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シャチになりたい!〜海の生き物が好きすぎて

2022/11/6 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは漫画家、そしてイラストレーターの「まつおるか」さんです。

 まつおるかさんは1994年生まれ、大阪出身。小さい頃から絵を描くのが好きで、中学生の頃から漫画家になりたかったそうです。そして現在はプロとして活躍、シャチを始めとする海の生き物のコミック・エッセイやキャラクター・グッズ、LINEのスタンプなどが人気なんです。特に可愛いシャチのキャラクターで知られています。

 ペンネームのまつおるかは、シャチの別名「オルカ」を文字っていて、それほど、シャチにぞっこんなんです。

 きょうはそんなまつおるかさんに、大好きなシャチへの思いや、「すみだ水族館」の愛くるしいペンギンのお話などうかがいます。

☆イラストレーション:まつおるか
☆誌面提供:まつおるか著『下町ペンギン物語』(発行:株式会社KADOKAWA)

イラストレーション:まつおるか

可愛くて強いシャチ

※シャチは英語名で「キラーホエール」とも呼ばれていて、怖いイメージがあると思うんですが、シャチのどんなところに魅力を感じているんですか?

「目の上のところに白い“アイパッチ”って言われる特徴的な模様があるんですけど、あれが人に例えると眉毛っぽくて、ちょっと癒し系な顔をしているんです。あとは口の下に白い部分があるんですけど、あれもにっこり笑っているような、そんな顔をしています。

 実は顔だけ見るとすごく可愛らしくて、そういう可愛らしさと、海の王者と言われるほどの強さを持っているところが、私は魅力だと感じています」

●シャチのことを好きになったきっかけは、何かあったんですか?

「和歌山県にアドベンチャーワールドという動物園と水族館が一緒になったような施設があるんですけど、そこで小さい頃、初めてシャチを見たんです。私はそのアイパッチの部分が目だと思って、なんか変な顔をした生き物だなと感じていたんですね。

 でも大人になってから、そこが目じゃないっていうのが分かって、意外と可愛い顔をしているっていうのと、その生態をものすごく調べて、サメも食べるし、頭もいいし・・・でも家族思いで、すごく可愛らしい生き物だと知ってから、すごく虜になりました」

●小さい頃からずっとシャチが好きだったっていうよりは、大人になってからいろんな魅力を知ったという感じなんですね。

「そうですね。改めて知ってからですね」

●シャチが飼育されている水族館として、関東で有名なのは千葉県の鴨川シーワールドだと思うんですけれども、行かれたことはありますか?

「もちろん、あります」

●私は千葉出身なので、小さい頃はよく鴨川シーワールドに連れて行ってもらったんですけど、やっぱりシャチを間近で見ると、大きくてカッコ良くて迫力がありますよね。ショーを見て、あるいは展示プールで泳ぐシャチを見て、まつおるかさんはどんなことを感じましたか?

「耳を澄ますと、シャチたちの鳴き声が聞こえるんですね。喉から出しているわけじゃなくて、超音波みたいな音だと思うんですけど、”キューン”みたいな、すごく小っちゃい可愛らしい声なんですよ。

 あの大きい体で見た目に反して”キューンキューン”って言ってるのが、すごく可愛くて・・・あとは飼育員さんを見つけたら追いかけて遊んでって、子供のような感じで、すごく可愛らしいと思っています」

イラストレーション:まつおるか

シャチの婚活パーティー!?

(編集部注:海の王者ともいわれるシャチ、別名オルカは体の大きさはオスの平均で6メートルから7メートルくらい、メスで5メートルから6メートルほど。体重はオスで4トンから6トンくらいだそうです。

 数は多くはありませんが、世界中の海に生息するシャチは地域によって食べるものや習性は少しずつ異なっていて、クジラやアザラシなどを好む肉食派もいれば、おもにサケなどの魚を好む魚食派もいるようです。また、同じ海域にいる定住型、世界の海をめぐる回遊型、そして沖合にいる沖合型の3つのタイプに分かれるとのこと。

 そんなシャチは、年長のメスを中心とした、数頭から数十頭の群れで暮らしていて、高い知能と社会性があるとされています。また、エコーロケーションという方法でコミュニケーションをとり、仲間と一緒に巧みに狩りを行なうこともあるそうです)

※まだまだ知られていないシャチの生態があると思うんですが、オスとメスがたくさん集まって婚活するって、ほんとですか?

