2025/6/29 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、一般社団法人「Hidamari」の代表理事「村田里穂」さんです。
里穂さんは双子のお姉さん、美穂さんと一緒にHidamariの活動に取り組んでいます。実はふたりは、大学時代に出会った私、難波遥の大切な友人で、どうしてもこの番組で、ふたりの活動をご紹介したくて、お迎えすることになりました。
Hidamariは、双子のお姉さん美穂さんがすでに立ち上げていた「ハピエコ」という一般社団法人に、里穂さんが加わることになり、3年前に名前も新たに再スタートしたそうです。
Hidamariという名前には、里穂さんいわく、人それぞれが自分の光を放って、この地球が心の温かさのひだまりになるように、というそんな思いが込められているとのこと。
現在、兵庫県姫路市を拠点に活動されていて、今回は姫路からリモートでご出演いただきます。きょうはインドネシアで取り組んでいる森林再生の活動や、その一環として製造・販売している「森のコーラ」のお話などうかがいます。
☆写真協力:一般社団法人 Hidamari

インドネシアの森林破壊に衝撃!
※現在Hidamariでは、どんな事業を行なっているのか、教えてください。
「まず、双子の姉がやっている『ハピエコ』。これは教育事業で、全国の学校や企業に環境問題と、心について講演をしたり、ワークショップをしたりする事業です。
環境問題や社会問題をたどると、結局は人の心にたどり着くことを双子の姉が発見して、それだったら心の声に従ってハッピーな選択をしよう、ハッピーにエコろう! っていうことで、『ハピエコ講座』って呼んでやっています」
●おもに里穂さんが担当されているのは、どういった事業ですか?
「私が担当しているのは、インドネシアの森林再生事業で『elf(エルフ)』と呼んでいます。これは現地のスマトラ島のNGOさんと一緒に森林再生の事業をしているんですけど、私は・・・また後で詳しく話したいと思うんですけど、スマトラ島の森で作った原材料を使って、日本でクラフトコーラを作って販売するという事業をやっています」

(編集部注:森林再生事業の名前「elf」は「Eternal Life For Forest」の頭文字をとって「エルフ」。「森に永遠の命を」そして「妖精」という意味もあるそうです)
※里穂さんは実は、イギリスに留学されていました。というのも、日本の大学に進学したものの、自分のやりたいことが見つからず、以前から興味のあった、多様な子供たちが共に学ぶ「インクルーシヴ教育」を学ぶためにイギリスに行ったそうです。
●イギリス留学中にインドネシアに行ったんですよね?
「そうですね。教育を学ぼうと思って行ったんですけど、そのイギリスで環境問題を知ったんですね。私ももちろん地球温暖化は知っていて、大変なんだなっていうのは知っていたんですけど、まさかこんなに大変な気候変動が起こっていて、誰かが(対策を)やってくれているんだなって私は思っていたんです。
でも、こんなに大変なことになっているのに、誰も根本的な解決策を提示できてないっていうのを知って、本当に衝撃を受けて、自分でできることは全部やろうって決めて環境の活動をやっていました。
その中で私は森と動物がすごく好きなので、やっぱり森を守りたいって思って、森を守りたいって言うんだったら、私は森林破壊(の現状)を自分の目で見なきゃなって思って、それでインドネシアのスマトラ島に行ったのがきっかけです」

●そこで見たインドネシアの森林は、どういう状況だったんですか?
「インドネシアは、森林破壊の原因が(アブラヤシから採れる)パーム油っていう植物油で、これは業務油と言われていて、すごく安くて便利な油なんですね。いろんな加工食品だったりお化粧品だったり洗剤に使われていて、たくさん使われているので、農地もたくさん必要になってくるので、森を壊さなきゃ農地が作れない、ということで、インドネシアの森がたくさん破壊されて、そこでアブラヤシが育てられているっていうのがあるんですね。
私が行った時に衝撃を受けたのが、そのアブラヤシのプランテーションがずーっと続いていて、車で2〜3時間走っても、ずっと続いていたのが本当に衝撃的でした」
森林を再生する農法「アグロフォレストリー」
※インドネシアのスマトラ島で取り組んでいる森林再生事業について、もう少し詳しくうかがっていきたいのですが・・・現地で森林再生の活動をやろうと思っても、そう簡単ではないですよね。まず、何から始めたんですか?
「まずは現地に行ったのが本当に始まりで、それで現状を知ることをまずやりました。いったい誰が困っていて、どこでどんな森がなくなっていて、どんな動物がいなくなっているのかを、自分の目で見て聞いてっていうことをやりました。
それから自分で、解決方法は何だろうっていうのを調べたり考えたり、人に聞いたり電話をして、私は『アグロフォレストリー』っていう森を再生する、森を作るって言われている農法にたどり着いたんですね。
そこから、すでにアグロフォレストリーをやっている現地のNGOさんたちにコンタクトして、私も学ばせてくださいってメールして電話したのがきっかけです。それでNGOさんと出会って一緒にこの事業をやっていこうっていうふうになりました」

