2024/2/25 UP!
◎石田陽佑(株式会社「TOMUSHI」代表取締役CEO)
『シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第19弾!〜カブトムシで世界を救う!? TOMUSHIのビジネス・モデルに迫る!』(2024.2.25)
◎丹葉暁弥(自然写真家)
『カナダ北部の小さな町チャーチルで、シロクマを追う〜海が凍るのを待つシロクマたちの未来は・・・』(2024.2.18)
◎柳田真樹子(チョコレート工房「藤野良品店」)
『タンザニアと藤野が育む里山クラフトチョコレート〜小さなチョコレート工房「藤野良品店」の挑戦』(2024.2.11)
◎くますけ(自然ガイド)
『「自然と親しむ人をどれだけ増やせるか」by くますけ』(2024.2.4)
2024/2/25 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第19弾! 今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「飢餓をゼロに」
そして「つくる責任 つかう責任」に関係する事例をご紹介します。
ゲストは、カブトムシの力で有機廃棄物を資源化し、世界の食糧不足にも貢献することを目指すスタートアップ企業、株式会社「TOMUSHI」の代表取締役CEO「石田陽佑(ようすけ)」さんです。
石田さんは物心ついたときから、ツノが生えたカブトムシが大好きで、双子のお兄さん建佑(けんすけ)さんと夜、近くの森によく、捕まえに行っていたそうです。ところが、なかなか捕れないので、カードゲーム「ムシキング」で知った憧れのヘラクレスオオカブトを、おじいちゃんやおばあちゃんにお金を借りて購入。そして飼育したら繁殖して増えたので、お兄さんと相談して、売ってみようということに。
そこで、またまた祖父母を説得して、起業のための資金を出してもらい、2019年に地元の秋田県大館市で、TOMUSHIをスタート。実は石田さん、以前、東京で別の事業を立ち上げたんですが、大失敗。TOMUSHIは、再起をかけての出発だったんです。
カブトムシを育てて販売する事業は当初、とてもうまくいき、絶好調! そこで、調子にのって、銀行から資金を調達し、たくさんカブトムシを育て、もっと儲けようとしたところ、大量に発生した害虫がカブトムシのエサを食べる事態が発生、大ピンチに。そんなときに、銀行から地元で出る廃棄物をエサの代わりにできないかと提案され、試してみたら、ビジネスモデルが大転換したそうです。
ちなみに社名の「TOMUSHI」を、株式会社の表記を省略し、「株」だけにして読むと「株 トムシ」になります。
きょうはカブトムシが大好きな石田さんが、双子のお兄さんと立ち上げたカブトムシ・ビジネスの可能性に迫ります。
☆写真協力:TOMUSHI
有機廃棄物をカブトムシのエサに
※TOMUSHIのオフィシャルサイトにもいろいろ説明が載っていますが、事業内容を、ひとことでご紹介すると「有機廃棄物を、カブトムシの力を使って、資源化する」ということですよね。有機廃棄物に目をつけて、最初からうまくいったんですか?
「最初は、とにかくエサをなんとかしなければいけないって必死だったですね。なんとなく昔から、カブトムシは腐葉土を食べるとか、腐ったものを食べるとかあったので、それだったら有廃廃棄物を食べるんじゃないのかなという期待をもとに、そこからいろいろ実験を始めたのがきっかけですよね」
●有機廃棄物といってもいろいろあると思うんですけれど、具体的にどんな廃棄物を
どこから集めてくるんですか?
「いちばん最初に紹介されたのは、いくつかあって、木材廃棄物ですね。それから農業残渣(のうぎょうざんさ)、メインなものでいうと、廃菌床(はいきんしょう)と呼ばれるキノコを育て終わったあとの土台になっている部分で、これも廃棄物になってしまっているので使えないかとか・・・。
あとは畜産糞尿、牛の糞とかそういったものが使えないかとか・・・こういうところから始まったんですけど、結果的にほとんどどれも(カブトムシは)食べられるんですね。最初こういうのがきっかけで、有機廃棄物の中でも廃菌床、畜産糞尿、それからの木質系の廃棄物に目をつけて始めましたね」
●たくさん量が必要だと思うんですけど、どうやって集めるんですか?
「これが、我々が想像していたよりも、はるかに事業者側のほうが量をたくさん排出してしまっていて、調達というところでは、そこまで苦労することなくできていましたね」
●それをカブトムシの幼虫が食べられるエサにする技術を開発されたっていうことなんですよね? どういう技術なんですか?
「カブトムシといえどもなんでも食べられるかというと、非常に難しいところがあって、カブトムシにとって毒性があったりとか、食べられない状態のものがあるんですね。我々食べさせる前にエサを一度発酵という過程を通すんです。
発酵というと、キムチとかを想像されるかもしれないですけれども、あれに近くて、大量に微生物が発生して、それによって熱が放出されて微生物が活発になるわけです。その活発になった微生物が、カブトムシの嫌がるものとかを食べてくれることがわかってきているんですね。
それで最終的には、ある程度熟成させた状態のものを与えると、カブトムシの成長がよりよくなるのがわかって、微生物の組み合わせだとか、カブトムシとの微生物の組み合わせを研究してきていますね」
カブトムシを品種改良!?
※TOMUSHIのもうひとつの特徴として、カブトムシを品種改良したそうですが、どんなカブトムシになったんですか?
「当初、カブトムシを品種改良しようとしたのは・・・いちばん最初、有機廃棄物を食べることがわかった時に、これはもしかしたら、 有機廃棄物をカブトムシが食べるということは、これがタンパク源になるんじゃないかと・・・。そうするとゴミがタンパク質になるんだったら、世界中の食料危機を救えるんじゃないかというのがきっかけですね。
そこの食料の部分に対して、カブトムシを品種改良というか生産効率を考えていた時に、一年でワンサイクルしかしないと、どうしても採れる量が少ないというところで、これの成長速度が速くならないかというのが最初のきっかけです。
いろいろ(カブトムシの)サンプリングをして調べていくと、地域によって成長速度が違ったんですね。簡単にいうと、寒い地域のカブトムシほど成長速度が速かったんです。これは冬眠があるから速いんですね。
冬眠がある期間は成長できないので、早く成長してしまってから冬眠をするという習性があって、この習性を利用できないかっていうので、それとゴミを食べることに特化したカブトムシを掛け合わせて品種改良を行なっていったんです。成長速度が速くて、なおかつゴミを食べられるカブトムシが誕生してきたというそういう背景がありますね」
●もともとのカブトムシ、つまり親はどこから持ってきたんですか?
「あ、これは日本各地のカブトムシを採取してきて、その子孫をとって、成長速度がどのぐらいなのかとか、どれだけ差があるのかとか、そういったものを測定してその中から選抜をして、これとこれを掛け合わせようっていうので、掛け合わせて残してきていますね」
●カブトムシ好きですから、そういう作業も楽しそうですね!
「楽しいですね! もうたまらないんですよ! 趣味の延長線みたいなもんですよね、もうこれは!」
●例えば、外国産のカブトムシが逃げ出して、日本のカブトムシと交雑するとか、自然界に影響を与えるというような心配事はないんですか?
