2024/5/26 UP!
◎田中 克(京都大学名誉教授)
『「森里海連環学」〜目に見えない「つながり」を紡ぎなおす。次世代の幸せのために』(2024.5.26)
◎本間希樹(ブラックホール研究の第一人者、「国立天文台 水沢VLBI観測所」の所長)
『ブラックホールとは!? 宇宙人はいる!? 暗黒物質はありがたい!? 〜宇宙は謎だらけ! だから面白い!』(2024.5.19)
◎後藤慎平(東京海洋大学の助教)
『自作の水中ロボットを持って南極へ。工学博士、奮闘す!』(2024.5.12)
◎『「モンベル フレンドフェアin九十九里」取材レポート!〜魅力的な九十九里エリアをもっと発信!』(2024.5.5)
2024/5/26 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、京都大学名誉教授の「田中 克(たなか・まさる)」さんです。
田中先生は1943年、滋賀県大津市生まれ。京都大学大学院と水産庁の水産研究所で、おもに日本海のヒラメやマダイ、有明海のスズキなど、稚魚の研究に40年以上、取り組んでこられたそうです。
そして、2003年4月に設立された「京都大学フィールド科学教育研究センター」の初代センター長に就任。ご自身の研究などから、森と海の関係性に着目し、「森里海連環学(もりさとうみ・れんかんがく)」を提唱。
現在も「森里海を結ぶフォーラム」や「“宝の海”の再生を考える市民連絡会」などで、精力的に活動されています。また「森は海の恋人」運動で知られる気仙沼の漁師さん「畠山重篤(はたけやま・しげあつ)」さんとは、活動をともにする同志的な関係でもいらっしゃいます。
きょうは、そんな田中先生に「森里海連環学」がどんな学問なのか、改めて解説していただくほか、有明海の再生を願う市民運動のシンボルにニホンウナギを掲げ、
「サステナブル・ウナギ ・ゴールズ」SUGsを提唱されているということで、そんなお話もうかがっていきます。
☆写真協力:田中 克
「森里海連環学」は『里』が肝心
※2003年から提唱されている「森里海連環学」とはどんな学問なのか、改めて教えていただけますか。
「ちょっと堅苦しい名前なんですが、基本的には森と海とは不可分につながっている。ところがその間の里は人の生活集団みたいなもんですから、その里の、都会も含めた人々の営みと、広くとっていただくと、その営みが海にも森にも少なからぬ影響を与えて、海と森の間の、命の最も大事な源である水の循環を壊してきていると。それが地球環境問題の根源のひとつで、それをもとのまっとうな形に直したいという思いの学問なんですね。
今までの学問というのは、客観的な事実を明らかにして論文にすれば、事が足りたと。でもここまで地球環境問題が深刻になってくると、研究者の役割もそこでストップするんじゃなくて、得られた科学的データを基にして、森とのつながり、自然の再生、それを壊してきた社会の仕組みの再生も含め、まっとうな方向まで戻す提案までできる学問になればということがひとつの思いですね。
それからもうひとつは、森は森、海は海、その間の里や、あるいは森と海をつなぐ川、それぞれ個別にこれまで研究も教育もされてきた。でもそれらは一体につながっていることがだんだん明らかになって、そういう個別細分化された学問じゃなくて、バラバラになった専門分野をもう一度つなげ直して、もうちょっと大きな視野で物を見て、物事が多様につながりながら地球が動いている、そういうメッセージを発したいという思いの学問になります」
●森と里と海は、川でつながっている。そのつながりを強く意識するようになったのは、何かきっかけがあったんですか?
「私は、もとは京都大学の農学部に在籍をしていたんですが、農学部はある面では総合学問領域で、森を研究する部門もあれば、海を研究する部門もあるし、里に関わる部門もあるし、川に関わる部門もある。でもそれぞれ10個ぐらいの学科で、森は森の林学科、海は海の水産学科・・・一切の交流がなかったんですね。
たとえば(農学部は)京都府にありましたから、京都府のいちばん代表的な森というのは、由良川という京都でいちばん大きな川の上流域に、森の研究や教育をする演習林、芦生研究林っていうのがあるんですね。そこから由良川が140キロぐらい流れて、若狭湾の河口近くに海の研究をする水産実験所がある。
同じ農学部であるのに何十年も一切、教育研究でつながりがなかったというのを、これはちょっとおかしいよっていうので、まずは森の教育研究施設と海の教育研究施設がもう一度、川を介してつながっているんだから、一緒にいろいろ進めましょうというのが思いのひとつにあります。
確かに森と海は川がつなぐんですが、最近の研究では見えない川があるんです。見えない川というのは地下水で、目に見えないつながりがある。ともすれば、見える川だけに注目しますけれども、地下水も含めて、本来は森と海を水がつなぐという意味では、森川海連環学でいいんですが、 そうではなくて、川の流域に住む私たちの暮らしのあり様、産業のあり様をもういっぺんちゃんと問い直すという意味で、間を『里』にしたんですね。そこが味噌になります」
「森は海の恋人」運動、畠山さんとは同志
※以前、この番組に「森は海の恋人」運動で知られる気仙沼の漁師さん「畠山重篤(はたけやま・しげあつ)」さんにも何度かご出演いただいています。畠山さんは牡蠣などの魚介類が育つには、川が運ぶ森の養分が欠かせないことに、いち早く気づき、気仙沼の海に注ぐ川の上流に、木を植える運動を長年続けていらっしゃいます。
田中先生は、畠山さんの活動に影響を受けた、そんなこともありますか?
「はい、結果的にはものすごく影響は受けているんです。畠山さんたちの、気仙沼の牡蠣やワカメの養殖漁師さんたちは、海が汚れてきて、それは自分たちが海を汚したわけではなくて、川の流域だとか森の荒廃だとか、そこに感覚的に気づかれたんです。それで漁師が山に登って木を植えようと。それが始まったのが1989年なんですね。それから2003年に京都大学に森里海連環学が生まれて、それまでは基本的には一切つながりがなかったんです。
私たち研究者が頭をひねって、これからこういう学問が大事だっていう思いを深めたら、既に現場の漁師さんたちは、そんなことは当たり前だと言って、行動に移されて10数年続けていた・・・。それでこれからは社会運動としての『森は海の恋人』運動と、それを支えながら協同する森から海までのつながりの学問、森里海連環学が、その後は一緒にお互いに助け合いながら動いてきた。ですから『森は海の恋人』のほうが先輩ですし、いろんな影響を受けております」
●では畠山さんとは、志を共にする同志のような関係なんですね。
「そうですね。(畠山さんとは)生まれも1943年で同い年ですし、それから私も、もともとは海の出身で、畠山さんたちは代表的な生き物として牡蠣を指標にして、牡蠣がまっとうに育つためには、森からの栄養分や微量元素が必要だということで、私は魚の研究でしたけれども、魚の子供たちが海辺の水際で育つのも全く一緒の原理だということで、思いはひとつですし、同い年だし、志が一緒ですから、むしろ私のほうが教えられながら一緒に歩んできているというのが現実ですね」
(編集部注:田中先生は、2011年3月11日の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた気仙沼の、牡蠣やホタテなどの養殖業を1日でも早く復活させるために、全国の研究者に呼びかけたそうです。そして2011年4月に予備調査を行ない、5月には全国から手弁当で研究者が集まったということです。
畠山さんからは、牡蠣やホタテなどの養殖に欠かせない、植物プランクトンが回復しているかを調べてほしい、そんな要望があり調べたところ、予想以上の回復が確認され、養殖業再開への希望の明かりが灯ったとのこと。この調査は現在も続けられているそうですよ。
実は田中先生は、気仙沼の舞根湾(もうねわん)に2014年に設立された「舞根 森里海研究所」の所長でもいらっしゃいます。この研究所は、漁師さんが漁網などの道具を保管する小屋「番屋」を復活させる、日本財団の「番屋」の復興プロジェクトの一環として作られ、現在も研究者や学生さんの活動の拠点として大きな役目を果たしているそうです)
ニホンウナギのブックレット
※田中先生の活動はさらに加速し、2021年10月には「森里海を結ぶフォーラム」を発足。これは森の養分が海の養殖業を支えている仕組みは気仙沼に限らず、全国の主要な河川とその流域でも同じなので、森の人、海の人が一堂に介して相談や情報交換ができる場を作ろうということで、年に一回、フォーラムを開催。また、広場という名目で、隔月でオンラインでも開催しているそうです。
そんな田中先生は現在、「森里海連環学」を象徴する生き物といえるニホンウナギをテーマにしたブックレットを制作されています。企画と編集は田中先生なんですか?
「そうですね。一応、呼び掛け人的な役割をさせていただきながら(進めています)。ウナギというのはご存知のように、南の遠い海で生まれて、半年かけて日本にやってきて、川の入り口や汽水域や、場合によっては川の上流で、要するに森の中で育って、今度は子孫を残すためにふるさとに帰っていく・・・。どんなふうにして日本にやってきて、どんなふうにして向こうに帰るかっていうのはいまだに謎で、とっても面白い生き物だと。地球のことを我々人間よりもずっと長い年月をかけて、よく知っていると。
そういう大先輩を絶滅危惧種にしてしまった人間が彼らに謝って、彼らの賢さをもう一度学びながら、まっとうな自然や社会に再生したいと。そんなことで、ウナギはきっと迷惑でしょうね。そんな位置付けにされるのは、ほっといてくれって言われそうですけども・・・(笑)。
私たちに続く未来の世代がもうちょっと自然を楽しみながら、自然と共存できる、共生できる暮らしをするためには、最も身近な絶滅危惧種のウナギの、彼らが発信しているメッセージを聞き取って、そしてウナギと私たちが共に確かな未来を開こうよと、そういうことをまとめた本なんです。
(執筆者が)28名にもなると、いろんなかたがおられて、なかなか思うようには原稿が集まらないという・・・(笑)、でもほぼ集まりましたので、今年の土用の丑の日までにはウナギの声としての、いちばん端的には、野生の生き物ウナギにも、こんなに厳しい環境に追い込まれた彼らにも、裁判所に訴えて裁判ができるという、『自然の権利』と言って、今世界中でもそういうことが認知されているんです。
日本ではまだまだ認知度が低くて・・・ですからウナギ読本、ウナギ・ブックレットは、ウナギにもちゃんと自然をまっとうにしたいということを願う、訴訟する権利があるんですよって、そんな本なんです」
●その本は一般のかたでも入手可能なんですか?
