2024/11/10 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第22弾! 今回はスポーツ編として、ふたつのプロジェクトをクローズアップ!
まずは、廃棄されるゴルフボールをマーカーやピアスなどにアップサイクルする「NEP!! GOLF」、そして、役目を終えて捨てられるバスケットやバレーのボールを加工してポーチやコインケースなどに生まれ変わらせる「RE:BALL PROJECT」をご紹介します。
☆写真協力:NEP!! GOLF、八橋装院
「NEP!! GOLF」〜ロストボールをサップサイクル!
※まず、ご紹介するのは、廃棄されるゴルフボールをアップサイクルする「NEP!! GOLF」。これは、広告代理業務などを行なう会社「6G」が進めているプロジェクトです。
代表の「村岡光太郎」さんによると、ゴルフ場で発生するロストボールは回収され、半分は再販売されるそうですが、残りの半分は、汚れや傷があると売り物にならないため、廃棄されます。その方法は燃やすか埋めるか、当然、処理費用がかかります。
そこで村岡さんたちは、その課題に取り組み、3年ほど前から廃棄されるロストボールのアップサイクルを進めていらっしゃいます。

●プロジェクト名「NEP!! GOLF」のNEPには、どんな意味があるのでしょう?
「これは“Nude Earth Project”を訳して「NEP(ネップ)!!」にしています。(NEPの)後ろにドッキリマークがふたつありますが、これはヘルプみたいな、“助けて”の意味で、ドッキリマークをふたつ付けているんです」
●なるほど・・・。
「“Nude Earth Project”ってどういうことかっていうと、“裸の地球”っていうのをより人っぽくしたくて・・・裸の地球っていうと正しくは、“Naked Earth”って言い方をするみたいなんですけど・・・。
僕がイメージしたのは、地球自体は人間が何もしなければ、自然にずっと継続していけるものなのかな〜と、勝手にそう思っています。でもゴミを捨てる、二酸化炭素を出す、木を伐採して森をなくしていくとか、いろいろやると、それだけで地球ってころころ違う運命をたどっていくじゃないですか。
“裸の地球”って要は、地球自体は何もしてないよ、僕らがなんかしているから、結果が変わっていっているんだよって考えて、Nude Earthは“裸の赤ちゃんの地球”みたいなイメージで考えています。それにドッキリマークをつけて、“助けて!”っていう意味で、裸の地球を助けたいよね、だからなんとか、もとに戻していく方法はないだろうかっていうプロジェクトです。
“GOLF”に関しては、今回はゴルフボールっていうテーマでアップサイクルをして、ゴミを減らしていこうって思ったので「NEP!! GOLF」なんですけど、これが違うアイテムが見つかれば、“NEP!!OOOO”に変えてやっていこうとは思っています」

