2025/5/11 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「都市森林株式会社」の代表取締役、そして一般社団法人「街の木ものづくりネットワーク」の代表理事「湧口善之(ゆぐち・よしゆき)」さんです。
東京生まれの湧口さんは、大学で西洋美術史を専攻。卒業後は建築設計事務所に勤務する傍ら、世界各地を訪れ、建築や都市を研究。その後、木造建築に取り組み、岐阜県高山に移住し、木工や林業を学び、東京に戻ってからは街の木に着目、都市林業に取り組んでいらっしゃいます。
そして先頃『都市林業で街づくり〜公園・街路樹・学校林を活かす、循環させる』という本を出されています。
きょうはそんな湧口さんに、都市林業の課題や可能性のほか、「街の木ものづくりネットワーク」の活動などうかがいます。
☆写真協力:都市森林株式会社


街の木を木材に
※まずは、本のタイトルにもなっている「都市林業」、初めて聞く言葉なんですが、これはどういうことなのか、教えてください。
「都市林業っていうのは、都市で林業をしようっていうことだと捉えられがちなんですけれども、山の林業とは全く違うというか・・・。
これまで街の木は、街路樹だったり庭木だったり、育てているんですけれども、伐ったら、ほとんどごみ同然というか、伐った瞬間、目の前からパッとなくなってくれたらいいのになっていうような感じだったんですよね。
植木屋さんや伐採屋さんとかも伐ると、それをお金を払って捨てに行くのが普通のことだったんですけれども、そういうものを木材として、あるいは他の資源としてでも、もっと活用することができないかなっていうのが、都市林業の簡単な説明になります」
●なるほど。湧口さんがこの都市林業に目を向けるようになったのは、何かきっかけがあったんでしょうか。
「もともと僕は建築をやっていて、そこで木造建築とかやっていたんです。そういう中で建築に関わっている人って、みんなそうだと思いますけど、ずっと壊されないで長く残って、ゆくゆくは文化財とか世界遺産とかになるようなものを作りたいなって、みんな思っていると思うんですね。それを言うか言わないかはちょっと別としても・・・だけど、なかなかそういうことが、今できていないなっていうのがあって・・・。
で、なんでだろうって、ずっと考えていた時に昔は、今ここにあるもので作るのが当たり前だったから、そこに木があったら木で作るし、石があったら石で作るし、草があれば草で作りますよね。もし水と氷しかなかったら、水と氷を工夫して、イグルーみたいなものを作ってみたりとか・・・。
ああいうのってその土地ならではの個性とか、そういうものが自ずと備わっていて、そしてそこの人たちにとっても、すごく大事なものだっていうか、アイデンティティの一部みたいになっていっていると思うんですけど、今の時代って素材生産の仕組みとか物流も変わっているし、そういうことがもうなくなっちゃっているんですよね。
だから、もしお庭に大きな木があっても、これを使ってテーブルを作ろうとか、お家を建て替えた時に柱にしようとか、そういうことをするのはすごく不合理なことになっちゃっているっていうか、めちゃくちゃお金がかかる話になっていたりとか・・・。で、そうやってできたものに、なかなか愛着も抱けなかったり・・・。
なので、かっこいい建築はいつも作られているんだけど、数十年経ったら壊されちゃうみたいなことが続いていて、そこをなんとかできないかなっていうところから素材への探究というか、そういうのが始まっています。
で、街の木は現状、木材にすることはやっぱり合理的ではなかったから、みんな使っていなかったんだけど、それを上手くいろんな工夫をして合理的にできたならば、面白いことになるんじゃないかなっていうのが、その発想のきっかけなんです」
(編集部注:湧口さんによると、家庭から出る、樹木を剪定した枝などは燃えるゴミとして処理されますが、業者が伐った公園の樹木や街路樹は、リサイクルすることになっていて、堆肥や製紙用のチップ、バイオマス用の燃料として活用されているそうです)
都市森林は多種多様!?

※これまで街路樹や公園の樹木が「木材」として活用されなかったのは、どうしてなんですか?
「それは木材用の原木として、良くないからなんですよね。この話をする時、いつもこの話をするんですけれども、山の木でもヒノキとかスギとか、あれは人工林で畑みたいなものだから、ちょっと違うんですけれども、広葉樹の場合はだいたい山で100本、木を伐ったら5本くらいしか木材にならないんですよ。そのくらいしか木材用の原木としていいものって山でもないと・・・。
街の木はどうかっていうと、山の木よりもっと悪いんですよね。やっぱり剪定をすごくしちゃっていたりするし、そうすると樹形も歪んでいるし、あとは木が弱っているから腐っていたりとか、いろいろと良くないことがあって・・・。
そういうものを木材にすること自体は、お金さえかければできるんだけど、そうやってお金をかけて材料を得ても、それで例えば木工とか大工さんとか工務店とか、そういう木を扱うところが仕事になるかっていうと、まあ普通はならないから・・・。
なので、特別に思い入れがある木です、思い出の木なんですとか、記念の木なんですとかっていうと、それにすごくお金をかけて、何かするっていうことはあったと思うんですけれども、なかなか普通には活用できないっていうのがあったわけです」
●山の林業はスギやヒノキ、カラマツなどの針葉樹で木の種類が少ないイメージがあります。一方で、都市の樹木は街路樹にしても公園の木にしてもたくさんの種類があるように思えるんですけれども、そのあたり種類についてはどうなんでしょうか?
「ここがすごく都市の森、私はそれを『都市森林』なんて呼んでいるんですけれども、都市のいろんな木々の面白いところで、ありとあらゆる樹種がありますね。
で、自然の、在来の木もありますし、その在来の木も例えば、東京なんかでも、本来はもっと南のほうに生えていた木をこっちに持ってきたものがあったりとか、園芸的に改良というか、桜もいろんな種類がありますけど、そういうものもあったり・・・。あるいは海外の木もすごくたくさん植えられているし、本当にいろんなものがあるなっていうのは、面白いところでもあります」
●そうすると都市林業では、そういった多種多様な樹木も活用していこうということなんですか?
「それはもうなんでも活用しますね。大きな木だけじゃなくて小っちゃな木とか、こんなものを木材にするって、そもそも思わないようなものまで、なんでもやってみます」
東本願寺、みんなの物語