●私は森林を再生する農法ってあまり聞いたことがなかったんですけど、どういった特徴があるんですか?
「 これは森の中でいろんな農作物を育てていくようなイメージです。ひとつの土地でいろんな農作物だったり、果樹だったり木を育てていくっていう感じのごちゃまぜな、そんな農地です」
●インドネシアには、アグロフォレストリーに取り組んでいる団体は多くあるんでしょうか?
「今かなり多くなっていて、特にスマトラ島はアグロフォレストリーではなく、プランテーションが植民地時代の影響もあって、すごく多かったんですけど、プランテーションよりアグロフォレストリーのほうが安定して支援も得られるから、農家さんも”アグロフォレストリー、いいじゃん!”ってなって、転向していくかたがすごく多いんですね」
(編集部注:インドネシアのスマトラ島で一緒に活動している現地のNGO「RSF」は、おもに野生ゾウの保護や森林再生の活動を行なっているそうです)
「森のコーラ」が森林を再生!?
※現地のNGOと一緒に、具体的にはどんなことに取り組んでいるんですか?
「今はまず『森のコーラ』っていうクラフトコーラを作っています。これは先ほど言った、アグロフォレストリーで採れたシナモンやジンジャーっていう香辛料を輸入して原材料にしているので、“飲めば飲むほど、森が増える”っていうクラフトコーラを私が日本で作って販売することをやっています。

アグロフォレストリーの農家さんをNGOがどんどん広めていって、農家さんを増やしていくこともやっています。
あともうひとつやっているのは、フィールドワークと言ってスタディツアーのようなものなんですけど、日本で興味のあるかたがたを募って、スマトラ島のジャングルに行ったりとか、スマトラゾウ、野生ゾウの保護施設に行ったり、(森林破壊の)現状を知ったり、植林体験したりするフィールドワークをしています」
●森のコーラもフィールドワークもどちらも興味深いんですけれども、まず、森のコーラはコンビニや自動販売機で売っている炭酸飲料のコーラとは、全然違いますね?
「そうですね。味もかなり違うと思います」
●どういう味なんですか?
「私が作っているクラフトコーラは、香辛料と甘酒を使っているので、ちょっと優しい甘さになっていたり、シナモンやカルダモンの香りがするようなコーラになっています」

●なるほど。どんな飲み方がお勧めですか?
「今の暑い時期だと炭酸割りが本当にオススメなんですけど、豆乳やミルクで割ると、チャイのような味になるので、それが炭酸割りよりも飲みやすいっていうので、特にお子さんには大人気になっています」
(編集部注:「森のコーラ」は大阪・和泉市で製造。里穂さんのこだわりで、リユースできるビンで販売されていて、炭酸飲料ではなく、シロップになっています。飲み方にもよりますが、通常サイズ275ミリリットル1本で10杯分ほどあるそうです)
※「森のコーラ」を飲めば、それが森林再生につながる、そんな仕組みになっているんですよね?
「そうですね。『アグロフォレストリー』が先ほど言ったように、いろんな農作物や木を混ぜ混ぜにして育てていく農法なので、例えばシナモンの木がコーラを作ることでどんどん必要になっていったり、カルダモンの木が必要になっていくことで木が植えられたり・・・。ほかにもマンゴーやバナナの木も同時に植えるので、いろんな木が再生されていくようなイメージです。
なので、計算上でしか今できていないんですけど、森のコーラ4本につき、木が1本再生されていくような仕組みになっています」

