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家庭菜園は、自然と遊べるエンターテインメント!〜超初心者向け、野菜作り入門

2023/5/28 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、漫画家でイラストレーターの「荻野千佳(おぎの・ちか)」さんです。

 荻野さんは富山県出身、現在は東京の郊外にお住まいです。2016年から家庭菜園を始め、すっかりハマってしまい、ついには、日本家庭園芸普及協会認定のグリーンアドバイザーの資格を取得されています。

 そして先頃、『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』を出されました。

 きょうはそんな荻野さんに、超初心者に向けて、おもにベランダ菜園で必要な道具、失敗しないコツ、そして、すぐ収穫できるおすすめの野菜のお話などうかがいます。

☆写真&イラストレーション:荻野千佳

荻野千佳さん

短期間で収穫できる野菜がおすすめ!

●荻野さんが先頃出された本を拝見いたしました。

「ありがとうございます!」

●可愛いイラストでわかりやすく、野菜の育て方が描かれていて、これなら私も始められるかもと思いました。読んでいて、すごくワクワクしました。

「ありがとうございます! 嬉しいです」

『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』

●私は家庭菜園には興味はあるんですけど、実際に育てたことがあるのはミニトマトとか、あとは豆苗で再生栽培するぐらいで、本当に全くの初心者なんです。やはり野菜作りと聞くと作業が大変で、なんか難しいイメージがあるように思うんですけど、実際はいかがでしょうか?

「なんか大変そうっていうお気持ち、すごくわかります。外で一生懸命やるのかなって思われるかと思うんですけど、基本、誰でも簡単にできる、自然と遊べるエンターテイメントだと私は思っているんですね。

 私の場合ですと2016年から自宅の狭い庭で、夏野菜を育て始めたのがいちばん最初なんですけれども、素人ながら今年で8年目になるんですね。今は自宅の庭でプランター栽培をやっていまして、あとは農業体験農園っていう貸し農園のグループに参加して、そこで家庭菜園をやっています。

 経験上なんですけど、育てるのが難しい、失敗したって、なってしまう理由として、収穫までの時間が長くかかる野菜を選んでしまっているんじゃないかなと思うんですね。収穫まで時間がかかると、いろんな虫に食べられちゃったりとか、急に台風が来たりとかして・・・。

 例えばスイカは、タネから始めて収穫までに4ヶ月かかってしまうんです。その間に収穫直前に大雨が降って(スイカが)割れちゃったとか、そういうことがあるかもしれないなと・・・。なので、最初のうちは収穫までの時間が短い野菜を選ぶと、作業も簡単で心配いらずで、収穫までを楽しむことができるかなと思います」

写真:荻野千佳

道具はジョウロ、ハサミ、スコップ

※私はマンション住まいなんですけど、まず何から始めたらいいですか?

「ちなみに何の野菜を育てたいとかって、ご希望はあります? 例えば、できれば気軽に始めてみたいなっていう感じもあるかと思うんですけど・・・」

●それが最優先です!(笑)

「そうですよね! 先ほど小尾さんが、豆苗の再生栽培をなさったことがあるっておっしゃっていたんですけど、実はタネからも(栽培は)できるんです。
 たぶん再生栽培ってことは、買ってきたものをチョキンと切って、料理で使って、もう1回伸ばしたっていう形だと思うんですけど、豆苗はタネから発芽させて、いちばん最初の、売っている状態まで育てられるんです。

 それが私の中でいちばん簡単な家庭菜園かなと思っております。これだと100円ショップに水切りかごっていう、ちっちゃな二重に重なった、お皿なんかを入れて乾燥させるような、上部が網で下がかごになっているのがあるんですけど、それがあれば(豆苗の栽培は)できますね」

写真:荻野千佳

●道具は、ほかに何か必要なものはありますか?

「サラダに使いやすいような葉物、ベビーリーフなんかをもし気軽にやりたいなっていう場合ですと、3つの道具だけで始められるんですね。それはジョウロ、ハサミ、スコップ、この3つだけが、まずは道具としてはあれば十分です」

●土はどんなタイプのものを用意したらいいのでしょうか?

