2024/12/15 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. JOY TO THE WORLD / MARIAH CAREY
M2. ROAR / KATY PERRY
M3. AIN’T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH / JOCELYN BROWN
M4. DREAMS / VAN HALEN
M5. CLEAN UP WOMAN / BETTY WRIGHT
M6. I LOVE YOUR SMILE / SHANICE
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/12/8 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、公益財団法人
「宮城県 伊豆沼(いずぬま)・内沼(うちぬま)環境保全財団」の研究室長
「嶋田哲郎(しまだ・てつお)」さんです。
宮城県北部にある「伊豆沼・内沼」は、毎年たくさんのガンやカモ、ハクチョウ類が飛来する国内有数の越冬地で、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」通称「ラムサール条約」に登録されています。
千葉県市川市出身の嶋田さんは働きながら、「マガンの越冬生態と保全」というテーマで論文を書き、博士号を取得。縁あって、研究者を探していた財団に勤務することになったそうです。

「宮城県 伊豆沼・内沼 環境保全財団」は1988年に設立された公益財団法人で、沼の自然環境の保全や研究、そして環境教育などの啓発活動を実施。普段はガンやカモなど、水鳥の個体数のモニタリングや外来魚の駆除なども行なっていらっしゃいます。
現在、嶋田さんは伊豆沼・内沼にやってくるハクチョウを調査する「スワン・プロジェクト」に力を入れています。いったいどんなプロジェクトなのか、じっくりお話をうかがいます。
☆写真協力:宮城県 伊豆沼・内沼 環境保全財団

渡り鳥たちが安心して暮らせる越冬地
※まずは、宮城県北部にある伊豆沼・内沼について。沼自体はどれくらいの大きさなんですか?
「面積は559ヘクタール、東京ドームでいうと110個分ございます」
●おっきいですね~。
「はい、周辺は農地に囲まれています。(沼は)いちばん深いところで1.6メートルというとても浅いって特徴があって、広くて浅い、そういう地形をしています。浅いので、夏になりますと沼一面にハスが咲くんですね。ハス祭りなども開催されています」

●そちらの財団のホームページを見ると、この伊豆沼・内沼は、秋から冬に極東ロシアからやってくるガンやカモ、そしてハクチョウなどの貴重な越冬地と書かれていました。ほかにも越冬する場所はたくさんありそうな気がするんですが、どうしてこの伊豆沼・内沼にやってくるんでしょうか?
「人も食住というのが大事なように、実は鳥も同じなんですね。伊豆沼には10万羽ほどのマガンですとか非常に多くの鳥が来ます。マガンは沼周辺の農地で、稲刈り後の田んぼに残っている落ちもみを食べています。また、ねぐらとなるこの伊豆沼は凍りにくい特徴があって、天敵となる哺乳類が入って来にくいんですね。そのため安全です。ですので、食もあり安心なねぐらがある、食住が安定しているということが理由で、たくさんの鳥が集まってきます」
●渡り鳥たちは毎年いつ頃やってきて、いつ頃までいるんですか?
「9月の下旬頃に初雁(はつかり)と言って、最初のマガンの初飛来があって、それからどんどん数が増えていきます。だいたい2月上旬には北帰行(ほっきこう)と言って北へ帰る、そういった動きが始まります」
●毎年どれぐらいの数の渡り鳥たちがやってくるんですか?
「年によっても少し異なるんですけども、伊豆沼・内沼ではマガンなどのガン類が10万羽ほど、ハクチョウ類で3000羽、カモ類で4000羽ほどが越冬しています」

●すごい数ですね。そんなにたくさんだと、渡り鳥たちの食べるものとかなくなっちゃうんじゃないかなって心配になっちゃうんですが・・・。
「沼周辺には非常に広大な農地があって、そこにはたくさんの落ちもみがありますし、実はオオハクチョウはレンコンを食べています。先ほどのハス祭りの後に、ハスが枯れて地中にレンコンができます。それを食べていて、そういったいろんな食物が豊富なので、これだけ多くの鳥を支えていると思います。
鳥というのは、生態系の食物網の頂点にいる生き物です。つまりこれだけ多くの水鳥がいるということは、それを支えている植物や魚類を含めた生態系が豊かなことを示しています。最近では特にオオクチバスの駆除による保全の成果が見られてきまして、沼の魚が回復してきています。
また、沈水植物といった水の中に生える植物も増えてきていますので、生態系が回復してきています。こういったことも鳥たちの生活に大きく貢献していると思います」
カメラ付きGPSロガー「スワンアイズ」
※ここからは現在、嶋田さんが進めていらっしゃる「スワン・プロジェクト」についてうかがっていきます。まずはどんなプロジェクトなのか、教えてください。
「このプロジェクトは2023年12月に始まりました。我々の財団ですとか、中国のドルイドテクノロジーといった会社を中心に始まったプロジェクトで、カメラ付きのGPSロガー、通称『スワンアイズ』と呼んでいますけども、それをオオハクチョウ10羽、コハクチョウ10羽に装着して追跡しています。
これまでなかった最大のオリジナリティが、カメラによってハクチョウ目線の画像を見られるってことです。そして位置情報とか画像を一般公開しています。市民のかたがそれを見てハクチョウを見守ろうという、そういった国際共同プロジェクトです」
●野鳥に認識番号付きの足環を付けたりとか、発信器を付けたりするのは聞いたことがあったんですけど、カメラ付きっていうのは画期的ですよね。
「カメラ付きGPSロガーっていうのは、たぶん世界初だと思います」

●重くないんですか?
「これはちゃんと計算しておりまして、GPSを中心にふたつの小型カメラがついていて、カメラの全体の重さは130グラムです。この重さはオオハクチョウの体重の2%以下ということになっていて、とても軽量なんですね。鳥の行動に影響しない重さで作られています」
●負担はそんなにない感じなんですね。
「はい、ほぼないです」
●(スワンアイズは)自然に外れるものなんですか?
「そうですね。やはり野外でずっと使っているものですので、劣化してだいたい2〜3年で脱落することになっています」
●ハクチョウにカメラ付きのGPSロガー「スワンアイズ」を付けるためには、捕まえる必要がありますよね? どうやって捕まえたんですか?
「なかなかこれが簡単ではないことなんです。オオハクチョウは水と一緒に食物を食べる、漉(こ)しとって食べるので、水があるところが食べやすいんですね。ですので、農家さんのご協力をいただきまして、田んぼをお借りして、そこに水を張ります。そして1ヶ月前から餌付けをするんです。餌付けをしてハクチョウを集めておいて、集まってきたところを網で被せて捕まえるってことをします」
●へぇ~、でも大きい鳥ですから、なかなか大変ですよね?
「大変です。本当に大変です。翼を広げると2.4メートルありますし、体重も10キロ、結構重いんですよ。本当に捕獲作業は泥だけになって、オオハクチョウと格闘しなければなりません」
●格闘の末にカメラを付ける作業になりますけれども、ハクチョウのどこに付けたんですか?
「首です。首についていますので、本当にハクチョウの、若干目線が下がりますけど、ハクチョウ目線に近い形で(撮られた)画像を見ることができます」

●なんか蝶ネクタイみたいな感じですよね。
「はい、そうです」
●捕獲してスワンアイズを付けるということですけれども、許可は得ているんですよね?
「もちろんです。これは環境省にちゃんと申請をして許可証をもらった上でやっています。また農地は私有地なので、当然その農地のかたに許可をもらってやっていて、全て手続きを済ませた上で実施しています」
ハクチョウ目線の画像に感動!
※「スワン・プロジェクト」のサイトを見ると、ハクチョウそれぞれに名前を付けていますよね。それはなにか意図があるんですか?
「このプロジェクトは、樋口広芳(ひぐち・ひろよし)*先生に顧問になっていただいているんですね。樋口先生はこのスワン・プロジェクトの10年前に、実は“ハチクマ”という鷹の位置情報を一般公開する『ハチクマ・プロジェクト』をやっておられるんです。先生からのご助言で、“愛称をつけたほうが市民に親しみが湧くんです”というアイデアをいただきまして、それでそうさせていただいたんですが、まさにその通りでした!」
(*鳥類学者。東京大学名誉教授。当番組にも出演)
●確かに愛着が湧きますよね! スワンアイズからは、定期的にデータが送られてくるっていう仕組みなんですか?
「そうです。携帯電話通信を用いているんですけども、それで位置情報が1日6回、画像が1日4回取得されて、定期的に送られてきます。少しタイムラグがあるんですけども、ほぼリアルタイムで位置情報とか画像を見ることができます」

●送られてきたデータで、これまでにどんなことがわかってきたんでしょうか?
「やはり位置情報と画像がセットになっているので、ハクチョウがいつどこで何をしているかっていうのが非常によく理解できます。レンコンを食べているとか、田んぼにいるとかっていうこともわかります。それから、飛んでいる画像がありますので、飛行場所の特定できるんですね。どう飛んでいるかっていう、そういったこともわかります。
さらには、当然ハクチョウは群れで暮らしていますので、同じハクチョウの仲間ですとか、同じガン科の仲間を(カメラが)写します。そうすると、ほかの種や、ほかの個体も映るので、時期とか地域に応じて、異なる鳥同士の関係性が見えてきます。非常に面白いです!」
●ハクチョウが見た景色を画像で見られるってすごいですよね?
「はい、私もやってみて、こんなにすごいとは思ってなくてですね・・・私自身が感動しているところがあります。きっとそれを見ている多くの市民のかたも感じておられると思います」
●私も見せていただいたんですけど、雄大な自然の中を飛んでいる時の画像がありましたよね?
「あれはびっくり! びっくりです!」

