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シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第9弾!〜海をきれいにするアパレルブランド「マリブシャツ」

2022/10/9 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、海洋ごみ由来の再生ポリエステルで作ったウエアを展開するアパレルブランド「マリブシャツ」のブランドマネージャー「菅井章弘(すがい・あきひろ)」さんです。

 2004年にアメリカ・カリフォルニアのマリブビーチで誕生したマリブシャツ。創業者はグラフィック・デザイナーで広告デザイン事務所を経営していたデニー・ムーアさん。

 若い頃から海とサーフィンを愛し、アンティークな広告アートやサーフシーンの写真をコレクションしていたデニーさんが、Tシャツに、集めたアートや写真をプリントして販売したのがきっかけで、マリブシャツというブランドが生まれたそうです。その特徴はビンテージライクでシンプルなデザイン、ラインナップはTシャツやパーカーがメインとなっています。

 日本版のマリブシャツは2021年から販売がスタート。オリジナルのマリブシャツがコットン製なのに対して、日本版は海洋ごみ由来の再生ポリエステルを使っているのが大きな特徴です。

 これは菅井さんをはじめとする日本側のスタッフが、ビーチやサーフシーンで愛されているマリブシャツであるならば、ブランドとして自然環境になにか貢献できないか、そんな思いから「海への恩返し」というコンセプトが生まれ、海洋ごみを原料とする再生素材のブランド「マリブシャツ・ジャパン」が誕生しました。キャッチコピーは「このウエアは海をきれいにする」となっています。

 菅井さんにお話をうかがう前に、海洋ごみの現状について。
 プラごみは、年間におよそ800万トンもの量が世界の海に流れ出ているとされていて、これはごみの収集車に換算すると、1分に1台分のプラごみを海に捨てているのと同じだそうです。このまま増え続けると、世界の海に流れ出ているプラごみは2050年には魚の量を超えると言われています。

 海洋ごみの問題にどう取り組んでいくのか、いま私たちの覚悟と行動が問われています。
 そこで今週は、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第9弾! 「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「海の豊かさを守ろう」!

☆写真協力:マリブシャツ

菅井章弘さん

シンプルでお洒落! 水陸両用!?

※それでは、ブランドマネージャーの菅井章弘さんに商品の特徴について具体的にお話をうかがっていきます。

写真協力:マリブシャツ

●きょうはマリブシャツの商品をたくさんスタジオにお持ちいただきました。ありがとうございます。それぞれ商品の説明をお願いします。これはショートパンツですか?

「これは我々がラッシュガードと呼ぶ素材、あだ名なんですけど、その素材を使用しております。要は海でも街中でもプールでも着用できる、そういうものです」

●すごくシンプルでワンポイントのロゴがあって、これはいいですね。女性も男性も着やすいというか・・・いま菅井さんが着てらっしゃるのもそうですか?

「同じ素材のTシャツです。そもそもこの素材でTシャツを販売していたんですね。で、お客様のリクエストで、この素材でパンツができないですかという声をいくつか聞くようになったのと、あとは今の流行りですけど、セットアップできるとかっこいいので、それでパンツも作ってみたという次第です」

写真協力:マリブシャツ

●シンプルですごくお洒落、モダンでかっこいいですね。ほかにもTシャツ、パーカー、ロング Tシャツ、トレーナーなど、いろんな商品をお持ちいただきましたけれども、ひとつずつご紹介いただけますか。 

「まず、今おっしゃっていただいたような商品群というかアイテムを作っている理由なんですけど、これも本国のマリブシャツ、彼らも同じようにTシャツやパーカーばかりを作っているんですね。彼らはそのことでカリフォルニアであるとか、ハワイとかの海辺のライフスタイル、これを提案しているんです。

 僕らの場合はビーチサイドというよりは、ベイエリアって感じで都市部も含んだ、でも海を感じられるようなリラックスしたライフスタイルの提案をしたいということで、トレーナーやパーカー、Tシャツなどに商品を絞っております。