「むしろ一般のみなさんにぜひ! 特に小学校高学年から中高生ぐらいの、これからの時代を担う人に、自然と共生するということの意味だとか、そういうことを世界に発信できる、そういう日本にしていきたいというので、むしろ若い世代の人に読んでもらいたいという本ですね」
「サステナブル ・ウナギ・ゴールズ」=SUGs
※去年の夏に長崎県諫早市で、「“宝の海”の再生を考える市民連絡会」という市民団体が発足したという記事がありました。この運動のシンボルが、ニホンウナギになっていますが、この市民連絡会の代表も田中先生なんですか?
「そうですね。これまで有明海、”宝の海”というのは本当に豊かな海だったんですね。貝も魚もエビもいろんなものがたくさん獲れて、獲っても獲っても獲り尽くせないぐらい豊かな海だったのが、いろんな問題が重なって、そういうものはだんだん獲れなくなってきた。
獲れなくなっただけじゃなくて、日本では有明海だけにしかいない魚介類が、これは中国大陸の沿岸に起源を持つ、氷河期の遺産的なすごく面白い生き物がたくさんいる。要するに生物多様性の宝庫なんですね。その生物多様性の宝庫で、漁業者にとっても暮らしが成り立つし、地域の経済も回る。そういう海が残念なことにこの半世紀の間にどんどんおかしくなって、今では”瀕死の海”と言われるぐらいになってしまった。
これまでは、そういうことに関心を持った地元のみなさんが、本当に頑張って再生を願っておられたんですが、裁判に訴えてもなかなか認められない。ですから、もう地元のみなさんだけの話ではなくて、この国が多かれ少なかれ関わった、そういう水際を大事にしてこなかったツケとして、今まで関わった人たちだけじゃなくて、もっと広くみなさんにというので、今進めつつあるということですね」
●目指しているのがSDGsならぬSUGs「サステナブル・ウナギ・ゴールズ」と記事に書いてありました。これにはどんな思いが込められているんですか?
「ひとつは有明海全体の、いちばん上に筑後川が流れて、その河口が柳川市なんですね。柳川市は堀割が巡らされて、そこにはいっぱい昔はウナギがいたと。今もウナギのせいろ蒸しで、すごく有名な場所なんですね。
有明海の、筑後川から流れた砂や水が最後に半時計回りに流れてたどり着くのが諫早湾で、諫早湾の湾奥には本明川という川があって、牡蠣とウナギがたくさん獲れて、そこもウナギがすごく大事な場所なんです。
でも堤防を作ったりすると、なかなかウナギが来なくなったというので、有明海の森とのつながりの、命の循環を考える上でウナギがいちばんわかりやすいし、しかも人間が絶滅危惧種にしてしまった彼らと共に生きることが、人間にとってもすごく大事ですよっていうので、SDGsのDはディベロップメントですよね。
これはやっぱり人間中心の人間のためのディベロップメント・・・そうじゃなくて、自然とともに共生するためには、野生の生き物の知恵を借りて物事を考えていくのが大事だというので、これまたウナギに無断でSUGsにしてしまったということです(笑)」
(編集部注:「“宝の海”の再生を考える市民連絡会」には共同代表として、元テレビキャスターの野中ともよさんや、ファッション・モデルのNOMA(ノーマ)さんも名を連ねているそうですよ)
シーカヤックで海遍路
※田中先生は70歳を前にシーカヤックを始め、高知大学の名誉教授「山岡耕作(やまおか・こうさく)」さんたちが2011年にスタートした、四国お遍路の海版「海遍路」に2年目から参加。東北、九州、三浦半島、山陰など、日本の漁村をめぐる旅を、いまもこんな感じで続けているそうですよ。
「年に1週間から10日間ぐらいですけれども、数人のグループ、カヤック2艘ぐらいで、すべての生活機材を積んで、たどり着いた漁村で泊まって自炊をしながら粗食に耐えていると、漁師さんがもの言わず“これ食べろ”って魚をくれる。そうすると自然な対話ができるんですね。もういっぺん、海からものを考えようという旅になっています」
●シーカヤックの魅力ってどんなところにあると思いますか?
「漁師の人から見れば、すぐにひっくり返ってしまうように見えるんですけど、意外に安定性もある。まずは自分の力で漕がないと目的地に行けない。でも頑張れば目的地にも行ける、そんなところですね。
要するに現代社会が失ってしまった、何かみんなレールの上に乗せられて、自分が行きたいとこじゃないところに連れていかれるようなこととは違う。その代わり危険なことも体感しながら、逆に新しい出会いがある、そんないろんな魅力がいっぱい! とても面白いですね。
もともと日本人がどこから来たかというのも、大陸説もあるし海洋説もあるし、かつての我々の大先輩もあんなボートの原型みたいなので、暮らしを切り開いてきたのかもしれない。
そんなことも思うというのと、もうひとつは、一般の船よりはお尻が水の中に入るぐらいの位置ですから、目線が言ってみればアメンボ目線みたいに・・・ですから本当に海の生き物たちと同じ目線でものが見られるというのも特徴かもしれませんね」
「つながり」をもう一度大事に
※「森里海連環学」を提唱されて20年以上が過ぎました。いまどんな思いがありますか?
「私自身は提唱して4年で現役を退職して、森里海のやっぱり”里”が鍵だと、我々自身の振る舞いですね。ですから、それを畠山さんたちと一緒に現場で取り組んできた。そういうのと、現役の京大フィールド研の研究者のみなさんは研究教育の分野、それが今、両方がかさ上げしながら少しレベルアップして、幸いなことに畠山さんのお力がすごく大きいと思いますが、テレビや新聞とかいろんなニュースにも森と海のつながりが、比較的当たり前のように出始めたというので、それは非常に喜ばしいんです。でも、それで私たちの行動がどう変わるかというのが次のステップで、それをもうちょっと頑張ってやれればという思いでいます」
●では最後に、リスナーのみなさんに特に伝えておきたいことなどがありましたら、お聞かせください。
「いろんなことが本当はつながっている。ところが目先の暮らしの利便性だとか直近の経済の成長とか、どうもそちら側に舵が切られすぎて、この世に自分たちが生まれてきてよかった! っていうような思いが、なかなか実感できない世の中です。
それは目に見えない、さっきの川じゃないですけれど、地下水が大事な役を果たしているように、縁の下の力持ち的な、目に見えないつながりをもう一度丹念に紡ぎなおす。そして同時に次の世代が幸せになるにはどうしたらいいかっていうのをいちばんに、物事を考えられるようになり行動できれば、地球ももうちょっとよくなるし、日本社会もよくなるんではないか・・・。ですから、いろんなことがつながっていることをもう一度大事にしましょうよ! というのが、いちばんの思いですね」
INFORMATION
ぜひ田中先生の活動にご注目ください。先生が代表を務める「森里海を結ぶフォーラム」や「“宝の海”の再生を考える市民連絡会」、そして畠山さんの「森は海の恋人」運動のサイトを定期的にチェックしていただければと思います。
◎森里海を結ぶフォーラム :
https://morisatoumi-forum.studio.site
◎“宝の海”の再生を考える市民連絡会 :http://www.einap.org/jec/subcategory/projects/49
◎森は海の恋人 :https://mori-umi.org
今年の「土用の丑の日」に出す予定で進めていらっしゃるニホンウナギのブックレット、発売日や入手方法については、分かり次第、この番組または番組ホームページでもお知らせします。
2024/5/26 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. OCEAN OF LIGHT / IN MOOD
M2. RIDE THE RIVER / J.J. CALE & ERIC CLAPTON
M3. OCEAN (FEAT. KHALID) / MARTIN GARRIX
M4. BOOK OF DREAMS / SUZANNE VEGA
M5. DROP IN THE OCEAN / MICHELLE BRANCH
M6. THE RIVER OF DREAMS / BILLY JOEL
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/5/19 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ブラックホール研究の第一人者、「国立天文台 水沢VLBI観測所」の所長「本間希樹(ほんま・まれき)」さんです。
本間さんは1971年、アメリカ・テキサス州生まれ、神奈川県育ち。東京大学大学院から国立天文台の研究員などを経て、2015年より、現職。そして国際的なプロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」の日本チームの代表としても活躍されています。
そして、そのEHTプロジェクトの大きな成果として2019年4月に世界で初めて、ブラックホールの画像を公開し、大変話題になりました。その時も取材が殺到する中、お電話でこの番組にご出演いただき、お話をうかがっています。
きょうは、そんな本間さんが出された新しい本『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑〜宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』をもとにブラックホールや天の川の謎、そして果たして宇宙人はいるのかなど、宇宙や天文の、不思議や疑問をわかりやすく解説していただきます。
☆写真協力:講談社
宇宙でいちばん変な天体!?
