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タンザニアと藤野が育む里山クラフトチョコレート〜小さなチョコレート工房「藤野良品店」の挑戦

2024/2/11 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、神奈川県相模原市の北西部、藤野地区の里山にある小さなチョコレート工房「藤野良品店」の「柳田真樹子(やまぎだ・まきこ)」さんです。

 藤野良品店は、ご主人がJICAの活動として、タンザニアに雇用を生み出すために現地にドライフルーツ工場を作るプロジェクトに関わったことが始まりでした。

 そのタンザニアでカカオ豆の生産者に出会い、持ち帰ったカカオ豆でチョコレートを作ってみようと思い立ったそうです。そこで作り方を調べて、カカオ豆と砂糖だけで手作りしてみたら、フルーティーなチョコが出来上がり、あまりの美味しさに感動! お友達のアドバイスやサポートもあり、2017年にチョコレート工房が立ち上がったそうです。

 そんな藤野良品店の柳田さんに手作りチョコレートのことや、移住して暮らしている藤野地区の魅力的なコミュニティーについてうかがいます。

☆写真協力:藤野良品店

柳田真樹子さん

希少なタンザニア産のカカオ豆

●藤野良品店で製造・販売されている「里山クラフトチョコレート」を、私もいただきました。板チョコですけど、包装紙を開けると、ふわっとカカオのいい香りが漂い、味わうと爽やかな酸味も効いていて、とっても美味しかったです! 

「ありがとうございます。そうなんです。砂糖とカカオ豆しか使っていないので、カカオ豆本来の味がそのまま出てくるんですね。本当にフルーツみたいな感じの味を感じていただけるようなチョコかなと思います」

「里山クラフトチョコレート」

●改めてなんですけど、この「里山クラフトチョコレート」のいちばんの特徴は、どんなところでしょうか?

「カカオ豆をタンザニアの生産者さんから直接購入して、日本に持ってきて、カカオ豆を焙煎するところから、すべての工程を自分たちでやっているというところかなと思います。で、顔の見える相手、すべて知っているかたから買わせていただいたりとか、相手とつながっている安心安全なチョコレートかなっていうのがひとつですね。

 あとは、食べていただいたと思うんですけれども、カカオ豆本来の持っている酸味だったり、香りだったり、フルーティーさをそのまま感じることができる、混じりっけなしのチョコレートかなって思います」

●タンザニアから有機栽培のカカオ豆を輸入されていますが、タンザニアのカカオ豆は有名なんですか?

「実は希少な豆です。カカオ豆の産地で有名なのは、西アフリカにあるガーナとかコートジボワールで、だいたいその2か国で世界の生産量の3分の2ぐらいを占めています。タンザニア産のカカオ豆は、世界の生産量でいうとだいたい 0.1%ぐらいで、すごく少なくて、本当にレアな豆ですね。

 カカオ豆っていろんな風味があるんですよ。ナッツみたいな風味だったりするものもあれば、ラズベリーのような風味、それからハーブのような風味だったり、ラムレーズンみたいな風味だったりと、生産地とか種類によって、カカオ豆の味が全然違うのがまたそれも面白いところですね。

 私たちが使っているタンザニア産の有機栽培のカカオ豆は、ラズベリーのような風味の豆で、香りもすごくいいですし、味もよくて、油脂分もすごく多いので、カカオバターを追加する必要がない、すごく良質な豆ですね」

タンザニアのベンチャー「ココアカミリ」

写真協力:藤野良品店

※藤野良品店でチョコを製造・販売することになったのは、ご主人が仕事の関係で、タンザニアのカカオ豆の生産者に出会ったことがきっかけだったわけですが、現在、タンザニアのこんな会社からカカオ豆を買い付けているそうです。

「特に私たちが今、輸入させていただいている『ココアカミリ』は、すごく頑張っている会社です。タンザニアのカカオ豆は小規模な農家さんが作っている豆です。チョコレート用のカカオ豆を作るためには、発酵させて乾燥させる設備が必要なんですけど、それを小規模な農家さんが、高い価値のあるチョコレート用のカカオ豆を作って販売するってなかなか難しいんですね。

 ココアカミリさんは、2000軒ぐらいある小さなカカオ農家さんから、生のカカオ豆を買ってきて、相場よりも高い値段で買い取って、それを大きな発酵装置の中で発酵させて乾燥させて、選別して輸出する一連のことをやるような会社なんですね。

 その会社は、アメリカ人のシムランとブライアンっていうスタンフォード大学を卒業したふたりが立ち上げたベンチャーの会社で、現地でずっとスタッフさんたちと一緒に熱い思いを持ってやっていますね。

