2025/2/9 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第24弾! 「SDGs=持続可能な開発目標」の中から、「貧困をなくそう」
「働きがいも経済成長も」「人や国の不平等をなくそう」そして「陸の豊かさも守ろう」ということで、「森と生きるチョコレート」をクローズアップ!
ゲストは「mamano chocolate(ママノチョコレート)」の代表「江澤孝太朗(えざわ・こうたろう)」さんです。
江澤さんがなぜチョコレート店をやろうと思ったのか、そのきっかけは、知り合いがエクアドルから買ってきてくれたアリバカカオで作ったチョコを食べたところ、ライチのようなフレーバーと味に感動!
もともと環境や人権の問題に関心のあった江澤さんは、先住民が「チャクラ農法」という自然農法で作るアリバカカオに魅力を感じたそうです。当時、起業するために会社を辞め、宮城県南三陸でボランティア活動をやりつつ、どんな事業をやろうかと考えていたタイミングだったこともあり、アリバカカオなら、その希少性や美味しさだけで勝負できると思い、チョコレートの事業をやろうと決断したそうです。
といっても、まったくの素人だった江澤さんは、チョコの作り方をYouTubeなどで必死に勉強し、試行錯誤しながら、アリバカカオのチョコをついに製品化。そして2013年に赤坂見附に「ママノチョコレート」をオープンすることができたそうです。ちなみに、エクアドル産のアリバカカオは、世界でわずか2%の希少品種だそうです。
きょうは江澤さんに、おすすめのチョコや、現地のカカオ農家を支援する活動のことなどうかがいます。
☆写真協力:mamano chocolate

希少なアリバカカオ
※お店の名前「mamano」にはどんな意味があるんですか?
「mamanoはスペイン語で、ママとマノの造語なんですけど、ママがお母さん、マノが手で、お母さんの手という意味でつけていますね」
●ママノチョコレートでは、エクアドル産の希少なカカオ「アリバカカオ」を原材料にして、チョコレートを作っているということなんですけれども、アリバカカオっていう豆がどれくらい希少なのか、あまりイメージがわかないんですね。どのぐらい希少なんですか?
「先ほど世界で2%とご紹介いただいたんですけど、基本的にはエクアドルの固有種で、ほかの国だとあまり育てることができないとずっと言われていて、(他の土地に)持って行っても香りが変わったりとかするので、基本的にはエクアドルの、そんなに大きくない国の中で育てられているものだけですね」
●エクアドルには、どれくらいの数のカカオ農園があるんですか?
「カカオ農園の数はわからないんですけど、アリバカカオの量でいうと10万トンとか・・・世界のカカオ豆は460万トンぐらいだと思うんですけど、10万トンから20万トンぐらいがアリバカカオと言われている品種だと思いますね」
●ほかのカカオと比べて風味とか、どんな特徴があるんですか?
「風味はまず圧倒的にフローラル、華やかっていうのが特徴ですね。本当にお花を想起させるような、白いお花とか黄色いお花とか、そういうのを想起させるような香りが特徴です。あまり酸味もなく渋味も強くなく、っていう感じで食べやすいチョコレートですね」

●江澤さんご自身もエクアドルに買い付けに行かれるっていうことですよね。
「そうですね。現地にひとりパートナーがいて、2013年から一緒にやっているんですけど、私自身も年に1回か2回、行ったりします」
●初めて買い付けに行かれたのは、いつ頃だったんですか?
「初めて行ったのは、実はお店を始める前ではなくて、お店を始めてから3年くらい経ってから行きました。
最初はお店でチョコレートを作るのに必死で、(買い付けは)現地のメンバーに任せて・・・その時は知人が手伝ってくれていたので、買い付けのほうは任せて、自分はチョコレート作りに必死になっていましたね」
●へぇ〜! でもそんなに希少な豆っていうことは、買い付けして輸入するのも大変なんじゃないですか?
「そうですね。品種だけじゃなくて、高いクオリティで安定的に輸入するのがすごく大変ですね。アリバカカオだけであれば、山ほどあるというか、例えば発酵させないでもアリバカカオはアリバカカオだし、品質の悪いものであれば、いくらでも調達できるんですけど、気候変動の影響もありますし、去年からカカオの急騰も始まったので、そういう時でも常に安定的にいいものを買うのは結構大変ですかね」
スタジオでチョコレートを実食!
●きょうはスタジオに、ママノチョコレートで製造販売されているチョコレートをご用意いただきました。美味しそうですね!
「アマゾンアリバ」「58%アリバカカオとアマゾンバニラ」そして「70%野生クリオロ」という3種類をご用意いただいたんですけれども、パッケージもとてもおしゃれで可愛いですね! ギフトにもすごくいいですよね。
「そうですね。お店も赤坂にあるので、お土産で使っていただくことが多いですね」
●では、どれからいただこうかな・・・まずは「アマゾンアリバ」から。この「アマゾンアリバ」とはどんなチョコレートなんでしょうか?