※本間さんに、宇宙や天体の不思議や謎をうかがう前に本間さんが所長を務める「国立天文台 水沢VLBI観測所」について、少し説明しておきましょう。
岩手県奥州市にある、この観測所は120年以上前に設立され、その後、国立天文台の一施設となったそうです。観測所の名前にある「VLBI」とは、電波望遠鏡を使って、特殊な観測をする方法や技術を表わす専門用語。宇宙から来る電波を、岩手のほか、鹿児島や小笠原の父島、沖縄の石垣島などにもある観測所の電波望遠鏡がとらえ、総合的に分析するそうです。
本間さんいわく、複数の観測所を組み合わせることで「視力」があがり、遠くの小さな天体が見えるようになるそうです。このVLBIはもちろん、ブラックホールの研究にも使われています。
それではまず、本間さんのご専門ブラックホールとは、いったいどんな天体なのか、改めて教えていただけますか。
「ブラックホールは本当に謎めいた天体です。宇宙でいちばん変な天体だと言って間違いないんじゃないかと思うんですけど、とにかく重力が強いんですね。重力が強いからこそ、なんでもかんでも吸い込んでしまって、二度と吐き出すことがない。光が入っても出てこないし、物が入っても二度と出てこない。何も出てこないってことは真っ暗になるっていうことですよね。ブラックホールは英語で”黒い穴”という意味ですけど、まさに真っ黒な球体のような、なかなか難しい天体で、本当に宇宙でいちばん変な天体です」
●どんなものでも飲み込んでしまうんですね?
「どんなものでも吸い込んでしまいますね。で、入ったものは絶対出てこない。ほんとに不思議な天体ですね」
●画像として公開されたブラックホールはどこにあって、どれくらいの大きさだったんですか?
「いちばん最初に撮ったブラックホールは天体でいうとM87っていう、銀河の真ん中にあったブラックホールなんですね。M87をいちばんわかりやすくいうと、ウルトラマンの故郷だって言えば、たぶんいちばん馴染みがあるんじゃないかと思うんですけど、太陽みたいな星が1兆個ぐらい集まったような、とんでもなく大きな天体なんですね。その真ん中に巨大なブラックホールがひとつあって、それを世界中が協力したVLBIで 、むちゃくちゃ視力を上げてみたらブラックホールが見えた! それが2019年の発表ですね」
●どういう感じだったんですか?
「ドーナツみたいな写真を見ていただいたと思うんですけど、穴が開いている状態ですよね。真ん中は真っ暗になっているんですけど、その真ん中の黒い部分、ドーナツの穴の部分がブラックホールの影なんです。だから、なんでもかんでも吸い込んでしまう。天体だからそれ自身の写真を撮ることは、実は不可能なんですね。でも周りに光とか電波が漂っているのを背景にして、影として映し出したのがこのドーナツの写真なんです」
(編集部注:2019年4月に、世界で初めて公開したブラックホールの画像は本間さんが日本チームの代表を務める国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」が成し遂げた、天文学の歴史に残る大きな成果なんです。
このプロジェクトには世界20カ国以上から、同じ夢を持った300人を超える研究者が集い、世界中の複数の電波望遠鏡を結合させて、地球を巨大な電波望遠鏡にするという、まさに地球規模の活動を行なっています)
ブラックホールを画像から動画へ
※現在、この「イベント・ホライズン・テレスコープ」では、どんなことに挑んでいるのでしょうか?
「ブラックホールは今まで写真が2枚撮られているんですね。M87と、もうひとつは私たちの天の川の、巨大ブラックホール『射手座Aスター』って呼ばれている天体なんですけど、そのふたつが静止画として撮られている状況なんです。
実は3つ目はないんです。地球と同じ大きさの電波望遠鏡を合成して、今見えそうなブラックホールはその2個しかないので、3つ目をやるっていう方向ではなくて、次は動きを見たいと、そういうことを考えていますね。
というのは、ブラックホールはなんでもかんでも吸い込む。だからガスがぐるぐる回りながら落ちていく。光もぐるぐる巻きつきながら吸い込まれていく。一方で完全に吸い込みきれなかったものが、一部『ジェット』っていうもので外に飛んでいくんですね。水鉄砲の水がシューって飛ぶような、あんなイメージを持っていただくといいんですけど・・・。
ということで、動きが非常に激しいはずなんですよ。なので、動きを見たいので、そうすると1枚の写真ではダメで、そのデータを積み重ねて何年もやって、あと解析も工夫すると、今度はガスの動きとかそういうものが見えてくるんじゃないかなっていうふうに期待しています」
●静止画だけでもすごく大変なことだったと思うんですけど、それで今度は動きとなると、またもっともっと大変なことになるんですよね・・・?
「大変ですよね。動画といってもみなさんが期待しているような、本当に綺麗な動画になるのは何年かかるかわからない。最初はコマ撮りで1コマ2コマ3コマって、ちょっと動いたかなっていうのが見えるかぐらいのところが当面目指していることですね」
●うわ~、でも動きで見られたらすごいですね!
「はい、それでちょうど、今年の1月に発表した成果として、2コマ目の写真が撮れたっていう・・・M87を2017年に観測した画像と、2018年に観測した画像、ようやく2枚目があって比べることができて・・・そうするとやっぱり1年でほんの少しだけ明るい場所が動いているんですね。これを見るとやっぱり動画にしたほうがいいよなっていうのが明らかになったので、あとは着実に頑張って続けていきたいなって、そんなふうに思っています」
●いや〜、なんか夢が広がりますね!
「子供の頃、教科書の端っこにパラパラ漫画とか描いたと思うんですけど、ようやく2個目が書き終わった、そんな状態ですね」
重力のない宇宙は、誰もいない宇宙!?
※ここからは、本間さんの新しい本『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑〜宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』をもとにお話をうかがっていきます。
138億年前に誕生したとされる宇宙は謎だらけで、そんな宇宙の不思議を、一般のかたにわかりやすく解説してあるのが、本間さんの本です。まずはこんな話題から。
本に「宇宙でいちばん大事な力は重力」と書いてありました。これはどういうことなんですか?
「重力がないと天体が存在しないんですね。天体はすべて重力で引っ張られて一箇所に固まっていますから、重力がない宇宙はまず銀河ができません。それから銀河の中で星ができません。だから太陽もできない。地球も重力で一箇所にまとまって球体になっているので、重力がなければ地球もできないということで、重力のない宇宙は誰もいない宇宙ですね。本当に何も存在できない世界なので、それはやっぱり困りますよね」
●とっても大事な力なんですね!
「だから重力が・・・普段はどっちかっていうと、たとえば階段を上がって疲れるとか、ああいうのは全部重力のせいで疲れちゃうわけですけど、重力に逆らって上がるので・・・。だから普段は厄介な存在だなって、みなさんは思うかもしれないですけど、重力がないと僕らは存在しないですね」
●そうなんですね。天の川は本当に流れているというふうに、これも本に書かれてありましたけれども、どういうことなんですか?
「天の川、ご覧になったことはあります? 」
●いや〜ないですね〜。
「千葉だとこの辺は明るいから、なかなか見えないかもしれないですね。もっと暗いところに行って、月がない夜に夜空を見上げて、空のある部分が白くなっているんですけど、それは薄っぺらい、回転している銀河の中から見ているものなんです。
どう言えばいいかな・・・どら焼きと言ったら、ちょっと極端なんですけど(笑)、ああいう平べったいものを想像していただいて、それを横から見ているようなイメージですね。天の川も含めて銀河は回転していますので、ある特定の方向に星が動いているんですね。
もちろん僕たちの目では、それを見ることはできないんですけど、電波望遠鏡とか、先ほどのVLBIを使うと、たとえばきょうの星の位置と明日の星の位置は違って見えるので、みんなが天の川の向きに沿って、ある方向に動いていくんですね。
だから、そういう意味でいうと、流れているんですけれど、望遠鏡で見ないとわからないですね。でも昔の人は天の川を、本当に”川”という文字を当ててるぐらいですから、やっぱり流れを想像しながら見ていたと思うんです。人間の想像力ってけっこう当たっているので、すごいなと思いますよね」
●この本には「ダークマター」という言葉もありました。日本語にすると「暗黒物質」ということで、映画『スターウォーズ』の世界だなって感じたんですけど・・・。
「そうですね。暗黒って出てくると、ちょっと悪いやつに見えちゃうんですけど(笑)、英語でいうと『ダークマター』ですけど、これも天文学あるいは宇宙にまつわる最大の謎のひとつですね。
どういうことかっていうと、これは『見えない質量』。さきほど天の川の話をしましたけど、天の川はまず見上げると星が光って、白く光ったのは星で、その星の重さを全部足し上げたのと、天の川全体の重さを測ったのを比べると、星だけじゃ全然足りないんですね。どこかに見えない奴らがたくさんいるはずだっていうことで、その見えないもののほうが実は見えている星の重さよりずっと重いんです。
その見えない質量のことを暗黒物質、あるいはダークマターで、もう100年近くあるということはわかっているんですけど、みんなそれがなんだろう? って知りたいと思っているんですが、これはまだ決着がついていないんですね」
●もう謎だらけですね〜。
「謎だらけですね! さきほど悪役みたいにおっしゃったんですけど、実はダークマターはすごくありがたい存在で、もし宇宙にダークマターが存在しなかったとすると、その宇宙にはやっぱり重力が足りないので 、星も銀河もできないですね。だから、なんだかよくわからない。しかも名前からするとちょっと悪役に見える暗黒物質、ダークマターですけど、これは宇宙に天体が誕生して、最終的には人類が誕生した最大の立役者のひとつ、そんなふうに言っていいんじゃないかと思いますね」
宇宙人はいる? いない?