●なるほど、いろんな意味が込められているんですね~。サイトを拝見したんですけど、年間再販できないロストボールが国内だけで約7500万球も出るって書かれていて、そんなに多いんですね。驚いちゃったんですけど・・・。
「そうですね~。一応、ゴルフ人口の話があると思うんですけれど、どこからこの数が出ているかっていうと、一般社団法人『日本ゴルフ場経営者協会』っていうところが毎月のラウンド数を出しているんですよ。どれぐらいラウンドがあったかっていう・・・。
たとえば先月だと800万ラウンドぐらい、(国内の)ゴルフ場は2170か所あるんですけど、800万ラウンドありましたよと。1年間、平均すると、あんまりやってない日もあるので、トータルすると2021年の時は大体7500万ラウンドぐらいだったんですよ。
7500万ラウンドあるってことは、僕なんかはこの間(ゴルフ)デビューした時に、ボールを12球ロストしたんですけど、みなさんも1球2球はなくすと思うんですよね」
●失くしちゃいます。
「そうすると、すごく少なく見積もっているんですけど、大体年間7500万ラウンドから8000万ラウンドあると、ひとりが2球OBした場合、(ロストボールが)1億6000万球出ますと。(回収する)ボール屋さんが、1億6000万球の中で “半分くらいはロストボールとして出せるよ!”っておっしゃっていたんで、半分は出せない、っていうことは捨てるものなんですね。で、当然(ゴルフ場内で)見つかってないボールもあるので、これ以上あることは間違いないんです。
ゴルフ場内で出ているロストボールは、多分2億球とか言ってもおかしくないんですけど、そのうちの1億球ぐらいは、再販できないからゴミになるか、そのままゴルフ場の中で土に埋もれていくかっていうような状態になっているところから7500万球っていう・・・」
●確かに売られているロストボールもありますけれども、再販できないロストボールの場合は現状捨てられちゃっているっていうことなんですね。
「そうですね」
(編集部注:村岡さんによると、ゴルフボールの素材は外側はウレタン、内側は合成プラスチックで、メーカーによって材質が違うため、粉砕したとしても、それをそのまま再利用することは難しいそうです)
端材も再利用、無駄なく使う
●アップサイクルして商品化されたアイテムって本当にどれも可愛いですね。
「ありがとうございます」
●きょうはスタジオにたくさんお持ちいただきました。ありがとうございます! たとえばサボテンのポットですけど、ゴルフボールの上を削って、中をくり抜いてあるんですね?
「そうですね。少しだけくり抜いています」

●つまり、このサボテンの鉢がゴルフボールってなっているってわけですよね。これ(中に)土を入れているんですか?
「これは挽き終ったコーヒー(のカス)ですね」
●コーヒー! え~っ!
「近所のちょっと有名なコーヒー屋さんで乾燥してもらって、それをいただいています。捨てるものなんで・・・」
●そこにもちゃんとエコというこだわりがあるんですね!
「そうですね」
●この土台となっている黒い丸い部分は何ですか?
「これは靴修理会社さんの、かかとの修理とかに使うソールの部分なんですね。大きな正方形からソールも切り抜くんですけど、その時にやっぱり四隅に端材が出るんですね。それを捨てているっていう話だったので、じゃあそれを土台にさせてもらおうっていうことで、くり抜いてもらってます」
●すごい! じゃあこの製品はすべてに無駄がないということですね。
「そうそう! 上のもの以外は!(笑)」
●ピアスとかもあるんですね。ゴルフボールの表面の素材をそのまんま小さくカットしたものですけど、ゴルフ女子にはたまらないですね~、可愛い!!
「ぜひ使ってほしいです!」

●それから、グリーン上で使うマーカーもゴルフボールの表面がそのまんまで、くり抜いてありますけれども、どれも可愛いですね~。
「ありがとうございます!」
●商品化するときのアイデアとかデザインは、みんなで話し合って決めるんですか?
「はい! もちろんみんなで考えるんですけど、うちの会社自体が男しかいないんです」
●はいはい(笑)
「なので、なかなかそういう可愛らしいものを考える時に、どうしたらいいかな? っていうのはあったんですけど、まず最初はキーホルダーから始まりました。
キーホルダーって付けてはくれるんですけど、“それ以外になんかないの?”って聞かれることが多くて、買ってくれたかたたちからアイデアを貰いながら、できそうな商品を作っていくという形になっていますね」
●お客さんからの声も反映されているんですね。
「そうですね」
(編集部注:村岡さんによると、現在、カラーボールを使った新商品を開発中で、緑を増やすための、寄付につながる仕組みを検討しているそうです)

