2020/6/20 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、日本自然保護協会の「浅岡永理(あさおか えり)」さんです。
日本自然保護協会とこの番組は1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された「地球サミット」以来のお付き合いなんです。日本自然保護協会、英語名は「THE NATURE CONSERVATION SOCIETY OF JAPAN」略してNACS-J(ナックス・ジェイ)の主な活動は「日本の絶滅危惧種を守る」「自然で地域を元気にする」「自然の守り手を増やす」そして「壊れそうな自然を守る」、この4つが活動の柱となっています。
そんな日本自然保護協会が先頃「オンライン自然観察会」を実施、また、おうちでできる自然観察のノウハウなどを発信しています。オンラインで自然観察、いったいどんな感じなんでしょうね。後ほど、浅岡さんにいろいろお話をうかがいます。
☆写真協力:日本自然保護協会
夜の田んぼを生中継!
※まずは、先日開催した「教えて!ネイチャー先生!オンライン自然観察会」について。
浅岡さん、オンラインで自然観察会って、できるんですか?
「はい、そうなんです! 日本自然保護協会でやっているオンライン自然観察会では、ウェブ会議のソフトを使用して、参加者はチャットでやりとりをして、それにネイチャー先生が都度、答えるという風にしてやっています」
●秋山先生という方が初回は出られていましたけれども、先生はどんな方々がされていくんですか?
「はい、今は相模原市立博物館の学芸員、秋山幸也(あきやまこうや)先生がされているんですけれど、今後も日本自然保護協会が認定した自然観察指導員の方々をネイチャー先生としてお呼びしてやっていきたいと思っています」
●実際に駐車場での植物を観察したりですとか、植物に関するクイズなどもあって、大人の私も考えながら楽しく学ばせていただきました!
「ありがとうございます! 」
●対象は親子という感じなんでしょうか?
「そうですね。始まりのきっかけが休校中になってしまって、子供たちが退屈して外にも出られずという状況の中で、自然と触れ合うことの楽しさや喜びを是非知ってもらいたいと思いまして、ネイチャー先生が野外に出て、身近な植物をこういう風に観察するといいよっていうのを伝えたり。ほかはおうちで出来る自然観察、野菜も自然なんだよということを伝えたり。
3回目はネイチャー先生が外に出て夜の田んぼを生中継! ということもしました! 夜の7時から始めまして、カエルが鳴いている姿を見るってことあんまりないと思うんですね。それをネイチャー先生が野外に出て、だんだん薄暗くなってきているところから、カエルがどんな風に鳴いているのかをカメラで撮って、子供たちに“カエルってどんな風に鳴いているー?”とか、“鳴く時に膨らませているのは頬っぺたかな?”“どこを膨らませて鳴いているのかな?”っていうのをクイズにしながら楽しく生中継でお届けしました」
●へーー! すごいですね! リアルな夜の田んぼの風景が見られるっていうことですね。
「そうなんです」
●反響はいかがでした?
「参加された女性の方からは、自分の田舎ではカエルっていうのは当たり前だし、田んぼっていうのは当たり前だったけど、都市に住んでいる子供たちにとっては初めてで、田んぼっていうのをまず見たことがない、こんな風なんだ〜っていうのを知ったというのと、カエルが鳴いているところを初めて見たと、とっても感動して興奮していたという声を聞きました」
●オンライン自然観察会ってなかなかやる機会がなかったと思うんですけれども、いちばん気をつけてらっしゃることってどんなことですか?
「いちばん気をつけているのは子供たちが自然に出てもやれること、というのを考えていたり、あとはありのままの姿を見せて伝えて、こんな風に見るといいよっていう気づきや発見、驚きっていうのを楽しく伝えられるようにというのを考えています」
ベランダで自然観察!?
※NACS-Jのホームページでは、ベランダや庭でも自然観察ができると、紹介しています。
何かコツがあれば教えてください。
「はい! 例えばですね、ベランダに植物を置いていた場合はその植物に意外と虫が来ていたりもするので、そういうところからこの虫ってなんだろう? とか、この植物はどうしてこういう形で生えているんだろう? など、そういった視点で見ると楽しく見つけられるかなと思います」
●なにか記録しておいたほうがいいんですか? スケッチですとか。
「そうですね。例えば写真などを撮ってもらったり、あとはスケッチをすると実際に、ただ目で見ていただけでは気づかなかったことにも気づくことが出来るのでとても面白いと思います!」
●ニンジンのへたを捨てるのはもったいない、育ててみよう! というような感じで、NACS-Jのホームページに野菜で自然観察のアイデアというのも載っていましたけれども、これはいいですね! すごく面白かったです!
