2020/4/11 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、旅好きイラストレーター「まえだ・なをこ」さんです。
「まえだ」さんは電子書籍で出版した、旅をテーマにした作品が大ヒット! そして先頃、人気作品をまとめた紙の本を出し、話題になっています。本のタイトルは『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記』!
きょうは、冬はマイナス50度にもなるロシアの街の滞在エピソードや、マレー半島のおいしい南国旅のお話などうかがいます。
飛行機の羽が凍る!?
※まずはベルホヤンスクに行くきっかけはなんだったのか、お聞きしました。
「友人が、SNSで誰か同行者募集っていうのに食いついた感じなんです(笑)」
●あの、マイナス何度になるんですか?
「最低気温としては、67.8度を記録したっていうことなんですけど、私たちが行った時はマイナス50度より下でした」
●実際、到着されてどんな気持ちでした?
「ヤクーツクの乗り継ぎで飛行機の羽が凍っちゃって、それでなかなか飛び立たなくて、お湯をかけて羽を溶かしていて、それで本当に乗り継ぎ時間がギリギリになっちゃって焦って、それどころじゃなかったっていうか」
●飛行機の羽が凍ることってあるんですか!? どんな服装で日本から行かれたんですか?
「服装は、他の人は北極圏でも耐えられるみたいな服を持っていったりとか、買ったりとかしていたんですよね、私そんなお金ないし結構高いんですよね。だから自分で持っている一番暖かい服で行って、現地に行ったらもうブーツから帽子から全部借りました。
ベルホヤンスクで借りたんですけど、ヤクーツクとかは割と都会なので建物に入っている間は別にそんなに問題なくて、暖かい空気をまとったまま、他の店にパッと行ったりするので、そこまでは。まぁ日本から持ってきた服でちょっと寒かったような気はするけど、事足りたかなっていう感じですね」
●フリースに、ダウンっていうような感じですか?
「ダウンにフリース二枚重ねに、暖かい下着ありますよね? そういうのを二枚重ねに、防寒防水ブーツでガシッと。その靴もなんか特殊な靴で、下がフェルトなんですよね、ゴムとかじゃなくて。あまりにも気温が低すぎてビシャビシャにならないので、下がそういう布っぽいものでもビシャビシャにならないで歩けるみたいな感じの、バーレンキっていうのかな? そういう靴なんですよね」
1日4食! 高カロリー!
※北極圏にあるベルホヤンスクに滞在している間はいったいどんな食事が出たんでしょうか。
「主食は馬で、多分カロリーをすごく消費するから高カロリーのものばかりどんどん出てきて、1日4食という」
●4食?
「はい、アテンドしてくれた方がいたんですけど、スケジュール表に、朝食、昼食、夕食、夜食ってあって、え? と思ったんですけど、寒いとカロリーをすごく消費するからたくさん食べるっていうことみたいです」
●例えばどんなものを食べるんですか?
「馬肉の茹でたもの、馬肉のハンバーグ、馬肉の刺身、馬肉のレバーとか、あと凍った魚を削って、ルイベみたいなものって分かりますかね? それをそのまま何もつけないで食べるっていう感じで。で、私は醤油とワサビ持っていって、みんなに“おぉ〜! ”って言われました(笑)」
●へぇー!
「私が一番好きだったのはアイスです。外に放置していると出来るアイスで、ミルクとちょっとベリーを混ぜたもの。ベリーは、すごく短い夏があるんですけど、その間にバッて出てきたものを収穫して地下の天然の冷蔵庫に入れあるんですよ。それを混ぜたものを外に放置しているだけでアイスになるみたいな。それが私個人的に好きでした。かなり甘さ控えめなんですよね。
あと友達がすごく喜んでいたのは馬が主食っていうことだったんですけど、馬の生レバーの凍ったやつが大好きで、すごく喜んで食べていました」
●現地の方々はどんな生活をされているんですか?
「多分特殊なところなので半分くらいは研究員の方が住んでいる感じで。あとは狩りをしたりとか、河原に氷のブロックが積んであって、それを一輪車でガーッて運んで、各自ドラム缶の中に入れて水を作って、それをお風呂に使ったりとか、顔を洗ったりとか、そんな感じの生活をしています」
<サハ共和国って、どんな国?>
さて、きょうのゲスト「まえだなをこ」さんが滞在したベルホヤンスクは、ロシア連邦の極東に位置するサハ共和国の都市で、共和国の首都ヤクーツクから北北東に675キロほどのところにあります。“共和国”…と言っても、もちろん独立国家ではなく、あくまでロシアの地域のひとつです。
このサハ共和国、ほぼ全域が永久凍土地帯といいますから、それだけでも「寒い!」ってことは想像できます。冬は長く、厳しくて、1年のうち10月から4月までの7カ月は冬で、“最高気温”の平均がマイナス40度程度といいますから、その寒さ、もはや理解できません。
一方で、夏には気温が30度を超えることもあるということで、1年の寒暖差は最大で100度!
