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ハーブの香りに包まれて〜あなたを癒すハーブのある暮らし

2024/10/13 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京都青梅市で「lala farm table(ララファームテーブル)」という農園を営むハーブ農家の「奥薗和子(おくぞの・かずこ)」さんです。

 奥薗さんはドイツのお花屋さんで働きながら、専門の学校に通い、「マイスター・フローリスト」の資格を取得。その後、日本に戻ってからは有機農業を学び、2019年に青梅市にハーブ農園を開園されています。そして先頃、『ドイツ式 ハーブ農家の料理と手仕事〜育てる、味わう、丸ごと生かす』という本を出されました。

 きょうはそんな奥薗さんに、ドイツのマイスター・フローリストの資格やハーブを使った意外なレシピ、そして里山にあるハーブ農園のお話などうかがいます。

☆写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

奥薗和子さん

マイスター・フローリストの専門学校へ

※奥薗さんは、日本でフラワーアレンジメントの教室に通っていたそうですが、理論がしっかりしている本場ドイツで、アレンジメントを学びたいと思い、2002年にドイツに渡ります。

 そして、ご本人曰く、チンプンカンプンだったドイツ語を習得するために、半年ほど語学学校に通い、その後、フローリストとして、ドイツ国内3つの街のお花屋さん、いちばん長く働いていたのは、ベルリンにあるお花屋さんで7年ほど、2014年に帰国するまで働いていたそうです。

 そんな奥薗さんは「ドイツ・マイスター・フローリスト」の資格を持っていらっしゃいます。

●これはドイツの国家資格ですよね?

「はい、ドイツの国家資格です。ドイツ人がドイツでお花屋さんを開きたい時に、その資格がないとお店を開けないんですね。そのマイスターの資格になります。私たち日本人とかは、そこで学べる実技だったり理論が、より高度なものなので、それを求めてマイスターの資格を取りにドイツの学校に行きました」

●マイスター・フローリストの資格を取るための、専門学校のようなスクールがあるんですか?

「マイスター学校も各地に何校かあるんですけれども、そこで教えてくださる先生がたが違いまして、その先生の作風だったりとか、教え方とか、どういうものを教えてくれるかで、その学校に通って学べることが全然違ってくるんですね。

 理論とか基本的なものは統一されているんですけれども、私はやはり自然素材を使ったアレンジメントがすごく好きだったので、そういうナチュラルなアレンジメントが得意な先生がいる学校を選んで、そちらに通いました」

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

●何年ぐらい通われたんですか?

「1年半から2年間ぐらいの間になりますね。そこで寮生活を送りながら、授業がある時期はマイスター学校に通って、授業がない時期はお花屋さんで働いていました。働きながら通える学校だったので、そこに通いながら1年半から2年ほどの間で資格を取りました」

●どんな勉強をされたんですか?

「科目が結構いろいろありまして、基本的なドイツのフラワーアレンジメントの理論だったり、お花の素材についてとか、色彩学だったり・・・。あと作品を作るためのデッサンも必要になってくるので、スケッチの授業があったり・・・。あとは実務的なところで、経営学や簿記、お店のレイアウトを考えたり、デザインするとか、そういう授業などがありました」

●すごい! 多岐にわたっていろいろ学べるんですね?

「そうですね。お花屋さんを開くための学校なので、実際に開くときに、必要なことをすべて教えていただけるっていうことで・・・そう! 農薬の扱い方も学んだりとかして、その資格も取りに行きました」

(編集部注:ドイツの国家資格マイスター・フローリストの試験は2日間にわたって行なわれ、花束やリース作り、空間装飾などの実技と、法律や簿記などに関する筆記試験があり、とても難しかったそうです。奥薗さんは過去に出された筆記試験の問題を、ドイツ語と格闘しながら、必死に暗記し、なんとか乗り越えたとおっしゃっていましたよ)

ハーブが身近にある暮らし

※ではここからは、奥薗さんが先頃出された本『ドイツ式 ハーブ農家の料理と手仕事〜育てる、味わう、丸ごと生かす』をもとにお話をうかがっていきましょう。

『ドイツ式 ハーブ農家の料理と手仕事〜育てる、味わう、丸ごと生かす』

 この本には、ハーブやお料理のレシピのほか、ドイツでの日々の暮らしで体験したことなども書かれています。ドイツのかたは、暮らしの中にいつもハーブがある、そんな感じなんですか?

「そうですね。やはりいちばんよく感じたのは、お花屋さんでお花と一緒に鉢物も一緒に販売するんですけれども、ハーブの季節になるとお花屋さんの店頭でもハーブをいろいろ売ったりします。あとスーパーとかマルシェとかに行きますと、お野菜と一緒にハーブがたくさん売られていて、みなさん、週末に作るお料理のお野菜を買う時に一緒にハーブを買いに行くっていう光景をよく見ておりました」

●ドイツのみなさんは、暮らしにハーブを取り入れているっていう印象が強いっていうことなんですね?