※湧口さんは、研究のために国内外の建築を見てまわったそうですね。これまで見た中で、特に感銘を受けた建築物はありますか?
「印象に残った建物はいろいろあるんですけれども、ひとつ紹介すると、京都の東本願寺がとても印象に残っているというか感銘を受けたというか・・・。
どこがっていうのは、何もそういう話がなくても、とにかくすごい建物ではあるんですね。みなさん行かれるところだと思うんですけれども、ものすごく大きなケヤキの木を無数に使って作られています。
東本願寺は明治時代に再建しているんですけれども、再建した時に日本中から、それこそ東北からも四国からも、みんな村中総出とか町中総出で、ケヤキを伐り出して運び出して・・・。
運び出す時に使ったロープ、それも女性の長い髪の毛と麻の繊維を編み込んで、直径が30センチもある、ものすごいロープが展示されているのを見たことがあるんですけど、そういうものを作って、そしてみんなでその木を集めて、そして東本願寺に(日本中から木が)集まってきて作られたっていう、そこにはやっぱりみんなの物語が、ものすごく乗っかっているだろうなと思います。
都市林業でやりたいのは、そういうことなんだよねっていうのがありますね。みんなで木を育てて、それを活用することにも、みんなで関わって、そしてひとつの大事な建物ができあがったら、それはみんなにとって大事なものになるし、200年経っても絶対壊したくないよねってなるんじゃないかなっていう、そういうことなんですけど・・・」
街の木ものづくりネットワーク
※「都市森林株式会社」とは別に、一般社団法人「街の木ものづくりネットワーク」を設立したのは、どうしてなんですか?
「やっぱり街の木と言った時に、それに携わるのは仕事の文脈で携わる人ばっかりじゃないと思ったんですよね。やっぱり一般の人たちが・・・仕事でやっている人であっても、仕事の文脈ではお金がいただけないからできないこともあると思うんですよ。
だけど、これをやったらみんなすごく喜ぶんだけどな〜とか、そういうなかなかプロの仕事としては成立しづらいことを、非営利であればできることもあると思うし・・・。林業ができるとか木工ができるとか、そういうことじゃない普通の人たちは、それこそ小さな子供たちでも街の木に携わって何かできることがあるんじゃないの? って思って(一般社団法人を)作ってみました」
●具体的にはどういった活動をされているんですか?
「よくやっていたのは、なんでもいいんですけれども、収穫祭なんてことを毎年やっていましたね。街の木の食の恵みを活かそう! ということで、お庭の木でもいろいろ実がなったりとか、あるいはハーブとして使える木があったりとか、いろいろとあると思うんですけど、そういうものをみんなで持ち寄って、そして一緒に料理してパーティーしよう! みたいな、そういうイベントをよくやっていました」
●そのほかには、どういった活動がありますか?
「よくやったのは苗木を作るっていうことですね。それもタネを買って来たりして、苗木を作るんじゃなくて、工事現場、工事でこれから伐られちゃう木の子供を探して、それを救出するというか、そしてそれを鉢植えにしておいて、お家で育ててもらうとか、そういう活動もしていますね。それを工事が終わったら、そこに植えに行こうね! という形です」
●苗木を自分たちで育てて植樹をするということですけれども、一体どんな種類の木を植えているんですか?
「本当にいろんな種類があるんです。例えば、最近やっているのだと、団地から大きなマンションに建て替えるプロジェクトの現場では、その団地の樹木の子供たちを苗木にしています。
例えば、樹種で言うと、トウカエデとかケヤキ、アキニレ、ユズリハ、シラカシ、カツラ、ゲッケイジュ、ムクゲなど、まだまだあるんですけれども、その団地で目立っていた樹種のタネを取ったり、足元に生えている小さな苗木を救出して、そして新しいマンションになった時に植えようねっていうようなことで育てていたりします」

●苗木を育てて植樹をすると、自分が植えた木に愛着が湧いてきますよね?
「そうですね。実際に植えた木が成長していくのを見ていけますし、きっとそこを通りかかるのがいつも楽しみになると思います」
●そうですよね。実際に参加されたかたの反応はどうでしたか?
「これはもう本当に間違いないっていう手応えがあるというか、本当に子供たちも生き生きしています」

(編集部注:「街の木ものづくりネットワーク」の活動の、ひとつ事例として南町田グランベリーパークのリニューアルの際に、参加者のみなさんに工事中の公園に入ってもらい、苗木を救い、その苗木を各自自宅で育ててもらったあと、リニューアル後の公園に植樹することができたそうです)
みんなが喜ぶ都市林業に
※湧口さんによると、都市林業に取り組み始めた頃は、街の木を木材として活用する事例がなかったため、丸太を集めるために工事現場に足を運び、頼み込んでもらい受けていたそうです。その後、いろいろ事例を作って、ようやく自治体からも仕事として発注が来るようになったということです。
●伐採したあと、木材はどこで保管するんですか?
「倉庫をいくつか持っていて、そこで積み上げて保管するんですけど、そこがやっぱりいちばん大変なところではあります」

●大変なポイントというのはどこでしょうか?
「やっぱり土地のコストが高いっていうことだったり・・・うちも製材所っていうわけではないので・・・。製材所ではそれに特化した仕事をしているから、だから製材所に預かってもらうっていう手もひとつはあるんですけれども、都市林業の難しいところって特化していたらできないっていうところなんですよね。
なので、ありとあらゆる仕事があるので、伐採に先立っては木の診断をしなきゃいけないし、どの木が使えるのかなっていうところを診断できなきゃいけないし、設計もしなきゃいけないし、実際の物作りもしなきゃいけないし・・・。
作るものは小物雑貨から家具、建築まであるわけで本当に幅が広くて、街づくり的なお仕事もすごく大事になってくるし・・・。木材を製材して保管するっていう、そこに特化した仕事であれば、そこでコストダウンとか効率化もしやすいんでしょうけれども、なかなか難しい、そこは大変だなというところです」
●湧口さんが思う都市林業のいちばんの課題ってなんだと思いますか?
「これまでに木材にされてこなかった木々を木材にするっていうことは、お金さえかければできるんですよね。それはどんなごみからでも家具でも何でも作れるわけですよ、お金さえかければ・・・。
だけど、そこを真正面から本当にこれはお金がかかっても、活用してよかったなっていうのを作ろうとしているんですね。
そうじゃなくても、例えば何か環境にいいことをしているというような、プレゼンテーションがしやすい分野でもあるんです。今まで捨てられていた街の木を木材にしました! みたいなことで評価されてしまうこともあり得る界隈ではあるので、それでOKってなっちゃう事例はいっぱいあるんですよね。
そういうことだと、本当に誰が喜んでくれているの? って、何かいいことやってます感っていうのはあるんですけれども、本当は誰も喜んでないっていうようなこともすごくあると思うんです。そうじゃなくて、どうしたら本当にみんなが喜んでくれることをできるかっていうことに、ずっと食い下がって工夫をしていくっていうのが、都市林業の本来やるべきことだと思っているんです。
自然な形で街の木を木材にすることが成立しないといけないと思うんですよ。でもこれまでにされてこなかったということは、それだけ難しいということであって、とにかく僕のほうでは、これは本当に嘘がないことをやっているなっていう事例を、とにかく頑張って作るというのが大事だなと思っているんです」
本当のことをする
※湧口さんは、新しい本の中で都市林業をもっと進めるために、3つの提案をされています。そのうちのふたつ、「都市林業を街路樹で」と「都市緑地を小中学校の演習林に」について説明していただきました。
「まず『都市林業を街路樹でやりましょう』っていう、これがもともと都市林業のいちばんコアな部分です。今、街路樹は無数に木が植えられているわけですけれども、それらは大きくなるだけ大きくしちゃって、それから太い枝を切ったりして、木を痛めて樹形もゆがんで、そしていよいよダメとなってから伐採されて、そうなった時は中が腐っていたり虫が食っていたりで、樹形も悪いから木材にするのもすごく効率が悪いんですよね。
そういう木々で僕はこれまで物を作ってきたけれども、この状況が変われば劇的に状況はよくなると思うんですよ。
なので、街路樹の剪定をしたり、手入れをするコンセプトを変えましょうって、林業的に最初から木材として活用する、そういう手入れをしていけば、いい樹形にして健康な木を育てる、太い枝をいっぱい伐らなきゃいけないような段階まで育ったら、その時点で伐採して新しい木に更新する。
そういう山の林業で当たり前にやっていることを街でもやったほうがいいんじゃないですかって、そうするとすごく効率的になるんじゃないかっていう、そういう提案ですね。
『都市緑地を小中学校の演習林に』っていうのは、僕も今、中学校でそれに近いことを小さい規模ですけれども、やり始めているんです。学校の木々ももちろんそうなんですけど、そのへんの近くの公園もそうですし、せっかく木があるんだから、そこを学びの場にしましょうっていうそういう提案です。
そこの木を剪定したり伐採したり活用したりっていうことを、学校のプログラムとして少し取り入れてやっていけば、体験の機会が無限に生まれていくよと、そのことは学習と、ものすごく結びついていくよっていうところで、とてもこれは可能性があるんじゃないかと、すごく手応えを感じているところです」
(編集部注:もうひとつの提案「清掃工場をハブにしよう」についてはぜひ本を読んでいただければと思います)

