2026/1/18 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、翻訳家そして文筆家の
「服部雄一郎(はっとり・ゆういちろう)」さんです。
服部さんは1976年、神奈川県生まれ。東京・六本木で舞台制作の仕事をしていた服部さんは、子供が生まれたのを機に、自然豊かなところで子育てをしたいと思い、神奈川の葉山町に引っ越します。
そして仕事と子育てを両立させるために自宅に近いという理由で、葉山町役場に転職。ゴミ担当職員となり、そこで初めてコンポストに出会います。
住民からコンポストに関する質問を受けてもしっかり答えられるように自分でも使ってみようと一念発起! 町の補助金を活用して、緑色の釣鐘型のコンポストを購入。庭にコンポストを置いて、コンポスト生活がスタート!
この時のコンポストとの出会いがその後のライフスタイルに大きな影響を与え、ついにはコンポスト関連の本まで出すことになりました。
現在は高知県の里山にご家族と共に暮らしている服部さんは、なるべくサステナブルな暮らしを目指しています。そして先頃『がんばらないコンポスト生活』という本を出されています。
きょうはそんな服部さんに、気軽に楽しく取り組めるコンポスト生活や、カリフォルニア大学での学び、そしてサステナブルな暮らしについてうかがいます。
☆写真協力:服部雄一郎

生ごみが消える「消滅型」コンポスト!?
※コンポストには、どんなタイプがありますか?
「本当にいろんなタイプがあるんですね。大きく分けると、昔ながらの堆肥を作るタイプ・・・庭に置いて、生ごみと草木や土と一緒に堆肥作りをしていくタイプがすごく王道です。最近はマンションのかたでも使えるような『消滅型』と言って、生ごみを土の中に埋めていくと、どんどん消えていくタイプ。堆肥がどんどんできて、増えて困ったりしなくて済むという、そういったものも出てきていますね」
●消滅型っていうのがあるんですね。私、マンション住まいなんですけど・・・となると消滅型がおすすめですか?
「そうですね。マンションのかたで特に植物や花を育てる予定がないっていうかたにとっては、堆肥がどんどんできてしまうと困ると思うので、消滅型はすごく使いやすいかなと思います。
ただマンションのかたでもベランダで、すごく上手に野菜や花を育てていらっしゃるかたもいるので、そういうかたであれば、逆に堆肥を上手に使って、ホームセンターで堆肥を買ってくる必要もなく、生ゴミからの循環で、うまくベランダで循環生活を送られているかたもいらっしゃいます」
●コンポストは、どこで売っているんですか?
「タイプによっていろいろ、メーカーさんから買ったり、最近は通販サイトでも販売していたりするので、いろんな形で買うことはできるんです。
唯一『キエーロ』っていう消滅型のもの、広くおすすめできるかなと思うタイプがあるんですけれども、ここで買えるっていうのが見つかりにくくて、みなさん困ったり、DIYできるかたは自分で作ったりもするんですね。
そんな中でひとつ、すごくおすすめかなと思うのは、東京に『コンポストフレンズ』(*)というお店があります。オンラインでも多分買えると思うんですけれども、そこは本当に世界でも珍しいコンポスト専門店です。
店主のかたはすごくコンポストに詳しくて、いろいろ相談に乗ってもらいながら商品選びができて、実際にそこで見ることもできるというところがあります。そこでキエーロも売っています」
(*コンポストフレンズ:https://compostfriends.jp)
●コンポスト生活って、お庭があるようなところじゃないとダメなのかなって思っていたんですけど、実際はお庭がある家じゃなくても可能ってことですよね?
「はい、可能です! 庭があったほうがやりやすいのは確かなんですけれども、庭がなくても使いやすいようなコンポストは、最近いろいろ増えてきているので、ぜひぜひたくさんのかたにコンポストの楽しさを味わっていただきたいなと思います」