※ズバリ、お聞きします。宇宙人はいると思いますか?
「はい、これもみなさん気になりますよね!」
●気になります!
「これは僕の個人的な見解ですけど、必ずいるでしょうね」
●必ずいる! その理由は?
「宇宙人が存在するっていうことは、もうこの地球で証明されているんです。僕らは宇宙人なんですよ。宇宙人の一種ですね」
●私たちも宇宙人・・・!?
「宇宙人の一種なので・・・だから宇宙では、ある条件が満たされれば・・・地球の場合ですけど、地球のように適度な温度があって、適度な環境があれば生命が誕生し、それが進化して少なくとも地球人レベルの文明を持ったわけですね。これはもう間違いない事実としてあるので、あとはそれが本当に地球だけなんですか? ほかでも起きるんですか? っていう確率の話になるわけですね。
宇宙にはどれぐらい星があるかって考えると、天の川の話、私たちが住んでいる銀河でも、少なくとも太陽みたいな星が2000億個あると・・・。その周りに惑星もいっぱい見つかっているので、地球にしか生命がいないって考えるのはやっぱり変かなと・・・。しかも天の川の外に出ると今度はその天の川みたいな銀河が無数に、あと数千億とか、見える範囲だけでありますので、そこまで数えたら必ずどっかにいると・・・。
問題は彼らに会えるかどうかですよね。それは別ですね。UFOに乗ってここに来ているかって言われれば、まあ来てないだろなと・・・(笑)」
●なるほど! 宇宙開発がどんどん進んで地球以外の星に住めるようになったら、本間さんはどの星で暮らしたいですか?
「それもはっきりしていて、やっぱり地球ですね!」
●そうなんですね! どうしてですか?
「もちろん宇宙人が住んでいる星とか、生命がいる星はあると思うんですけど、たぶん地球人にとってはあまり住み心地がよくないんじゃないかと・・・。たとえば暑すぎたり寒すぎたり、あるいは全然違うシステムの生命がいたりして、やっぱり地球は僕らにとって素晴らしい環境であるのは、宇宙をくまなく見渡して探したとしてもこれほど住みやすい、僕らにとって住みやすいふるさとはないと思います」
●そうですね。地球がいちばん!
「(ほかの星でも)ちょっとどういうところか行ってみたり、様子をうかがってみたいなとは思いますけど、やっぱり自分の星がいちばん、それはもう間違いないと思いますね」
宇宙人、大発見!?
※本間さんがいま取り組んでいる研究はなんですか? やはりブラックホールでしょうか?
「そうですね。ブラックホールはもちろん! 一方で質問をいただいた宇宙人、これも科学としてやっぱり真面目にやりたいということで、宇宙人が何らかの理由で電波を出して、たとえば放送でラジオかテレビをやっていれば、電波が出てきますし、あるいはもっと積極的に地球人に気がついて、電波を送ってくれているかもしれないですよね、コンタクトを取ろうとして・・・。
そういうものをキャッチすることが、宇宙人を見つけるいちばんの近道だというのが今、天文学者の間で言われています。そうすると電波望遠鏡でいろんな星を順番に探していく、そういうことをやる。僕ら観測所でも試験的にですけど、そういう観測を始めていますので、こればっかりはいつ見つかるかは全くわからないんです。宝くじを買うような部分もあるんですが、ぜひ宇宙人がいるかっていうことを研究としてさらに発展させたいなと・・・」
●ぜひ解き明かしていただきたいです!
「見つかったら見つかったで、もちろん大発見だし、見つかんなかったら見つかんなかったで、地球っていうのはやっぱり本当に貴重なんだっていうことがわかるので、たぶんどっちに転んでも地球人にとっては非常に意味のあることだと思いますね」
●なるほど・・・。本間さんが好きな星空で、この季節とかあるんですか?
「僕は天の川に関わる研究をずっとしてきたので、やっぱり天の川という天体、星空の一部ですけど、それが好きですね。天の川って非常に大きいので、何座とかそういう星座では言えないんですけど、暗いところに行って、たとえば私は仕事で沖縄の石垣島に行きますけど、そこで見る天の川が本当に素晴らしいです。何度見ても心が洗われるというか、素晴らしいですね。
みなさんもちょっと暗いところ、街明かりから離れた場所に行くチャンスがあったら、ぜひ天の川を見てほしいですね。夏のほうが見やすいので、これから夏にかけて非常にいいシーズンになりますから」
●天文学を志す学生さんですとか、宇宙に携わる仕事がしたいと思っているかたに、ぜひアドバイスをお願いいたします。
「宇宙に関わる仕事をするときに、宇宙に対する思い、情熱だったり、あるいは愛情って言ったらちょっと変かもしれないですけど、やっぱり宇宙が好きで、その謎を解き明かしたり、あるいは宇宙に関わる何かを自分で開発したいってその思いですよね。
最後はそれが決めるので、若い人に宇宙を目指したいんだったら、宇宙に対する熱い思いをまず磨いてほしい。いろんなことに興味を持ったり、やっぱりそれが大事だと思います。ぜひ宇宙に対する思い、憧れ、そういうものを毎日、少しずつ育ててほしいなって、そんなふうに思います」
INFORMATION
『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑〜宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』
この本では宇宙と生命、太陽系、星と銀河などに関する不思議や謎がわかりやすく解説。好奇心をくすぐられる見出しとともに、写真やイラストを豊富に掲載。見開き2ページで完結するので、とても読みやすいし、興味のあるところから読めますよ。漢字にはふりがながふってあるので、お子さんにもおすすめです。
講談社から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎講談社 :https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000379061
本間さんが所長を務める「国立天文台 水沢VLBI観測所」のサイトも見てください。
◎国立天文台 水沢VLBI観測所 :https://www.miz.nao.ac.jp
2024/5/19 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. FANTASY / EARTH, WIND&FIRE
M2. GALAXIES / OWL CITY
M3. STARS / SIMPLY RED
M4. DARKSIDE / ALAN WALKER
M5. 瑠璃色の地球 / 松田聖子
M6. SPACE COWBOY / JAMIROQUAI
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/5/12 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京海洋大学の助教「後藤慎平(ごとう・しんぺい)」さんです。
後藤さんは、ひょんなことから、南極調査用の水中ロボットを作ることになってしまい、そんなつもりはまったくなかったのに、南極地域観測隊の隊員として、憧れの「しらせ」に乗って、南極へ行ってしまった工学博士。
1983年、大阪生まれ。筑波大学大学院から民間企業、そして海洋研究開発機構JAMSTECを経て、現職の東京海洋大学・助教として活躍。専門は深海探査機の開発と運用。
2017年から2018年には南極地域観測隊、いわゆる夏隊の隊員として、水中探査機ROVを湖に投入し、湖底に生息する、ある生物の撮影に成功するという世界初のミッションを成し遂げています。そして先頃、『深海ロボット、南極へ行く〜極地探査に挑んだ工学者の700日』という本を出されています。
きょうはそんな後藤さんに、ROVの開発秘話や、南極の湖底に広がる景色のほか、およそ3ヶ月にわたる南極滞在・小屋暮らしのお話などうかがいます。
☆写真協力:後藤慎平、太郎次郎社エディタス
南極調査用ROVとは!?
※まずは、初歩的な質問になりますが、南極の調査用に作ったROVと呼ばれる水中探査機は、どのくらいの大きさで、どんな作りになっていて、何ができるのでしょうか?
「ROVと言われて、ピンとくる人はそんなにいないかなと思うんですね。一般的には、最近よくある言葉で水中ドローンと呼ばれているものがあるんですけれども、私はずっとROVと言い続けています。水中ドローンはやはり空中用のドローンの水中版だから、水中ドローンっていう造語ができているだけで、やっぱりROVっていう、昔からある言葉を今も使っているというところがこだわりとしてあるんです。
これがどういうロボットかと言いますと、言ってみれば、水中カメラの一部なんです。そこにスクリューが付いていたりとか、観測機器が付いていたりとかすることで、水中の映像をリアルタイムで見ることができるロボットになります。ケーブルがつながっていますので、手元でその映像がリアルタイムで見られて、しかも手元で操縦した通りにロボットが動いてくれるというものになります。
で、いろんなROVが世の中にはあります。海溝に潜れるものもありますし、今回の極地に潜れるものもあって、いろんな種類があるんですけれども、今回作ったものは非常に小型のものです。大きさとしてはだいたい40センチか50センチぐらいで、重さが10キロ以下という制約があったので、すごく小型軽量のものを作って持って行ったということになります」
●設計から製作まで、すべて後藤さんが担当されたんですか?
「そうですね。基本的に設計とか電気回路もそうなんですけれども、外の筐体(きょうたい)と呼ばれる、いわゆるケース、そういったところの強度計算だったりとかもすべて自分でやっています。ただやはり金属加工を自分ですることができないので、それは業者さんにお願いをして作ってもらって、自分で組み立ててっていう作業になります」
●開発でいちばん大変だったことは、どんなことですか?