※では最後に新しい本『都市林業で街づくり』に込めた思いをお聞かせいただけますか?
「とにかく本当のことをしようっていうことです。
木を活用するとかっていうことだと、とにかくそれだけで何かいいことをしている感が出ちゃうと思うんですけど、そういうことで満足せずに本当に誰かが喜んでくれることをずっと考えて、いろんなことを工夫して、逆に言うと、そうしないと今まで木材にされてこなかった木を木材にするっていう無理なことを、無理じゃなくするっていうことはできないし・・・。
そうやって本当のことをやっていれば、私たちの街でもずっとこれから残っていくような街の空間とか建物とか、そういうものも作っていけるんじゃないかなって、そういう思いを込めて書かせていただきました」
INFORMATION
『都市林業で街づくり〜公園・街路樹・学校林を活かす、循環させる』
湧口さんの新しい本には、前例がなかった都市林業を成立させるための取り組みや街の木を木材として活用するためのノウハウ、そして住民を巻き込んだプロジェクトなど、興味深い内容にあふれています。なにより、湧口さんの都市林業にかける熱い思いを感じる一冊、ぜひ読んでください。
築地書館から絶賛発売中! 詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎築地書館:https://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1679-2.html
「都市森林株式会社」と「街の木ものづくりネットワーク」の活動については、それぞれのサイトをぜひ見てください。
◎「都市森林株式会社」:https://www.toshiringyou.com
◎「街の木ものづくりネットワーク」:https://machimono.amebaownd.com
2025/5/11 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. WE BUILT THIS CITY / STARSHIP
M2. KNOCK ON WOOD / AMII STEWART
M3. THE STORY / TRISTAN PRETTYMAN
M4. NEXT 100 YEARS / BON JOVI
M5. 愛を込めて花束を / Superfly
M6. I CAN SEE CLEARLY NOW / JOHNNY NASH
M7. PARADISE CITY / SCUBBA
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/5/11 UP!
5月18日
ゲスト:動物言語学者、東京大学・准教授「鈴木俊貴(すずき・としたか)」さん
鳥の言葉を解明した研究者として世界的に注目! そんな鈴木さんが発見したシジュウカラの言葉と、それを理解するほかの鳥たちとの関係のほか、これも大発見! シジュウカラのジェスチャーについてもうかがいます。
5月25日
シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の特別編! 高校生が考える社会課題解決のためのSDGsアクション・アイデアコンテスト「SDGs QUESTみらい甲子園」をクローズアップ!
総合プロデューサーの「水野雅弘(みずの・まさひろ)」さんと、千葉県大会の最優秀賞チーム「ウェイク」の「草場美海(くさば・みう)」さん、「古澤梨子(ふるさわ・りこ)」さんをお迎えし、最優秀賞に選ばれた「ウェイク」の探求テーマや活動などうかがいます。
2025/5/11 UP!
<湧口善之さん情報>
2025年5月11日放送
『都市林業で街づくり〜公園・街路樹・学校林を活かす、循環させる』
湧口さんの新しい本には、前例がなかった都市林業を成立させるための取り組みや街の木を木材として活用するためのノウハウ、そして住民を巻き込んだプロジェクトなど、興味深い内容にあふれています。なにより、湧口さんの都市林業にかける熱い思いを感じる一冊、ぜひ読んでください。
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◎築地書館:https://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1679-2.html
「都市森林株式会社」と「街の木ものづくりネットワーク」の活動については、それぞれのサイトをぜひ見てください。
◎「都市森林株式会社」:https://www.toshiringyou.com
◎「街の木ものづくりネットワーク」:https://machimono.amebaownd.com
(湧口さんが語る都市林業のお話など、詳しくは2025年5月11日放送の『街の木を木材として活用する〜「都市林業」の可能性』をご覧ください)
<目代邦康さん情報>
2025年5月4日放送
目代さんの新しい本をぜひ読んでください! 地形を作り出す働きから、代表的な地形や暮らしとの関わり、さらには災害や歴史など、地形の基礎知識を豊富なイラストと共にわかりやすく紹介。ひとつの項目が見開き2ページで完結しているので、関心のあるところから読めますよ。地形を知るための入門書的な一冊、おすすめです!
誠文堂新光社から絶賛発売中! 詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎誠文堂新光社:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/science/91487/
(目代さんが語る地形のお話など、詳しくは2025年5月4日放送の『景色の中に溶け込んでいる「地形」を知ろう!』をご覧ください)
<「やまとけいこ」さん情報>
2025年4月27日放送
やまとさんが先頃出された本をぜひ読んでください! 限られた食材をやりくりしながら、美味しい食事をお客さんに提供する山小屋料理人の奮闘ぶりが手に取るように分かります。ユーモアあふれるイラストがこれまた、いいです! 個性的なスタッフも登場しますよ。さらに食材に紐づくレシピも満載です。
山と渓谷社から絶賛発売中! 詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎山と渓谷社 :https://www.yamakei.co.jp/products/2824330840.html
本の発売を記念してイラストの原画展が開催されます。
モンベル御徒町店で5月25日から30日まで。原宿のfinetrack TOKYO BASE(ファイントラック・トーキョー・ベース)で6月1日から8日まで。いずれも初日にトークイベントとサイン会が予定されています。参加は無料、事前の予約も必要ありません。ぜひご参加ください。
詳しくは、山と渓谷オンラインのサイトを見てください。
◎山と渓谷オンライン :
https://www.yamakei-online.com/journal/detail.php?id=7930&pview=1
薬師沢小屋のサイトは以下になります。
◎薬師沢小屋 :https://ltaro.com/lodge/yakushizawa-goya/
(やまとさんが語る黒部源流のお話など、詳しくは2025年4月27日放送の『水と命がキラキラ、黒部源流に魅せられて』をご覧ください)
<松下隼士さん情報>
2025年4月20日放送
松下さんが先頃出された本をぜひ読んでください。たったひとりの日本人として、長期にわたり滞在したニーオルスンでどんな体験をし、何を感じたのか、各国の滞在員と助け合ううちに生まれた絆、そして北極圏の厳しくも美しい自然の描写など、日々の出来事が綴られた読み応えのあるエッセイ集です。松下さんが撮った写真も素晴らしいですよ。
雷鳥社から絶賛発売中です。詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎雷鳥社:https://www.raichosha.co.jp/book/1497
松下さんは現在、富山で観測や研究の支援サービスを行なう「Canyou Flash(キャニオン・フラッシュ)」を運営。また、自然科学の魅力を発信するための「The Natureus Store(ザ・ネイチャーアス・ストア)」を主宰されています。詳しくは、SNSを見てくださいね。
◎「Canyou Flash」Instagram:https://www.instagram.com/canyonflash/
(松下さんが語るニーオルスンのお話など、詳しくは2025年4月20日放送の『北極圏スバールバル諸島の観測拠点「ニーオルスン」〜小さなコミュニティに人類を救うヒントがある!?』をご覧ください)
<「日本フードリカバリー協会」情報>
2025年4月13日放送

