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シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第18弾!〜「つながる」ウエブメディアとアップサイクル ・ブランド〜

2024/1/21 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第18弾! 今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「住み続けられるまちづくりを」「質の高い教育をみんなに」「貧困をなくそう」そして「つくる責任 つかう責任」に関係する事例をご紹介します。

 今回は業態の異なる、ふたつの会社の取り組みをクローズアップ! 前半はウエブメディアを運営するメディア・カンパニー「ハーチ株式会社」。そして後半は、アップサイクル・ブランドを展開する「ココロインターナショナル株式会社」の、それぞれの事業について、ご担当のかたにお話をうかがいながら、社会や環境に対する思いに迫ります。

メディア・カンパニー「ハーチ」

 まず、お話をうかがうのは、メディア・カンパニー「ハーチ」の「室井梨那(むろい・りな)」さんです。

 2015年、創業の「ハーチ」はウエブメディア事業を展開している会社で、スローガンは「パブリッシング・ア・ベター・フューチャー」=「よりよい未来をみんなに届ける」、ということで、サステナビリティ、サーキュラー・エコノミー、教育など幅広い分野でウエブメディアを企画・運営しています。

 社名の「ハーチ」は、「ハート」と「アーチ」を組み合わせた造語で、人の心と心をつなぐ 架け橋になりたいという思いが込められているそうです。

☆写真協力:ハーチ株式会社

メディア・カンパニー「ハーチ」の「室井梨那」さん

サステナブルでユニーク!?

●「ハーチ」が運営しているウエブメディアの中から、まずは「IDEAS FOR GOOD」について。これはどんなコンセプトのメディアなんでしょうか?

「コンセプトとしては、社会をもっとよりよくするっていうのが、テーマになっています。例えば、気候変動ですとか海洋プラスチックの問題みたいな、総称して社会課題と呼ばれるようなものを解決するための、ユニークなアイデアを紹介するウエブマガジンになっています」

●拝見させていただいたんですけれども、アートとかファッションとかフード、建築とか、いろんなジャンルに分かれているんですね。具体的にどんな記事があるのか教えていただけますか?

「私たちは、ユニークに解決するアイデアっていうところをすごく大事にしているんですね。例えば、先ほど海洋プラスチックの問題に触れたんですけど、河川の汚れをきれいにしたいってなった時に、ただゴミを拾いましょう、ではなくて、オンラインゲームの仕組みと合わせて、遠隔で河川の汚れを掃除できるロボットをゲーム感覚で操作して、川をきれいにできるシステムとか。

 使い捨てのビニール袋が有料になって、マイバッグを持ちましょうねって世界的になっていると思うんですけど、それもあえてお店で配るビニール袋をすごくダサいデザインにして、そうしたらみんな持ちたくないから、自分の家からかっこいい好きなマイバッグを持ってくるようになるんですよねっていう、ちょっとデザインと掛け合わせているとか、そういう形でワクワクだったりとか、楽しいって気持ちになるようなアイデアをいろいろ紹介しています」

●では、続いて「Livhub(リブハブ)」というものもありました。こちらもウエブマガジンですか?

「はい、“サステナブルな旅”をテーマに情報発信していて、“トラベル・ライフスタイル・マガジン”と呼んでいるんです。どうしたら自分の旅が、よりサステナブルになるかとか、あとそもそもサステナブルな旅ってなんだろう、みたいなものを問いかけて一緒に考えていくような、そういうメディアになっています」

●旅情報を発信するウエブマガジンっていうことになるんでしょうか?

「そうですね。大きく言うと旅情報の発信にはなるんですけれど、Livhubの編集部員は旅を通して、人と自然の関係とか、人同士の関係とか、自分と自分自身との関係、そういったいろんなものとの関係が、バラバラになってしまっているものがつなぎ直される、そういう力が旅にはあると信じて、ウエブメディアを運営しているメンバーなので、世界がよりそういう方向に向かっていくために、旅は何ができるかっていう、そういうことを発信しています」

●具体的にはどのような記事があるんですか?

