2020/6/27 UP!
◎星野修(伊豆大島在住のネイチャーガイド)『海には不思議がいっぱい!〜極小生物の奇想天外な生態〜』(2020.06.27)
◎浅岡永理(日本自然保護協会)『おうちで自然観察!? 〜教えて! ネイチャー先生!〜』(2020.06.20)
◎宮澤正明(写真家)『心で感じる日本のふるさと 〜能登を旅する〜』(2020.06.13)
◎近藤純夫(エッセイスト)『ハワイの素顔』(2020.06.06)
2020/6/27 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、伊豆大島在住のネイチャーガイド「星野修(ほしの・おさむ)」さんです。
星野さんは1966年、新潟生まれ。都内でデザイナーとして勤務後、93年にダイビング・インストラクターのトレーニングのため、通っていた伊豆大島へ移住。水中ガイドとして勤務したあと、2004年に独立し、現在はネイチャーガイドとして活躍中。毎日フィールドに行き、年間500本以上の潜水観察と撮影。これまでに2万本は潜っているそうです。ご本人曰く“ほとんど塩漬け状態”だそうです。
そんな星野さんが先ごろ『海の極小!いきもの図鑑〜誰も知らない共生・寄生の不思議』を出されました。この図鑑には伊豆大島の海で撮影した、ほんとに小さな生き物たちの写真が満載です。
きょうはそんな星野さんに、風変わりな生き物やとても不思議な生態を持つ海洋生物のお話などうかがいます。
*写真協力:星野 修
毎日が発見! だから楽しい!
※海の中で、小さな生き物の写真を撮るのは大変じゃないですか?
「そうですね。生物自体はそんなに珍しいものを撮っている訳ではないんですね。小さいのは3ミリとか3ミリを切るような生物たちが多いので、なかなかみなさん、目に入らないとは思うんですけども、普段目の前で生活している生物ばかりなので見つけること自体は全然大変じゃないんです。逆に撮影し始めると、ものすごくピントというかフォーカスが難しいんで、そこはきちんと撮らないと、と思っているんですけれども」
●これだけ多くの生き物たちを撮影するって結構時間もかかると思うんですけれども。
「けっして珍しい生物ではないので、ものすごくたくさんいる生物はもう数千匹はいます。見つけるのはそんなに難しくないんですけど、3〜4年くらいはかかったと思います」
●この図鑑には何種類、載っているんですか?
「250種類くらい紹介しています」
●250種類を3〜4年かけて撮影された訳ですね!
「それでも、大島には認識しているだけで1000種類以上の生物が見られるんですね。毎日潜っていますけれども、毎日新しい生物に出会っているって言ってもおかしくないぐらいで、まだまだ見てない生物のほうが多いので、そこはもう毎日が楽しくてしょうがないですね!」
●へー! 毎日が発見ですね!
「そうですね」
●そもそもどうして、この小さな生き物たちにフォーカスするようになったんですか?
「海洋生物って1割くらいしか分類されていないっていう意見が多いんです。生物の9割以上は小さいって言われる生物なんですね。そう考えるとほとんど小さい生物って言ってもいいくらいだと思うんですよ。
これは最近気づいたことですけど、大きい魚や綺麗な魚を見ているのも楽しいですけど、どんどん新しい生物に出会って、人間では考えられないような生態とかそういうのに出会うともっともっと知りたくなりますね」
海の中のお花畑
※続いて「星野」さんが先ごろ出された『海の極小!いきもの図鑑』に載っている海洋生物について。
●私がこの図鑑を見て気になったのは10ページにあります“岩壁を彩る生物”ということで、本当にカラフルなんですよね! サンゴにカラフルなゴカイの仲間が点在していて、お花が咲いているのかなーって思うようにぎっしりと埋め尽くされていて、これもすごく素敵でした。ポップで可愛らしいなと思ったんですけど。
「みなさんお花畑って言っていますよね。ただこれゴカイなんですよね(笑)。ゴカイって魚の釣りの餌にするゴカイと同じグループですけど、あんまりみなさん可愛らしい印象ないですよね」
●そうですよね! この赤とか黄色とか青とか本当にポップでカラフルな色なのがゴカイなんですか?
「そうですね。あとはこのサンゴの中に巣を作って本体は中にいるので、一部分しか見えていないんですけれども、面白いのが赤とか黄色とか青とか、いろんなカラフルな色彩がありますけれども、同じ種類って言われているんですよね。それもまた不思議のひとつですよね」
●同じ種類なのに色がこんなに違うんですね!
「カラーバリエーションだけ集めていっても尽きないというか、もう楽しさが倍増ですね」
●同じ種類なのにどうして色がこんなに違うんですか?
「分からないです(笑)」
●謎が深いですね(笑)
「そうですね。本当に発見ばっかりなんですよ」
●それからこの156ページにあった“ライトに集まる甲殻類たち”という真っ暗な中で、小さな白い生物がぶわーっと無数に集まっている写真がありましたけれども、これはカイアシ類とクラゲノミ類という風に書かれていますが・・・。
「甲殻類はとても大きなグループなので説明が難しいんですけど。カイアシ類っていうのはなかなか聞かない言葉ですけれども、プランクトンってみなさんおっしゃる中のかなりの割合を占めるグループなんですね。小魚とかはカイアシ類を食べているって言ってもいいくらいです」
●へーーー!