「これは、非常によく聞かれる質問なんですね。基本的にこれも意外と知られてないんですけれども、外国産のカブトムシはそもそも日本の屋外で生活ができるかというと、ほとんどの種類は難しいんです。一部生活できる種類もいるんですけれども、そういったものは特定外来生物みたいなものになっていて、飼育することがそもそも禁止されていたりとか、そういうふうになっています。
ヘラクレスオオカブトとか、よく耳にするようなカブトムシは外に出てしまうと、おそらくすぐ鳥に食べられて死んでしまうんですね。万が一生き残ったとしても、冬が来てしまうとその段階で死んでしまいます。
そもそも種類的にいうと、日本のカブトムシと交雑してしまう可能性はないですね、全くないです。 一部の中国のカブトムシとかは可能性があるかもしれないですけれども、ほとんどのカブトムシは、まずそれは可能性としてはないものになります」
収益の3つの柱
※素朴な疑問なんですが、TOMUSHIはどうやって収益をあげているのか・・・カブトムシを販売しているんだろうな〜という想像をつくんですけど、どうなんでしょう?
「我々の収益の柱は大きく3つあるんですね。まずひとつめが単純にプラントとしての販売。カブトムシを育てて、ゴミを処理しながら育てるというゴミ処理機能をセットにしたような形のプラント、これを販売することがまずひとつ」
●廃棄物処理のプラント!?
「そういうことです。それを販売することがまずひとつで、もうひとつが単純にペットとしての販売の売り上げですね。そのプラントから育ってきたカブトムシを我々がすべて買い上げて販売をするんですけれども、ここでの販売の売り上げがもうひとつの大きいところですね。
もうひとつはイベント事業ですね。廃棄物を食べて育ったカブトムシは、結局高くてなかなか子供たちには手が届かないので、子供たちにも触れ合う機会を提供したいということで、夏の1か月間、夏休みに合わせてイベントをやっているんですね。昆虫展みたいなものです。
ただの昆虫展ではなくて学べる昆虫展っていうので、SDGsについてカブトムシを通して触れ合いながら学ぶというような、そういう事業をやっているんです。これもものすごくたくさんのかたがたにご来場をいただいて、売り上げの柱のひとつになっていますね」
●プラントの販売っていうのは、具体的にどういうことなんでしょうか? プラントそのものを提供する? それともノウハウを提供する? どういう感じなんでしょうか?
「はい、ありがとうございます。これはどちらもありますね。 プラントそのものももちろん提供するんですけれども、それだけでは運営できないので、そこのノウハウだとか、まさに入口から出口のところまで、ノウハウをすべて提供しながら運営をしていますね」
●現在全国で何か所ぐらいTOMUSHIが手がけたプラントが稼働しているんですか?
「全国で北は北海道から、南は沖縄まで大体30か所ぐらい、各地にあります」
●どのくらいの量の有機廃棄物を処理できるんですか?
「全体の量でいくと大体2000トン程度の量を年間処理していますね。個別にいうと年間10トンのものから、1か所で数百トン処理をしているような、規模の違いはそのぐらいありますね」
(編集部注)カブトムシを飼育しているかたは特に、いくらで販売しているのか、気になりますよね。石田さんによると、数千円から高いものでは数十万円もする貴重な外国産のカブトムシもいるそうですが、平均すると1万円前後での販売だそうです。詳しくはTOMUSHIの、外国産を多く扱っているECサイト「昆虫専門店ビーラボ」をご覧ください。
☆昆虫専門店ビーラボ: https://kabuto-mushi.com
カブトムシの魅力を世界に発信!
(編集部注)先ほど、カブトムシを品種改良したというお話がありましたが、石田さんによると、品種改良は研究の段階で、日本のカブトムシを中心に一部、外国産も含め、いろいろな種をかけあわせたそうです。
いまプラント販売で、メインで提供しているのは日本産のカブトムシだそうですが、エサにする有機廃棄物によって、使い分けているので、プラントを販売する際は、先に有機廃棄物のサンプルをもらって、どのタイプのカブトムシが適応するか、試験をして提供しているとのことです。
※世界の人口増加により、食糧不足が懸念されるなか、昆虫食に期待する声も高まっていると思うんですけど、カブトムシの場合、成虫よりも幼虫がタンパク源として活用できるような気がするんですけど、どうなんでしょう?
「タンパク質としては、どちらも近しいような数値にはなると思うんですけれども、生産の効率を考えると幼虫のほうがいいと思っていますね。昆虫食というところでいくと、原料として考えるとやっぱり効率を求められてしまうので、成虫まで育てるよりも幼虫で出荷をしたほうが、生産期間というか製造期間が短くなるので、幼虫のほうが効率がいいっていうことがありますね。
あと、昆虫食に関していうと、これはよく笑われてしまうんですけれども、カブトムシは甲殻類にあたるんですね。僕は甲殻類アレルギーがあってカブトムシもアレルギーで食べられないっていう、なんていうんですかね・・・共食いしないように生まれてきたんですかね(笑)」
●(笑)なるほどそうなんですね!
「そうなんですよね~」
●カブトムシをペットとして飼育する、文化みたいなものは海外にもあるんですか?
「海外にもあるにはあるんですけれども、日本ほどメジャーなものではないですね。日本だと男性のかただと、ほとんど一度は(カブトムシを)飼育したことがあると思うんですけれども、このレベルで飼育する国は世界各国見ても、おそらく日本だけだと思いますね」
●今後、有機廃棄物をカブトムシの力で資源化して、世界の食料不足に貢献するために世界に打って出ようみたいな、そういうお気持ちもあるんですか?
「もちろんです。資源を解決したいっていうよりも、より根本にあるのは・・・我々カブトムシ好きとして創業した当初、カブトムシってペットだけでしょ! って言われて、非常に悔しい思いをしてきているんです。それがようやく、原料としての可能性とか医薬品に使えそうだとか、様々なことがわかってきて、カブトムシはツノが生えてかっこいいだけじゃなくて、これだけ世の中に貢献ができるんだと・・・それが日本国内では、いろんなメディアにも出させていただいただいたおかげで、広く伝わってきて、”頑張ってるね”ってよく言っていただけるんですね。
インドの現地に行って、僕がいつも通り、いろいろカブトムシについて魅力を、ここが素晴らしいんですよ! っていうのを伝えたんですけれども、彼らからすると、ほかの虫と変わらないというか、なんかまあ多くいると言ったらゴキブリとか、そういうのとカブトムシは一緒だよねという、そういう扱いなわけですよ。僕もそれを言われた時に、いやいやこれだけすごいし、ツノも生えているんだと! いうのを話すんですけど、”そんなの知らないぞ”って言われてしまうんですね。
なので、僕らとしては全世界に対して、カブトムシはこれだけ環境にも貢献できて、循環型で資源を循環させられる役割があると、これだけでもものすごく魅力があることだし、それにこれだけのツノがついて立派でしょ! っていうのを全世界に広めていきたいという根本の気持ちとしてはまずあるんですね。そのために、より実際に事業として全世界に向けて提供していきたいという思いがありますね」
日本の文化が作ってくれたビジネス・モデル
※国内での新たな展開はありますか?
「国内のところでいくと、やっぱり先端分野ではカブトムシの、それこそ幼虫の粉末にしたものを原料として、例えば水産飼料とか畜産飼料とか、外国からの輸入に頼っている部分を国産のカブトムシが担えないかというところで、実際に研究だったり実証実験というのが今進められていますね」
●このTOMUSHIのビジネス・モデルはもうオンリーワンですよね?
「そうですね。これもあんまり知られてないんですけど、我々がこうやって事業をやれているのは、本当に日本にこの文化があったおかげですね。
我々はほぼすべての、全世界のカブトムシ、クワガタを入手することができて、それで品種改良することができるんですね。これは、ほかの国にはない日本の文化が作ってくれた、本当に日本が誇るべき財産ですよね。これのおかげで日本から我々みたいなカブトムシ・ベンチャーが出ていますけれども、ほかの国でこれができるかっていうと難しいですね」
●大好きなカブトムシをビジネスにした今、どんなお気持ちでいらっしゃいますか?
