2025/8/31 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、NPO法人「おさんぽや」の代表理事「安藤晴美」さんです。
安藤さんは愛知県一宮を拠点に子育て支援や、未就学児童の自然体験活動などの事業を進めています。
2016年にお友達と一緒に立ち上げた「おさんぽや」は、2019年に法人化。ヴィジョンは「子育てはひとりではできません。子供にも大人にも、安心安全な心の拠り所をつくる」となっています。主な活動は「おさんぽ会」や「居場所づくり」「子育てまちづくり」など、子育て支援の事業を行なっていらっしゃいます。
きょうは、そんな晴美さんに小学校にあがる前の子供たちを公園で遊ばせる活動や、親子での自然体験、そしてあすの「防災の日」を前に、幼児と親御さんの防災体験のお話などもうかがいます。
☆写真協力:おさんぽや

悩み深き、子育て
※改めてなんですが、「おさんぽや」を立ち上げるに至った経緯というか背景には、ご自身の子育て経験があったからなんですよね?
「これは私の子育てが、本当に大変だったっていうのがいちばんです。すごくコンパクトに言いますと、我が家の子供がジャイアンみたいな子だったんです(笑)」
●元気いっぱいな!(笑)
「元気いっぱいと言ったら、とっても聞こえはいいんだけれど、ほかのお友達がおもちゃとかを持っていると、貸せって、すぐ取り上げちゃう男の子でした。それで母親としての私は、まわりのお母さんたちに、すみません! すみません! って謝っているお母さんでした」
●そうだったんですね。息子さんと娘さんもいらっしゃいますよね?
「子供は3人います」
●なるほど〜。
「今はとってもいい子なんですけど、今から思えば、第一子だったっていうのもあって、慣れていない子育てに試行錯誤していた時期だったんじゃないかなとは思うんですね。でも、その時は本当に何でこの子はこんなことをするんだろうって、もう心の病気になる手前ぐらいまで悩んでました」
●子供のことを理解しようとするのもすごく難しい、周りの方に助けを求めるっていうのもやっぱり難しかったんですね。
「言えなかった〜! 自分で言うのもなんだけど、真面目なんですよ、私」

●存じ上げております!(笑)
「真面目で・・・でもこれって日本人にありがちだと思っています。真面目なお母さんが多くて、しかも初めてだと、いろんな情報を集めて学んでいこうとか、正解を求めていきがち」
●完璧を求めたりとかもしますよね。
「そう。で、別にいいお母さんになりたいわけじゃないんだけど、世間の目が気になる、まさにそういう母だったっていうところで、すごく悩みが深くなっちゃった」
(編集部注:子育てがうまくいかず、悩みに悩んでいた安藤さんは「森のようちえん」に出会います。この「森のようちえん」とは、1950年頃に北欧諸国で始まった活動で、ひとことで言うと、子供たちを自然の中で遊ばせて育てる野外保育。日本でも注目され、現在は全国に団体があります。詳しくはNPO法人「森のようちえん全国ネットワーク連盟」のサイトをご覧ください)
◎森のようちえん全国ネットワーク連盟:https://morinoyouchien.org
「森のようちえん」に救われた
※そんな「森のようちえん」に我が子を通わせるようになった晴美さん、子供の変化に驚き、そして救われるような気持ちになったそうです。
「いつも児童館では、おもちゃの取り合いとか、隣の子をパンッて叩いたりする我が子が、森の中で生き生きしているの」
●お〜! 素晴らしい! 広いですし、走り回ってもいいですからね。
「そう。自分の興味があるものを常に追い求める子だったみたいで、あちこちに行って木とか葉っぱとか石とか・・・お友達っていうよりは、自分の好奇心を満たせるようなものをずっと探していた」
●出会ったんですね、素敵な場所に。
「そんな中、私も先輩お母さんたちに出会って、お母さんたちがちょっと乱暴というか、彼の強く出ちゃうところを”生きる力がある子だね”って認めてくれた」
●そういうことか、捉え方にもよりますね。生きる力っていうふうに思えますよね。
「そうして”大丈夫だよ、大丈夫だよ”って、すごく励ましてもらったんです」
●素敵〜。
「危なかった、本当に危なかった! 一歩間違ったら虐待やっちゃうんじゃないかっていうぐらい悩んでいたから、本当に苦しくて・・・」
●ものすごい出会いですね、「森のようちえん」との出会いは・・・。
「そう。で、森のようちえんは主体性を大切にするから、その子が何やってもいいし、何もやらなくてもいいっていう保証をしてくれる」
●ヘぇ〜、やらなくてもいい?
