2026/3/15 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、株式会社「アンドファームユギ」の「長谷裕介(はせ・ゆうすけ)」さんです。
アンドファームユギは、東京都八王子市堀之内地区、旧地名「柚木村(ゆぎむら)」にある農業法人です。設立は2012年、当初の社名はFIO(フィオ)でしたが、2018年に現在の社名アンドファームユギに変更。地域とともに、という意味を込めたそうです。
アンドファームユギがある堀之内地区は、多摩丘陵に整備された日本最大規模といわれる、多摩ニュータウンの開発区域に入っていたそうですが、農業や酪農に従事する人が多くいたことから開発から除外され、昔ながらの農村風景が残っています。

長谷さんは1987年生まれ。東京農業大学卒業。高校生の頃に農業や造園を学び、大学では土木や地域資源、そして養蜂を学んだそうです。
設立当初は裏方として手伝っていたという長谷さんですが、現在はアンドファームユギの中心メンバーとして、養蜂とCSA(地域支援型農業)という新しい事業を担当するプロジェクトマネージャーとして活躍されています。
きょうはそんな長谷さんに、アンドファームユギのミッションのほか、生産している野菜や蜂蜜のこだわり、そして「エシカルファーミング」という取り組みについてもうかがいます。
☆写真協力:アンドファームユギ

有機JAS認証、小規模な養蜂
※アンドファームユギで取り組んでいる農業には、どんなこだわりがありますか?
「農業に関しては、野菜を専門に育てる担当がいますので、彼からこだわりを聞くのがいちばんいいかなと思うんですけども、普段近くで見ている私からすると、ひとつは、みなさんがわかりやすい形なのが、有機JAS認証ですね。有機JAS認証を取った有機野菜を生産しているというところになります。
あとは、弊社が掲げるアンドファームユギのミッションとして、”人も自然も豊かにする”という言葉があります。なので、環境に負荷を与えるのではなく、生き物がいて土があって、そこでお野菜を作るということに重きを置いています」
●どれくらいの種類の野菜を栽培されているんですか?
「お野菜の種類自体は、設立当初はものすごく多くの種類を作っていました。ただ、お野菜には1種類1種類、栽培技術が必要ですので、そういった練度を上げていく、より高品質なお野菜をお届けしていくというところで、現在は数十種類から数種類まで絞り込みをしているところです」

●長谷さんは、おもに養蜂業を担当されているんですよね?
「はい、私は養蜂業の担当になります」
●その養蜂にはどんな特徴があるんですか?
「養蜂業というのは非常に面白い仕事です。ミツバチの巣箱を置けば置くほど、蜂蜜が採れるわけではなくて、地域の自然がミツバチが抱えられる・・・ミツバチが飛んで行って花の蜜を集めてこられる限界というのが、地域の自然の力としてあるので、この辺の地域特性からすると、そう大きくはできないという、小規模な養蜂場であるというのがひとつの特徴です。
もうひとつは、この地域の花から採った蜂蜜に限定しています。全国区の養蜂家さんを見てみると、全国を飛び回って花のある場所に行って、蜂蜜を採るというのが基本的なスタイルなんですけど、私たちはここの・・・ここでは柚木村と呼びましょうか・・・この地域の特徴を活かした蜂蜜を生産しています」

景色そのものの「蜂蜜」!?
※以前ハチミツから、その地域の植生、つまりどんな植物が生えているのかがわかると聞いたことがあります。やはりそうなんですか?
「そうですね。ミツバチが花を巡って蜂蜜を作っていくというプロセスの中で、ミツバチにとって、より近く、より多く、より甘い花の蜜を集める習性があるんですね。
学術的な植生の細かさ、精度って言うんですかね・・・竹が生えてたりとか、草が生えてたりということはわからなくても、おおよそこの辺の地域で生えている植物の花ということはわかります」
●アンドファームユギのある地域の植生は、どんな特徴があるんですか?
「ひとことでいうと農村環境と言いますか、僕なりの言葉で話をすると、春に菜の花が咲いて、菜の花の蜜がいっぱい入ってきて、里山に生えている山桜がその後に咲いて、その桜の蜜が入ってくる。そこで一度収穫をする。
で、アカシアの蜂蜜、ニセアカシアの木であるとか、山に生えている藤の花の蜜が入ってきて、最後にエゴノキという、里山にはよくある木なんですけど、爽やかな香りがする蜂蜜が入ってくると・・・。
こういった植物というのは基本的には田畑があって里山がないと、なかなか集まらない種類かなと思うので、そういった意味では今見ている景色そのものかなというふうに認識しています」