「もともと僕は、朝起きるのがすごく苦手で目が覚めなかったんですけれども、今の事業をやるようになってからは、やっぱり好きなことなんで、なんていうんでしょう・・・ワクワクして目が覚めるという、これが個人的にいちばん大きな違いですね。
これは本当に一緒に働く仲間も近いと思うんですけれども、ただのビジネスではなくて、自分の好きなことであって、とにかく楽しく仕事ができるっていうのは、僕にとっては天職だと思いますね、これは!」
●すごくカブトムシへの愛が伝わってきました。では最後にカブトムシを見ていて、どんなことを感じますか?
「そうですね~”カブトムシの魅力はなんですか?”って、よく聞かれるんですけれども、分からないんですよ。逆に僕らからすると、生まれて物心ついた頃からずっと好きなので、なぜカブトムシがかっこよくて、なぜ魅力的なのかわからないんですよ。
逆にみんなそう思っているんじゃないの? と思っているんですけど(笑)、非常に表現が難しいですね。とにかく何か謎の魅力があるんですよ、カブトムシっていうのは・・・見ていてもずっと飽きないというか、フィギュアが動いているようなそんな感覚ですよね」
INFORMATION
TOMUSHIの事業にぜひご注目ください。プラントやペットしての販売、そして子供たち向けのイベントのほかに、昆虫専門の情報サイト「ムシペディア」なども運営。ECサイト「昆虫専門店ビーラボ」では、へラクレスオオカブトなど外国産のカブトムシを多く扱っています。事業内容や販売について、詳しくはTOMUSHIのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎TOMUSHI:https://tomushi.com
◎昆虫専門店ビーラボ:https://kabuto-mushi.com
2024/2/25 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. LET YOUR LOVE FLOW / THE BELLAMY BROTHERS
M2. FOOD CHAIN / ERIC HUTCHINSON
M3. BORN AGAIN / STARSAILOR
M4. WITH A CHILD’S HEART / MICHAEL JACKSON
M5. カブトムシ / aiko
M6. TOP OF THE WORLD / THE CARPENTERS
M7. JUST THE WAY YOU ARE / BILLY JOEL
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/2/18 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自然写真家の「丹葉暁弥(たんば・あきや)」さんです。
丹葉さんは北海道・釧路市出身。1998年にカナダ北部で野生のシロクマに遭遇、
それ以来、シロクマの撮影のために、毎年のようにカナダに通うようになったそうです。これまでに、大好きなシロクマの写真集を6冊発表、中でもシロクマが犬を抱っこしている写真が話題になりました。
そして今月2月27日の「*国際ホッキョクグマの日」に新しい写真集『SOON〜氷の橋を目指すシロクマ』を発表されます。
きょうはそんな丹葉さんをお迎えし、撮影のために4年ぶりに訪れたカナダ北部のシロクマの実態や、極寒の中でも生きていけるシロクマの秘密に迫ります。
(*編集部注:ホッキョクグマが置かれている現状を広く伝えるために、カナダを本拠地とする国際的なホッキョクグマの保護団体POLAR BEARS INTERNATION-ALが制定)
☆写真協力:丹葉暁弥
いちばん最初に凍る場所
※丹葉さんの撮影のメイン・フィールドは、カナダ北部のどのあたりなんですか?
「私がシロクマたちに会いに行っているのが、カナダにあるマニトバ州、ちょうどカナダの真ん中にある州なんですけれども、そこの上のほうですね。北極圏までは入らないんですが、かなり北極に近いところにあるチャーチルという小さい町があるんですね。そこがメインの取材場所になっております」
●そこにシロクマたちがたくさん生息しているっていうことですか?
「そうなんですよ。地球上にシロクマは2万5000頭ぐらいいるって言われているんですけれども、そのうち、カナダに生息しているシロクマの数がとても多いんですね。中でもチャーチルの周辺には、だいたい2500頭前後が生息すると言われているんですね」
●どうしてその場所に集まるんでしょうか?
「シロクマの生態についても、ちょっと話すことになるんですけれども、シロクマは、海が凍ると凍った海の上でアザラシが子供を産む、そのアザラシを主食として猟に出かけるんですね。私が通っているマニトバ州のチャーチル周辺は、アメリカ大陸の上のほうにあるハドソン湾という大きな海、その海の南西部になるんですけれども、いちばん最初にその海が凍り始めるところと言われているんですね。
シロクマたちはお腹が空いているので、早く食べに行きたいということで、いちばん最初に凍るところ、つまりアザラシたちが最初に出てくるようなところにたくさん集まるようになったと言われています」
●集まりやすい時期はあるんですか?
「10月の終わりぐらい、10月の最終の週から11月の1週目から2週目と言われています」
●その時期を目掛けて、いつも丹葉さんはチャーチルに行って撮影されているっていうことですか?
「はい、そうなります。その時期になると海が凍り始めるんですね。海が凍ってしまうとシロクマたちは海の彼方に、氷の上に乗ってずっと旅に出てしまうので、出会うことができないんですね。その海が凍る ギリギリのシーズン、それを狙っていくと、たくさんのシロクマたちに会えるわけです」
シロクマが集まる町
※シロクマたちが集まるエリアにあるカナダ北部のチャーチルは、どんな町なんですか?
「これがとてもとても小さい町で、カナダの内陸から道がつながっていないんですね。なので、そこに行くには飛行機で行くか、もしくはカナダを走っている鉄道で行かなくてはいけないんです。一応、カナダの鉄道のいちばん最北端の駅がチャーチルという町になるわけです」
●観光名所とかではなく、自然豊かな場所という感じになっているんでしょうか?
「ところが、この場所は日本では最近、結構有名にはなってきているんです。欧米のみなさんは、30年以上前からこの場所にシロクマたちが集まってくるのを知っていまして、一般のかたがたが野生のシロクマを見に行くツアーというのがあるんですね。
もともとは人間よりも先にシロクマたちが棲んでいたというのが、もちろんあるんですけど、そのチャーチルの町はシロクマたちが、海が凍ると向かっていくと言われる北極、北の方角に町があるんですね。ですから、シロクマたちの通り道ということがあって、シロクマたちがたまに町の中を歩くことがあるんですね」
●人間との軋轢みたいなものはないんですか?
「確かにあります。シロクマたちは約半年間、絶食をしていて、お腹がペコペコなんですね。実は人間たちのお家ですとか、ゴミとかの食べ物の匂いを嗅いで、何か食べ物があると思って町の中に入ってくると・・・。で、そこに人間がいたら、最悪の場合は襲われてしまうということも起こっているんですね」
小さな町チャーチルの変化
※コロナ禍もあって、去年11月に4年ぶりにチャーチルに行かれたそうですね。久しぶりに行って、どうでしたか?
「基本的には人口1000人ぐらいの小さい小さい町なので、大きな変わり方はしないんですけれども、やはりコロナ禍が終わって行ってみると、観光に関してちょっと変化というのが見受けられました」
●例えば、どんな変化があったんですか?
「最近、日本でもいろんなところで耳にすると思うんですが、オーバーツーリズムってありますよね。これがカナダ北方の小さな小さな町にも現れていました。要はシロクマたちに会いに来る、シロクマたちの写真を撮りに来る人たちがとても増えてまして、そのために、そういうカメラマンたちを連れていくツアーみたいな車がたくさん走っているのに驚きました」
●そうなんですね~。地球温暖化の影響を日本でも感じることが多くなってきましたけれども、シロクマを取り巻く環境はいかがですか? 現地で何か変化を感じたりしましたか?