「やっぱり重さを軽くするところですかね。10キロ以下に抑えないことには・・・作っている時は自分が持って歩くとは思ってなかったので、研究者の人にこんな重たいものを持たせて歩かせていいのかっていう思いがあって・・・なので、とにかく軽くしよう軽くしようということをやっていたんですね。結果として自分がそれを現地で担いで背負って歩くことになったので、やはり軽くするっていうところがいちばん神経を使いましたね」
(編集部注:ROVはREMOTELY OPERATED VEHICLE/リモートリー・オペレーテッド・ヴィークルの略で、日本語にすると「遠隔操縦式探査機」。
南極の調査用に作ったROVの操縦方法についてお聞きしたら、いろいろなコントローラーがあるけれど、壊れたからといって、部品を買いに行けるような場所ではない南極という特殊な環境を考えて、タブレットにソフトウエアを組み込んでコントロールする方法を選んだそうです。もし不具合が起きても誰かのパソコンを借りれば、代用が効くというわけです。
また、ROVを運用する際に、方位や水深などを知る航法デバイスが必要になるそうですが、それを本体に組み込むと製作費がかさむし、重くもなるので、今回はカシオの協力を得て、時計のG-SHOCKを画面に写すという原始的な方法をとったそうです)
開発費用は小型自動車1台分!?
※水中にいるROVはケーブルで地上、つまり後藤さんとつながっている、ということですよね。ケーブルの長さはどれくらいなんですか?
「ケーブルは、今回は100メートルでした」
●ROV本体の強度も大切だと思うんですけど、ケーブルの強度も大事ですよね。
「そうですね。最悪、探査機が水中で、どこかに引っかかってしまった場合は、ケーブルを引っ張って回収するっていうことがあるんです。なので、ケーブルが弱いと、そこでプチッと切れて探査機が帰ってこなくなるので、なるべく強度も強くしなきゃいけない・・・。
ただ問題なのが強くするとなると、それだけ素材も太くしなきゃいけないので重くなってしまう・・・それを誰が背負うのかっていうのもあって、今回ケーブル・メーカーさんと協力して、軽量で強くて電送損失とかも少ないケーブルというのを新たに開発しました」
●どれくらいの時間、水中で動けるんですか?
「今回のROVは陸上から電力を送っているので、言ってしまえば、パイロットの体力が持つまでです (笑)」
●そうなんですね。 ROVを1台完成させるのに、どれくらいの日数と費用がかかるんですか?
「今回のROVに限って言うと、約半年で作らなきゃいけなかった(笑)。できれば1年くらい欲しいんですけれども、そんなことを言っている暇がない。10月には船に積み込まなきゃいけないっていうことで半年しかなかったし、費用も本当に軽自動車1台分もないぐらいの費用で作らなければいけない。となると外注すると、それだけ人件費とか外注費用がかかってしまうので、外注できない・・・じゃあ自分で作らなきゃいけないと・・・」
●すごいですね! でもその期間はやっぱり心躍るというか・・・?
「そうですね・・・躍るかどうかって言われると・・・(笑)」
●迫られている感じですか?
「そうですね。やっぱり自分の目の前に技術課題が山ほどあって、これをどう解決するか、しかも限られた、10月っていうリミットまでに解決しなきゃいけないのに、持っている武器は少ないってなった時に、どうしたらいいのかなという・・・正直行き当たりばったりなところはあったんですね。
一方で協力してくださるメーカーさんも出てきだして、これはいけるなって思った時には、やっぱりこの探査機が南極に行って、これまで見たことのない水中の映像を明らかにしてくれるかもしれないって思った時には、すごくワクワクしました」
南極の湖には生物がいる!?
※後藤さんは2017年から2018年にかけて、南極地域観測隊としておよそ3ヶ月にわたって南極に滞在され、南極大陸にある湖に水中探査機ROVを投入して調査をされました。そもそもなんですが、南極大陸にはどれくらいの数の湖があるのでしょう?
「これ、ものすごく数があって、正確にはわかっていないんですけれども、今回行ったスカルブスネスっていう地域だけで言うと、30以上の湖があると言われています」
●その中からいくつの湖を調査されたんですか?
「この時は3つですね」
●なんという名前の湖ですか?
「『長池』と『仏池』と『くわい池』という3つの湖で、これらに生物がいるという研究者さんの情報があったので、その生物の観測に行ったということになります」
●いろいろな湖がある中で、3つの湖を選んだのは生物がいるっていう理由なんですね。
「そうです」
●それぞれの大きさってどれくらいなんですか?
「大きさ・・・難しいですね、湖の大きさですよね? いちばん大きいのはやはり仏池っていう湖ですごく大きくて、対岸まで何百メートルもあるようなところでした。それが数百メートルの山の上にあるので、そこに行くのもけっこう大変だったりとかもします。
一方で今回のメイン・ターゲットであった長池は縦に長いんですよ。対岸まではそんなに距離はなく、“おーい”って言ったら届くぐらいの距離なんですけども、縦に関しては全然声が届かないぐらいの距離だったりするので、いろんな形をしてますね」
●どんな生物がいるんですか?
「苔の集合体で『コケボウズ』と言われるものなんです。苔とかシアノバクテリアが長年かけてタケノコ状に成長したものです」
●初めてモニターでコケボウズを見た時はどう感じましたか?
「やっぱり感動しましたね! これがコケボウズかと。最初映った時に・・・今まで写真では見ていたんですけれども、実際に自分の手で動かしている探査機を通して見えた時は、やはりこれまでの苦労もあって、より一層感動はしました」
●色はどうなんですか?
「色は今回の本に(写真が)載っているんですけれども、緑色に見えるんですよ。ただ(深度を)上げてくると茶色っぽかったりとかして、やはり光の加減があっていろんな色に見えている状態です」
●コケボウズ自体の大きさは、どれくらいなんですか?
「これがいろんな大きさがあって、浅いところでは、浅いところって言っても水深7〜8メートルのところなんですけれども、80センチとか大きいのもいるんです。深いところいくと本当に数センチ、あるいは親指くらいの大きさ・・・ただ親指くらいのは三角形のタケノコ状ではなくて、どちらかと言うとなびくような感じの、草が生えているように見えるマット状のものが多かったです」
●3つの湖を調査されて、コケボウズの違いはそれぞれあるっていうことですね。
「ありましたね。長池のコケボウズがいちばん美しかったです」
●美しいというのは?
「三角形の形もそうですし、密集度もけっこう綺麗・・・綺麗っていう言い方がいいかもわからないんですけれども、見ていてもなんかすごく幻想的な雰囲気を受けました。
一方、くわい池と仏池に関しては形状が三角ではなくて、くわい池に関しては、ぽこっと丸いマウンド状みたいな形になっている物が多かったですね。仏池に関しては、上の部分がおそらく氷が張って潰されているので円錐状になっている、ペットボトルみたいな形になってしまっているものもあって、やはりいちばん綺麗なのは長池だったなという印象です」
ホタテとウニだらけ!?
※海にも水中探査機ROVを潜らせたそうですね。どんな景色が広がっていましたか?
「海の中が、これが面白くて、この時には一面にホタテとウニがいました!」
●え~! そうなんですね~(笑)。
「はい! 見渡す限りウニとホタテしかいない!」
●すごい景色ですね〜。
「そうですね。数えるとか、そんなこと絶対できないぐらいの、たぶんみなさんが想像を絶する景色でしたね。自然というか生物層がすごく豊かな海だなというふうには感じました」
●ご自身で開発された水中探査機ROVが、実際に期待通りの活躍をしてくれたってことですよね。人間が潜れないような厳しい環境下での調査には、ROVはすごく有効なものですよね?
「そうですね。想像してみていただければわかるんですけども、流氷が来ている北海道の海に潜るのってけっこうきついじゃないですか。そういう時にやはりロボットが行ってくれるっていうのは、すごくありがたい話で、寒い思いをしなくていい、苦しい思いをしなくていい・・・なんて言うんでしょう、3K、4Kと呼ばれるような危険、きつい、怖い、汚い、いろんなKがありますけれども、そういった場所に人間が行くんではなくてロボットが行くっていうのは、すごくそのロボットの理にかなっているかなと思います」
(編集部注:実は後藤さんは子供の頃から、南極観測船「しらせ」に憧れていて、本の口絵に、オレンジ色の船体が特徴の、本物の「しらせ」をバックに、小学4年生の後藤さんが自分で作った「しらせ」の模型を持って立っている写真が掲載されているんです。
後藤さんは、国立極地研究所の研究員から南極の調査用にROVを作ってくれないかという話があるまで、まさか憧れの「しらせ」に乗って、南極に行くとは、1ミリも思っていなかったそうですよ。ひょんなことから、あれよあれよという間に、南極に行く羽目になったいきさつも、後藤さんの本に詳しく書かれています。ぜひ読んでください)
南極滞在は小屋暮らし!?
※南極は、雪や氷の世界というイメージがありますが、その通りでしたか?
「南極観測船『しらせ』が昭和基地に近づいてくると、定着氷と呼ばれる一面氷で覆われた海を進んでいくんですけれども、実際私が行っていたスカルブスネスっていう地域は雪がほとんどないです」
●南極なのに!?
「そうです(笑)。岩肌剥き出し、ガレ場ザレ場と呼ばれるような、石がゴロゴロと転がっているような場所で生活をするというようなことをやっていました」
●南極っぽくないようなイメージですけれども、実際はそうだったんですね。
「そうですね。実はそういう場所は『露岩域(ろがんいき)』って呼ばれていて、南極の中でも約3パーセントしかないと言われているような場所になります」
●本を読んでいて驚いたんですけれど、後藤さんたちの調査チームは昭和基地ではなくて、最初からベースキャンプというか小屋に滞在されていたんですよね?
「そうですね。ちらちらお話に出ていますけども、スカルプスネスっていう場所が生物の観測拠点になっているので、そこで生活をするんですね。昭和基地からはだいたい50キロから60キロぐらい離れている場所にあって、小さな小屋と言ってもコンテナのようなものが置かれているだけです」
●どんな小屋なんですか?
