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旅、サーフィン、米づくり〜自然とつながるシンガーソングライター東田トモヒロ

2023/7/9 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、旅とサーフィンをこよなく愛するシンガーソングライター「東田トモヒロ」さんです。

 東田さんは1972年生まれ、熊本市在住。2003年にメジャーデビュー。旅とサーフィン、スノーボーディングをこよなく愛し、自然に寄り添った暮らしや、旅をモチーフにして生まれる曲と、オーガニックなサウンドが多くのファンを魅了しています。

 そんな東田さんは、いち早くエネルギーと食べ物の自給自足に取り組んでいるほか、福島県相馬市の保育園にお米や野菜を届ける活動もされています。

 そして6月7日にデビュー20周年、通算16作目となるアルバム『Rough Morning』を発表されました。「ラフ・モーニング」というタイトルは、東田さん曰く、英語にはない言葉だそうですが、ある日、ライヴが終わって、海のそばに車を止め、ライヴの余韻や疲れもあって、そのまま寝てしまい、朝を迎えた時に、なんとなく車の中がちらかっていることがあったそうです。

 そして曲を作り始めたら、メロディとともに思いついた「ラフ・モーニング」というフレーズを口ずさんだところ、その言葉がしっくりきたので、残すことにしたそうです。

 そんな東田さんに熊本での暮らしぶりなどうかがうほか、デビュー20周年を記念するオリジナル・アルバム『Rough Morning』から旅をテーマにした新曲もお届けします。

☆写真協力:東田トモヒロ

東田トモヒロさん

曲のアイデアは旅先で

※東田さんは旅をモチーフに曲作りをすることも多いそうですが、今回の20周年記念アルバムに収録されている曲も、旅で出会った景色や人からインスピレーションを得て作ったとか、そんな感じなんですか?

「そうなんですよ。だいたい自分の場合、スタジオとか自宅でギターを持って、さあ曲を作ろうっていうんじゃなくて、ふとアイデアとして思い浮かぶんですね。それがどういう時が多いかっていうと、移動している時が多いんですよ。

 車で移動していて、走っている時になんとなくメロディを思いついて、それでボイスレコーダーで、そのアイデアを録っておいて、あとで聴き返す時にピアノの前に座ったり、ギターを持ったりして、あの時思いついたメロディにはどんなコードが合うんだろうとか、そうやって作っていくんですよね。

 だからツアーの途中で曲を作って、ひとつのツアーが終わったら、なんか1曲アイデアが残っていて、その結晶がアルバムっていうか・・・今回のアルバムもそうやって作りましたね」

●旅先で見た景色とか出会った人とか、そういったところからインスピレーションを得ていらっしゃるんですね。

「まさにその通りです。 『Traveling』っていう曲は・・・よく覚えているのが四国で信号待ちしている時にメロディを思いついて・・・あ、これいいぞと思って、ちょうど旅の途中だったから『Traveling』っていうテーマで書いてみようと思って、 四国を旅している間に作りましたね、歌詞まで全部。それをよく覚えていますね」

●ヘぇ〜! 四国だったんですね。

「愛媛でどこかの信号待ちしている時に・・・そうそう(笑)」

(*放送ではここで「Traveling」を聴いていただきました)

みんなで田植え、チャリティ米

※東田さんは地元熊本で農家さんから田んぼや畑を借りて、4家族でシェアし、役割分担しながら、お米や作物を育てているそうです。毎年育て方などを勉強し、10年ほど続けているそうですよ。今年も田植えを行なったそうですが、イネの苗は手植えなんですか?

写真協力:東田トモヒロ

「もう今ほとんど使われなくなったんだけど、手押しの田植え機っていうのがあって、それはもうほとんどの農家の方が使っていないので、余っているんですよね。だから安く譲ってくださったり、あるいはくれたりする場合があるんですけど、それを使っているのと、もうひとつ別の場所は(田植えをする時に)毎年呼びかけるんですよ、ワークショップとして。30人ぐらい集まってくださったりします。

 そこはなんでそういうふうにしているかっていうと、手植えでやるんですよね。手で植える体験を子供たちとか、大人もやったことない人たちを募って、総勢30人から40人ぐらいで手で田植えをしています。

 で、しかもそこの手で植えた田んぼで収穫したお米は、チャリティ米にして、福島の南相馬の保育園に送っているんですね。南相馬はまだ、飼料米しか作れないということで、給食のお手伝いをできたらなと思って、それも10年続けているんですけど、その手植えのゾーンはチャリティ田んぼにしていますね」

●九州の季節の野菜や果物とかも届けていらっしゃるんですよね? 

「それも一環で『チェンジ・ザ・ワールド』っていう活動をやっているんです」

●その保育園の子供たちに、お米や野菜を送ろうと思ったきっかけは、なにかあったんですか? 