「はい、これは毎年行くたびに感じることなんですけれども、まず最初にはっきり言えることがシロクマの数が、私が最初に言った25年前に比べると確実に少なくなっているということですね。
私はだいたい現地で車を借りて、シロクマたちを撮影しているんですけれども、昔はそんなに苦労して探すことなく、毎日シロクマたちに会うことができていたんですね。最近は探さないと見つからない、探しても出てきてくれないということが非常に多くなってきました。
昨年も、それと同じようにシロクマたちがたくさん出てくるというのが、非常に少なくなっているなって感じました」
(編集部注:動物園や水族館で会えるシロクマは、子供は真っ白で愛くるしくて、大人のシロクマはプールに飛び込んだりと、活発に動いているイメージがあります。丹葉さんいわく、野生のシロクマもいろんな表情を見せてくれるそうですよ。
シロクマの和名は「ホッキョクグマ」、英語名は「ポーラーベア」。体の大きさは、オスで2メートルから2メートル50センチくらい、体重は400キロから500キロくらいで、メスはオスよりも、ひとまわりほど小さいサイズ感です。
繁殖期は3月から6月くらいまでで、その年の11月から翌年1月頃にかけて1頭から4頭の子供を生むとされているそうですが、丹葉さんが目撃するのは平均的に2頭だそうです。
子育てはメスだけで行ない、2年から2年半くらいは子供と一緒に行動するとのこと。そんなメスと子供たちの天敵は、なんと、ほかのオスのシロクマだそうですよ。これも自然界の摂理なのかも知れませんね)
シロクマの毛の秘密
※シロクマはマイナス何十度にもなる気候の中で生きていますが、体になにか秘密があるのでしょうか?
「寒さ対策ということがいちばんだと思うんですね。シロクマたちはいちばん寒い時には、マイナス60度以下のところでも旅をしなくてはいけないわけなんですね。そのためには、やはり我々人間と同じ哺乳類ですから、どうにもならないところがあります。それを体の構造によって補っているんですね。そのひとつが“毛”にあるわけです。
シロクマの毛が白だと、みなさん思われていると思うんですけれども、実はよ~く顕微鏡とかで1本1本を観察すると、毛の色は透明なんですね。透明の上にその細~い毛の中に空洞がありまして、そこに1本1本空気が閉じ込められているんですね。それによって空気が太陽の光によって温められて、保温効果があるということになるんですね。
あとは、毛が二重構造になっています。皮膚に近いところは、だいたい5センチぐらいの長さの細かいふわふわした、ふさふさした短い毛がびっしりと生えているんです。それの上を15センチぐらいのちょっと硬い長い毛が覆っているので、我々人間が防寒下着を着て、ダウンコートを身にまとっているような、そういう構造になっているんですね」
●シロクマは、そうやって寒さ対策を体でやっているからいいですけど、丹葉さんはどんな格好でいつも撮影されているんですか?
「これはですね(笑)、基本的には車の中から写すようにはしています。というのが、まずは自分の身を守ることから始めています。これには理由があるんです。もし人間を傷つけてしまったシロクマがいた場合、人間を傷つけたということで、保護局とかのシロクマを捕獲する施設に入れられてしまったり、そういうことが起こってしまい、最悪な場合は殺されてしまうこともあるんですね 。
自分はシロクマが好きで、野生のシロクマたちに会いに行っているので、シロクマたちが傷つけられる原因が、自分にあったりしたら、本当に本末転倒になってしまいます。ですから、まず自分の体を守るということで、車の中から写すんですね。
ただし、窓を全部開けてエンジンを切って、外気温と同じ環境で、長い時には3時間4時間ぐらい動かないで、じーっとシロクマたちを見ています。外気温がマイナス20度とか30度になることもあるので、とても寒いですね。
なので、防寒下着は必要最低限でございまして、その上にフリースですとか着込んだ上に極地用のダウンジャケットを着て、モコモコになって写しています」
最新の写真集『SOON』に込めた思い
※2月27日が「国際ホッキョクグマの日」ということで、それに合わせて、写真集を出されるそうですね。なんというタイトルなんですか?
「今回の写真集のタイトルは『SOON』というタイトルですね。日本語で言うと『もうすぐ』ですとか、そういうイメージがあるとは思うんですね。サブタイトルには『きっともうすぐ氷の橋があるから大丈夫』というような意味もちょっと込めています」
●どんな思いを込めて、このタイトルにされたんですか?
「やはり我々人間もこれから自然環境ですとか地球環境の悪化によって、住みづらい世の中になっていくと考えているんですね。白クマたちもだんだん地球環境の悪化によって絶滅に瀕し、危機が訪れているわけなんですね。それをシロクマと人間たちを重ね合わせて、希望を捨てないで、のんびりなんとかやっていこうというような思いを込めています」
●では最後に長年、野生のシロクマを撮影されてきて、今どんな思いがありますか。
「毎年毎年、地球環境が非常に悪くなってきている中で、自分も非常にショックを受けているんです。シロクマを守るために動物を守るために地球を守るために、何をしたらいいですか? という質問をよく受けることがあります。それで無理なことを最初にやってもしょうがないと思うので、まずは自分ができることからは始めればいいかなと思っているんですね。
そのひとつが、たとえばトイレに行くときにテレビをバチッと消すとか、隣の部屋に行くときに電気を消すとか、それが一瞬でも5秒でも10秒でもやればプラスになるわけですね。やらなければ、ゼロのままじゃないですか。ですから、そうやって自分のできることからやっていくことによって、野生のシロクマたちがなるべく長生きして、これからも地球で我々と一緒に過ごせるようになればいいなと思っています」
☆この他の丹葉暁弥さんのトークもご覧ください。
INFORMATION
丹葉さんの最新の写真集をぜひチェックしてください。今回の写真集には未発表作や、昨年カナダで撮ってきた新作も掲載されているそうです。発売は2月27日、トゥーヴァージンズから。詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎トゥーヴァージンズ :https://www.twovirgins.jp/book/soon/
写真集の発売を記念して、写真展が開催されます。会場は東京タワーギャラリー、会期は2月23日から3月25日まで。ぜひお出かけください。詳しくは、丹葉さんのSNSをご覧ください。
◎Instagram:http://www.instagram.com/akiya.tamba
◎X(旧Twitter):http://twitter.com/AkiyaTamba
◎Facebook:http://www.facebook.com/akiya.tamba
◎Facebookpage:https://www.facebook.com/photographer.tamba
2月27日の「国際ホッキョクグマの日」を記念して、よこはま動物園ズーラシアでは現在「知ろうくまフェスタ!」が開催されています。シロクマが置かれている環境や、私たちができることを紹介したパネル展示ほか、2月24日と25日には、餌を与えながらの特別ガイドや、ワークショップが行なわれます。
ほかにも丹葉暁弥さんと、飼育員のかたによる「知ろうくまトーク」も予定されていますが、このトークイベントは定員いっぱいだそうです。詳しくは、よこはま動物園ズーラシアのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎よこはま動物園ズーラシア:https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/
丹葉さんの最新の写真集『SOON』を抽選で2名のかたにプレゼントいたします。
応募はメールでお願いします。
件名に「プレゼント希望」と書いて、番組までお送りください。
メールアドレスはflint@bayfm.co.jp
flintのスペルは「エフ・エル・アイ・エヌ・ティー」
flint@bayfm.co.jp です。
あなたの住所、氏名、職業、電話番号を忘れずに。
番組を聴いての感想なども書いてくださると嬉しいです。
応募の締め切りは2月23日(金)。
当選発表は発送をもって代えさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募は締め切られました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
2024/2/18 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. MY HAPPY ENDING / AVRIL LAVIGNE
M2. BEAR WITH ME / GILBERT O’SULLIVAN
M3. NORTHAN LIGHTS / SIXPENCE NONE THE RICHER
M4. シロクマ / スピッツ
M5. 白熊 / ビッケブランカ
M6. POLAR BEAR / RIDE
M7. THE POWER OF THE DREAM / CELINE DION
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/2/11 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、神奈川県相模原市の北西部、藤野地区の里山にある小さなチョコレート工房「藤野良品店」の「柳田真樹子(やまぎだ・まきこ)」さんです。
藤野良品店は、ご主人がJICAの活動として、タンザニアに雇用を生み出すために現地にドライフルーツ工場を作るプロジェクトに関わったことが始まりでした。
そのタンザニアでカカオ豆の生産者に出会い、持ち帰ったカカオ豆でチョコレートを作ってみようと思い立ったそうです。そこで作り方を調べて、カカオ豆と砂糖だけで手作りしてみたら、フルーティーなチョコが出来上がり、あまりの美味しさに感動! お友達のアドバイスやサポートもあり、2017年にチョコレート工房が立ち上がったそうです。
そんな藤野良品店の柳田さんに手作りチョコレートのことや、移住して暮らしている藤野地区の魅力的なコミュニティーについてうかがいます。
☆写真協力:藤野良品店
希少なタンザニア産のカカオ豆
●藤野良品店で製造・販売されている「里山クラフトチョコレート」を、私もいただきました。板チョコですけど、包装紙を開けると、ふわっとカカオのいい香りが漂い、味わうと爽やかな酸味も効いていて、とっても美味しかったです!