●すごいですよね~! ハクチョウの羽も映っていますし、一緒に飛んでいる6羽の仲間たちも映っていて、本当に感動しました!
「なかなか見られないですよね! 私も感動しました!」
●すごい写真ですよね~。実際、最初に送られてきた写真を見た時は、どんなお気持ちでした?
「思わず声が出ましたね! おぉ~って!(笑)」
●人間じゃ撮れない写真ですからね~。
「そうです! その通りです!」
一般のかたも追跡調査!
※嶋田さんが進めている「スワン・プロジェクト」のサイトにアクセスすると、どなたでも、ハクチョウの位置情報や画像が見られるようになっています。このプロジェクトには、一般のかたも参加できるんでしょうか?
「はい、もちろんです。そのためにX、旧twitterでスワン・プロジェクトを立ち上げています。Xでは、“スワン・プロジェクト”と検索すると、そこのページに行くんですけれども、多くのかたが位置情報を頼りにハクチョウを探しに行っています。探しに行って写真を撮って、その写真を投稿いただいたりとかしているんですね。
そういったことは観察記録にもつながってくるんです。ですので、多くの市民のかたに関心を持っていただいて、近くにいれば行っていただいて、写真を撮って投稿いただくっていうのは、非常にありがたい話です」
●「スワンアイズ」をつけたハクチョウを見つけました! っていうふうに、Xに写真を投稿するのは積極的にやってほしいっていう感じですか?
「できればやってほしいです。というのはハクチョウ目線の写真はわかるんですけど、全体像がわかんないんですよね、逆に言うと・・・。それを撮っていただくことによって全体像、こういう田んぼにいるんだとか、こういうところにいるんだっていうのがわかるので、とても助かるんです」
●カメラ付きGPSロガー「スワンアイズ」をつけたオオハクチョウたちは、いずれは(越冬を)終えて極東ロシア方面に戻っちゃうんですよね。戻っちゃったらこのデータっていうのはどうなるんですか?
「携帯電話通信を使っていますので、当然圏外だと通信できなくなります。北へ戻ってロシアの繫殖地にいると当然、通信網がないので一定期間通信できなくなります。今年の場合で見るとだいたい6月から9月までは一切通信が入ってきませんでした。だけども日本に帰ってきて携帯電話通信網に入ればまた回復します。そうするとそれまでの間のデータが全部取得できるんですね」
●なるほど・・・。
「それによって、ロシアでの素晴らしい繁殖地の景色なども見ることができました」

鳥の世界を楽しんで!
※去年から始まった「スワン・プロジェクト」、今後はどんな展開になりそうですか?
「今年も(オオハクチョウなどの)捕獲と装着をやります。このスワン・プロジェクトに関心を持っていただくために、捕獲地なども少し広げたいと思っていますし、これからも続けていきたいなと思っています」
●今後、何年ぐらい続ける予定ですか?
「そうですね・・・まず今年はやります! 今年の様子とか去年の装着した状況とか、今年これからやることは状況を見ながら、いろいろ検討していきたいと思います」
●この「スワン・プロジェクト」でどんなことを伝えたいですか?
「お陰様でXの投稿数ですとかフォロワー数が増えているんですね。これは多くの市民の方に関心を寄せていただいているからだと思っております。位置情報や画像をもとに多くの市民の方がハクチョウを追跡して、Xに投稿していただいている、こういったことは鳥に関心を持つことにつながりますし、または生態の面白さの気づきになると思うんですね。ゆくゆくはそういった研究につながっていって、鳥の世界をお楽しみいただければなっていうふうに思っています」
INFORMATION
「スワン・プロジェクト」にぜひご注目ください。オフィシャルサイトにアクセスすると、ハクチョウに装着されたカメラ付きGPSロガー「スワンアイズ」から送られてくる位置情報や画像を見ることができます。
また、嶋田さんもおっしゃっていましたが、一般のかたも調査に参加することができます。特に東北や北海道にお住まいのかたは、位置情報を頼りにハクチョウを探して、その個体がいるフィールドの写真を撮って投稿いただくと、観察記録になるということですので、ぜひご協力をお願いします。
◎スワン・プロジェクト :https://www.intelinkgo.com/swaneyes/jp/
◎スワン・プロジェクト「 X」アカウント:
https://x.com/swaproj?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
「宮城県 伊豆沼・内沼 環境保全財団」のサイトもぜひ見てくださいね。
◎http://izunuma.org
嶋田さんは3年前に緑書房から『知って楽しいカモ学講座』という本を出されています。ぜひチェックしてください。
2024/12/8 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. CIRCLE / SWANDIVE
M2. ORINOCO FLOW / ENYA
M3. SUPERSTAR / SWEETBOX
M4. SWAN SONG / DUA LIPA
M5. ワタリドリ / [ALEXANDROS]
M6. SWANHEART / NIGHTWISH
M7. SONG BIRD / FLEETWOOD MAC
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/12/1 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、漁港で魚の赤ちゃん 幼魚を、網で採って研究されている岸壁幼魚採集家の「鈴木香里武(すずき・かりぶ)」さんです。
金髪に白いセーラー服というトレードマークの香里武さんは、魚の研究者、経営者、プロデューサー、タレント、番組パーソナリティ等々、幅広い分野で活躍中。
そんな香里武さんに、漁港で採取する幼魚や、館長を務めている「幼魚水族館」、そして先頃出された本『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる 海の生物の図鑑』から、変態するお魚、農業をするお魚など、魚に関連する面白いお話をたっぷりうかがいたいと思います。
☆写真協力:鈴木香里武、幼魚水族館、KADOKAWA

名付け親は「明石家さんま」!?
●今週のゲストは、岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんです。鈴木香里武さんは先頃『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる 海の生物の図鑑』という本を出されています。後ほどそのお話もうかがいます。よろしくお願いいたします。
「よろしくお願いします。ごきげんようぎょ! これを言わないと始まらない(笑)」
●ごきげんようぎょ!(笑) よろしくお願いいたします! まずはプロフィール的なお話から。どうしても気になるのでお聞きしたいんですが、鈴木香里武さんというそのお名前は本名でいらっしゃるんですか?
「はい! 芸名だとよく思われるんですけど、これ本名なんですね。“スズキ”も魚の名前ですよね」
●確かにそうですね~!
「“香里武”がカリブ海からとられた名前で、3月3日生まれの魚座なので、全部揃っているという(笑)、作ったような話なんですよね」

●海のために生まれてきたみたいな感じですよね!
「ちなみに“香里武”って名前をつけてくださったかたも、魚にまつわる人なんですよ」
●どなたなんですか?
「明石家さんまさん! “さんま”、やっぱり魚ですね!」
●え~~〜っ! どういう経緯で?
「これは、うちの両親が当時さんまさんに仕事ですごくお世話になっていまして、(両親が)新婚旅行でカリブ海に行ったんですね。そのお土産を持って、さんまさんのところにお届けに行った時に、子供の話が出たらしくて、“名前はどうするんだ?”みたいな話が出たと・・・。
両親は海が好きなので“、海にまつわる名前をつけたいです!”って言ったら、さんまさんなりにいろいろ考えてくださるわけですね。“オホーツク”とか“エーゲ“ “カスピ”とかいろいろと出るわけです。でもふと(さんまさんが)思い出して “カリブ海に行ったんやろ? だったらカリブでええやん“って、その”ええやん“の一言で決まったのが僕の名前でございます」
●そうだったんですね~。名付け親は、さんまさんだったんですね!
「そうなんですね。ここまで魚と海に囲まれたら、もう魚のことをやるしかないですよ」
●運命ですね! では子供の頃から海とか魚には興味があったんですか?
「そうですね。生まれた時から家には魚を飼う水槽がありましたし、両親も海が好きなので、休みの日になると僕を連れて海辺によく遊びに行ってくれていたんですね。なので、魚のいない生活は逆にしたことがないです」
●なるほど。魚のことをどなたかに教わったりはしたんですか?
「当時はね・・・今32歳なので、32年前は今ほど魚の情報ってなかったんですよね。もちろん魚図鑑で勉強したりはしましたけれども・・・。いちばん衝撃的だった先生との出会いは、“さかなクン”かなぁ~と思います」
●お~〜、そうなんですか?
「小学校3〜4年生の頃かな、初めてお会いしたのが・・・その時に衝撃を受けました。それまで魚の先生と言えば、白衣を着て顕微鏡を覗いているような大学の教授、もしくは水族館の職員さん、そんなイメージだったんですよね。でもご本人がそのまま、魚の使者みたいな人が登場して、すごくびっくりして、もう嬉しくなっちゃって、こんな人いるんだと思って憧れて、(さかなクンの)あとをくっついて歩いていた時期がありました」
(編集部注:実は香里武さん、学習院大学大学院で心理学を専攻し、「観賞魚の癒しの効果」というテーマで、魚を見たときの人の心理を研究。そして現在は、北里大学大学院の海洋生命科学研究科に籍を置き、魚の一生、特に幼魚が漁港で人工物をどのように利用して生き抜いているかを研究されています)
「岸壁幼魚採集家」とは?
※ところで、肩書きの「岸壁幼魚採集家」も気になりますよね。この肩書きにしたのは、どうしてなんですか?
「聞き慣れない言葉ですよね~」
●漢字がたくさん並んでいる感じ(笑)
「これを本業だと言い張っている人は、たぶん世界でも僕しかいないと思うんです。やっていることはものすごくシンプルで、”タモ網”っていう柄のついた網を持って、それで漁港に行って・・・岸壁っていうのは漁港の壁面のことですね。そういう港で這いつくばって、上から海面にいる魚たちを覗いて、そこにいる幼魚をすくうと・・・壮大な金魚すくいみたいなもんですね。

