2022/7/3 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、埼玉県ときがわ町で「キャンプ民泊NONIWA」を運営する「青木江梨子(あおき・えりこ)」さんです。
青木さんはご主人の達也さんと一緒に「野あそび夫婦」というユニット名で活動。2019年6月に日本初とされるキャンプと民泊を組み合わせた「キャンプ民泊NONIWA」をオープン、おふたりともキャンプインストラクターの資格を持ち、キャンプの講習会ほか、アウトドア雑誌の企画監修なども行なっていらっしゃいます。そして先頃、『ソロキャンプ大事典』という本を出されました。
きょうはそんな青木さんに、キャンプ民泊NONIWAの特徴やビギナー向け「ソロキャンプのノウハウ」などうかがいます。
☆写真協力:キャンプ民泊NONIWA
ふたりで誰かを喜ばせる
※埼玉県ときがわ町で運営している「キャンプ民泊NONIWA」は具体的には、どんな施設なんでしょうか。
「基本的には、民家の横にあるちょっと広めのお庭みたいなスペースを、キャンプ場としてお客様にテントを張ってもらって、トイレとお風呂とキッチンは自宅のものを使ってもらうというスタイルです。キャンプのハードルを下げるために作った、これからキャンプを始めたいかたに向けた施設になります」
●一般の方にキャンプ場として利用してもらうためには、ある程度広い敷地が必要だと思います。「キャンプ民泊NONIWA」がある埼玉県ときがわ町というのは、どういった場所なんですか?
「そうですね。東京からも大体1時間とか1時間半くらいで来られるような場所にはなるんですが、埼玉でいうと秩父のちょっと手前あたりに位置しています。こんもりした山とか小さな川が流れている里山というような雰囲気の場所になります。なので、長野とか山梨みたいな、広大な敷地のキャンプ場のイメージとはちょっと違う感じなんですけど・・・ちょうどいい町です」
●改めて、このキャンプ民泊を始めるに至った経緯を教えてください。
「私たちはもともと、夫婦で結婚してからキャンプを始めようという形で始めたんですね。その時に周りにキャンプをやっている友達もいなくて、自分たちでインターネットで、どんな道具がいいのか、ルールとかあるのかな、みたいな感じで、いろいろ調べて(キャンプを)始めたんですけど、結構苦労したので、気軽に相談できる人が身近にいたらいいなぁって思っていたことがひとつです。
あと、キャンプをまだやったことがない友達に、キャンプに連れて行ってよ〜! っていう感じで、一緒にキャンプすることがありました。その時にも自分たちにとっては当たり前になっていた、テントに建て方とか、薪の割り方みたいなものが新鮮みたいで友達も喜んでくれたんですね。
今まで私と夫は同じ趣味もなかったので、自分たちがふたりで誰かを喜ばせることができるんだな、キャンプって! っていうことに、そこで気づいたっていうことから、キャンプ民泊をやってみようかなってことにつながりました」
(編集部注:「キャンプ民泊NONIWA」をなぜ埼玉県ときがわ町で開業したのか、実は、青木さんご夫妻はもともと練馬区にお住まいでしたが、ご主人が埼玉県川越でお仕事をされていたので、通える範囲で自然豊かな場所を探していたら、たまたま「ときがわ町」と出会ったそうです)
インストラクター付きキャンプ
※一般のキャンプ場との大きな違いは、どんなところでしょうか。
「まずその規模が、一般のキャンプ場だったら、30張りとか、30組40組とか、もっと多いところもたくさんあると思うんですけど、うちの庭のスペース的にマックスで3〜4組っていう、すごく小規模なところがひとつです。
あとは、これからキャンプを始めたいかた向けのキャンプ場ということでやっているので、最初は手ぶらで来ていただいて、キャンプ道具も全部レンタルして、そして私達がキャンプのインストラクターとして、テントの建て方とか全部お伝えする感じでやっているところが(ほかのキャンプ場との)違いかなと思います」
●初心者としては、どんなテントがいいんだろうとか、そういったことがまだわからない状態なんですけど、心配いらないっていうことなんですね!
「そうですね。テントの大きさとか収納のときのサイズはどれくらいがいいですか? とか、車の大きさとか、家族の人数とかで、あなたにはこういうテントがいいんじゃないんですか、みたいなご提案をしたりしています」
●初歩的なことは、すべて教えていただけるってことなんですね?
「そうですね!」
※NONIWAでは、キャンプの講習会も実施されているそうですね。どんな講習会があるんですか?