「そういった生物たちが水中に設置したライトの前に何百、何千、もうそれ以上集まってきたり。集まってくる生物だけではないので、もちろん光を嫌う生物たちもいるので、その辺は棲み分けていると思います」
<「海の昆虫!?」カイアシ類!>
さて、星野修さんのお話にも出てきた「カイアシ類」は「極小のいきもの」の中でも特に小さな生き物なんです。
エビやカニと同じ甲殻類(こうかくるい)の仲間で、大きさは1ミリから3ミリのものが多く、甲殻類なので体は殻(から)に覆われ、舟をこぐ「かい」のような脚(あし)をもつことからカイアシといい、専門的には「コペポーダ」と呼ばれています。『ケンミジンコ』や『ヒゲナガミジンコ』と言われることもあるので、ミジンコの形を想像していただければイメージしやすいかもしれませんね。
「見たことも聞いたこともない」という方がほとんどだと思いますが、小さすぎて見えない、または意識して見ていないだけで、海や湖に普通に生息しているし、1万を軽く超える種類が確認され、今でも新種が発見されているそうです。
海では動物プランクトンの中で最も量が多く、海水1リットルから100匹以上見つかることもあり、「海の昆虫」とも呼ばれているんだそうです。
陸の昆虫と同様、食物連鎖のベースを支える存在で、イワシやサンマなど小型・中型魚のエサとなるほか、マグロなどの大きな魚も稚魚の頃はカイアシ類を食べて成長し、クジラや海鳥にも食べられています。つまり人間にとっても食文化を間接的に支えてくれている大切な存在なんです。
「カイアシ類」は動物の中で最も広い生息域を誇るもののひとつで、世界中の海を漂い、水深1万メートルの深海や、標高5000メートルを超えるヒマラヤの氷河からも発見されていて、他の動物に寄生している種類もいます。
日本では三陸沿岸で特に多種多様なカイアシ類が生息しているそうなので、訪れる機会があったら、じっくり観察してみたいですね。
摩訶不思議な生態
※伊豆大島の海に生息する生き物について、こんな興味深いお話をしてくださいました。
「例えば、水中の壁に向かって30センチ四方ぐらいで切り取って観察してみると、多いところでは多分そこに数百、もしくは千を超える生物たちがぎっしり付いているんですね。動かない生物たちももちろん多いですし、触手っていう花のようなものを広げてパクパクと、水中に漂っているものを食べている全く動かないような生物もいますけど、その上を3ミリくらいの甲殻類たちが動き回っていたり、ゴカイの仲間だったり、だから全部集めるとものすごい数になりますよね」
●へーー!
「それが結構、通常の世界っていうか、この部分だけが生物が多いとかじゃなくて、目の前にある壁って何もないように見えるんですけれども、実はものすごい数の生物がいて、それぞれがそれぞれの異なる生態を見せてくれるっていうか、そういうのが面白いですね」
●そういった小さな生き物たちっていうのは共に助け合いながらというか、共生とかをしながら生きているんですか?
「そうですね。どういう状態を共生っていうかちょっと私にも理解が不足していますけど、そんな小さな世界で、例えば動かない生物の上にまた様々な生物が暮らしていたり、ひとつの生物の上にまた違う生物が住処を作っていたり、毒を持つ小さな生物に寄り添っていたり、いろんな方法をとって集団で過ごしていたほうが捕食されるリスクも少ないですしね。
イノチズナアミヤドリっていう生物がいるんですけど、その生物は小さな海老ようなアミ類っていう甲殻類の背中に寄生するんです。寄生した時に最初は雌になって、その後に雄になる若い個体が近寄ってくるんです。
で、その若い個体が雄になって今、雌と繁殖を行なう時に雌のお腹が糸のように伸びているんですけど、それを掴んだまま外出したりするんですね。だから、雌にぶら下がっていたりして離れることはないんです。全く雄と雌の形が違いますし、とても面白い生態を持っている生物なんですね」
●それは伊豆大島で見ることができるんですか?
「そうです。伊豆大島で私が見つけた生物です」
●星野さんがいちばんお好きな生物ってなんですか?
「ユニークな生物にウミクワガタっていう生物がいるんですけど、みなさんご存知のクワガタそのものの形と言っていいほど似ているんですね」
●え? あの形で海にいるんですか?
「ただあの形で7ミリくらいしかないですけど(笑)」
●小さい(笑)
「細かいことを言えば異なる部分もあるんです。面白いのが親になるまでに3回脱皮をするんですけれども、各それぞれのステージの時にサメに寄生をして、吸血して離れて脱皮して、また取り付いて吸血して離れて脱皮して、っていうのを繰り返して、最後にみなさんご存知のクワガタの形になるんですね」
多彩な手段で生きている
※星野さんは伊豆大島の海に20数年、毎日のように潜っていらっしゃいますが、海の中の変化を感じることはあるのでしょうか。
「生物に関しては毎年特定の生物がものすごく増えたり、またいなくなったり、結構1年単位で海草ひとつにとっても違うんですね。(日々の変化は)正直あまり感じないんですけれども、1年1年違う海に変わっているっていうか、それがいいのか悪いのか分からないですね。もちろん見られなくなった生物たちも多いですし、新たに定着した生物たちもいますし、なかなか難しいんですね。
水温に関して言うと高くなったっていうよりは安定しない。陸の天気と一緒ですよね。こんなに冷たいんだとか、こんなに水温が上がるの早いんだとか、年によってバラバラというか、1カ月の中でも結構上下が激しかったり、あんまり20年前の海ではそういったことを感じたことがなかったんですけれども、今はそう感じることが多いですね」
●撮影する上で何か気をつけている点はありますか?
「ひとつの生物に時間をかけて撮ることが多いんですね。周りにもすごくたくさんの生物がいるので、ひとつ手を付いちゃうと、それだけダメージを与えているなって気持ちじゃないと、なかなか続けていけないっていうか、なるべくほかの生物にダメージを与えないようにその生物を撮影していくっていうのをいちばん気をつけていますね」
●星野さんが海から学んだことはなんでしょうか?
「大したことは言えないんですけど、水中って人間が想像できないような形の生物ばっかりなんですね。で、それぞれがそれぞれの手段で捕食したり、繁殖していたりするんです。
例えば自らの形を変えたり、繁殖する手段をいくつも持っていたり、産卵する生物もいれば、クローンを作ったり分裂できる生物もいるんですね。そういったことって人間できないじゃないですか(笑)。だからそういう小さい生物っていろんな手段を持って強く生きているんだなっていうのを見ると、とても感動します」
INFORMATION
星野修さん情報
新刊『海の極小!いきもの図鑑〜誰も知らない共生・寄生の不思議』
星野修さんの新刊『海の極小!いきもの図鑑〜誰も知らない共生・寄生の不思議』には伊豆大島の海で撮影した小さな海洋生物が250種ほど掲載されています。見ているだけで楽しい図鑑です。ぜひお買い求めください。築地書館から絶賛発売中です!
