2025/6/15 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. EVERYDAY / INCOGNITO
M2. HEAVEN IS A PLACE ON EARTH / BELINDA CARLISLE
M3. FIREFLIES / OWL CITY
M4. THE LONGEST TIME / BILLY JOEL
M5. THE COLOR OF LOVE / BOYZ II MEN
M6. CHANGE THE WORLD / ERIC CLAPTON
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/6/8 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは気象予報士、そして空の写真家の「菊池真以(きくち・まい)」さんです。
菊池さんは茨城県出身。慶應大学在学中に気象予報士の資格を取得し、気象予報士として活動。その後、NHKの気象キャスターとして活躍。現在は、お天気関連の記事の執筆や講演活動のほか、いつも持ち歩いているミラーレスの一眼レフ・カメラで撮った、大好きな空や雲の写真を本などで発表、また写真展も開催するなど、幅広く活躍されています。
そんな菊池さんの新しい本が、文庫サイズとなって発売された『ときめく図鑑Pokke! ときめく雲図鑑』。この本には菊池さんが撮影された雲や空の素敵な写真が満載なんです。
きょうはそんな菊池さんに、好きな雲の風景や珍しい雲のほか、雲や空を上手に撮影するコツ、そして気になるこの夏の気温と傾向などうかがいます。
☆写真:菊池真以『ときめく図鑑Pokke! ときめく雲図鑑』(山と溪谷社)

「わた雲」から「入道雲」、天気急変!?
※雲の色は「白」、そう思っているんですが、それは正しいですか?
「そうですね。太陽の光が散乱して雲が白っぽく見えているんです。例えば雨雲は雨を降らせるくらいですから厚みがあるんです。分厚いんです。積乱雲ですと地上から13キロとか15キロぐらいとか、飛行機が飛ぶ高度よりも高いので厚みがあるんですよ。なので、太陽の光が底のほうまで届かないので、底のほうは黒っぽく見えるんですよね」
●そういうことなんですね〜。
「はい。なので、黒い雲を見かけたら天気急変に注意なんていうふうに言いますよね」
●確かに聞いたことあります。
「そうなんです」
●菊池さんはこの本で、雲の観察の基本となる10種類の雲をあげて説明されていますよね。今お話にあった雨雲だったり、うす雲、うね雲など、あまり聞いたことがない雲もありました。
その中で最低限この雲のことを知っていると、私たちも天気の変化を予測できたり、日常生活でも役立つよっていう雲があれば、教えてください。

「やはりこれからの季節は、わた雲かなって思います。わた雲がどんどん大きくなっていきますと最終的に入道雲になるんですね。その入道雲が激しい雷雨をもたらす雲になります。夕立を降らせるような雲ですね。
そのわた雲から入道雲に成長していくので、わた雲が朝からたくさん並んでいるような日は、ちょっときょうは天気急変に注意が必要かなというふうに思ったりできます」
入道雲のてっぺん「かなとこ雲」
※季節によって、雲はいろんな表情を見せてくれます。また、時間帯によって朝日だったり夕陽だったり、雲と空と太陽が作り出す風景も素敵ですよね。菊池さんが好きな雲の風景は、どんな風景ですか?
「例えば春ですと、わた雲が気温によって大きくなったり、背が高くなったり平べったいままだったりするんですね。気温が低いと、平べったいフランスパンのような形って言ったりもするんですけども、扁平雲(へんぺいうん)と呼ばれる細長い形になります。
それが気温が上がってくると、ちょっともくもくっとしてくるので(背が)高くなる。なので、ちょっとマニアックなんですけども、雲の高さを見て暖かくなってきたな〜なんていうふうに私は見ています」
●すごいです! 雲の高さでそれを思うんですね!
「はい。で、夏ですと入道雲。入道雲はどんどん高くなっていくんですけども、雲ができる限界の高さっていうのがあります。これ以上、高くなれないよっていう高さがあるんですね。入道雲って大きくなっていくと、その高さに達すると、どうなると思いますか?
●どうなる・・・!? 雨が降る?
「雨が降りやすくなるんですけれども、もうそれ以上、上に行けないので横に広がるんですよ」

●そういうことなんですね!
「なので、上が平べったくなっている雲が見えたら、入道雲のいちばんてっぺんの部分が平たくなっているのを、かなとこ雲って呼んだりするんですけれども、かなとこ雲のその平べったいところを見て、私はあそこが雲ができる限界の高さだなっていうふうに思って見ています。ちょっとマニアック過ぎますか(笑)」
●考えたこともなかったです。面白いです!
「で、秋はすじ雲、うろこ雲、ひつじ雲ですかね。上空の風が強まってきて、空高い雲がたくさんできるようになります。その繊細な感じも好きですね。
北風が強まってきますので、太平洋側の地域は晴れる日が多くなるんですが、その北風に飛ばされて雲が小っちゃくなるんですよ。飛ばされて小っちゃくなると、それは断片雲(だんぺんうん)って呼んだり、呼び方によっては、ちょうちょ雲、ちょっと風流じゃないですか。なんかちょっとひらひらっと舞っているような感じが好きですね」
珍しい「穴あき雲」、印象的な「ゆきあいの空」
※滅多に見られない雲の風景はありますか?
「穴あき雲ですかね」
●穴あき雲?
「雲が空一面に広がっている時に、ちょうどそこだけ穴が開いたように見える雲があるんですね。そのことを穴あき雲と言います。で、その穴あき雲なんですけれども、この本に載せているんですよ。いるんですけども、これ多分ね、5年以上かかったと思います、撮るのに」

●え、撮影するのに? すごく珍しいんですね!
「はい、時間がかかりました! でも一回見つけると、ちょっとコツをつかむんですよ。なので、これを撮ってからは比較的、毎年見ていますし、1年に何回か見ていますね」
●季節は問わないんですか?
「そうですね。天気でいうと天気がよくなったり悪くなったり、変化する時に多いですかね。うろこ雲が空一面に広がっている時になんらかの衝撃を受けて、雲の一部がなくなっているような状態、穴あき曇って言います」
●見つけた時はラッキーなことが起こりそうですよね(笑)
「はい(笑)、もう慌ててカメラを取りに行きます」
●そうですよね〜。今までに見た雲の風景で、最も印象的だったなっていう風景ってありますか?
「あ、それはこの本の終わりに載せた写真なんです。私がカメラで写真を録り続けたいなと思った最初の瞬間かもしれない、この雲の風景なんですね。
当時コンパクト・デジタルカメラ、比較的小っちゃいカメラを持って、ここに行ったんです。この空が本当に綺麗で、場所は富士山の5合目になります。中腹ですね。

そこまで車で登ることができるので、みなさんにも行っていただきたいんですけども、ちょうど夏から秋へと季節が変わっていく頃でした。まだ下のほうには夏のもくもくとした雲が見えて、上空の高いところには秋の雲が見え始めていて、秋と夏の雲が同じ空に見られたんですね。
で、私はこの写真を撮った時は知らなかったんですけども、こういった夏と秋がゆきあう季節に見られる空のことを、ゆきあいの空って言うんですって。その言葉を聞いて、益々この空、綺麗だったなと思いまして、すごく記憶に残っております」
(編集部注:お話に出てきた「ゆきあいの空」。菊池さんによると、珍しい現象ではなく、夏から秋へ変わる頃、お盆過ぎあたりに、開けた場所で見られるそうですよ)
この夏は暑くなる!?
※多くのかたが気になっているのが、今年の夏の気温と傾向だと思います。この時点での予測は難しいと思いますが、今年の夏も暑くなりそうですか?
「はい、暑くなりそうなんですよね~。ベースとして地球の気温が上がってきています。それに加えて、海の温度で長期的な予報を予想するんですけども、普段の天気予報、あすあさっての天気は地上の空気の温度から計算して出していきます。長期的な予報は海の温度を見て、そこから予想を立てていきます。
というのは、水は温まりにくく冷めにくいですよね。なので、影響を受けにくいので、長期的な予報をする時に役立つんですね。
その海の温度が太平洋の西側、つまり日本の南の海域に近いところで、今年は高めになりそうなんです。そうなりますと、日本の南にある太平洋高気圧の勢力が強まりやすい。なので暑くなる。その傾向がちょっと強いかなと思います」
●なるほど~。あと、気象衛星やハイテク機器の発達で、天気予報の精度が上がった一方で、私たちはゲリラ豪雨だったり局地的な大雨だったり、急激な変化に見舞われることが多くなったように思います。やはりこれは地球温暖化の影響と言っていいんですか?