●素敵な仕組みですよね。ちなみにこの森のコーラ事業は、現地の人の雇用にもつながっていますか?
「そうですね。アグロフォレストリーの香辛料を私が大きな需要として生み出しているので、(現地の農家さんが)“それを作りたい!”となって、スマトラ島のアグロフォレストリーの農家さんがどんどん増えていくっていうようなことをやっています。なんですけど・・・そこまで今、大したインパクトはないので頑張ります!」
体験がいっぱい! スマトラ島フィールドワーク

※先ほどスマトラ島で行なっているフィールドワークのお話がありましたが、具体的にはどんなことをやっているんですか?
「フィールドワークでは、まずはジャングルに行ったりします。日本にはない大自然を体験するっていうこともそうですし、スマトラ島の森林破壊の現状を知ることもやっています。広大なアブラヤシのプランテーションに行ったり、工場をちょっと見たりとか・・・。
あとは野生ゾウと人との軋轢で、野生ゾウがどんどんいなくなっている現状を、現地で活動しているNGOさんの話を聞いたり、人との軋轢で足を怪我した野生ゾウ、そういうゾウを森がいっぱいある施設で保護していて、そういうところにも行って、実際にゾウに餌をあげたり、川に行って水浴びしたりっていうようなこともしています」

●実際にフィールドワークに参加されたかたからは、どういった反応があるんですか?
「ほぼ全員から“こんな素敵な、こんな濃い5日間はなかった”って言われます(笑)」
●へえ~、すごい! 新たな発見がいろいろあるんですね。
「そうですね。コンテンツも盛りだくさんなので、ぼーっとできる時間がないんですね(笑)」
●その時間は「インプット・インプット! 体験・体験!」っていう感じですか?
「そうですね。ただただ楽しい!っていう時もあれば、美味しい!だったり、辛い!だったり、悲しい・・・だったり、いろんな感情がぎゅっと詰め込まれる5日間になると思います」
(編集部注:フィールドワークは今年も8月に実施されます。日程は、8月20日から24日まで。現地でどんなことをするのか、事前にオンライン面談で直接、お話が聞けるそうです)
自分ごとの範囲を広げる
※「Hidamari」のオフィシャルサイトに「MISSION:この世界の心の温度を上げる」とありました。この言葉に込めた思いを教えてください。
「“この世界の心の温度を上げる”っていうのは、私も双子の姉の美穂もずっと根幹にあってやりたいことです。それぞれやっていることは違うんですけど・・・でもやっぱりいろんな社会問題とか、動物がどんどんいなくなることもそうですし、そういうのは自分ごとっていう範囲がすごく狭いから起こっていることだなと思っています。
自分ごとの範囲が自分の家族や自分の地域から、もっともっと広がったら・・・動物だったり、世界のぜんぜん違う国の貧困だったりっていうのも自分ごとになったら、絶対にこういう世界の問題は解決されるんじゃないかなと私たちは思っているので、人の心の温度を上げるっていうのを目標というか、やりたいこととして掲げています」

●今後、里穂さんが特に力を入れたいことは何でしょうか?
「そうですね・・・私はこの森林再生の事業のビジョンが“すべての命が調和して、共に生きる社会を作る“っていうのがあるんです。なので、インドネシアに限っていないんですね。この地球すべての命が、っていうことを願っています。
日本でも、日本の山も今ひどい状況なので、日本の山だったり、またボルネオ島だったり、全然違うアフリカだったりっていうのを視野に入れてやっていきたいなと思っています。今年はちょっと日本の山を整備して、いろんな命を調和させていきたいなと思っています」
INFORMATION
森林再生のために、飲めば飲むほど森が増える「森のコーラ」をぜひお買い求めください。「Hidamari」のオンラインショップから購入できます。また、販売してくださるお店も募集中です。
改めてになりますが、「森のコーラ」は炭酸飲料でなく、シロップです。通常サイズ275ミリリットル1本で、飲み方にもよりますが、10杯分ほどあるそうです。
インドネシア・スマトラ島でのフィールドワークは、8月20日から24日まで。現地のNGOの協力のもと、ジャングルや野生ゾウの保護センター、森林破壊の現場などを視察・体験する、内容の濃い5日間になるそうです。
里穂さんのお話を聞いて、「Hidamari」を支援したいと思ったかたは、寄付という形で応援することもできます。いずれも詳しくは「Hidamari」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎Hidamari:https://hidamari-no-machi.com/