「アマゾン地域のアリバカカオを使ったチョコレートで、これはカカオ70%に仕上げています。ちょっと珍しいのは5日発酵とか、チャクラ農法とか、かなり細かくそのカカオの出元を(パッケージに)書いているのがひとつ特徴です。
味としては、ザクザク食感に仕上げているチョコレートで、アリバらしい華やかな香りと、何ていうんですかね・・・コンチングっていう練る工程を通していないので、香りが全然飛ばずに、ぎゅっと凝縮した香りを楽しんでいただけるチョコレートです!」
●見た目は小さくて薄い板チョコのような感じですけれども・・・ではちょっといただきます〜!
「ザクザクした感じですかね」
●んん〜! 本当だ! ザクザクの食感が楽しいですね! 噛むごとにいろんな香りがする感じがします!
「感じますか!? バナナとかワインとか・・・」
●確かに! ナッツのような香りもするし・・・。
「そうですね。同じアリバカカオでもアマゾン地域で育ったアリバカカオは、だいたい100作物ぐらいと一緒に育っているので、すごくいろんな香りが混ざってくるっていうか、やっぱりテロワールが、土地の香りが影響してくると思いますね」
●優しい甘みで美味しいです! 続いて「58%アリバカカオとアマゾンバニラ」、これはどんなチョコなんでしょうか?

「これは、アマゾンバニラも現地でしか採れないバニラ、珍しいバニラビーンズを使っていまして、これを結構たっぷりとアリバカカオに練り込んだチョコレートです。こちらはなめらか系です」
●では、いただきます。
「どうぞ」
●んん! 口溶けが滑らかですね! バニラの甘い香りが美味しいです! 「アマゾンアリバ」と全然違いますね!
「そうですね。同じカカオを使っても結構表現は変わりますね」
●バニラの甘みが濃厚で美味しいです!
「かなりたっぷり練り込んでいます。これは10年くらい前に無農薬栽培をスタートした現地の固有種のバニラですね」
●最後が「70%野生クリオロ」、クリオロっていう名前はあまり聞かないんですけれども、このクリオロってなんですか?

「クリオロっていう品種がカカオの中にありまして、それこそアリバカカオよりもさらに希少性が高いと言われている品種ですね。エクアドルのアマゾン地域、カカオの発祥の地でもあるので、いろんな野生のカカオがあります」
●へぇ〜! 色は先ほどの2種類と比べると、ちょっと明るい茶色っていう感じですね。
「そうですね。これは、カカオのタネの中身がもともと白いタネで、それを使っているのですごく珍しいんです。なので、ダークチョコレートでも色がミルクチョコレートみたいなチョコレートになります」
●では、いただきます・・・んん!? 美味しい・・・えっ、これなんの香りだ・・・? なんか紅茶のような!
「あ、そうです! 和紅茶っぽい感じ、ストレートティーを飲んでいるような感じ」
●ええ〜っ! チョコレートなのに和紅茶というか!
「香りますね、和紅茶の感じ」
●美味しいですね、これも!
(編集部注:「ママノチョコレート」では板チョコのほかに、生チョコ、ひと口サイズのチョコドロップスなど、いろんなチョコを販売、ぜひオフィシャルサイトでお確かめください。
https://mamano-chocolate.com)

国際協力NPO「ママノアマゾニア」
※江澤さんは去年、国際協力NPO「ママノアマゾニア」を立ち上げました。これはどんな目的で設立したNPOなんですか?
「これは、活動地域は同じエクアドルのアマゾン地域なんですけれども、熱帯雨林の保全と、先住民キチュア族のチャクラ農法を広めていく、そのキチュア族の農法を実践している農家を支援していくのが主な目的です。
ママノチョコレートでずっとやってきたことと近いんですけれども、こっちのNPOに関しては、短期的に収益が出なくても長期的に支援していきたいこと、そして公益性が高いこと、たとえば植樹の活動とか、そういうことをやっていこうということで立ち上げました」
●なるほど。具体的に現地でどんな活動されているんですか?
「具体的には・・・まだNPOの正式登記がそれこそ今月なんですけど・・・活動内容としては、最初は国土緑化推進機構と協力をして、まず野生クリオロカカオの保全活動をやります。この地域がだいたい1400ヘクタールくらいのジャングルなんです。その中に野生カカオの木が何百本かあるので、そのタネを集めて苗木を3000本ぐらい育てたあとに、野生カカオの苗木をジャングルに植え戻すっていうのをやっていく予定です」