「これは(地球温暖化の影響と)言っていいと思います。激しい雨の数というのも実際に増えていますし、私が気象予報士(の資格)を取ったのは、もう19年前(笑)、それくらい前だったんですけど、その頃と比べて極端な現象が増えたと感じております」
●そうなると短時間の予報、例えば1時間後、2時間後の予報も難しくなっていて、これって気象予報士泣かせですよね?
「そうですね(笑)。ただ、昔と比べてコンピューターの精度がものすごく上がってきているんですよね。今は数日前、3日4日、5日ぐらい前に、例えば関東地方の北部で、この日は急な雷雨がありそうだ、といったことは、なんとなく予想がつくんですよ。結構コンピューターの精度はいいです。
ただ、このスタジオ近くの海浜幕張駅でとか、ピンポイントの場所や、例えば午後2時など、ピンポイントの時間になると、なかなか難しいわけなんですね」
線状降水帯、要注意!
※天気予報で使われる気象用語で、これには注目しておいたほうがいいという用語はありますか?
「やはり雨の季節になってきますので、線状降水帯は本当に大事なキーワードだと思います。これは何かというと活発な雨雲、大雨を降らせる雨雲が線状に列を連なるように並んでいるような状態です。
何が危険かというと、活発な雨雲が線状に並んでしまうと、大雨が同じところでずーっと長く降り続いてしまうんですね。積乱雲ひとつの寿命っていうのは1時間ぐらいなんですけれども、それがいくつも並ぶことで、同じところにかかってしまうことで、長い時間大雨が続いてしまう。結果として災害をもたらすような雨になってしまうわけなんです」

●「線状降水帯」と聞いた時には、しっかりと対策を打っていく必要がありそうですよね。
「はい、お願いします」
●それから、やっぱり毎年台風も気になるところですよね? ここ数年台風の進路も大きく変化しているように思うんですが、この点はどうでしょうか?
「そうですね。日本のすぐ南の海域がやはり以前より暖かかったりするんですよね。なので、よくあるパターンとしましては、日本のはるか南の海上で台風が発生して、どんどん北上して日本に近づくまでに時間があった。
その時間をかけている間に暖かい海から、台風はエネルギーをもらってどんどん強くなっていくような形、沖縄の近くを通って本州にやってくるようなパターンが多かったんですけれども、日本のすぐ南の海域が暖かいということで、以前よりも日本のすぐ南で台風が発生してしまったり、発生したと思ったら猶予なく急に勢力を増したりすることが多い気がします」
●スーパー台風と呼ばれる、とても勢力の強い台風も発生するようになっていますね。これも地球温暖化の影響なんですか?
「はい、これも地球温暖化の影響と言われています。スーパー台風と呼ぶ基準は、基本的に定められてはいないんですけれども、中心付近のヘクトパスカルが低ければ低いほど、勢力の強い台風になっていくわけなんですね。その勢力の強い台風が増えてきている・・・この先も増えるのではないかというふうに言われています」
スマホで雲を上手に撮るコツ
※本の最終章に「雲を楽しむ」というのがありました。菊池さんがお勧めする「雲の楽しみ方」をぜひ教えてください。
「いろいろあるんですけども、定点観測が結構お勧めですよ! 毎日同じ場所から同じ時間に空を眺めてみる。そうしますと季節によったり時間によったりして、出る雲が変わっていくのをすごく感じられます。毎日見ていると、天気予報ができるようになってきます(笑)」
●え~~本当ですか?
「はい!」
●私もできますかね?
「全然できると思いますよ! 天気が下り坂の時は、上空の薄い雲から厚みのある雲に変わっていきます。なので、もしかしたら“あれ? お昼頃から曇ってくるよって言っていたけれど、ちょっと早いな”とか、“ちょっと低気圧(の移動が)早くなっているのかな? じゃあ雨も早いのかな?”など、自分で予想することができるようになります」

●菊池さんは空の写真家でもありますので、写真を撮るのもいいですよね?
「はい、その瞬間瞬間を誰かと共有することができるのでいいかと思います」
●スマホだったら、こういう撮り方がお勧めとかあったら教えてください。
「まずは何よりもピントですね。ピントを合わせるのが、雲は少し難しかったりす
るものもあります。もし雲でピントがなかなか合わない時は、なるべく遠くの建物とか、山の稜線とかでピントを合わせて撮影すると、雲も遠いところにあるのでピントが合いやすいです。
水平に撮ることもお勧めします。もちろんちょっと気持ち的に右斜め上にしたいとか、そういったこともあると思うんですけども、記録していく時には水平がなるべくお勧めです。あと周りの景色も一緒に入れるといいですよ。“あ、この時にこの雲を撮ったな~”とか、周りの様子もよくわかるので景色も入れるといいです。
あと2点あるんですけれども、スマートフォンは色がちょっと難しかったりもします。空の色が青く出ないことがあります。携帯の種類にもよるんですけれども、ホワイトバランスってありますか?」
●あ~、あります、あります!
「ホワイトバランスが変えられるものは、太陽光だったり太陽マークだったり、機種によってちょっと違うんですけれども、できれば、太陽マークに合わせて撮ってみてください。あと、太陽の光と雲を一緒に撮るのは結構難しいです」
●そうなんですね。
「太陽の光が入ってしまうと、カメラがどっちの光の明るさに合わせようかな~って迷ってしまうんですよ。なので、太陽の光がもし入らなければ、入らない環境で撮るのがお勧めです。太陽と反対の空とかは、比較的青くちゃんと写ります」
●はい。
「でもきっと、太陽の近くに撮りたい雲ってあるじゃないですか?」
●そうですね~。
「その時どうするかというと、なるべく太陽の光を写さないようにアップにしてみたりとか、建物でそこだけ切ってみたり、太陽の光を隠してみたりして撮ると、結構上手くいくことが多いです」
●なるほど~。最後に改めてなんですが、菊池さんが雲を見てときめくのはどうしてなんですか?
「これはもう、雲って毎回違うんですよね。毎回見て違いますし、ちょっと前に見た雲と今見ている雲は全然違いますし、美しさも違ってきます。楽しみ方も違います。だからその一瞬を、一瞬一瞬を見ていくのがとても楽しいです」
●変化するからこそ楽しい!
「そうなんですよね~。その一瞬を収めたくて多分私は、空を撮っているんだな〜と思っています」

