2026/3/29 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、漫画家、そしてイラストレーターの「カシワイ」さんです。
線や余白を大切にする、柔らかくフェミニンなタッチの絵が好評のカシワイさんは本や雑誌の表紙、広告のイラストレーションなど、多くのメディアで活躍されています。
そんなカシワイさんは植物が大好きで、有名な植物園のすぐそばにお住まいだそうです。そして先頃『植物園の歩き方』という本を出されました。
きょうはその本に載っている選りすぐりの植物園から、京都府立植物園や高知県立牧野植物園など、植栽もたたずまいも、個性的で圧倒的な植物園の楽しみ方などうかがいます。
☆協力:グラフィックス社

全国9箇所の植物園めぐり
※カシワイさんは子供の頃から植物好きで、スケッチや押し花をして、草花を観察していたそうです。千葉大学を卒業後、京都市に移り住み、いまはマンションの室内やベランダで鉢植えの植物を育て、朝起きてからの水やりが日課だとか。
現在、育てているのはシダ植物の「コウモリラン」や、マダガスカル原産のマメ科の植物「センナ・メリディオナリス」、そして植物園の取材で知ったというシダの一種「リュウビンタイ」など、個性的な観葉植物を育てているそうです。
カシワイさんは生き物も好きで、今回の本には一緒に植物園めぐりをするたぬきのキャラクターも登場します。ほかにも宇宙や海、宝石や岩石などにも、なぜか昔から惹かれていて、自然科学系の本を読んだり、博物館に行くのも好きなんだそうですよ。
●カシワイさんの新しい本が『植物園の歩き方』です。やはり植物園にはよく行くんですか?
「そうですね。今は私は京都に住んでいまして、この本の最初にも取り上げている京都府立植物園は近所なのもあって、年パスを持っていて、よく行きます」
●年パスですか! どれくらいの頻度で行かれるんですか?
「どれくらいだろう・・・週一は行っていると思います(笑)」
●そうなんですね! 『植物園の歩き方』では、全国にたくさんある植物園から9つの植物園を取り上げて紹介されています。この本の企画は出版社から提案があったんですか?
「そうなんです。編集のかたが植物園のガイドというか、コミックエッセイを出しませんかとご提案くださって、この9つの植物園も、全国には魅力的な植物園がたくさんある中で、目玉のお花があるものとか、植物園の取り組みに特色があるものを選んで、全国にまんべんなく散らばるように選んでいただきました。
そこでしか見られないようなお花がある所でしたりとか、絶滅危惧種の植物をなるべく増やす取り組みをしているですとか、そういう特色がある植物園を、今回は特にピックアップしているのかなと思います」
●本に「さまざまな『うつくしい』を求めて」という副題がありますけれども、やはりそういったところもポイントになっているんですか?
「そうですね。ガイド本とは言っても、私自身が植物の専門家ではなくて、同じように一般の目線で、植物好きとして(植物園を)巡って、美しいな、素敵だなって感じたことをこの漫画で表したいと思って、そういうところはポイントにもなっているので、この副題にしていただきました」
●この本を出すために全国9箇所の植物園をまわったんですか?
「そうですね。9箇所全部、実際に取材してまわっています。漫画に取り上げたい植物の見頃に合わせていくので、春とか夏とかはやっぱり植物は見頃が多いので、毎月のように旅に出ていました」
●北は北海道から南は九州、宮崎県までありますけれども、かなり時間も費用もかかりますよね。大変だったんじゃないですか?
「そうですね。やっぱり帰ってきてすぐ、記憶が新しいうちにネームっていう漫画の下書きを書いて・・・で、本番の原稿を書いてってやっているうちに、次の取材が来てっていうのは、結構慌ただしいスケジュールではありました」
●いつどこの植物園に行くのかっていうのは、その植物園の代表的な花の開花に合わせてとか、そういった感じだったんですか?
「そうですね。例えば、スイレンとかハスも取り上げているんですけど、そういったお花はやっぱり午前中に見頃が来るので、朝早起きして行ったりとか結構調べて・・・専門のかたが一緒に調べてくださったんですけど、そのあたりも気をつけながら行ってました」
●絵を描くために取材中は写真を撮られるんですか?
「たくさん撮っていますね。写真をたくさん撮っているんですけど、その花の根元のほうですとか、葉っぱの付き方とかは、写真だけ見直してもわからないことがあったりするので、その場でも簡単にスケッチをしたりしてました」
日本最古の公立植物園
※ではここからは、本に載っている植物園からいくつか選んで、その植物園の魅力をうかがっていきたいと思います。まずは、先ほどもお話がありました京都府立植物園。いちばんの魅力は、どんなところでしょう?
「地下鉄の駅から徒歩2〜3分っていう、すごくアクセスがいい所にあるんですね。この京都市内で 広大な敷地があって、多様な植物が育てられているところが魅力ですね。
春とか秋に楽しめるバラ園ですとか・・・あと100年という歴史があるので、川端康成の『古都』という小説に登場するクスノキの並木とか、すごく好きな場所のひとつですね」

