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宇宙旅行の時代がやってきた!〜宇宙日帰りプラン!? 宇宙ホテルに宿泊!? 月面史跡巡りツアー!?

2023/5/14 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、宇宙開発や宇宙旅行に詳しいフリーエディターの「鈴木喜生(すずき・よしお)」さんです。

 出版社の編集長から、現在はフリーのライター、そしてエディターとして活躍する鈴木さんは、生まれた年の1968年にアポロ8号が史上初めて月の周りをまわり、翌年にはアポロ11号が月面に着陸する偉業を達成。また、小学生の頃に映画「スターウォーズ」や「エイリアン」、「宇宙戦艦やまと」や「銀河鉄道999」などに影響を受けて、宇宙や宇宙船に憧れる少年時代を過ごしていたそうです。

 そして現在は、宇宙に関連する本をたくさん出していらっしゃいますが、宇宙開発の情報を常にストックしておくために、アメリカのNASAや、日本のJAXA、そしてヨーロッパの宇宙機関ESA、さらには、民間の宇宙開発企業が発表するプレスリリースを日々、入念にチェックされているそうです。

 そんな鈴木さんが先頃出された『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』は、これまで人類が宇宙に放った無人探査機などから得られた貴重なデータをベースに書いてあるので、半分はフィクションでも、まったくあり得ない話ではないそうですよ。

 きょうは近未来の宇宙の旅ということで、宇宙旅行日帰りプランや宇宙ホテル滞在プラン、そして月面史跡めぐりツアーのお話などうかがいます。

『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』

無重力体験、ひとり45万ドル!

※本のチャプター1で「宇宙パッケージツアー」として「お手軽日帰りプラン」が3つ紹介されています。そのうち、2つは既に実施されているんですよね?

「この第1章だけは、いわゆるほんまもんと言いますか、ガチの宇宙旅行ガイドなんですね。以前、前澤(友作)さんが宇宙に旅行したじゃないですか。あれが2021年なんですけども、あの頃まではロシアのソユーズっていう宇宙船を使っていたんですよ。

 過去にだいたい延べ12人ぐらいが自己資金でISS国際宇宙ステーションに個人旅行しているんですけども、ご存知の通りロシアがウクライナに侵攻したことで、そのサービスが今止まっちゃっていると・・・。
 では、今どうしても宇宙に行きたい人はどうすればいいかというと、今言われたそのふたつのサービスがあって、ひとつは有名なリチャード・ブランソン氏が立ち上げたヴァージン・ギャラクティック社、ここの『スペースシップ2』という宇宙船があります。

 もうひとつは、みなさんご存知のアマゾンを立ち上げたジェフ・ベゾス氏、彼が立ち上げたブルーオリジン社の『ニューシェパード』というこのふたつが、今お金を出せば、宇宙に行けるツールであるということになっています」

●それぞれどんなツアーなんですか?

「地球のまわりをくるくる周回する、いわゆる地球周回軌道に乗るわけではなくて、例えばボールを空に投げると、そのまま放物線を描いて落ちてきますけども、それと同じ飛び方をするんですね。
 つまりはその宇宙船がいちばん高いところに行ったところが宇宙であると・・・。いちばん高いところで宇宙に到達するんですけど、だいたい4〜5分の間、無重力が体験できるという、弾道飛行って言うんですけども、そういう飛び方をします」

●体験してみたいです!

「非常に時間は短いんですけども、ヴァージン・ギャラクティック社の『スペースシップ2』が、ホームページ にちゃんとお値段が出ていて、(ひとり)45万ドル、1ドル130円で換算するとだいたい5800万〜5900万円ぐらいです。今都内のマンションの平均価格が6000万ちょっと超えているぐらいなんで、マンション1室を買うのは諦めれば、5分間の無重力体験ができるというそんな感じですよね」

写真協力:鈴木喜生
写真協力:鈴木喜生

巨大なバルーンで宇宙旅行!?

※本では「お手軽日帰りプラン」の3つめに、巨大なバルーンに乗って高度30キロから地球を見るツアーが紹介されていて、驚いたんですけど、こんなツアーがあるんですね?

「これ僕、いちばんおすすめです」

●巨大バルーンで・・・!?