写真協力:マリブシャツ

 僕たちの特徴としては、先ほどからお話している海洋ごみからリサイクルされたポリエステルを原料にして商品を作ろうということを決めてやっております。ただポリエステル100%にしてしまうと、作れる商品の幅が狭くなってしまいますので、ポリエステルと綿のミックスのグループであるとか・・・」

●気持ちいいですね、肌触りも・・・。

「これはすごく手をかけて作っております。あとは先ほどのショートパンツや、僕が着ているT シャツに機能を持たせるために、敢えてポリエステル100%で作っている商品のグループもあります」

●撥水加工というか・・・?

「撥水というより、濡れても全然いいっていう状態ですね。これを販売されているアパレル様にも僕ら卸しているんですが、水陸両用なんて言って販売されたりしています」

ONE OCEAN、未来につなぐ

※マリブシャツの素材になっている再生ポリエステルの原料は、どこで作っているんですか?

「北米にある再生原料を主に作っているプラント、企業がございます。そちらから原料を購入して、僕たちが糸から作って生地にして、洋服にしているという流れです。
 ここにその見本があるんですが、その北米の企業は大型の船を出して、例えば太平洋でごみを回収するんですね。その回収したごみを自分たちのプラントに持ち込んで、洗浄して砕いたものがこの状態です。ガラスの破片みたいな、これを溶かして、ティペットっていうんですけど、このつぶ状のものがポリエステルの原料です」

写真協力:マリブシャツ

●ガラスの破片みたいなものからビーズのような形状になりましたね。

「この状態にすると移動ができるんですね。この状態から様々な、例えばこういうペットボトルも作られます。この状態のものを、彼らが原料を供給する工場が中国にあるんですが、その工場に持ち込んで、この綿の状態にまで彼らがしてくれます」

●ビーズのような状態から綿に・・・?

「溶かして小さなノズルから吹き出すことで、この繊維状のものができるんです。ただこの綿だと洋服にはならないんですね。ここから綿とミックスしたり、いろいろな手法で、僕たちが糸を作るんです。この糸を編んで生地にして洋服になっています」

●なるほど〜、そういう経緯なんですね。海洋ごみ由来のエコ素材の名前が「ONE OCEAN」って言うんですよね?

「マリブシャツを始めるにあたって、立ち上げたというより、そもそも我々が開発を進めていた素材になります。マリブシャツ・ジャパンとしてマリブシャツ・チームとして、今はマリブシャツのためにこのONE OCEANという素材グループを使っております。

 ONE OCEANというのは、海洋ごみからリサイクルしたポリエステルを原料にした素材のグループです。その中にこのような、ボクらがTCと呼ぶ、綿と混紡した素材であるとか、ポリエステル100%の素材であるとか様々あります。

 我々がONE OCEANっていう名前をこのグループに付けたのは、やはり海はひとつしかない、これに尽きます。しかも未来につなぐのにもひとつしかないから、そのひとつを守ろうという意味でONE OCEANという名前をつけました」

使ったプラごみの量を表示!?

※商品に「ONE OCEAN」のカードが付けられていて、その裏にペットボトルの絵が表示されていますが、これは何ですか?

写真協力:マリブシャツ

「これはそのものずばりこの商品に含まれている、海で回収されたごみの量を1.5リットルのペットボトルに換算して表しております」

●このパーカーは8本分くらいですね。

「8.3本ですかね。大きなペットボトル8.3本分の、海のプラごみがなくなって、ここに入っているという、その証です」

●そうなんですね〜。地球にいいことしているなっていうことを、着ながら感じられますね。

「そう思っていただきたく・・・」

●ブランド「マリブシャツ」のデザイン的な特徴っていうのは、どんなところなんですか?

