2020/6/6 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ハワイのスペシャリスト、そしてエッセイストの「近藤純夫」さんです。
<今週は本のプレゼント! 応募方法はこのページのいちばん下に>
近藤さんは1952年、札幌市生まれ。エッセイストのほかに、翻訳家、写真家、そして洞窟探検の専門家。1980年代からハワイに足繁く通い、ハワイ諸島の自然や文化に関する本や講演などを通して、ハワイ情報を発信。ハワイ火山国立公園アドバイザリー・スタッフとしての顔も持っていらっしゃいます。
きょうは伝統的なフラや植物のこと、そして近藤さんおすすめの絶景スポットのお話などうかがいます。
☆写真提供:近藤純夫
90%以上は外来種!
※近藤さんは洞窟調査のためにハワイ島に行ったのをきっかけに、その後通うようになったそうですが、ハワイには洞窟がたくさんあるのでしょうか。
「火山洞窟がたくさんありまして、鍾乳洞というのはほとんどないんです」
●どうして、ハワイの洞窟だったんですか?
「はい、ふたつありまして、ひとつはハワイ諸島っていうのは火山の噴火でできた島なので、洞窟が多いから新しい発見があるんじゃないかな、というのがあるのと、それから規模の大きいのが既に見つかっているので世界クラスのが見つかるかな、というのがありました。それが一点。
もう一点は僕がずっと勉強させていただいている先生がいらっしゃって、この先生の講演会を含む国際洞窟学会という、いろんな大学や研究所が集まる世界会議みたいのがハワイ島であったんです。(その会議に)行ったところ、お前は洞窟の調査をやっているなら、ここの地域が空いているからやってみないか? と言われたんですね。じゃあやらせてください! ということで始めたのが最初です」
●いちばん初めは洞窟というのがきっかけだったということですけれども、それから興味もいろんなところに広がっていったというような感じなんですか?
「はい、そうです。そういう僕も最初はですね、洞窟に通っている時にお花を見たりとかはあったんですけど、あ、花か〜くらいで、それ以上に興味を持つこともなく、何年も過ぎてからちょっとしたきっかけがあって、花も面白そうだねっていうような感じになりました。
女性もあるかもしれませんけど、男性って何か物を集めるのは結構好きだったりすると思うんです。僕の場合はそのお花の匂い、たまたま蜜の、すごく甘い香りを出していたんです。この花は何なんだろう? っていうのを気になって調べた時に、ほかの色もあるよとか書いてあって、それは全部見たいなとか、写真に収めたいなと思うのがきっかけだったんです」
●ハワイの花は色鮮やかな花も多いですものね〜
「でもね、その90%以上は外国の花なんです」
●そうなんですか!?
「これは知っているよってお花の名前を上げると、多分99%ぐらいまで跳ね上がって外来種です。外国のお花です」
●そうなんですか!? じゃあハワイそのもののお花というのはそんなに…
「見るチャンスは比較的意識しないとないと思います。例えばハイビスカスだとか、プルメリアだとかブーゲンビリアって名前は聞きますよね。これ全部外来種なんです」
●ハイビスカスはハワイそのもののイメージでした。
「ハワイのハイビスカスもあるんですけども、実は山の中にあって、観光で見る人たちのものっていうのはみんな園芸品種で、ほかのものなんですね」
ハワイの夕陽
※近藤さんはこの時期に新しい本を出すにあたって、何か意識したことはあったのでしょうか。
「そうですね、ちょうどタイミング的にもお家でおとなしくしてなくちゃいけないっていう時ですから、この本が窓のような役割をしてくれればいいなと思っていましたので、本を通じてちょっとハワイを感じてもらいたいというメッセージは込めました」
●ハワイの日々が1日1日記録されていますけれども、特にこの7月7日の”光の帯”っていうタイトルで、満天の星空に天の川がある写真にすごく感動しました。美しかったです!
「これもね、ちょっとした事件というか、ありまして、僕はこの時、人を連れて夜に星を見せる予定だったんですね。ところが、これハワイ島なんですけれども、どこへ行っても曇りで、山の上も曇りで星がひとつもなかったんです」
●え?! そうなんですか!
「ええ。で、この写真を撮ったのは、結構低い位置で標高800メートルぐらいしかないところなんです。そこの天気図を見たら、ちょっと雲の切れ間があるっていうのが分かって、行って到着して1時間くらい見たら、もう雲に覆われてしまったという、本当にピンポイントで見た時の(写真)ですね」
●そうなんですね!