「ステップ1、2みたいな感じで進んでいただくんですけど、まずステップ1は日帰り講習という形で、泊まらずにNONIWAに来ていただきます。
キャンプ道具は一般的にどういう物が必要なのか、ずらっと並んだ道具をいろいろ見ていただいて、ご説明をして、キャンプの全体のイメージをつかんでいただいたうえで、テントの建て方とか、タープの建て方とか一緒にやってみます。
最後は焚き火をして、マシュマロを炙って食べて、ちょっとキャンプのイメージをつかんで帰っていただくみたいな感じです。
そしてまた別日にステップ2として、次は宿泊体験! 実際に泊まってみましょうという形で、自分たちでテントとタープを建てて、一晩を過ごしていただくっていうようなキャンプ講習をほぼ毎週やっています」
●やっぱり一歩踏み出す勇気ってなかなか出ないというかたも多いと思うんですけれども、ここまでバックアップしていただけるといいですね! やってみようかなっていう気持ちになりますよね。
「そうですね。多分ここまで、ほぼマンツーマンという形で、キャンプを体験していただく施設はほかにはないかなと思っています」
●NONIWAは誰でも利用できるんですか?
「そうですね。キャンプ講習自体は、ほんとにキャンプをまだやったことがないかたも、どなたでもお申し込みいただけるようになっています。ただ、そのキャンプ講習以外に通常のキャンプ場のような形でも泊まっていただけるんですけれども、それはまずキャンプ講習に来ていただいたかた、もしくは私たち野遊び夫婦と面識があるかたとか、そのご紹介みたいな形で小規模でやっています。
あとは、月に1回くらいオープンイベントというのを開催していて、日帰りで来てくださったかたは、いろいろお話しした上で、今後NONIWAをキャンプ場として使っていただけるようなシステムになっています」
キャンプは、絆が深まる
※ところで、青木さんご夫妻がキャンプをやるようになったのは、どうしてなんですか?
「始めたきっかけが・・・もともと私が小さい時に、家族にキャンプに連れていってもらって、その時の経験がすごくよくって、自分も家族ができたらキャンプを始めたいなって思っていました。
中学生くらいになると、やっぱり部活とかでなかなか家族でキャンプに行けなくなって、疎遠になっていたんですけど、大人になって結婚したらキャンプしたいなってなんとなく思っていたんです。それで夫と結婚したタイミングで、キャンプやってみない? っていうふうに誘った感じなんですけど、夫はキャンプをしたことがなくって、全然アウトドアとは無縁の人だったんですね。でも、意外とハマってくれました」
●ご夫婦でのキャンプの醍醐味ってどんなところですか?
「そうですね。一緒にキャンプをするっていう面でいうと、家族でキャンプをするとチームみたいな感じで、力を合わせないとできないみたいなところがありますね。私はテントのこっち側を持つから、お父さんはそっちを持ってみたいな感じとか、一緒にご飯を作らないと食べられないし、テントを建てないと寝ることができないみたいな感じで、家族がチームになる感じがすごく個人的にはいいなって思っています。
それは夫婦でやった時も一緒で、普通におうちでただテレビを見ながら、ご飯を食べている時とはまた違う経験ができますよね。焚き火を囲んでふたりで話すと、いつもはしないすごく深い話ができて、将来どういうふうにしていく? みたいな話もできて、キャンプ民泊っていうのをやってみようか、仕事を辞めてこっちにシフトしようか、みたいな話もできたので、そういう時間が持てるのがキャンプのいいところかと思います」
●ご夫婦やご家族の絆が深まりそうですよね! アウトドアやキャンプの趣味が仕事になったわけですけれども、好きが仕事になって、ましてやNONIWAを利用されるユーザーさんが自宅にいらっしゃるということもありますよね? オンとオフの切り替えって難しくないですか?
「結構私たちの性格なのか、ぬるっと始まって(笑)、少しずつ来てくれる人が増えていって・・・みなさん本当にいいかたばかりで・・・家族が増えていくようなイメージで、あまりオンとオフみたいに切り離さなくても楽しいかなっていう感じです」
超初心者向け『ソロキャンプ大事典』
※青木さんご夫妻は先頃、『ソロキャンプ大事典』という本を出されました。この本のセールスポイントを教えてください。
「はい、基本的にはNONIWAのキャンプ講習でお伝えしている、基本的な道具の選び方から、テントとかタープの建て方をわかりやすく載せていただいている本なんですね。
大辞典というだけあって、こういう時にどうしたらいいのだろうみたいなこととか、女性のソロキャンパーさんってすごく不安が多いと思うんですけど、こういう時に、たとえば盗難だったりとか、夜怖い思いをしないかみたいな、そういう不安なところまで、こと細かく載せてもらっている本になります。
あとは私たちが体験したことのあるソロキャンプ以外の、いろんなスタイルがあるんですけど、例えば自転車キャンプとか、徒歩で飛行機とかで行くようなキャンプとか、バイクを使ったソロキャンプをやっているかたがたにも協力していただいて、それぞれのキャンプ・スタイルの魅力を対談形式で載せてもらっているのがすごくおすすめです」
●ソロキャンプ、今ブームですよね?
「そうですね。かなり増えてきていて、最初NONIWAでもファミリーキャンプ講習をやっていたんですけど、(お客さんから)ソロでもやりたいです! っていうかたがすごく増えてきて、ソロキャンプ講習も始めていったという形です」
●青木さんご自身もソロキャンプってされたことはあるんですか?