☆この他の菊池真以さんのトークもご覧下さい。
INFORMATION
文庫サイズとなって発売された菊池さんの本をぜひチェックしてください。基本の雲10種のほか、身近な雲や珍しい雲など、全部で59種の雲を解説。また、観察のポイントや撮影のコツなども載っていますよ。何より菊池さんが撮った雲の写真が素敵なんです。ぜひご覧ください。山と渓谷社から絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトを見てくださいね。
◎山と渓谷社:https://www.yamakei.co.jp/products/2824050110.html
◎菊池真以オフィシャルサイト:https://www.maisorairo.com/
2025/6/8 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. 流れる雲を追いかけて / サザンオールスターズ
M2. MIGHTY CLOUDS OF JOY / B.J. THOMAS
M3. MORE THAN A MEMORY / CARLY RAE JEPSEN
M4. CLOUDS / CHAKA KHAN
M5. IT’S RAINING MEN / THE WEATHER GIRL
M6. STRANGE WEATHER / GLENN FLY
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/6/1 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、フリーライターで写真家の「山本高樹(やまもと・たかき)」さんです。
山本さんは1969年、岡山県生まれ。いくつかの出版社勤務と海外放浪を繰り返したあと、2001年からフリーランスとして活動。2007年からはインド北部の山岳地帯「ラダック」地方の取材をライフワークに、現地の気候風土や人々の暮らしぶりを、写真や紀行文で伝えていらっしゃいます。
そして、2020年に出版した『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』で、第6回「斎藤茂太賞」を受賞されています。そんな山本さんの新しい本が『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』なんです。

きょうは、山岳地帯スピティに生息する幻の野生動物「ユキヒョウ」の撮影エピソードのほか、彼らを取り巻く環境や、人間との関係などうかがいます。
☆写真協力:山本高樹

「冬に来い! ユキヒョウを撮りたくないのか?」
※この本の舞台になっているスピティはインドの北部にある、ということなんですが、改めてどんな場所なのか教えてください。
「インドという国を地図で見ると、ちょっと右側のほうが出っ張っていて、ひし形みたいな形をしていると思うんですけれども、その頂点のところがいちばん北にあるんです。その北に僕がずっと前から ライフワークとして取材しているラダックという連邦直轄領があって、そのラダックのすぐ下にある州、ヒマーチャル・プラデーシュ州の北東の端にスピティという地方があります。
そこはヒマラヤの西外れに当たる地域で、標高が3500メートルから4200メートルぐらいあるところで、1年を通じて雨があまり降らないんですね。冬の雪解け水を頼りに人々が暮らしていて、主にチベット仏教を信仰しているスピティ人と言われている人たちが暮らしています。いちばん大きな街でも2000〜3000人しかいないような小さな地域ですね」
●スピティにユキヒョウがいることは、いつ頃知ったんですか?
「ヒマラヤを中心とした山岳地帯にユキヒョウが生息しているということは、知識として知っていて、20年近く前から僕はラダックという地域を取材し続けているんですけれども、そのラダックでもほうぼうでユキヒョウの噂というのは、ちょこちょこ聞いていたんですよ。
僕自身も雪の上で獣が格闘したような、血しぶきが飛んでいる跡とかを見て、これは何だ? って聞いたら、僕の友達のガイドが、これはユキヒョウが獲物を捕まえた跡だって言っていて・・・。

で、雪の上にちょっと丸く、ぽってりした足跡が点々と残っていて、その上にちょっと筋のような太い跡がついていると、これはユキヒョウの足跡だと・・・。足跡のあとに尻尾をちょっと引きずった跡がつくと、これはユキヒョウの足跡だってすぐにわかると教えてもらったりとか・・・。
そのほかにも別のラダックの村で、家畜として飼っているロバのお尻がちょっとユキヒョウに噛まれちゃったって跡を見せてもらったりとか、ほうぼうでそういう噂を聞いていて、存在自体は感じてはいたんですけど、ただ本当に目撃するのが難しい動物なので、肉眼で見たことはそれまでなかったですね」
●目撃するのが難しい動物であるのに、ユキヒョウを撮影しようと思ったのは、どうしてなんですか?
「そういう細かい情報をずっと前から聞き続けていて、ある時、別の目的の取材でスピティに滞在していた時に、夏だったんですけれども、僕の昔からの友達が『お前、何で冬のスピティに来ないんだ』と、『お前、冬に来い』って言って、『来るだけでも大変なのに、なんで俺が来なきゃいけないんだ』って聞いたら、『ユキヒョウだよ! ユキヒョウの写真を撮りたくないのか? 写真家だろ?』って言われて、『いや、そんな絶滅危惧種なんて、簡単に撮れるわけないじゃん!』って言ったら、『いや、撮れる。スピティなら100%撮れる』って言われて・・・。
『どういうことなんだ?』って聞いたら、スピティにはユキヒョウが比較的出没しやすいスポットがあって、地元の人たちがネイチャーガイドというか、現地ではスキャナーとかスポッターとか言われているんですけれども、それを専門にしている人たちが、冬の間、ユキヒョウを撮影に来た人、カメラマンとかを案内するツアーがあるって聞いて・・・。
『そんなのあるとしても、どのぐらいいて、どのくらい頑張ったらユキヒョウを撮れるのか』って聞いたら、『1日6〜7時間ぐらい外に居続けて、それを3〜4週間ぐらい続けたらいけるんじゃないか』と言われて・・・(苦笑)。それだったら1日1回目撃できるかもしれないけれども、そんなので行く甲斐があるのかちょっとわかんなかったんですね。
ただ、そういうのはなんとなく思い続けていて、じゃあ試しに行ってみるかみたいな気持ちで、ちょっと半信半疑なところはあったんですけれども、スピティで取材をしてみようと思いたったのが、今回の取材のきっかけだったんです」
(編集部注:山本さんによると、日本からスピティに行くには旅の途中で許可証の申請などがあったりするので、到着するまでになんと、6日もかかるそうですよ。まさに秘境!)
太い尻尾、体毛もふさふさ
※改めてユキヒョウはどんな動物なのか、教えてください。
「個体差はあると思うんですけれども、頭の先からお尻のあたりまで、だいたい1メートル前後ぐらいで、体長と同じぐらいの長さの太い尻尾があります。
手足は割と短めでがっしりしていて、険しい岩場とか雪が積もっているところでも、尻尾とかでバランスを取って、機敏に動くことができる体型になっていますね。体毛も結構ふさふさと生えて暖かくなっていて、足の裏にまで毛が生えているんだそうですね」
●繁殖期はいつ頃なんでしょうか?
「冬から春にかけてというふうに聞いています。だいたい1〜2頭の子供を産んで、お母さんが2年ぐらいかけて育てることが多いみたいですね」
●やっぱりユキヒョウなので、寒いところが好きなんですかね?
「寒いところが好きなんですよ。逆に暑いところが苦手なので、夏の間は人間が住んでいる村のあたりまで降りてこないそうで、山の高いところにいることが多いそうですね。
冬になるとユキヒョウが獲物にしている、アイベックスっていう草食動物とかが、山の上のほうだと雪に草が埋もれて食べられなくなっちゃうので、下に降りてくると、ユキヒョウもアイベックスを追って、下のほうに降りてくる。なので、ユキヒョウを観察するのは、主に冬に限定されるっていう感じになりますね」

●絶滅危惧種ということですけれども、だいたい世界にどのくらいいるんですか?
「最新の調査だと8000頭ぐらいじゃないかと言われていますね」
●結構少ないんですね〜。
「はい、しかも山岳地帯に棲んでいるので、どこにどのぐらいいるのかの調査が難しくて、生態についてもわかってないことはかなり多いんだそうです」
(編集部注:山本さんの現地の滞在先は、いわゆる民家にホームステイ。旅行者に一部屋を貸してくれて、朝・昼・晩の食事を用意してくれるそうです。
そして、知り合いからネイチャーガイドを紹介され、1ヶ月ほど行動を共にしていたそうですが、目がすごくいいので、とても助かったとのこと。ユキヒョウの撮影には、視力は大事な能力だと、山本さんはおしゃっていました)
標高4200メートル、過酷な撮影
※初めてユキヒョウを撮影できたのは、どんなシチュエーションだったんですか?
「スピティに到着してすぐ、デムルという別の村の村外れで、放牧していた羊をユキヒョウが殺したっていう情報が手に入って・・・。で、翌日知り合いの車に乗せてもらって現地に向かったんですね。その時は400〜500メートルぐらい離れたすごく遠い場所で、ユキヒョウの母親と、まだ1歳にならないぐらいの子供のユキヒョウを目撃することができました。

