2021/5/16 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、シンガー・ソングライター「リピート山中」さんです。
山中さんは1960年、神戸市生まれ。12歳から弾き語りを始め、1996年にグループでデビュー。その後ソロ活動も行ない、2000年に「ヨーデル食べ放題」が大ヒット! そして、子供の頃から地元・六甲山に親しんでいたこともあり、山小屋や山頂などでライヴ活動。ほかにも地球や心の環境、家族をテーマにした楽曲作りなど“出かけて 出会って 感じて歌う”体験派シンガー・ソングライターとして活躍中です。
きょうは、そんな山中さんに山小屋コンサートのことや、山に魅せられた登山家への想いなどうかがいます。
☆写真協力:リピート山中

僕が山の歌を作る!?
●今週のゲストはシンガーソングライターのリピート山中さんです! よろしくお願い致します〜!
「はい! よろしくお願い致します! 」
●山中さん、今手に持っていらっしゃる楽器はウクレレですか?
「これね、ギターなんですけど、優れものでね。ギタレレっていう、某会社の割と低価格で買えるウクレレ・サイズのギターなんです。これ、山に行く時は必ずザックに縛り付けて、どこでも歌えるようにしているんですよ」
●へぇ〜! せっかくなので、ぜひ1曲何か弾いてください!
「じゃあ、ちょっと名刺代わりにね、唯一僕が作った歌でちょっとヒットした歌があるんで。こんな歌です」
(ここでギタレレの弾き語りで「ヨーデル食べ放題」の一節を歌っていただきました)
●うわ〜! ありがとうございます!
「この歌、今から20年以上前にちょっと東京方面でヒットしたんですけど、”ヨーデル食べ放題”」
●いやもう誰もが知っている曲ですよね〜!
「そうですか! 聴いたことありますか!? ありがとうございます」

●テンション上がります!(笑)。きょうは色んなお話をうかがいたいと思うんですけれども、リピート山中さんのオフィシャルサイトを見てみたら、山小屋でコンサートを行なっている記事がすごくたくさん載っていたんです。これはいつ頃、どんなきっかけで始まったんですか?
「最初は2004年のゴールデンウィークに、北アルプスのわさび平という小屋がありましてね、そこから始まったんですけれども、きっかけというのはね、私、中学生くらいからずっとギターを持って歌っては何かしていたんですよね。
その頃から山の歌も好きでね。昔ダークダックスさんとかが山の歌のLPレコードを出したりとかしてね。それこそ“雪山讃歌”とか色々有名な歌があるんです。ところがよく考えてみると、最近山の歌を作ったり歌ったりしている人がいないなと思いまして、若者たちはみんな海辺の歌が好きで。だから山の歌を作る人がいなければ、僕がやるしかないな、なんて思ってね。
で、歌から山につながるんですけど、じゃあ山に登って山小屋でコンサートをやろうと思い始めたのが大体2003年ぐらいなんです」
●ギターを背負って登るわけですよね?
「そうですね。まぁこれ(ギタレレ)は小っちゃいんで、ずっとザックの横に縛り付けているんですけど、いわゆる通常の大きなサイズの、ドレットノートサイズのギターも背負って登ったりもします」
●登山に必要なウェアや道具とかも持っていくんですよね?
「そうですね。最小限にして、それは小さなザックで前に赤ちゃんを抱っこするみたいな感じで。だから後ろにギターで、前に小さなザック、そういう感じで登って、最高の高さは富士山の剣ヶ峰までは行きました。で、ちょっと歌ったりとかして」

●ええ!? 何時間もかけて歩いてやっと山小屋に到着して、そこから歌うってなると、かなり体力的にも厳しいんじゃないですか?
「これはね、体力もさることながら、気力が・・・。通常、山に登られる方っていうのはやっぱり山小屋に着いたらほっとして、ここで一応ね、きょうのスケジュール終わりと。あとはもうビールを飲んだり、くつろいだ時間を楽しまれるわけですが、私はそこからが仕事なんで(笑)。
とにかくまだ、はめは外せないという、私がはめを外せるのは、皆さんの食事が終わったあとに1時間ほどコンサートして、そのあとですから、本当に消灯までのわずかな時間なんです。でもね、やっぱりそのために登っていますから、全然苦に思ったことはないです」
加藤文太郎に惹かれて
※山小屋コンサートで披露する定番曲にはどんな曲があるんですか?
「先ほど、ご挨拶で歌いました”ヨーデル食べ放題”、これ必ず歌うんですけど、やっぱり山の歌を作ろうと思って、私が作詞作曲して第1弾で作ったのは、実在した登山家”加藤文太郎”という、小尾さんお聞きになったことあります?」
●お名前だけは・・・。
「明治生まれの方で、兵庫県の浜坂っていう日本海側に生まれて、14歳から私の住んでいる兵庫県の神戸で、造船所で図面を引きながらね、山を覚えていくんですけど、当時画期的な、たった一人で真冬の北アルプスを縦走して歩くという、とんでもない登山をやった人で、今の社会人登山の先駆者なんですよね」
●どうしてまた加藤さんの歌を作ろうと思ったんですか?
「山に登るに際して、色んな山に行っている先輩に話を聞いたんです。何か注意しないといけないことないですか? とか、何か知っておいた方がいいことないですか? とか言うと、この本を読んどけって言われてね。それが新田次郎という小説家の『孤高の人』っていう小説だったんです。それの主人公が加藤文太郎という実名、小説はフィクションなんですけど、その人の魅力に惹かれて、故郷の浜坂を訪ねたり色々しながら歌を作ったんです」
(ここでオンエアでは「加藤文太郎の歌」を聴いていただきました)