●日本最古の公立植物園ということですよね。「植物たちは力強い美しさを見せてくれる」と本に書かれていましたけれども、やはり力強さというのは感じますか?
「そうですね。やっぱりその植物園に入ると、今まで町中だったことを忘れるような植物の生き生きとした表情とか力強さを感じられると思います」
●ガラスドームのような大きな温室もあるんですよね?
「そうですね。金閣寺とか北山連峰っていう京都の山並みをモチーフにした巨大なガラスドームの温室が見どころのひとつになっています。気候ごとに部屋が分かれていて、様々な植生の植物を見ることができます」
●どんな植物が見られるんですか?
「順番に、熱帯系の植物ですとか、高原に生えているような植物ですとか、ランやアナナスといった仲間の植物ですとかがありますね。あとは最後のほうに昼夜逆転室っていう本来、夜に開花する植物を調整して、日中の開館時間に見られるような部屋があります。そこでは月見草とか月下美人が見られます」
(編集部注:京都府立植物園は2024年に開園100周年を迎えた日本最古の公立植物園で、面積は甲子園球場、約6個分。広大な園内には約1万2000種、日本最大級のガラス温室には4500種の植栽を誇り、年間の来場者は90万人以上という、とても人気のある植物園です)
※続いて、滋賀県にある「草津市立 水生植物公園 みずの森」について教えてください。どんな特徴がありますか?
「琵琶湖のほとりにある植物園なんです。水生植物を中心にすごくたくさんの、スイレンですとかハスですとか、そういったものが育てられています」

●幻想的な感じもしますけれども・・・。
「はい、早起きしてスイレンの開花に合わせて行きました」
●いかがでした?
「朝の光の中で、花が開いている様子を見るとすごく素敵で・・・スイレンとかハスは古代から清純であるとか、時間とか、そういったモチーフにも好んで使われていて、壺とか絵画なんかにも模様として現れているんですよね。
で、その模様だけ見ても、特に今まで感じたことはなかったんですけど、実際、朝の空気の中で見ると、そういう特別な意味を見い出すのもわかるなって、そんな体験でした」
(編集部注:お話にあった「草津市立 水生植物公園 みずの森」は、水生植物の宝庫である琵琶湖のほとりにあって、テーマが「植物と人、水と人のふれあい」。屋外にあるハス池やスイレン池の花の見頃は6月から7月にかけて。毎年7月には「ハス祭り」が開催されます。ほかにも屋外には秋の七草園や、丘の上の花園など、琵琶湖周辺の自然を感じながら、植物を鑑賞できる植物園だそうです)
植物学者「牧野富太郎」ゆかりの植物園
※もう1カ所、「高知県立牧野植物園」をご紹介しましょう。ここは、高知が生んだ「日本の植物分類学の父」といわれる植物学者、牧野富太郎の功績を広く知らせるために作られた植物園なんですよね。この植物園の特徴を教えてください。
「本当に広大な土地を使った植物園になっていまして、五台山(ごだいさん)っていう山の起伏を活かしたような構成になっています。博士由来の植物などが約3000種以上育てられていることと、園内には博士の描いた精巧な植物画や、使っていた道具とかを見られる展示館もあります」