僕が持って行ったのは600ミリという焦点距離のレンズだったんですけれども、それでもまだ遠い、800ミリでもまだ遠い(苦笑)。
ロケーションとかその時の条件にもよるんですけれども、近づいて撮れる環境もあるにはあったので、そういうところでは、そのレンズでもなんとかいけるっていう感じだったんですが、基本的に本当に豆粒のようにしか見えない場所のほうが多かったですね」
●こういった過酷な環境での撮影で、いちばん大変だったことって何ですか?
「どうですかね〜、スピティだと標高が・・・僕が主に滞在していたキッパルという村が標高4200メートルぐらいのところで、撮影は高低差が150メートルから200メートルぐらいある断崖の崖っぷちで、雪が積もっていて、ユキヒョウとか目的物が動くと、それに合わせて、こっちも三脚についているカメラとかを担いで動かなければいけない。
で、膝ぐらいまで埋もれる雪の中を走って、こけないようにしながら動く。当然、標高が高いから息はものすごく切れる。やっと動き終わって三脚を据えたと思ったら、また動き始めるみたいな感じで・・・それを朝の8時、9時から夕方の5時ぐらいまでやっている状態なので、体力的にかなり消耗しますね。
あと単純に寒い。マイナス20度ぐらいまで下がるので、日が差して風がなければ、まだいいんですけれども、日がかけていて風がブンブン吹くようだと、ものすごく体感温度が下がるので、それもやっぱり辛かったですね」
食事はチベット系とインド系!?
※ユキヒョウの話ではないんですが、スピティ滞在中の食事は、どんなものを食べていたのか、教えていただけますか。
「本当に現地の人が食べているものと同じものを食べていて、スピティ人はチベット系の民族なので、チベットに由来のある料理とかもよく出てきます。インドでもあるので、インド人が食べるような料理もあります。
具体的にいうと、チベット系の料理だと“モモ”という蒸し餃子、ちょっとぶ厚い皮で包んだ蒸し餃子で、中にはすりつぶした野菜だったり、贅沢な時にはちょっとお肉が入ったりするものを蒸して、薬味をつけて食べたりとか・・・。あとは“トゥクパ”というのが、煮込み料理の総称なんですけど、小麦粉を練ってちぎり麺みたいにして、それを野菜とかと一緒に煮たものだったりとか・・・。
インド風の料理だと、ダールという豆のカレーを、白いご飯を圧力鍋で炊いて、それにかけて食べたりとか、野菜をスパイスで炒め煮にしたりとか、たまに何日かに1回、運が良ければ、お肉が出てくるみたいな感じで、そんな感じでしたね」
●なるほど~。食事は日本人の口にも合うんですか?
「そうですね・・・僕が言っていいのか(笑)、僕が合う! って言っても合わないよ! っていう人もいるかもしれない(笑)。まあ基本的に合うと思います。そんなにスパイシーでもないし、穏やかな味で食べられると思います。
ただいかんせん冬なので新鮮な野菜を持ってきても、すぐに凍ってダメになっちゃうんですね。なので、陸路ではるばる運ばれてきたわずかな野菜をちょっとずつ食べたりとか、夏の間に収穫して土に埋めて保存しておいた野菜を大事に食べたりとか。あとお肉にしても精をつけるためのものなんですけど、そんなに無尽蔵にあるわけじゃないので、大事に食べたりとかっていうのはあります」
●保存の仕方なども日本とやっぱり違うんですね~。
「そうですね。肉とかは適当にビニールに包んで納屋に置いておけば、寒いので普通に凍っちゃうんですよ」
●冷凍庫とあまり変わらない状態・・・(笑)
「自然の冷凍庫になっちゃうんですね(笑)」
●なるほど。現地のかたたちとの会話は何語なんでしょうか?
「スピティ人はスピティ語というのを話します。僕はスピティ語はほとんどわからなくて、ラダック語っていうラダック人が話している言葉に関しては、片言レベルなんですけれども、話せるんですね。ラダック人のネイティヴとスピティ人のネイティヴが話すと、お互いが言っていることは3割ぐらいわかるそうです。
僕は1~2割ぐらいしかわからないっていう感じで(苦笑)、わからないところは英語で補ったりしているんですけれども、英語を話せないスピティ人も多いので、そういう時には身振り手振りを交えて、ラダック語とスピティ語と身振り手振りが混じってすごくカオスな感じですね。
でも意外と話は通じるので、ホームステイ先のお父さんとお母さんともそんな感じでやって、“おまえ、ちょっと酒飲むか?”とか言われたら、“飲む飲む!“みたいな感じで、これはほぼ言葉は通じなくても通じ合う感じなので、そんなに苦労はしなかったですね」
●現地のかたがたの温かみがいいですよね~。
「そうですね~」
●ちなみにユキヒョウは、現地の言葉で何と言うんですか?
「スピティ語では『シェン』と言います。」
●シェン!?
「村によっては『ジャパ』って言うらしいんですけど」
●場所によって違うんですね~。
「そうですね。ラダック語だと『チャン』とか『シャン』という言い方をします。少し発音の仕方が違うみたいですね」

ユキヒョウが冬の臨時収入!?
※ユキヒョウが生息するスピティや、その周辺はやはり温暖化の影響があったりするんでしょうか?
「かなりあると思いますね。僕が行った2024年の1月くらい3月にかけては、特に1月に雪が全然降らなくて、標高が3500メートルもあるのにバスで移動していても、雪のかけらが全然見えなかったんです。僕も驚いて、現地の人たちも困って雪乞いの儀式をあちこちのお寺でしていたんですよね。
というのは、農業用水や生活用水は雪解け水に頼っているので、雪が降らないのは死活問題なんですね。かといって人間の力ではどうしようもないので、仏様にお祈りしてって感じなんですけど、そうすると2月3月にドンドンと雪が降ったんですね。でも全体的にやっぱり積雪量が減っている傾向があるそうなので、今後どうなっていくのかっていうのは心配しているところだと思います」
●これってユキヒョウにも影響があるんですか?
「やっぱり雨が少なくなると草の量が減る。草の量が減ると草食動物が減る。草食動物が減るとユキヒョウなどの肉食動物も減るのは、連鎖として当然影響が出てくると思いますね。もちろん人間自体も生活が成り立たなくなると思うので、人間を含めて、すべての生きとし生けるものに関わってくる問題だと思います」
●そういった状況もありつつも、スピティにはユキヒョウを撮影するために世界中から多くの人たちが訪れていますよね? 現地の人たちにとってユキヒョウがひとつの収入源になっているんですか?
「そうですね。キッパルという僕が滞在した村では、ユキヒョウを撮影しに滞在している人たちへ宿泊場所を提供し、食事を提供し、ネイチャーガイドがユキヒョウの居場所を案内し、カメラなどの機材をポーターと呼ばれている荷物運びの人が運び、ドライバーさんたちが長距離の場所へ車で運んでっていう形で、冬の臨時収入みたいなものができているのは事実だと思います。
そういうユキヒョウ撮影ツアーが始まる前は、どっちかって言うと、昔からユキヒョウは地元の人たちには厄介者だったそうです。家畜を襲って食べちゃうので、やっぱり現地の人たちにとって、家畜はとても大切な存在なんですね。収入源でもあるし、それを急にぱくぱくっと冬に何頭もやられてしまうと、やっぱり頭に来るんですね。(ユキヒョウが)村に近づいてきて姿を見かけたりすると、石を投げて追い払っていたそうなんですよ。
なので、今ユキヒョウ撮影ツアーが入ってきたことによって、現地の人たちの意識も少し変わっているところがあって、ちょっと誇りに思うなところもあるみたいなんですね。
そういうふうに冬の臨時収入みたいなったりとか、野生動物保護区を指定することによって、全体的な野生動物の保護に努力していきたいという動きが出てきているので、スピティでは少なくとも意識が変わってきています。ユキヒョウが人々にとって、もっといい存在になっているって実際に見て感じたところです」
自分事としてのスピティ、そしてユキヒョウ
※今回の取材中に5頭のユキヒョウと出会うことができたそうですが、その中で、特に印象に残っているユキヒョウはいますか?
「そうですね・・・ずっとキッパルという村の周辺で出没していた、メスとオスの双子の兄弟のユキヒョウがいたんですね。彼らは僕が撮影した時は2歳になるかならないかくらいの歳で、本来ならお母さんがまだ一緒の時期なんですけど、お母さんが前の年の夏に病気か何かで死んでしまったそうです。まだそんなに年端もいかない、狩りの経験もあまりないみたいな双子たちが、わりと健気に仲よく、すごく仲がいいんですよ(笑)」