●現地にはメンバーがたくさんいらっしゃるんですか?
「オフィシャル社員みたいなのはひとりもいないんですけれども、現地の先住民組合のメンバーとか、ママノチョコレートと共通なんですけれども、現地のメンバーがNPOでも理事を兼ねていて、そのメンバーでやってもらっていますね」
●植樹してカカオ豆を収穫できるようになるまでには、だいたいどれぐらいの時間がかかるんですか?
「これは野生カカオと、栽培しているアリバカカオでは期間が違うんですけど、アリバカカオは3年くらいで収穫開始できます。野生カカオはまだ実績がないし、正式な品種特定というところもこれからなので、3年で育つのか5年かかるのかわからない状況ですね」
●未知の領域なんですね。
「そうですね」
●でもその間ずっと(カカオの)木の管理というかお手入れはされるわけですよね?
「そうですね。あとはこの野生のクリオロカカオと一緒に育っているいろんな樹木、熱帯雨林の樹木も3000本くらい一緒に植えていくので、それがいわゆるシェードツリーといって、カカオの(木に)影を作ってくれるような役割を果たします。なので、シンプルにカカオを増やしたいということではなくて、しっかりとお金になる、野生のカカオの木も育てながら、もう一回、熱帯雨林を豊かにするっていうのがコンセプトですね」
「チャクラ」は“森のような農園”!
※前半のお話にも出てきた、エクアドルの先住民「キチュア族」の伝統的な「チャクラ農法」とは、具体的にどんな農業なんでしょうか?
「チャクラ農法は、もう少しよく知られている言葉だと、“アグロフォレストリー”。“アグリカルチャー”と“森”、農業と森を合わせた言葉で、“森のような農園”を指す言葉ですね。
現地のキチュアの人たちにとっては、チャクラは自分たちの裏庭みたいな意味で使っているので、“うちのチャクラ、見ていく?”っていう感じで誘われたり、“うちのチャクラはこんな植物が生えているよ!”っていう言い方をしたりするので、“裏庭”って意味もあるし、“森のような農園”っていう意味もあります。
だいたい最低でも20作物くらい、多いところだと100作物くらい育っていて、自分たち家族が食べるものもあるし、ユカとかバナナとかパイナップルとか、あとはお金になるカカオ、グアユサ茶っていうお茶とか、それこそバナナもお金なるものなんですけれども・・・。病気になった時に病院代わりに薬草みたいなものをたくさん使っていますので、いろんな意味がチャクラにあってすごく重要ですね。
現地のキチュアの人たちにとって、もともとは熱帯雨林を摸倣して、模倣しながらでも自分たちに役に立つようにチャクラを組み立てていくんですね。もちろんナタで雑草も刈ったりしますし、農薬とか肥料を基本的に使わないですね。
虫が(作物に)付くこともあるので、そういうのもしっかりケアしていますね。カカオの木に関しては剪定したりとか、そういうことはしますけど、それでもいろんな作物があることで、虫も集中して(ひとつの作物に)食べに行くこともないので、一気にカカオだけやられるとか一気にバナナだけってことがなくなるのも、このチャクラのいいところですね」