「土は、ホームセンターなんかでいっぱい並んでいると思うんです」

●いっぱいありますよねー。

「私も最初はどれがいいのか、わからなかったですね。腐葉土とか赤玉土とか鹿沼土とか、もっと細分作化された、なになに用の土とかって売っていると思うんですけども、プランターに使う土であれば、袋に培養土と書いてあるものがあれば、それには土の中に最初から肥料が含まれているのでベストだと思います。袋に野菜用の培養土と書いてあるものであれば、全然問題ないですね。

 また、培養土の重さに配慮した、軽い培養土もあるんですね。これは運ぶのは楽ちんですごく便利なんです。私も最初はそれをよく使っていたんですが、経験上、便利は便利なんですけれども、背が高くなる野菜、例えばミニトマトなんかを植える時に、プランターに軽い培養土を入れてしまうと、(プランターの)移動は楽なんですけれども、土台が不安定になってしまって、風で倒れちゃうっていうようなこともあったので、軽い土をお使いになる時はご自分の環境によって、プランターが倒れないように、ちょっと縛るなり、何か工夫をなさったらいいかなと思います」

写真:荻野千佳

おすすめはニラ!

※荻野さんおすすめの野菜はありますか?

「めちゃめちゃおすすめは、ニラなんです(笑)」

●ニラ! へぇ〜!

「これも繰り返し収穫できるんですね。収穫のやり方として、発芽して成長して収穫する時に、地ぎわから3センチぐらい残して、ちょきんと切って収穫します。そして「お礼肥(おれいごえ)」って言うんですけど、ある程度肥料を足したあとに、新しい芽が出てくるんです。それがまたもとの高さぐらいになって、また収穫するっていう、そういうのを3年ぐらいは繰り返せるんですよ。

 冬場はさすがにちょっと緑はないんですけれども、私は庭のプランターでいつもニラを育てているんですね。手軽にちょっと庭に出てチョキンと切ってスープに使うっていう感じです。切ったあとにニラ特有の匂いがして、なんか気分が良くなるというか、やってるわ〜みたいな感じで楽しいですね」

(編集部注:いつ植えるのがいいのか、初心者にはわからないことのひとつだと思いますが、野菜全般について言えるのは、春か秋に植えることが多いそうですよ)

イラストレーション:荻野千佳

水やりのコツを伝授

※水やりも初心者には難しいと、よく聞きますよね。基本的に地植えは、土が乾いていなければ、水やりの必要はなし。一方、プランターは水やりが大事になってくるそうです。何かコツのようなものはありますか?

「ポイントとしてジョウロで水やりをする場合は、ジョウロの先についている穴があると思うんですけれども、あれは取り外しできるんです。あの部分を『ハスクチ』って言うんですね。あれを下のほうに水が出るように180度逆にして付けて、葉の上からジャバジャバではなくて、植わっている土の辺りにかけるようなイメージで、水やりなさるといいかなと思います」

●なるほど。葉っぱ自体にはかけちゃいけないっていうことですか?

「そうですね。葉っぱにかけちゃうと泥はねとか、土の中にいる雑菌が野菜の葉っぱに付着しちゃって、病気の原因になるっていうことがありますので、上からじゃなく株もとにたっぷりやるのがコツとなりますね」

●わかりました。水やりは朝とか夕方とか決めておいたほうがいいんですか?

「タイミングと季節にもよるんですけれども、例えば春先にタネまきをして、その時、水やりをするとなると、まだ気温が低いので、午前中のちょっとポカポカした時に、水道水をそのままじゃっと出しちゃうと、水の温度も低いので、できればちょっと(水を)汲み置きして常温になっている水をあげるといいですね。

 野菜のタネって発芽温度っていうのがあるんです。だいたい25度前後なんですが、そこに冷たい水をかけちゃうと発芽率に関わってしまうので、できれば常温のお水をあげたほうがいいかなと思いますね。

 で、逆に6月以降の真夏のようなカンカン照りの時は、朝か夕方が最適ですね。
 朝と夕方、1日2回の水やりは、仕事が忙しくてできないっていう方で、1日1回ならなんとかっていう方には、夕方をおすすめします。
 というのも夕方ですとそのまま夜になりますので、水持ちしている時間が長いわけなんですね。朝(水を)やっちゃうとそのまま、がっと温度が上がって、すぐなくなっちゃうので、夜の間ですと、ゆっくりゆっくりなくなっていくようなイメージなので、夜がおすすめです。

 最後にこれ重要なんですけど、真夏のプランターの水やりは、真昼には絶対していただきたくないことなんですよ。真夏のお昼にプランターに(水を)やりますと、あっという間にプランターの中でお湯になってしまって、野菜が傷んでしまうんですね。なので、絶対に夜か夕方あたりにしていただけたらいいかなと思います」

(編集部注:真夏にプランターへの水やりは要注意というお話でしたが、直射日光が当たるようなベランダは、熱を和らげるためにウッドパネルや人工芝、よしずなどを設置して環境を整えてあげてくださいともおっしゃっていましたよ。

写真:荻野千佳

 また、肥料についてなんですが、最初に肥料を与える「元肥(もとごえ)」と、あとで追加する「追肥(ついひ)」というのがあるそうです。ちなみに、培養土には最初から有機物が入っているので、元肥の必要はないとのことでした)

自然からの贈り物

※野菜作りを始めて、8年ほどということなんですけど、荻野さんは、野菜と向き合っている時に、どんなことを感じますか?