「らしいですね。絶対そうとは言い切れないと思うんですけど、おそらく100頭ぐらい集まって、パートナーを探しているんじゃないかとは言われていますね」

●なんか婚活パーティーみたいですね(笑)

「ほんと、時代でいうと、そんな感じなんでしょうね」

●何かアピールとかお互いにし合うんですか?

「シャチは目が横に付いているので、真っ正面からお見合い、っていうか、婚活をしているのではなくて、横並びになって、お互い見えるようにするそうです」

●へぇ〜! 面白いですね。まつおるかさんが描かれているシャチは、とっても可愛くて愛嬌があると思うんですけれども、やっぱり生態を知って自分なりにデフォルメして描かれているんですか?

「そうですね。背びれの形がオスとメスでは違うんですね。あとはお腹の模様が違うっていうのがあるんです。(その違いに)めちゃくちゃ沿って描いているわけではないんですけど、オスだったらオス、メスだったらメスみたいな、(シャチを)好きな人が見ても、この人、間違ってるってならないように気をつけてはいます」

●具体的にオスとメス、どう違うんですか?

「オスは、背びれがめちゃくちゃ垂直というか、真っ直ぐ伸びていて、2メートルぐらいまでなるそうなんです。それに対してメス(の背びれ)はイルカみたいな、鎌形って言われているんですけど、ああいう形になっていますね」

●お腹も違うんですか?

「やっぱり哺乳類なので、実はメスには尾びれ側におっぱいがあるんですね。ちょんちょんって、よく見たらなんですけども(おっぱいが)あるのを、気をつけて描いていますね」

●ほかに何か心がけていることはありますか?

「やっぱり絵を描くので、これは色を変えたほうがいいかなとか・・・つやとか気にして描いていますね」

●つや!? なるほど、シャチはつややかですよね。

「そうですね。ツルツルしているので・・・犬とか猫とかモフモフした感じではなくて、ツルツルしたように見えるように描いていますね」

イラストレーション:まつおるか

美しい生き物、野生のシャチ

※野生のシャチに会いに行ったことはありますか?

「以前、北海道の羅臼で野生のシャチを見ることができたんです。どうしても行ってみたいなと思っていたら、家族が行ってみたいって言ってくれて、4人で見に行くことになりました。
 私は北海道が初めてだったので、ものすごく遠く感じて(笑)、関西から行ったんですけど、こんなにかかるのか、北海道すごい! ってなったんですけど・・・。

 ホエール・ウォッチングとして船が出ていて、午前と午後の便で1日2回出てくれているんですけど、午前中はまったく全然見られなくて、いても鳥みたいな、海鳥がちょこちょこいるくらいで、ものすごくガッカリしたんですね。

 (見られる)確率が40%で、一緒に(船に)乗っていらっしゃったお客さんのおじさんが、僕は3年通っているんだけど、見たことないんだよねとか言っていて、私も見られなかったら、どうしようって、期待半分、絶望が半分って感じだったんです。

 午後の便ですごく探してくれて、遠くのほうにシャチがおったぞ! と言われて、すごく遠くにオスの背びれが見えて、見られた! と思ったら、船を近くに寄せてくれて、結構な群れが海の中に見えたんですよ。
 シャチは息継ぎをするために水面に上がってくるんですけど、その時に顔がバッチリ見えたんですね。10メートルくらい先だったんですけど、結構近くて、大きかったんですよね、ものすごく。

 その野生のスケールというか、本当に地球上にこんなに美しい生き物がいるんやと思って、私、感動しすぎて、ずっとぼろぼろ泣いていたんですね。携帯のカメラで撮っていたんですけど、それどころじゃないのでブレブレで(笑)、あとから見たら、なんかちょっと写ってるかなぐらいで・・・ちょうど繁殖期のシーズンだったんですかね・・・赤ちゃんもいる、小っちゃい、可愛いって言って、ずっと泣いていました」

●感動の対面だったんですね。

「一生の思い出ですね」

すみだ水族館の、恋多きペンギンたち

●まつおるかさんは先頃、『下町ペンギン物語』という本を出されました。 この本では東京スカイツリータウン内にある、今年開館10周年の「すみだ水族館」に飼育されているペンギンたちの日常や生態が、とっても面白く描かれていますよね。

『下町ペンギン物語』

 私も読ませていただいたんですけど、カラーでイラストもすごく可愛いですし、ペンギンが先輩カップルたちを見て、恋愛を学ぶ様子など、すごく微笑ましくって楽しく読ませていただきました。

「ありがとうございます」

●海の生き物好きとしては、ペンギンも以前から気になっていたんですか?