◎築地書館のHP:http://www.tsukiji-shokan.co.jp
星野さんがガイドするネイチャーツアーについては、ダイビングサービス「チャップ」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎ダイビングサービス「チャップ」のHP:http://www.chap.jp/diving2009/
星野さんのフェイスブックとブログもぜひ見てください。
2020/6/27 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. ISLAND LIFE / MICHEAL FRANKS
M2. SPECIAL TO ME / BOBBY CALDWELL
M3. BEYOND THE SEA FEAT. JOHN SHIPE / HALIE LOREN
M4. 踊ろよ、 フィッシュ / 山下達郎
M5. 神様の宝石でできた島 / THE BOOM
M6. Under The Sea / May J
M7. SAVE THE BEST FOR LAST / VANESSA WILLIAMS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2020/6/20 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、日本自然保護協会の「浅岡永理(あさおか えり)」さんです。
日本自然保護協会とこの番組は1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された「地球サミット」以来のお付き合いなんです。日本自然保護協会、英語名は「THE NATURE CONSERVATION SOCIETY OF JAPAN」略してNACS-J(ナックス・ジェイ)の主な活動は「日本の絶滅危惧種を守る」「自然で地域を元気にする」「自然の守り手を増やす」そして「壊れそうな自然を守る」、この4つが活動の柱となっています。
そんな日本自然保護協会が先頃「オンライン自然観察会」を実施、また、おうちでできる自然観察のノウハウなどを発信しています。オンラインで自然観察、いったいどんな感じなんでしょうね。後ほど、浅岡さんにいろいろお話をうかがいます。
☆写真協力:日本自然保護協会
夜の田んぼを生中継!
※まずは、先日開催した「教えて!ネイチャー先生!オンライン自然観察会」について。
浅岡さん、オンラインで自然観察会って、できるんですか?
「はい、そうなんです! 日本自然保護協会でやっているオンライン自然観察会では、ウェブ会議のソフトを使用して、参加者はチャットでやりとりをして、それにネイチャー先生が都度、答えるという風にしてやっています」
●秋山先生という方が初回は出られていましたけれども、先生はどんな方々がされていくんですか?
「はい、今は相模原市立博物館の学芸員、秋山幸也(あきやまこうや)先生がされているんですけれど、今後も日本自然保護協会が認定した自然観察指導員の方々をネイチャー先生としてお呼びしてやっていきたいと思っています」
●実際に駐車場での植物を観察したりですとか、植物に関するクイズなどもあって、大人の私も考えながら楽しく学ばせていただきました!
「ありがとうございます! 」
●対象は親子という感じなんでしょうか?
「そうですね。始まりのきっかけが休校中になってしまって、子供たちが退屈して外にも出られずという状況の中で、自然と触れ合うことの楽しさや喜びを是非知ってもらいたいと思いまして、ネイチャー先生が野外に出て、身近な植物をこういう風に観察するといいよっていうのを伝えたり。ほかはおうちで出来る自然観察、野菜も自然なんだよということを伝えたり。
3回目はネイチャー先生が外に出て夜の田んぼを生中継! ということもしました! 夜の7時から始めまして、カエルが鳴いている姿を見るってことあんまりないと思うんですね。それをネイチャー先生が野外に出て、だんだん薄暗くなってきているところから、カエルがどんな風に鳴いているのかをカメラで撮って、子供たちに“カエルってどんな風に鳴いているー?”とか、“鳴く時に膨らませているのは頬っぺたかな?”“どこを膨らませて鳴いているのかな?”っていうのをクイズにしながら楽しく生中継でお届けしました」
●へーー! すごいですね! リアルな夜の田んぼの風景が見られるっていうことですね。
「そうなんです」
●反響はいかがでした?
「参加された女性の方からは、自分の田舎ではカエルっていうのは当たり前だし、田んぼっていうのは当たり前だったけど、都市に住んでいる子供たちにとっては初めてで、田んぼっていうのをまず見たことがない、こんな風なんだ〜っていうのを知ったというのと、カエルが鳴いているところを初めて見たと、とっても感動して興奮していたという声を聞きました」
●オンライン自然観察会ってなかなかやる機会がなかったと思うんですけれども、いちばん気をつけてらっしゃることってどんなことですか?
「いちばん気をつけているのは子供たちが自然に出てもやれること、というのを考えていたり、あとはありのままの姿を見せて伝えて、こんな風に見るといいよっていう気づきや発見、驚きっていうのを楽しく伝えられるようにというのを考えています」
ベランダで自然観察!?
※NACS-Jのホームページでは、ベランダや庭でも自然観察ができると、紹介しています。
何かコツがあれば教えてください。
「はい! 例えばですね、ベランダに植物を置いていた場合はその植物に意外と虫が来ていたりもするので、そういうところからこの虫ってなんだろう? とか、この植物はどうしてこういう形で生えているんだろう? など、そういった視点で見ると楽しく見つけられるかなと思います」
●なにか記録しておいたほうがいいんですか? スケッチですとか。
「そうですね。例えば写真などを撮ってもらったり、あとはスケッチをすると実際に、ただ目で見ていただけでは気づかなかったことにも気づくことが出来るのでとても面白いと思います!」
●ニンジンのへたを捨てるのはもったいない、育ててみよう! というような感じで、NACS-Jのホームページに野菜で自然観察のアイデアというのも載っていましたけれども、これはいいですね! すごく面白かったです!
「ありがとうございます! お料理している時にニンジンのへたとか、大根の葉っぱのついている部分とか捨ててしまうと思うんですけれども、それも捨てずに(お皿に)お水をちょっと薄く張って、それを置いておくだけでどんどん上の葉っぱが伸びていくんですね。そういうのを見ていくとその植物がどうやって生えていくのかとか成長していく様子を見られるので、おうちでもそういった植物の生きていく、成長していく軌跡というのが見られるかなと思います」
●子供も、料理しているお母さんのお手伝いが楽しくなりそうですよね。
「一緒にやれるととても楽しいだろうなと思います」
●近くの公園ですとか、原っぱでも自然観察って出来ますよね?
