2024/9/22 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ドイツ・ミュンヘン在住のシンガー・ソングライター「NILO」さんです。
2007年にボサノヴァ・シンガーとしてメジャー・デビューしたNILOさんは、関西を拠点に音楽活動をしながら、ふるさと札幌でラジオ番組のDJ、さらには趣味の自転車やトライアスロン、アウトドアの体験を雑誌に寄稿するなど、マルチに活躍。
また、元バックパッカーで世界をひとり旅。その後、サイクリストとしても活動していたアクティヴ派で、以前この番組が女子チームを組んで、モンベルの環境スポーツイベント「SEA TO SUMMIT」に出場したときに、自転車のパートを担っていただき、10数キロを激走していただきました。
その後、ひとり旅でハワイの山をトレッキングしていたときに、ドイツ人の男性と知り合い、電撃結婚! 2011年からドイツで暮らしていらっしゃいます。
最初はドイツ語がうまく話せず、また、すぐにお子さんを授かったこともあり、子育てに追われ、慣れないドイツでの生活は毎日大変だったそうです。また、日本にいた頃は、仕事人間だったNILOさん、ドイツではゼロからのスタートとなり、なかなか仕事が見つからず、それもつらかったそうですよ。現在はドイツと日本を行き来しながら、精力的に音楽活動に取り組んでいらっしゃいます。
今回は、現在ミュンヘンで暮らしていらっしゃるNILOさんにリモートでご出演いただき、環境先進国といわれるドイツでの暮らしや、人気のアウトドア・アクティヴィティのほか、ライヴ活動のお話などうかがいます。
☆写真協力:NILO
本場ドイツのビール・フェス!
●NILOさんが暮らしているミュンヘンは、ドイツでは3番目に大きな都市なんですよね。
「結構大きいです。私ふるさとが北海道の札幌なんですよ。同じくらいの大きさで、札幌と似たような感じですね。ここは仕事があるので、以前はたぶん120万人くらいの都市だったんですけど、今は200万人に近いくらい人が増えていますね」
●NILOさんが暮らしていらっしゃる街は、中心地に近い感じなんですか?
「そうですね。去年引っ越しをしたんですけど、その前までは本当に中心地に歩いて行けるぐらい街中に住んでいました。でも今も、自転車でも地下鉄でも20分圏内っていう感じなので、まあ中心地って感じだと思います」
●公園とかはあるんですか?
「ものすごくありますよ。ミュンヘンって、ドイツ全体がたぶんそうなんですけど、緑地面積の広さが結構有名で、緑がとっても多いんですよ。海があまりない分、緑が大事っていうか、みんな自然が好きなんで、緑はものすごく多いですね」
●素敵な場所ですね〜。
「そうですね。特にミュンヘンは治安もとってもいいので、ファミリーには向いているかなと思います」
●この時期は季節的には秋っていう感じですか?
「そうですね。最後ちょっと暖かくなって、9月の終わりぐらいに毎年オクトーバー・フェストっていうのがあるんですけど、それが終わると寒い冬がやってくるって感じで、そこから長いんですよ(笑)。3月ぐらいまでなかなか暖かくならないんで、厳しい冬が来るって感じですね」
●オクトーバー・フェストって、あのビールのフェスですよね?
「そうです!」
●私、ビールが大好きで、日本で開催されているオクトーバー・フェストはよく行くんですけども、いつか本場のオクトーバー・フェストに行ってみたいっていう夢があるんですよ〜。
「もうね、すごいお祭り騒ぎなんで、まあでも1回は来たらいいよって、みんなにお勧めしています! 2週間、開催されるんですけど、その2週間はミュンヘンはエラいことになっていますね。道を酔っ払いの人が歩いているみたいな感じなので、フラ〜フラ〜ってしている人が多かったりして・・・(笑)。
本当の地元の人はあまり行かなかったりもするんですよ。”もうあれはいいわ。疲れるから〜”みたいな、人混みがすごいので・・・でも2週間で一応、毎年600万人くらいの来場者があるらしいですよ」
●ドイツといえば、やっぱりビールってイメージはすごくありますよね〜。
「ええ、美味しいですよ。地元地元のいろんなビールが楽しめるようになっていて、あまり外に出さないんですよね。輸出したりするビールはすごく少ないので、来ないと飲めないっていう感じのコンセプトがあるんですよ。なので、そのビール巡りとかをするのも結構楽しいですね」
●いつか絶対行ってみたいです!