「そうですね、はい。職場やお花屋さんでも給湯室にハーブの苗が置いてあって、お仕事しながら休憩時間に給湯室に置いてあるハーブをちょっと摘んで、それをマグカップに入れて、お湯を注いでハーブティーを飲んでいたりとかしていましたね。
 朝は目覚めのコーヒーを飲み、午後からはハーブティーを飲んだりとか・・・。カフェインで夜眠れなくなるから、その代わりにハーブティーを飲んでいますっていう同僚も多かったですね」

●へぇ~いいですね。職場の給湯室にハーブってすごくおしゃれですね!

「そうなんですよ!(笑)」

●ぜひ日本の職場にもそれが普及したらいいですね~。

「すごくいいと思います!」

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

●この本では代表的なハーブ20種類の説明、育て方、そしてそのハーブを使ったお料理のレシピなどが紹介されていますけれども、レシピ本としても楽しめる本だなというふうに感じました。

「ありがとうございます」

●初心者がベランダなどでも育てられるおすすめのハーブってありますか?

「そうですね・・・例えば、チャイブだったり、あとミントだったり、そういった繁殖力が強いものは比較的、植えても育てやすいですね」

●この時期、10月頃に種まきして、年内に収穫できるハーブはあるんですか?

「寒くなる前までに収穫できるハーブを植えるといいと思うんですけれども、もしくは苗を買ってきて、それを植えてあげたほうが年内に収穫できると思います。
 例えば、ディルだったり、イタリアンパセリだったり、あとルッコラとか・・・ルッコラも一応ハーブとしてのカテゴリーに入るので、そういう葉物を育ててあげると、年末頃まで収穫できて楽しめると思います」

ハーブオイル、ハーブマヨネーズ、ハーブバターの作り方

※奥薗さんの新しい本に載っているお料理のレシピ、どれも美味しそうで気になったんですが、ハーブの活用法として、オリーブオイルにハーブを漬け込んだ「ハーブオイル」、お塩などと混ぜた「ハーブソルト」、さらには「ハーブマヨネーズ」に「ハーブバター」が紹介されていました。

 とっても興味があるので作り方を教えていただけますか。まずは、ハーブオイルからお願いします。

「これはとっても簡単です。今回本でご紹介しているハーブオイルは、本当にどんなハーブでもいいんですけれど、お好きなハーブを細かく刻んでいただいて、それにオリーブオイルを注ぐ、それでちょっと時間を置いてあげるだけで、ハーブの香りがオリーブオイルにしっかりつきます。

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

 それをドレッシングで使ったりだとか、パスタを作る時の仕上げにしてもいいですし、ペペロンチーノとか何かパスタを作る時にニンニクを入れてオリーブオイルに香り付けしますよね。そういう時にそれを使ってあげると、すごくおいしいパスタが簡単にできます」

●いいですね~。お肉とかお魚とか、なんでも合いそうですよね。

「ほんとになんでも合います。トーストに合わせても美味しいですし、食パンにそれが染み込む、バター塗るみたいな感じでハーブオイルを塗ってあげると、とっても美味しくなります」

●瓶に詰めておけば、保存もできますし、いいですよね~。

「1回仕込んでおくと、逆に忙しい時、お料理する時に、このハーブオイルを使うと、あっという間に美味しいお料理ができちゃうので、これはおすすめです」

●それからハーブマヨネーズなんですけれども、これはどうやって作ったらいいんでしょうか?

「はい、これも簡単で、本ではマヨネーズを作るところからご紹介しているんですけれども、それが大変だったりするので、市販のマヨネーズを使っていただいてもいいです。
 市販のマヨネーズに刻んだお好きなハーブ、これは本当にどんなハーブでも合うので、刻んだハーブを入れて、そこに少しレモン汁とか、ワインビネガー、お酢など入れてあげて、少し塩と胡椒で味を調節してあげると、それだけでとってもおいしいハーブマヨネーズができて、ワンランクアップしたお料理になると思います」

●ドイツのかたは、これを何につけて召し上がっているんですか?

「ドイツのかたもよくチャイブ、セイヨウアサツキっていうふうに日本名は言われているんですけれども、ちょっと小ネギに似たもので、そのチャイブを刻んだものをマヨネーズに混ぜてあげて、それをサンドイッチとかに塗ったりして、よく使われていますね」

●ハーブバターっていうのもありましたけど、これはどうやって作るんでしょうか?

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

「はい、これも簡単で(笑)、好きなバターを少し常温に戻していただいて、そこに刻んだお好きなハーブを入れていただいて、少しお塩とかで調整してあげてもいいですし、味を変えたいなっていう時には、レモンの皮を少し擦って入れてあげると、ちょっとレモンの香りがするハーブバターができるので、それを混ぜて冷やしてあげるだけで簡単にできます」

約7000平米のハーブ農園

※奥薗さんが2019年4月に開園されたハーブ農園「lala farm table(ララファームテーブル)」は、どんな農園なんですか?

「lala farm tableはハーブと、ハーブに合うお野菜もお作りしています。もともと青梅にありました里山を生かした農園なっていますので、栗林とか田んぼとか、そういったところもあるんですね。それを含めまして全体で約7000平米ぐらいの広さになります」

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

●スタッフは、何人ぐらいいらっしゃるんですか?