「うん、ただ空を見上げて、ごろんと寝てても大丈夫なの、寝そべっていても」
●素晴らしい! ありのままを受け入れてくれるんですね。
「まさにそんなところを私も見て安心して、私自身も”あ、私もそうやって生きていいんだ”って少し思った」
●そうですよね〜。さらにお子さんたちの成長も感じられたりしましたか?
「ここはね、喧嘩をしてもいい場所なの」
●おお〜、そうなんですね。
「子供たちの喧嘩、別に推奨はしないんだけど、ルールがあるの。1対1でやる。あとは頭、顔より上は殴らない」
●大事ですね。
「で、やめたくなったらやめる。3つのルールがあって・・・だから喧嘩が始まると割とまわりに子供たちや大人たちが集まってきて、ちょっと見守る」
●止めずに?
「止めずに見守る。やっぱりパンチすると痛いんだよね」
●自分も痛いし・・・。
「相手も痛い。でもやってみないとわからない、それも」
●なるほど!
「その姿を見て、喧嘩って・・・みんな仲良くって言われるでしょ? みんな仲良くしなきゃいけないんだけど、仲良くする前にやっぱり感情をぶつけあったり・・・特に小さい子は体で感じないとわからない部分があるんだなっていうことに気づいた」
きっかけは「恩返し」
※「おさんぽや」には、どんな思いが込められているんですか?
「私自身が森のようちえんでの経験で、子育てと自分の心も成長してこれたっていうので、私は先輩ママたちに恩返しをしたいなって思ったの。だけど、恩返しができないなっていうところで、これから子育てをするお母さんたちに向けてできることはないかなと思ったのが、この活動を始めるきっかけなんですね。森の中でお散歩をするのがすごく心地よくて・・・」
●想像するだけで幸せです。
「いろいろと考えた時に、昔の商店街で言うと八百屋さんとかお魚屋さん、あ、おさんぽやさん! みたいな、本当にそのまま(笑)」
●いいですね〜(笑)
「でもよく言われるの、おさんぽやって何するところですか? お散歩するところです! そのままです」
(編集部注:「おさんぽや」のメインの活動は、その名の通り「おさんぽ会」。2歳から6歳の児童を対象にした「やまもも組」と、0歳から未就学児の親子を対象にした「さくらんぼ組」があります。
「やまもも組」は年36回、「さくらんぼ組」は月2回の実施となっています。15名ほどのお子さんを預かる「やまもも組」は、保育士を含め、4名ほどのスタッフでケアしているそうです)

※ママと離れたがらないお子さんもいますよね? その時はどうしているんですか?
「本当に泣いて泣いて、泣いて寝ちゃうっていう子もいます、中には」
●で、そのまま連れていくんですか?
「そのままお空の下で、シートを引いて寝てます」
●可愛い(笑)
「子供が泣きたい時には大きな声で泣けばいいやんって、気が済むまで泣いて・・・でもお母さんを追う子がやっぱりいる。”一緒に帰る、帰りたい帰りたい〜”って、お母さんの車があるであろう駐車場に行きたいっていう子はいるので、私はそういう時は”じゃあお母さん、探しにいこっか”って一緒に手を引いてお母さんの車を確認しに行くけど、いないんですよね。
で、そのままぐるーっと建物をまわってきて、”もう一回、見に行く? いこっか” ってもう一回見に行くといない。それを何回か繰り返して、この子は何回くらいで納得するのかな、心が落ち着くのかなと思ったら、3回まわったら落ち着きました。で、みんなのところに合流しました」
●お母さん探し散歩を終えて(笑)
「無理やりというか、バイバイする時はちょっと強制的にバイバイはするんですけど、そのあとのその子供の心の動きに寄り添ってあげられるのは、すごく幸せなことだなと思っています」
●本当そうですね〜。親子を対象としている「さくらんぼ組」に参加するかたは、やっぱり多いんですか?
「これは本当に子供たちっていうより、お母さんお父さんの心のための場所だなってすごく思います」
●みなさんからは、どういった感想がありますか?