それをやる人のことを『岸壁採集家』っていうふうに一部のジャンルとしてあったんですよ。趣味としてやっている人がいたんですね。その中でも幼魚に特化して本業にしよう! っていうことで、こんなまどろっこしい肩書をつけております」
●インパクトがありますよね~! 漁港に魚の赤ちゃんっているんですか?
「そう! これもね~結構灯台もと暗しっていう感じで、漁港だけに灯台もと暗しですけど・・・そんなことはどうでもよくて(苦笑)。みなさん、釣り糸を垂らしたりしていますよね。その足元に実はいるんですよ、幼魚って・・・」
●たくさんいるものなんですか?
「たくさんいるんです。ただあまりにも小さかったり、透明になって身を隠していたり・・・。あとは擬態と言って、枯れ葉そっくりだったり岩そっくりだったり、生き物らしからぬ、いろんな姿で身を潜めているんですね。それは大きな魚に食べられないためだったり、上から狙っている海鳥のカモメとかに食べられないためだったり、身を守るために見えなくて当然な姿しているんですね」
●へ~〜っ!
「だから言われないと気づかないですね」

●そうなんですね~。今まで何種類ぐらいの幼魚に出会えたんですか?
「どうかな・・・700(種類)は超えていると思うんですけど、もはや数えられないですね」
●季節的にはいつ頃がいいとかあるんですか?
「春夏秋冬、朝昼晩いつでも面白いんですよ。魚がいちばんたくさん見られるのは夏から秋にかけて、南のほうからもカラフルな幼魚がやってきたりするので、とても楽しいんですね。
でも今の季節、冬12月ですね。冬になると深海魚の赤ちゃんが上がってきたりもするんですね。水温が低くなるので、冷たい海に暮らしている深海魚も浅いところまで上がってきて泳げるようになってしまう・・・そうすると普段はなかなか生きた姿を見られないような、幻の深海魚たちに足元で出会えるっていう、これまた興奮の連続の季節がやってきます」
●これまで採集した幼魚で、特に印象的だった幼魚っていますか?
「う〜〜ん・・・『リュウグウノツカイ』かな~。深海魚で体長5メートルぐらいある、ものすごく長い体を持った深海魚がいるんですね。時々成魚が砂浜に打ち上がったりして・・・。そうするとあまりにも珍しいので全国ニュースになったりする、それぐらいの魚なんです。
そのリュウグウノツカイの幼魚、最初に出会ったのは7センチぐらいのちっちゃい子だった・・・その子に漁港で初めて出会ったのが、僕はたぶん人生の中でちゃんとした深海魚の赤ちゃんに、足元で出会った最初の経験だったんですね」
●へ~~〜っ!
「その時に衝撃を受けて・・・僕は幼少から深海魚が大好きだったので憧れていたんだけど、いつも僕が見ている水深0メートルの世界では到底出会えない、本当に遠い世界の存在っていうイメージだったんです。それが実は0メートルにも現れる、それを体感した時に、海って横にも繋がっているし、縦にも繋がっているんだっていうことをすごく感じて、感激した瞬間だったんですね」
変態する魚!? 農業をする魚!?
※香里武さんは先頃『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる 海の生物の図鑑』という本を出されています。この本には、可愛いキャラクターが登場したり、イラストや写真もたくさん載っていて、お子さんを意識した作りにはなっているんですが、専門用語もまじえ、魚の生き様を紹介。香里武さん的には、すべての世代のかたに「海の世界へのパスポート」として読んでほしい、そんな思いを込めたそうです。
それでは、本に載っている75のトピックから、いくつかピックアップしてお話をうかがっていきます。まずは「美しき変身ヒーローと、愛すべき変態たち」という見出しのトピックがありますが、これはどういうことなんでしょうか?
「これは、海の生き物って卵から生まれて、そして一生を終えるまでの間、ずっと同じ姿をしていることって少ないんですね。それは生活のスタイルを変えるので、それに合わせて姿もガラリと変わるんです。それが変身ぐらいだったらまだしも、昆虫と一緒で体の構造を全く変えてしまう、変態をするような生き物もいるので、ドラマチックな変わりっぷり! これをぜひ知っていただきたいなと思って書きました」
●幼魚から成魚になる時に大変身するってことなんですね?
「そういうのもいますね」
●たとえば、どんな魚が・・・?
「たとえば、渦巻き模様のお魚で『タテジマキンチャクダイ』いうお魚がいるんですね。とっても見た目が可愛らしくて水族館でも人気の幼魚なんですけれども、このウズマキちゃんが成長すると名前の通り、縦じま、縞々模様に大変身しちゃうんです」

●模様が変わっちゃうんですね?
「色もディープブルーな色だったものが、黄色と青のストライプになっていくんですね」
●全然違いますよね?
「全然違います! たぶん言われないと同じ魚だとは思えない。これもちゃんと意味があって、彼らは親同士の縄張り争いが激しいんですね。なので、同じ柄の別の個体を見ると攻撃を仕掛けるわけです。
でもその攻撃を幼魚にまで仕掛けてしまうと、幼魚はまだデリケートな存在なので、種の保存っていう意味ではよろしくないわけですね。やっぱり自分たちの種類を繁栄させなきゃいけないから、子供は守んなきゃいけない。そこで一目瞭然で喧嘩の対象外だってわかるように、親子で全然柄が違うんじゃないかっていうのが、今の主流で言われている説です」
●面白いですね!
「本当かどうかは、本人に聞かなきゃわかんないです(笑)」
●それから「地道に農業をする魚」!
「これも面白いですよね~」
●「クロソラスズメダイ」という魚ですけど、農業するってどういうことなんでしょうか?
「いるんですよね~、草食で草なんかを食べるお魚なんですけれども、お気に入りの海藻があるわけですね。イトグサっていう海藻が大好き! そればっかり食べる。
でもイトグサは放っておくと、ほかの海藻のほうが強いので負けちゃって、ほかが生えると、雑草がいっぱい生えちゃうと、本物のイトグサさんが枯れてしまうっていう問題がある。そこで、このクロソラスズメダイは岩の表面をせっせと手入れして、イトグサ以外の雑草むしりを常にやっている。イトグサがたくさん生える環境を整えて、自分の畑を耕して、それで大切に育てたイトグサを最終的には食べちゃうわけなんです」
●食べちゃうんですね!
「それもすごく面白い関係だなと思いますね。イトグサはイトグサで、クロソラスズメダイが面倒を見てくれないと育たない海藻なので、ある意味ではwin-winの関係・・・結局食べられちゃいますけどね(笑)」

サメのために、あのKISSが洋上ライヴ!?
※では、本に載っているトピックのお話を続けましょう。
●おしまいは、ホホジロザメのためにライヴをしたロックバンドということで、これはどういうことですか?
「意味がわかんないですよね(笑)。世界的に有名なロックバンドのKISSっていう、あのメイクしているKISSが2019年に船の上でライヴをやったことがあるんですね。オーストラリアの海かな・・・。そのライヴは人に向けてのライヴではなくて、実はサメを呼び寄せるためのライヴだったんですよ」
●面白いことをしますね!
「船の下から水中に音が出るようにスピーカーつけて、それでハードロックをオーストラリアの海に響かせたわけですね。なんでそんなことやったかっていうと、ホホジロザメをはじめとするサメの仲間は、低周波の音に反応する習性があるんですね。重低音と言えばロックだろう! それで本当にサメが来るんだろうかっていうこの面白い企画をやった人がいて・・・結局(サメは)来なかったんです(笑)」
●来なかったんですね~。
「来なかったんですけど、でもこの企画に乗ったKISSのメンバーのロック魂には拍手です」
●確かにサメに向けてライヴするって、すごいことですよね!
「面白い発想ですよ〜。でも、お笑いでやっているわけじゃなくて、ちゃんとそこにはサメという生き物ならではの習性があって、彼らが海のハンターと呼ばれるゆえんは、そういう周波数とか、ちょっとした電波みたいな、電気みたいなものとかを感じ取る器官がすごく発達しているから、だからああやって、かっこいい姿で海の王者になっているわけなんですよね。そんなことを感じられるエピソードかなと思います」
幼魚に特化した水族館