「そこの保育園は原発の事故のあと、地域のものがほとんど食べられなくなって、僕らは安全な食べ物を食べられているんだけど、それで困っているというか必要とされているところに、なんか手伝いできたらなということで、東日本大震災のあと、1年後からそういう活動を始めたんですよね」

●そうだったんですね。

「そうそう、それを今でもお米という形で、毎年お米を作って送ることを続けています」

写真協力:東田トモヒロ

自然とつながる安心感

※今年、野菜は何を育てているんですか?

「もうね、野菜は諦めました(笑)」

●あれ!? どうしちゃったんですか?(笑)

「 あのね、野菜はやっぱり、毎日そばにいる人じゃないと無理かも・・・。だから、野菜はやめて果物とお米だけにしました! もう本当にね、大変ですね! 何でもかんでもやろうとすると・・・。やっぱり本業は音楽だから(笑)、無理しないでできることをやらなきゃなと思ったんですよ」

●果物とお米にしたんですね。

「果物とお米だったら、そんなに毎日見ていなくても大丈夫じゃん。オクラとか一回植えて、旅から帰ってくると、もうなんだろ、あれ・・・すっげえ巨大なハサミみたくでかくなって、もう固くて食べられないみたいになっちゃうから・・・」

●そうですね。お世話が大変ですよね(笑)。

「だから果物だったら、この時期! って決まっているじゃないですか。そこだけいれば、美味しく食べられるし、田植えも稲刈りもそんな毎日やるもんじゃないから・・・だから田んぼは意外とミュージシャン向きなんですよ、やったほうがいいと思う、ミュージシャンみんな」

写真協力:東田トモヒロ

●食べるものを自分で育てるとか、自給自足に近い生活を送るっていうのは、なにか理由があるんですか?

「いや、特に理由はないんですけど、単純に楽しいっていうのと、お米もそれまで長いこと食べてきたけど、どうやって作られているかって実際やってみるまで知らなかったから・・・。で、やってみたら、なかなか言葉では、ロジックでは説明しづらい、安心感っていうか、そういうものが得られるんですよね。

 自分が大地とつながって存在しているというか、それはすごくサーフィンと似ていて、海に入る時っていうのは本当に自分の身ひとつで、サーフボードはもちろんあるんですけど、すごくシンプルな形で自然とつながれるじゃないですか。

 太陽があって海があって砂浜があって、自分がこの地球というか自然の中に存在しているとすごく実感できるんですよ。田んぼとか、それこそ果樹を置いている山の一部、そういうところにいるだけで、自分がちゃんと自然とつながった存在としてあるっていう、それはすごく安心する要素なんですよね。

 自分を肯定できるというか、自分を確認できるし、あと静かに自分に自信が持てるというか、なんかそんな気がするんですよね。だからこれはやっぱり自分のために続けるべきだなというふうに思って、きっかけは些細な、ちょっとやってみたいなくらいのことだったんだけど、サーフィンと似ていて、気づけば自分のライフワークというか、欠かせない活動のひとつになっていますね」

(編集部注:東田さんが育てている果物は、この時期はプラムがたくさん成るそうですが、野鳥にも食べられてしまうので、どっちが先に採るか、鳥と格闘しているそうですよ。またこれからは、ブルーベリーの時期になるので、朝、実を採って食べる新鮮なブルーベリーの味は最高だとおっしゃっていました)

ソーラー発電は音がいい!?

※熊本のご自宅でソーラーによる自家発電を行なっているそうですが、なにかきっかけとかあったんですか?

写真協力:東田トモヒロ

「そういう暮らしを、オフグリッドっていう暮らしをしている人がいるっていうのは長年知っていたんですね。それこそ完全に自給自足しているというか、僕の友達にもいるんですよね。煮炊きは全部薪でやって、電気は僕と同じようにソーラー発電で蓄電して、電気をバッテリーから取って、それを使って山の水を引いて暮らしている、その人は完全にオフグリッドで阿蘇のほうに暮らしているんですけど、さすがに(僕は)そこまではできないなと思って・・・。

 でも自分の暮らしの中で、一部そういうスタイルでやれたらいいかもな、自分にはそのぐらいでいいかもなというか、それで電力の一部を自分で賄おうと思って、そういう暮らしをしている人にアドバイスをしてもらったんです。

写真協力:東田トモヒロ

 それを導入して、今自分が使っているスタジオが、小屋みたいなところがあって、そこにドラムセットとかアンプとかスタジオの機材を全部置いているんですが、そこの電気と、もうひと部屋ぐらいは全部ソーラーで賄っていて、スタジオは完全オフグリッドですね。

 なので、今回のアルバムも太陽の光でできた電力で作りましたね。6枚の(ソーラー)パネルがあって、バッテリーはゴルフ場のカートで使っているやつを4台置いていて、1200ワットは発電しているんですよ。十分にレコーディング機材はそれで動くんですよね」

●雨とか曇りの日はどうされているんですか?