「ぜひ! ぜひ来てほしいです! ビール好きは本当に楽しめますよ」
クロアチアでアイランド・ホッピング!?
●NILOさんは、とにかくアウトドア派なんですよね?
「そうです。気がつけば(そうなってましたね)。ミュージシャンって結構インドアが多いんですよ。私もインドア生活がすごく長いとそうなっちゃう・・・やっぱりずっとものを作ったりすると、全然外に出なくなっちゃうので、若い頃から意識的に体を動かしたりするように気をつけていて、それでアウトドア(活動を)するようになったのかなっていう感じはしますね」
●山登りもそうですけれども、サイクリストでトライアスロンにも挑戦されていたということをお聞きしたんですが・・・?
「そうですね。最近は大会はなかなか出られないし、モチベーション的にもちょっと難しくて・・・早く走るとか競うっていうのが、モチベーション的に最近はあまりないんですけどね。トライアスロンは変わらず、長い間一緒に練習している仲間がいるので、まあゆっくりですけど、走ったり自転車に乗ったり泳いだりというのはコンスタントにやっていますね」
●ドイツでもアウトドアは結構楽しんでいらっしゃいますよね?
「そうですね。こちらは休暇がすごく多くて、子供がだいたい2ヶ月おきぐらいに2週間、学校の休暇あるんですよ。暦でちゃんと祝日があるんですけどね。休暇が多いので、やっぱりどこかに連れて行くっていう感じになっちゃうから、キャンプに行ったり、山に行ったり、川に行ったりとか、いろいろアウトドアしていますね」
●具体的にNILOさんのお気に入りのフィールドはありますか?
「家族で毎年同じ場所にキャンプに行っているんです。クロアチアにキャンプに行っていまして、結構クロアチアってドイツ人に人気あるんですよ。日本からはあまり想像がつかないと思うんですけど、意外と近い、そんなに遠くなくて、車で6時間ぐらいなんですね。で、海があって、島がいろいろあって、私たちは船に乗るのが好きで、私、船舶免許を、いつだったかな・・・それこそコロナの時に取ったんですよ」
●ええっ!? すごい〜!
「コロナで仕事がなくなって、ぽっかり時間ができたんで、なんかやろうかなと思って、その何年か前に旦那が先に取っていて、そのうち私も取ろうと思っていたので、船舶免許を取ったんですよ。
なので、クロアチアにキャンプに行って、クロアチアはあまり波がないんで、たまに揺れる時もありますけど、まあまあ凪いでいるので、船でちょこちょこっと島をホッピングするっていうのが楽しみです。
ギリシャも結構近いし、イタリアとかも近いので、船に乗る人がヨーロッパってとっても多くて・・・なので、その辺の島をホッピングしている人たちもいっぱいいて、そういう人たちと交流したりとか、そんな楽しみを毎年やっていますね」
(編集部注:NILOさんによると、ドイツのかたはアクティヴな人が多くて山登りに、スキーやスノーボード、そしてミュンヘンには川や湖がたくさんあって、ウインド・サーフィン、さらには、フランスまで行ってサーフィンをやるかたもいるそうですよ)
環境先進国ドイツの環境教育
●NILOさんの好きな自転車は、ドイツではどうなんでしょう?
「自転車はすごいですよ、本当に! ここ2年ぐらい、すごくロードバイクが流行っているみたいです。もともと(自転車は)少なくなかったんですけど、最近ちょっと溢れ返るぐらい増えていて、ドイツには自転車専用道があるんですけれど、それじゃ足りないぐらいになってきているので、自転車専用道を増やしたりとかしているぐらい盛んですね」
●ミュンヘンの街も自転車は走りやすい感じなんですか?