●2022年7月に静岡県駿東郡清水町に「幼魚水族館」がオープンして、香里武さんはそこの館長さんでもいらっしゃるんですよね?
「はい、そうです!」
●この水族館では、香里武さんが採集された幼魚が見られるそうですね?
「僕をはじめとするスタッフたちが、夜な夜な近くの漁港まで行って、その季節に出会える幼魚をすくってきて展示しているので、どの季節に行っても今の駿河湾を見ることができるんですね」
●現在どれぐらいの数の魚を飼育・展示されているんですか?
「大体100種類、150匹ぐらいは泳いでいますね」
●オフィシャルサイトを見ると、魚の展示だけじゃなくてユニークな展示もされているんですね?
「そうですね。いろいろ海で僕がいつも上から海面を覗いているので、横からだけじゃなくて上から覗くことができる水槽を作ってみたりとか・・・。
あとはどうしても、一生懸命育てていても死んでしまう幼魚もいるので、そういう死んじゃった子たちも、もう1回見てもらいたいっていうことで透明標本という形で・・・、中部大学の武井(史郎)先生というかたが作られているその特殊な技術で、生きたままの姿で透明化することができるんです。そうすると生きている時は見えなかった体の中の構造も間近で見ることができるので、新しい形でまた“第2の魚生”を歩んでいただいています」
●ほかの水族館と比べて、いちばんの違いってどんなところですか?
「そもそも魚の赤ちゃん、幼魚に特化した水族館は世界で初めてなので、これはほかではなかなか幼魚って見られないと思います」

●確かにそうですよね~。
「あとは、幼魚ならではのこととして、どんどん成長していくんですね。成長すると姿形がさっきの変態のように変わっていくので、その様子を飼育員だけじゃなくてお客さんも一緒に見届けることができる。そして成長して幼魚ではなくなったら『卒魚式(そつぎょしき)』っていうのをやります。今度は、別の水族館に成魚として無償提供するんです。ちゃんと式典をやるんですよ、1時間の!」
●そうなんですね~。
「来た時はこんなだった子がこんなに大きくなりましたっていう成長記録を発表したりとか、ちゃんと町長さんまで来て祝辞をいただいたりとかですね。そうやってお客さんと一緒に育てた幼魚たちを、お客さんと一緒に見送って、別の場所で今度は成魚として別のお客さんに感動を届けてもらいたいと、そういうふうにストーリーを繋げています」

海の変化、海洋ゴミ〜自発的なSDGsに
※日頃、岸壁幼魚採集家として活動されていて、海の変化を感じたりすることはありますか?
「あ~〜ものすごく感じますね。ここ10年ぐらいだけでも、かなり変化したかなと思っています。たとえば、ちっちゃい頃だったら、春先になると漁港の足元には海藻が青々と茂っていたんですね。それが最近暖冬が続いて、温暖化で海水温が下がらなくなって海藻が育たなくなってしまったんですね。
そうすると、春先にもう海藻はないし、その海藻に身を隠していた幼魚たちも忽然と姿を消してしまう。逆に夏になると昔は見られなかったような、沖縄あたりに暮らしているカラフルな魚たちが黒潮っていう海流に乗って、こっちまでやってきて、それが秋、冬とずっと生き延びている姿を見るようになりました。
昔だったら冬を越せなかった子たちが、今は暖冬で冬を越すようになっている。新しい魚が来たってことは、もともといた魚がいなくなっているってことなので、そういう足元で出会える魚の種類の変化からも温暖化は感じますね。
あと、漁港の隅って海洋ごみがたくさん打ち寄せられるんですよ。風に乗ってゴミが流されてきて結構汚いんですね。いかにゴミが海に多いかを知る場所としても漁港はいいのかなと思っていて・・・年々ゴミの量も増えています。でもそのゴミさえも、敵から身を守るために利用して、ゴミの下に隠れている幼魚がいたりなんかするんですね。
そういう姿を知ると、ゴミを拾いに行きましょう! っていうのと、ちょっとまた違った入り口が広がると思っています。そのゴミの周りにいるたくましく健気な幼魚たちの生き様を見て、彼らの暮らしている海を汚してはいけないなと、綺麗にしたいなっていう気持ちがわいてくれば、義務としてのSDGsではなくて、自発的なSDGsに繋がっていくのかなと思っています」

●幼魚たちの調査や研究をされていて、ワクワクするのってどんな時ですか?
「まだ出会ったことがない幼魚に出会った時ですね。32年やっていてもあるんですよ、初めての出会いが・・・。今年も8月に『イシガキフグ』っていう、世界で誰も幼魚を見たことがない(その幼魚を)すくったことがあって、成魚はいっぱいなのに幼魚を誰も見つけたことがない・・・。でもそうやって、毎年のように新しい出会いがあるから、これはやめられないですね」
●「岸壁幼魚採集家」として、いちばん伝えたいことはどんなことですか?
「思っているより魚たちは身近にいるっていうことですね。海に潜っていかなくても沖に出なくても、足元をちょっと覗くだけで魚に出会える。これは日本の豊かさでもあるし、海全体の豊かさなのかなと思います」
INFORMATION
香里武さんの新しい本をぜひ読んでください。香里武さんの視点で取り上げた、魚や海に関する75のトピックを掲載。イラストや写真がたくさん載っていて、見開き2ページでひとつの話が完結しています。見出しを見て、面白そうなページから読めますよ。おすすめです!KADOKAWAから絶賛発売中! 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎KADOKAWA :https://www.kadokawa.co.jp/product/322404001466/
鈴木香里武さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。
◎鈴木香里武:http://karibu-collabo.main.jp/top/?page_id=7
静岡県にある「幼魚水族館」にぜひお出かけください。展示内容やアクセス方法など、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎幼魚水族館:https://yo-sui.com/
2024/12/1 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. BLUE BAYOU / LINDA RONSTADT
M2. FISH!/ JEFFREY FOSKETT
M3. (SITTIN’ ON) THE DOCK OF THE BAY / OTIS REDDING
M4. DETROIT ROCK CITY / KISS
M5. STORY OF MY LIFE / ONE DIRECTION
M6. BEYOND THE SEA / CELTIC WOMAN
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/11/24 UP!
◎落合晋作(鹿児島市にある平川動物公園のコアラ飼育員)
『コアラはすごい!〜来日40年! 飼育頭数日本一! 平川動物公園の飼育担当に聞く』(2024.11.24)
◎北村俊平(石川県立大学・生物資源環境学部の准教授)
『動物がタネをまく!? 植物と動物の不思議でディープな関係』(2024.11.17)
◎『シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第22弾! スポーツ編!〜廃棄されるボールを新たなグッズへ』(2024.11.10)
◎井原愛子(秩父でメープルシロップを製造・販売する「TAP & SAP」の代表)
『秩父の森・カエデの恵み「メープルシロップ」〜人間が関わっていける森づくり』(2024.11.3)
2024/11/24 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、鹿児島市にある平川動物公園のコアラ飼育員「落合晋作(おちあい・しんさく)」さんです。
落合さんはもともと生き物好きで、子供ころから釣りに明け暮れ、九州の大学で魚の勉強をしたあと、水族館に勤務。その後、ご両親が鹿児島に暮らしていることもあって、平川動物公園に転職。ゾウやカワウソなどの飼育を7年ほど担当したあとにコアラの飼育担当になっています。
コアラを5年ほど担当されている落合さんは、日々コアラに接する中で、可愛いという感情より、コアラはすごいぞ!と思うことが多く、そんな思いが込められた本『すごいコアラ! 〜飼育頭数日本一の平川動物公園が教えてくれる 不思議とカワイイのひみつ』が先頃出版されました。
きょうはコアラの知られざる生態や、赤ちゃんの秘密、そしてエサになるユーカリ栽培への取り組みなどうかがいます。
©新潮社 写真協力:鹿児島市平川動物公園

コアラは北方系と南方系!?
※コアラが日本に来たのが1984年10月25日、今年で来日40年! ちなみに10月25日は初来日を記念して「コアラの日」となっています。
日本では現在、7つの施設で飼育されています。首都圏では東京都日野市の「多摩動物公園」「埼玉県こども自然動物公園」そして横浜市の「金沢動物園」の3つの施設で見ることができますが、コアラの飼育頭数で日本一を誇るのが、鹿児島市にある「平川動物公園」。現在はオス8頭、メス10頭、合わせて18頭を飼育。コアラの初来日から飼育が始まり、通算105頭の飼育実績があるそうです。
2021年には新しいコアラ館がオープン! ガラスなど遮るものがなく、高さがおよそ8メートルある館内のガラス窓からは日の光が降り注ぎ、またユーカリも植えられていて、より自然な感じでコアラを見ることができる、ということで、とても人気なんだそうです。

●まずはコアラがどんな動物なのか、基本的なことをいろいろうかがっていきます。コアラはオーストラリアの固有種ですが、どのあたりに多くいるんですか?
「オーストラリアという国は、だいたい日本の21倍の面積があるんですね。おそらくコアラはオーストラリアのどの地域にもいると思われているかたが多いと思うんですけど、オーストラリアの地図を正面から見た時に、右の海岸線のふち側・・・ケアンズがあって、下にシドニーやメルボルンがあるんですけれども、このふちの辺りの森とか林があるところにいるんです。
言ってみれば、国土の20分の1ぐらいのところにしか生息していないんですよね。そういうところにいる動物ですね」
●何種類かいるんですか?
「みなさん、コアラ、コアラとおっしゃっていますけど、コアラという動物は1種類なんです。厳密に言うとふたつの系統、グループに分かれています。シドニーの少し下ぐらいからを境に、北のほうにいる北方系のコアラ、ちょっと小柄でグレーの色が強いコアラですね。
南半球なので、南のほうに行けば行くほど寒い国ですから、寒いところにいるのが南方系のコアラ、通称『ビクトリア・コアラ』って言われているんですけど、これがちょっと大きくて濃い色をしていますね。
見た目は2種類を並べると全然違うコアラということになりますね。当園では北方系、ちっちゃいほうのコアラ、あったかいところにいるコアラを飼っています」
●サイズ感も色も違うんですね〜。
「そうですね。オスの体重で言うと1.5倍ぐらい違います。北方系がだいたい8キロから9キロ、南方系が最大で15キロぐらいになりますから、すごく大きいですよね」

