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世界を放浪する自転車の旅人、山下晃和。自転車とキャンプのすすめ!

2024/4/14 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自転車の旅人、モデルの「山下晃和(やました・あきかず)」さんです。

 山下さんは1980年生まれ、東京都出身。高校生の時に海外に行きたい、そんな思いから、ロサンゼルスに語学留学。その時、文化の違いにカルチャーショックを受け、もっと広く世界を見てみたいと思い、大学では語学を学んだそうです。

 きょうは、そんな山下さんに東南アジアや中南米の自転車旅のお話ほか、山下さんが主宰する自転車とキャンプを楽しむイベント「BIKE & CAMP」についてうかがいます。

☆写真協力:山下晃和

写真協力:山下晃和

スペイン語と自転車旅

※得意の語学を活かす意味でも、山下さんは自転車での旅をライフワークにされ、海外に出かけています。移動手段に自転車を選んだのは、なにかきっかけがあったのでしょうか。

「それは20代の頃に、モデルの仕事が本業なので、自転車雑誌の仕事で自転車ウエアを着ることがあったり、あと自転車メーカーのカタログとか、雑誌のページで自転車を見ることがあって、その中でツーリング自転車っていう、旅専用の自転車があるのを知ったんですね。

 その雑誌はレース系の雑誌だったので、普通の自転車ではなくて、レース用の、ドロップハンドルって言われているような、スピード出すための自転車が多かったんですけども、バッグをくくりつけて、タイヤがちょっと太めで、いろんなキャンプ道具を積載できる自転車があるのを知って、すぐ買いましたね」

●実際に初めて、そのツーリング自転車で行った国はどちらだったんですか?

「いちばん最初に行った国は東南アジア、早速縦断しました」

●えー! いきなり縦断ですか! そんな急にできるものなんですか?

「できると思って行ったんですけど、もちろんできないところというか・・・そもそも僕は香港からスタートしたんですね。香港のチョンキンマンションっていう安宿街があって、沢木耕太郎さんの『深夜特急』っていう本を読んで憧れていたんで、そこをスタート地点にしたんですけど、行ってから香港が地続きで自転車で走れないことに気づいて(笑)、早速フェリーに乗せて中国本土に渡るみたいなこともあったりしました。

 ほかにもカンボジアも国道がつながっていると思ったら、川を渡らないと国道がつながってないってところがあるんですね。そういうところも含めると、全部自転車じゃねえだろうってなると思うんですけど、でも一応、目的としていた国は全部走りましたね」

●それ以降、旅する時の移動手段は基本的には自転車なんですか?

「自転車のことが多いですね」

●今まで自転車で、どんなところを巡ったんですか?

「最終的に僕が目標にしていた中南米に行きたいと思って、大学で勉強していたのがスペイン語 だったんですよ。スペイン語は中南米の国で主要な公用語になっているところが多いんです。そこを(地元の人と)話をしながら旅をするには自転車がいちばんいい手段というか・・・観光地をずっと旅していくと英語を使うケースが増えてしまうと思ったんで、できるだけ公共交通機関、バスとかそういうものを使えればいいなと思ったんですね。

 自転車雑誌でツーリング自転車を見つけてから、自転車だともっと面白い旅になりそうだぞって思って、それを組み合わせて、中南米を自転車で走ったら、たくさん言葉を使えるんじゃないかっていうのがあって、それを最終目的で、練習で東南アジアを走ったという感じです」

●確かに自転車だと出会う人の数が増えそうですよね?

「そうですね。困りごとがあったら自転車の場合、本当にすぐその人に話しかけないと、次にどなたに会えるかがわからないので、身振り手振りいろいろ使ってですけども、会話しようと頑張るんですね。自分は、そういうところに身を置かないと、ついついほかの言葉を使っちゃいそうになるんですよ」

写真協力:山下晃和

(編集部注:山下さんがこれまでに自転車旅で訪れた国は約30か国。国内外を走ったトータルの距離はおよそ3万3千キロ。ちなみに、キャンプ道具と自転車の総重量は50キロから55キロ、1日の移動距離は80キロから100キロほどにもなるそうです。
 旅のスタイルは目的地だけを決めて、あとは行き当たりばったり。東南アジアも中南米も、半年くらいかけて旅をされたそうです)

笑って旅したバングラデシュ

※自転車旅の魅力は、どんなところにありますか?