「いちばんわかりやすいところで言うと、例えばホテルで、コンポストを導入しているホテルはこんなところがありますよっていう紹介とか、サステナブルに旅するためにどうしたらCO2をより少なくできるかとか、そういう具体的な方法を説明している記事もあります。

 あと文化的なところに触れて、編集部員が世界各地を旅して、感じたこと、触れたことをコラム的にご紹介しているものとか、あとはサステナブルな活動をしている、例えばホテルとか、実際にサステナブル・トラベルを自分で体現しているかたに取材をして、インタビュー記事を載せたりとかもしています」

(編集部注:紹介する情報は、世界各地にいるスタッフが集めて、それを日本語に翻訳して発信しているそうです)

Circular Yokohama〜横浜を循環型に

※続いて、「Circular Yokohama」について教えてください。

「これは“サーキュラー”と“横浜”、ふたつの言葉がついている通りなんです。サーキュラーは日本語で言うと循環ですね。横浜は神奈川県横浜市の横浜で、横浜という町をより循環型にしていくためのプラットフォームになっています」

●室井さんはこの「Circular Yokohama」を担当されていらっしゃるんですよね。どんなプラットフォームなんですか?

「プラットホームっていうと、結構わかりづらいなと思っているんですけど、テーマが『プレイフル・サーキュラリティ、循環を遊ぼう』っていうふうに言っています。サーキュラーとか循環、最近だとサーキュラー・エコノミー、循環経済とかってニュースでよく聞くと思うんですね。

 エコノミーって言葉を聞いた時に、みなさん何を思い浮かべますか? って言うと、どうしても固いイメージとかで、自分の生活に結びついている感覚があるかたは少ないと思うんですね。でも、循環とかサーキュラーって、本当はもっと楽しくかっこよく体験できるものなんだよ! っていうのを訴求したくて、このプラットホームを運営しています」

写真協力:ハーチ株式会社

●どんなことに取り組んでいらっしゃるんですか?

「ウエブの会社なので、ウエブメディアは作っていて、先ほどご紹介したようなほかのメディアと同じように、インタビュー記事とか横浜市内のサーキュラーな情報発信ももちろんしているんですけど、会社の中ですごくユニークなのが、Circular Yokohamaは実際に活動拠点を横浜市内に持っているんですね。

 なのでウエブ、いわゆるインターネット上の活動だけじゃなくて、実際に市民のかたがたにサーキュラーなものを見ていただいたり、触れていただいたり、そういう展示会をやったりとか、あとはものづくりするイベントを開催したりとか、顔の見える関係性を保って活動しています」

(編集部注:「Circular Yokohama」では「めぐる星天(ほしてん)」というイベントで、新しく英会話カフェが始まったそうです。興味のあるかたはぜひ、ハーチのサイトをご覧ください。https://circular.yokohama/2023/12/11/englishcafe_circularoctober/

3つのP〜 PEOPLE. PLANET. PROSPERITY

※「ハーチ」はメディア・カンパニーとして大切にしているテーマがあるそうですね。

「私たち3つのPを大事にしています。それが「PEOPLE(ピープル)PLANET(プラネット)PROSPERITY(プロスペリティ)」の3つですね。日本語で言うと、「人・環境・繁栄」の3つを大事にしています」

●具体的にそれぞれ簡潔に教えていただけますか?

「はい、まずPEOPLE、人っていうのは、やっぱり人がつながり合うことで、個人としての幸せ、あとは組織社会全体としての幸せだったり、その幸せがあるから社会全体、地球全体が持続可能性になるよね、持続可能サステナブルだよねっていうところで、まず人を軸にすごく大事にしています。

 その上でやっぱりPLANET、つまり環境とかこの地球上っていうもの・・・人間というと、どうしても人間と自然って別のものみたいに考えがちなんですけど、私たち人間もこの自然の循環の一部だよねっていうことです。

 私たちが活動するってことは、まさに自然が循環していくってことなので、自分たちが活動することで生態系とか、地球の循環全体をプラスにしていきたいよねっていうような思いで、PLANETがふたつ目に置かれています。

 最後にPROSPERITYってちょっと難しいんですけど、繁栄っていう意味で、人が幸せで、それによって地球も持続可能になって、そうすることで人と自然は分断を起こさずに、お互いがつながり合った状態で持続可能に繁栄できる、つながり合って栄えるよね! っていうことで、最後にPROSPERITYを大事にしています」

●番組としては「PLANET」に関して、どんな活動をされているかをお聞きしたいんですけれども、具体的にご説明いただけますか?