●へ〜! 体全体は灰色ですよね?
「そうですね。頭から背中にかけて灰色、お腹側、お尻が若干白く見えますよね」
●そういう毛の色にも何か意味ってあるんですか?
「はい、みなさん、コアラの餌っておそらくユーカリっていうのを知っているかたは多いと思うんです。ユーカリは、ホームセンターとかお花屋さんに行くと売っていますよね。で、だいたいグレーがかったシルバー色したユーカリが多いと思うんですね。
で、ユーカリってだいたい1000種類ぐらいあるって言われているんですけど、ユーカリの森はグレーの葉っぱがあったり、木の樹皮が白っぽいんですよね。そういったところにグレーの色の動物が木に乗っかっていると、いわゆる擬態、周りの風景と溶け込んで見えるので、こういう色をしていると言われています」
●意味があるんですね、色にも!
「そうですね。で、お腹側が白いのは木の下から上を眺めたときに、白っぽいと太陽の光とかと同化しちゃうんですよね。こういう動物、魚も多いんですけど、こういうことを彼らは生きていく中で獲得した、ありのままの彼らが暮らしやすい姿、色になっていると思います」

(編集部注:落合さんによると、基本的に野生のコアラは単独で生活していて、一頭のテリトリーは狭くて100メートル四方、広いとなんと10キロ四方。
オスは自分のテリトリーにほかのオスが侵入すると、食べ物のユーカリやメスを奪われまいと、可愛い姿からは想像できない猛獣のような声「テリトリー・コール」をして威嚇するそうです。
*コアラの鳴き声は、平川動物公園のサイトで聴くことができますよ。
https://hirakawazoo.jp/wp/wp-content/uploads/2022/09/koala1.wav
また、マーキングをするオスは、胸にある「臭腺(しゅうせん)」からとても臭い液を出して木にこすり付けます。そのため、オスの胸のあたりはいつも汚れているそうですよ)
鋭い爪、大きな耳と鼻
※コアラの体の特徴でいうと、木の上で生活していますから、手や足のツメが鋭かったり、筋力が強かったりして、可愛いコアラのイメージとは違いますよね?
「そうですね。よくお客様にもコアラってどうですか? って聞くと、可愛いっておっしゃるんですね。で、可愛くないところってあるのかなっていう話をするんですけど、その代表的なところはやっぱり爪なんですね。

指の本数は我々人間と一緒です。前も後ろも5本指なんですけど、本当に爪が長くて、鎌のように曲がっていて先が尖っています。爪が1本でも木に引っかかっていれば、落ちることはないですね。その爪を立てながらひょいひょい登っていくんですよ。
当然握る力もやっぱり強いです。で、ラジオ番組なのでお見せできないんですけど、私の腕は本当にコアラの爪の跡、服を着ていても服の上から爪が刺さっちゃうので、もう傷だらけです」
●鋭いんですね〜! 耳とか鼻も大きいですよね?
「そうですね。耳は特徴的な可愛らしい大きな耳をしています。先ほど縄張りの話をしましたけど、コアラって鳴くんですよね。寝てばっかりのイメージですけど、結構大きな声で鳴くんですよ。猛獣のような鳴き声、本の中には”ゲップ”とか”ゴゴゴ〜”とか、そういう音で表現しているんですけど、すごく大きな声で鳴いて、数キロ先まで届くって言われているんですね。ほかのコアラがいるかいないかを、臭い以外、音でも聴かないといけないので、やっぱり大きな耳をしているんですね。
で、もうひとつの特徴として大きな鼻がありますよね。体重は8キロ前後とお伝えしましたけど、鼻の大きさで言うと我々人間と変わらないです。で、やっぱりこの鼻も非常に重要で、ほかのコアラの臭いを嗅ぐにしてもすごく大事なんですけど、いちばんは彼らが食べているユーカリの葉っぱの好き嫌い、選り好み、どれが美味しいのか美味しくないのか、食べられるのか食べられないのかも鼻ですべて感知していると思います」
長い睡眠時間には理由がある
※コアラは木の上でじーっと動かないイメージがあるんですけど、寝ている時間が長いということですよね?
「こればっかりは、もう本当に(睡眠時間が)すごく長くて、ほとんど動かないんです。だいたい20時間から22時間ぐらい、睡眠・休息に費やしていると言われていますね。本当に動かないです」

●なんでそんなに寝るんですか?
「なまけているんじゃないのとよく言われるんですけど、実はそうではなくて、寝るにはちゃんと理由があるんですね。先ほどからコアラの餌はユーカリと何度もお伝えしていますけど、このユーカリって植物が実はポイントになっています。
葉っぱは、新芽と言われる柔らかいところ以外は硬くて繊維が多いんですね。こういったものを食べると、消化にすごく時間かかるんですよ。で、極めつけは毒が入っているんですね。この毒の分解にも時間がかかります。
ただでさえ栄養価の少ない葉っぱを食べていて、極めつけに毒も入っているってことなので、一生懸命動いてしまうと、お腹を動かすためのエネルギーもなくなるんですね。動けば動くだけどんどん痩せます。ですから、じーっと動かないようにしてユーカリの消化吸収に全力を注いでいると思ってください。そういうふうに進化してしまったので、寝ざるを得ない動物になってしまいました」
●木から降りて地面を歩き回ったりすることもあるんですよね?
「もちろん歩くんですよ。で、地面っていうか地上にはやっぱりコアラの外敵となる動物もいたりしますから、基本的に木から木へはジャンプして移動することが多いんですけど、どうしても移動できない距離だと地面に降りて歩くんですね。でもそんなに走ったりすることは、できるんですけど、そこまで長続きしないっていうか、やっぱり歩いているときは危機感を感じてるような気がしますね。早く木に登らないとっていう、そういう仕草を見せてくれます」
妊娠期間は35日!
※平川動物公園でのコアラの繁殖に関してうかがいたんですけど、発情期は一年に何回かあるんでしょうか?
「野生の動物ってだいたい年に1回とかが多いんですけど、コアラの場合は、基本的に通年発情はするんですよ。ただメスがオスを受け入れるタイミングってだいたい春と秋が多いんですよね。この時期に我々もコアラの様子を見ながらペアリング、繁殖させるようにはしています」
●平川動物公園では積極的にペアリングに取り組んでらっしゃるそうですね。相性とか発情期間とか、いろいろ見極めるのも大変なんじゃないかなって思うんですけど・・・アプローチするのはオスなんですか?
「そうですね、基本的に・・・。メスは結構受け身が多いんですけど、言ってみれば発情してないのにオスとペアリングしても、オスもメスにあまり向かわなかったり、メスは当然受け入れないんですよね。
その発情の見極めってすごく大事で、しかも個体によって差があるんですよね。人と一緒で性格があるので、ガツガツしている女の子は、言ったら肉食系の女の子はすごく積極的にオスにもアプローチするんですよ。
逆にオスがそれを受け止めきれない(笑)、草食系って言ったらおかしいんですけど、ちょっとガツガツしている女の子は、苦手だなっていうオスもいたりするので・・・。本当にガツガツしている女の子でも、ちょっと大人しそうなタイミングで、草食系の男の子と一緒にしてペアリングしてみたりとか、ガツガツしている女の子でも大丈夫な男の子をペアリングにあてがったりとか、相性を見ながら繁殖っていうかペアリングさせていますね。
ここは長年の経験とか勘がだいぶ頼りになってくるので、本当に飼育の醍醐味でもありますよね。今だったらいけるんじゃないかとか、そういったのを日々見極めながら見ていますね」
●ペアリングが見事うまくいってメスが妊娠すると、出産はどれぐらいあとになるんですか?
「我々人間の妊娠期間は10ヶ月程度って言われていますけど、コアラの妊娠期間はわずか35日なんですよ」
●え~っ!
「担当者の目の前で交尾させますから、そのあと35日後に生まれてきます。ずれても1日ぐらいなんですよ。この間、コアラの様子を見ながら出産するかしないかを見極めたりするんですよね。ただストレスを与えることはできないので、出産のタイミングに立ち会うことはほぼありません。っていうか、できないですね、なかなかできないです、これは」