「これ実は、高度30キロなんで宇宙には到達しない、つまりは成層圏を漂うんです。一般的に宇宙っていうと、だいたい高度100キロぐらいから上が宇宙とされているんですね。ただ30キロまで上がると、もう上を見ても空が青くなくて真っ暗なんですよ。星が見えるんですよ。で、その下を見れば、例えばISS国際宇宙ステーションから見た時みたいに地球が見えるっていう、その眺めが体験できます。

 もうひとつは、さっきお伝えした宇宙船は打ち上がる時と、降りてくる時にすごくGがかかるんですよ。重力がだいたいいちばん高いと6Gぐらい。つまり寝そべってその上に自分が6人乗るぐらいの重力がかかるんですけど、このバルーンの場合は1Gのまんま。つまりなんの負荷もかからないで2時間かけてゆっくり上がって、高度30キロのところに2時間留まって、また2時間かけて降りてくるんですよ。で、この機内に入るとまずバーカウンターがあって・・・」

●びっくりしました。本に載っていてびっくりです!

「ソファーがあって、普通のトイレがあって、機内は高速wi-fiが飛んでいます(笑)。(スペース・パースペクティブ社の)ホームページを読むと書いてあるんですけど、要するにドリンク、アルコールも飲めるし、軽食もサービスで付くと・・・この前報道されたんですけど、ベンチャー会社の勢いのある社長さんが、これを社員のためにひとつチャーターしたみたいです」

●実際、いつからツアーが始まるんですか?

「来年から本格スタートだったと思うんですけども・・・2024年下期ですね。(料金は)おひとり12万5000ドルなんで、まあ1500万円ちょいなのかな、こちらは。だから高い車1台買うのを我慢すれば6時間遊べるという、お手軽価格です」

ヒルトンが監修する宇宙ホテル!

※『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』には、国際宇宙ステーションISSに接続する、史上初の宇宙ホテルが紹介されています。ほかにも、ホテル大手のヒルトンが監修する宇宙ホテルが載っていました。これはどんなホテルなんですか?

「簡単に説明すると、今NASAはいわゆる国の組織なんで、税金で宇宙開発しているんですけども、徐々に民間に仕事を開放しているんですね。で、在米の企業に宇宙ホテルを作れる会社ありますかって募集をかけて、応募してきてくれた会社のプランを見て検査して、それで良さげなものには補助金を出して開発に当たらせるという・・・。

 今は3社が選ばれて、その3社に基礎設計の協力金を出しているっていう状態で、またその次のステップで審査があるんですけども・・・。だから今アメリカではISSに接続する宇宙ステーションと、あと3機、宇宙ステーションを開発しているということです。

 そのうちのひとつが、ヒルトンが提携しようとしている『スターラブ』っていう宇宙ステーションなんですね。このスターラブ、いちばん面白いのは1回の打ち上げで、もう完成しちゃうと・・・。つまりはモジュールをひとつ 打ち上げて、あとはそこに空気を送り込んで、風船みたいに膨らませるんですよ。で、そこが居住区画になって4人が滞在できるんです」

●定員4名ということなんですね。

「その内装のデザイン、管理をヒルトンと提携してヒルトンがやると・・・。だからこっちはもう本当にお客さん目当てというか、そういう演出が効いている宇宙ステーションということになりますよね」

月面史跡巡りツアー!?

※アメリカの起業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業「スペースX」社は、全長120メートルの史上最大の宇宙船「スターシップ」で月のまわりを回るツアーを計画。また、NASAが中心となって進めている国際的な月面探査プロジェクト「アルテミス計画」も注目されています。月は地球人にとって、宇宙開発の象徴のような天体と言えるかも知れません。

 鈴木さんの本に「月面史跡巡りMAP」が載っていて、近い将来、史跡を巡るツアーが現実になるかも知れないと思ったんですけど、こんなツアーがあったら、面白いだろうな〜というのを紹介していただけますか。

「僕は宇宙、宇宙と言っても天文からロケットマニアからいろいろな(タイプがあって)要するに電車マニアもすごく細分化されているじゃないですか。それと同じように宇宙も、すごくここが好きっていうふうに分かれるんですけど、僕はどちらかというと、天体というよりはロケットとか宇宙船が好きなんですね。月に行っても多分、殺風景ですぐ飽きちゃうと思うんですよ。

 ですから、今までにアメリカとかロシアとかソビエトとか中国とかが(月に)いっぱい探査機を送り込んでいて、それが要するに風化しないもんですから、月面は風も吹かないし、空気もないから、その当時のまんまバッテリーが切れた状態でポツンとあるはずなんですよね。

 それを1個ずつ巡るとまあ面白いのかな・・・記念品でちょっと部品を持ってこようかなみたいな・・・要するにトレジャーハントだと思うんですけど、そういうのは面白いかもしれないですよね」

●月面から美しい地球を見たいなって思うんですけど、絶景ポイントってありますか?