●へぇ~仲がいい!?
「ちょっと歩いただけで見つめ合っているんですね(笑)」
●え〜〜可愛い~!
「本当に仲がいいよね! っていうぐらいの子たちがいたので・・・ただユキヒョウは大きくなると基本的に単独で暮らすようになるそうなんです。なので、僕がその双子の兄弟を見続けることができたのは、やっぱり幸運だったなと思っていまして、それがやっぱり印象に残っていますね」
●レンズを通して見るユキヒョウには、どんなことを感じますか?
「そうですね・・・何と言いますか・・・何かいろんなものを与えてくれているような気がしますね。言葉にしきれないような部分なんですけれども・・・。
今回、ユキヒョウの撮影を目的のひとつとして、スピティに長期滞在はしたんですけれども、その一方でユキヒョウの写真を撮れれば、それでいいのか? っていう思いもありましたね。
ただ写真をとって満足しているだけじゃ、コレクションを作っているだけじゃ、ダメなんじゃないかっていうのがあって、もっとユキヒョウを含めたスピティや、冬の過酷な環境で暮らしている人々、人間も含めて、生きとし生けるものがどういうふうに暮らしているのかっていうのを、知識だけじゃなくて経験とか感覚とか、そういったものでちゃんと理解することが必要だなというふうに感じていました。
レンズを通して見たユキヒョウはその中のひとつですし、人々との会話であったりとか、あとは本当に肌で感じる寒さであったりとか、いろんなものがひとつひとつ、それらは他人事ではなくて結局、自分事でもあるんだなと。
僕たちは遠く離れた日本に暮らしていますけれども、同じ地球の上でそういった世界で暮らしている動物や人間がいることを感覚として受け止めておくのは、すごく大事なんじゃないかなって、今思っています」

●今後もユキヒョウの撮影は続けていきますか?
「どうでしょう・・・分からないですね・・・。今回はものすごくやりきったので、また行きたくなったら行くかもしれないですね。ただもう20年近くに渡ってインド北部のチベット文化圏をライフワークのように取材を続けていて、それこそユキヒョウのような動物に限らず、人間であったりとか、あるいは全体を俯瞰してみる形で、定点観測し続けているみたいなところがあるんですね。
なので、今後もそういったことを続けていって、何か日本の読者のかたに伝えられることがあれば、本のような形にして、残していきたいと思っていますし、その中で、もしユキヒョウが登場するんであったら、それはもちろん取り組んでみたいなっていうふうに思っています
☆この他の山本高樹さんのトークもご覧下さい。
INFORMATION
山本さんの新刊は、書き下ろしの長編紀行です。なかなか出会うことのできないユキヒョウの撮影エピソードのほか、お祭りや人々の暮らしぶりなど、興味深い内容にあふれています。貴重な写真も掲載。ぜひ見てください。雷鳥社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎雷鳥社:https://www.raichosha.co.jp/book/1513
山本さんのオフィシャルサイト「ラダック滞在記」そして個人サイトもぜひ見てくださいね。
◎ラダック滞在記:https://ymtk.jp/ladakh/
◎山本高樹:https://ymtk.jp/wind/
ここでスペシャルな情報です。
なんと山本さんと一緒に行くインド北部の秘境を旅するツアーがあるんです。題して「ラダック&ザンスカール・ツアー」。8月6日から10日までと、8月12日から15日までのふたつのコースがあります。個人ではなかなかたどり着けない秘境を体感できるツアーですよ。詳しくは「アショカツアーズ」のサイトをご覧ください。
◎アショカツアーズ:https://ashokatours.com/5720/
2025/6/1 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. CLOSER / TRAVIS
M2. WILD WORLD / MR.BIG
M3. WAITING FOR THAT DAY / GEORGE MICHAEL
M4. THE LANGUAGE OF LOVE / DAN FOGELBERG
M5. EVERYTHING HAS CHANGED / TAYLOR SWIFT feat. ED SHEERAN
M6. FIX YOU / COLDPLAY
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/5/25 UP!
◎『「SDGs〜私たちの未来」特別編〜高校生が社会課題にチャレンジ! 「SDGs QUESTみらい甲子園」〜』(2025.5.25)
◎鈴木俊貴(動物言語学者/東京大学・准教授)
『「僕は本当にシジュウカラになりたい!」〜世界で初めて鳥の言葉を解き明かした研究者、ついに出演!』(2025.5.18)
◎湧口善之(「都市森林株式会社」代表取締役/一般社団法人「街の木ものづくりネットワーク」代表理事)
『街の木を木材として活用する〜「都市林業」の可能性』(2025.5.11)
◎目代邦康(東北学院大学・准教授)
『景色の中に溶け込んでいる「地形」を知ろう!』(2025.5.4)
2025/5/25 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「SDGs QUESTみらい甲子園」総合プロデューサーの「水野雅弘(みずの・まさひろ)」さんと、千葉県大会の最優秀賞チーム「WAKE2(以下、ウェイク)」の「草場美海(くさば・みう)」さん、「古澤梨子(ふるさわ・りこ)」さんです。
以前この番組でもご紹介したことがある「SDGs QUESTみらい甲子園」。これは、高校生が考える社会課題解決のためのSDGsアクション・アイデアコンテストで2024年度は全国23のエリアで開催!
千葉県大会は去年9月のエントリー開始から、12月の締め切りまでに140を超える応募があったそうです。そして一次審査を経て、ファイナリスト12チームが決まり、プレゼンテーション動画による最終審査で、最優秀賞を含め、6チームの受賞が決定。今年3月20日にそごう千葉店でファイナルセレモニーが開催されました。
今週は、この番組のシリーズ企画「SDGs〜私たちの未来」の特別編として、「SDGs QUESTみらい甲子園」をクローズアップ!
千葉県だけで144チームがエントリー!
●今週はゲストを3人お迎えしてお送りします。
まずは「未来教育株式会社」代表取締役 、水野雅弘さんです。水野さんは「SDGs QUESTみらい甲子園」総合プロデューサーでもいらっしゃいます。きょうは札幌からリモートでご出演いただきます。水野さん、よろしくお願いします。
水野さん「よろしくお願いいたします」

●そしてスタジオには2024年度千葉県大会の最優秀賞チーム「ウェイク」のおふたり、草場美海さんと古澤梨子さんに来ていただきました。おふたりは「渋谷教育学園 幕張高等学校」と「昭和学院 秀英高等学校」の合同チームでエントリーし、見事、最優秀賞チームに選ばれています。おめでとうございます。おふたり、よろしくお願いします。
草場さん、古澤さん「よろしくお願いいたします!」