赤ちゃんは一円玉!?
※生まれてくる赤ちゃんの大きさは、どれくらいなんですか?
「例えるなら、大きさは1円玉です」
●え~っ!
「1グラム1センチって表現するんですけど、本当に1円玉の大きさです。ただ形は、実はコアラの形をしていなくて、夏休みにカブトムシを飼うお子さんもいらっしゃると思うんですけど、カブトムシの幼虫とよく似た形です。本当にちっちゃくて一見すると何の動物かもわからない、そういう赤ちゃんが生まれてきます」
●そういう状態の赤ちゃんが、いわゆるコアラの形になるにはどれぐらい時間がかかるんですか?
「はい、まず生まれてすぐ、そのままだと毛も生えていませんし、目も見えてないので、すぐ干からびて死んじゃうんですよね。ですから、生まれた赤ちゃんは5分から10分かけてお母さんのポケットに移動するんですよ。
ポケットは後ろ足の付け根についています。そのポケットに自分の力だけで這いつくばって進んでいきます。先ほど紹介した通り、爪が鋭いので、お母さんがつまむと赤ちゃんは亡くなっちゃうわけですよね。ですから、お母さんもじっと我慢しているんですね。
ポケットの中に入ると、中におっぱい、乳房がふたつついていますから、この乳に吸いついてどんどん大きくなっていきます。で、コアラっぽくなるにはだいたい4か月ぐらいかかります。4ヶ月経ってもまだ毛は生え揃ってないので、なんとなくこれコアラの赤ちゃんじゃないの? っていう感じになるんですね。
だいぶ時間はかかりますね。おっぱいに吸いついて簡単に離れてしまうと、また乳房を探さないといけないので、お母さんの乳房に子供がくっつくと抜けなくなるんですよ、取れなくなるんですよ。これがだいたい3〜4か月取れない時期が続いて、そこからは自分のタイミングで(ミルクを)飲めるようになるんですね。それがだいたい4か月ぐらいから始まるって感じですね」
(編集部注:落合さんによると、コアラの赤ちゃんは半年ほどで、お母さんのお腹側にある「育児のう」と言われるポケットから出てくるんですが、子育ては1年くらいは続くそうですよ。
赤ちゃんにとって、ポケットから出るタイミングで、その後、生きていくために必ずやらなければいけないことがあるんです。それはお母さんのフンを食べること。フンに含まれている腸内細菌を獲得し、繊維が多くて毒のあるユーカリを消化できる体を作るためで、落合さんは、コアラの世界では当たりことだとおっしゃっていました。なんでもコアラのコロコロとしてフンはユーカリの匂いがするそうですよ)
ユーカリは1日100キロ、年間34トン!?
※野生のコアラはユーカリしか食べないそうですが、平川動物公園では何種類のユーカリを与えているんですか?
「ユーカリはたくさん種類があるんですけど、コアラが食べているのってだいたい80種とか90種ぐらいって言われているんですね。登園ではそのうちの13種類から14種類ぐらい栽培していますかね」
●本に、平川動物公園で飼育しているコアラ18頭が、年間に消費するユーカリの量がおよそ34トンと書かれていましたけれど(笑)、本当なんですか?
「そうですね。だいたいイメージとしては毎日100キロのユーカリの枝と葉っぱを使っています」

●凄い! 「ユーカリを制するものはコアラ飼育を制す!」と、本にも書かれていましたけど、大事なんですね!
「そうですね。もうこれしか食べませんから、ユーカリの供給が滞ると(コアラの)食べ物がなくなってしまうことになるので、ユーカリの栽培と供給態勢にはすごく気を遣っていますね。
八百屋さんとかで(ユーカリが)売っていればいいんですけど、売ってないんですよね。だからコアラを飼っている動物園はすべて、コアラのユーカリは栽培して供給できる態勢にしています。ないと終わってしまいますからね、すごく大事にしています、ここは」

●敷地内にユーカリ畑があるんですか?
「動物園の中にもユーカリの畑は何か所かあるんですけど、実は賄い切れないんですよ、動物園の畑だけだと・・・。当園では2万本ぐらいのユーカリを管理していまして、畑の数が40か所ぐらいあるんですよね。当然、動物園だけじゃなくて、遠くは鹿児島のロケットの発射基地がある種子島にあったり、温泉で有名な指宿にもあったりします」
●分散させているんですね。
「そうですね。これには理由があって、ひとつは台風が来た時にユーカリの葉っぱが飛んでしまったり、枝が折れてしまったりするんですよね。1か所にすべて植えていると、その畑が集中的に被害に遭ってしまうと、(コアラに)あげるユーカリがなくなってしまうので、リスク分散も込めて、たくさんの所、住宅地の中にある畑もあれば、山の中にある畑もあって、風の当たり方が違ったりするので、リスク分散で分けているっていうのもあるんです。
あと、今からどんどん寒くなりますよね。やっぱり温暖な場所を好むユーカリを栽培していますので、いくら鹿児島と言えども、たまに雪が降ったり霜が降りたりするんですよ。そうなるとやっぱりいい状態の葉っぱが手に入らないので、あったかい種子島や指宿といった、あったかい地域にもユーカリを植えています」

(編集部注:落合さんいわく、コアラの飼育でいちばん気を使うのは、健康管理。寝ている時間が長いコアラは体調の変化がわかりにくいため、寝ている姿勢やユーカリの食べ方、そしてフンの観察など注意深く見て、ちょっとしたことでも「疑って」かかるそうです)
尊いコアラに学ぶ
※日本では、コアラの繁殖のためにどんな取り組みがありますか?
「コアラっていう動物は、やっぱりユーカリの管理とか供給がすごく大変というか、ほかの動物と違うので、どこの動物園でも飼える動物ではないんですよね。今(国内では)7つの動物園で飼育しているんですけど、ひとつの血統だけ残してしまうと、仮にその血統が病気に弱かったりとか、小型な血統だったりすると、本来のコアラっていう動物を残せなくなるんですよね。
ですから、いろんな血統、血筋、遺伝子を取り込みながら増やしていきたいなと思っているんです。それには実を言うと100頭ぐらいの個体がいたほうが、20年30年先を見据えると、それぐらいいたほうがいいよねっていう話になっているんですね。
そうなってくるとやっぱりある程度、ほかの動物園さんと協力しながら、いきなり100頭は無理なんですけど、現状54頭ぐらい国内にいるので、これがまずは70頭ぐらいに増やして、そこから先はいろんな飼育園とか飼育施設を拡充して、コアラという動物を安定的に未来に向かって残していけるような態勢を協力して残していけたらなとは思っていますね」

●コアラの飼育を担当されて5年ということですけれども、日々コアラと接して何かコアラから教えてもらったみたいなことってありますか?
「毎日コアラを見ていて、彼らって、可愛いイメージが先行していますけど、やっぱり生きることにすごく貪欲なんですよね。ユーカリひとつ食べる仕草にしてもそうですし、繁殖する時のオスの猛々しい鳴き声とか、そういった姿を見ていると、挑戦しているじゃないですけど、彼らってやっぱり日々当たり前のように必死になって生きているっていうのが感じるんですよね。
で、可愛いんですけど、そのひとつひとつの仕草が非常に尊いというか尊敬できるなと思うんですよね。そういった仕草とか、コアラっていう動物を日々見ながら、(私たちも)一生懸命生きていかないといけないっていうわけじゃないんですけど、もっと挑戦的、チャレンジしていかないといけないのかなっていうのは、本当に感じるかな、っていうか、感じていますね」
●将来の夢があったらぜひ教えてください。
「今、動物園でコアラを多くのかたにご覧いただいているんですけど、当園の特徴としてコアラがいる空間に入っていける施設があるんですね。ガラスがなくてそのままの空間でコアラをご覧いただけるんですよ。
そこには、コアラが暮らしている現地の植物を植えていたりとか、当然ユーカリも植えているんですけど、動物園に来てコアラが暮らしている現地の森を、来園者のみなさんに体験してもらえるような施設にできたらなと今思っているんです。
まだまだその時点には達してないんですけど、そういった空間でコアラを見てもらって、野生のコアラを少しでも感じていただけるような場所にできたらなと思っています」

(編集部注:オーストラリアの固有種コアラは現在「国際自然保護連合IUCN」の絶滅危惧種に指定されています。減っているおもな原因は、気候変動や森林火災による生息地の減少で、市街地にまで進出し、交通事故で命を落とすコアラも数多くいるとのことです。
落合さんは以前、オーストラリアの施設を視察したことがあって、その時に感じたのは、平川動物公園の飼育態勢は、晴らしいといえるレベルにある。やってきたことは間違っていなかったと自信にもつながったそうです。平川動物公園のコアラ館、ぜひ行って見学したいですね)
INFORMATION
『すごいコアラ! 〜飼育頭数日本一の平川動物公園が教えてくれる 不思議とカワイイのひみつ』
動物園のアイドル的なコアラの可愛い写真が満載。一頭一頭、名前がついているのでそれを見て、コアラ館に行くと、推しが見つかるかも知れません。コアラの生態がわかりやすく解説されているほか、なにより、飼育員のみなさんの奮闘ぶりやコアラへの想いを感じる一冊です。
新潮社から絶賛発売中! 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎新潮社:https://www.shinchosha.co.jp/book/355861/
鹿児島市にある平川動物公園のサイトもぜひ見てください。