●どんな味がするんですか?
「今の話の中で、花の種類がいくつか出てきたわけなんですけど、おもに3種類に分かれるんですね。
春の菜の花だとか桜が入った蜂蜜は、非常に香り豊かで甘みが強い特徴がありますし、その次に採れるニセアカシア、アカシアの蜂蜜ですので爽やかというか、よく言うとフラットで、淡白な味わいが基本になってくる。
そして最後に採れるエゴノキの蜂蜜はやはり爽やかな香りがして、甘みもほどほどにあり、非常にバランスが取れた蜂蜜だと・・・植物の特徴に沿った味わいがしますね」

●普段、長谷さんがミツバチたちを見ていて、どんなことを感じますか?
「ミツバチは社会性を持つ生き物なんですね。おおよそ何千匹の単位から何万匹の単位で生活をしているので、私たち人間の暮らしの社会構造と非常によく似ているるんですね。なので、人を見ているような感じがしますね」
●へえ〜っ! 長谷さんご自身は、もともと農業とか養蜂に興味があったんですか?
「そうですね。私が高校、大学と農業関係を専攻をしていたというのもありまして、大学時代に畑を造る学科にいました。農業土木という学科なんですけども、そちらのほうで畑を造る勉強をしながら、ミツバチ研究会というサークルに入っていました。
そこではミツバチを育てて、あと養蜂業者さんのところに実際に研修に出向いて、ミツバチから蜂蜜を採る作業をお手伝いしたりだとか、そういったことをしていて、趣味として興味があったというよりも、営みって言うんですかね・・・仕事として食べ物を作る仕事は、とても面白いなという認識を持っていました」

CSA=地域支援型農業
※アンドファームユギでは、2022年から「CSA」という事業に取り組んでいます。長谷さんがおもに担当されているそうですが、CSAとは、具体的にはどんな事業なのか、教えてください。
「CSAというのは“地域支援型農業”と日本語で訳されるものなんですけども、1980年代のアメリカで発祥した仕組みと言われています。
農場で野菜が採れたり採れなかったり、これはお米でも同じですが、農作物の豊作凶作によって生産者が負うリスクを消費者も共有して、かつ食べ物、食料をシェアリングしていこうというのがCSAの定義になります」
●その事業の一環として「エシカルファーミング」という取り組みもされています。これはどんな取り組みなんですか?
「CSAの基本的な仕組みは、非常に理想的な形ではあるんですけれども、リスクを共有するという考え方は、やはり私も含めて日本に住む人間からすると、非常に思うところが多いというのがあります。
そこでCSAのベースの仕組みは変えずに、それにプラスして、共同菜園で野菜を育てたり、あとは農にまつわる関わりを持つとか、そういった副的なコンテンツを重ね合わせることによって、みなさんがCSAという社会意義を感じながらも、暮らしにゆとりが生まれるようなサービスができないかということで開発したのが、このエシカルファーミングです」

年間のプログラム「エシカルファーミング」
※先ほど、長谷さんが担当されている、新しい事業「CSA/地域支援型農業」の一環として行なっているエシカルファーミングについてうかがいました。
ここからは、より具体的に教えていただきたいのでが、エシカルファーミングには、どんなかたたちが参加しているんでしょうか?
「みなさんの特徴は本当にさまざまです。女性が多いですね。人格像としては女性が多くて、いわゆるエコ意識というでしょうか・・・エコロジーという概念はあまり強くはないけど、やはり“自然に負荷をかけないようにしたいよね!”という考え方をお持ちのかたは数多くいらっしゃいます」
●何人ぐらいのかたが参加されているんですか?
「現在は21組の世帯が加入しています」
●これは月1回とか年間の活動なんですよね?
「そうですね。CSAというもの自体がもともと年間で組まれるプログラムです。私たちもそれに倣って1年単位でのお付き合いということになります」
●やっぱり月1回でも八王子にある農地に来て、五感で感じるということは大事ですよね?
「そうですね。市民農園とか様々な都市型農業の形はあるんですけども、やはり農村の環境と言うんですかね・・・空間があって多くの人が集うと、そこに小さなコミュニティが生まれて、そういったところで、視覚であったり聴覚であったり、五感を使って過ごしていくという時間は、非常に意義があることかなと感じています」

