽しめるっていうんですかね。採取禁止みたいなところでも、あ〜こういう生痕化石があったと・・・そこから僕も話が盛り上がっていきますよね」

(編集部注:お寺の石碑などに生痕化石が見つかることもあるということでしたが、見つけるコツはまわりと違う模様や構造を探すことだそうですよ。じっくり根気よく見るしかないですね。ちなみに泉さん自身は、化石探しはうまくないとおっしゃっていました)

泉 賢太郎さん

ワクワクする気持ちを大事に

※最後に、古生物学を勉強したいと思っている子供たちや、学生さんに向けて伝えたいことがあれば、ぜひお願いします。

「これはですね、いちばんここが本でもこだわったところで、ページ数としてはあまり割いていないんですけど、ぜひ興味を持ち続けて、それで目の前の勉強に一生懸命取り組んでくれればいいかなと思っています。

 というのも私自身も・・・ほとんど過去の自分に向けて言っているような感じになっていますけど、いわゆる同じぐらいの世代で、めちゃめちゃ詳しくて経験もあって、化石のこともよく知っていて発掘もしていてっていう人がいると、どうしても、比べたくなくても比べちゃって、こんな自分でもやっていけるのかなって思うかもしれない。

 研究はまた別の枠組みだなとすごく感じています。そこは過去の経験の差が生きることもあるかもしれないですけど、思っているほど関係ないのかなと・・・ちゃんと目の前の勉強を一生懸命するとか、目の前のことに取り組む。

 あと何よりも、古生物学の研究をやってみたいな、そういう研究者になってみたいなと思っているのであれば、その気持ちを持ち続けて欲しい。研究をやり始める前にやっぱり自分には無理だっていう子がすごく、もしかしたらいっぱいいるのかもしれない。それってすごくもったいないなと思うんですよね。

 経験がなくても好きだ、興味があるっていう気持ち自体が、ひとつ素晴らしいことかなと思います。化石発掘とかよく知らないからダメなんだじゃなくて、なんかよくわかんないけど、ワクワクするっていう気持ちがあったら、それは大事にしてほしいなって思いますね。
 ただそれだけでやっていけるわけでもないので、やっぱりちゃんとした学校の勉強とか、そこは本当に礎かなと思うのでしっかりと、まあ世代にもよるんですけど、勉強を頑張るといいかなと思います」


INFORMATION

『化石のきほん~最古の生命はいつ生まれた? 古生物はなぜ絶滅した? 進化を読み解く化石の話』

『化石のきほん~最古の生命はいつ生まれた? 古生物はなぜ絶滅した? 進化を読み解く化石の話』

 チャプター1の「ようこそ、化石の世界」からチャプター5の「めざせ、古生物学者」まで5つの章に分かれていて、全部で60項目ありますが、見開き2ページで完結しているので興味のあるところから読めますよ。イラストも豊富で楽しめます。化石の入門書的な一冊、ぜひチェックしてくださいね。
 誠文堂新光社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎誠文堂新光社HP:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/science/78757/

 泉さんのオフィシャルサイトもぜひ見てください。

◎泉 賢太郎さんHP:https://www.cn.chiba-u.jp/researcher/izumi_kentaro/

オンエア・ソング 6月4日(日)

2023/6/4 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. BONES / THE KILLERS
M2. FOSSIL / ADAM RAGSDALE
M3. TIME MACHINE / ALICIA KEYS
M4. タイムマシンにお願い / サディスティック・ミカ・バンド
M5. 東京フラッシュ / Vaundy
M6. SEARCHING / STEPHANIE HEITZ
M7. I STILL HAVEN’T FOUND WHAT I’M LOOKING FOR / U2

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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