「やっぱり僕たち、せっかく海洋ごみを再生して洋服にしたのに、すぐ飽きられて捨てられてしまうようなものを作りたくなかったので、そのことがあって、定番っていうものにこだわりました。

 それと本国のマリブシャツも同じ考え方で、カジュアルな定番のお洋服、でもリラックスした生活を提供するっていうのが僕たちの狙いなんで、デザインのこだわりはもうとにかく定番の商品を作ること。

 ここには私たちマリブシャツ・チームのメンバーの葛藤もあるんですけど、定番というのはなかなか難しくて、どこまでシンプルにするか、でもこれはデザインのポイントとして入れたい、みたいなことを話し合って、その中からシンプルで長く着られて、様々なコーディネートに取り入れやすいものを狙って作っております」

写真協力:マリブシャツ

●シンプルなのに地味すぎないっていうのが、すごいなって思います。お洒落です。 アーティストとのコラボ商品もあるんですよね? 

「これが、無地にこだわっている理由なんですが、本国のマリブシャツは、デニーさんが集めたアートをあしらって販売しております。我々もそれを考えたんですが、僕たちだけで洋服を完成させきらず、着てくださるかたとか、外の人たちと何かをすることによって完成する余白を残したいっていうのもあって、僕らは無地がメインになっているんですね。なので、時折アーティストのかたとコラボレーションをして、そのかたのアートをプリントして販売しております。

 その中で国内だと、中西伶さんや小泉遼さんの絵をプリントしてっていうことをしております。アーティストさんとのコラボは、いま名前を挙げた画家のかた、あとはカメラマンさんとか・・・アーティストという意味では、フラワーアレンジメントのとても著名というか若いかたなんですけど、元気に活動されているかたがいます。そのかたとも共感した時に、アレンジした花をカメラマンさんに撮っていただいて、コラージュしてっていう形でのコラボもあります。

 コラボレーションする時の考え方は、そのかたとシンパシーがあった時とか、アーティストのかたも、マリブシャツが海洋ごみから再生して上質なものを作っている、そういうことに共鳴して(一緒に)やろうって言ってくださったり・・・そういう時にコラボレーションしております」

(編集部注:マリブシャツはアーティストとのコラボのほか、BEAMSのB:MINGやSNIDELといったアパレルブランドともコラボレーションしたことがあるそうです)

マニラ麻やバナナでエコ素材を開発!?

※マリブシャツは、アパレル関連の事業を行なっている「MNインターファッション」という会社のブランドですが、このMNインターファッションでは、マリブシャツで使っている海洋ごみ由来の素材のほかにも、エコ素材を開発しているそうです。どんな素材があるんですか?

「素材では”ブリコ”という素材のブランドを持っております。特徴としては、インドの工場にいらなくなった廃棄衣料を持ち込んで、反毛(はんもう)っていうんですけど、砕くんです。そして綿状にして、ここからまた糸を再生して生地を作る、そういうリサイクルの生地のブランドがあります。

 あとは、エコ素材で”ワクロス”あるいは”バナナクロス”という、これも商標をとっている我々の生地ブランドなんですが、綿=コットンは栽培するために水を大量に使う、あるいは土地を痩せさせてしまうことがあるんですね。

 なので、綿よりももっと効率的に成長してくれて繊維が取れるもの、ということで、ワクロスには成長の早いマニラ麻を使っています。これはひとつの畑で1年間に何度でも採れるんですね。水を使わずに土地も傷めずにどんどん成長してくれます。このマニラ麻を紙にして、この紙を繊維状にしたものがワクロスです。紙にすると抗菌性とかいろいろな機能がつくので、役に立つ素晴らしい素材になるんです。

 あとはちょっと面白いんですけど、バナナクロスはバナナの幹の部分を使っているんですよ。栽培されているバナナは、実を採る時に幹ごと切っちゃうんですよね。実を採ったあとの廃棄される幹はすごい量になるから、これを再利用しようと・・・植物なので幹から繊維が採れますから、その繊維を生地にしたり・・・このような素材があります」

海のごみをなくしたい!