(編集部注: コンポストとは「生ゴミや落ち葉などの有機物を、微生物の力を借りて土に還すこと」。日本では、その容器をコンポストと呼んでいますが、英語の「COMPOST」は単に「堆肥」という名詞や「堆肥を作る」という動詞で、容器のことは「COMPOST BIN(コンポスト・ビン)」などと呼ぶことが多いそうです。
コンポストを活用することは、ゴミを減らすことにもなりますし、家庭菜園用の堆肥もできるということで、環境への負荷を減らし、循環型の暮らしにもつながる取り組みですね)
ライフスタイルに合ったコンポストを選ぶ
※コンポスト初心者に、失敗しないコツを教えてください。
「使うタイプによってアドバイスしたいことは、いろいろ違ってきたりもするんですけれども、まずは使い方をしっかり読んでいただくのは、すごく大事かなと思うんですね。
僕自身がコンポストを使い始めた時に、本当にいい加減に生ごみばっかり入れて、トラブルが起きたこともあるので、まずは使い方をしっかり見ていただくのが大事ですね。その前にご自身にあったタイプを選ぶというのが、すごく大事かなと思います。
やっぱり庭があるなし・・・みなさん基本的に、庭がないと使えないものとか、そういう視点は持っているかと思うんですけども、やっぱり虫がどうしても嫌だとか、堆肥ができると逆に困るとか・・・あと生ごみがたくさん出る家と、割と少ししか出ない家によって、使いやすいコンポストの種類が違ってきたりするんですよね。
なので、ご自身のライフスタイルにあったものを選べば、すごくうまくいきやすくなるので、選ぶ最初の段階でぜひ、ふさわしいものを選んでいただきたいなと思います。この『がんばらないコンポスト生活』には、(コンポストの)比較表を掲載しているので、ぜひそれも参考にしていただけたらなと思います」

●虫が発生するのは、やっぱりちょっと怖いなっていう思いがあるんですけど(苦笑)、対処法はどうしたらいいんでしょうか?
「そうですよね。まずは虫が発生しにくいタイプのコンポストを、虫が苦手な方は使っていただきたいというのがあります。虫が発生しやすいものと、発生しにくいものがあるので、発生しにくいものを使っていただいた上で、虫がわくメカニズムを理解していただくとすごく防ぎやすくなるんですね。
臭いが漏れないようにしっかり土に埋めてしまうであるとか、あと室内で使うタイプであれば、室内まで虫が飛んできて発生することは、とても可能性は低くなりますので、そういった点でほとんど防ぐことができると思います。そういう選び方、使い方をしていれば・・・。
あとは、やっぱり生ごみの分解がスムーズであれば、虫だけじゃなく、臭いもほとんど防げるんですね。なので、生ごみが順調に分解していくようにするにはどうするかというと、生ごみをなるべく小さい状態で、そのままゴロゴロ入れてしまうとなかなか分解が進まなくなってしまうので、細かい生ごみにしておくと、スムーズに分解して、トラブルもほとんど減って、うまく使える可能性がすごく高まります」
●春夏秋冬、季節によって気温も湿度も変わりますが、気をつけることはありますか?
「冬は寒いですけれども、寒いと微生物の活動も低下してくるので、生ごみの分解が遅くなってしまうんですね。なので、どんどん入れても、なかなか分解しないっていう悩みがよく聞かれるので、そんな時には なるべくコンポストの中を温めるような工夫はすごく大事ですね。
例えば、日当たりを良くしてみるとか、分解が促進されるようなちょっと油分とかそういうものを入れてみる・・・糠(ぬか)とかですね。(微生物の活動が)活発になってくることがあります。
で、夏は逆に生ごみがどんどん分解するので、すごく使いやすいんですけれども、今度は逆に虫の発生の可能性が高まってくるので、虫が嫌なかたは虫を防ぐ注意が必要になってくるかなっていうのがあります」
生ごみを燃やす日本は特殊!?
※本のプロフィール欄に「カリフォルニア大学バークレー校の大学院」に家族で留学、と書いてありました。これはどういうことなんですか?
「町役場で全然関心がなかったはずのごみのお仕事が、すごく楽しくなってしまって、それまで自分は環境問題のこととかあまり考えたことがなかったんですけれども、今すごく環境問題が深刻な時代にも来ていますので、そんな中で環境政策、ごみ政策の勉強をしてみたいと思って留学しました」