植田さんが代表を務める「日本フードリカバリー協会」の取り組みに共感されたかたはぜひご支援ください。月額1000円からサポーターになれるそうです。また、寄付用の食品も募集中だそうです。詳しくは、日本フードリカバリー協会のオフィシャルサイトをご覧ください。
☆日本フードリカバリー協会:https://foodrecovery.jp
(植田さんが取り組む公共冷蔵庫のお話など、詳しくは2025年4月13日放送の『シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第25弾! 食品ロス編〜日本フードリカバリー協会の取り組みに注目!!』をご覧ください)
<風間深志さん情報>
2025年4月6日放送
地球元気村の活動のひとつとして、モンゴルのゴビ砂漠に木を植える活動を行なっています。10年以上も続けているこの活動、今年もこの夏に植林ツアーが予定されています。
また、山梨市にある地球元気村ファーム「天空のはたけ」では5月中旬に、サツマイモの植え付けが計画されています。ほかにも地球元気村が運営している山梨県山中湖村の「村営 山中湖キャンプ場」もありますので、ぜひご利用ください。
そんな地球元気村では、随時村民を募集中です。プレミアム村民は会費が年間10,000円、村民になると年4回、会報誌「地球元気村」が届くほか、イベントの参加費が割引になるなどの特典がありますよ。詳しくはNPO法人「地球元気村」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎地球元気村:https://chikyugenkimura.jp
風間さんが主宰されている一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」でもイベントが目白押しです。地域社会を元気にするための「にっぽん応援ツーリング」が4月26日にスタート。
また、一大バイク・イベント「SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)」が5月24日から始まる予定です。詳しくは「日本ライダーズフォーラム」のオフィシャルサイトを見てくださいね。
◎日本ライダーズフォーラム:https://www.round4poles.com
(風間さんが語る活動のお話など、詳しくは2025年4月6日放送の『「ザ・フリントストーン」が放送34年目に突入! 番組のシンボル、風間深志さんに期待の新人、難波 遥が直撃インタビュー!』をご覧ください)
<難波 遥さん情報>
2025年3月30日放送

難波さんが代表を務める「Hands UP」にぜひご注目ください。人材を育てる「AI(アイ)ヒーロー」や、社会や地球の課題に取り組む「ソーシャルクリエイティヴ事業」、それぞれの事業内容など、詳しくはぜひオフィシャルサイトでご確認ください。
◎Hands UP:https://handsup-sdgs.com
(難波さんが語る事業のお話など、詳しくは2025年3月30日放送の『Z世代の起業家が見つめる未来「ありがとうの連鎖が生まれる地球」』をご覧ください)
<「渋谷区ふれあい植物センター」情報>
2025年3月23日放送
食と農の地域拠点「渋谷区ふれあい植物センター」にぜひお出かけください。ガラス張りの温室のような空間にいるだけで癒されると思いますよ。
1階には柑橘類や熱帯系の果樹などの植物と、水耕栽培のファームラボ、2階にはカフェとライブラリー、3階にはトークショーなどに使われる多目的スペースがあります。そしてイベントのときだけ解放される4階の屋上ではお茶やホップなどが栽培されています。植物のパルスをもとに作った音楽「ミュージック・オブ・プランツ」は1階の中央にある小さな洞窟のような部屋で聴くことができますよ。

「渋谷区ふれあい植物センター」の開園時間は午前10時から午後9時まで。休園日は月曜日。入園料は小学生以上100円です。アクセス方法など、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎渋谷区ふれあい植物センター:https://sbgf.jp/
小倉さんが代表を務めるNPO法人「アーバン・ファーマーズ・クラブ」の活動にもぜひご注目ください。詳しくはオフィシャルサイトを見てくださいね。
◎アーバン・ファーマーズ・クラブ:https://urbanfarmers.club/
(小倉さんが語る植物園のお話など、詳しくは2025年3月23日放送の『育てて食べる植物園!? 「渋谷区ふれあい植物センター」』をご覧ください)
<「高尾の森自然学校」情報>
2025年3月16日放送

今年10周年を迎える高尾の森自然学校にぜひご注目ください。お話にもあった「大人の植物観察会」や「野鳥観察」「昆虫観察」などなどいろいろな体験型のプログラムを行なっています。また「森のお手入れボランティア」や「畑クラブボランティア」などもありますので、ぜひご参加ください。まずは、これからとてもいい季節を迎える「高尾の森自然学校」のフィールドに遊びに行ってみていかがでしょうか。
開館時間は午前9時30分から午後5時まで。定休日は毎週火曜日です。アクセス方法など、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎高尾の森自然学校:https://www.7midori.org/takao/
(後藤さんが語る「高尾の森自然学校」のお話など、詳しくは2025年3月16日放送の『開校10周年「高尾の森自然学校」〜里山の森と人々をつなぐ』をご覧ください)
<CAMMOC情報>
2025年3月9日放送
去年CAMMOC名義で出された本をぜひ読んでください。日々の暮らしを豊かにしながら、結果的にそれが防災につながるヒントとアイデアが満載です。今回は三沢さんの暮らし方をご紹介しましたが、住まいや家族構成が違うほかのメンバー、カナさん、アヤさんの暮らし方も載っています。
ほかにも日常食と防災食のフェーズをなくしたレシピや、普段使っているポリ袋や手ぬぐい、食品用のラップやアルミホイルなどの活用術なども大変参考になりますよ。一家に一冊、おすすめです! 辰巳出版から絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎辰巳出版 :https://tg-net.co.jp/tatsumi_book/18661/
CAMMOCは、防災とキャンプに役立つ情報発信のほかに、イベントや商品開発のコンサルティングなど、いろんな活動をされています。詳しくはオフィシャルサイトをぜひご覧ください。
◎CAMMOC :https://cammoc.com
(三沢さんが語る防災のお話など、詳しくは2025年3月9日放送の『「SDGs防災キャンプ」〜「いつも」を「もしも」の備えに』をご覧ください)
<豊島大輝さん情報>
2025年3月2日放送
この本には忙しい日々から離れて、本来の自分に戻れるノウハウが満載です。この番組としては特に第3章の「自然とつながることで、ととのうリトリート」に注目していただければと思います。また、第4章の「1分から始める! 暮らしの中のプチ・リトリート」には通勤途中やオフィス、または家事をしながらでもすぐできるリトリートのヒントがたくさん載っています。ぜひ参考になさってください。
すばる社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎すばる舎:https://www.subarusya.jp/book/b653272.html