「逆にいうと、普通めぼしいところに行って、どこも雲だっていったら諦めますよね、日本だったら。ちょっと車で行くっていうようなレベルではないですよね、日本の場合は。でもね、ハワイというのは地域によって全く天候が違うので、これが可能なんですよ」
●そういったところもハワイの魅力のひとつですね。
「そうですね。だから気象とか気候というものも、ちょっと勉強しておくと、こういうことができちゃうというのはあります」
●この“黄色のサンセット”っていうのもすごく素敵でした! こんな綺麗な夕陽は見たことない! っていうような写真で、燃え立つような黄色とかオレンジ色の夕陽ですね。
「そうですね。本の構成上1枚しか載せていませんけども、別の日に行くとサーモンピンクになったり、別の日に行くと真っ赤になったりとか、黄色になったりとか、本当に色が変わるんですよ」
●夕陽の色が変わるんですか?
「そうです、変わるんですよ。それがハワイのいいところ。多分人が周りにいないと、なんかその空に溶け込みそうな感覚ってのがあります」
●うわー素敵ですね〜! この“7月24日:黄色のサンセット”はどこで撮った写真ですか?
「これはね、カウアイ島のワイメアという町の海岸です」
●橋がありますね?
「これはね、桟橋であまり使われてないんですけども、今はほとんど釣りをしたりとか、夕方の散歩に地元の人が訪れるだけですけど、ここね、ちょっとした“いわく”があるんです。なにかと言うと、ポリネシアの人以外で外国から初めて人が来た、つまりハワイを発見したのはキャプテン・クックって人なんですけども、クックが初めて上陸したハワイの場所ってここなんです!」
●そうなんですか!
「そうなんですよ。この町は小さいですけど、小さなクックの銅像も建っています」
<ハワイ諸島の特徴と成り立ち>
私にとっても憧れのリゾート、常夏の楽園・ハワイ、改めてどんな所なのか、おさらいしてみましょう。
ハワイは1959年にアメリカの50番目の州となった、最も新しい州ですが、それ以前にもネイティヴ・ハワイアンの十数世紀に渡る歴史があります。およそ1500年前、無人島だったハワイ島にポリネシア人が初めて到達し、その500年後にはタヒチから多くの移住者がやってきて、ハワイ文化の基礎を築きました。
1778年にキャプテン・クックがカウアイ島に上陸して西洋との関わりが始まり、その後も様々な歴史を積み重ねて現在に至ります。
ハワイ諸島は500万年前の海底噴火で隆起したあと、プレートの移動で北西にずれて島が次々に造られ、130以上の島や岩礁で形成されています。
州都・ホノルルがありハワイ観光の拠点となっているオアフ島や、活発な噴火活動が続くキラウエア火山があるハワイ島、かつてカメハメハ大王が王朝の拠点を置いたマウイ島のほか、カウアイ島、モロカイ島、そしてラナイ島の合わせて6つの島が世界有数のリゾートアイランドとして知られています。
年間を通して平均気温25度以上と、温暖な気候ですが、標高の高い地域では雪が降り、ハワイ島最高峰のマウナケアでは積もることもあるんだそうです。
実はハワイ諸島、現在も太平洋プレートの移動とともに、年に6センチから9センチくらいずつ北西側に動いています。ハワイ諸島の北西には日本列島があり、直線距離で6000キロちょっとなので、単純計算で1億年後くらいには日本とハワイがくっつくかも…と思いきや、実際は、太平洋プレートは日本海溝で北米プレートの下に沈み込んでいるので、ハワイ諸島もいずれは、といっても地球規模の気の遠くなるような時を経て、日本海溝に沈んでしまうそうです。
フラは道!?
※近藤さんの新しい本にはフラダンスではなく「フラ」と書いてありました。フラとフラダンスは、同じと考えていいのでしょうか。
「うーん、イエスでもあるし、ノーでもあります。何故かというと、まずフラっていう言葉ってどうしてもダンスと結びつきやすいですよね。でもフラってダンスだけじゃないんです。
例えばフラっていうのは、元々は神様に捧げるための、カフナと言うんですけども、日本でいうと住職さんだとか神主さんとかああいう人たちのことで、そういう人が神に祈りを捧げる時に、それを聞いている周りの人々に分かりやすくするために、祈りの内容をジェスチャーで教えた。そうするとただ声を聞いているよりも目に入ってきやすいんじゃないですか。それが元々のフラなんですよ」
●そうだったんですね。
「それをちゃんと守っている人たちは今もいて、名前は省略するにしても、伝統的なフラをやる人たちがいます。そのフラがダンスというか、踊りを通して何かを表現するっていうことになった時に、フラダンスって言葉も英語として出てきたんですけども、いまはふたつ(のフラが)あります。
ひとつはさっき言ったように伝統的な踊りのフラを“フラカヒコ”、それからもうひとつは今風のドレスとか着てやる“アウワナ”という名前のフラがあって、このふたつをいう時にはフラダンスといってもそんなに違和感はないかもしれない。
本当に古いものになると・・・楽器も、普通は楽器と言いますけども、(フラの)楽器は使ったことありますか?」
●使ったことはないです。
「ないですか、楽器を見たことはありますか?」
●あります!