※ゴルフボールをカットするなどの作業は社内で行なっているそうですね。その時に出た端材などは、どうされているんですか?
「その端材を集めて、最初はバイオ燃料がいいんじゃないかってことで、いろいろプラントを作って燃やすと、燃焼効率がすごくいいって思ったんですけど、二酸化炭素とかいろんなこと考えると、燃やさないでそのまま活かしたほうがいいんじゃないかっていう考えがあって・・・。
で、(きょうはスタジオに)靴のソールを持ってきているんですけど、靴のメーカーさんと相談して、(ゴルフボールの)削りかすを7パーセント混ぜているソールなんですね。たまたま先ほど言った、土台になっている靴の・・・これですね」
●サボテンの土台になっている?
「サボテンの土台を作っている靴屋さんがソールも作られているって話だったんで、ちょっと(ソールに)混ぜてもらえません? って言って作っているソールなんです」
●ちょっと触ってみてもいいですか? 弾力があってフカフカですね。ベージュが基本となっていて、中に小っちゃな、ピンクとか白とかオレンジとかありますけど、これが・・・?
「ゴルフボールの中の“コア”って言われるゴムの部分ですね。(ソールは)白とか黒のゴムでも作れるんですけど、そうすると見えなくなってしまうので、あえてこのラバーのそのままで作っているんですね」
●端材もちゃんと次の商品につながっているってことですね。
「そうですね。次の商品、何かに使えないかっていうのは日々考えています。むしろ、聴いているかたで誰か教えていただければ・・・協力してもらえるとありがたいんですけどね」
ゴルファーの意識
※ロストボール問題は、やはりゴルファーひとりひとりの意識が大事だと思います。その辺はいかがでしょうか?
「むしろ、みなさんがどう思っているかですよね。ゴルフボールのことを考えたことはありますか? って思わないですか。僕なんかはゴルフやったばっかりですけど、ボールのことなんて考えてないですもんね。自分が打った後にOBしちゃった、“いいから早く次、打ってよ!”って言われて打つじゃないですか。その時にロストボールのことって考えないですよね。
だからそういうことを考えると・・・(ロスとボールが)ずーっと発見されなかったら、土に還らないんで置きっぱなしなんですよね。それってゴミじゃないですか。今、廃タイヤとかいろんなゴミが問題になっていますけど、スポーツの中で、球技の中で、ボールのゴミって多分圧倒的にゴルフボールが多いと思うんですよ。
そこを意識しろって言っても、これまでの期間、そういうことがなかったので、なかなか意識するのは難しいと思うんです。ただ現状それがよく思われてないことは、みんなうっすら、ご年配のかたたちは知っていて、山が汚れているよねとか・・・イメージ的にですよ。
だから僕らは、それをちょっと気づいてもらえるようになればいいかなと思って、この事業やっているんですね。だからこのラジオを聴いていただいたかたが、 “ロストボールで再販できないものもあるんだ!”って知ってもらって、そのままゴミになって、そのゴミが有害なんだなとか、そういうゴミって減らしたいなって思ってくれたら、ちょっと嬉しいなっていうふうに思っています」
(編集部注:「NEP!! GOLF」で販売しているマーカーやピアス、キーホルダーなどの商品はオンラインで購入できます。やはりゴルファーに大人気で、コンペの賞品やお父さんへのプレゼントなどに利用されているケースが多いそうですよ。商品のラインナップなど、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください)
「RE:BALL PROJECT」〜思い出のボールをアップサイクル !
前半では、ゴルフボールのアップサイクル・プロジェクト「NEP!! GOLF」をクローズアップしましたが、後半は役目を終えて捨てられるバスケットやバレーのボールを加工して、新たなグッズに生まれ変わらせる「RE:BALL PROJECT」をご紹介します。
これは、広島市にある衣服の縫製会社「八橋装院」が進めているプロジェクトです。1959年に創業された八橋装院は現在、国内有名DCブランドの縫製を手掛けるなど、長年、日本のファッション産業を陰で支え続けています。
2013年には自社ブランド「FUKUNARY」を立ち上げ、人工皮革やレザー、帆布などを使ったお洒落なバッグや財布などを製造・販売。さらに、競技用のボールを主力商品とする地元の企業「MIKASA」とコラボして、ボールの生地を素材に、軽くて耐久性のあるバッグなどのファッション・アイテムを開発、「FUKUNARY feat. MIKASA」として展開されています。

そんな中、この番組が注目したのが、八橋装院が取り組んでいる「RE:BALL PRO-JECT」です。
※それでは、そのプロジェクトを立ち上げた八橋装院の社長「高橋伸英」さんにお話をうかがいます。