●まずは、水野さんにおうかがいします。2019年から始まった「SDGs QUESTみらい甲子園」、改めてその開催趣旨について教えていただけますか?
水野さん「はい、ラジオを聴いているみなさんもご存じの通り、今世界は気候変動や様々な格差、いろんな問題を抱えています。そうした社会課題に向けて、持続可能な社会へ向かうために、高校生たちが未来を切り開く力、これを育んでいこうということで、2019年からSDGsを起点とした社会課題解決策を発表するコンテストとしてスタートしております」
●今年で6回目の開催ということですが、開催エリアは全国で何か所くらいになったんですか?
水野さん「はい、2019年の時は2か所だったんですけど、今は40の都道府県、23のエリアで開催いたしました」
●すごいですね~。こんなに広がるんですね。
水野さん「そうですね。当初は2か所での開催、関西と北海道だったんですけれど、(今は)1万人以上の生徒にチャレンジしていただけるようになりました」
●とんでもない規模ですよね。そして今年3月20日に千葉県大会のファイナルセレモニーが開催されました。千葉県大会へのエントリーの総数は、どれくらいだったんですか?
水野さん「はい、千葉県だけで144チーム676名と、本当に多くの生徒さんに挑戦していただきまして感謝しています」
●今年の応募テーマの中で、今年はこういう傾向があったなというのを感じたりされましたか?
水野さん「これは千葉に限りませんけど、地域の課題で持続可能な、住み続けられる街といったゴール11だったりとか、高校生はエシカルに関心が高いので、エシカル商品に関わるようなゴール12が多かったんですけれど、今年は特に平和であるとか、また千葉県でいうと持続可能な農業を少し高度にレベルアップしたようなアクションアイデアがたくさん見つかりました」
●そして1次審査を経てファイナリストの12チームが選ばれ、それぞれのチームでプレゼンテーション動画を作り、最終的にはチーム「ウェイク」が最優秀賞に選ばれたということですよね。まず12チームに絞るというのも大変だったんじゃないですか?

水野さん「先ほど申し上げた、これだけ多くの生徒さんがチャレンジした中で、いろんな切り口、高校生らしい着眼点、発想力もありますけれども、しっかりと調べて、そしてアクションアイデアコンテストなので、アイデアだけでもいいんですが、実践につなげている。そうした解決策を統合的に見ていくって感じで、審査員は本当に僅差で(評価が)分かれています。『ウェイク』が最優秀賞チームに選ばれましたけれども、そういう意味ではみなさん、どこがいいとか悪いではありません」
「トビタテ! 留学JAPAN」で意気投合!?
●ここから千葉県大会の最優秀賞に選ばれたチーム「ウェイク」のおふたり、草場美海さんと古澤梨子さんにお話をうかがっていきます。
古澤さん、まずおふたりは通っている高校が違うと思うんですけれども、もともと友達だったんですか?
古澤さん「私たちは今高校3年生なんですが、1年前までは知り合いですら、ありませんでした。初めて出会ったのは、文部科学省が主催する留学支援制度の『トビタテ! 留学JAPAN』の事前研修の場で出会いました。全くの他人から、学校が本当にたまたま隣だったことなどをきっかけに意気投合して、後日会うほど仲良くなりました」
●え〜すごい〜! 本当に運命の出会いみたいな感じなんですね。
水野さん、こういう形の混合チームでの応募って結構あるんですか?
水野さん「そうですね・・・それほどたくさんはないんですが、だいたい各地域、ファイナリスト12チーム選ばれる中の1チーム程度が混合チームですね。
去年も神奈川ですと、中学の時に“高校に入ったら(みらい甲子園に)ぜひ出そうよね!”と言ったチームは、4つの学校が一緒になって、高校1年生で、“デニムのアップサイクルをしよう”といったアイデアを出していただいた、とても印象的なチームがありましたけれども、全国でもファイナリストに1チームぐらいは混合型です」
●学生の時にこんなことをしたら、一生の仲になりそうですよね?
水野さん「本当ですね~。思い出というよりも、そこに持続可能なタネがまかれることで、一緒に未来を作っていく喜びって、きっと(「ウェイク」の)おふたりもそうだと思うんですけれど、一生忘れないんじゃないかなと思います」
●そうですよね~。草場さんにお聞きしたいんですけど、「ウェイク」の場合、チームを組んで「SDGs QUESTみらい甲子園」へ応募しようと誘ったのは、どっちだったんですか?
草場さん「私です! 私たち『ウェイク』はあと3人のメンバーがいて、5人でNGO団体として活動していて、フィリピンの貧困問題に取り組んでいるんです。その中で千葉県大会は、千葉の高校に通っている高校生でチームを組むことだったので、私と梨子のふたりでチームを組みました。
もともと生理の貧困の活動は、私がひとりでやっていたことだったんですけど、ふたりでチームを組んで応募しようって誘って協力してもらいました。留学先でも一緒に生理の貧困の活動をやったりとか、帰国してからもプレゼンテーションとかを用意して、一緒にコンテストに応募したっていう感じです」

きっかけは、映画『パッドマン』!?
※古澤さん、改めてチーム「ウェイク」の探求テーマについて、説明していただけますか。
古澤さん「プラン名は“生理の1週間を笑顔で! Smile Period Project生理の貧困をなくすには? 発展途上国における布ナプキンの可能性を探る!!“というもので、生理の貧困について取り組みました」
●先ほど草場さんからもテーマが生理の貧困っていうのがありましたが、そもそもこの探求テーマにしたのはどうしてなんですか?
草場さん「私のきっかけは、インド映画の『パッドマン』(*)という映画があるんですけど、それを観た時に世界で多くの女性が生理の貧困で苦しんでいることを知ったんです。
さらに詳しく調べていったら、生理の貧困が貧困だけでなくて、女性の健康であったり、生理中、学校に通えないといった教育問題、さらにジェンダー平等といった様々な問題に関わっていることを知りました。
それでたまたま、私がもともと布ナプキンを使っていたので、これを活かしたら生理の貧困を解決できるんじゃないかと思って、「トビタテ! 留学JAPAN」に応募して、実際フィリピンでこの布ナプキンの効果を試してみたいっていうふうに思って、探求テーマを設定しました」
(*『パッドマン 5億人の女性を救った男』
https://www.sonypictures.jp/he/2352201)
フィリピンで普及活動
※チーム「ウェイク」のおふたりは、実際にフィリピンに短期留学して、現地でいろんな活動をしてきたということですが・・・
古澤さん、どんなことに取り組んだのか、教えてください。
古澤さん「私たち、去年の夏にフィリピンに3週間、留学に行ったんですけど、主に現地では3つの活動をしてきました。ひとつめは“布ナプキンを知ってもらおう!”という活動を行なっていて、その良さや使い方を書いたチラシと共に学校などにお邪魔をして、現地の女の子に(布ナプキンを)紹介しました。
ふたつめに行なったのは“布ナプキンをプレゼントする!”ということです。紹介をしてからの一歩が難しいんじゃないかな? って、ふたりで話していて、布ナプキンをプレゼントして実際に使ってもらうことで、魅力を知ってもらおうと考えて行ないました。
そして、3つめは“可愛いを追求した布ナプキンを届けること”です。可愛い布を使った布ナプキンを作り、気に入ってもらえるようにしました。というのも気持ちが沈みがちな生理中でも笑顔で過ごせるようにしたいというのが、私たちが大事にしたいことのひとつだからです。私たちは以上のような取り組みをフィリピンで行なってきました」
●実際に同じくらいの年齢の女の子たちにお話を聞いたということですよね? どういった反応がありましたか?
草場さん「そうですね。生理中にどういうふうに過ごしているかを聞いたところ、1日にナプキンを交換する頻度が2回か3回って言ってました。それは全然足りていないと感じて、布ナプキンを紹介したら、これがあれば洗って繰り返し使えるので、生理のたびにナプキンを買う必要がなくて、すごく金銭的に助かるというコメントがたくさんもらえました。
実際使った感想とかも聞いたりしたんですけど、“漏れちゃうかなって思ったけど、思ったより漏れなかった”とか、あとは“すごく肌触りが良くて、快適でよく眠れた”という感想をたくさんもらえて嬉しかったです。
あと、私が思っていなかった予想外の反応だったのが、“環境にすごくいいね”というコメントをたくさんもらって、調べたらフィリピンってプラスチックゴミの流出量が世界で2位とか3位なんですね。結構、今問題になっているみたいで、ナプキンも実際、プラスチックゴミの(順位としては)ペットボトルとか、いろいろあるんですけど、5位がナプキンって言われていて、ゴミ問題にもなっているので、布ナプキンは、そういう点でもメリットがあるんだなと感じています」