「自転車旅の魅力は、いちばんはやっぱりその国の純度の高い文化が見えることだと僕は思っています。観光地は英語がしゃべれるかたがいたりとか、観光地でもその国の文化、ちょっと着色しているような文化があると思うんですね。

 観光地と観光地の間にある、本当に小さな町とか村には全くそういうのがなくて、日々の暮らしそのままを見せてもらえるというか、見ることができる機会があるので、それが自転車旅のいちばんの良さかなって思いますね」

●これまでの旅で印象に残っている場所とか、人との出会いって何かありますか?

「観光する場所としては、マチュピチュとかアンコールワットは素晴らしいとは思ったんですけども、実際にそういう素晴らしい景色以外に、自分の中に面白いとか、記憶にずっと残っているところは、実はバングラデシュという国で、そこが本当に面白かったですね」

●どういうふうに面白いんですか?

「まず、人が面白いです! 僕が自転車で旅をしているので、その時はインドから入ったんですけど、最初の町に着いて、商店みたいなところで飲み物を飲んでいたら、村中の人が集まってきたんですよ。日本人が来たぞ、みたいな噂が流れたらしくて、たくさん集まってきて、ジロジロジロジロ見て一緒に写真を撮ろうとか、あとSNSにあげてもいいかみたいに言われて、ちょっとヒーローみたいな気分になって、面白いなと思っていたんですね。

 その村が特別に日本人が少ない場所なんだと思っていたところ、止まるところ止まるところで集まってくるんですよ、人が・・・。どうやらSNSを見た人が次にこの町に来るかもしれないよみたいになって、僕を追いかけてくれるというか、(SNSを)見たよっていうような人もいて、本当に笑っちゃいましたね。なんで知ってるのとか、君見たよ、何かで、みたいな感じで、もう笑い続けてました。おじさんが隣にいて写真を撮ったりするんで、誰だろうとか思いながら、そんな笑いの連続でしたね(笑)」

写真協力:山下晃和

ラオスの親切、ボリビアのアルパカ

※ほかにも東南アジアの旅でこんな出来事があったそうですよ。

「いちばん面白いことがありまして、ラオスで・・・本当にラオスという国を僕は知らなさすぎて、町と町の間がけっこうな山あいで、進むのが本当に大変だったところが多かったんです。

 なにせ50キロ近いキャンプ道具を積んで、さらに自転車でアップダウン、標高1000メートルから0メートルみたいなところを、ずっと行ったり来たりして大変だった時に、僕はキャンプするつもりで、その村に入ってテントを張らせて欲しいっていう感じで、民家のかたにお願いしようとしたら、そんなことしなくていいよ、こっちに部屋があるよって言われて・・・学校の小屋みたいなところがあって、誰も人はいなかったんですけど、小さな小屋にここに寝ていいよって言って案内してもらったんですね。

 で、けっこう綺麗だったんですよ。ここで寝ていいんだと思っていたら、この町は実はお風呂は少ないから、あの竹から出ている水で水浴びしてもいいよっておっしゃって、子供たちと一緒にキャッキャッ言いながら水浴びさせてもらったんですよ。で、就寝しようと思っていたら、コンコンって音が鳴って、ろうそくを持ってきてくれたんですよ。暗いだろうって言って、これ使っていいよって持ってきてくれて・・・そこで、一晩過ごしたことがありましたね」

●すごいですね。親切なかたというか。

「最高でしたね。0円でしたけど、本当にスーパー高級ホテルなんじゃないかなってぐらい感動した 1日でした。
 また面白いのは、その小屋から夜ちょっと外に出たら、星空がめちゃくちゃ綺麗で、光がないとこんなに星って見えるんだって思って、黒いカーテンみたいなところにいっぱい白いペンキをバーッてつけたような、そんな夜空でした。震えました」

●忘れられない情景ですね。

「一生たぶん忘れられない景色ですね、あの星空は」

※ほかに 自転車の旅で出会った絶景などありますか?