「ありがとうございます! お料理している時にニンジンのへたとか、大根の葉っぱのついている部分とか捨ててしまうと思うんですけれども、それも捨てずに(お皿に)お水をちょっと薄く張って、それを置いておくだけでどんどん上の葉っぱが伸びていくんですね。そういうのを見ていくとその植物がどうやって生えていくのかとか成長していく様子を見られるので、おうちでもそういった植物の生きていく、成長していく軌跡というのが見られるかなと思います」
●子供も、料理しているお母さんのお手伝いが楽しくなりそうですよね。
「一緒にやれるととても楽しいだろうなと思います」
●近くの公園ですとか、原っぱでも自然観察って出来ますよね?
「そうですね。外に出た時に難しい植物を見つけようとかしなくても、ただ辺りを見回していくだけでも、よくよく見てみるとこの木ってどうしてここに生えているのかな? とか分かるので、例えば、外に出掛けた時に自分だけの自然の地図を作ってみるのも面白いですね。
あとは写真を撮っていただいたりすると、その写真も記録になるのでとてもいいかなと。私たちの日本自然保護協会でもフォトコンテストというのをやっていまして、そのフォトコンテストのテーマとしては日本の自然や文化的な風景というものをテーマにしていますので、そういったものを撮っていただけたら嬉しいなと思います」
<アフターコロナ社会への7つの提案>
さて、日本自然保護協会・NACS-Jが5月22日の「国際生物多様性の日」に「アフターコロナ社会への7つの提案」を発表しました。
NACS-Jでは、新型コロナウィルスの発生と拡大の背景には気候変動や生物多様性の損失、大量生産・大量消費のライフスタイルなどが関係していると考え、感染収束後に構築すべき「アフターコロナ社会」の鍵は自然の中にあるとして、人と自然が共生する社会に向けた行動として、7つの提案をしています。その7つをご紹介しましょう。
「1.コロナ危機に立ち向かった人々を称え、市民社会の力を高めよう」
「2.コロナ危機の混乱を記録し、学び、次の社会に活かそう」
「3.今後の社会・経済の復興を、持続可能な社会の発展につなげよう」
NACS-Jによる解説で少し補足しておくと、20世紀型の公共開発事業や、過剰な自然資源利用ではなく、生物多様性の保全や脱プラスチック・脱炭素社会につながる施策で社会と経済の再活性化を目指しましょうということです。
「4.新たに生まれたライフスタイルの可能性を育てよう」
NACS-Jの解説によれば、オンラインでつながるコミュニケーションの推進、ということですから、まさに「オンライン自然観察会」もそのひとつではないでしょうか。
「5.エネルギー、食料、生活用品などを地域でまかなえる新たな社会を構築しよう」
「6.人と自然の新たな関係を構築しよう」
「7.未来のコロナ危機の発生と拡大の防止に世界全体で取り組もう」
やはり解説によれば、新型コロナウィルスの発生の背景には、海外における野生動物の違法捕獲や不適切な利用、森林伐採による農地の拡大・利用などにより、人間と野生動物が接触する機会が増えてきたことが原因にあると考えられているそうです。
人間と自然がともに健康になる新たな社会を築くために、できることから取り組んでいきたいと思います。
「アフターコロナ社会への7つの提案」について詳しくは、日本自然保護協会のオフィシャルサイトをご覧ください。https://www.nacsj.or.jp/media/2020/05/20395/
オンライン自然観察会の可能性
※それでは最後に、今後のオンライン自然観察会の展開について浅岡さんにお話いただきました。
「子供たちですとか、その保護者の方などにもとてもいろんないい反響をいただいているので、是非これからも、例えばオンラインでの自然観察会のやりかたを伝えるノウハウですとか、もっともっと拡大してやっていきたいなと思っています」
●どんどん可能性が広がりそうですね。
「そうですね、意外とオンラインでも自然観察ってできるんだっていうのを、私たちもひとつ知れました」
●具体的になにかやってみたいこととかってありますか?
「はい! 今はネイチャー先生がひとりで喋ってっていう風にやっているんですけど、例えば 一緒に子供たちの声を入れてみたりとか、もしくはそれが難しければ、リポーターのような感じで掛け合いをしてみたり、季節ごとの楽しい自然を届けられたらなと考えています!」
INFORMATION
日本自然保護協会 情報
オンライン自然観察会は、これまでに3回、開催。その模様はオフィシャルサイトに動画が載っています。大人でも知らないことが多くて、勉強になると思いますよ。ぜひ見てください。
そして、日本自然保護協会の活動は寄付によって支えられています。また企業向けの会員制度もあります。ぜひご支援ください。
いずれも詳しくは日本自然保護協会のオフィシャルサイトをご覧ください。
●日本自然保護協会のHP:https://www.nacsj.or.jp
フォトコンテスト情報
日本自然保護協会の会報誌「自然保護」の表紙を飾るコンテストです。現在、作品を募集中。テーマは日本の国内で撮影した野生の動植物、自然を感じる風景や暮らし、文化となっています。応募の締め切りは9月30日。
応募方法など詳しくは日本自然保護協会のオフィシャルサイトにアクセスして、「第7回・会報『自然保護』表紙フォトコンテスト」のページをご覧ください。
●フォトコンテストのHP:https://www.nacsj.or.jp/2020/04/19786/