「やはり自然からの贈り物としての野菜は、ありがたいなっていうことにつきますね。やっぱり人間ですから、食べないと生きていけないので、感謝しながら収穫しているっていうところですね。

 あと野菜は成長がすごく早いので、成長している姿に気づいた時・・・数日前は背が低かったのに、あれっ! こんなに伸びているってなった時に、ちょっと恥ずかしいんですけれども、”うわっ! 君は頑張っているね、ありがとう!“みたいなことを、本当に声に出して話しかけてしまうことも、ほかの方がいらっしゃらない時になんですけれども(笑)ありますね」

●もう我が子のような感じですよね〜。

「確かにそんな感じですね〜」

●これから収穫を迎える野菜っていうと、どんな野菜になるんですか?

「まさに今楽しくてしょうがない、収穫期を迎えたなって感じなんですけど、やっぱり夏野菜ですね。代表的なのはトマト、ナス、キュウリといったもので、みなさんも(家庭菜園を)やっていらっしゃる方はもうワクワクが止まらないと思うんですけれども・・・。
 あとは春にタネをまいて収穫が終わったような、春菊のような葉物はもう終わっちゃった頃なので、少し空いている土地があれば、9月までに収穫まで終われるような、新しい野菜を育ててもいいかなと思います」

写真:荻野千佳

家庭菜園は体力がつく!?

※ご自分で野菜を作るようになって、食に対する意識が変わったりしましたか?

「例えばスーパーマーケットで売られている野菜を見て、自分も育てているので、この野菜はアタリかハズレかっていうのが判断できるようになりましたね。

 例えば大根なんですけど、食べる白いところをよく見ると、ちっちゃいくぼみの穴みたいなものが、てんてんてんと並んでいると思うんですよ。あれが両サイドに2列並んでいるはずなんですね。
 その並び方がまっすぐであればあるほど、中の組織も揃っているって目安です。成長の段階で問題なくすくすく育った証なので、そのてんてんのくぼみがまっすぐ並んでいるものを選んでいただけたらと思います」

●覚えておきます(笑)。野菜作りの生活を続けていて、ご自身の中で心身の変化とかもありましたか?

「やっぱり自分で育てて収穫する分、野菜をめちゃくちゃ食べるようになりましたね。旬の野菜をその時期にたくさん収穫することができるので、育て方の勉強に加えて調理法も畑の仲間に聞いたりとかして詳しくなりましたね。

 あと圧倒的に体力がつきましたね。私の場合、畑にいると土を踏んで作業するので、自然に体幹が鍛えられるといいますか・・・。あと自動車を持っていなくて自転車で行きますので、収穫期には行ったり来たりしながら運ぶっていう、まあ楽しい作業の中で自然に体力がつくようなこともあるかなと思います」

荻野千佳さん

●そうなんですね。これから家庭菜園で野菜作り始めてみようと思っている方に、ぜひアドバイスをお願いします。

「自分で育てた野菜を収穫して食べる楽しみはもちろんなんですけれども、野菜を見ていて癒されるとか、仲間や家族で楽しむとか、育てるだけじゃない、いろんな楽しみ方があると思うんですね。遠出しなくてもできる、日常に寄り添ったアクティヴィティなんじゃないかと思っています。

 収穫したてのトウモロコシとか枝豆は、お子さんも好きだと思うんです。甘みが強くて非常に美味しいので、遊びながら食べるっていうような身近な楽しみ方のひとつかなと思うので、簡単ですのでぜひ始めてみていただけたらいいかなと思います」


INFORMATION

『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』

『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』

 野菜作りを始める前の荻野さんに、8年後の荻野さんが野菜作りのアドバイスをするというストーリー仕立てになっています。全編マンガなので、絵を見てすぐ理解できます。また、図解による野菜の育て方や、野菜のミニ知識も掲載。超初心者に向けた野菜づくりの入門書です。ぜひお買い求めください。
SBクリエイティブから絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎SBクリエイティブ:https://www.sbcr.jp/product/4815618438/

 荻野さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。体験農園や、日々の野菜作りのレポートも載っていますよ。

◎荻野千佳さんのサイト:https://ogichika.com

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