「そうですね。外に出た時に難しい植物を見つけようとかしなくても、ただ辺りを見回していくだけでも、よくよく見てみるとこの木ってどうしてここに生えているのかな? とか分かるので、例えば、外に出掛けた時に自分だけの自然の地図を作ってみるのも面白いですね。
あとは写真を撮っていただいたりすると、その写真も記録になるのでとてもいいかなと。私たちの日本自然保護協会でもフォトコンテストというのをやっていまして、そのフォトコンテストのテーマとしては日本の自然や文化的な風景というものをテーマにしていますので、そういったものを撮っていただけたら嬉しいなと思います」
<アフターコロナ社会への7つの提案>
さて、日本自然保護協会・NACS-Jが5月22日の「国際生物多様性の日」に「アフターコロナ社会への7つの提案」を発表しました。
NACS-Jでは、新型コロナウィルスの発生と拡大の背景には気候変動や生物多様性の損失、大量生産・大量消費のライフスタイルなどが関係していると考え、感染収束後に構築すべき「アフターコロナ社会」の鍵は自然の中にあるとして、人と自然が共生する社会に向けた行動として、7つの提案をしています。その7つをご紹介しましょう。
「1.コロナ危機に立ち向かった人々を称え、市民社会の力を高めよう」
「2.コロナ危機の混乱を記録し、学び、次の社会に活かそう」
「3.今後の社会・経済の復興を、持続可能な社会の発展につなげよう」
NACS-Jによる解説で少し補足しておくと、20世紀型の公共開発事業や、過剰な自然資源利用ではなく、生物多様性の保全や脱プラスチック・脱炭素社会につながる施策で社会と経済の再活性化を目指しましょうということです。
「4.新たに生まれたライフスタイルの可能性を育てよう」
NACS-Jの解説によれば、オンラインでつながるコミュニケーションの推進、ということですから、まさに「オンライン自然観察会」もそのひとつではないでしょうか。
「5.エネルギー、食料、生活用品などを地域でまかなえる新たな社会を構築しよう」
「6.人と自然の新たな関係を構築しよう」
「7.未来のコロナ危機の発生と拡大の防止に世界全体で取り組もう」
やはり解説によれば、新型コロナウィルスの発生の背景には、海外における野生動物の違法捕獲や不適切な利用、森林伐採による農地の拡大・利用などにより、人間と野生動物が接触する機会が増えてきたことが原因にあると考えられているそうです。
人間と自然がともに健康になる新たな社会を築くために、できることから取り組んでいきたいと思います。
「アフターコロナ社会への7つの提案」について詳しくは、日本自然保護協会のオフィシャルサイトをご覧ください。https://www.nacsj.or.jp/media/2020/05/20395/
オンライン自然観察会の可能性
※それでは最後に、今後のオンライン自然観察会の展開について浅岡さんにお話いただきました。
「子供たちですとか、その保護者の方などにもとてもいろんないい反響をいただいているので、是非これからも、例えばオンラインでの自然観察会のやりかたを伝えるノウハウですとか、もっともっと拡大してやっていきたいなと思っています」
●どんどん可能性が広がりそうですね。
「そうですね、意外とオンラインでも自然観察ってできるんだっていうのを、私たちもひとつ知れました」
●具体的になにかやってみたいこととかってありますか?
「はい! 今はネイチャー先生がひとりで喋ってっていう風にやっているんですけど、例えば 一緒に子供たちの声を入れてみたりとか、もしくはそれが難しければ、リポーターのような感じで掛け合いをしてみたり、季節ごとの楽しい自然を届けられたらなと考えています!」
INFORMATION
日本自然保護協会 情報
オンライン自然観察会は、これまでに3回、開催。その模様はオフィシャルサイトに動画が載っています。大人でも知らないことが多くて、勉強になると思いますよ。ぜひ見てください。
そして、日本自然保護協会の活動は寄付によって支えられています。また企業向けの会員制度もあります。ぜひご支援ください。
いずれも詳しくは日本自然保護協会のオフィシャルサイトをご覧ください。
●日本自然保護協会のHP:https://www.nacsj.or.jp
フォトコンテスト情報
日本自然保護協会の会報誌「自然保護」の表紙を飾るコンテストです。現在、作品を募集中。テーマは日本の国内で撮影した野生の動植物、自然を感じる風景や暮らし、文化となっています。応募の締め切りは9月30日。
応募方法など詳しくは日本自然保護協会のオフィシャルサイトにアクセスして、「第7回・会報『自然保護』表紙フォトコンテスト」のページをご覧ください。
●フォトコンテストのHP:https://www.nacsj.or.jp/2020/04/19786/
2020/6/20 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. ALL RIGHT / CHRISTOPHER CROSS
M2. WONDERFUL TONIGHT / ERIC CLAPTON
M3. KEEP LOOKING / SADE
M4. ALL I NEED IS EVERYTHING / AZTEC CAMERA
M5. Tomorrow never knows / Mr.Children
M6. 道 / 宇多田ヒカル
M7. YOU RAISE ME UP / JOSH GROBAN
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2020/6/13 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、写真家の「宮澤正明(みやざわ・まさあき)」さんです。
<今週は貴重なフォトブックをプレゼント! 応募方法はこのページのいちばん下に>
宮澤さんは1960年、東京生まれ。日本大学・芸術学部・写真学科卒業。85年に赤外線フィルムを使った処女作で賞を受賞。近年は、日本の神社仏閣を撮影。特に2005年からは伊勢神宮のオフィシャル・カメラマンとして、9年もの歳月をかけて行なわれた一大行事「式年遷宮」を記録し、6万点にも及ぶ作品を奉納、写真集も数多く出版されています。
また、映像作家として、伊勢神宮の森をテーマにしたドキュメンタリー映画『うみやまあひだ』を初監督。2015年のマドリード国際映画祭の外国語ドキュメンタリー部門で最優秀作品賞を受賞しています。
そんな宮澤さんが先頃、能登半島の自然景観や伝統的な行事を収めたフォトブック『能登日記』を発表されました。きょうは能登の、時空を超えたような旅や日本の神社仏閣の撮影を通して感じたことなどうかがいます。
☆写真提供:宮澤正明
心のふるさと
※まずは、フォトブック『能登日記』に掲載されている写真のお話から。
●まず開いてすぐ「アイ・ラブ・ノト」って書かれていて、写真は白米千枚田!
「はい、もうここは有名ですね」
●海に向かって急斜面に何段もの田んぼが広がっていて、本当に美しいですね。風にそよぐ緑の稲に感動しました!
「これちょうど初夏の頃に行ったんですけども、だいぶ稲が育っていて、海風がすごく爽やかで。夕方になると緑の絨毯が(風に)なびいて、本当に美しい綺麗な風景でした」
●この写真からもすごく動きが見えてきそうな感じですよね。
「はい、ありがとうございます」
●このフォトブックに”能登は日本のふるさと”と書いてありましたけれども、やはりそういう場所なんでしょうか?