「ご存知の通り月って、片面が常に地球に向いているじゃないですか。ずっと同じ面を向けて地球のまわりを回っているんで、そちら側にいると常に真っ青な地球が見られるんですよ。ただその裏側、月の裏側に行くと何が起こるかというと、真っ暗になるわけですね、基本的に。そうするとものすごく星が綺麗に見えるはずなんですよ」

●あ〜そうだ〜!

「それも見てみたいですよね」

火星旅行〜山と峡谷!?

※実はイーロン・マスク氏の「スペースX」社は火星に人を送るプランも進めているほか、NASAも有人の火星探査を計画しているそうです。

 近い将来、月まで行ったら、火星旅行もしたくなりますよね。火星で見逃せないポイントと言ったら、何がありますか?

「火星は見所がふたつあって、太陽系でいちばん高い『オリンポス山』、これがだいたい22キロぐらいの標高があるんですね。だからエベレストの3倍くらいはあるのかな。
 もうひとつは『マリネリス峡谷』、火星のよくある写真を見ると、左下に見えるんですけど、すごく深い亀裂みたいな、傷みたいなのがあるんですよ。そこがすごく深くて総距離が4000キロぐらいある峡谷なんですね」

●巨大な峡谷!?

「はい、今火星のまわりの周回軌道を無人探査機がくるくる、一生懸命いろいろ観察して、観測して調べているんですけども、それの電磁波もしくはレーザー照射で調べたところ、このマリネリス峡谷に水があるらしいということになってます」

(編集部注:火星に水があるかも知れないということですが、もしあれば、今後の宇宙開発にとって、重要な意味を持つそうです)

地球を大切にしましょう

※鈴木さんが宇宙旅行に行くとしたら、どの星に行ってみたいですか?

「僕はね、地球がいいですね!」

●えーっ!(笑)地球ですか!?

「宇宙に行くと現状、お酒を飲めないんですよ。多分、宇宙に行くと血が頭のほうに均等に上がってきちゃうんで、顔がパンパンになって、足は細くなるんですけど、おそらくその状態でアルコールを飲むと、すごく酔っ払うと思うんですね。 あとお風呂に入れないでしょ!」

●はい(笑)

「ただね、1個だけ(行ってみたいのは)木星の衛星で『ガニメデ』っていうのがあるんですね。その表面は、おそらく岩石と氷に覆われているんですけど、中に海があるんですよ。内部海って言うんですけど、ESA欧州宇宙機関がそこに向けて『ジュース』っていう無人探査機を打ち上げたばっかりなんです。

 それを周回軌道から観測して、もしかしたらその海に生命がいるかもしれないということを探索するんですけど、ちなみにそこに(ジュースが)到着するのが8年後なんですね。だから結果を僕が見られるかどうかはわかりませんね」

●いやいや、でもすごいですね。また新しい発見につながるかもしれないってことですね。鈴木さんは地球人として、地球という星にはどんな思いがありますか?

「太陽系のほとんどの惑星、衛星はかなり詳しく分かるようになってきたんですね。最近、写真も撮れているし、探査機も到達しているし・・・やっぱり地球ほどいい星はないんですよ。
 氷ばっかりだったりとか、木星とか土星はガスですからね。表面にほんのりアンモニアが乗っかっているわけですよ、多分行ったら臭いんだと思うんですけど・・・。だからそういうのと比べて考えると、地球みたいにいいところは、おそらくないので、みんな大切にしましょうね、地球を! っていう感じでしょうかね」


INFORMATION

『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』

『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』

 この本には、実際に行ける宇宙旅行パッケージツアーほか、月や火星エリア、水星や金星の岩石惑星エリアなどが豊富な写真やデータとともに紹介。
 QRコードが載っていて、スキャンするとYouTubeで貴重な動画も見られます。NASAが撮ったISSから見るオーロラや夜景、宇宙旅行日帰りプランでご紹介したバルーンから見る景観を動画で再現してあったりと、見所満載です。ぜひチェックしてください。
 G.B.から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎G.B.: https://gbeshop.thebase.in/items/69825180

『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』

『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』

 もう一冊、鈴木さん執筆の最新刊。軌道上の宇宙望遠鏡80機以上の詳細な解説と、最新画像を豊富に掲載した240ページにも及ぶ豪華本です。見たこともない壮大で神秘的な写真に圧倒されます。こちらもぜひ!
 朝日新聞出版から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎朝日新聞出版:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=24201

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