嘘のない山の歌
※山での体験は、シンガー・ソングライターとしては、曲作りにつながっていますよね?
「そうなんですよ。山に登って山の歌を作って山の歌を歌うというのを出発点にしているんですけど、やっぱり行った者でないと分からないものがあるんですよ。だから街中で山を想像して作るのと、実際に登ってその苦しさとか、爽やかさとかを体感して作るのではやっぱり違うんですね」
●そうですよね〜。
「だから嘘のない山の歌を作れているなと」
●山関係の方とも色々つながりとかはありそうですけれども、いかがですか?
「やっぱり加藤文太郎っていう人がすごく山の世界ではまだ有名人で、昭和11年に亡くなっているんだけども、いまだに人気があるんですよ。で、この文太郎さんの歌を私が歌っているということで、色んな人が私に話しかけてくださったりとか、文太郎さんのご縁で、例えば(登山家の)田部井淳子さんであるとかね、モンベルの辰野会長であるとか、この前(この番組に)ゲストで来られたシェルパ斉藤さんもそうですね」

●歌がつないでくれたご縁ですね。田部井淳子さんは2016年10月にお亡くなりになっていますけれども、田部井さんに作詞をお願いして出来上がった曲もあるんですよね?
「そうなんですよ。出会ったのは某公共放送のラジオの公開収録だったんですけど、そこでご一緒しまして、私の色々な歌を聴いてくださって、やっぱり“加藤文太郎、私も好きなのよ”ってね。
で、私の持っているこのギタレレ、これを“私も弾きたい”って言ってね。当時70歳だったんですけど、田部井さんがこのギターを売ってくれと言って、だから私、別あつらえで購入して田部井さんにお送りしまして。
そのあと色々交流があって。で、山の日というのが制定されるというので、その時に山の日の歌を私、作ろうと思ったんです。
でも、リピート山中ごときが山の日の歌を作りましたって言っても、誰も相手にしてくれないだろうと思って、誰かに詞を書いてもらおうと思った時に、この人しかいないと思ったのが田部井淳子さん。
田部井さんに山の日をイメージして歌を作ってもらったら、僕が曲付けてこれを皆さんに知ってもらいたいなと思ってお願いしたら、お亡くなりになる直前にメールで詞が届いたんですよ。だから出来上がりを田部井さんに聴いていただくことはできなかったんですけど、身内の方とか、そのお友達の方にはお披露目もして、今一応CDも作ってはあるんですけどもね」
●天国で聴いてくださっていると思います。
「この詞がね、田部井さんの遺言みたいな詞なんです。というのは、女性で世界で初めてエベレストの頂上に立った人なんですけど、そういう命がけの厳しい登山もする一方で、とにかく男の世界だった山の世界に、女の人どうぞ! 行きましょう! 楽しいよ! って言ってね。
低い山でいいんで一緒に行って、ピクニックがてらお弁当を食べてって、ものすごくたくさんの人を山に誘ったんですよ。そんな気持ちをずっと持っておられて、山って楽しいよっていうことを、どうぞ山の楽しみを知っているあなたが伝えてあげて、みんな山に連れてあげてよっていう思いを書いてくださったんです」
(番組ではここで「山ってやっぱりたのしいよ」をオンエアしました)
「行きあたりばっ旅」 はサプライズ曲!
※先月この番組にご出演いただいたバックパッカー「シェルパ斉藤」さんから、リピート山中さんが、自分の誕生日に歌を作ってプレゼントしてくださったと連絡があったんですが・・・タイトルが「行きあたりばっ旅」?
「シェルパ斉藤さんの人生観そのものやね、”行きあたりばっ旅”っていうのはね。とにかく行ってみるというね。そのシェルパさんの言葉をいただいてタイトルにしたんですけども、元々はこれ、ご本人には内緒の話だったんです、サプライズで誕生日プレゼントをしたいと。
息子さんの一歩くんがちょっと知り合いなんで相談に来られましてね。もちろん奥様もなんですけど、家族のみんなで、お父さんのシェルパ斉藤さんに誕生日サプライズプレゼントしたいと、だから歌を作ってほしいと言われて。で、何度も一歩くんと打ち合わせして、当日まで気付かれないように、家族の人も大変だったみたいなんですけど、出来上がりました」