「そうですね、どうなんでしょう。日本のふるさとっていうのは日本各地にいろいろと点在はしていると思うんですけども、ただ能登に関していうと、そういう日本のふるさとが凝縮しているっていうんですかね。今の日本で、かなり文明や文化が発達しちゃって、こういう素朴な土着的な風景ってなかなか見られないと思うんですよね。
具体的にいうとすごく人情とか、心の温かさのような、やっぱり自然の厳しさの中で、自然と共に生きてきた方々が、人と土地とが一緒くたになっていて、なんかすごくそれがしみじみと伝わってくる。
例えば、東京から行ったりするとすごく非日常的だと思うんですけども、我々日本人が持っている、例えば“心のふるさと”っていうDNA は多分みなさん持っていると思うんですよ。そういうものをちょっと思い出させるような、デジャブ的な風景にたくさん出会うことができるので、そういう部分では本当に今おっしゃられた通り、日本のふるさとっていっても本当に過言ではないかなと思います 」
神様をもてなす儀式
※宮澤さんは写真家として、能登のどんなところに魅力を感じているのでしょうか。
「人々の暮らしは、人間ってやっぱり太古の昔から衣食住みたいなのが必ず毎日のように、そして自然と共にあるわけじゃないですか。そういう四季折々を通じて自然との関わりというか、共存共栄をものすごく大切にしているのを、自然に見られるのが能登のいいところだなっていう風には感じましたね」
●いちばん印象に残っている場所を挙げるとしたらどこですか?
「例えば、今いった暮らしの原点となる、”あえのこと”っていう古式と厳格さを留める奥能登の農耕儀式があるんですよ。1年に1回の収穫を感謝したり、五穀豊穣を祈る伝承行事で、これはユネスコ無形文化遺産にも登録されているんですけども、それはまたまたすごくてですね。
各農家で代々伝わる方法であたかも神様が存在するかのように、まず稲刈りが終わった田んぼの真ん中に松の木を立てて、そこが神様の地であって、そこに神様をお迎えに行くんですよ。そして、榊を2本、男性と女性の榊を持って自分の家に招いて、まるで神様が実在するかのようにお風呂に入れたり、食事を出してもてなしをしたりっていう、要は1年の五穀豊穣を本当に感謝するっていうことを、農耕儀式っていうのかな、本当に古来からそういうのが伝わっているんですね。
それを目の当たりした時にやっぱり、いろんな神事を僕は撮っていますけれども、すごく日本の神事の原点っていうんですかね。もちろん神社とか仏閣でものすごく雄大で壮大で格式高い儀式もたくさんありますけども、すごく分かりやすくほっとできる、ぼくらもそうだよね、いいことに恵まれたら感謝するよね、みたいなものがしみじみ出てくるような儀式でした。
もちろん能登にはもっとたくさんお祭りだとか、いろんな食べ物も含めて、たくさん良い土地があるんですけども、なんか僕はこの”あえのこと”っていう農耕儀式に出会った時に、ものすごくこの能登の方々の生きている意味っていうのを感じられたので、そこがすごく自分の心に残っていますね」
<農耕儀式「あえのこと」>
宮澤さんが取材で出会い、感銘を受けたという農耕儀礼「あえのこと」、これは奥能登の各農家に伝わる風習で、「あえ」はもてなし、「こと」は祭りを意味します。つまり「もてなしの祭り」なんですね。
稲作を守る田の神様に1年の収穫を感謝し、五穀豊穣を祈るために行なわれる奥能登の代表的な民俗行事で、1976年に国指定重要無形民俗文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
年末の12月5日と、春の2月9日の2回行なわれるのが一般的で、年末の「あえのこと」では家の主人が田んぼに神様を迎えに行き、家に招き入れて、お風呂で背中を洗い流す所作をしたあと、奥座敷に案内して海の幸、山の幸のごちそうでもてなします。
そして神様はそのまま家にとどまって年を越し、春の「あえのこと」で再びごちそうでもてなしたあと、神様を田んぼに送り、その年の豊作を祈るんです。
代表的なお供え物は、コシヒカリの小豆ご飯と、たら汁、大根とたらの酢の物、鱈の子(たらのこ)をまぶしたお刺身などで、田の神様は夫婦とされているため、すべて2組ずつ用意するのが大切な決まりとなっています。
各農家で代々受け継がれてきたため、それぞれの家で独自のしきたりが生まれ、ほかの家の人がそれを見ることはない、というくらい厳かな行事だったのですが、近年は行なわない家も多くなりました。
一方でこの伝統を後世に伝えようと行事の様子をインターネットで発信したり、希望者が行事を見学できるようにするなど、様々な取り組みが行なわれています。機会があれば、ぜひ現地で見学してみたいですね。
お祭り半島!?
※能登では7月から10月にかけて、毎週どこかでお祭りがあるそうなんですが、特に印象的だったお祭りについてお話しいただきました。
「昨年の夏に撮影した時に、石崎奉燈祭っていう七尾湾のところと、奥能登にある宝立七夕キリコまつり、そのふたつを撮影したんですよ。これはまた両方ともすごい!
キリコ(*)って、すごく巨大な、大きいもので15メートル以上あるのかな。そんなキリコを男の人が運んでいくっていうお祭りなんですけども、それは勇ましいというか、海の男達とかね、自然と共に生きてきた人たちがそこで夏の祭りをするんですね。
もちろん漁業中心でしたら大漁を祀ったり、農家が近かったら、さっきいったように五穀豊穣を祈ったり、そういうのが能登中にありまして、それがキリコ。縦状のすごく大きくて引くものなんですけどね、そういうものがあります」
(*キリコ=灯籠)
●お祭り半島ともいわれているんですね。
「とにかくあちこちでお祭りがありますね」
●そうなんですねー、すごく迫力もありそうですしね!
「ものすごく迫力ありますね。例えば宝立七夕キリコまつりは、海の中の火に向かってみんなで海に入っていくんですよ。その松明の周りをみんなで回るんです。陸から海に入っていって、さらに担いで回ったりとかね、そういうすごい光景がたくさん見られます!」
●伝統が継承されていくっていうのもいいですよね。
「そうですね。本当にそういう部分ではいろんな伝統と歴史と文化が凝縮していて、未だにそういうものが継承されていて、それが人々の心と心を繋いでいるっていうんですかね。だから必ずその石崎奉燈祭は日本国中に散らばった若者たちがその時は必ず集まって帰ってくる。そういう部分はものすごくいいですよね。なにかそこに求心力があるというんですか、必ず誰もが夏だけはあそこに帰るんだみたいな、ひとつの指針があるっていう部分では素晴らしいなと思います」
●まさにふるさとですね!