「メディアとしては情報発信を通して、今ご紹介したように、自然と人を切り離すんじゃなくて、あくまで人は自然の、生態系の一部だよねっていうところを軸にして情報発信をしているんですね。それによってどうしたらサステナブルになるかっていうのは、私たちのメディア全体としてのテーマにあります。

 実際の行動として、私たち、どんなことしているんですか? っていうところに関しては、オフィスで出てしまうゴミを減らすために、コンポストをもちろん置いていますし、あと捨てるゴミも毎回計量しています。どのぐらいゴミが出てしまっているかを、重さを測って、みんなで改善できるところしていくっていうこともしています。

 あと仕組みとして、私たちのメディアに訪れてくださったかたの人数、PVプレビューの数なんですけど、その数、人が訪れるごとに1円とカウントして、毎年訪れてくださったかたの人数分×1円を、社会とか環境に対して働きかける活動をしているかたがたに寄付をしたりとか、そういった形で実際に我々も何か行動を起こす、発信するだけじゃなくてっていうことを意識しています」

●そうなんですね! ゴミを計るっていうのもいいですね。

「実際にやってみると、思ったよりゴミが多かったりとか、あと(ゴミを)計るために一回全部、ゴミ箱に入ったものを出して広げたりするんですね。思いのほかプラスチックが多いねとか、逆にあれ? なんでこんなものが捨てられているんだろうってものが出てきたりだとか・・・ただ計るだけと思うんですけど、侮るなかれで、結構いろんな気づきがあります」

小尾 渚沙

 後半はアップサイクル ・ブランド「Coco&K.」を展開されている「ココロインターナショナル」の代表「井上伸子」さんにご登場いいただきます。

 「Coco&K.」は、井上さんが2006年に立ち上げたブランドで、製造の拠点はフィリピンにあります。原材料は、捨てられたジュースのアルミパッケージで、それをアップサイクルして、カラフルで可愛いバッグやポーチ、財布などに生まれ変わらせています。井上さん曰く「作る人、使う人、そして子供たちに笑顔と幸せを運ぶ」ハッピーなプロジェクトのブランドだそうです。

☆写真協力:ココロインターナショナル

「ココロインターナショナル」の代表「井上伸子」さん

フィリピンで運命の出会い!?

※そもそもなんですが、フィリピンに行ったのは、どうしてなんですか?

「もともとアジアンテイストの雑貨が好きで、アジア版ソニープラザみたいなのをやりたいなっていう夢が漠然とありました。日本の展示会にも行っていたんですが、フィリピンでも面白い展示会があるよっていうことを聞いて行ったのが、運命の始まりでしたね」

●フィリピンのどのあたりに行かれたんですか?

「フィリピンのマニラの市内で展示会はあったんですね。マニラには初めて行ったんですが、マニラに着いた時、すごくショックを受けたんですね。道路を歩きますとボロボロの服だったり、靴を履いていない子供たち、あと物乞いをしている子供たち、そんな子にたくさん出会ったんですね。

 私も当時同じぐらいの子供がいたので、ものすごくショックで、フィリピンっていう国のことは少しは想像していたんですけれども、本当に想像をはるかに超えていて、ショックで悲しくなってしまって・・・。

 そんな気持ちのまま、翌日、展示会に行って、そこでこのカラフルなバッグと出会って、一目惚れして、話を聞いてみたら、これは廃材を使って作っている、あと女性の雇用、女性のためになるもの、あと子供たちのためになる活動をしている、そんな話を聞いて、すごく感動したんですね。その時にこれだ! これを日本に連れて帰りたい! って思ってしまったんです」

写真協力:ココロインターナショナル

※井上さんがマニラの展示会で一目惚れしたカラフルなバッグは「キルス・ファウンデーション」という地元のNGOが作ったものだったんです。団体名にある「キルス」には、どんな意味があるんですか?

「キルスっていうのは、KILUSって書くんですが、これはフィリピンのタガログ語で、それぞれの頭文字の意味が込められていて、『愛国心・ひとりひとり・目的・発展・ふるさと』というタガログ語の頭文字を取って付けられているんですね。

 自分たちの住む街を世界一美しく緑あふれる街にしようっていう、そんな合言葉で生まれたボランティア団体でした。当時は川の汚れで悪臭もひどくて、そんなことで地区長さんが立ち上げたのがこのボランティア団体だったんですね。

 川のゴミを拾って街をきれいにしようということを呼びかけて、それと同時にやっぱり子供たちを学校に行かせる必要性があるよっていうことも呼びかけて、それだけじゃなくて、女性の収入になるためにっていうことで、自宅の脇に小さな工場を建てて、リサイクルバッグを作り始めたっていうのがジュースバッグの始まりでしたね」