 カカオ農家さんが自分たちで、いい苗木を入手して育てていくのは難しいので、優良の苗木を農家さんに提供したりとか・・・。
 あと児童労働も絶対に認めないっていう方針を定めていて、もし児童労働が一回でも確認されたら、カカオ豆は取引しませんよとか、買取しませんよっていうようなことを決めたりとかしています。すごくしっかりとした会社で、しかも品質の高い、そして社会的な意義も高い会社なので、そこから私たちはカカオ豆を買わせていただいています」

(編集部注:現在、藤野良品店で販売しているチョコは「里山クラフトチョコレート」というネーミングの、いわゆる板チョコで、ラズベリーのような風味のプレーンと、自家製のゆずをトッピングしたチョコ、そして新作の、ローストしたカシューナッツが香るホワイトチョコの3種。

写真協力:藤野良品店

 パッケージは、藤野地区に住むご友人のアーティストがタンザニアと藤野をイメージした自然や生き物を描いた1枚の絵になっています。この素敵なパッケージにもぜひご注目ください。お買い求めは以下から、どうぞ!)

☆藤野良品店オンラインショップ :https://fujinoryohin.handcrafted.jp

自然栽培の貴重なパイナップル

※藤野良品店では、ドライフルーツも販売されています。これもタンザニアから輸入しているんですよね?

「はい、そうです。夫が最初に手がけていたタンザニアの会社、そこの応援をしたいっていうのが藤野良品店のひとつの大きなミッションでもあったので、今もそれは続けています」

●フルーツも有機栽培ですよね?

「そうですね。有機栽培の有機認証は結構規定の難しさだったり、コストがかかってしまうので、 その認証は取れていないんですけれども、無農薬で育てられたフルーツを使っています。

写真協力:藤野良品店

 種類はマンゴーとバナナ、パイナップルがあるんです。マンゴーは木を丸ごと1本買って、仕入れ担当者がその木に登って、収穫することもあったりするそうです。パイナップルもすごく貴重なパイナップルで、農薬はもちろん使ってないですけど、肥料も使ってない、自然栽培のパイナップルです。多分世の中にこういうパイナップルのドライフルーツは出回ってないんじゃないかなと思うんですけれど・・・。

 私たちも家族でタンザニアの現地に行って、パイナップルの農場にも行ったことあるんですね。ドライフルーツの工場から車で片道5時間以上かけて行って、その車を置いて、今度は歩いて1時間。で、土壁の家が数軒並ぶような小さい村を過ぎて、そして小さな川にジャブジャブ入って2本渡って、そんなところにある山の中に農場はあります。
 現地の人たちは、手作業でパイナップルをひとつずつ収穫して、かごに詰めて、そのかごを頭に乗せて歩いて、また川を渡って村を過ぎて、車まで運んで、また片道5時間かけて工場まで持っていくっていうことを、日々やっているんだなと思うと、本当にありがたいなと思いながら食べています」

写真協力:藤野良品店

毎日ワクワク! 藤野地区での暮らし

※柳田さんは、旧藤野町(きゅうふじのまち)、現在の相模原市緑区にお住まいですが、実は2015年にご家族で移住されたんです。移住しようと思ったのは、どうしてなんですか?

「もともと川崎市に住んでいたんですね。長女の小学校をどこにしようかなって考えていた時に、点数とかの相対評価するのではなくて、個性を重視した絶対評価をする教育を実践する学校で、自己肯定感とか生きる力を育むことができる学校に通わせられたらいいなって思いまして、そんな学校が日本にないかなと思って、北海道から京都のあたりまでずっと探しておりました。

 その時に出会ったのが『シュタイナー教育』という100年以上前からドイツなど欧州を中心に広がっていった、日本でいうとアクティヴ・ラーニングとか探求型学習を実践している『シュタイナー学園』という学校があることに気づきまして、この学校いいなと思ったんですね。

 一方、夫は昔から自然豊かな土地で地元の木材や、太陽光エネルギーとか自然エネルギーを活用した住宅に住みたいなっていう思いとか、家庭菜園や薪ストーブのあるような田舎暮らしをしたいなっていうことを希望していました。私の娘の教育と夫の田舎暮らしの両立ができるところ、そして今、夫の職場が都内なんですけれど、そこに通える範囲の場所はどこかなっていったところで、この旧藤野町を選んで移住しました」

●実際、藤野地区に住んでみて、いかがですか?