「はい、本当にそうですね」
心の拠り所
※神様をまつる行事「神事」は、自然と密接につながっているのでしょうか。
「そうですね。先ほどの”あえのこと”でもそうですけども、伊勢神宮の祭りも、原型には衣食住を中心に、特に日本人の主食であるお米の収穫を感謝するということが、儀式の原点になっているんですよ。
すごく日本人は自然との関係を特に大切に生きてきた民族で、日本の神事は自然への感謝と畏敬の念が生きている証っていうか、神様と人との契りっていうんですか、その中で生まれた祈りなんじゃないかなっていう風に思っていて。それは伊勢でも能登でも日本人全体が点と点で繋がるような感じなんじゃないですかね」
● そうですよね。私たち日本人は忙しい日々の中でも、神社やお寺に行くと心が落ち着くような感じもしますけれども、やっぱり心の拠り所としているのがそういった神社仏閣っていうところもあるんでしょうね。
「そうだと思いますね。日本中の神社仏閣って、その土地その土地の人々の拠り所とかね、あとは集いの場だったり出会いの場だったり、ひとつのコミューンを形成していると思うんですよ。だからそういった部分では、喜怒哀楽を共に感じて共感できる大切な場所だったし、その土地その土地で、人々がすごく大切だった存在が神社仏閣だったような気がするんですね。
僕も能登のいろんな神社仏閣に行きましたけども、日本国中(の神社仏閣に)行っていますけども、いろんなところに行ってもやっぱり心の支えになったり癒しになったり、すごくそういう場所は多いですよね」
●パワーもらえますよね!
「そうですね。まずはほっとできるし、日常の忙しい中からひとつ俯瞰して自分を見られるっていうのかな。冷静に自分を見られる場所になるっていうのは非常にいいなと思いますね」
●このフォトブック『能登日記』にもお寺や神社の写真がたくさん載っています。今は自由に旅ができない状況ですけれども、どんなことを感じ取ってもらいたいですか?
「そうですね。やっぱり能登の時空を超えた美しい幻想的な風景や、厳かな静けさの中に佇む美しい神社仏閣、こういった感性とかですね。魂のレベルにおいて大切なのは、僕はあんまり距離じゃないと思うんですよ、距離感かなと思うんですよね。
例えば今は自由に旅ができないじゃないですか。でもそういうのは多分、近所の森や自然、神社仏閣などから、日本人の心のふるさとっていう DNA さえあれば、その距離感で感じ取ることができる。そのために例えばこのフォトブックを見ていただいて、少しでもみなさんのイマジネーションにお役立てできればいいかなと思ってこのフォトブックを、まぁタイミングは非常に微妙なんですけども(苦笑)、すごくそういう部分ではいい部分もあったかなと思っています 」
☆過去の宮澤正明さんのトークはこちらをご覧下さい。
INFORMATION
宮澤正明さん情報
フォトブック『能登日記〜写人 宮澤正明と旅人 立川直樹の能登紀行』
フォトブック『能登日記』には海、田園、景勝地、お寺、お祭りなどの写真が掲載されていて、能登のディープな魅力を感じます。じっくり見ていると、能登の風が吹いて来るような錯覚を覚えますよ。また、音や匂いをも感じるような素晴らしい写真ばかりです。立川直樹さんの旅をしているようなエッセイも素敵です。
『能登日記』は「ほっと石川旅ネット」にアクセスして、PDFで入手できるほか、道の駅や観光案内所ほか、石川県内の施設で手に入ります。
●ほっと石川旅ねっとのHP:https://www.hot-ishikawa.jp
●宮澤正明さんのHP:https://masaakimiyazawa.jp
<プレゼントの応募方法>
今回、非売品の『能登日記』を特別に抽選で3名の方にプレゼントいたします。ご希望の方は「能登日記、希望」と書いて、メールでご応募ください。
メールアドレスは、flint(フリント)@bayfm.co.jp です。
あなたの住所、氏名、年齢、電話番号をお忘れなく。番組を聴いた感想なども書いてくださると嬉しいです。応募の締め切りは、6月17日到着分まで。当選者の発表は発送を持って替えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています。
このページの上部にある「メッセージを送る」からも応募できます。
応募は締め切られました。たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
2020/6/13 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. OLD TOWN / THE CORRS
M2. 田園 / 玉置浩二
M3. やさしさに包まれたなら / 荒井由実
M4. (EVERYTHING I DO) I DO IT FOR YOU / BRYAN ADAMS
M5. 恋 / 星野源
M6. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU / CARPENTERS
M7. たしかなこと / 小田和正
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2020/6/6 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ハワイのスペシャリスト、そしてエッセイストの「近藤純夫」さんです。
<今週は本のプレゼント! 応募方法はこのページのいちばん下に>
近藤さんは1952年、札幌市生まれ。エッセイストのほかに、翻訳家、写真家、そして洞窟探検の専門家。1980年代からハワイに足繁く通い、ハワイ諸島の自然や文化に関する本や講演などを通して、ハワイ情報を発信。ハワイ火山国立公園アドバイザリー・スタッフとしての顔も持っていらっしゃいます。
きょうは伝統的なフラや植物のこと、そして近藤さんおすすめの絶景スポットのお話などうかがいます。
☆写真提供:近藤純夫
90%以上は外来種!
※近藤さんは洞窟調査のためにハワイ島に行ったのをきっかけに、その後通うようになったそうですが、ハワイには洞窟がたくさんあるのでしょうか。
「火山洞窟がたくさんありまして、鍾乳洞というのはほとんどないんです」
●どうして、ハワイの洞窟だったんですか?
「はい、ふたつありまして、ひとつはハワイ諸島っていうのは火山の噴火でできた島なので、洞窟が多いから新しい発見があるんじゃないかな、というのがあるのと、それから規模の大きいのが既に見つかっているので世界クラスのが見つかるかな、というのがありました。それが一点。
もう一点は僕がずっと勉強させていただいている先生がいらっしゃって、この先生の講演会を含む国際洞窟学会という、いろんな大学や研究所が集まる世界会議みたいのがハワイ島であったんです。(その会議に)行ったところ、お前は洞窟の調査をやっているなら、ここの地域が空いているからやってみないか? と言われたんですね。じゃあやらせてください! ということで始めたのが最初です」
●いちばん初めは洞窟というのがきっかけだったということですけれども、それから興味もいろんなところに広がっていったというような感じなんですか?