「今現状ひとりで、あとお手伝いしてくださるかたが来てくださったり・・・最近ですと研修で来られたかたもいらっしゃるので、そういったかたのお力をお借りしながらやっております」

●現在ですと、何種類くらいのハーブや野菜を育てていらっしゃるんですか?

「秋冬になるんですけれども、40〜50種類ぐらいはある感じになります」

●開園する前に有機農業の研修もされたということですけれども、どこでどんな勉強をされたのですか?

「有機農業は山梨県の上野原市というところで、ちょっと中山間地にある山あいの有機農家さんで研修させていただきました。そこではやはり自然に沿った形で野菜を育てる方法を学びました」

●なんかすごく有機農業って手がかかるイメージがあるんですけど、どうですか?

「はい、やはりかかりますね。農薬も使わないので除草作業をしたりとか、あとやはり害虫とか、そういうものがどうしても自然の中だと出てくるので、お野菜が食べられないように守ったりする作業をしたりとか、真夏はすごく暑かったりするので、そういった中でお野菜とかハーブが育ちやすいように草を抜いてあげる作業とか大変でした」

●奥園さんが育てたハーブや野菜を購入したいと思ったら、どのようにしたらよろしいんでしょうか?

「通常、私のほうはオンラインショップでハーブの定期購入をやっておりまして、そのほかにはお野菜やハーブの旬の時期に“お任せセット”みたいな形で販売をしております」

1日のスイッチにローズマリー

※農園で作業をされていて、いちばん好きな季節や時間帯はありますか?

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

「難しいですね〜。いろんなシーンやいろんな瞬間にやっていてよかったな~とか、すごく好きだなっていう時はあるんですけど、いちばんって言われますと、例えば5月や6月にハーブのお花だったり、野菜のお花が一斉に農園で開くっていう時があります。その時期はいろんな香りに包まれるので、作業していてもとても癒されますし、見た目的にも農園が素敵になるので、すごく気に入っている季節です」

●暮らしにハーブを取り入れるようになって、奥園さんご自身に何か変化ってありました?

「やはりハーブ自身を触ってあげるとか収穫してあげるとか、そこにあるだけで気持ちや心がすごく豊かになれるんですね。で、それだけじゃなくてハーブティーにしてあげて、一緒に身体にも取り入れてあげる、そうすることによって、心も体もすごく優しくなれるというか、体がすごく優しい体になれたような感じがします」

●特に好きなハーブって何かありますか?

「そうですね・・・農園で育てているハーブは、自分の好きなハーブを植えているので(笑)、どのハーブも好きなんですけど、いちばん好きなハーブって言われましたら、やはり定番のローズマリーがすごく香りが好きなので、農園の入り口のところに植えて、毎回通るたびに少し手で触ってあげて、香りを楽しみながら、“よし! きょうも作業を頑張るぞ!”みたいな感じで(作業を)始めています」

写真:高木あつ子、協力:山と渓谷社

●いいですね。スイッチになっているんですね~。

「そうですね」

●では最後にハーブ農家として、今後やってみたいこと、または夢などがありましたらぜひ教えてください。

「もともとフラワーアレンジメントをやっていたので、ハーブ農家になったのも、やはり自分で育てたハーブやお花を使ったブーケとかアレンジメントを作りたいっていうことがありました。

 なので、もう少ししっかりハーブを育てて、それをブーケにしたりとか、農園に実際に来ていただいてお客様に摘んでいただいて、それをその場で束ねていただけるような、なんかそういうワークショップを、農園に漂うハーブの香りや空気を感じながら、そういう制作とか、農園で安らいでいただけるようなことをやっていけたらいいなというふうに思っております」


INFORMATION

『ドイツ式 ハーブ農家の料理と手仕事〜育てる、味わう、丸ごと生かす』

『ドイツ式 ハーブ農家の料理と手仕事〜育てる、味わう、丸ごと生かす』

 奥薗さんの新しい本をぜひチェックしてください。ドイツ流のハーブの使い方や活かし方のほか、人気ハーブ20種の育て方のコツや、お料理のレシピなどが豊富な写真とともに紹介。お話にもありましたハーブオイル、ハーブマヨネーズ、ハーブバターのレシピも載っていますので、ぜひ参考になさってください。山と渓谷社から絶賛発売中です。詳しくは、出版社のサイトをご覧ください。

◎山と渓谷社 :https://www.yamakei.co.jp/products/2823450680.html

 「lala farm table(ララファームテーブル)」のオフィシャルサイトも見てくださいね。奥薗さんが育てたハーブや野菜などがオンラインで販売されています。

◎lala farm table:https://lala.farm

 奥薗さんは今月、丸の内や日比谷、有楽町、豊洲で開催される「東京味わいフェスタ2024」に出店される予定です。「lala farm table」のブースは日比谷に出店予定。開催日程は、10月25日から27日までの3日間。詳しくは「東京味わいフェスタ2024」のサイトをご覧ください。

◎東京味わいフェスタ2024:https://www.tasteoftokyo-ajifes.jp

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