「ボリビアのアルティプラーノっていうところがあるんですけど、標高が3000メートル近いところで山の上なんですね。でも山の上だからといって、アップダウンがあるんじゃなくて、アルティプラーノは高い所の平らな所っていう意味があるんです。

 高い所をずーっと走る、山の稜線をずっと走るみたいな箇所があって、そこは人工物がほぼなくて、高い所なんで植生がなくて、草原みたいな感じのところが続いて、ずーっとアルパカの群れがいて、その中を走るみたいな光景があったんで、それは感動しましたね」

●アルパカと一緒に走れちゃうんですか?

「走れていましたね、その時は。草を食べている姿を横に見ながら、ずーっと自転車で直線の道を永遠に走っている時は、幸せだな〜自転車でよかったな〜っていう瞬間がありましたね」

(編集部注:山下さんが海外に旅に出るのは、いろんな国の文化や風土に触れることで、改めて、日本の良さを再認識することや、現地の人々の暮らしや生き方を見てみたい、そんな理由もあるそうです)

山下晃和さん

自転車とキャンプ、恩返しと車椅子

※山下さんは「BIKE & CAMP」というイベントを主宰されていますが、どんなイベントなのか、教えてください。

「このイベントは自転車とキャンプをテーマにした『旅イベント』ってうたっています。自転車とキャンプって、けっこうハードなイメージだと思うんですけど、旅フェスにするとちょっと緩く感じると思うんですよ。
 そこに会場があって、みんなで集まってキャンプをして1日過ごすのは、旅の目的地としてもいいですし、あとは自転車の試乗もできるんです。旅用の自転車ってなかなか見る機会少ないと思うんですけど、自転車メーカーが来てくださって、そういう試乗もできて、アウトドア道具とかも展示してある、そんなイベントになっています」

●イベントの趣旨というか目的っていうのは、どんなところにありますか?

「いちばんの目的は、自転車キャンパーをひとりでも増やすことっていうのが僕らの目標にあります。自転車で早く走る、ロードバイクとかはけっこう今人気になってきてはいるんですけど、ちょっとスポーツになってしまうので、その土地の魅力をもうちょっと感じてもらいたい場合には、キャンプで一泊をすることによって、たとえば地元のスーパーで買い出ししたりとか、本当に行き先がわかんなかったら誰かに聞かなくちゃいけなかったりとか・・・。

 あとはキャンプを終えた次の朝とかは、学生が通学している風景が見られて、その横を自転車で走ることができたりとかすると、その場所の暮らしがわかるんですよ。

 そういった観光の新しいスタイルが自転車キャンプには含まれているなと思っているんです。そういうのをもっと体験してもらいたい、自分が好きだからっていうのもあるんですけど、それをもっと初心者向けにワークショップなどをしながら、やりやすいような環境を作りたいなと思って始めたイベントだっていうのがひとつ。

 あともうひとつは、僕が海外を旅していて、いろんな人にお世話になったんですね。たとえば自転車で走っていたら、うちに来てご飯を食べていきなよ!とか、突然言われたこともあったりしたんです、カンボジアとかであったんですけど・・・。あとは突然、これはネパールだったかな・・・これ食べていいよ!とか水を飲んでいいよ!って言って渡されたことがあったりとか、いろんな人に助けてもらいながら旅をしていたんで、恩返しをしたいっていう思いもあって・・・。

 実はこのイベントでチャリティオークションをやっているんです。このチャリティでは『海外に子ども用車椅子を送る会』に全部寄付金としてお渡ししています。  海外にはその車椅子がすごく少なくて・・・日本の車椅子は世界でもナンバーワンの造りなんですね。そのナンバーワンの車椅子が、子供が成長したら捨てられてしまうケースが多いので、それを会のかたが修理して直して、海外に送るっていうボランティアをやっているんです。それに僕はすごく感銘を受けて、実は僕もボランティアで年に何回か直しに行っています。自転車と同じパーツなんで直せるんですよ」