私もリトリートを体験したい、もっと知りたいと思ったかたは、亀山湖畔のホテルやグランピング施設などで行なっている豊島さんプロデュースの「亀山温泉リトリート」を体験されてみてはいかがでしょうか。参加方法など詳しくは「亀山温泉リトリート」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎亀山温泉リトリート:https://www.kameyamaonsen.jp/retreats/
(豊島さんが語るリトリートのお話など、詳しくは2025年3月2日放送の『「人」が「ヒト」に戻る旅。忙しいあなたに「リトリート=休養術」』をご覧ください)
<盛口 満さん情報>
2025年2月23日放送
盛口さんの新しい本『ぜんぶ絵でわかる』シリーズの最新版をぜひご覧ください。骨を楽しむための「骨のキホン」から始まり、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、そして哺乳類の骨の、精密なイラストと解説が載っています。ほかにも、アジの干物の美しい食べ方の説明や、骨の標本作りの裏話などのコラムも面白いですよ。ぜひチェックしてください。
エクスナレッジから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎エクスナレッジ :https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767833576
(盛口さんが語る骨のお話など、詳しくは2025年2月23日放送の『生き物の「骨」を楽しむ〜骨は歴史と暮らしが詰まった教科書』をご覧ください)
<高尾の森自然学校 イベント情報>
2025年2月16日放送
この4月で開校10周年を迎える一般財団法人セブン・イレブン記念財団「高尾の森自然学校」が記念事業として「環境アカデミー2025」を開催、その参加者を募集中! 森林整備を担う人材を育成する通年を通したプログラム研修です。2025年4月から2026年3月、月一回、全11回実施。受講費用は無料。定員は20名。応募の締め切りは2月28日。
詳しくは、高尾の森自然学校のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎https://www.7midori.org/takao/katudo/forest-maintenance/2025/0122141106/
ほかにも連続プログラム「森里川海のつながりを学ぶ」や、ワークショップ「ヤマザクラで絹のスカーフを染めよう」の参加者も募集しています。詳しくはいずれも高尾の森自然学校のオフィシャルサイトを見てください。
◎高尾の森自然学校 https://www.7midori.org/takao/
<鈴木 純さん情報>
2025年2月16日放送
鈴木さんの新しい本をぜひご覧ください。それぞれの冬芽の特徴を捉えたキャッチコピーが見事ですよ。例えば「はんなり美人」と「ハートツリー」。「はんなり美人」はナツツバキで、冬芽を覆うウロコの形がまさに着物のえりのように重なっていて、薄い緑を基調とした和風な色合いと形が美しいです。そして「ハートツリー」はニワウルシ、枝にくっきりと綺麗なハートのあとがあります。ぜひ本でお確かめください。
ほかにも街中や野山でもよく見られる樹木の冬芽が、豊富な写真とともに掲載。ひとつの冬芽が見開2ページで紹介されているので、見やすくて使いやすいですよ。冬芽観察の決定版! ぜひチェックしてください。小学館から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎小学館:https://www.shogakukan.co.jp/books/09311578
鈴木さんのオフィシャルサイト「まちの植物はともだち」もぜひご覧ください。
◎まちの植物はともだち:https://beyond-ecophobia.com
(鈴木さんが語る冬芽のことなど、詳しくは2025年2月16日放送の『冬の植物観察のすすめ! 可愛くて面白い「冬芽」に注目!』をご覧ください)
2025/5/4 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東北学院大学の准教授「目代邦康(もくだい・くにやす)」さんです。
目代さんは1971年、神奈川県生まれ。東京学芸大学・教育学部・在学中に、中学や高校の社会科の先生になろうと、科目として「自然地理」を選んだところ、その先生がとても面白い方だったということで、自然地理や地形学の道に進むことになったそうです。
そして、京都大学大学院・理学研究科の博士課程修了後、筑波大学の研究センターなどを経て、現職の東北学院大学・地域総合学部の准教授としてご活躍されています。ご専門は「地形学」や「自然地理学」で、その学問を一般の方向けにわかりやすく解説した本『地形のきほん』を先頃出されています。
きょうは目代さんに、地形が私たち人間や生き物に与える影響のほか、九十九里浜が出現した地形的な要因、そして、住んでいる地域の地形を知る必要性などうかがいます。
☆写真協力: 目代邦康

液状化は「砂粒」の性質が原因!?
※目代さんのご専門は、地形学や自然地理学ということですが、どんな学問なのか教えていただけますか?
「地理は小学校とか中学校で習うかと思いますけれども、その中で特に自然、地球の表面で起こっている、いろいろな自然現象について調べるというのが自然地理学です。
特にその中でも私、地形についていろいろ調べております。地球の表面がデコボコしていますけれども、そういった山とか海岸とか、そういう場所がどうやってできたのか、どういうような地層からできているのかとか、今後どうなるかとか、そういうようなことを考える研究分野です」
●研究のためには、実際にフィールドに行って調査するんですよね?
「実際に現場に行って、土地がどんな形をしているのかを計ったり、穴を掘って、そこにある土とかを持って帰ってきたり、あと石を叩いて、どんな地層があるか調べたりですね。それだけで終わらなくて、持って帰ってきたら、今度はそれを分析したりします。
最近は飛行機から撮った写真とか衛星から撮った写真とか、あるいは自分でドローンを飛ばして撮るとか、そういうのも含めて、分析するというようなことをやっています」
●いろんな方法があるんですね。メインのフィールドはどこになるんですか?
「いろいろなところをやっています。ここ1年間は、能登半島地震がありまして、そのあと被害を受けた場所の地形を調べているので、ここ1年間は金沢のほうに何回か行っていました」

●具体的には、どういった方法で何を調べるんでしょうか?
「今調べている、能登半島地震のあとの現象ですと、”液状化”です。地震の揺れで(地面が)液体のように変わってしまう、それで建物が曲がってしまうとか、そういう現象なんですね。
そこの形を調べていくのと同時に、何でそういった変化が起こるのかを、地層を掘って、砂からできているんですけども、砂粒の大きさとかを測るんですね。で、どういうような砂の性質なのかが、地面の形が変わってしまう原因になったりしますので、そういうのを分析したりしていますね」
日本列島の地形が多様な理由とは?