◎平川動物公園:https://hirakawazoo.jp
2024/11/24 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. KOALA / GALANTIS
M2. XANADU / OLIVIA NEWTON-JOHN
M3. SLEEPING BEAUTY / BILLIE MYERS
M4. ISN’T SHE LOVELY ? / STEVIE WONDER
M5. Collection / 大原櫻子
M6. DOWN UNDER / MEN AT WORK
M7. DREAMS / THE CRANBERRIES
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2024/11/17 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、石川県立大学・生物資源環境学部の准教授「北村俊平(きたむら・しゅんぺい)」さんです。
北村さんのご専門は植物生態学で、植物と動物のつながりを「種子散布」の視点で研究。調査のメイン・フィールドはタイの熱帯の森で、果実と動物たちのつながり、おもにクチバシの大きな「サイチョウ」という鳥が植物のタネまきに、どんな役割を果たしているのかを調べていらっしゃいます。
そして先頃、『タネまく動物〜体長150センチメートルのクマから1センチメートルのワラジムシまで』という本を出されました。
この本は、ツキノワグマの研究で知られている東京農工大学大学院の教授「小池伸介(こいけ・しんすけ)」さんと北村さんのおふたりが中心となって編集・執筆。
おもに今後の研究を担う学生のために「種子散布」の最新研究や知見がまとめられています。原稿を寄せているのは、北村さん、小池さんを含め、その道の研究者、総勢18名。
このように説明すると、難しい本なのかなと思われるかも知れませんが、タネをまく哺乳類、鳥、そして昆虫などの小さな生き物、その3つのカテゴリーに分けて、それぞれの最新研究などをわかりやすく解説してあるので、手軽に読めますよ。
また、以前この番組にご出演いただいたイラストレイター「きのしたちひろ」さんの、可愛くて親しみやすいイラストが添えられていて、そのページで伝えたい内容がひと目でわかるようになっているのも特徴です。
きょうは北村さんに「種子散布」の最新研究を含め、植物と動物のディープな関係についてうかがいます。
☆写真協力:北村俊平、イラスト協力:文一総合出版

種子散布〜「動物散布」
※この本では種子散布でも、いろんなタイプがあると書かれています。改めて、教えていただけますか?
「今回、本で特に取り上げているのは、動物の助けを借りてタネをまくグループで、それをまとめて『動物散布』と呼んでいます。で、大きく3つグループがありまして、『被食散布』『貯食散布』、それから『付着散布』に分けられます。
順番に説明すると、最初の被食散布は、タネの周りを例えば甘い果肉なんかで覆って、タネを運んでもらう報酬として、魅力的な食べ物を動物に提供するような仕組みになります。私たちが普段、果物として食べている果実をイメージしていただけるといいかなと思います。これがひとつ目です。
ふたつ目の貯食散布は、哺乳類だとネズミやリスの仲間、鳥だとカケスとかホシガラスっていう鳥が含まれるんですが、タネを食べ物として利用する動物の行動を利用した仕組みになります。
ネズミやリスはあとで食べるために、食べ物を蓄える行動をとるんですが、隠したものを全部食べるわけではなくて、一部のタネが食べ残されるようなこともあります。この食べ忘れたタネから発芽することによって、タネまきを成功させるような仕組みになります。
最後の付着散布は、ちょうどこの時期だと、みなさん野山を歩くとズボンとか靴下に植物のタネがいっぱいくっつく経験をしたことがあると思いますが、こういった動物が気がつかないうちにタネをその動物の体にくっつけて、要はただ乗りしてしまうような仕組みを持ったものになります。

で、最初に紹介した被食散布と2番目の貯食散布は、動物にとっても植物にとってもメリットがある、ウィンウィンの関係になるわけですが、最後の付着散布は動物側はただタネを運ぶだけなので、そういったメリットはないです。
今説明したのは動物が絡む話なんですが、もうひとつ動物の助けを借りないグループもあって、ひとつは風の力を利用してタネを飛ばすようなグループで、多くのタネは風に乗るわけで、ちっちゃくて軽い特徴があります。
風を捉える仕組みとして、タンポポの仲間みたいに綿毛が発達しているものだったり、モミジの仲間みたいにタネに翼がついたものとか・・・あとはランの仲間はすごく小さいタネを作るので、何も仕組みがなくてもふわふわっと風で飛ぶようなものになっています。
あとは水の力を利用するようなグループもあって、例えば雨粒が当たった衝撃でタネをばらまくようなものだったり、川の水の流れとか、ヤシの実のように海の流れ、海流によって運ばれるようなものもあります。
最後にホウセンカっていう植物がいるんですけど、ああいう植物では果実がぱっと割れる時に、その時の勢いでタネが弾き飛ばされる、『自動散布』と呼ばれるような仕組みなんかもあります」
タネまく動物の代表、ツキノワグマ

※大きな動物というと、日本にはツキノワグマがいますよね。クマはやはり「種子散布」に貢献しているんですよね?
「そうですね。日本の森でタネをまく動物の代表選手で、この本の編集者でもある小池さんが長年にわたって研究しています。
クマというと、肉を食べている肉食動物のイメージを持っている人が多いんじゃないかなと思うんですが、実際は食べているものの大部分は植物です。特に夏以降になると果実がほとんどを占めていて、それらの果実のタネをまくことが知られています」
●冬眠前にたくさん食べるイメージがあるんですけど、主食は何になるんですか?
「今の時期、ちょうどこれくらいの季節になってくると、やっぱりドングリが主食と言われていて、ツキノワグマは冬眠前にたくさん脂肪を蓄える必要があるんですが、秋にはそのドングリをおもに食べているようです」
●ドングリ以外だと、どんなものを食べるんですか?
「クマは多分ドングリをいちばん食べたいんですが、実はドングリの仲間は、年によってたくさん実る年とそうじゃない年、よい年と悪い年があることが知られていますね。ドングリの実りのよい年にはドングリを食べまくっているんですが、実りが悪いと、本当はドングリ食べたいんですけど、ドングリがないので、ほかの果実をたくさん食べるようなことになります。
ドングリの実りのよい年に、クマのフンを拾ったりすると、中にはクマに噛み割られたたくさんのドングリが入っているんですが、今年はたまたま私のいる石川県では、ツキノワグマの主食になるブナのドングリの実りが、あまりよくない年になります。
で、数日前にも調査地のイチョウの木の下に(フンが)いくつかあったんですけど、それを見てみるとドングリは全く入ってなくて、イチョウの木の下で多分イチョウ(の実を)食べたんでしょうね。たくさんの銀杏ですよね。
それからあと、山の中にキウイフルーツの仲間でサルナシっていう植物が、ちっちゃいキウイフルーツみたいなものなんですけど、その小さいタネがたくさん入っていました」
●クマの種子散布で特徴なことっていうと、どんなことになるんでしょうか?
「ひとつは、クマってやっぱり大きな生き物ですので、大きな体を維持するためにたくさん食べるっていうことがあります。で、野生のサクラの仲間だと一度に数千個、人間が食べるサクランボほど大きくはないですけど、野生のサクラの仲間も小さなサクランボみたいな実を付けます。そういうのを数千個、一度に食べたりします。
野生のサクラの果実ってクマだけではなくて、ニホンザルとかヒヨドリみたいな鳥も食べたりしますけど、植物からするとクマがやってくると、実らせた果実を非常にたくさん食べてくれる、だからクマが来てくれるかどうかで、たくさんのタネが運ばれるかどうかが決まってくるので、結構大事な存在になりそうですね」
(編集部注:北村さんによると、クマの糞に含まれている数百から数千のタネは、ネズミにとってはとても魅力的で、ほとんどネズミが食べてしまうそうですよ)

※ニホンザルも森の世代交代に関係しているそうですね。このあたり、ご説明いただけますか?
「リスとかネズミは、先ほど貯食散布っていう、タネを隠したりすることでタネまきに貢献している話を少ししたんですが、ニホンザルも実はいろんな果実、果実が非常に好きな動物のひとつですね。先ほど紹介したツキノワグマと比べると、やっぱり1頭あたりの大きさはずっと小さいわけですけど、サルはクマと違って群れで行動する生き物です。
30頭から50頭くらい、きっとそれぐらいの数がひと群れになって移動しているわけです。サル1頭自体が食べてタネをまく数はクマと比べれば、ずっと少ないんですけど、群れ全体にするとそれが 30倍とか50倍っていうことになるので、一度にたくさんの個体がやってきて、結果的にたくさんの果実を食べてタネをまく点では、ツキノワグマに匹敵、もしくはそれ以上の果実を食べてタネをまくようなことになっているのかもしれません」
「日本中でタネをまく」ヒヨドリ
※鳥がタネを運ぶことは知られていると思いますが、都会の公園や住宅地でもよく見るヒヨドリ、この本では「日本中でタネをまく」と書かれていました。そうなんですか?
「ちょっとオーバーな表現でもあるんですけど、ヒヨドリは多分みなさんどこかで姿を見たことがあるだろうし、今ちょうど外でもヒヨドリが鳴いているんですけど・・・ひとつの特徴としては、日本国内で木があるところだったら大体どこにでもいて、そこの自然環境を利用していて、そこに生えている植物の、非常に多くの植物のタネをまいている点がひとつの特徴だと思います。
ヒヨドリが実際、どれぐらいの数の植物のタネをまいているのかを調べた研究があるんですけど、少なくとも200種類以上の果実を食べていて、そのタネをまいていることが知られています。
でももっと狭い範囲、大学のキャンパス内とか、そういった狭い範囲で見ても少なくとも50種から80種ぐらいの果実を食べていることが知られていますので、一種類の生き物が食べる種数としては、すごく多い種類の果実を食べています」