※国連が主導する「持続可能な開発目標=SDGs」もそうですけど、環境に配慮しない企業は今後、生き残れないと思うんですが、菅井さんはどう思いますか?

「これは本当にそう思います。企業にだけその責任を負わせるのではなく、我々も生活の中で、そのことを考えるべきだなってものすごく思います。

 そこがそもそもマリブシャツをやろうなんて言い出したところでもあるんですけど、我々マリブシャツ・ジャパンのメンバーはアウトドアとかサーフィンをやるメンバーが多くて、常に自分が触れている自然が汚れているとか、海が汚れているとかって気になるんです。
 ほんとに目に見えて分かることだから、まずはそういうこともあるし、あとはカーボンニュートラルのこともそうですけど、とにかく、僕たちが安全に生きるためには、どうしても化学的に作ったケミカルなものも必要だと思うんです。

 ただ、やりすぎ、使いすぎで、地球がおかしくなるようなところには行ってはいけないし、行きつつあるから、今おっしゃられたようなサステナブルな目標はいろいろ項目がありますけれども、ちゃんと考えて、それを抑えてやっていく活動がなかったら、もう地球が持たないと思うので必要なことだと思います」

●そうですね。先ほどマリブシャツ・ジャパンのメンバーにはアウトドア好きが多いとおっしゃっていましたけど、菅井さんもサーフィンをされるんですよね。

「恥ずかしながら。もう引退してしまったんですけど・・・」

●引退・・・?

「もう僕は50を越しているので、ちょっと今は行っていないんですけど、40ちょっとまで・・・20代前半ぐらいから20年間ぐらいはサーフィンをやっておりました」

●わ〜〜、どの辺りで?

「僕、生まれが茨城県なのですが、阿字ヶ浦とか大洗とかでガンガンにやっていました」

●かっこいいですねー!

「全然(笑)カッコよくないです。ちょっとここでサーフィンの話を挟みたいんですけど、僕ら茨城勢から見ると湘南のサーファーとかすごくカッコよくて、ウエットスーツとかも綺麗だし、持っているボードのブランドとかも! 千葉もそうですよね、お洒落! だけど茨城のサーファーは今は違うんでしょうけど、僕がやっていた頃はウエットスーツはみんな黒一色だし、あまりカッコよくなかったです」

●え〜〜、そうなんですか(笑)。マリブシャツの創業者デニー・ムーアさんもサーファーなんですよね?

「デニーさんもサーファーです。彼はマリブビーチってところで生まれたから、小さい頃から海に触れ合っていて・・・あとはご両親の趣味なんでしょうね。デニーさんから聞いたんですが、小さい頃からハワイによく連れて行かれていて、日本でいう沖縄旅行みたいなものですよね」

●菅井さんもデニーさんもサーファーということですから、お互いにシンパシーみたいなものを感じたんじゃないですか?

「お互いにルックス的には元サーファーですね。現サーファーって感じじゃないですね(笑)」

※では最後に、ブランド・マネージャーとして、マリブシャツというブランドを、どんな風に育てていきたいですか?

「やっぱり最初に立てた志というか、本当に海洋ごみはすごいことになっていて、これを取り除くためには、ただ取り除いてくださいって言っても、誰も手を出せない。でも取ってくれば、このように原料になって再利用して洋服が作れる。だからこれをどんどんとにかく続けていきたいですよね。そして海のゴミをなくしたい。これが僕たちの今強い思いになっているので、それを続けていくというのが願いですね」

菅井章弘さん

INFORMATION

アパレルブランド「マリブシャツ」

写真協力:マリブシャツ

 マリブシャツの Tシャツやパーカーは、本当にシンプルなデザインで、カラーの基本は黒と白。素材の質感が素晴らしく、生地もしっかりしているので、長く着られる、まさに定番ウエア、おすすめです。ぜひお試しください。

 お買い求めは「マリブシャツ」のECサイトから、どうぞ。

◎「マリブシャツ」HP: https://malibushirtsjapan.com/concept

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