「はい、そうです。そういう僕も最初はですね、洞窟に通っている時にお花を見たりとかはあったんですけど、あ、花か〜くらいで、それ以上に興味を持つこともなく、何年も過ぎてからちょっとしたきっかけがあって、花も面白そうだねっていうような感じになりました。
女性もあるかもしれませんけど、男性って何か物を集めるのは結構好きだったりすると思うんです。僕の場合はそのお花の匂い、たまたま蜜の、すごく甘い香りを出していたんです。この花は何なんだろう? っていうのを気になって調べた時に、ほかの色もあるよとか書いてあって、それは全部見たいなとか、写真に収めたいなと思うのがきっかけだったんです」
●ハワイの花は色鮮やかな花も多いですものね〜
「でもね、その90%以上は外国の花なんです」
●そうなんですか!?
「これは知っているよってお花の名前を上げると、多分99%ぐらいまで跳ね上がって外来種です。外国のお花です」
●そうなんですか!? じゃあハワイそのもののお花というのはそんなに…
「見るチャンスは比較的意識しないとないと思います。例えばハイビスカスだとか、プルメリアだとかブーゲンビリアって名前は聞きますよね。これ全部外来種なんです」
●ハイビスカスはハワイそのもののイメージでした。
「ハワイのハイビスカスもあるんですけども、実は山の中にあって、観光で見る人たちのものっていうのはみんな園芸品種で、ほかのものなんですね」
ハワイの夕陽
※近藤さんはこの時期に新しい本を出すにあたって、何か意識したことはあったのでしょうか。
「そうですね、ちょうどタイミング的にもお家でおとなしくしてなくちゃいけないっていう時ですから、この本が窓のような役割をしてくれればいいなと思っていましたので、本を通じてちょっとハワイを感じてもらいたいというメッセージは込めました」
●ハワイの日々が1日1日記録されていますけれども、特にこの7月7日の”光の帯”っていうタイトルで、満天の星空に天の川がある写真にすごく感動しました。美しかったです!
「これもね、ちょっとした事件というか、ありまして、僕はこの時、人を連れて夜に星を見せる予定だったんですね。ところが、これハワイ島なんですけれども、どこへ行っても曇りで、山の上も曇りで星がひとつもなかったんです」
●え?! そうなんですか!
「ええ。で、この写真を撮ったのは、結構低い位置で標高800メートルぐらいしかないところなんです。そこの天気図を見たら、ちょっと雲の切れ間があるっていうのが分かって、行って到着して1時間くらい見たら、もう雲に覆われてしまったという、本当にピンポイントで見た時の(写真)ですね」
●そうなんですね!
「逆にいうと、普通めぼしいところに行って、どこも雲だっていったら諦めますよね、日本だったら。ちょっと車で行くっていうようなレベルではないですよね、日本の場合は。でもね、ハワイというのは地域によって全く天候が違うので、これが可能なんですよ」
●そういったところもハワイの魅力のひとつですね。
「そうですね。だから気象とか気候というものも、ちょっと勉強しておくと、こういうことができちゃうというのはあります」
●この“黄色のサンセット”っていうのもすごく素敵でした! こんな綺麗な夕陽は見たことない! っていうような写真で、燃え立つような黄色とかオレンジ色の夕陽ですね。
「そうですね。本の構成上1枚しか載せていませんけども、別の日に行くとサーモンピンクになったり、別の日に行くと真っ赤になったりとか、黄色になったりとか、本当に色が変わるんですよ」
●夕陽の色が変わるんですか?
「そうです、変わるんですよ。それがハワイのいいところ。多分人が周りにいないと、なんかその空に溶け込みそうな感覚ってのがあります」
●うわー素敵ですね〜! この“7月24日:黄色のサンセット”はどこで撮った写真ですか?
「これはね、カウアイ島のワイメアという町の海岸です」
●橋がありますね?
「これはね、桟橋であまり使われてないんですけども、今はほとんど釣りをしたりとか、夕方の散歩に地元の人が訪れるだけですけど、ここね、ちょっとした“いわく”があるんです。なにかと言うと、ポリネシアの人以外で外国から初めて人が来た、つまりハワイを発見したのはキャプテン・クックって人なんですけども、クックが初めて上陸したハワイの場所ってここなんです!」
●そうなんですか!
「そうなんですよ。この町は小さいですけど、小さなクックの銅像も建っています」
<ハワイ諸島の特徴と成り立ち>
私にとっても憧れのリゾート、常夏の楽園・ハワイ、改めてどんな所なのか、おさらいしてみましょう。
ハワイは1959年にアメリカの50番目の州となった、最も新しい州ですが、それ以前にもネイティヴ・ハワイアンの十数世紀に渡る歴史があります。およそ1500年前、無人島だったハワイ島にポリネシア人が初めて到達し、その500年後にはタヒチから多くの移住者がやってきて、ハワイ文化の基礎を築きました。
1778年にキャプテン・クックがカウアイ島に上陸して西洋との関わりが始まり、その後も様々な歴史を積み重ねて現在に至ります。
ハワイ諸島は500万年前の海底噴火で隆起したあと、プレートの移動で北西にずれて島が次々に造られ、130以上の島や岩礁で形成されています。
州都・ホノルルがありハワイ観光の拠点となっているオアフ島や、活発な噴火活動が続くキラウエア火山があるハワイ島、かつてカメハメハ大王が王朝の拠点を置いたマウイ島のほか、カウアイ島、モロカイ島、そしてラナイ島の合わせて6つの島が世界有数のリゾートアイランドとして知られています。
年間を通して平均気温25度以上と、温暖な気候ですが、標高の高い地域では雪が降り、ハワイ島最高峰のマウナケアでは積もることもあるんだそうです。
実はハワイ諸島、現在も太平洋プレートの移動とともに、年に6センチから9センチくらいずつ北西側に動いています。ハワイ諸島の北西には日本列島があり、直線距離で6000キロちょっとなので、単純計算で1億年後くらいには日本とハワイがくっつくかも…と思いきや、実際は、太平洋プレートは日本海溝で北米プレートの下に沈み込んでいるので、ハワイ諸島もいずれは、といっても地球規模の気の遠くなるような時を経て、日本海溝に沈んでしまうそうです。
フラは道!?