「ありがとうございます。そうなんです。砂糖とカカオ豆しか使っていないので、カカオ豆本来の味がそのまま出てくるんですね。本当にフルーツみたいな感じの味を感じていただけるようなチョコかなと思います」
●改めてなんですけど、この「里山クラフトチョコレート」のいちばんの特徴は、どんなところでしょうか?
「カカオ豆をタンザニアの生産者さんから直接購入して、日本に持ってきて、カカオ豆を焙煎するところから、すべての工程を自分たちでやっているというところかなと思います。で、顔の見える相手、すべて知っているかたから買わせていただいたりとか、相手とつながっている安心安全なチョコレートかなっていうのがひとつですね。
あとは、食べていただいたと思うんですけれども、カカオ豆本来の持っている酸味だったり、香りだったり、フルーティーさをそのまま感じることができる、混じりっけなしのチョコレートかなって思います」
●タンザニアから有機栽培のカカオ豆を輸入されていますが、タンザニアのカカオ豆は有名なんですか?
「実は希少な豆です。カカオ豆の産地で有名なのは、西アフリカにあるガーナとかコートジボワールで、だいたいその2か国で世界の生産量の3分の2ぐらいを占めています。タンザニア産のカカオ豆は、世界の生産量でいうとだいたい 0.1%ぐらいで、すごく少なくて、本当にレアな豆ですね。
カカオ豆っていろんな風味があるんですよ。ナッツみたいな風味だったりするものもあれば、ラズベリーのような風味、それからハーブのような風味だったり、ラムレーズンみたいな風味だったりと、生産地とか種類によって、カカオ豆の味が全然違うのがまたそれも面白いところですね。
私たちが使っているタンザニア産の有機栽培のカカオ豆は、ラズベリーのような風味の豆で、香りもすごくいいですし、味もよくて、油脂分もすごく多いので、カカオバターを追加する必要がない、すごく良質な豆ですね」
タンザニアのベンチャー「ココアカミリ」
※藤野良品店でチョコを製造・販売することになったのは、ご主人が仕事の関係で、タンザニアのカカオ豆の生産者に出会ったことがきっかけだったわけですが、現在、タンザニアのこんな会社からカカオ豆を買い付けているそうです。
「特に私たちが今、輸入させていただいている『ココアカミリ』は、すごく頑張っている会社です。タンザニアのカカオ豆は小規模な農家さんが作っている豆です。チョコレート用のカカオ豆を作るためには、発酵させて乾燥させる設備が必要なんですけど、それを小規模な農家さんが、高い価値のあるチョコレート用のカカオ豆を作って販売するってなかなか難しいんですね。
ココアカミリさんは、2000軒ぐらいある小さなカカオ農家さんから、生のカカオ豆を買ってきて、相場よりも高い値段で買い取って、それを大きな発酵装置の中で発酵させて乾燥させて、選別して輸出する一連のことをやるような会社なんですね。
その会社は、アメリカ人のシムランとブライアンっていうスタンフォード大学を卒業したふたりが立ち上げたベンチャーの会社で、現地でずっとスタッフさんたちと一緒に熱い思いを持ってやっていますね。
カカオ農家さんが自分たちで、いい苗木を入手して育てていくのは難しいので、優良の苗木を農家さんに提供したりとか・・・。
あと児童労働も絶対に認めないっていう方針を定めていて、もし児童労働が一回でも確認されたら、カカオ豆は取引しませんよとか、買取しませんよっていうようなことを決めたりとかしています。すごくしっかりとした会社で、しかも品質の高い、そして社会的な意義も高い会社なので、そこから私たちはカカオ豆を買わせていただいています」
(編集部注:現在、藤野良品店で販売しているチョコは「里山クラフトチョコレート」というネーミングの、いわゆる板チョコで、ラズベリーのような風味のプレーンと、自家製のゆずをトッピングしたチョコ、そして新作の、ローストしたカシューナッツが香るホワイトチョコの3種。
パッケージは、藤野地区に住むご友人のアーティストがタンザニアと藤野をイメージした自然や生き物を描いた1枚の絵になっています。この素敵なパッケージにもぜひご注目ください。お買い求めは以下から、どうぞ!)
☆藤野良品店オンラインショップ :https://fujinoryohin.handcrafted.jp
自然栽培の貴重なパイナップル
※藤野良品店では、ドライフルーツも販売されています。これもタンザニアから輸入しているんですよね?
「はい、そうです。夫が最初に手がけていたタンザニアの会社、そこの応援をしたいっていうのが藤野良品店のひとつの大きなミッションでもあったので、今もそれは続けています」
●フルーツも有機栽培ですよね?
「そうですね。有機栽培の有機認証は結構規定の難しさだったり、コストがかかってしまうので、 その認証は取れていないんですけれども、無農薬で育てられたフルーツを使っています。
種類はマンゴーとバナナ、パイナップルがあるんです。マンゴーは木を丸ごと1本買って、仕入れ担当者がその木に登って、収穫することもあったりするそうです。パイナップルもすごく貴重なパイナップルで、農薬はもちろん使ってないですけど、肥料も使ってない、自然栽培のパイナップルです。多分世の中にこういうパイナップルのドライフルーツは出回ってないんじゃないかなと思うんですけれど・・・。
私たちも家族でタンザニアの現地に行って、パイナップルの農場にも行ったことあるんですね。ドライフルーツの工場から車で片道5時間以上かけて行って、その車を置いて、今度は歩いて1時間。で、土壁の家が数軒並ぶような小さい村を過ぎて、そして小さな川にジャブジャブ入って2本渡って、そんなところにある山の中に農場はあります。
現地の人たちは、手作業でパイナップルをひとつずつ収穫して、かごに詰めて、そのかごを頭に乗せて歩いて、また川を渡って村を過ぎて、車まで運んで、また片道5時間かけて工場まで持っていくっていうことを、日々やっているんだなと思うと、本当にありがたいなと思いながら食べています」
毎日ワクワク! 藤野地区での暮らし
※柳田さんは、旧藤野町(きゅうふじのまち)、現在の相模原市緑区にお住まいですが、実は2015年にご家族で移住されたんです。移住しようと思ったのは、どうしてなんですか?