●エシカルファーミングは、具体的にどのような活動をされているんですか?
「お野菜とハチミツを年間10回に分けて、まずはお渡しできると・・・この農場に来てお野菜やハチミツを受け取れるというのがひとつと、あとは共同菜園での農作物の栽培ですね。みなさんが持ち寄ったタネを植えて育てることができると・・・。
最後に農にまつわる催しですね。例えば、さつまいもを育てて、最後に焼き芋を作るところまでをみんなでやったり、あとは地域には里山がありますので、自然環境に触れられるような、ちょっとした自然観察なんかも行なうことができます」
(編集部注:4月から始まる年間10回のプログラム「エシカルファーミング」の参加者募集の受付は、3月31日までです。応募方法や参加料金など、詳しくはアンドファームユギのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎アンドファームユギ:https://fio8.com
戻ってこられる場所
※大都会東京の郊外、多摩地域の八王子に農地があって、そこで農業や養蜂を営むというのは、とても意義があるように思います。いかがですか?
「東京で農業を営むことに意義があるというよりかは、僕たちはやっぱりこの仕事に携わって全国津々浦々の同業者のかた、農家さんや養蜂家さんとコミュニケーションを取りながら仕事をしているんですけど、こういった仕事、食べ物を作る仕事をすることは、たとえ沖縄であっても北海道であっても、それは等しく意義があることだと思っています。
ただ私たちがここで農業をやる意義というのは、首都東京と言われている人口が最も多い都道府県、そこの食料を供給することと、みなさんの暮らしに寄り添えるような、自然との接点を持つことができる。そのガイダンスができるという意味では、東京で農業をやること特有の意義があるかと思っています」
●アンドファームユギの事業には、人も自然も豊になるためのヒントがありますね。
「そう言っていただけると大変ありがたく感じています。ただですね・・・この会社は設立して現在に至るまで、成功よりも失敗の方が多い会社でして、“こうしたら上手くいくよ“ということは、おそらくヒントとしてみなさんにお渡しすることはできない。ただ”これをやって失敗したよ“ということであれば、山ほどヒントをお渡しできるかと思います」

●アンドファームユギの活動を通して、どんなこと伝えていきたいですか?
「私たちがやっている事業は、つまるところみなさんの暮らしを支えることになる仕事だと思っています。
農作物をお届けしたりということは、これはどこに行っても伝わることだとは思うんですけど、私たちが特に今やっているエシカルファーミングは、戻ってこられる場所を作るということが、もうひとつ副次的なメッセージとして含まれています。
ここに実家があるわけでもないですし、ここで生まれ育ったわけでもなくても、この農場に戻ってこられる・・・初めて来た人もそんな感覚で過ごしていただけるような、ひとつの“心の安寧”と言いましょうか、そういったところをお伝えできれば、私たちがここでやっている意義、メッセージというのはお届けできるかと思っています」
INFORMATION

アンドファームユギのオフィシャルサイトには、東京とは思えない里山や農地の風景写真のほか、採れたての野菜や、蜂蜜の写真も載っています。オンラインショップから蜂蜜や有機栽培の野菜セットなども購入できますよ。
◎アンドファームユギ・オンラインショップ:https://shop.fio8.com
先ほどもお知らせしましたが、4月から始まる年間10回のプログラム「エシカルファーミング」の参加者募集の受付は、3月31日までです。参加ご希望のかたはお早めに、どうぞ。詳しくはアンドファームユギのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎アンドファームユギ:https://fio8.com