一体どんな人たちが暮らしているのかというと、最も多いのはチュルク系の民族のヤクート人で、その顔立ちはモンゴル人や日本人にそっくりなんだとか。
厳しい土地だけに、手つかずの豊かな自然が残り、それが観光資源となっていますが、実は天然資源にも恵まれ、金やプラチナ、原油、天然ガスなどが採掘されていて、中でもダイヤモンドは世界最大の産地として知られます。世界に流通するダイヤモンドのうち少なくとも22%がサハ共和国産なんですって!
皆さんが持っているダイヤモンドも、もしかしたらサハ共和国で採掘されたものかもしれません。
大好き! ニョニャ料理?
※続いて、マレー半島の旅でどんな料理に出会ったのか、お聞きしました。
「本当に様々あって、例えばマレー半島っていっても、タイからマレーシアからシンガポールとかいっぱいあるんですけど、主にマレーシアのペナンって場所も好きで。そこは本当に中華とかインド、あとマレーの料理があって、中華とマレーのミックスされた“ニョニャ料理”っていうのもあって、私そのニョニャ料理がものすごく好きで」
●どういう料理なんですか?
「口で説明するのはなかなか難しいんですけれど、中華系の男の人と、マレーの現地の女の人が結婚して出来た料理っていわれていて、すごく繊細で見た目も美しい料理なんですよね。例えばハーブが半分くらい入ったご飯とか、パリッとした揚げ物の中に、大根おろしじゃないんですけど、甘しょっぱいような野菜を細かく切ったようなものが入っているものとか色々あって、それが見た目が本当に綺麗で、食べたことがないような感じなんですけど、日本人の口にはすごい合うと私は思います」
●そうなんですね〜! 「まえだ」さんはマレー半島縦断されたっていうことですよね? すごいな〜! 縦断されてどうでしたか?
「縦断して、国境越えとかもあるんですけれど、割と本当に簡単というか、すんなり何も問題はなくスルッと行けて。日本の感覚だと国境を越えるって結構、パスポート出して、税関あってとか色々あるんですけど、例えばマレーシアとシンガポールだと通勤でも使う人がいるくらいに スッと、本当に電車に乗り換えてチケット出すみたいな、それぐらいの感覚で行けるので、陸続きの国境越えって気楽だなって、すごく思いました」
旅慣れてもガイドブックは熟読
※最後に、旅のプロともいえる「まえだ」さんは、事前にしっかりスケジュールを立てて、出かけるのかお聞きしました。
「スケジュールを立てるっていうのも楽しみのひとつなので、結構綿密にぎっしり書くんですよね。もしこうだったらっていう分岐まで書くんですけど、実際行く時は全然守らないですね」
●あ、そうなんですか?
「自由になるのがすごく好きで、テーマもあるので、自分の立てたスケジュールからも自由でいたいっていうのがあって。そこはなんかよく分からないんですけど、スケジュール通りに動く必要もないっていうことがすごく快感なんですよね」
●不安はないですか?
「不安はあんまり、もしかしたら感じない人種なのかもしれないんですけど(笑)。だけどすごく臆病であったほうがいいなと思っていて、海外だからやっぱり危ないこともあるし、日本の常識が通じないこともあるので、すごく気をつけているほうだと思います」
●例えばどんなところに?
「旅慣れているのに、え? って言われるかもしれないんですけれど、ガイドブックを熟読します。例えば欄外に書いてあったりする、こういうところに気をつけろ!みたいなのは絶対読んだほうがいいし、危ない目にあうのは大体パターンがあるので、あんまり自分の勘をそこまで信じないほうがいいかなーって思いますね。
旅は、どこに行きたいかなーみたいな妄想から始まっていて、まず検索して、実際行かないにしても行ったと仮定して、どのくらいで宿がとれるのかなーとか、いくらくらいでとれるのかなーとか、そこから空港までどうやって行くのかなとかめっちゃ調べる。で、それから行くか行かないかは気分とタイミング次第っていう感じ、まぁそこから始まっているかなっていう風に思います。本当に旅は色々楽しくて、行く前も楽しいし、行ってからも楽しいし、帰ってからもすごく堪能できる感じなんですよね」
INFORMATION
「まえだなをこ」さん情報
新刊『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記』
「まえだなをこ」さんの新刊『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記』をぜひ読んでください。「まえだ」さんが電子書籍で出版した人気の4作品をまとめた本です。講談社から絶賛発売中です。
●講談社のサイト:
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000333552
「まえだ」さんのオフィシャル・サイトもぜひご覧ください。
●まえだなをこさんのHP:
https://www.nawoko.com/about