「すごく楽しい毎日を過ごしていますね。移住する前に想像していた以上の、いろんな楽しいことが起きていて、科学反応も起きていて、毎日いろんな人から刺激をもらいワクワクしっぱなしの楽しい地域ですね。

 夫はもちろん楽しんでいまして、薪ストーブを毎日、今は寒い時期なので炊いたりとか、薪を作るための薪割りだったりとか、家庭菜園ももちろん楽しんでいますね。
 あと、地域の方たちとつながって『ジビエの会』・・・、ジビエっていうのはこの辺だとイノシシやシカとかがすごく多くて、そういった獣たちが畑を荒らす、そういう課題がある地域でもあるんですけど、その課題を解決しながら、みんなで連携して美味しくジビエをいただこう! みたいな、そういう会が立ち上がっているんですね。そこの会に所属して罠猟(わなりょう)の免許を取ったりとかして、いろんなこと楽しんでいますね」

写真協力:藤野良品店

※実際に藤野地区に住んでみて、どうですか。柳田さんご自身に何か変化はありましたか?

「地域の人たちとつながることができたので、交流がたくさん増えて人脈も広がって、楽しいこともたくさんできるようになって、生活に潤いというか豊かさみたいなものが増えたなっていうのがひとつあるのと、子育てもすごく楽になったなと思います。
 地域がすごくつながっているので、子供を育てる時にちょっと誰かいないかなと思った時に、すぐに誰かが子供を預かってくれたりもしますし、天災とかそういった非常事態が起きても、助け合ってなんとかなるだろうなみたいに思ったりとか、そういった精神的な安心感がやっぱり増えたなって思っています」

(編集部注:以前、この番組にご出演いただいた藤野電力の鈴木俊太郎(すずき・しゅんたろう)さん。鈴木さんはミニ太陽光発電システムを作る防災ワークショップなどを行なっているかたなんですが、柳田さんのお宅にある太陽光パネルは鈴木さんに設置してもらったそうです。薪ストーブのメンテナンスもやってもらっているそうで、柳田さん曰く、鈴木さんはなんでもできるすごい人だそうですよ)

子供たちの、より良い未来のために

※柳田さんは「森のイノベーションラボFUJINO(通称:森ラボ)」のスタッフとしても活動、さらにお子さんが通っている「シュタイナー学園」の広報担当でもいらっしゃいます。藤野良品店のお仕事も含め、活動の原動力はなんですか?

「すべての原動力は我が子が生きていく未来が、少しでもいい環境であってほしいという願いから来ていると思います。今の、争いがやまない世界情勢だったり、地球温暖化と海や空気の汚染、それから格差社会とか課題が山積みで、未来は大丈夫かな? って、私もすごく心配しているんですけれども、そういった課題が少しでも改善できるように、何か私にできることはないかということを日々考えて行動しています。

 シュタイナー学園で働いているのは、教育はいい未来とか世界を作っていくのにとっても大事、根幹だと思っていて、みんなが自分で考えて正しく行動できるようになれば、世界や地球環境が良くなっていくのではないかなと思っているんですね。 シュタイナー教育はそんな人を育てることができる教育のひとつかなと思っているので、それを広める仕事をしたいと思って広報の仕事をしています 」

●では最後に今後やってみたいこと、または夢をぜひ教えてください。

「子供たちのいい未来につながる活動であれば、なんでもやってみたいなと思っています。 たとえばチョコレート作りのワークショップや、オンラインで現地の人とつながれるような交流会をしたり、タンザニアに行く現地ツアーみたいなのを企画して、多くのかたに世界に目を向けてもらえる機会作りなどができたらいいなと思っています。

 あとはやっぱり環境になるべく負荷をかけない物づくりをしていきたいという思いがあるので、ちょっとお金がかかるかもしれないんですけれど、100%自然エネルギーで作るチョコレートも実現できたらいいなと思っています。

 藤野に炭作りをしている『炭焼き部』っていう部活があるんですけれども、そこで作られた炭を使って焙煎をしているんですね。その後の工程は電気を使うんですけれども、その電気を使う工程を太陽光発電ですべてまかなえたら、100%自然エネルギーで作るチョコレートが実現できるので、それをやってみたいなと思っています」


INFORMATION

 藤野良品店の里山クラフトチョコレートを、ぜひご賞味ください。タンザニアの生産者から直接取り寄せた有機カカオ豆を、藤野地区の木炭を使って焙煎。原料はカカオ豆と有機砂糖だけ。タンザニア産カカオ豆の特徴であるフルーティーな味わいにびっくりすると思います。

 地元のアーティストが描いた素敵なパッケージにもご注目ください。ほかにも果実100%のタンザニア無添加ドライフルーツも販売しています。バレンタインデー向けの魅力的なギフトセットもありますよ。

写真協力:藤野良品店

 藤野良品店のオンラインショップからお買い求めいただけます。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎藤野良品店 :https://www.fujinoryohinten.com

◎藤野良品店オンラインショップ :https://fujinoryohin.handcrafted.jp

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