「中は快適で、快適って言っていいのか、住み慣れると快適なんですけれども、たぶん初めて行く人はびっくりするとは思うんですね。二段ベッドがふたつあるだけで、真ん中にちょっと作業する机があるような部屋ですね」
●そこに何人が滞在するんですか?
「多い時は十何人・・・」
●えっ! 二段ベッドが・・・!?
「なので(ベッドの)取り合いですね(笑)」
●ちょっと計算が合わないですよね(笑)。その小屋ではどんな生活を送られていたんですか?
「あくまでも小屋は生活をする場所なので、その中で寝泊まりをするんです。料理したりとかっていうこともできますので、そこで料理をしてみんなで食事をすると・・・。あとは取ってきたデータの解析だったりとかそういうこともします。
あとブリザードが来た時・・・小屋の中、ベッドの競争に負けて、負けてっていうわけではないんですけども、あえて外で寝るかたもいらっしゃいます。せっかく南極に来たんだから、外にテントを張って寝たいぜっていう人もいて、そういうかたがたはテントで寝るんですけれども、やはりブリザードが来ている時に外で寝るのは危ないので、そういう時には中に入ってきて、一緒に寝たりとか食事をしたりっていうようなことをやっています」
●厳しい環境下での食事は大切だと思うんですけど、食料はどうされていたんですか?
「これが大変で、最初行きの『しらせ』の中で糧食配布と呼ばれる、ちょっとしたイベントがあります。その時に野外に出る人間が何人なのか、その人たちが何日間野外にいるのかっていうのを計算して、さらにそこに仮に助けに行けなかった場合には、どれくらいの非常食がいるのかっていうような足し算までして、食料が配られるということがあります。
それを持って出るんですけれども、一度に持って出ると冷蔵庫も何もないところなので腐ってしまうということもあって、3回ぐらいに分けて、観測期間が1ヶ月半ぐらいありますので、その前期、中期、後期ぐらいに分けて運び出すというようなことをしていました」
●どんな食料が配られるんですか?
「これがけっこう日本で食べているものと変わらない食料が多いです」
●それは精神的にもいいですよね?
「そうですね。その辺、やはり長年の南極観測の中で配慮が重ねられていて、普段口にしているものが食べられないと、おっしゃる通りストレスになってしまうということもあるので、ありとあらゆるものが配られます。調味料に関してもこの味の調味料が欲しいなっていうのがたまにあるじゃないですか。そういうのもないようになっていましたね。いろんな種類が配られますし、飲料とかに関してもいろんな飲料が配られるというような状況ですね」
(編集部注:後藤さんたちの調査チームは小屋暮らしなので、当然お風呂はなく、トイレも簡易的なものだったそうですよ。
そんな隊員たちの活動を支えているのは、実はヘリコプター。食料などの物資の運搬や、隊員の移動に大活躍する様子が本に書かれていますよ。)
小さなことは気にしない!?
●実は後藤さん、2度目の南極での調査を終えて、この3月に帰国したばかりなんですよね?
「はいそうですね。3月の21日に帰ってきたばっかりです」
●お帰りなさいませ! もう2回も行かれているんですね! やっぱり一度経験していると2回目となったら、余裕って感じですか?
「いや〜全然そんなことないですね(笑)。前回行って6年経っているので、前回の手順が通用しなくもなっていますし、忘れていることもありました。
前回は湖の調査チームだったんですけれども、今回はペンギンの調査チームだったので、調査ターゲットも違う、調査を一緒にする隊員も違うってなると、やはりけっこう準備とかにもいろいろ苦労がありましたね」
●ペンギンの調査で行かれたんですね。何か新しい発見はありましたか?
「そうですね・・・そういう意味では、物資が帰ってきて、いま解析をしているところなので、その成果に関してはこれから乞うご期待! というところですかね」
●楽しみにしています!
「はい」
●2度目の南極で、今後の課題というか目標みたいなものはできましたか?
「今回南極に行くにあたっていろいろと、前回行ったことを踏まえて、どんなことを解決しなきゃいけないのかっていうようなことも考えてはいたんですけれども、2回目行ってみて、やはりターゲットが違う、ペンギンという新しいターゲットになったことで、そのペンギンをこれから観測をどう続けていくのかっていうようなところで、新しい気付きと言いますか、課題っていうのはあったかなと思います」
●南極での経験は、後藤さんにどんなことをもたらしてくれました?
「そうですね。いちばんは、いろんな人に言っているんですけれども、小さなことを気にしなくなる(笑)」
●小さなことを気にしない!?(笑)
「なんて言うんでしょう・・・それって生きていく上で必要? みたいなことを、今まで気にすることもあったんですけれども、南極ってそういう意味では明日死んでいるかもしれない場所なので、むしろそれよりも先に生きることを考えようよっていうふうには思うようになりました」
●南極観測は国家事業ですから、南極地域観測隊の隊員として南極に行けるのは本当に限られたかただけですよね。それでもやっぱり隊員として南極に行ってみたいって思っているかたに向けて、何かアドバイスなどありましたら、ぜひお願いします。
「意外と南極観測隊に参加している人が、どういう人かっていうのが知られてないかなと思います。研究者じゃないと行けないとか、国立極地研究所の人じゃないと行けないとかっていうように思われているかたが、多いのかなと思うんですけれども、実際、観測に来られているかたはメーカーの人だったりとか、私みたいな大学の教員だったりとかっていうこともあるので、いろんなところにアンテナを張って、どうすれば行けるのかなというようなことを探ってみていただきたいなと思います。
実際、本学(東京海洋大学)を卒業した学生で、南極に行きたいからということで、南極観測に関わっている会社に就職したという話も聞きます。なので、いろんなところに南極に行くチャンスはあるよ! と思いますね」
(編集部注:2度目の調査のターゲットはペンギンだったというお話でしたが、ペンギン用ROVは、泳いでいるペンギンを追いかけるのではなく、ペンギンが海の中でどんな活動をしているのか、何を食べているのかなどを観察するための観測機器にしていたそうです)
INFORMATION
『深海ロボット、南極へ行く〜極地探査に挑んだ工学者の700日』
後藤さんの新しい本には南極調査用ROVの開発秘話、憧れの「しらせ」や南極の小屋暮らし、そして湖でのROVの活躍など、慌しくも活気に満ちた日々が、生き生きとした文章で綴られていて、後藤さんの奮闘ぶりが手にとるようにわかると思います。コケボウズや、ホタテやウニだらけの写真も掲載されていますよ。おすすめです。
太郎次郎社エディタスから絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎太郎次郎社エディタスHP:http://www.tarojiro.co.jp/product/6423/
◎東京海洋大学・後藤慎平さんの研究者情報
https://tumsatdb.kaiyodai.ac.jp/html/100000613_ja.html
2024/5/12 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. DREAM ON DREAMER / THE BRAND NEW HEAVIES
M2. I’M SO EXCITED / THE POINTER SISTERS
M3. BEAUTIFUL STRANGER / MADONNA
M4. MR. ROBOTO / STYX
M5. LIFE / DES’REE
M6. TAKE A CHANCE ON ME / ABBA
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/5/5 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、千葉県・九十九里で初めて開催された「モンベルフレンドフェア」の取材レポートです。
当番組のコラムでお馴染み、モンベルの「辰野勇(たつの・いさむ)」会長や、フィールドナビゲーター「仲川希良(なかがわ・きら)」さんのインタビューのほか、九十九里浜でのノルディック・ウォーキング体験や、お箸づくりのワークショップの模様などお送りします。
今回の「モンベルフレンドフェアin九十九里」は山武市、芝山町、そして横芝光町の3つの自治体の協力のもと、4月20日と21日に蓮沼海浜公園・南浜スポーツ広場をメイン会場に開催されました。
ステージでは、南米の民族楽器サンポーニャ&ケーナ奏者の「瀬木貴将(せぎ・たかまさ)」さんのライヴや、俳優「宍戸 開(ししど・かい)」さん、山城ガール「むつみ」さん、そして「仲川希良」さんや「辰野勇」会長のトークショーがあったり、アウトドアのプログラムとして、クライミングタワーに登る体験や、スポーツ用自転車の試乗会、そして2本のポールを持って砂浜を歩くノルディック・ウォーキング体験のほか、モンベル製品がお買い得のアウトレットセール、さらに地元の特産品やご当地グルメを販売するブースがおよそ40店舗も出店するなど、盛りだくさん!
地元のかたを始め、ご家族連れなど、多くの参加者がイベントを楽しんでいらっしゃいました。私たち番組取材チームは、2日目のフレンドフェアに参加。当初、お天気がちょっと心配だったんですけど、お昼頃からは日も差してきて、絶好の取材日和でした。
包括連携協定〜7つのミッション
※トークショー&横笛のライヴを終えた辰野勇会長にお話をうかがうことができました。まずはその模様をお送りします。
●モンベルは、全国の自治体などと包括連携協定を結んでいます。実は、今回の「フレンドフェア」の初日に会場で九十九里エリアの3つの自治体、山武市、芝山町、そして横芝光町と包括連携協定の締結が発表されました。それを踏まえて、改めてなんですが、これはどんな協定なのか教えていただけますか?