写真協力:ココロインターナショナル

(編集部注:マニラの展示会で一目惚れした井上さんは、その場で200個注文したそうなんですが、当時「キルス・ファウンデーション」は小さな団体で、連絡方法もファクスしかなく、注文したものが届かないとか、やっときた商品もサイズがバラバラで汚れていたりなど、日本の市場で販売できるような状態ではなかったそうです。

 そこで井上さんは、現地の工場に何度も足を運んで、働いている女性たちにメジャーの使い方を教え、何度もやり直してもらって、やっと商品づくりと仕入れを軌道に乗せることができたそうです。

 現在は、廃棄されたアルミのジュースパックの回収、洗浄など、生産工程がしっかり組まれているとのことですが、実は商品づくりは全部手作業なんです。工場では50人ほどが働き、自宅で作業する女性たちを含めるとトータルで200人くらいのかたがバッグやポーチなどを作る仕事についているとのこと。

 また「キルス・ファウンデーション」の地道な活動が功を奏し、川も街もきれいになり、工場で働く女性の子供たちは学校に通えるようになっているそうです。「キルス・ファウンデーション」は未来のために子供の教育にも熱心に取り組んでいるとのことです)

写真協力:ココロインターナショナル

丁寧に愛を込めて、使う人も幸せに

※井上さんが現地のスタッフのかたがたを見ていて、いちばん感じることはどんなことですか?

「みんな(私が)行くとすごく笑顔で迎えてくれて、お仕事も楽しそうにしていますね。この仕事にみんな誇りを感じているし、今ではもう私が及ばないぐらい上手に作ってくれる、みなさん素晴らしい技術者になっています。

 丁寧に大切に愛を込めて作ってくれているのが感じられるので、だからこのバッグは、使う人も幸せにしてくれているなっていうことをすごく感じます。使っている人から、これを使うと本当に元気になれるよとか、明るい気持ちになるって言ってくださるんですよ。みんなにプレゼントしたくなるわって言って、プレゼントされた人がまた大好きになって、どんどんご縁がつながっていく感じが素晴らしいなって感じています」

●日本でもエシカルっていう考え方がどんどん広まってきていると思うんですけれども、今後特に取り組んでいきたいことってありますか?

「そうですね・・・エシカルとかサステナブルとか、難しいことはわからないですけれども、やっぱりこの活動を長く続けていくことがいちばん大切だなと・・・。一時の流行り廃りで終わらせたくないっていうことはずっと思っていて、長く続けることですね。

 あと、若いかたの意識がエシカルとか、昔の私たちよりずっとずっと素晴らしくなっているので、逆に教えてもらいたいこともたくさんあります。このアップサイクルのバッグも、もっともっと可能性があると思っていて、若いかたの力を借りてデザインの面でも、デザインを勉強しているかたのアイデアをお借りしたり、もっともっと新しいものが作り出せたらいいなと思っています」

●最後に今いちばん伝えたいことを教えてください。

「今いちばんは、やはりこのCoco&K.のバッグを日本中のみなさんに使ってもらいたい、手に取ってほしいということですね。まずは可愛いと思ってもらって、それから作られている背景や、環境問題、雇用問題、教育問題にも貢献できるかな、なんてことにも目を向けてもらえたら嬉しいですね。

 あとは最後に、私自身もこのバッグのおかげでたくさん素晴らしいご縁をいただいてきました。ハーチさん始め多くの人が支えてくださって、そして長く続けてくることができました。このバッグとこれを始めてくれた『キルス・ファウンデーション』のエルサさんと、キルスのメンバーのみんなに感謝の気持ちを伝えたいです」


INFORMATION

メディア・カンパニー「ハーチ」

 メディア・カンパニー「ハーチ」はきょうご紹介した以外にもユニークなメディアを展開しています。ぜひオフィシャルサイトにアクセスして、体感していただければと思います。

◎ハーチ :https://harch.jp

写真協力:ココロインターナショナル

 「ココロインターナショナル」のアップサイクル・ブランド「Coco&K.」では、カラフルで可愛いバッグやポーチなどを販売しています。ほんと気分が上がるし、オフィシャルサイトを見ていると、誰かにプレゼントしたくなるようなアイテムがたくさんあります。ぜひご覧ください。商品は、オンライン・ショップで購入できますよ。

◎Coco&K. :https://www.coco-k.jp

◎Coco&K. オンライン・ショップ:https://www.coco-k.jp/onlineshop/

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