「基本的にはとっても走りやすいです。ちゃんと左右の方向とかもはっきりしているし、看板もちゃんと出ていて、“ここは走行、自転車はオッケー”とか“車はダメ!”とかもはっきりしているので、走るところがわかりやすいというか、そういう意味ですごく走りやすいですね」
●NILOさんの好きなサイクリング・コースはあるんですか?
「やっぱりあまり車がないところのほうが走りやすいし、サイクリング・ロードは本当にたくさんあるので、半分オフロード的な、そんなに激しくないですけどね(笑)。半分オフロードっぽい感じのサイクリング・コースで、川沿いとか目指していたりとか、湖を目指したりして走ったりとか、そんな感じですかね」
●環境先進国と言われているドイツですけれども、実際に暮らしていて、エネルギー面だったりとかゴミの削減だったりとか、これはいいなって思うような取り組みってありますか?
「最近の日本も似たような取り組みをしているんじゃないかなと思うんですけど、たぶんドイツのほうがそういうのは早くて、たとえばレジ袋とか、かなり昔からなかったんですよ。自分で袋を持って行く、袋を再利用したりとか、もともと袋は有料だったので、10年以上前、私が住み始めた頃からレジ袋とかなかったですね。
あとは、やっぱり子供の教育が、学校での環境に対する意識を持たせる教育がすごくて、小さい子どもがゴミをあまり出さないように意識したりとか、プラスチック(ゴミ)をあまり出さないようにっていうことを考えていたりとか、子どものレベルで、学校で教えていることがちょっと違うのかなっていうのは、すごく思いますね」
●学校で環境教育の授業があるっていう感じなんですか?
「そうですね。授業の一貫で、たとえばゴミを使って工作をしたりとか、社会見学的なことをして、ゴミがどういうふうに処理されているのかを、日本でもあると思うんですけど、ドイツはそういうのを頻繁にやっているって感じですかね。だから、ちっちゃい子がそういうのを意識した発言をすることに、びっくりする時がありますね」
日本の80’s、ドイツで大流行!?
●NILOさんは、現在ドイツと日本でライヴ活動をされています。ドイツでは、どんなところでライヴをやることが多いんですか?
「私今、二本立てというか、ふたつの違うジャンルを同時進行で活動していて、ひとつはずっと昔からやっているボサノヴァのフィールドで、ジャズ・バーとかを中心に、あとはビーチ・イベントとか、そういうところで歌ったりしています。
で、もうひとつは今ヨーロッパで若い人を中心になんですけど、日本の80’sの曲がすごく流行っているんですよ。私世代は逆に知らなくって、それよりも若い人たちが、10代とか20代の人たちを中心に、80年代の日本の曲が流行っているという、そういうフィールドがあるんですよね。
“アニメ・コンベンション”っていって、アニメとかゲームが好きな子たちが集まるようなイベントとかで、日本の歌を80’sとかを中心に歌って、自分もそれで(曲を)書くようになったんですけど、ちょっと懐かしい感じの日本の歌、歌謡曲とか、シティ・ポップを歌って、あとは今、日本のイベントも、日本自体がすごくブームで、たぶんフランスもちょっと早めにそのブームが来ていて、ドイツにその後、日本ブームが来たっていう感じですね。
私が昔から出ていた日本系のイベントも、昔はもっとちっちゃかったんですよね。でも今は本当に何千人っていう人が来るようになって、イベント自体が大きくなって、私もやっぱり歌う機会が増えて、日本の歌とか80‘sの歌を歌ったりする機会が今年は特に多くなりましたね」
●80年代の曲をカヴァーしたりとかされるそうですね?
「そうです、そうです! 私が子供の頃ってインターネットとかなかったので、私の世代は・・・(笑)。だからまさか外国の人が日本の曲を聴くようになるなんて思っていなかったんですよね。それを叶えたいというか、外国の人が自分の母国語の歌を聴いてくれたらいいなっていう気持ちはずっとありましたけど、そういうふうになるのは難しいんだろうなと思っていましたね。
でもいつの間にか、インターネットでこういうふうになって、今本当にいろんな人が、どこに住んでいても別に言葉がわからなくても、好きだったら聴けるっていう環境ができて、まさかこんなふうに自分の母国語でドイツで歌って喜んでもらえる日が来るとは思っていなかったから・・・それはなんかすごく感動的なことだし、半分ぐらいはやっぱり起こらないと思っていたことだったから、すごく奇跡的に感じている部分もあって、でも本当に嬉しく思っているっていうことをいつも(ライヴの時に)伝えています」
●カヴァーする時は日本語のままで歌われるんですか?