●「RE:BALL PROJECT」のサイトを見ると、使い古されたバスケットボールやバレーボールの素材をそのまま裁断して作った、ポーチやコインケースが載っていました。ボールのキズなども活かされていて、メモリアルなグッズになっているな〜と思ったんですが、どうなんでしょうか?
「『RE:BALL PROJECT』に関しては、使い古したボールを使うことがマストです。私たちがターゲットにしている、想定しているところはやっぱり部活動だったりするんですね。だから学生時代に、中学校、高校、大学でプレイしていた人が・・・ボールには寿命があるので一定数廃棄されます・・・その廃棄されるものを活かして、その人たちの思い出作りに寄与できたらいいなっていうビジネスなんですね。当然、古いボールを活かす以上はキズが残っていたりとか、チームの名前が入っていたりとかっていうのもありますよね。
但し(ボールから生地を)取る位置が、ある程度決まっているので、(チームの)名前が入る入らないは指定はできないんですけど、使った証(あかし)というか、キズがついたところはいくらかは入るというか、全体的にキズがあれば入ってしまうんですね。
それがペンケースだったり、眼鏡を入れるケースだったり、コインケースになって、自分のバッグの中に入っている、手元にある、それを見ることで、昔、頑張った自分を思い起こして、私はこれで頑張っていた、俺はこれで頑張っていたんだって、社会に出た時にまた力を与えてもらえるものになればいいなっていう思いで、この『RE:BALL PROJECT』をやっています」

●夢中に、がむしゃらに頑張って部活をやっていた、その時の思い出がポーチなどになって身近にあるっていうのは、すごく嬉しいことですよね!
「そうですね。プレイヤーにとってみたら嬉しいと思います。だから後輩だったり父兄さんだったりが依頼してくることが多いんです。ほとんどが送り出すほうのかたからの依頼ですね」
(編集部注:高橋さんによると、バスケットやバレーのボールは中にゴムがあるので、商品づくりがとても大変で手間がかかるそうです。
衣服の縫製とは違って、相手はボールですから、職人さんの優れた技術やノウハウがあって、やっとできあがるんでしょうね。)
もっと広めたい「RE:BALL PROJECT」
●この番組のリスナーさんが、自分が持っている思い出のボールからグッズを作って欲しいと思ったら、どうすればいいですか?
「作れるものには制約がありまして、先ほども言いましたペンケースであったりコインケースが主軸にはなるんですけども、弊社ホームページに注文サイトがあります。そちらに必要事項を書いてメールをいただきたいですね。あとはそこに注意事項がありますので、よく読んでいただいて注文していただけたらと思っています」
●今後、何か新たに取り組みたいこととか、今後の「RE:BALL PROJECT」の展開はありますか?
「SDGsに関わる『RE:BALL PROJECT』がなかなかできていないっていうのがありますね。これがもうちょっとみなさまに認知いただいて、いいサイクルをもたらしていると感じてもらって、日本だけではなく世界中に広められるような形になれば嬉しいですけど・・・まあ、理想です! 日本から出すっていうと、なかなかハードルが高いので、今のところ、国内でもうちょっと広まって、認知されたらいいな~っていうところですね。で、捨てられるボールが少しでも減れば嬉しいかなと思います」
INFORMATION
今週は、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第22弾!スポーツ編。「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「つくる責任 つかう責任」ということで、廃棄されるゴルフボールをアップサイクルするプロジェクト「NEP!! GOLF」、そして役目を終えて捨てられるバスケットやバレーのボールを、新たな商品に生まれ変わらせる「RE:BALL PROJECT」をご紹介しました。
「NEP!! GOLF」そして「RE:BALL PROJECT」について、詳しくはそれぞれのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎「NEP!! GOLF」:https://www.nep-golf.com
◎「RE:BALL PROJECT」:https://yahashisouin.com/reball/
◎八橋装院 :https://yahashisouin.com