「実は今回が150か所目の包括連携協定で、奇しくもきのう、千葉県の副知事、黒野嘉之さんおっしゃっていたんですけど、千葉県が150周年の節目というこの年に今回150か所目の包括連携協定という、象徴するような協定式があったんです。
おもに我々が常に発信しているアウトドアを通じた7つのミッション・・・アウトドア活動を通じて、いろんなことにお役に立てるんじゃないかということで、まずひとつ目は、アウトドア活動を通じた環境保全意識の向上。それからふたつ目は子供たちの生き抜く力、知恵とか勇気をアウトドアを通じて身につける。3つ目は健康寿命の増進。最後のその日を迎えるまで人生の質、クオリティ・オブ・ライフを全うできる。そのためにもアウトドアっていうのはすごく役立つ。
それから4つ目が、最近特に地震とか、いろんな災害が各地で起こっていますけど、いわゆる災害時における対応力。アウトドア活動をやることによって有事の時にすぐ役に立つというようなこととか。5つ目が特に自然環境の素晴らしいところ・・・過疎にいま日本国中、いろんな自治体さんもけっこう問題意識を持たれているけれど・・・このような自然豊かなところの自然を活用したエコツーリズムを通じて、地域経済の活性にお役に立つ。
そして6つ目が農林水産業に従事されるかたがたに、我々のアウトドアのテクノロジーを活用した物作りでの支援。例えば農業女子、女性もおしゃれで安全に快適に農業ライフを楽しんでもらうとか。最後の7番目が、高齢者を含めたバリアフリーの実現。障害を持たれたかたにも等しくアウトドアを楽しんでもらおうと・・・。
この7つのミッションを基軸にいま申し上げた150か所の産官学、県の単位で12か所、それから市町村の単位でも100以上、あと大学、企業、病院、こういったところとの包括連携協定を結んできましたけど、今回はまさに九十九里の3つの自治体、山武市、横芝光町、そして芝山町、この3か所と協定を結びました」
(編集部注:今後3つの自治体とは、特にエコツーリズムの観点から成田空港を利用するインバウンドの観光客のかたがたに飛行機の乗り換え時間を利用し、九十九里エリアまで足を伸ばしてもらって、地元のグルメや自転車などのアクティビティを楽しんでもらえるように働きかける。また、モンベルクラブの会員およそ118万人に、九十九里エリアの情報をどう発信していくかなど、そんな課題も見えてきてともおっしゃっていました)
※数年前から空前のキャンプ・ブームといわれています。また、山登りなどのアウトドア・アクティヴィティを気軽に楽しむ、いわゆるアウトドア派という方々も増えているように思います。アウトドアグッズ・メーカーの代表として、どんな思いがありますか?
「はい、今キャンプ・ブームとおっしゃいましたけど、それはコロナの時期に密を避けて家族でキャンプという、そういう時代背景と共に、一過性のブームという言い方がいいかもわかりませんけど、コロナが収束したら、そういった目的でやるかたもだいぶ(キャンプ)人口も減っていることも事実です。
実は1週間前、鳥取大山に環境省の運営するキャンプ場を、モンベルがリニューアルして運営が始まっているんです。我々が提唱するキャンプは、あくまでアウトドア・アクティビティのための手段。キャンプそのものが目的というよりも、例えば山登りをする中で、一晩どうしても過ごさなければならない時にするのが、我々のテント泊であって、コロナの時期に、いま空前のっておっしゃったけど、そういうかたがたは、より快適なキャンプを望んでいらっしゃると思うんですね。そういう意味では我々がいわゆる一丁目一番地でやってきたアウトドアとは少し意味合いが違うかもわからんですけど・・・。
要はただキャンプだけじゃなくて、カヌーであったり登山であったり自転車であったり、こういうアクティビティをやる、そういうかたがたを対象に、我々これからも物作りを進めていこうと、こういうふうに考えています」
九十九里浜でノルディック・ウォーキング!
※続いて、ノルディック・ウォーキング体験の模様をお送りします。
ノルディック・ウォーキングとは、ポールを2本持って歩く運動で、もともとは雪原をスキーで滑るクロスカントリー・スキーの選手が雪のない夏にトレーニングのために行なっていたそうです。
そんなノルディック・ウォーキングの初体験。早速、受付をすませ、ポールを2本借りて、ほかの参加者のかたがたと、砂浜に近い松林の道に移動。地元でサーフショップ 「トレジャーサーフ」を経営されている今回のイントラクター「水野恵一(みずの・けいいち)」さんの指導のもと、まずは準備運動、そして、ポールを持って歩き方を練習しました。
「コツがありまして、(ポールのグリップから)手を離していただいて普通に歩いていった時に、ぶらぶらっとさせて、ちょっと突っ掛かるところから後ろに押してもらえれば、それで普通に歩けるようになっていくかたが多いので、ちょっと離れて練習してみましょうか。
(ポールを)軽く握ってやっていただいてもいいですし・・・そうですね! それで十分! 上手です、上手です、さすがですね! それで上半身も使って歩ければ、もっと全身運動になってきますから・・・。
モンベルさんのは山でも使えるポールなので、ノルディック用のやつはちょっとだけ、手首のところが違ったりするんですけど、これでも十分練習できますから・・・。はい、いいですね。手と足が一緒になっちゃっていると最高です! いいですね、みんな最初はなっちゃうんです。
力を入れずに普通に歩く感じで、ツンツンと止まったところから後ろに、背中側が使えれば、もうそれで、うん、いいです・・・あの坂を越えたら海ですから!」
●おお〜海だ〜! この砂浜を歩くわけですね! 頑張ります!
※九十九里浜でのウォーキングを終えて。
●ありがとうございました!
「こちらこそ、ありがとうございました!」
●すごく楽しかったです!
「こちらこそ感謝です」
●気持ちよかったです~。砂浜を歩くノルディック・ウォーキングって珍しいんじゃないんですか?
「サーフィンのトレーニングも兼ねた一環で、最初お客さんにご紹介して興味あるかたにお伝えさせていただいたり、少しレッスンをさせていただいたりということで、基本的にはサーフィン・スクールの中で、レッスンをやっているのが通常になるんです」
●九十九里浜の景色を楽しみながらのウォーキングってすごく贅沢ですし、なにより気持ちいいですね~!
「本当に体験していただいて、ありがたかったです」
●本当に楽しかったです! 水野さんは生まれも育ちも横芝光町で、サーフショップ「トレジャーサーフ」を営んでいて、サーフィンのインストラクターでもいらっしゃいますよね。横芝光町、そして九十九里浜はどんなところが魅力的ですか?
「何もないと言ったら、ちょっと言葉が合わないかもしれないんですけれど・・・。サーフィンも、うちの場合はゆっくりスタートしていただけるようなかた向けも考えていたり、何もないところに来て、少しのんびりしていただくような、そういう良さがある町かなと・・・。
もっといろんないいところが実はあって、生まれてほとんどずっとこの町に住んでいますので、素晴らしいところだと思って住んでいるんですが、やはりのんびりできるのがすごく自分にとってはありがたいとこですし、うちに来ていただいているお客様も少しリフレッシュをかねて、のんびり海でサーフィンして帰っていただけるような時間をなるべく提供できたらと思って行なっております」
●長年、九十九里の浜や海を見てこられて、どんな思いがありますか?
「そうですね・・・サーフィンを始めて35年なるんです。35年やっているにはそんな上手ではないんですが、地元のかたたちが、自分たちもちょっとお手伝いをしながら、20年以上海岸清掃を継続していただいていたり、サーファーとしてイメージの向上に頑張っていただいている若いかたたちが、いまたくさん自分の町にはいらっしゃるので、いい意味で海自体をもう少し綺麗に、逆に活用するようなことがあれば、ぜひ地元のサーファーと一丸となって協力したいなと思っています」
(編集部注:水野さんも協力されている九十九里浜の清掃活動については「屋形海岸(やかたかいがん)」「ビーチクリーン」で検索してみてください。また、水野さんのサーフショップ 「トレジャーサーフ」のサーフィン・スクールの情報はオフィシャルサイトをご覧ください)
◎トレジャーサーフ :https://www.tsurf.net
山武杉を使って箸作り
※今回のフレンドフェアでは、地元の特産品やご当地グルメを販売するブースが40店舗ほど出店していたんですが、その中から、山武市の特産「山武杉(さんぶすぎ)」を材料にお箸を作るワークショップがあったので、体験させていただきました。ご指導いただいたのは「さんむチーム木工」の「小川 清(おがわ・きよし)」さんです。
●こちらは山武杉の箸作り体験ということですよね。早速教えていただきたいんですけど・・・お願いします。
「はい、かんな台に箸の材料、これを乗せていただいて、かんなで削っていき、最後まで削っていくと箸の原型が作れます。ここまでがこの作業になります。小さいお子さんですと、きのうは3歳の女の子も、普段は80歳のおばあちゃんも、みんなできますので・・・」
●え、すごーい! かんなを滑らせていけばいいんですか?
「そうですね。右手、左手、で、太ももをこの台に押し付けて、引っ張るように、平行に引っ張るように、そうですね・・・ちょっと斜に構えて、手前に最後まで引くようにやっていただくと綺麗なかんなくずが出るはずです」
●あ、(かんなは)ちゃんとずっしり重みがあるんですね。
「この台に太ももを押し付けて、右足をちょっと下げて・・・で、今度かんなの上の部分をこうつかんでいただいて、右後ろに引き抜く」
●引き抜く!? おお〜!
「いい音ですね」
●綺麗に剥けました! 気持ちいいですね!
「これを何回かストロークで早くやっていくといい音が出ます」
●おお〜! (このやり方で)合っています?
「合っています」
●すごーい! (かんなくずが)くるくるくるっと! これをどんどん削っていくとお箸の形になっていくんですね。
「20回くらい削ると片面ができます」
●すごく綺麗にくるくるくるっと! これ楽しいですね!