※ここからは目代さんが先頃出された本『地形のきほん』をもとにお話をうかがっていきます。本を読んでいて、改めて、地形は私たち人間の暮らしにいろんな影響を与えているんだな〜と思いました。地形の多様性が、自然や生き物の多様性を生み出していたんですね。
「いろいろな場所に地面があって、生き物は、鳥はちょっと飛んでいますけど・・・とはいえ、地面の上で生活するので、生き物の生活は切っても切り離せないですね。
切っても切り離せないんですけれども、いろいろな生き物がいる今の状況を考えると、場所がそれぞれ違うので、そこに合わせて生き物がそれぞれ進化してきています。やはり、地球の環境の基盤というか、ベースになるのが地形の違いというところになるんだと思います」
●日本列島の地図を思い浮かべると、山脈が連なっていて、川もたくさんあって、海岸線もすごく複雑で、ところどころに平野があってっていう感じで、地形的にかなり多様で複雑なイメージがあるんですけれども、その多様さを生んだ要因は何なんですか?
「いちばん大きいのは、地球の表面に10数枚のプレートというものが覆っているんですけども、それがお互いに動いておりまして、(日本列島があるのは)あまり動かないプレートと、よく動くプレートのちょうどそのぶつかり合うところなんですね。
あまり動かない大陸のプレートと、よく動く海のプレートがぶつかり合うことで、ギュッと押されて山はできますし、海のプレートが日本列島の下に沈み込むことで火山ができます。
で、さらに気候の条件として雨がよく降るので、削られた土砂が運ばれて、平らな土地が作られてと・・・条件からするとふたつですね。地球の上でよく動いている場所だということと、雨がたくさん降る場所だということかと思います」
●そういった要因があったんですね〜。日本列島の地形を大きく分けると、山と平野になるんですか?
「日本列島に限らず、高くて尖っているところが山で、低くて平らなところが平野で、地球上、分けると基本そのふたつなんですね。で、日本の場合だとその中間もあって、丘陵地って呼ばれる場所がその中間になるんですけども、基本的には高さと、丘か丘でないかというところで分ける、そういった分け方になります」
●この山と平野、だいたいどれくらいの割合になるんですか?
「だいたい日本列島は、ほぼほぼ山でして、7割以上が山地です。で、3分の1から4分の1ぐらいの狭いところが平野です。その平野に多くの人が住んでいるというのが日本の特徴です」
●日本で考えてみると、人口が集中しているのは首都圏だったり、関西圏だと大阪や名古屋あたりですけれども、平野ができるのはやっぱり川が影響しているんでしょうか?
「そうですね。平らな土地は何で平らかっていうと、川が運んできた土砂が、川が氾濫して土砂を溜めて、あるいは海からも土砂が入ってくることがあるんですが、そういう水の働きがあるから平らな土地ができるんですね。そういう意味では川の働きというのは重要です」
(編集部注:ちなみに「山脈」と「山地」の違いなんですが、その定義は、目代さんの本によると、日本列島の場合、規模がより大きなものが「山脈」、山脈より規模が小さいものが「山地」、山地よりもさらに規模が小さいものが「高地」になるとのこと。これはあくまで日本列島の区分だということです)
九十九里浜が長いのは、硬い岩盤があるから!?
※ベイエフエムがある千葉県には、九十九里浜という日本で2番目に長い砂浜があります。その長さはおよそ66キロもありますが、どうしてこんなに長い砂浜ができたのでしょうか?
「なかなか難しい質問ですね(苦笑)。砂浜のいちばん端っこに何があるかなんですね。ずーっと砂浜なんですけれども、いちばん端っこは硬い岩盤が出ているんですね。どこもそうなんですけれども、削られにくい硬い岩盤があるところがふたつあると、その間が砂浜になるんです。
で、九十九里浜ですと、北の銚子のところに少し古い硬い岩盤が出ていますね。一方で南のほう、房総半島の南のほうもちょっと山がちですけども、そこもまた岩盤が出ています。そのふたつの岩盤が離れているので、その間が砂で埋められて、非常に広い砂浜になっているということです」
●そうやってできるんですね〜。今、この日本で砂浜がどんどん減っているっていう話を聞いたことがあるんですけれども、原因は何なんでしょうか。
「根本的には、先ほど平野は川が運んできた土砂でできるということを言いましたけれども、川が土砂を運んでこなくなったんですね。
運んでこなくなった理由は何かというと、ひとつには山から崩れた土砂が川を経由して海まで来るんですけれども、その途中でダムがあったり、いろいろな人工構造物があって、せき止められて流れてこないというのがあります。
もうひとつの理由は、今はあまり掘ってないんですけども、昔はコンクリートに入れる砂を川から取っていたんですね。川底をどんどん掘って・・・。
やがて砂が流れてくるだろうと思っていたんですけど、全然流れてこなくて・・・で、川でたくさん取っちゃったので、最終的に海の近くの平野まで流れていかないので、砂浜の砂が供給されるほうが少なくなってしまったので、波でどんどん侵食されて減っている、そういうことになります」
●観光地としても知られる鳥取砂丘に、植物が生えて草原化しているっていうニュースが以前ありましたけれども、これはどうしてなんでしょうか?
「砂丘に限らずなんですけれども、日本の地形はどこもちょっとずつ動いているんですね。で、砂浜も山のほうから砂が運ばれて、海からちょっと削られて、そのバランスが取れているとあまり形が変わらず、山のほうから(砂が)運ばれてこないと、どんどん削られて減ってしまう・・・。
で、砂丘は砂浜にあるんですけれども、そこの砂丘にやはり同じように山のほうから土砂があまり流れてこなくて、海のほうから削られるのもあり・・・。さらに砂が減ると風が吹いた時に、動く砂の量が減っちゃうんですね。砂がたくさんあると動ける砂がたくさんあるんですけど、あまり動ける砂もなくなって・・・そうすると雨は降りますから、どんどん草が育って雑草が増えてしまうと、そういうような状況です」
地形が地名の由来に!?
※地形はお天気にも影響を与えていますよね。やはりその要因になっているのは山ですか?
「そうですね。冬の間、例えば関東地方ですと、乾燥して乾いた風が吹いてきますけど、同じタイミングで日本海側はたくさん雪が降っています。
大陸のほうから風が吹いて日本海側で湿った空気があって、その湿った空気を含んだ風が日本海側で雪をどんどん降らせちゃうんですけど、風はずっと吹いてくるので、その風が山に雪を降らせたあとに吹き上がって、山を越えてきた時にはもう乾燥しているので、湿った空気が乾いた風に変わるというのは、山を越えるということが大きいですね。冬場の関東地方の乾燥なんかは、基本的には日本列島の大きな山が影響しています」
●そういう関係性なんですね~。あと違った側面だと、地形は観光資源とも言われたりしますよね。景勝地には人が集まってきますが、そんな観光資源を守るための制度と言えば、日本ではどういった制度があげられますか?
「そうですね。観光地ですと美しい景色があるので、多くの人が訪れますけども、人がたくさん来るからいろいろな開発をしてしまおう、お金儲けに使おうっていう人もだんだん出てくるので、そういった利用を制限するような仕組みがいくつかあります。
いちばん大きいのが国立公園と呼ばれるものでして、レクリエーションなどで私たちが自然に親しむということと同時に、そこの場所を保護しましょうというようなことが、国立公園の中で法律として定められていて、適切な管理というのが行なわれています。
あとは、最近ですとジオパークですとか、湖ですとラムサール条約の登録湿地とか、そういう国際的な取り組みなんかも含めて、いろいろな場所で適正な管理、使い過ぎ、“オーバーユース”って言うんですけれども、そういったことはなるべくやめるようにして、そこの場所の自然環境が維持されるような取り組みが各地でされています」
●そうなんですね。話は変わりますが、地形の特徴がその場所の地名になっていたりもするんですか?
「そうですね、非常に多いですね。先ほど(話に)出た九十九里浜も、長いって話になりましたけれども、九十九里もないんですけれども、長いのが象徴で九十九里ですし、いろいろな場所の形の特徴で(地名を)付けていたりします。
ちょっと変わったものですと、岩場は山ですと“ゴーロ地形”、岩がゴロゴロしているから、“ゴーロ地形”と言うんですけれども、その“ゴーロ地形”がなまって、“ゴロウ”になりまして、北アルプスにある“野口五郎岳”や“黒部五郎岳”なんかは、その“ゴロウ”から来ています。岩がゴロゴロしているという地名です」
地形を知ると防災につながる!?
※改めてなんですが、地形を理解すると、どんなことが分かってきますか?
「自然の中で生きているということを、私たちはなかなか普段は、便利な生活、都会で暮らしていますので、認識することがないんですけれども、考えてみると住む場所に平らな場所があるとか、土地がちゃんとあるというのは、それも地形ですし、山のほうから水が流れてきて、その水を使って私たちは生活するための水を得ています。そういった自然がある、地形がちゃんとあることによって、生活基盤が支えられているんですね。
そういった自然がどういうふうにして、そこに存在しているのかが分かると、自分たちがどんな場所にそもそも暮らしているのかが分かります。さらにその自然、時々地形は変化するんです。
その変化した時に何が起こるのかというのは、どんな地形だったら、どんなことが起こるのかは大体予想がついているので、そこの場所が今後どんな自然災害が起こるのかというのが、おおよそ予想をつけることができます。それが分かるとそれに対して準備することができるんですね。
川の近くだったら、どういうふうに逃げなきゃいけないかをあらかじめ考えておくとか、地震の揺れがどうも強そうな場所だったら、家を建てる時に丈夫に作っておくとかですね。
そうすると私たちの生命や財産を守ることもできますので、自分たちがどんな場所に住んでいるのかを知ることは、よりよく快適に、さらに自分たちの生活や命を守る、そういったことにつながると言えます」
●地形を知ることは、防災にもつながるということですね!
「はい! そうですね」
●どうやって調べればいいんですか?
「(私の)本を読んでいただくのがいいんですが(苦笑)、自然現象なので地形に限らず、ほかのものもそうですけど、よく観察してもらうというのがいいかと思います。
同じように見えても実は小さい坂があったり、ちょっとした崖があったり、土地の高さが違ったり・・・あと川のところでは砂があったり石があったり、形の違いがあったり・・・そこにある物、土とか石とかそういったものに違いがありますので、その違いに気づいて、なんでそれが違うんだろうかって考えていくと、だんだんと地形が見えてくるかと思います」
●最後にこの本『地形のきほん』を読むかたが、どんなことを感じ取ってくれたら、目代さんとしてはうれしいですか?
「地形を自分が認識するようになって、考えていたこと、気になっていたことをなるべく盛り込むようにしました。
周りの景色の中に地形は溶け込んでいますので、意識しないとなかなか気づかないところがあるんですね。なので、そういった “あっ、周りに実は坂があるじゃん!”とか、“こんなふうにここの場所、土地の利用の仕方が違うけど、出来方が違うのかな?“とか、そういういろいろな、気づくきっかけになってくれると嬉しいですね。
景色は一様ではなくて多様性に富む自然の中に自分が住んでいるんだっていうのを、今回の本を読んで景色を見て、旅行をした時に周りを見ていただいて、いろいろ気づいてもらえると嬉しいと思います」
INFORMATION
目代さんの新しい本をぜひ読んでください! 地形を作り出す働きから、代表的な地形や暮らしとの関わり、さらには災害や歴史など、地形の基礎知識を豊富なイラストと共にわかりやすく紹介。ひとつの項目が見開き2ページで完結しているので、関心のあるところから読めますよ。地形を知るための入門書的な一冊、おすすめです!
誠文堂新光社から絶賛発売中! 詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎誠文堂新光社:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/science/91487/
2025/5/4 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. MAPS / MAROON 5
M2. LIFE IS FOR LEARNING / ELA SOZA
M3. RIVER / WHITNEY WOERZ
M4. SEASIDE WEEK END / ANTENA
M5. ミモザ / 浜崎あゆみ
M6. BLUE RIDGE MOUNTAINS / LARKIN POE
M7. THE TOWER OF LEARNING / RUFUS WAINWRIGHT
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/4/27 UP!
◎やまとけいこ(山と旅のイラストレーター)
『水と命がキラキラ、黒部源流に魅せられて』(2025.4.27)
◎松下隼士(観測専門エンジニア)
『北極圏スバールバル諸島の観測拠点「ニーオルスン」〜小さなコミュニティに人類を救うヒントがある!?』(2025.4.20)
◎植田全紀(一般社団法人「日本フードリカバリー協会」の代表理事)
『シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第25弾! 食品ロス編〜日本フードリカバリー協会の取り組みに注目!』(2025.4.13)
◎風間深志(冒険ライダー/地球元気村の大村長)
『「ザ・フリントストーン」が放送34年目に突入! 番組のシンボル、風間深志さんに期待の新人、難波 遥が直撃インタビュー!』(2025.4.6)
2025/4/27 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、山と旅のイラストレーター「やまとけいこ」さんです。
やまとさんは愛知県生まれ。高校1年生の時に学校登山で、北アルプスの蝶ヶ岳(ちょうがたけ)に登り、頂上から見る穂高(ほたか)の山々、そして満天の星空に魅了され、山の虜に。武蔵野美術大学在学中はワンダーフォーゲル部に所属。
卒業後はイラストレーターや美術関連の仕事をしながら、2003年から黒部源流の薬師沢小屋などの山小屋で働き始め、シーズンオフは絵を描きながらの海外ひとり旅をスタート。
2020年には、通い慣れた富山県に移住。2021年からは、夏山シーズン中は薬師沢小屋の支配人、オフは街で絵を描くなどの仕事をされています。
そして先頃、その小屋の料理人時代のエピソードをまとめた本『黒部源流 山小屋料理人』を出されました。この本は、山岳雑誌「山と渓谷」に連載していた、薬師沢小屋の厨房での出来事を書いた人気エッセイを書籍化したものです。
きょうはそんな やまとさんに、山小屋ならではの料理人の仕事や、人気のメニューのほか、水と命にあふれる黒部源流の魅力などうかがいます。
☆写真&イラストレーション:やまとけいこ