●なぜカリフォルニア大学に留学されたんですか?
「いろんな理由がありました。環境政策の分野ですごく評判のいい大学院があったということに加えて、カリフォルニア州はごみ処理で、すごく先進的な取り組みをしていることで、世界的に知られているんですね。
生ごみもカリフォルニアでは普通に自治体が全部、分別回収して、すべて堆肥化していて・・・というような、そういう実情もぜひ見てみたいと思ってカリフォルニアを選びました」
●何年くらいいたんですか?
「修士課程の2年間おりました」
●日本では(生ごみを)燃えるごみとして処理していますけれども、海外では国の政策もよりますけれども、どのように処理しているんですか?
「カリフォルニアでは『オーガニック』という分別区分があって、そこに生ごみとか、庭を持っているかたは雑草や草木とか、あと割箸とか紙皿とかもそこに入れてよかったんですよ。いわゆる有機物ですよね。堆肥化できるものっていう括りで、資源として回収されていたのがすごく新鮮でした。
ほかの国でも結構そういう国は多くて、お隣の韓国でも生ごみは資源として、ごみとは別に分別して活かされているんですよね。もちろんそういう国が全部ではなくて、特に途上国を中心に単に一般ごみとして、全部埋め立てられている地域も多くはあるんですけれども・・・」
●日本はどうですか?
「日本は世界の中ではすごく特殊で、燃えるごみがごみの中心としてあるんですけれども、生ごみを含めた、ほとんどの資源物でないごみを燃やしてしまうっていう、これは結構、世界の中で珍しくて、世界の中では実はごみを燃やすのはそんなに一般的ではないんですね。
ごみの焼却は、焼却炉の建設維持も結構お金がかかりますし・・・という意味で途上国にはとても難しいことがあったりします。
あとは有害物質の排出を抑えるなどの高度なテクノロジーが必要になる、という意味でもハードルが高かったりすることもあります。世界では埋め立てるのが基本で、それを減らすためにどんどん資源化していくほうが主流です」
(編集部注:先ほど、カリフォルニア大学バークレー校の大学院で環境政策などを学んだというお話がありましたが、この話には続きがあって、服部さんはインターンとして環境保護団体の短期プロジェクトに参加することになり、以前から途上国に関心のあった服部さんは南インドを選んでチェンナイに赴任します。そこで途上国のごみの現状を目の当たりにし、衝撃を受けたそうです。
そして、持続可能な暮らしを追求するコミュニティ、エコビレッジを訪ねた時に、エコロジカルでサステナブルな暮らしにインスピレーションをもらい、30代後半で地方へ移住することを決意したそうです)

生ごみがありがたい存在に!?
※高知の里山に移住されて、何年ほど経ちましたか?
「なんともう10年以上経過して11年ですね」
●コンポスト生活がきっかけとなって、よりサステナブルな暮らしを目指されているということですよね?
「そうですね。本当にコンポストのおかげが大きいな~と実感しています。最初、コンポストをうまくちゃんと使わなくて、虫がわいたりしたことがあったんですね。トラブルって意味ではそうだったんですけども、生ごみをコンポストに入れたことで、ごみがなくなったっていう、そのことによる暮らしの変化の実感がすごく大きかったんですよね。
ごみが家の中からなくなって、シンプルにものすごく快適だなと思って、こんなに簡単なことで暮らしって変わるんだっていう実感が、そのあとの自分を変えてくれたと思います」

●コンポストで作った堆肥を使って、野菜作りもされているんですよね?
「はい、そうですね。野菜も高知に来てからすごく作るようになりました」
●どんな野菜を育てているんですか?
「種類で言ったら30種類以上とか作っているんです。自分は完璧を目指してやっているわけでもないので、出来は良かったり良くなかったりっていうのもあるんですけれども、いろんな野菜を育てられて、すごく嬉しいですね。
今の季節だとグリーンピースとかスナップエンドウとか、サヤエンドウとかソラマメとかも蒔いたタネが芽を出しているところです。夏は普通にトマトやナスやピーマンっていう夏の野菜も採れますし・・・という感じで、すごく季節感のある野菜を食べられて楽しいです」
●やっぱり里山の暮らしは、自給自足に近いものがありますよね?
「はい、自給って完全に自給に近づけていくのは、すごくハードル高いんですけれども、一部の自給はすごくやりやすいですね。それがまたとっても楽しくて・・・やっぱりゼロかイチかの違いってすごく大きいので、少しできるとまたほかのこともやってみようかとか、そんな感じです。
実情としては完全な自給自足には本当に程遠いんですけれども、できることとかがどんどん増えていてすごく楽しい日々です」
●ニワトリも飼っているんですよね?
「はい、今はたった一羽なんですけど、飼っています」
●卵をいただいてっていう感じですか?
「はい、卵を結構産んでくれますね。冬寒いと産まなくなるんです。それも飼い始めて初めて知ったことで、”ニワトリにも季節があるんだ!”ってびっくりしたんですよ。冬以外は本当にほぼ毎日のように産んでくれるので、それをいただきつつ暮らしております」