「それを先生は楽器と、もしかして言っているかもしれませんけども、本来それは楽器ではなくて神具、神様の道具なんです。だから勝手に触っちゃいけない、生徒が」
●へぇー!
「という厳しいところもあれば、まあそんなに固くやらなくてもいいんじゃないのって、いうところもありますけども、いろんなところがあるんですよ。だから例えば日本の茶道だとか、そういう道と名前が付いて長い歴史を持っているものには、いろんな決まり事があるじゃないですか。フラもそれと同じようなもので、すごくいっぱいあるんですよ」
●ハワイの方々にとってフラっていうのはどんな存在なんですか。もうそれこそ神だったりとか?
「有名な言葉があって、”フラは人生だ”っていうのがある。フラ・イズ・ライフっていうのがありますね」
サンセットはシルエットで
※取材のためにハワイに、毎年のように通っていらっしゃる近藤さんが行くたびに必ず訪れる場所はどこなんでしょうか。
「訪れる場所ですね〜、行く島がどこかにもよるので、6つぐらいの島はどなたでも行けるんですけども、オアフ島だったらこことか、マウイ島だったらここっていうのはあります」
●いちばんのおすすめというのは?
「そうですね。僕が最も多く行くのはハワイ島なので、ハワイ島では人には会う、久しぶりだねって言ってその町に住んでる人に会って、よもやま話をするっていうのはまず楽しみですよね。
それから食べるもの、ここに来たらこれ食べるしかないよねって食べ物もあるし、それも面白いのは、言い方は悪いけど、決して美味しいわけじゃないけども(苦笑)、でもハワイの味だよねっていうのがあって、それを食べて、あ、戻ってきたなって思ったりしますね」
●おすすめのハワイのソウルフードはなんですか?
「そうですね、サイミン」
●サイミン?
「サイミンっていうのはね、ラーメンみたいな麺なんです。ラーメンって言ったらちょっと違うよねって思うかもしれないんですけども、なんとも奇妙な味なんです。でもそれはハワイの完全に国民食と言うか、島民食なので、なんと!マクドナルドのメニューにもあります。そのぐらいスタンダードなんですよ。
食べ方も地元の人の食べ方っていうのがあります。一応ラーメンみたいなもんだから蓮華が付いてくるんですけども、必ずマスタードも付いてくるんですよ」
●え?!
「マスタードをどうするのかっていうと、それをすくってスープに入れるんじゃなくて、スープを飲む時に蓮華の下にちょんとマスタードを付けて、付けた状態でスープをすくうと、ほんのりとマスタードの香りがスープに溶け込むという、面白いでしょ」
●へ〜〜〜面白いですね。これから自由に海外に行けることになった時に、リスナーのみなさんがハワイに行った時にこういう風に楽しんでっていうのがあれば、是非教えてください!
「夕方になると、大体みなさんビーチにいることが多いと思うんです。例えばワイキキ・ビーチとか行った時に、海岸にたくさんの人が立ってサンセットを見たりしているんですけども、僕のおすすめはその砂浜から100メートルぐらい後ろに、陸地の方にちょっと後ずさりして戻ってもらう。ビルの後ろじゃなくて海が見えている状態で戻るんですけども、そうするとヤシの木だとか、ライフガードの建物だとか、点々とシルエットになる。その方がずーっと綺麗です。それを楽しんでいただくのは、どこでもできますから、是非一度やってみるといいなと思います。僕もそういう写真をこの本の中にいくつか入れています」
☆過去の近藤純夫さんのトークはこちらをご覧下さい。
INFORMATION
近藤純夫さん情報
新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』
近藤さんがハワイの日々を記録し、暮らすような感覚で1年をつづってあります。1ページに一枚の写真と短いエッセイで構成されていて、ハワイの暮らしや街の風情、自然や絶景など、まさに「ハワイの素顔」を感じられる一冊です。
『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』は誠文堂新光社から絶賛発売中!
●誠文堂新光社のHP:https://www.seibundo-shinkosha.net
●近藤純夫さんのFacebook:https://www.facebook.com/kondo.sumio
●近藤純夫さんのハワイ塾:https://www.facebook.com/halenaauao/
●新刊『ハワイごよみ365日』:
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784416520369
<プレゼントの応募方法>
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