●すごくいろんないいことがあるんですね。きょうは実際に布ナプキンを持ってきてくれているんですよね。本当に可愛いですよね! やっぱりこの可愛さやデザインにも思いを込めたんですか?
草場さん「はい、生理中は精神的に不安定になってしまったりとかすると思うので、できるだけ明るく生理の期間を過ごせるようにということを考えて、可愛い布を選んで、特に和風の柄を選んで持って行ったのですが、その和風柄で作ったナプキンがすごく人気で、たくさん手に取ってくれました」
●水野さん、こういった形で過去に実際に海外に行って調べてきて、発表するというケースはあったんでしょうか?
水野さん「そうですね。おふたりと同じように、例えばカンボジアに高校生ボランティアとして行ったりとか、タイではいろんな貧困を見てきた中で、それを応援していこうとした高校生がいました。
数は多くないんですけれど、行かなくて海外のことを考えるチームと、行ってそこからヒントを得て、日本でそこを支援していこうというチームは、ほかにもたくさんあります。
同じように生理の貧困に関しても、ちょうど今年、青森の大会でもインドの女性たちの貧困(問題を解決)にしようということで、自分たちが作って、現場には行ってないですけど、それを支援しているオーストラリアのNGOに寄付しようということで、学校で寄付を集めたりとか、そういうことありました。
また、東海地区だったかな? そこも高校生たちが地元の繊維会社から布を集めて、それで布ナプキンを作って送ったというそんな事例があったんですね」
●すごい! 高校生でも世界にしっかりと目が向けられているって、本当にかっこいいですよね。水野さん、このチーム「ウェイク」が千葉県大会の最優秀賞に選ばれたのは(理由が)いっぱいあると思うんですけれども、どの点が高く評価されたんでしょうか?

水野さん「先ほどのように、ほかのエリアでも同じようなテーマを扱っているのはあるんですけど、このおふたりが素晴らしいのは、統合的解決ですね。生理の貧困だけではなくて、しっかりと調べてアンケートまで取って、フィリピンで実践しながら自分の学びにしていく。
それは生理の貧困を解決することのみではなくて、健康、そして海洋プラの問題、さらに教育と多面的に・・・ご存じの通りSDGsは環境、経済、社会の調和を持って解決する、というところを高校生がしっかりと捉えていて、それがおそらく実行委員のかたがたにも、いちばん評価が高かったところではないかなと思います」
●実際に行動するのは、なかなか簡単にできることじゃないですよね。
水野さん「そうですよね」
●チーム「ウェイク」のおふたりは、今後もフィリピンの女の子たちの支援をするような活動を行なっていく予定なんですか?
草場さん「はい! 私たちは先ほどもお伝えした通り、5人でNGO団体『ウェイク』の活動を行なっていて、生理の貧困に限らず、貧困問題であったり、教育格差といった問題に対して、例えば、学校で文房具の寄付を集めてフィリピンに送ったり、SNSで貧困問題についての発信を行なったりというような活動をしています。
これからもそういう活動を続けていく予定ですし、生理の貧困に関しても、大学生になったら、国内外問わず何か活動していきたいな。特にフィリピンにいつかもう1回行って、去年は(布ナプキンを)配るだけだったんですけど、次は作り方を教えて一緒に作れたらいいなと思っていて、いつかそういうことも実現できたらいいなと思っています」
全国イベント、関西万博で開催!
※水野さん、「SDGs QUESTみらい甲子園」の今後の展開なんですが、各エリアの最優秀賞チームが集う全国イベントは、いつどこで開催されますか?
水野さん「はい、まず6月14日にオンラインで全国交流会、全23チームのメンバーに入っていただきます。そこで交流ワークショップを行なったのち、10月8日、今まさに開催されている大阪関西万博にサステナドームというCO2を吸収するコンクリートでできたドームがあるんですね。そこに各チームのリーダーに集まっていただいて『BEYOND 2030 』、2030年以降の未来に向けて、お互いが発表していくということで、交流の時間を設けようと計画しております」
●この全国イベントでは、それぞれのチームがプレゼンテーションを行なう形なんですよね?
水野さん「そうですね。自分たちがきょうも『ウェイク』のおふたりがこの生理の貧困解決をしよう! ということが、2030年以降もPeople, Planet, Prosperityといったアジェンダ2030の5つのPから3つのテーマ、Pに別れて発表していただく形で、『ウェイク』はおそらくPeopleの世界、もちろんPlanetにも関係しますけれど、一応チームに別れてプレゼンテーションを行なっていただきます」
●その後、最終的には全国の最優秀賞チームの中からグランプリが選ばれるのですか?
水野さん「いや、実はグランプリは賛否両論いろいろありまして、どこが1位だというのはオリンピックのように、なかなか数字で、スポーツのように決められないんですね。ですから先ほど申し上げた、Planetというテーマでセッションするチームから1チーム、そしてProsperity、未来への繁栄というアイディア、特に日本の場合は地域の課題を解決してくれるチームからひとつ。
そしてPeople、いわゆる格差だとか平等だとか貧困だとか、そうしたところのアイディアの中から1チーム、だから3つのPからの賞と、そして企業賞、応援していただいている企業を合わせて、5つの賞を決める予定です。まだ委員のかたを含めて検討していますけど、5つ(の賞を)ご用意しようかなという感じで計画しております」
●そういう形式になるかもしれないということなんですね~。
水野さん「はい、だから楽しみにしてください!」
●そうですね。本当に楽しみです。チーム「ウェイク」のおふたり、全国イベントに参加することになりますが、意気込みや楽しみにしていることってありますか?