●(ニワトリは)卵だけじゃなくて、ほかにもいいことがあるそうですね?
「はい、ニワトリには本当に学ばせてもらっています。卵を産んでくれるのはニワトリのごく一部であって、やっぱり糞が役に立つっていう、鶏の糞っていうのはいわゆる鶏糞なので、それが落ちると土にとっても良くて、野菜が育ちやすくなるっていうのもあります。
あとはニワトリ自身が、どんどん虫をついばんで食べてくれるって意味でもありがたい存在だったり、地面を掘り起こして、そこがちょっと耕やされるような効果もあったりってことで、動物の生態系はいろいろうまく組み合わされるようにできているんだな~ということで、すごく感心したんですよね。
ニワトリが生ごみを、しかも食べてくれるようになったので・・・今ももちろんコンポストは使っているんですけれども、コンポストで生ごみがなくなるように処理しなくても、ニワトリが食べる餌になる、それが卵になる・・・そんなすごい循環は都会にいた時には想像もしていなかったので、すごくびっくりしました。生ごみがニワトリの餌になると、今度は生ごみがありがたい存在になるんですよね。
今までは(生ごみとして)出たものを何とか処理しなくちゃみたいな、言ってみれば、後ろ向きな感じだったのが、ニワトリが餌にする生ごみが足りなくて困るみたいな(笑)・・・そんな感じになってきたりして、ごみの捉え方も動物のお陰で違った見え方がしてきたりして、すごく面白いです」
オンライン・コミュニティ「コンポスト部」
※本の第2章「コンポストと暮らす人たち」に、コンポストのエキスパートが4人登場されます。コンポスト実践者のネットワークは、日本全国にあるんですか?
「全国的なこれ! っていうようなネットワークっていう意味では、コンポスト(を使っている人たち)が少し若返ってきている感じがありますね。10年20年前からコンポストの活動を頑張っていたかたが、全国大会みたいなものを開かれたりとかっていうのがあったんですけれども、今はそういったものの継続が難しいと思うので、それに代わる新しい存在として、最近SNSがすごいので、それを活用したオンラインのプラットフォームができていて、それはすごくおすすめです。
僕自身入っている『コンポスト部』っていうオンライン・コミュニティがあります。そこは何百人も入っているんですけども、みんながコンポストを使っていたり・・・あと初心者の人もたくさんいて、“こんな疑問があるんですけど、どうしたらいいですか?”みたいな質問を気楽に投げかけて、わかる人が答えるみたいな、そういうシンプルなんですけど、ものすごく有益なプラットフォームがあるので、ひとりでコンポストやっていて、すごく不安っていうかたは入ってみるとすごく支えになると思います」
●では最後にコンポストにチャレンジしようと思っているかたにアドバイスをお願いします。
「はい、コンポストはすごく快適なので、ぜひうまく使っていただいて、コンポストで暮らしが楽しく変わる体験をしていただけたらなと思うんですね。
コンポストはやっぱり電化製品とは違うので、スイッチを押したら、あとはお任せでうまくいくっていうのとは、ちょっと違うんですよね。
そこが少し不便に感じたり、不安を覚えるのは無理はないと思うんですけども、自然に近い仕組みで動くものっていう、その不完全な部分を楽しむぐらいの気持ちを持っていただけると、逆に失敗が少なくなる・・・。
失敗はないと思っていただいて、うまくいかないトラブルがあったら、必ず解決方法があるし、自然の仕組みの中でそれを軌道修正していけると、逆に自然の見方も変わってきたり、自分自身の見方や価値観が変わっていって、コンポスト生活がどんどん楽しくなるみたいな、そんな部分があるので、ぜひそのあたりを楽しんでいただけたらなというふうに思っています」

(編集部注:服部さんのお話を聴いて、コンポストを使ってみたいと思ったかた、どれくらいの初期費用がかかるのか気になりますよね。自治体が補助金を出しているところもありますので、まずはそれを調べてみてください。補助金がない場合は、全額自己負担となります。
番組スタッフが調べたところ、大きさや用途によっても千差万別。どんなコンポストを導入するのかにもよるので、一概にいくらとは言えませんが、2千円前後から数万円程度までいろいろ。ホームセンターなどに行ってバケツなどで手作りすれば、安価に始められるようです)
INFORMATION
服部さんの新しい本にはコンポストのタイプや特徴などを細かく書いた「コンポスト比較表」が掲載されています。また、服部さんの体験談やアドバイスが満載です。この本を参考に、あなたもコンポスト生活を始めてみませんか。アノニマ・スタジオから「暮らしの縁側」シリーズの一冊として絶賛発売中! 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎アノニマ・スタジオ:
https://www.anonima-studio.com/books/lifestyle/compost-engawa/
服部さんは高知県の里山で一棟貸しの宿も運営されていますよ。詳しくは服部さんのオフィシャル・サイトやブログを見てください。
◎オフィシャル・サイト:https://sustainably.jp
◎ブログ:https://note.com/sustainably_jp/n/n81f2bae54ba6