「これも朝、集まって、朝の会をして歌を歌って、その季節にいちばんいいところに行くんですよ、私たちは。例えば”今ヤマモモがなっているね”とか、”あの木の実があるよね”、”今お花が咲いているから、あそこ綺麗だよね”っていう・・・。
公園の中でいつもコースが決まっているわけではなく、その季節のいいところにお散歩に行くんですね。だいたい10分程度の場所なんです。なので、連なって行くのではなく、その子供の様子を見ながら、子供が”花があったね”とか、立ち止まった時に一緒にその様子を見てくださいっていう形なので、みんな結構バラバラで、それぞれのペースでお散歩を楽しまれるんですね。
普段の生活ってやっぱり、親があっち行くよ、こっち行くよ、早くしてって急かしがちなんだけど、子供が見るものに親が寄り添う時間になるので、すごくいろいろ発見をするみたいです」
●普段だと、なかなかそういう時間はとれないですよね。
「そのあと、みんなでご飯を食べるんだけど、食べる時もいろいろなシェアをする。自分の気持ちだったりとか・・・なかなかあるようでない。今自分が好きなものを話すとか・・・子供の話はよくするんだけど、自分自身の話をする機会ってあんまりない」
●確かにそうですね。
「だから、さくらんぼさんのほうは、子供もとても有意義だけど、親御さんの心のスタミナ、そんな場所です」
(編集部注:晴美さんたちが子供たちを遊ばせているのは、「おさんぽや」のすぐ近くにある一宮市の「大野極楽寺公園」。木曽川の河川敷にある公園で、その広さは38万4千平方メートル、東京ドームおよそ8個分。広大な敷地には、遊具は少ないものの、芝生広場や雑木林、野鳥の池、サイクリングコースなどがあり、四季折々の花も楽しめるそうです)
雨の日、大喜び

※公園で遊ぶ「おさんぽ会」は、天気がいいときも、そうじゃないときもありますよね。雨でも外に行くんですか?
「雨が降った日に外に出るの好き?」
●う~ん、あんまり・・・(笑)
「お母さんたちもそれ!」
●そうですよね~。
「出たくない、外に! 子供を連れて、特に! でもね、子供たちの雨の日の喜びようってすごいんですよ、もう全身で雨を受ける! なんなら水たまりにじゃじゃじゃ~って入っていって、びしょ濡れ! 長靴の中から水がじゃーって出てくる、本当に生き生きとしている姿を大人は見守る(笑)」
●なるほど~、じゃあ雨の日も?
「外に出ます。なんだけど、お母さんたちは普段、日常生活では(雨の日に外に)出せないって言います」
●へ~〜。
「ここだから出せる! みんなで見守るから出せるって」
●そういうことですね。すごく素敵! やっぱ雨の日でも(外に)出ることで、自然ってこうやって変化するんだな~とか、いろいろ感じるものがきっとありますよね。
「そう」
●ちなみに、最近は暑いじゃないですか?
「暑い~」
●そのあたりはどうなんですか?
「これは命の危険があるので、室内も借りていて、室内の涼しさを保ちながら、外に少し出て、スイカ割りをしたり水遊びをしたり・・・やっぱり家だとなかなかできないこと。水遊びもスイカ割りもできるけど、自分で用意する余裕がお母さんたちにはない。だから、できないことはみんなでやろう! っていうそんな気持ちでやっています」
●ひとりだと厳しいけど、みんなでやればできることもたくさんありますよね。
「そうなんです」
●実は私1回、「おさんぽや」さんの活動にちょっとだけ・・・。
「来てくれたよね~」
●ちょっとだけ、参加させていただきました。
「ありがとう! その節は」
●こちらこそ、ありがとうございました! 子供たちと一緒に遊ばせていただいたんですけど、その時にも感じたのが、晴美さん始め、ほかのスタッフのみなさんも、子供たちとの接し方が三枚も四枚も上手だなっていう(笑)、自然なんだけど、いろいろ心掛けていることがあるんじゃないかなって、どういうことを思っているんだろうっていうのがすごく気になっていました。私はただ単に遊んでいるだけだったんですけど(笑)、何かありますか?
「基本、見守る態勢になっていますね」

●見守る・・・。
「一緒に遊ぶのも、とても楽しいけれど、ちょっと一歩下がって、この子たちは今何を見ているのかな? どんなことを感じているのかな? っていうところに共感していく」
●そういうことですね。
「そこを大事にしているスタッフが多い」
(編集部注:ご自身の子育て中に「森のようちえん」に出会い、救われた晴美さんは、恩返しの気持ちで「おさんぽや」を立ち上げたということでしたが、年一回開催される「森のようちえん全国交流フォーラム」に参加したときにスウェーデンから来たかたと、たまたま知り合い、意気投合。
2011年にお子さんを連れてスウェーデンに行き、教育制度や子育て政策に感銘を受け、帰国後、通信教育で勉強し、保育士の資格を取得したそうです。2019年には「おさんぽや」のスタッフと一緒に再びスウェーデンを訪れ、環境教育の研修を行なったとのことです)
防災「おうちの中でかくれんぼ」
※「おさんぽや」では、防災に関連するような活動はあったりするんですか?