写真協力:山下晃和

●なるほど〜。

「タイヤも一緒、ブレーキも一緒なんで、協会のメンバーみんなで直しに行ったりしています。海外の子供たちに恩返しになるかなと思って、それは(イベントで)前面にはうたってはないんですけども、何か役に立てるかなと思って、そういう思いも込めてチャリティにはしています」

(編集部注:「BIKE & CAMP」は一般社団法人「自転車キャンプツーリズム協会」が行なっているイベントで、山下さんはその協会の理事でもいらっしゃいます)

5月開催の「BIKE & CAMP」

※5月に開催を予定している「BIKE & CAMP」、その日程や開催場所など、詳細を教えてください。

「5月の25日、26日の土日で、福島県いわき市のワンダーファームという所でやります。あと関東でも10月26日、27日に茨城県土浦市で開催が決定しました」

●お〜、そうなんですね! 秋に!

「秋に関東でやります」

●ワークショップみたいなものはありますか?

「はい、あります。毎回焚き火のワークショップはやっているんです。それ以外に僕はたぶん、自転車キャンプの道具をどうやったら、バッグにうまく詰められるのかなとか、どういったバッグを選べばいいのかとか、あとはどういう自転車を選べばいいのかみたいなところを含めた自転車旅のワークショップっていう、ざっくりとした本当に初心者向けのものをやる予定ですね」

写真協力:山下晃和

●自転車でキャンプって、どうしてもちょっと大変そうなイメージがあるので、一歩踏み出すのに勇気がいると思うんですけど・・・。

「そうなんですよね(苦笑)」

●でもそういうかたには絶対いいですよね。簡単にできるんだよっていうのを教えてもらえるわけですよね。

「そうなんです。だからカゴ付きの普通のシティバイクで乗りつけてもらっても、できるようなやりかたを教えます」

●いいですね! 参加したいかたはどうしたらいいんでしょうか?

「ワークショップは基本的には無料でやっているので、その場に来てもらえればすぐ教えます。宿泊だけはホームページから予約いただくんですけども、だいたい100名くらいまでで締め切りにはなっちゃうんですけど・・・」

●なるほど。じゃあ早めがいいですね?

「そうですね。宿泊したいかたは、できるだけ早めにホームページから予約していただければと思います。日帰りで来たいかたはもう自由です! 無料です! 誰でもOKです」

●では最後に、今後こんな旅をしてみたいという夢があれば、ぜひ教えてください。

「そうですね・・・夢というか、今年は中国の(新疆)ウイグル自治区を旅したいなと思っています。そこは本当に以前からずっと行きたかったんですけど、コロナ禍があってなかなか行けなかったんですね。民族衣装とか、あとウイグル人は帽子をいっぱい被るのがオシャレだっていうの聞いて、見てみたいなと思って・・・」

●きょうも帽子をかぶっていらっしゃいますね!

「帽子が好きすぎて(笑)」

●そうなんですね!

「いっぱい持っているんですよ。ウイグル人はどうやら男性は帽子をかぶることがオシャレだっていうことで、もともとモデルとして仕事をしていて、ファッションにも興味があるんで、どんな帽子なんだろうと思って・・・」

●いいですね〜。

「帽子探しの旅にしようかな〜(笑)」

●いいですね! ファッション・チェックに!

「ファッション・チェックに行こうと思っています!(笑)」


INFORMATION

写真協力:山下晃和

 5月開催の「BIKE & CAMP」、日程は5月25日(土)から26日(日)。開催場所は福島県いわき市の「ワンダーファーム」。どなたでも無料で参加できますが、宿泊を希望される方は、事前にご予約ください。山下さんのワークショップほか、ツーリング自転車の試乗もできます。ぜひご参加ください。
詳しくは「BIKE & CAMP」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎BIKE & CAMP TOUHOKU24:https://touhoku24.bikeand.camp

◎自転車キャンプツーリズム協会:https://bikeand.camp

 山下さんのオフィシャルブログもぜひ見てくださいね。

◎山下晃和オフィシャルブログ:http://blog.livedoor.jp/akikazoo/

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