「もともと川崎市に住んでいたんですね。長女の小学校をどこにしようかなって考えていた時に、点数とかの相対評価するのではなくて、個性を重視した絶対評価をする教育を実践する学校で、自己肯定感とか生きる力を育むことができる学校に通わせられたらいいなって思いまして、そんな学校が日本にないかなと思って、北海道から京都のあたりまでずっと探しておりました。
その時に出会ったのが『シュタイナー教育』という100年以上前からドイツなど欧州を中心に広がっていった、日本でいうとアクティヴ・ラーニングとか探求型学習を実践している『シュタイナー学園』という学校があることに気づきまして、この学校いいなと思ったんですね。
一方、夫は昔から自然豊かな土地で地元の木材や、太陽光エネルギーとか自然エネルギーを活用した住宅に住みたいなっていう思いとか、家庭菜園や薪ストーブのあるような田舎暮らしをしたいなっていうことを希望していました。私の娘の教育と夫の田舎暮らしの両立ができるところ、そして今、夫の職場が都内なんですけれど、そこに通える範囲の場所はどこかなっていったところで、この旧藤野町を選んで移住しました」
●実際、藤野地区に住んでみて、いかがですか?
「すごく楽しい毎日を過ごしていますね。移住する前に想像していた以上の、いろんな楽しいことが起きていて、科学反応も起きていて、毎日いろんな人から刺激をもらいワクワクしっぱなしの楽しい地域ですね。
夫はもちろん楽しんでいまして、薪ストーブを毎日、今は寒い時期なので炊いたりとか、薪を作るための薪割りだったりとか、家庭菜園ももちろん楽しんでいますね。
あと、地域の方たちとつながって『ジビエの会』・・・、ジビエっていうのはこの辺だとイノシシやシカとかがすごく多くて、そういった獣たちが畑を荒らす、そういう課題がある地域でもあるんですけど、その課題を解決しながら、みんなで連携して美味しくジビエをいただこう! みたいな、そういう会が立ち上がっているんですね。そこの会に所属して罠猟(わなりょう)の免許を取ったりとかして、いろんなこと楽しんでいますね」
※実際に藤野地区に住んでみて、どうですか。柳田さんご自身に何か変化はありましたか?
「地域の人たちとつながることができたので、交流がたくさん増えて人脈も広がって、楽しいこともたくさんできるようになって、生活に潤いというか豊かさみたいなものが増えたなっていうのがひとつあるのと、子育てもすごく楽になったなと思います。
地域がすごくつながっているので、子供を育てる時にちょっと誰かいないかなと思った時に、すぐに誰かが子供を預かってくれたりもしますし、天災とかそういった非常事態が起きても、助け合ってなんとかなるだろうなみたいに思ったりとか、そういった精神的な安心感がやっぱり増えたなって思っています」
(編集部注:以前、この番組にご出演いただいた藤野電力の鈴木俊太郎(すずき・しゅんたろう)さん。鈴木さんはミニ太陽光発電システムを作る防災ワークショップなどを行なっているかたなんですが、柳田さんのお宅にある太陽光パネルは鈴木さんに設置してもらったそうです。薪ストーブのメンテナンスもやってもらっているそうで、柳田さん曰く、鈴木さんはなんでもできるすごい人だそうですよ)
子供たちの、より良い未来のために
※柳田さんは「森のイノベーションラボFUJINO(通称:森ラボ)」のスタッフとしても活動、さらにお子さんが通っている「シュタイナー学園」の広報担当でもいらっしゃいます。藤野良品店のお仕事も含め、活動の原動力はなんですか?
「すべての原動力は我が子が生きていく未来が、少しでもいい環境であってほしいという願いから来ていると思います。今の、争いがやまない世界情勢だったり、地球温暖化と海や空気の汚染、それから格差社会とか課題が山積みで、未来は大丈夫かな? って、私もすごく心配しているんですけれども、そういった課題が少しでも改善できるように、何か私にできることはないかということを日々考えて行動しています。
シュタイナー学園で働いているのは、教育はいい未来とか世界を作っていくのにとっても大事、根幹だと思っていて、みんなが自分で考えて正しく行動できるようになれば、世界や地球環境が良くなっていくのではないかなと思っているんですね。 シュタイナー教育はそんな人を育てることができる教育のひとつかなと思っているので、それを広める仕事をしたいと思って広報の仕事をしています 」
●では最後に今後やってみたいこと、または夢をぜひ教えてください。
「子供たちのいい未来につながる活動であれば、なんでもやってみたいなと思っています。 たとえばチョコレート作りのワークショップや、オンラインで現地の人とつながれるような交流会をしたり、タンザニアに行く現地ツアーみたいなのを企画して、多くのかたに世界に目を向けてもらえる機会作りなどができたらいいなと思っています。
あとはやっぱり環境になるべく負荷をかけない物づくりをしていきたいという思いがあるので、ちょっとお金がかかるかもしれないんですけれど、100%自然エネルギーで作るチョコレートも実現できたらいいなと思っています。
藤野に炭作りをしている『炭焼き部』っていう部活があるんですけれども、そこで作られた炭を使って焙煎をしているんですね。その後の工程は電気を使うんですけれども、その電気を使う工程を太陽光発電ですべてまかなえたら、100%自然エネルギーで作るチョコレートが実現できるので、それをやってみたいなと思っています」
INFORMATION
藤野良品店の里山クラフトチョコレートを、ぜひご賞味ください。タンザニアの生産者から直接取り寄せた有機カカオ豆を、藤野地区の木炭を使って焙煎。原料はカカオ豆と有機砂糖だけ。タンザニア産カカオ豆の特徴であるフルーティーな味わいにびっくりすると思います。
地元のアーティストが描いた素敵なパッケージにもご注目ください。ほかにも果実100%のタンザニア無添加ドライフルーツも販売しています。バレンタインデー向けの魅力的なギフトセットもありますよ。
藤野良品店のオンラインショップからお買い求めいただけます。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎藤野良品店 :https://www.fujinoryohinten.com
◎藤野良品店オンラインショップ :https://fujinoryohin.handcrafted.jp
2024/2/11 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. CHOCOLATE / THE 1975
M2. CHOCOLATE / KYLIE MINOGUE
M3. CHOCOLATE MOMENT / TUCK & PATTI
M4. SWEET TO ME / LOGG
M5. チョコレート/ 家入レオ
M6. STAND BY ME / BEN E. KING
M7. LEAN ON ME / BILL WITHERS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/2/4 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自然ガイドの「くますけ」さんです。
富士山麓にある自然学校の草分け「ホールアース自然学校」でガイドとしてのスキルを磨いた「くますけ」さんは、現在はフリーの自然ガイドとして活躍されています。そして先頃『エナガの重さはワンコイン〜身近な鳥の魅力発見事典』という本を出されました。
きょうはそんな「くますけ」さんに子供たち向けのガイドツアーで心がけていることや、ビギナー向け! 野鳥観察のノウハウ、そして鳥の面白い生態についてうかがいます。
☆写真&絵:くますけ
運命を変えた本『自然語で話そう』
※本名「くまつしんすけ」さんは、筑波山を眺めながら育った、自然遊びが大好きな少年だったそうです。20代最後の挑戦で、環境コンサルタントから「ホールアース自然学校」に転職し、1年間は研修生として、樹海を歩いたり、洞窟を探検するなど、ガイドの基本を徹底的に学んだそうです。その後、柏崎・夢の森公園での勤務を経て、独立。自然ガイド歴は15年ほど。
●大学生の時に、語学の勉強を理由にカナダに留学したそうですね。留学中の体験で、特に印象に残っていることはありますか?