「私たちは防災をメインには活動はしてないんですけど、コロナ禍前あたりに防災についてちょっと学んでみようみたいな会をしました。その時はソーラークッキングをしたり、野外でいろいろと体感してみようっていうので、楽しく過ごすことができたんだけれど、コロナ禍になって、それができなくなってしまいました。
みんな一斉になっちゃったから、何が正解で、何がダメなのかがわからなくて、困ったなっていう時に、私たちの地域は南海トラフの地震がとっても心配される地域でもあったので、Zoomで集まれるじゃないかっていうことで、Zoomで集まって『おうちの中でかくれんぼ』という避難ごっこをしました」
●え~すごい! それぞれの家庭で?
「そう。Zoomでつないで、“今から警報、鳴らすからね~”って、警報を鳴らしたら“自分はどこに隠れるの? 隠れた所で上から落ちてくるものはない? この後どうやって避難するの?”っていうことを、それぞれ考えて話してもらうっていうそんな会をしました」
●お子さんたちも親御さんもそうですけど、なかなかイメージできないですよね、その時のことって。
「そうそう。やっぱり体感することで、よりわかることもあれば、“これだったら、こうしたらいいよね“って工夫することができるから、やっぱりやってみることが大事。例えば “きょうは1日、トイレを使わないようにしよう”とか、“きょうは1日、電気なしね”みたいな感じで、防災用トイレを使ってみるとか・・・意外とできない! って言っていました」
●そうですよね! 確かに。
「袋の中にするっていうのが、子供たちができなかったりするから、やっぱり一回体感しておく。非常時ってすごく緊張状態になったり、普段とは違う生活になってストレスがかかってしまった時に、トイレができるか・・・一回やっていれば、たぶんちょっとできる、子供たちも」
●本当ですね。
「だから、体験ってすごくその次の力になるっていうのは、防災も野外もそうなのかなって思うところです」
心のお守り
※今後「おさんぽや」の活動を通して、どんなことを伝えていきたいですか?
「私も今年で子育てをして20年になるんだけど、やっぱり子育てはひとりではできなかったなっていうのは、すごく思うところです。
子育てはひとりではできないんだけれども、やっぱり心の安心だったり、この人たちとやっていきたいって思う相手じゃないとなかなか難しい。人間、コミュニケーションっていうのがあるので、“あなたはあなたのままで、ここにいていいよ”っていう居場所を私たちは作り続けたいなと思っています」
●めっちゃ素敵ですね~。あとやっぱり自然との関わりもポイントになってきますか?
「そう。やっぱり自然って、ある意味、暖かいし、ある意味、冷たい部分がある。こちらがいくら雨、降って欲しくないよ~って言っても雨は降るんです! 太刀打ちできない」
●そうですよね。
「それで自分はどうするのかなって、相手に求めるんじゃなくて、自分に向かう。自然が鏡になる。自分の心のあり方はどうかなって・・・。
子供は頭では考えず、それをたぶん体感として得ることができるので、それがさっきの生きる力じゃなくて『心のお守り』、つらい時とか絶対これからあると思う。そういう環境の中で、もうこれ以上無理かもしれないって思った時に、ぐっと踏ん張れる『心のお守り』は、生きる力になるんじゃないかなって思います」
(*番組からお知らせ)
産休中の小尾渚沙さんの代わりに当番組を5カ月間、担当してくださった難波遥さんは、この回の放送がラストとなります。ありがとうございました!
次回、9月7日の放送から小尾さんが復帰します。引き続き、ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします!
INFORMATION
「おさんぽや」の活動に共感し、支援したいと思われたかたはぜひ「子育て応援基金」へのご協力をお願いします。個人で一口3,000円から、法人で一口10,000円からとなっています。振り込み先などはオフィシャルサイトをご覧ください。また「おさんぽや」の活動についても、ぜひサイトやSNSを見てくださいね。
◎おさんぽや:https://osanpoya.studio.site/top
◎おさんぽやInstagram:https://www.instagram.com/osanpoya138/