「そうですね。最初から、キャンプを始めたいって時から、やっぱりソロキャンプに憧れがありました。でもやっぱり最初からひとりでやるには、なかなかハードルが高いというか不安だったので、NONIWAで自宅の庭になるんですけど(笑)、”女子ソロキャンプの会”みたいな感じで、同じ境遇の人たちとソロキャンプの練習をするってところから始めました」
●なるほど〜。私のような初心者がソロキャンプに挑戦するとしたら、まず何から始めたらいいんでしょう?
「そうですね〜。小尾さんの周りには、キャンプをしているお友達っていますか?」
●います!
「そしたら、やっぱり一緒に、キャンプに連れて行ってもらうっていうところから始めたらいいかなって思いますね。もし周りにいなかったら、まずは必要最低限の物を持って、日帰りのキャンプから始めるっていうのがいいかなって思っています」
●泊まらないとなると、確かにハードルが下がるかもしれませんね。
「そうですね。テントとか寝袋とか大物はまだ買わなくて、椅子とかお料理が
できるような、おうちにあるものでもぜんぜんいいと思うんですけど、そういうのを持って日帰りでキャンプ場に行ってみるのがいいと思います。
そこでどんな泊まりのキャンプがしたいか、みたいな(周りに)いろんな(スタイルで)キャンプをしている人がいるので、その様子を見て、私はあれよりも小さいテントでいいかなとか、そういう感じで、実際経験してみてから、自分のイメージにあった道具を揃えていくのがいいかなと思っています」
(編集部注:ソロキャンプの初心者が友達のキャンプにお邪魔する時は、防災用にもなるヘッドライトもあったほうがいいでしょう、とのことでした)
ときがわ町をアウトドアタウンに
※NONIWAは、常連さんが増えてきたそうですが、5年後、10年後のNONIWAがどうなっているか、何かイメージのようなものはありますか?
「NONIWAを始めてまだ3年くらいですけど、その中でもやっぱりキャンプの流れというか世の中の流れとかで、私たちがおすすめする(キャンプ)スタイルもどんどん変わっているので、講習の中身も日に日に変わっているイメージなんですね。
今まで来てくれたお客さんの反応とかで、いろいろ変えているので、5年後、10年後はどんなキャンプ講習になっているのかは、まだわからないんですけど、キャンプをやりたいって人はきっといると思うので、5年後、10年後も!(笑)コツコツやっていきたいなと思っています」
●ちなみにこの3年間で、どういった変化があったんですか?
「私たちがそう感じているだけかもしれないんですけど、今までは快適なキャンプをするために、結構道具をたくさん持って行って、グランピングみたいな感じで快適にキャンプをするのがいいよね! っていう時期もあったんですね。
今は逆にどれだけ物を減らして、身軽に苦がなくキャンプに行くっていうような、日常と非日常の垣根があまりないような形のキャンプも見直されています。実際、お客さんが泊まりに来てくれた時に、あまりにも大きなテントを建てていると、結構それだけで消耗しちゃっていたりする人もいるので、なるべくコンパクトで疲れないキャンプをご提案するように変わってきました」
●ユニット「野遊び夫婦」としては、なにか新しい活動とか、夢や目標というのはありますか?
「そうですね。私たちご縁があって、この埼玉県ときがわ町という所で活動させていただいているんですけど、本当にこの町がすごく大好きで移住して来たので、この町の魅力を私たち目線でどう伝えていけるかなっていうのが、日々の課題でもあるんです。
将来的にときがわ町をアウトドアタウンにできたらいいな〜っていう目標があるので、ちょっとずつNONIWAだけじゃなくて、近隣のキャンプ場さんと提携したりとか・・・。
あとは今、新しく夫がやっている、レンタルとかアウトドアのショップみたいなのを、10月くらいにオープンできたらっていう形で活動を始めているところなので、ちょっとずつ町を巻きこんで、面白いことができたらいいなって思っています」
INFORMATION
「キャンプ民泊NONIWA」はキャンプ未経験者に向けた、至れり尽くせりの施設。超初心者の小尾さんもぜひNONIWAでキャンプ体験をしたいということです。番組の取材でお邪魔して実現できればとスタッフは思っています。
ちなみに青木さんご自身が、キャンプの時のいちばん好きな時間は焚き火をしながら、周りの風景と大好きなお酒を楽しんでいる時だそうです。キャンプに焚き火とお酒は欠かせませんね(苦笑)
キャンプ民泊NONIWAについて、以下のオフィシャルサイトをご覧ください。
「野あそび夫婦」の活動については、以下のオフィシャルサイトをご覧ください。
ソロキャンプをやりたいかた、または初心者のかたは、ぜひ「野あそび夫婦」監修のこの本を参考になさってください。ソロ用の道具選び、サイトでの設営・撤収、ソロキャンプのご飯ほか、徒歩、自転車、そしてバイクのソロキャンプスタイルなどを掲載。安全にそして快適に過ごすためのノウハウが満載です。
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