「それこそ、カナダにスノーボードをしに行ったのに雪が降らなかったんですよ、その年、記録的な暖冬の年で・・・。そこで初めて地球温暖化とか気候変動っていうのを目の当たりにしたっていうか、やっと自分ごとになったみたいな感じがあって・・・。帰ってきてからは、それまではIT系の仕事とかしていたんですけれども、やっぱり環境だと思い始めて、そこから環境コンサルタントの仕事をするようになりましたね」
●環境コンサルタントとして気候変動問題に携わったと、ホームページにも書いてありましたけど、具体的にはどんなことをされていたんですか?
「排出量取引っていうのがあって、発生する二酸化炭素だとか温室効果ガスにお金の価値をつけて取引することで、地球全体でその発生量を抑えていこうっていう仕組みなんですけど、それの(二酸化炭素を)どれほど排出しているかを、日々ずっとパソコンを見ながら計算して、Excelとの闘いみたいなことをずっとやっていました。一日10時間以上、パソコンに向かっていたんじゃないかなと思います」
●そうなんですね。その後、富士山麓の富士宮にある「ホールアース自然学校」に転職されたということなんですよね?
「環境コンサルタント(の仕事)もすごく楽しかったんですね。直接、温室効果ガスを減らしているっていう実感もあったし、面白味があったけど・・・。
でも、環境問題を解決するには3つの方策が必要だと言われていて、ひとつが『法整備』、もうひとつが『技術革新』、そしてもうひとつが『教育』なんですね。環境コンサルの時は法整備と技術革新については、かなりできている実感があって、貢献できているっていう実感もあったんですけど、どうしても教育のところは携われなくて・・・。
でも、この教育がないと法整備とか技術革新も進んでいかないっていう、もどかしさをずっと感じていた時に広瀬敏道(ひろせとしみち)さんの『自然語で話そう』っていう本をうっかり見つけちゃったんですよ」
●その広瀬敏道さんは、ホールアース自然学校の創設者のかたですよね。この番組を長くやっているスタッフも「広瀬さんから番組自体もすごく影響を受けたんだよ」っていう話を聞いたんですが、すごいかたなんですね?
「そうですね。あの時代にそういった自然学校を作り上げたっていうパワーもそうですし、彼自身が紡いでいく言葉もすごく魅力的で、僕もその本を読んで、その日の夜は眠れないぐらい興奮しちゃって、あ〜日本にこんなことをやっている人がいるんだ、と思った記憶があります」
(編集部注:広瀬敏通さんの本『自然語で話そう〜ホールアース自然学校の12カ月』は1999年に小学館から出版)
雨の森の忘れられないシーン
※くますけさんは、幼児向けのガイド・ツアーがお得意ということで、保育園や保育士さんと連携して、近くの森でガイドすることが多いそうですね。特に子供たち向けのガイドで大切にしていることはありますか?
「それぐらいの子供たちなので、物の名前を覚えるとか、そういうところではなくて、もっと五感で触ってみるとか嗅いでみるとか、ちょっと味関係はいろいろ難しいのでやらないですけど、とにかく自分自身の体で感じてもらうことを大切にしていますね。
今はゲームとかがあって、(子どもたちは)詳しいんですよ。虫の名前だとかは詳しいんだけれども、本物を見ていない子はたくさんいるので、実際に本物を見てもらって触ってもらうとか・・・。トンボにしたってバタバタ動く感じとかを感じてもらうことのほうが、名前を知ることよりも、特にこの年齢は大切だと思うので、体験してもらう触ってもらう・・・で、いかに自然に触らせるか、みたいなところに工夫をしていますね」
●みんな、目をキラキラさせているんじゃないですか?
「そうですね。やっぱり(生き物が)好きな子たちは(目を)キラキラさせて楽しむし、怖がる子もたくさんいるから、その怖がっている子をいかにして、触りなさい! とかじゃなくて、自然に触っちゃうみたいな場作りっていうんですか、そういったところに気を付けていますね」
●子供たちの反応で、特に印象に残っていることはありますか?
「印象に残っているのは・・・僕は雨の森が大好きなんですけど、体験会が雨の日に重なるってなかなかなくて、あったとしても台風とかで逆に中止になっちゃう。だから、雨の日にみんなで一緒に森に行くタイミングって、年に一回あるかないかなんですけど・・・。
その時はカッパをかぶって、みんなで森に行って、葉っぱから水が滴ってくるところがあって、その下にカッパを着た子が行くと、シャワーみたいにザバザバザバ〜パタパタって音が出る、そのシャワーを楽しんでいる子の姿が、これだよな〜! とか思って・・・。
なんとも説明はできないんですけど、水が滴っているのを楽しんでいるのが見てわかる。この経験を積むと、彼は大きくなった時に自然のことがきっと好きだろうし、自然がどういうものかはもう体感でわかっているだろうから、これを守らなきゃいけないっていう時に、きっと心の底から大切にしたいっていう気持ちがわいてくるだろうなと思って、あの時の雨の森の、あの子の顔は忘れられないシーンだなと思います」
●やっぱり小さい頃に経験しておくのは、すごく大事ですよね。
「そう思います」
エナガは500円玉!?
※この本『エナガの重さはワンコイン〜身近な鳥の魅力発見事典』を出すにあたって、コンセプトというか、どんなところにポイントをおいて書いたんですか?
「とにかく野鳥の初心者のかた、これから知りたいな、気になっているけど、名前がわかんないなっていう人は、たぶん多いと思うんですね。そういった人たちに、初めから図鑑は結構ハードルが高いかなと思ったので、図鑑の一歩手前になるような、その入り口になるようなものになればいいなと思って作りました」
●このイラストは、全部くますけさんが描かれているんですよね?
「そうなんですよ、はい」
●とってもお上手ですね。
「ありがとうございます」
●絵を描き始めたのは2021年と本に書かれていましたが、最近というか、まだ3年ぐらいなんですね?
「そうなんですよ」
●この絵のクオリティ、すごいです!
「コロナになって家から出られなくなって、あまりにも暇すぎて、絵を描き始めたっていうのが本当の始めのきっかけで・・・」
●どなたかに教えてもらったりとかしたんですか?
「やっぱりコロナ禍なんで・・・誰かに教わるってことはできなかったから、基本はYouTubeですね。イラストの人たちがいるから、その人の(動画を)見たりとか、オンラインで学べるやつがあるんですけど、あれを見たりとかして、絵の基本みたいなのを勉強しましたけど、基本はオンラインで、自分で描いていたっていう感じですね」
●絵を描くようになって、気づいたことはあります?
「いっぱいあります。このエナガもそうですけど、普段から見ているし、よく知っている鳥だと思っていたんですけど、よく見たら、まつ毛があるんですよ、この鳥! 黄色いまつ毛があって、それは絵を描くまで気づかなくって、書き始めて、目はどうなってんのかなと思って、手元にあった写真をアップにしたら、まつ毛がある! って(笑)。それは絵を描かなきゃ気づかなかったところですね」
●じっくり観察するってことですよね! この本のタイトルに「エナガの重さはワンコイン」とありますけれども、鳥の体重について触れている解説もあって、すごく面白いなと思ったんです。そこに何か狙いがあるんですか?