「はい、日本人がちゃんとネイティヴの日本語で歌うのが、彼らにとってはすごく珍しいことなんですよね。なのであえて、やっぱり“日本語でぜひ歌ってほしい!”っていう要望もあるので、日本語で歌っていますね」
ジャパン・ツアー、コンセプトは「懐かしさ」
●日本でのライヴ・ツアーが決定しているそうですね。いつからいつまでのツアーなんですか?
「9月25日、札幌からスタートして、今回あっという間なので9月30日まで。本当にぎりぎり9月最後まで歌って、その翌日にドイツに帰るって感じです」
●場所は札幌から始まって、その後は・・・?
「札幌で2回やって、その後、大阪、名古屋、湘南、東京と来て、帰ります」
●そうなんですね。今回のツアー・メンバーはどんな感じなんですか?
「私が日本に来たら同じメンバーでやっているんですけど、大体同じかな・・・ 北海道だけ、伝統楽器をやっているメンバーがいて、彼らは伝統音楽だけじゃなくて、ジャズとかポップスとかにも果敢に挑戦して、即興演奏をしたりする人たちなので、尺八と三味線を入れて札幌ではやったり・・・。
大阪、名古屋はこじんまりとベースとギターとボーカルだけで、デュオで回すんですけど、湘南、東京はバンドで、あとパンデイロとギターが入るので、結構派手にバンド演奏できる感じになるかなと思います」
●場所によって、いろいろ(ライヴの)カラーが違うんですね?
「そうですね。なので、プログラムもちょいちょい変えつつ、あとはメンバーが違うので、聴こえ方はその会場会場で違うかなと思います。お近くのかたにはぜひ楽しんでいただきたいです」
●今回のジャパン・ツアー、ここに注目してほしいというのがあれば、ぜひ教えてください。
「今回、私がヨーロッパで80年代の曲を中心に歌っていることで、自分もそういう80年代テイストを出した『懐かしさ』をコンセプトに曲作りしているんですね。で、私のオリジナル曲もやりますし、ボサノヴァだけじゃなくて、80’sの曲も少しやろうと思っているんです。
特に私の上世代とかは懐かしい感じもあると思うんですが、コンセプトが『懐かしさ』なので、ぜひ一緒に、“あれっ! これ懐かしいな~”みたいな、ちょっと自分の若い頃を思い出したりとか(笑)、そんな感じで来ていただいたりしても嬉しいなと思っています。特にこのベイエリアの近くのかたがたは東京、湘南あたりに来ていただけるかなと思うので、ぜひチェックしていただければ嬉しいです!」
(編集部注:実はNILOさん、コロナ禍でライヴ活動ができない時期に、ドイツの大学でオーディオ・エンジニアの勉強をされ、専門用語と格闘しながら、コンソールや機材の使い方、そして録音のノウハウなどをマスター。その集大成ともいえるのが、作詞・作曲・編曲はもちろん、レコーディング、ミキシング、そしてマスタリングまで全部ひとりでこなして完成させた、7月リリースの新曲「フィール・ザ・フロー」で、この日のラスト・ソングとしてオンエアしました)
INFORMATION
NILOさんの今月9月のジャパン・ツアー、日程と会場をおさらいしておくと・・・
9月25日(水)「札幌D-BOP (ディーバップ)JAZZ CLUB」
9月26日(木)同じく札幌の「純喫茶オリンピア」
9月27日(金)大阪・東心斎橋「真心場(まほろば)」
9月28日(土)名古屋・今池「imago(イマーゴ)」
9月29日(日)江ノ島・虎丸座(とらまるざ)
9月30日(月)表参道・ZIMAGIN(ジマジン)となっています。
ぜひライヴ会場にお出かけください。会場によってはソードアウトになっているところもありますので、詳しくはNILOさんのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎NILO:https://officenilo.com