●チャクラ農法は、気候変動に対して効果的なシステムとして注目を集めているそうですね。どんなところが効果的なシステムなんですか?
「論文とかも出ているんですけれども、数字でいうと農園の炭素蓄積量が通常のカカオだけを栽培している農園だと80トンくらいです。このチャクラ農園だとバラつきもあるんですけれども、だいたい200トンちょっとなので、2倍から2.5倍くらいの炭素蓄積量があるそうです。
CO2を吸収して、土であったりとか落ち葉であったりとか、木に蓄積していくことができるので、チャクラ農園が広まればトータルの炭素蓄積量が増える、ということで気候変動の観点から注目されていますね」
(編集部注:「チャクラ農法」は「アマゾン・チャクラ・システム」として国際連合食糧農業機関FAOに「世界農業遺産」として認定されているそうですよ。
また「ママノチョコレート」は2023年に世界で初めて「チャクラ認証」の取得企業になっています。このチャクラ認証は、エクアドルの非営利法人「チャクラコーポレーション」が発行する認証だそうです)
エクアドルと日本をつなぐチョコレート
※活動場所の、エクアドルのナポ県というエリアは、どんなところなんですか?
「ナポ県はアマゾン地域で、先住民キチュア族の人たちが人口の半分以上を占めている県、エクアドルでも先住民の人口比率って県によって違うんですけれども、このナポ県は半分以上が先住民なので、先住民の権利を守る運動もかなり活発ですし、政府に対してどんどん意見も言ってきますね。
それこそ、やっぱり自然を守る価値観が、彼らは“宇宙観”、それを言うんですけど、そういう宇宙観を持っているので、すごく自然を大事にしているし、コミュニティを大事にしているっていうイメージがありますね」
●気候的には、どんな感じなんですか?
「気候的には30度超えるくらいで、基本的には常に暑くて、もちろん雨期には大雨が降ったり止んだりして、寝るときには20度まで下がるので、エアコンもいらず、とにかく気持ち良い気候ですね」
●現地に滞在される時って、どうされているんですか? 寝泊りとか?
「寝泊りとかは、ちょっとロマンがなくて申し訳ないんですけど、ロッジに(笑)」
●そうなんですね(笑)
「普通に泊まっているので割と快適で! 先住民って言葉だとイメージが・・・いろんな先住民がいるので、普通に町は町であるので、きれいなロッジ泊まっています」
●治安はいいんですか?
「全然いいですね!」
●食事はどんな感じなんですか?
「食事は・・・まあそうですね・・・“セビーチェ”ってエクアドルだと有名、ちょっと酸っぱい食事なんですが、それも美味しい、基本的にさっぱりすっきりしたものが多いですね。珍しいものだと、“チョンタクロ”っていうコガネムシの幼虫みたいなものを、チャクラの農園で倒した木の中で育てて食すっていう文化はあるので、それは食べさせてもらいますね」
●美味しいんですか?
「美味しいです。美味しいと思います・・・(笑)。日本でも蜂の子とか食べますよね。似たような感じかなと思いますね」
●最後に、ママノチョコレートを通して、どのようなことを伝えていきたいですか?
「エクアドルのアマゾンと、日本に住んでいるお客さんをつないでいくっていうのが、やりたいこととしてはすごくあるんですよね。もちろんカカオのいい品質のもので美味しいチョコレートを作るのが大前提の上ですけれども。
アマゾンの価値観とか生活を日本のみなさんにも見てみてもらいたいですし、逆にオンラインでつなぐことで、日本のチョコレートのお客さんがどういうふうにその豆を評価しているのか、どういうチョコレートを作って喜んでくれているのかを、現地のみんなにも知って欲しいので、つなぐことをどんどんやっていきたいなと思っていますね。
あとは現地の友人というか、彼はキチュア族ではなくてシュアール族なんですけど、ファン・カルロス・ヒンティアチュさんていうかたがいて、2023年のノーベル平和賞の候補にもノミネートされていました。やっぱり先住民の権利の運動とか自然保護がすごく密接に結びついているっていうことでノミネートされていたんですけど、彼の言葉で感銘を受けたのが『人は川であり森である』っていう言葉です。仏教の考え方と通じる部分はすごくあるなと思っています。
自分自身も自然と一体になっているというか、自然に生かされているなっていうのはすごく感じるんですけれども、それを説得力を持った言葉で言える、自信を持って言えるっていうのは・・・自分はこの言葉をまだ自信を持って言えないなぁと思っていますね。
“自然に感謝しています”というようなことは言えるんですけれども、自分自身が“川であり森である”みたいなことまではやっぱり言えない・・・けど、それを素直な表現で言えるってところにやっぱり、接していて日々感動がありますね」
INFORMATION
「ママノチョコレート」では、エクアドルのカカオ農園と日本をオンラインでつないで、月一回程度、どなたでも無料で参加できるセミナーを開催。次回は2月22日(土)の午前7時30分からの予定。興味のあるかた、ぜひオンライン・セミナーにご参加ください。
きょうご紹介したチョコレートなど、販売しているラインナップについてはぜひママノチョコレートのオフィシャルサイトをご覧ください。もちろん、オンラインで購入できますよ。

赤坂見附のお店にもぜひお出かけください。赤坂見附駅から徒歩2分です。アクセス方法などもオフィシャルサイトを見てくださいね。
◎ママノチョコレート:https://mamano-chocolate.com
ママノチョコレートの活動は各種SNSで見ることができます。
◎Facebook:https://www.facebook.com/mamanochocolate
◎YouTube:https://www.youtube.com/@mamano_chocolate/about
◎X:https://x.com/mamanoofficial
◎Instagram: https://www.instagram.com/mamano_official/
◎Note: https://note.mu/mamanochocolate
国際協力NPO「ママノアマゾニア」の活動にもご注目ください。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎ママノアマゾニア:https://mamano-amazonia.org/