※近藤さんの新しい本にはフラダンスではなく「フラ」と書いてありました。フラとフラダンスは、同じと考えていいのでしょうか。
「うーん、イエスでもあるし、ノーでもあります。何故かというと、まずフラっていう言葉ってどうしてもダンスと結びつきやすいですよね。でもフラってダンスだけじゃないんです。
例えばフラっていうのは、元々は神様に捧げるための、カフナと言うんですけども、日本でいうと住職さんだとか神主さんとかああいう人たちのことで、そういう人が神に祈りを捧げる時に、それを聞いている周りの人々に分かりやすくするために、祈りの内容をジェスチャーで教えた。そうするとただ声を聞いているよりも目に入ってきやすいんじゃないですか。それが元々のフラなんですよ」
●そうだったんですね。
「それをちゃんと守っている人たちは今もいて、名前は省略するにしても、伝統的なフラをやる人たちがいます。そのフラがダンスというか、踊りを通して何かを表現するっていうことになった時に、フラダンスって言葉も英語として出てきたんですけども、いまはふたつ(のフラが)あります。
ひとつはさっき言ったように伝統的な踊りのフラを“フラカヒコ”、それからもうひとつは今風のドレスとか着てやる“アウワナ”という名前のフラがあって、このふたつをいう時にはフラダンスといってもそんなに違和感はないかもしれない。
本当に古いものになると・・・楽器も、普通は楽器と言いますけども、(フラの)楽器は使ったことありますか?」
●使ったことはないです。
「ないですか、楽器を見たことはありますか?」
●あります!
「それを先生は楽器と、もしかして言っているかもしれませんけども、本来それは楽器ではなくて神具、神様の道具なんです。だから勝手に触っちゃいけない、生徒が」
●へぇー!
「という厳しいところもあれば、まあそんなに固くやらなくてもいいんじゃないのって、いうところもありますけども、いろんなところがあるんですよ。だから例えば日本の茶道だとか、そういう道と名前が付いて長い歴史を持っているものには、いろんな決まり事があるじゃないですか。フラもそれと同じようなもので、すごくいっぱいあるんですよ」
●ハワイの方々にとってフラっていうのはどんな存在なんですか。もうそれこそ神だったりとか?
「有名な言葉があって、”フラは人生だ”っていうのがある。フラ・イズ・ライフっていうのがありますね」
サンセットはシルエットで
※取材のためにハワイに、毎年のように通っていらっしゃる近藤さんが行くたびに必ず訪れる場所はどこなんでしょうか。
「訪れる場所ですね〜、行く島がどこかにもよるので、6つぐらいの島はどなたでも行けるんですけども、オアフ島だったらこことか、マウイ島だったらここっていうのはあります」
●いちばんのおすすめというのは?
「そうですね。僕が最も多く行くのはハワイ島なので、ハワイ島では人には会う、久しぶりだねって言ってその町に住んでる人に会って、よもやま話をするっていうのはまず楽しみですよね。
それから食べるもの、ここに来たらこれ食べるしかないよねって食べ物もあるし、それも面白いのは、言い方は悪いけど、決して美味しいわけじゃないけども(苦笑)、でもハワイの味だよねっていうのがあって、それを食べて、あ、戻ってきたなって思ったりしますね」
●おすすめのハワイのソウルフードはなんですか?
「そうですね、サイミン」
●サイミン?
「サイミンっていうのはね、ラーメンみたいな麺なんです。ラーメンって言ったらちょっと違うよねって思うかもしれないんですけども、なんとも奇妙な味なんです。でもそれはハワイの完全に国民食と言うか、島民食なので、なんと!マクドナルドのメニューにもあります。そのぐらいスタンダードなんですよ。
食べ方も地元の人の食べ方っていうのがあります。一応ラーメンみたいなもんだから蓮華が付いてくるんですけども、必ずマスタードも付いてくるんですよ」
●え?!
「マスタードをどうするのかっていうと、それをすくってスープに入れるんじゃなくて、スープを飲む時に蓮華の下にちょんとマスタードを付けて、付けた状態でスープをすくうと、ほんのりとマスタードの香りがスープに溶け込むという、面白いでしょ」
●へ〜〜〜面白いですね。これから自由に海外に行けることになった時に、リスナーのみなさんがハワイに行った時にこういう風に楽しんでっていうのがあれば、是非教えてください!
「夕方になると、大体みなさんビーチにいることが多いと思うんです。例えばワイキキ・ビーチとか行った時に、海岸にたくさんの人が立ってサンセットを見たりしているんですけども、僕のおすすめはその砂浜から100メートルぐらい後ろに、陸地の方にちょっと後ずさりして戻ってもらう。ビルの後ろじゃなくて海が見えている状態で戻るんですけども、そうするとヤシの木だとか、ライフガードの建物だとか、点々とシルエットになる。その方がずーっと綺麗です。それを楽しんでいただくのは、どこでもできますから、是非一度やってみるといいなと思います。僕もそういう写真をこの本の中にいくつか入れています」
☆過去の近藤純夫さんのトークはこちらをご覧下さい。
INFORMATION
近藤純夫さん情報
新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』
近藤さんがハワイの日々を記録し、暮らすような感覚で1年をつづってあります。1ページに一枚の写真と短いエッセイで構成されていて、ハワイの暮らしや街の風情、自然や絶景など、まさに「ハワイの素顔」を感じられる一冊です。
『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』は誠文堂新光社から絶賛発売中!
●誠文堂新光社のHP:https://www.seibundo-shinkosha.net
●近藤純夫さんのFacebook:https://www.facebook.com/kondo.sumio
●近藤純夫さんのハワイ塾:https://www.facebook.com/halenaauao/
●新刊『ハワイごよみ365日』:
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784416520369
<プレゼントの応募方法>
近藤さんの新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』を抽選で3名の方にプレゼントいたします。ご希望の方は「ハワイの本、希望」と書いて、メールでご応募ください。
メールアドレスは、flint@bayfm.co.jp です。
あなたの住所、氏名、年齢、電話番号をお忘れなく。番組を聴いた感想なども書いてくださると嬉しいです。応募の締め切りは、6月10日到着分まで。当選者の発表は本の発送を持って替えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています。
このページの上部にある「メッセージを送る」からも応募できます。
応募は締め切られました。たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
2020/6/6 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. THE NIGHTMUSIC / CECILIO AND KAPONO
M2. KANANAKA / AMY HANAIALI’I
M3. OVER THE RAINBOW / ISRAEL KAMAKAWIWO’OLE
M4. HAWAI’I / KEALI’I REICHEL
M5. Summer Dream / TUBE
M6. ALOHA ‘OE / SEAN NA’AUAO
M7. MANY CLASSIC MOMENTS / KALAPANA
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」