●そうだったんですね! 作詞は奥様や一歩くんのアドバイスがあったってことですか?
「そうです。やっぱり一人の人物のことを歌にするとなると、知ってないと出来ませんから。一歩くんや奥様から色々資料を、新聞の記事とか本とか、そういうのをいただいて、とにかく本人が聴いて、“おい、それは嘘だぞ”って言われたらおしまいなので、とにかく本人のチェックがないままに発表するわけだから、よく練り合わせて作りました」
●斉藤さんには生演奏で披露されたということですけれども。
「そうです、そうです。生で聴いていただいて、その横で奥さんと、ご近所歌劇団がいらっしゃってね。ご近所の仲良しのお姉さん方が振り付けして踊ってくださって、それをシェルパ斉藤さんはもう照れながらというか何ていうか、面白かったですわ(笑)」
●シェルパ斉藤さんは何かお言葉はおっしゃっていました?
「嬉しいという気持ちは持っている、ただどう表現していいか分からないと。とにかく照れ臭いし、いちばんいいのは泣いたらいいだろうけど、泣くわけにもいかんなと(笑)。この気持ちはわかるんです。仮に私が斉藤さんの立場であっても恥ずかしいですよ! 家族の者が私に何か歌を作ってプレゼントされて、いきなりそれ聴かされたら、まぁ正直戸惑いますね。ただね、こうやって小尾さんのこの番組“ザ・フリントストーン”に斉藤さんの方から情報がいったということは、気に入ってくれている証拠ですよ、これは!」
●本当そうですよ! すごく喜んでいると思います〜。すごく嬉しいと思います。
「聴かせたくなかったら内緒にしているはずですから、だから斉藤さんも、これは例えば仮にオンエアしてもいいよというぐらいのね、気持ちになってくださっているってことやから、よかったんじゃないですか(笑)」
●サプライズ大成功ですね!
(ここで「行きあたりばっ旅」をオンエア!)
「見えてるラジオ」生配信中!
※いまは新型コロナの影響で、なかなかライヴができない状況にありますが、そんな中「見えてるラジオ」という生配信ライヴをやっているそうですね。これはどんな配信ライヴなんですか?
「これFacebookで基本的に毎週やっていまして、今50回目まで終わったんですけど、週末の夜の10時からね、私とFacebookで繋がっている人はみんな無料で見られるんですよ。そのあとYouTubeにも“リピート山中チャンネル”っていうのがありますので、検索していただいたら、そこにも全部アップしています。
ギター1本で、自分の家の汚い部屋で何の飾りもなく、ただただ歌って喋ってという歌語りのラジオ。一応映像は見えていますけど、ラジオ好きなんで」
●山小屋コンサートはいずれ復活させる予定はあるんですか?
「これはもう小屋の状況次第ですね。一応今年も槍ヶ岳山荘とか、南岳小屋、槍沢ロッヂ、このグループがやろうという方向では話を進めてくださっているんです。ただこれは本当に状況判断しないと、今決められないので、一応やる方向だけど、今後の状況次第。もしやるとしたら7月の後半になると思いますけどね。まだこれは未定の話ですけど」
●今後も山を歌う活動は続けられるということですよね。
「そうですね。毎年7件から8件、レギュラーで小屋に行っていますから、そこに本当に安全にみなさんが集って、僕も歌を歌って、みんなと一緒に歌える日が1日も早く来ることを本当に心から願っております」

INFORMATION
山中さんが毎週土曜日の夜10時からFacebookで生配信している「見えてるラジオ」、ぜひ見てくださいね。歌ってトークをして歌って、という感じで、ほんとにラジオのような親しみやすさがあります。YouTubeの「リピート山中チャンネル」でもご覧いただけますよ。
今後の山小屋コンサートを含めたライヴ情報などは、ぜひリピート山中さんのオフィシャルサイトを見てください。また、山中さんのCDや音源はオンライショップで購入できます。
◎リピート山中さんオフィシャルサイト:http://repe.jp/