薬師沢と黒部川の出合いに建つ
※まずは、この本の舞台になっている薬師沢小屋(やくしざわごや)はどのあたりにあるのか、教えてください。
「富山県を流れる黒部川という川があるんですけれども、その川のもっともっと上流のほうに、遡ったところにある山奥の小屋です」
●首都圏から行こうと思ったら、どういうルートで、どれくらい時間がかかりますか?
「今は新幹線が通じていますので、東京から富山まで行って、夏の間は折立(おりたて)登山口というところまでバスが通じています。その登山口までバスに乗って、そこから登山が始まります。
標高1350mの折立という登山口から約1000m登ると、太郎兵衛平という山小屋があるんですけども、そこまで登って、そこから少し下って谷底の1920mに薬師沢小屋があります。6時間から8時間ぐらい歩くと到着します」
●かなり歩くんですね! ちなみに薬師沢小屋は例年、いつ頃からいつまで営業しているんですか?
「例年、7月1日から10月1日頃までの営業になっています」
●最大で何人くらい宿泊できるんですか?
「現在は、ひとり一畳のスペースということで50人程度ですね。コロナ以前はほんとに人数制限がなくて、120〜130人くらいで、ひとつの布団をふたりで使うような状態でした(苦笑)」
●そんなに宿泊できるんですね! スタッフの数はどれくらいなんですか?
「シーズン通してだいたい3人で、お客さんが増えてくると4人、5人と増やして対応しています」
●薬師沢小屋は、どういったロケーションにある山小屋なんでしょうか?
「名前の通り、薬師沢という川とそれから黒部川の本流、その川と川がぶつかったところを“出合い”と言うんですけれども、薬師沢と黒部川の出合い、その三角形になったところに建っている山小屋です。川から大体5〜6mぐらいの高台に小屋は建っています」

山小屋料理人の仕事は「食料の管理」!?

※新しい本『黒部源流 山小屋料理人』には、登山客のために食事を作る料理人としての奮闘ぶりが載っています。本を読んでびっくりしたのが、食材の運搬はヘリコプターで行なうんですね?
「はい、ヘリコプターで食材だけでなく、燃料やみなさんが飲む飲み物とか、その他すべての物資をヘリコプターによって輸送しています」
●すごいですね~。ワンシーズンに何回ほど運んでもらうんですか?
「薬師沢小屋ではヘリコプターでワンシーズンに3回、だいたい月に1回の割合で物資を送っていただいています」
●1回で運ぶ量というのはどれくらいですか?
「ワンシーズン3回なんですけれども、やはり小屋を開けた1回目の物量が多くて、だいたい1回に2〜3トンぐらいが4〜5便来ます。2回目、3回目は1便とか2便とかで、主に食材や足りない飲み物とかそういったものになりますね」
●天候次第ではヘリコプターが飛ばないこともありますよね?
「もちろん自然の中のことなので、天気が悪い時が続いて、特に1回目のヘリなどは梅雨の期間になりますので、なかなかヘリが飛べない飛ばないというようなことは多々あります」

●そうすると、残りの食材が減っていったらハラハラしませんか?
「はい、まぁ〜ヘリが1週間ぐらい飛ばなくても大丈夫なぐらいの物を(小屋に)上げているんですけれども、それを過ぎて、いろんな都合で1週間飛ばない、2週間飛べない、そうなるとじゃんじゃん物が減っていって、最終的には下から背負って(食材などを)持って来てもらうこともあります」
●本を読んで感じたんですけど、山小屋料理人は食料の管理がとても大事な仕事なんですよね?
「月に1度のヘリコプターなので、とにかく生鮮食料品ですね。お野菜とかそういったものの管理などがとても大変です。
冷凍庫はあるんですけれども、発電機が朝と夕方に回している関係で、日中電気が通っていないので冷凍庫がないんですよ。冷蔵庫で野菜を保管することができなくて、できるだけ涼しい所に並べたりとか・・・でも動物が来て食べてしまうかも知れないから、箱の中にいれて様子を見ながら大切に使っています」

●動物に食べられてしまうこともあるんですね?
「そうですね。毎年のようにちょっと油断をすると、ダンボールの小さな隙間からもぐり込んで、中の物をかじってみたりということはあります。かじられないように蓋をきちんとして、上に重しを乗せたりとか、そういったことはいろいろやっているんですけれども、なかなかお互い知恵比べのようなところはあります」
●一体どんな動物に食べられちゃうんですか?
「主に小動物と言われる、山にいる小さいネズミとか、あとはヤマネと言って、森の木の洞(ほら)とかに本来棲んでいる生き物なんですけれども、山小屋は雨もしのげるし、人が来れば食料もあるので、うちの薬師沢小屋にはヤマネがたくさん棲み着いています。夜になると食べ物のところに行って、何か食べる物はないかな~という感じで(食料を)食べられてしまうことがあります」
定番は「豚の角煮」!
※一日、多い時で何人分の食事を用意するんですか?
「今はコロナ以降、完全予約制になったので50食ぐらいなんですけれども、以前は本当に込み合う週末の頃とかは120〜130人分ぐらいは作っていました」
●人気の定番メニューだったり、代々受け継がれているメニューってあるんですか?
「薬師沢小屋では、メイン・メニューが豚の角煮になっています。だいたい4時間ぐらい、コトコト煮たものをメインにしているんですね。あとは、薬師沢小屋はほかの稜線にある山小屋と違って、とても冷たいお水が豊富なので、夕食に冷たいお蕎麦を付けています」