「野鳥は基本的に持つことできない、獲ることは禁止されています。でも生き物だから、必ず重さってあるはずなんですよね。その重さを感じることで、より身近に感じたり、より愛おしく思えたりとかすると思うので、なんとかして感じてもらいたいなと思って・・・。
意外と僕らもフィールドでガイドツアーの時には、例えば、7グラムの鳥がいたら、1円玉を7枚束ねておいて、あの鳥はこれぐらいの重さなんだよ! って言って、渡したりとかするんですけど、1円玉だとちょっと芸がないなと思って、いろんなものに例えたら何になるんだろうっていうのを調べてみたら、エナガは500円玉だし、スズメは単三乾電池だしっていうのがわかってきて、これをきっかけに自分で調べてみたら、そんな例え方ができたんです」
ホオジロ、独身のオスは必死!?
●では、本に掲載されている鳥の中からいくつかピックアップさせていただきたいと思います。まず気になったのが「さえずり方で独身とわかってしまうホオジロ」ということで、これはどういうことですか?
「ホオジロっていうスズメに似た、でもスズメよりちょっと大きめの鳥がいます。結構その辺の公園だとか庭にいたりするんですけれども、独身の子はやっぱり頑張んなきゃいけないんで・・・さえずりって、そもそもラヴソング、お嫁さん探しのために歌っているものなので、必死なんですよね。
で、その必死さのあまりどんどん顔が上向きになっていき、叫ぶような感じでやっているんですけど、お嫁さんをもらった既婚者は余裕なんですかね〜。
さえずりにはふたつ意味があって、お嫁さん探しと、自分の縄張りだよっていうのを周りに伝えるためにやっているんです。既婚者はお嫁さん探しじゃなくて、縄張りだよっていうのを伝えるだけでいいから、結構正面を向いて、ひょろろろろ〜って鳴いているだけみたいな・・・」
●真上は向いていないんですね?
「そこまで向いていないです。如実にわかります」
●アピールしているんだな、独身なんだなっていうのは、真上を向いているかどうかでわかるんですか?
「鳴き方でわかってしまいます」
●面白いですね~。レパートリーも豊富なんですよね?
「そうですね」
●あと、よく食べると黄色が鮮やかになる「キビタキ」ということで、これはどういう鳥なんでしょうか?
「夏に日本にやってくる鳥なんですけど、お腹のところが真っ黄色で、本当に健康な男子は、なんだろう・・・ちょっと高級な卵の黄身はすごく黄色じゃないですか、オレンジがかった黄色・・・。それぐらい黄色い子がいて、やっぱり健康でいいもの食べているとか、自分でいい縄張りを持っていて、そこにたくさん餌があるやつらは黄色が濃くなっていくんです。ちょっと弱くて、そんないい縄張りが確保できなくて、餌も乏しいのは黄色味がくすんでいくんですよね」
●良質な餌が豊富にあるんだろうなっていうのが・・・
「お腹の黄色み具合でわかるんです」
カモはお尻に注目!?
※これから春にかけて、街中や公園などで観察しやすいおすすめの鳥はいますか?
「おすすめは・・・さっき(幕張公園内を)歩いてみたんですけど、この時期であれば、カモ! 特に体も大きいので肉眼でも観察しやすいですね。
すぐそこの池にいたのが、マガモっていう鳥で、冬にしか日本にはいなくて・・・。5月頃に親子連れで並んで、横断歩道を渡っていたりするのは、カルガモと言ってまた別の種類です。マガモは、おすすめはお尻を見てもらうと、くるんとカールした羽根があって、2本、寝ぐせみたいについているんですけど、それをぜひチェックしてもらいたいですね。カモを見たら、ぜひお尻をチェックして、丸まった寝ぐせを見つけてみてください」
●肉眼でも見えますか?
「見えます。特に都会のカモたちは人間慣れしているので見やすいと思います」
●野鳥観察の初心者に向けて、なにか見つけるコツはありますか?
「やっぱり近所とか公園とか、そういったところから始めるのが楽ちんでいいと思いますね」
●双眼鏡は持っていたほうがいいですか?
「はい、双眼鏡があると断然楽しくなりますけど、買おうと思うと結構コストもかかってくるんですね。今はフェスとか行く人も多いから、フェス用と兼用で(笑)鳥用の双眼鏡を買ってもいいかもしれないですけどね」
●見つけた鳥が何の鳥かってわからないじゃないですか。そういうのはどうやって調べたらいいんですか?
「写真が撮れたらGoogleで画像検索とかやると、かなり精度よく教えてくれますね。例えば、ハトとかカモとか、動きの鈍いやつだったら、スマホのカメラで撮れると思うので、撮ってみると名前がわかるかなと思います。
すばしっこいやつら、小っちゃいやつらはなかなか難しいと思うので、特徴を覚えておいて、何色とか羽根の色は黒とかオレンジとか、そういった特徴を覚えておいて、それもGoogle検索ですね。”ちっちゃい鳥 、オレンジ”とかやると、案外画像が出てきて、あっ、これこれこれ! みたいなのが見つかると思います」
●改めてガイドをするときに、いちばん大事にされていることはなんでしょうか?
「僕の場合は研究者ではなくて、自然と親しむ人をどれだけ増やせるかってところに重きを置いています。名前を覚えるとか詳しく調べるっていうよりかは、もっと楽しんで観察していきたいなと思っているんですね。
あと、なんでこの鳥がここにいるんだろうとか、その生き物の暮らしぶりだとか、生き方みたいなところにフォーカスして、こんな素晴らしい生き物が、ご近所にいたんだね、みたいなところで、豊かな自然の中で暮らせて幸せだなみたいに思ってもらえるような人を、ひとりでも増やしていきたいなと思って活動しています」
INFORMATION
くますけさんの新しい本をぜひご覧ください。これまでの鳥の解説本にはない、くますけさんだからこその視点で書いた鳥の面白い生態が満載です。「へえ〜〜! そうなんだ!」の連続ですよ。描き始めてまだ3年ほどという鳥の絵も絶品!
山と渓谷社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎山と渓谷社:https://www.yamakei.co.jp/products/2823230170.html
くますけさんのSNSもぜひ見てくださいね。ガイドツアーは決まり次第、情報が載ると思いますよ。
◎インスタグラム https://www.instagram.com/kumasuke902/
◎X(Twitter) https://twitter.com/kumasuke902
◎note https://note.com/kumasuke902
くますけさんの本を、抽選で2名のかたにプレゼントいたします。
応募はメールでお願いします。
件名に「プレゼント希望」と書いて、番組までお送りください。
メールアドレスはflint@bayfm.co.jp
flintのスペルは「エフ・エル・アイ・エヌ・ティー」
flint@bayfm.co.jp です。
あなたの住所、氏名、職業、電話番号を忘れずに。
番組を聴いての感想なども書いてくださると嬉しいです。
応募の締め切りは2月9日(金)。
当選発表は発送をもって代えさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募は締め切られました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
2024/2/4 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU / THE CARPENTERS
M2. CAN’T STOP THIS THING WE STARTED / BRYAN ADAMS
M3. RAINDROPS KEEP FALLIN’ ON MY HEAD / B.J. THOMAS
M4. I FEEL FINE / THE BEATLES
M5. WE GO / ケツメイシ
M6. FREE BIRD / SMAP
M7. BLUEBIRD / 今井美樹
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」