●植物側からしたらヒヨドリって、やっぱりありがたい存在っていうことなんですか?
「そうですね。すごくいろんな果実を食べている理由としては、ひとつはヒヨドリは1年中日本にいる鳥で、春から冬までずっといるので、年間を通して果実を食べている、それからヒヨドリは果実をすごくよく食べるんですけど、日本で果実を食べる鳥の中では比較的大型のほうになります。
鳥の場合は、先ほど話したクマとかニホンザルみたいに、手を使って果実を食べることができずに、くちばしでついばんで、それをぐっと飲み込むしかないんですね。だから口の大きさがすごく大事になってきて、大きな鳥のほうがいろんな大きさの果実を食べることができるっていう点がひとつ特徴です。
飛び方もヒヨドリってすごく器用で、“ホバリング”って言って少し羽ばたいて空中で止まるような飛び方もできるので、普通の鳥だと枝先でつかめないような果実までしっかり利用することができたりします。
多分ヒヨドリは日本にいる鳥の中で、いちばん果実が好きな鳥なんじゃないかなと思います。ちょっとしか実ってないような果実でも、”それを食べに行くんだ!” っていうような形でやってきて、しっかり食べていくこともあります。
今の時期、秋から冬にかけて、森の中はすごくいろんな植物が果実を実らせているわけなんですけど、地面の近くの、すごく小さな木だったりすると、数個しか果実が実っていないような場合があるんです。そういった果実でも、自動撮影カメラを設置しておいて、どんな動物が食べに来るのかなって調べてみると、ずっと誰も来ないなと思っていたら、ある日突然ヒヨドリがやってきて、残っていた果実を全部食べて飛んでいく姿が写ったりします。
住宅地の庭なんかにも、お正月の縁起物で使われる、赤い実をつけるマンリョウとかオモトっていう植物があるんですけど、そういった果実にも、カメラ置いといてみると、やっぱりヒヨドリがやってきて果実を食べて、タネを運んでいたりするような姿が撮影されたりしています」

(編集部注:ヒヨドリのほかにも、身近な鳥としてメジロやカラスも果実を食べ、結果的に種子散布に協力していることになるそうです。
植物にとって、空を飛べる鳥は遠くまでタネを運んでくれる、ありがたい存在だと思いますが、アホウドリやカツオドリなどの海鳥も、陸地に降りた時に羽毛にタネがつくことがあるので島から島へタネを運ぶ、これも「付着散布」になるんですね)
カタクリのタネを運ぶアリ
※昆虫と植物の関係でいうと、この番組のスタッフからアリがカタクリのタネを運ぶという話を聞きました。アリには何かメリットはあるんですか?
「アリは基本的には雑食性で虫を食べたり、ほかの生き物を捕まえて食べたりするんですけど、花の蜜に来たり果物の果肉も食べたりするのと同じような形で、地面に落ちているタネも食べ物として巣に運ぶことがあります。
その場合はタネそのものを食べてしまうので、ほとんどアリに食べられてしまって、あまり植物にとってはいいことはないんですけど、今話に出てきたカタクリは、実はちょっと変わった植物です。カタクリみたいな植物、一部の植物なんですが、小さなタネに“エライオソーム”って呼ばれている、お弁当みたいなものがついているんですね。
そのエライオソームの成分を調べてみると、動物性の脂肪分みたいなものが入っていて、アリにとっての栄養分になると同時に、なぜかわからないんですけど、アリがそのタネを運びたくなるような成分が入っているみたいです。
たからアリさんは、エライオソームに惹かれてタネを持って巣まで運んでいって、このエライオソームだけを食べて、残ったタネの部分は巣の中とか巣の外のゴミ捨て場みたいなところに捨てられることで、タネまきが完了するような仕組みになっています。
エライオソームを実際食べることができたアリと、できなかったアリを比べると、アリの巣で生まれてくるアリの数がどうも増えたような事例もあるみたいですので、栄養として十分そのアリにとっても役立っているみたいです」

●メリットはあるんですね~。
「そうですね~。アリがちゃんと食べることでアリ側も増えているんだよっていうことがわかっている、こういう例はすごく珍しいですね。動物側が果肉を食べてどれぐらいメリットがあるのかは、実はよくわからないことが多いんですけど、アリの例ではそういうふうな形で、ちゃんとアリの数が増えていることが示されているようです」
●この本に、カタツムリとかナメクジもタネを運ぶって書かれていましたけれども、本当なんですか?
「一見するとそんな感じはしないんですよね。もともと研究が進んでいるヨーロッパの事例になるんです。先ほどアリがタネを運ぶ事例で紹介した、エライオソームがついた植物のタネ、それを大型のナメクジ、10センチぐらいあるナメクジの仲間がタネとエライオソームを食べて、タネだけ排出するっていうふうな形でタネをまいているそうです。
で、私、日本でもそういう事例ないかなと思って調べていて、日本の事例だと、うちの近所に“ノトマイマイ”っていう大型のカタツムリがいるんですが、その一種がヘビイチゴとか、ヤブヘビイチゴっていう植物のタネを、どうも運んでいる可能性はありそうです」
(編集部注:北村さんによると、研究室での実験では、カタツムリがヘビイチゴのタネを食べ、糞として出されたタネをまくと発芽したそうです。実験的にはタネを運んでいる可能性はあるだろうとのことでした)
温暖化でタイミングがずれる!?
※今年の夏も、酷暑といえるような日が続きましたね。地球温暖化は当然、植物にも影響を与えていると思いますが、種子散布にも影響は出ていますか?
「今年の夏とても暑くて、その影響がどういった形でこの種子散布に影響するのかっていうのは、すぐにはわからないんですが、少なくとも地球温暖化で平均気温は徐々に上がっているのは間違いないわけです。
例えばその結果として、日本だと秋とか冬にたくさん果実が実るようなことになっているんですが、そういった秋に実る果実の数とか、あと果実が熟すタイミング、気温によって早く熟したり、遅く熟したり、もしくは気温が下がらないと熟さないパターンがあったりするんですけど、そういったタイミングが変わってくることは予想されます。
そうなるとその果実をたくさん食べていた鳥たち、渡り鳥、今ちょうど夏鳥は南に帰って、冬鳥が北からやってくるような時期になるんですけど、そういった渡り鳥の移動パターンとか、そもそも通っていた所が変わったり、タイミングも変わってくるんじゃないかってことは考えられます。
今まで秋の果実と渡り鳥の間で見られていたつながりが変化していくことは考えられるんですが、じゃあどう変わるの? って言われると、なかなかすぐには予測ができないのが今のところの現状です」
●今回この本のおもなテーマになっている「動物散布」で、世界の研究者が注目していることってどんなことなんでしょうか?
「ひとつは、先ほどもあったような地球温暖化との関係で、温暖化することによって、そのスピードについていける速さで、自ら動くことのできない植物が移動することができるのか? だから動物がタネを運んでくれるのか? っていうことになります。
植物は動けないので、今までよりも生息環境の気温が上がると、より涼しい場所、例えば標高の高いところとか、あと日本であれば、より北のほう、そういった方向に向かって移動する必要があるんですけど、地球規模の環境変動に植物側なり、そのタネを運んでいる動物が対応していくことができるのかっていうところになると思います。
もうひとつは、私がタイでやっている研究とも少し関係するんですけど、タネを運ぶ動物がいなくなってしまうことで、生態系にどういった影響が及ぶのかっていうことの評価になります。具体的にいうと、タネをまく動物が絶滅していなくなると、その動物にタネまきを依存していた植物にも影響が及ぶんじゃないかっていうことが心配されています。
私が研究していたサイチョウっていう大きな鳥もそうなんですけど、大型の動物は私たち人間の、例えば狩猟対象になったり、あと森林伐採みたいな生息環境が破壊されることで絶滅しやすいグループになります。
こういった動物がおもにタネをまいていた植物は絶滅せずに、残っている動物が絶滅した動物と同じようにタネをまくことができるのか。それともやっぱりタネをまくことができずに、その植物が絶滅していくのか・・・で、そういった植物がいなくなると、結局その場所の植物の種類も多分変わっていくことになると思うんですけど、そういったことが起きていくのかが、多分興味を持たれているところじゃないかなと思います」
(編集部注:植物と動物の関係を、種子散布の視点で20数年研究している北村さんですが、それでもわからないことが多い、だからこそ、やりがいのあるテーマだとおっしゃっていましたよ。今後は今までタネをまく動物と考えられてこなかった生き物たち、例えばカメやトカゲなどの爬虫類、ナメクジやカマドウマなどの無脊椎動物などを調べてみたいそうです。
最新の研究では、ワラジムシやダンゴムシもタネをまいていることがわかってきているそうですよ。植物と動物の関係を明らかにすると、生物の多様性を理解するのにもつながる、そうおっしゃっていました。今後の研究に期待したいと思います)
INFORMATION
『タネまく動物〜体長150センチメートルのクマから1センチメートルのワラジムシまで』
植物がタネをまく「種子散布」の中から、おもに「動物散布」に焦点を当てた一冊。原稿を寄せているのは北村さん、小池伸介さんを含め、その道の研究者、総勢18名。タネをまく哺乳類、鳥、そして昆虫などの小さな生き物、その3つのカテゴリーに分けて、それぞれの最新研究や知見をわかりやすく解説してあるので手軽に読めますよ。イラストレイター「きのしたちひろ」さんの、可愛くて親しみやすいイラストにも注目です。ぜひ読んでください。
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◎文一総合出版:
https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-7255-7/Default.aspx
2024/11/17 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. ANIMALS / MAROON5
M2. FIELDS OF GOLD / STING
M3. THE BEAR NECESSITIES / PHIL HARRIS & BRUCE REITHERMAN
M4. BIRDS / PAUL WELLER
M5. エンドレス / TOMOO
M6. CARRY YOU HOME / JAMES BLUNT
M7. HEAVEN IS A PLACE ON EARTH / BELINDA CARLISLE
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」