●山の上にあるってことですか?
「そうなんです。バスでひたすら山登りして行った先にあります」
●へ〜〜それもワクワクしますね。
「はい」
●カシワイさんは以前、牧野博士の誕生日4月24日に開催された「標本庫ツアー」に参加されたということですが、これはどんなツアーだったんですか?
「本来入れない本館があって、そこの植物標本庫に入らせていただいて、実際に押し花標本を作る様子を見せていただきました」
●いかがでしたか?
「ちょうど高知県の植生を調べるっていうような、調査で集めた植物の標本を作っていました。その植物の標本はボランティアのかたが総出で集めたものだったそうです。多様な植物を繊細な手つきで、テキパキと(標本を)作られていて、すごく感動しました」
●牧野植物園のサイトで、牧野博士が描いた植物図を見ることができます。特徴を捉えた緻密な絵に驚きました。植物の絵を描くカシワイさんとしては、牧野博士の植物図を見て、どんなことを感じますか?
「植物のその姿をそっくりそのまま正確に写し取りたいっていう(牧野博士の)凄まじい情熱を感じますね。部分拡大図とか断面図とかを駆使して、本来立体である植物の特徴を平面で分かりやすく表す、その図の技術にすごく感動します」
(編集部注:高知県立牧野植物園は約8ヘクタールの敷地に、牧野博士ゆかりの野生植物や園芸植物など、3,000種を超える植物が植えられているそうです。ほかにも牧野富太郎記念館や、国内外の貴重な植物が見られるジャングルのような温室など、見どころがたくさん。また、植物園オリジナルのグッズを販売するショップも見逃せないそうですよ)
行ってみたいのは「キュー 王立植物園」
※この本では植物だけではなく、植物園の建物や歴史などにも触れていて、勉強にもなりますし、想像力がすごく膨らみますよね。その辺も意識して説明を書いたんですか?
「はい、調べていくうちに植物園の成り立ちとかにもそれぞれ歴史があって、人と植物の関わりとか土地の記憶を内包したものだなって感じていて、それが面白かったので、読者のかたにも知っていただきたいなと思って漫画にも入れ込みました」
●各植物園にそれぞれの背景があるのが興味深いですよね?
「本当ですね」
●付録として本のカバーの裏面に、全国おすすめ「植物園MAP」が載っています。全部で27ヵ所掲載されていますが、全部行かれたわけではないですよね?
「行けていないです。編集部のかたが選んでくださったものですので、私も行きたい場所が増えました」

●BAY FMの地元千葉県で気になっている植物園はありますか?
「そうですね・・・千葉の大学に通っていたので、千葉県立中央博物館には行ったことはあるんですけど、生態園には行ってなかったので、行ってみたいなって思いました」
●ちなみに海外の植物園に行かれたことはありますか?
「簡単な植物園みたいなのはタイで行ったことはあるんですけど、いちばん行ってみたいなって思っているのは、イギリスの*『キューガーデン』ですね」
*キュー 王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)
●どうしてそこに行きたいと思われているんですか?
「やっぱり植物園の祖みたいなところと、あと本当に広大なガラスドームに植民地から持って来た植物を集めてっていう、その歴史とかも含めて、勉強したいなと思っていて、行ってみたいです」
植物の知識を深められる場所
※カシワイさん流の植物園の楽しみ方を教えてください。
「植物園は、町に暮らしていく中で、いちばん身近に植物と触れ合える場所だなって感じています。ですので、散歩するだけでも楽しいですし、いつ行っても季節によって、その時々で表情が変わるところも面白いなと思っています」
●場所によっては、森林浴みたいなこともできますよね?
「そうですね。歩いているだけですごく気持ちいいですし、晴れた日はお弁当とか持って行って食べたりするのも楽しいと思います」
●植物園の役割って何でしょうか?
「植物園は、植物の研究とか保存といった学術的な役割に加えて、一般の私たちが生きた植物を見て触れて、植物の知識を深めることができる場所だなって思っています。
植物のことを知ると、それまでただの風景だった街路樹とか道端の草も、“これ、なんだろうな?”って目がいくようになって、知ることっていうのは、植物と私たちのこれからの関係を見つめ直すことにもつながっていくのかなと思っています」
●では最後に、この本から読者のかたが、どんなことを感じ取ってくれたら嬉しいですか?
「私自身この取材を通して、植物とか植物園のことがもっと好きになったので、この本が植物園へ足運んでみようかなっていうきっかけになったら嬉しいなと思っています」
INFORMATION
この本では、9箇所の個性的な素晴らしい植物園が紹介されています。ガイドブックではありますが、カシワイさんが描いた、優しいタッチの絵を見ているだけで、幸せな気持ちになれますよ。
監修を担当された「たんぽぽ工房」を主宰する植物学者「保谷彰彦(ほや・あきひこ)」さんの、素朴な疑問に答えたコラムも興味深く、さらに植物のミニ解説が随所にあって、植物好きの好奇心をくすぐります。巻末には、本に登場する植物全109種類の植物図鑑も掲載!
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◎グラフィック社:https://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=63397
カシワイさんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。
◎カシワイ:https://kashiwaikfkx.com/