「さすがです! そうなんです。だから曇りの日が3日続くと、さすがにバッテリーに負荷がかかっちゃうから、4日目はもう使わないようにしているんだけど、だいたい日本は4日目に晴れるんですよね~、いや〜わかんないけど、多分、多分ね(笑)」

写真協力:東田トモヒロ

●スタッフから聞いたんですけど、私がパーソナリティーになる前に、この番組にシアターブルックの佐藤タイジさんにご出演いただいた時に・・・

「あー、タイジさん!」

●ソーラー発電の電気で録音すると、音が良くなるっておっしゃっていたみたいなんですけど、それは東田さんもそう感じることはありますか?

「それはわかんないですけど(笑)、あ〜、タイジさん、多分メンタルから入っていると思う(笑)、これは音がいいぞ!って。でも確かに彼が言っていることも一理あって、バッテリーから割とロスがなく、発電した場所から距離がほとんどないから、そこでロスが生まれずっていうのは聞いたことはあります。

 だから(音が)ピュアだっていうふうに言っている人がいたのは覚えていますね。あとノイズが少ないとかね。そういう意味では、もしかしたらいいのかもしんないけど、エビデンスが(笑)、佐藤タイジの言っていることのソースとエビデンスがほしい(笑)」

スリランカでサーフ&ライヴ!

※東田さんのナチュラルなライフ・スタイルは、やはり音楽にも現れていると思います。その辺は意識されていますか?

「そこをなるべく意識しないように音楽に落とし込めたらいいなと思っているんですよね。意識しないでも、やっぱ出ちゃうでしょうね、音には。

 例えばジャック・ジョンソンとか、彼はそこまで意識せずとも、やっぱハワイの空気感って出ているじゃないですか。きっとノラ・ジョーンズだったらノラ・ジョーンズの暮らしの、ニューヨークなのかもわかんないけど、ちょっと都会的な雰囲気とかね。

 だから多分、自分も普段の暮らしとか、旅をしている時に感じていること、見聞きしていることっていうのは、やっぱり知らず知らずのうちに出るっていうのがいいんだろうなと思って・・・音楽と向き合う時はかえって意識しないようにしていますね。そしたらちょうどいい塩梅になるんじゃないかなというか・・・」

東田トモヒロさん

●デビュー20周年のアニヴァーサリー・イヤーの最後12月に、インド洋に浮かぶ美しい島、スリランカでライヴを行なうんですよね? なぜまたスリランカだったのですか?

「そうなんですよ。これね、スリランカでライヴをやります! っていうと、そういう名前のカレー屋さんでやるんですか? って言われる時もあるんですけど(笑)、本当にスリランカでやるんですよ!」

●あの、スリランカですよね?

「あのスリランカですね。これ、なんでかって言うと、一度行ったことあるんです、実は。プロモーション・ビデオの撮影で、『LIFE MUSIC』っていう曲の・・・それ今YouTubeにはもう(ビデオは)なくなっちゃっているんですけど、もう一回スリランカを旅する映像を撮りたいなっていうのがあるのと、どこかで(ライヴを)やりたいって思った時に、記念の年だし、そういう記念になるようなところ、例えば、憧れているライヴ会場とか、そういうのもいいなと思ったんだけど、なんかそれってありきたりだなと思って・・・。

 やっぱちょっと面白いことやりたいと思って、サーフポイントのすぐそばで(ライヴを)やりたいな~、しかも海外でやったら面白いんじゃないかなっていうのが(笑)、なぜって言われたら、たぶん面白そうだからとしか答えようがないですけど・・・」

●サーフトリップの聖地のひとつであるスリランカには、サーフィンをやりに行くんですか? ライヴをやりに行くんですか?(笑)

「両方ですね! だから日本から行きたいっていう方とは(スリランカに)一緒に行って、サーフィンをやったことない方がもしいらっしゃったら、僕も友達と一緒にサーフレッスンしようかなと思っているし・・・」

●えっ! すごい! 贅沢ですね~。

「ライヴは一回だけなので、あとは全部多分サーフィンしているんで、一緒に波乗りしましょうっていうツアーですね」

●もうサーフィンツアーですね(笑)

「ですね!」

(*ここで「Everything」を聴いていただきました)

☆この他の東田トモヒロさんのトークもご覧下さい


INFORMATION

『Rough Morning』

『Rough Morning』

 東田さんのデビュー20周年を記念するオリジナルアルバム『Rough Morning』にはきょうお届けした「Traveling」と「Everything」を含め、全部で7曲収録されています。ソーラー発電の電力を使って、自宅スタジオでレコーディングした曲はいい意味で力が抜けていて、聴いていると、とてもリラックスできます。旅気分満載のナチュラルなサウンドをぜひお楽しみください。お買い求めは東田さんのオフィシャルサイトから、どうぞ。

 また、東田さんは現在、『Rough Morning』リリース・ツアーを行なっていて、7月14日から北海道ツアーに突入します。

 そして、アニヴァーサリー・イヤーのファイナルとして12月6日にスリランカでライヴを行なうことが決まっています。

 12月5日から4泊6日のツアーが組まれていて、滞在は、ビーチとサーフィンで有名なスリランカの南海岸「ミリッサ」のホテルだそうです。旅行代金など含め、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎東田トモヒロ・オフィシャルサイト:http://live.higashidatomohiro.jp

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