●あ~食べたいですね~。そういったご飯を作る山小屋料理人の1日のスケジュールは、どんな感じなんですか?
「山小屋は、みなさん朝、出発されるのがとても早いです。お客様の朝食が5時なので、従業員は4時に仕事を始めて、お客様に召し上がっていただいて、そのあと片付けをして、従業員は朝食を取ります。
で、8時ぐらいにミーティングした後に掃除ですね。布団を畳んだり、ぞうきん掛けしたり、そういうようなことをして、9時半過ぎぐらいに終わって、少しお茶して、10時ぐらいになったら、今度は夕食の仕込みと昼食を食べたいというかたの対応をします。
従業員は昼食を12時頃に食べて、1時ぐらいには全員仕事を一旦終わりにして、厨房の人たちは1時から3時ぐらいまでは休憩時間です。
私は今支配人で、そのぐらいの時間から受付に座って、お客様の対応が始まります。3時ぐらいに厨房の子たちは夕食の準備を始めて、夕食が5時、バタバタと夕食が終わって片付けやなにやらをして、従業員ご飯が7時で、8時消灯です。健康的ですね(笑)」
(編集部注:山小屋のスタッフは、シーズン中は基本、お休みの日はないそうです。それでもお天気が悪くて、お客さんが少ない時は半日休みにするなど工夫して、休む時間を取ってもらっているとのこと。やまとさんは、今は支配人ですから、一緒に働くスタッフへの気配りも欠かせない立場なんですね)
黒部源流が世界でいちばん!
※山小屋の仕事があるとはいえ、黒部源流に毎年行きたくなるのは、どうしてなんですか?
「そうですね~、本当に、本当に! 素敵なところなんですよ! 私、世界のいろんな所に行ったけれど、やっぱりここがいちばん好きというぐらい・・・。
好きな理由は、とにかく綺麗な水が常にザーザーと目の前を流れていて、高い山に登ると植物はほとんど生えていないんですけれども、標高1920mのこの谷の底は植物だったり、あとは生き物の匂いがたくさんしたり・・・。
そして私はイワナ釣りが好きなんですけれども、大好きなイワナが川の中にたくさんたくさん泳いでいます。ここに来ると毎年、わぁ~嬉しい!って思います」
●素敵ですね~。人間は自然に育まれているな~と感じますか?
「山小屋で働いて、まあ忙しくはしていますが、外に出ると人工物がなくて、育まれているというか、自然の一部なんだな~という、そういった気持ちになります。私もこの中の断片のような、たくさんたくさんある命の中の一部だな〜と感じます」

アイスクリームとお寿司!?
※営業期間を終えて、山小屋を閉め下山し、街に戻るとどんな気持ちになるんですか?
「3か月ぐらいいると、そろそろ山を下りたいかな~というような気持ちになってきますね(笑)。寒くなってきて、雪もちらつき始めて、そろそろ小屋終いの頃だな~と思って、街に下りてくるというか下山すると、まず最初にアイスクリームを食べて、その日の夜は寿司屋さんに行ってお寿司を食べて(笑)、そうすると翌朝からはすっかり街の人間に戻っています。ちょうど旅をして帰ってきたような感じですね」
●(街には)また違った良さもあるんですかね?
「はい、そうですね。暮らすのは街が楽だと思います。蛇口からお湯が出てきたりとかウォッシュレットがあったりとか、わぁ~なんて快適なんだろうと思います」
●私たちの当たり前が素晴らしいことなんですね。
「本当に素晴らしいことです。ありがたいことです」
●やまとさんが今年、薬師沢小屋に入るのはいつ頃の予定なんですか?
「また6月の末に入って、7月1日の営業前に、小屋にお客様を泊められるように準備をします」
●やっぱり今は、早く行きたい! 待ち遠しいという気持ちですか?
「そうですね。意外と楽しみな反面(薬師沢小屋の)責任者なので、今年も上手くいくかな~とか、今年のスタッフはどんな人が来るかな~とか、ちょっと気の重い部分もありつつ、ただ小屋に実際入ってしまったら楽しい! というような感じです」
●楽しみですね~。そして今年も夏山シーズンがやってきますよね。薬師沢小屋の支配人として楽しみにしていること、伝えたいことがあればお願いします。
「山だけではなくて、自然の中に自分の身を置くと、先ほども言ったように自分も自然の一部なんだな~ということに気づくんですよ。
自然の風景って美しくて、ほんとうに命がキラキラキラキラしていて、美しい自然の一部、自分も本当にそういった存在なんだなって、自分のことも大好きになれると思うんです。

人間が本来持っている当たり前の活動をしたりとか、ご飯を食べたり寝たりとか、そういったことが本当に大切なんだなという、そんなことを持って街に帰って、仕事でストレスが溜まったり、いろいろ大変だけれども、そういった元気を、山とか自然の中に来て、持って帰って、また頑張ってもらえたらいいな~と思います。
たくさんの人が黒部の源流を、この本を読んで想像していただいたり、実際に来られる人は来ていただいたりして、たくさんの人から、こんな場所があるんだ! 本当に嬉しい場所があるんだな~っていうことを思ってもらえるだけで、ずっと黒部の源流が大切にされるんじゃないかなと思っています」
INFORMATION
やまとさんが先頃出された本をぜひ読んでください! 限られた食材をやりくりしながら、美味しい食事をお客さんに提供する山小屋料理人の奮闘ぶりが手に取るように分かります。ユーモアあふれるイラストがこれまた、いいです! 個性的なスタッフも登場しますよ。さらに食材に紐づくレシピも満載です。
山と渓谷社から絶賛発売中! 詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎山と渓谷社 :https://www.yamakei.co.jp/products/2824330840.html
本の発売を記念してイラストの原画展が開催されます。
モンベル御徒町店で5月25日から30日まで。原宿のfinetrack TOKYO BASE(ファイントラック・トーキョー・ベース)で6月1日から8日まで。いずれも初日にトークイベントとサイン会が予定されています。参加は無料、事前の予約も必要ありません。ぜひご参加ください。
詳しくは、山と渓谷オンラインのサイトを見てください。
◎山と渓谷オンライン :
https://www.yamakei-online.com/journal/detail.php?id=7930&pview=1
薬師沢小屋のサイトは以下になります。
2025/4/27 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. 晴れたらいいね / Dreams Come True
M2. RIVER DEEP, MOUNTAIN HIGH / CELINE DION
M3. MOVE ON UP / ANGÉLIQUE KIDJO AND JOHN LEGEND
M4. WORK TO DO / AVERAGE WHITE BAND
M5. ヒカリへ / miwa
M6. THE RIVER OF DREAMS / BILLY JOEL
M7. キラキラ / 小田和正
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/4/27 UP!
5月4日
ゲスト:東北学院大学・准教授「目代邦康(もくだい・くにやす)」さん
地形と自然地理学の専門家に、地形が人間に与える影響や、九十九里浜が出現した地形的な要因などうかがいます。
5月11日
ゲスト:「都市森林株式会社」と「街の木ものづくりネットワーク」の代表を務める
「湧口善之(ゆぐち・よしゆき)」さん
公園の樹木や街路樹を木材として活用する「都市林業」をクローズアップ! その課題や可能性に迫るほか、地域の人たちと取り組む植樹活動のお話などうかがいます。