「水族館っていうとやっぱりペンギンが人気で、(地元の)名古屋港水族館にももちろんいるので見るんですけど、私はシャチがいちばん好きやからっていうので、これ以上好きになっちゃいけないというかセーブをかけていたんです。

 でもお仕事を通して(ペンギンが)こういうことをしているんですよとか、こういう生態なんですよとか、やっぱり密接に絡んでいったので、どうしてもあらがいきれずに、あっ、ペンギン可愛い! ってなっちゃいました(笑)」

●すみだ水族館には、何種類ぐらいのペンギンがいるんですか?

「すみだ水族館には、マゼランペンギンのみですね。 私が(取材で)聞いた時は49羽とおっしゃっていました」

●ペンギンたちの名前もすごく可愛いですよね。

「可愛いですよね(笑)」

●特に気になったペンギンはいましたか?

「お気に入りというか、推しなんですけど、”わっしょい”っていう子が健気で可愛らしいなと思っています(笑)」

●健気というのは、具体的にどんなところが・・・?

「わっしょいは、今”つむぎ”っていう女の子に片思いをしているオスの子なんですけど、つむぎちゃんは若くて恋っていうのをあまり分かっていないんです。でも、わっしょいはその子に対して、ちょっとずつアピールをしているところなんですね。
 ガツガツいって引かれないように、ちょっとずつ距離を詰めようっていう感じがすごく可愛らしくて、頑張れ! って思っています(笑)」

誌面提供:まつおるか著『下町ペンギン物語』(発行:株式会社KADOKAWA)

●飼育員の方々にお話を聞いて、いちばんびっくりしたペンギンの行動はありますか?

「ペンギンは一生に一羽というか、パートナーは大体決まっているんですね。ほかのペンギンを調べる上で、私はそういうのは知っていたんですけど、今回(飼育員さんに)お話うかがって、修羅場がありました! って言われたんです。

 略脱愛というか浮気をしたりとか、ほかの彼氏を取ったりとか、そんなことがあるらしくて、(ペンギンは)意外と情熱的に生きているんだなっていうのを知ってびっくりしました」

(編集部注:まつおるかさんは「すみだ水族館」の取材で、特別にバックヤードに入れてもらって、ペンギンの赤ちゃんとご対面、その愛くるしさにも魅了されたそうですよ)

誌面提供:まつおるか著『下町ペンギン物語』(発行:株式会社KADOKAWA)

シャチのイメージを変えたい

※まつおるかさんは、今後も海の生き物を描いていかれると思いますが、やはりいちばん題材にするのは、シャチなんでしょうね。

「そうですね。やっぱりシャチなんですけど・・・シャチは怖いとか、あまり知られていないんですね。そういうイメージを払拭したいですね。家族愛があって、すごく可愛らしい生き物なんだよっていうのをアピールしたいなと考えています」

●シャチは家族愛があるんですね。 

「そうなんです。家族で子育てをするんです。おばあちゃんがリーダーで、その娘や孫とかでグループを形成しているんですね。

 例えば、お母さんがちょっとご飯を食べたいってなったら、おばあちゃんが子守を代わったりとか、すごく賢くて本当に人間と同じような感じで、里帰り出産じゃないですけど、順番に子供をみんなで育てるっていう習性があって、家族愛が強いすごく可愛らしい生き物です」

●海の生き物たちのいちばんの魅力は、どんなところだと思いますか?

「海は中身を見ないと分からないというか、ぱっと見だと海に生き物がいる感じがしませんけど、ひとたび海の中に入ったら、いろんな生き物が命を営んでいるというか、小っちゃいプランクトンから大きい、それこそクジラまで、あらゆる命がそこにいるんだなっていうのをすごく感じます」

●では最後に、もし海の生き物になれたとしたら、何になりたいですか? そして何をしたいですか?

「そうですね・・・シャチになって、ダイナミックにジャンプをしてみたいなって思いますね」

●いいですね〜!

「あとは仲間と”キューン”って言ってお話をしたりとかしてみたいですね」


INFORMATION

『下町ペンギン物語』

『下町ペンギン物語』

 まつおるかさんの新しい本は「すみだ水族館」で飼育されているペンギンたちの意外で面白い生態、例えば、うぶな恋心、夫婦間のトラブル、ただならぬ男女関係など、人間よりも複雑なペンギンの世界を垣間見られるコミック・エッセイです。ペンギンの可愛いイラストはもちろん、飼育員さんが撮った貴重な写真も掲載されています。おすすめです!
 KADOKAWAから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎KADOKAWA :https://www.kadokawa.co.jp/product/322204001093/

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