「そうですね。きょう来ている家族のかたも、子供がきのうやって楽しくて、きょうはお父さんとお母さんもやっています(笑)」
●いいですね〜!
「削りの音が楽しいって、(参加者のかたは)言っていますね」
●楽しいです! なんか夢中になっちゃいますね。無心でやっちゃいます!
「だいたいみんな、これやっていると無言になっちゃいます」
●確かに気づいたら無言になっちゃってました(笑)。
「削れなくなったら箸の原型ができ上がりということになります」
●おお〜すごい!
「で、綺麗に先端が真四角になって、持ち手も真四角になる・・・」
●これ、自分で削ったってなると愛着もわきますし、いいですね。
「あとは向こうに行って、角を紙やすりで落としていただいて、仕上げにサラダ油を塗って、山武杉の特徴の赤い色に・・・」
●美しい綺麗な赤茶色になりました〜。
「これででき上がりと! でき上がったものを持っていただくとわかるんですけれども、とっても軽くて・・・」
●軽いですね! この軽いっていうのが山武杉の特徴なんですか?
「そうですね。杉自体が軽いんですけれども、山武杉の特徴はこの赤い色ですね。白いやつよりも赤色のほうが特徴があります」
●すごい、あっという間に作りました〜。嬉しいですね。楽しい! ありがとうございます。
◎さんむチーム木工:https://www.city.sammu.lg.jp/data/doc/1610676955_doc_32_0.pdf
九十九里エリアも「ジャパンエコトラック」!
※ここからはフィールドナビゲーターの「仲川希良」さんにご登場いただきましょう。仲川さんは登山を始めて、今年で15年目。お子さんと山に行くようになって、子供目線の山の楽しみ方にも気づき、山に行く回数は減ったけれど、以前とは違う「濃い山時間」を過ごしているそうですよ。
そんな仲川さんは、大規模会場で行なっていた頃の「モンベル フレンドフェア」にも何度か、ゲストとして参加されています。今回のようなエリアを限定しての「フレンドフェア」には、こんな魅力を感じたとおっしゃっていました。
「今回みたいに開催地密着型の、コロナ以降の開催として(私は)今回初めてだったんですが、これはこれでその開催地について、より詳しく知ることができるっていうのがすごくいいなと思いました」
●すごくアットホームな感じがしますよね。
「そうですね〜。あとやっぱりこれまでの会場よりも、さらに地元のかたがたくさんいらっしゃっているので、きっと地元のかたにとっても発見があるっていうのが、面白いところなのかなと思うんですよね。
何か発見したいと思っている人が遠くからたくさん集まってくるっていうだけじゃなくて、あ、自分のところってこんな良さがあったんだ、こんな美味しいものも、こんな面白いこともあったんだっていうのを再確認できるような、フレンドフェアなのかなと思いました」
●仲川さんは、モンベルさんが提案する「ジャパンエコトラック」のナビゲーターでもいらっしゃいます。改めてこのジャパンエコトラックとは何か簡単にご説明いただけますか?
「はい、ジャパンエコトラックというのは、新しい旅のスタイルとしてご提案させていただいているんですけれども、ポイントは人力でそのフィールドを体感するというところにあります。水辺だったらカヤックだったりSUPだったり、もちろん泳いでもいいですけどね。
で、民家があったり作物が育っているような里のエリアは、自転車で駆け抜けたり、歩いたり・・・。山のエリアはもちろん登ったり、トレイルが好きだったら走ってもいいですけども・・・基本的に人力で動くっていうことがポイントになっているんですね。そうすることによって、そのフィールドをより深く味わうことができます。
私だったら山が好きなので、例えば、ある山に行こうと思うと、着いて登山口まで車でばっと移動して、山だけを歩いて帰ってくるみたいな旅の仕方をしがちなんですけれども、そこからさらに足を伸ばして、麓だったりその麓の先にある海だったりまでを、自分自身の体を使って旅をして味わうことによって、よりその山が育んだ麓の文化だったり歴史だったりっていうのも一緒に味わうことができるようになるんですよね。
なので、アクティビティをすでに楽しんでいらっしゃるかたも、自分が知っているエリアよりも、より広いフィールドを人力で楽しんでみることによって、その土地をより深く味わえるっていう、そういう旅のスタイルになりますね」
●この九十九里エリアもジャパンエコトラックに登録されているんですよね。
「そうなんです。いま関東のエリアが3か所登録されているんですけど、その中でいちばん初めに登録されたのが、この九十九里エリアになります」
●実際に仲川さんも、このエリアを自転車で走られたそうですね。どうでした?
「いや〜気持ちよかった! そしてこんなに気軽に手軽に味わえるジャパンエコトラック、実は初めてだったんです!
これまで9か所ですかね・・・ジャパンエコトラックのエリアを試してみているんですけれども、やっぱり人力で移動するって、それなりに体を使った旅の仕方なので、準備もしっかり必要だったりだとか、体力も使いますから、それなりに大変だなっていうような印象もあったりしたんです(笑)。
でもね、九十九里エリア、私が住んでいる東京から、パッと来てパッと帰れる日帰り圏内。そして日帰りで味わえる気軽なルートがたくさん設定されているんですよ。
私が楽しんだのは木戸川・栗山川サイクリングルートっていう、ちょっと短めの半日ぐらいで周れるルートを選んでみたんですけれど、九十九里って九十九里平野で知られている通り平坦なので、このルートは特に大きなアップダウンがなく、たぶんスポーツ用の自転車でなくても、普通の自転車でも問題なく周れるくらいの気軽なルートなんですよね。
九十九里エリアは空が広い! そして(成田空港が近いので)飛行機が飛び立っていく様子が見られるんです。気持ちが清々しくなるこの空の下を自転車でパーっと気軽に駆け抜けることができて、とっても気持ちいい場所でした!」
※今後、当番組のコーナー「モンベル アウトワードコラム」でこんなことを発信していけたらいいな〜というのがあれば、教えてください。
「そうですね・・・例えば、ひとつのエリアを旅するにしても、その旅のスタイルによって味わい方がまったく変わるんだなっていうのを、ジャパンエコトラックでよく感じますけれども、例えばですよ・・・ここおすすめっていうエリア、辰野会長と私とで共通するエリアを選んで、それぞれの視点から魅力を語るみたいな!」
●面白そうですね!
「アウトドアのエキスパートの辰野会長の視点と、(私は)技術的にはまだまだ初心者、そして女性だったり家族連れだったりっていう、そういう目線で土地を分析すると、(味わい方が)変わっていくんじゃないかなと思うので、ひとつのエリアの、旅のし方を辰野会長と私でプレゼンしあうみたいな・・・楽しいかなと思います(笑)」
辰野会長、最初の出演は30年前の1月15日!
※それでは最後に再び、モンベルの辰野 勇会長にご登場いただきましょう。
●この番組「ザ・フリントストーン」は放送開始から33年目になるんですね。実は辰野会長に初めてこの番組にご出演いただいたのが、30年前の1994年1月15日だったという、記録が残っているんです。
「えっ! 本当に? よく覚えているね(笑)」
●『社長室はアウトドア』という本をもとにお話をうかがったということで、スタッフから聞いたんですが、長いお付き合いをありがとうございます!
「そうですか・・・いや〜そういう昔話をすると健康になりますよ」
●いま30年前のご自身に何か言っておきたいことはありますか?
「もう振り返りたくない! 振り返らないのも健康になる・・・(笑)。たまにね、自慢話はするのはいいですよ。でもね・・・いつに戻りたいですか? っていう質問をされるかたがいるけど・・・ないね。いまがいちばんいいね」
●素敵です! 現在、会長にはフィールドナビゲーターの仲川希良さんと共に毎週、「モンベルアウトワードコラム」というコーナーで番組にご登場いただいています。リスナーのかたにはお馴染みでファンのかたも多いと思いますので、ファンのかたに改めて、ひと言いただいてもよろしいですか?
「千葉のみなさんがた、すみません、今回初めて来ました!九十九里。本当に素晴らしい自然がたくさんあるので、もちろん地元のかたはご存知でしょうけど・・・。(この九十九里エリアは)モンベルと包括連携協定、フレンドエリア、そしてジャパンエコトラックのコースも整備もしていただきましたので、ぜひご活用いただきたいなと思います。よろしくお願いします」
INFORMATION
九十九里エリアは、モンベルのフレンドエリアにもなっていて、もともと協力関係にあったんですが、今回、山武市、芝山町、そして横芝光町と包括連携協定を結んだということで、さらに今後の展開が楽しみになってきました。来年もぜひ「フレンドフェア」を九十九里で開催してほしいですね。
このエリアは、仲川希良さんのお話にもありましたが、関東で初めて「ジャパンエコトラック」に認定されていて、7つのサイクリングルートやパドリングフィールドなどのルートマップも公開されています。レンタサイクルで、海岸線を走ったら、気持ちいいと思いますよ。ジャパンエコトラックの登録エリアは、全国に30数か所あります。あなたもぜひ、人力だけで移動する新しい旅のスタイル「ジャパンエコトラック」を体験してみてください。
ちなみに、ルート検索機能などが搭載されている専用のアプリもあって、とても便利だそうです。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎ジャパンエコトラック:https://www.japanecotrack.net
◎モンベル :https://www.montbell.jp
2024/5/5 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. 遥かなるカイラス / 辰野勇
M2. LOVE LOVE LOVE / TRISTAN PRETTYMAN
M3. THE LAZY SONG / BRUNO MARS
M4. HAPPILY / ONE DIRECTION
M5. I GOTTA FEELING / BLACK EYED PEAS
M6. FALLING FOR YOU / TAMIA
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」