草場さん「はい、まずは全国の最優秀賞チームということで、様々な素晴らしいアイデアが集まってくると思うので、そういうアイデアについて知って、あとはほかの高校の生徒の人ともたくさん交流ができたらいいなと思っています。
あとは個人的にはフィリピンのパビリオンがあるって聞いているので、そこも見に行けたらいいなと思っています」
●水野さんからチーム「ウェイク」のおふたりにエールをお願いします。
水野さん「フィリピンの経験がおそらく、すごく未来へのタネがおふたりの中で育まれていて、大学で何しようか、大人になったら何しようかって・・・。ここで探求を通じた経験が、きっと自分たちの素晴らしい未来を切り開く。そして生きていくことに対しての喜びや学びを感じていると思うんですね。
さらにNGOを作っているわけですので、世界に貢献していってほしいなと思います。万博という機会の中で世界のみなさんに見ていただけるし、全国の学校ともつながりますから、それを機会に自分たちの糧にしてリーダーシップを取っていってください」
●どうですか、おふたり?
草場さん、古澤さん「ありがとうございます! 嬉しいです! 頑張ります!」
自分の未来を切り拓け
※水野さん、次の2025年度の「SDGs QUESTみらい甲子園」はいつ頃、エントリーが始まりますか?
「毎年と同じように9月の募集開始を予定しています。千葉県大会も9月から始まって、たぶん12月に締め切るということで進めていく計画です」
●この番組を聴いてくださっている高校生、高校の先生、そして高校生のお子さんがいらっしゃる親御さんに向けて、総合プロデューサーからひと言いただけますか。
「僕たちの時代と違って、今の高校生が社会課題に向き合っていくというこの機会は、多くのアンケートの中から明確なのは、自分の進路が明確になった、ある意味でキャリアにつながるということなんですね。
きっと『ウェイク』のおふたりも大学生になったら、フィリピンのために将来、これをやっていこうっていう(目標がある)。これはものすごく素晴らしいことなので、そういった機会に自分の発見、自分の未来を切り拓くこと。
そして今、世界は分断したり様々な課題に直面しているけど、みなさんが未来を作るチャンスなので、ぜひ学習を超えて自分の未来を作り、世界を変えていく力になっていただけるよい機会だと思うので、ぜひ挑戦してもらえたらなと思います。よろしくお願いします!」
INFORMATION
2024年度の集大成、各エリアの最優秀賞チームが集う全国イベントは、10月8日に大阪・関西万博の会場内にある「サステナドーム」で開催されます。千葉県大会の最優秀賞チーム「ウェイク」が新たな賞に輝くのか、ぜひご注目ください。
そして2025年度のコンテストは、例年と同じく9月からエントリーが始まるとのことですので、高校生のみなさんにぜひチャレンジして欲しいなと思います。応募方法など、詳しくは「SDGs QUESTみらい甲子園」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎SDGs QUESTみらい甲子園:https://sdgs.ac
草場さんと古澤さんのほか、全部で5人の高校生によるNGO団体「WAKE2(ウェイク)」もぜひ応援してくださいね。「WAKE2」ではフィリピンの子供たちの現状を知って欲しいということで、特にインスタグラムでの情報発信に力を入れているとのこと。
◎Instagram:@wake2_gram
2025/5/25 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. TITANIUM / DAVID GUETTA FEAT. SIA
M2. WAITING ON THE WORLD TO CHANGE / JOHN MAYER
M3. POWER OF A WOMAN / ETERNAL
M4. ALL THE LOVE IN THE WORLD / THE CORRS
M5. Black and White / Da-iCE
M6. KEEPING YOUR HEAD UP / BIRDY
M7. DREAMS / VAN HALEN
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/5/18 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、動物言語学者、東京大学・准教授の「鈴木俊貴(すずき・としたか)」さんです。
鈴木さんは1983年、東京都生まれ。立教大学大学院の博士課程修了後、東京大学大学院や京都大学の助教を経て、現職の東京大学・先端科学技術研究センターの准教授として活躍。世界で初めて、鳥の言葉を解明した研究者として、国内外で大変注目されています。そして今年出した初めての本『僕には鳥の言葉がわかる』が10万部を超えるベストセラーとなっています。
この番組も、以前から大注目している研究者のおひとりで、念願かなって番組にお迎えすることができました。
もともと動物学者になりたかった鈴木さんが、なぜ鳥の言葉を研究するに至ったのか・・・それは、卒業研究のテーマを探していた大学3年生の時に、シジュウカラがほかの鳥と比べて、いろんな鳴き方をすることに気づいたそうです。
そしてシジュウカラをじっくり細かく観察し、状況によって鳴き声を使い分けていることに気づき、これはそれぞれの鳴き声にきっと意味がある。もしかしたら、言葉になっているのかも知れないと、ひらめいたそうです。
今回は鈴木さんが発見したシジュウカラの言葉と、それを理解するほかの鳥たちとの関係のほか、これも大発見! シジュウカラのジェスチャーについてもうかがいます。
☆写真提供:鈴木俊貴

シジュウカラ語「ジャージャージャー」の意味は?
※研究のメイン・フィールド、軽井沢の森にシジュウカラ用の巣箱を40個ほど設置して、繁殖と子育てを時間をかけて観察されたそうですが、そこで大発見につながる事件があったんですよね?
「そうですね。ありました! 覚えているんですけども、2008年の6月10日の午後1時24分、その時はマイクを持って、レコーダーを持って、鳥の声を録音していたんです。
ある巣箱の前に行った時、聴いたことのない声が聴こえてきたんですね。それが“ジャージャージャー”という声で、今でも鮮明に覚えています。これは何が起きているんだろうと思って・・・でも鳥の声だなと近づいて行ったら、やっぱりシジュウカラが鳴いていた」

(*放送では、ここでシジュウカラの鳴き声「ジャージャージャー」を聴いていただきました)
「でも、こんな声を聴いたことなかったんですね。よくよく観察すると巣箱の下に、アオダイショウっていうヘビが迫っていることにも気づいたんです。あっ! これ、ヘビが来ているから、”ジャージャー“って鳴いているんだって思ったんですね。それまで朝から夕方まで毎日、シジュウカラの声を録音していたのに、そんな声を聴いたことなかったから、これはひょっとしたら、ヘビっていう意味になっているんじゃないかなって思ったんです。
そこから、ひょっとして、これ、ヘビと、もし言っているんだったら、めちゃくちゃ実は大発見じゃないの? ってことにも気づいて、それを証明するに至ったんですよね。
というのも、動物の鳴き声って、これまでに学者はどう考えていたかというと、単なる感情の表れだって考えていたんですね。例えば、怒っているとか怖いとか嬉しいとか、そういった感情が表れているだけ。確かにそういう動物たくさんいるかもしれませんが、なんかシジュウカラの場合は違うように見えたんですね。
要するにヘビを見つけて怖くて、“ジャージャー”って鳴いているんじゃなさそうだと・・・。ヘビの時は“ジャージャー”だし、タカの時は“ヒヒヒ”だし、ネコやカラスの時は“ピーツピ”って警戒する。あっ!これ、ただ単に怖いとか、そういった気持ちが表れているんじゃないんじゃないのって思ったんですね。
それで、録音した声を聴かせてみるという実験をすると、どうなったかっていうと、あたかもヘビを探すかのように、“ジャージャージャー”って聴いたシジュウカラはまず地面を見たんです。でも地面にヘビなんて這ってない。僕がスピーカーから聴かせているだけだから。そうすると今度は、ヘビがいそうな藪の中を見に行ったりとか、もしくは巣箱の中にもう(ヘビが)入っちゃったんじゃないだろうかって、ビクビクしながら中を覗いたりする。
これは絶対ヘビと言っていて、“ジャージャー”って声を聴いたシジュウカラからは、おそらく頭にヘビを思い描いて探しているはずだって思った。もしそうだったとしたら・・・すごいですよね。
だって言葉って言えるじゃないですか。ただ感情が伝わるだけだったら、怖いって恐怖心が伝わるだけだったら、頭にヘビなんてイメージできないはずですよね。だけど、ちゃんとイメージしているようなふるまいをした。それをちゃんと確認するためにもうひとつ実験をしました。
どうするかというと、“ジャージャージャー”って声を聴かせた状態で、聴かせるとシジュウカラはヘビを探すような仕草をするんですけども、その仕草をしている時に落ちている20cmほどの木の枝に紐をつけて、ちょっと引っ張ってみた。そんな木の枝を普段は気にしないんですけれども、“ジャージャージャー”って聴かせた状態で、その枝を動かすと(シジュウカラが)確認しに近づくことがわかったんです」
●なるほど! ヘビかもしれないって思ったということですね?
「そうです! 人間の場合も言葉って意味を伝えるだけじゃなくて、見間違いを引き起こすような作用があって、例えば普通の写真でも、ここに顔があるよって言われると心霊写真に見えたりする。それは顔っていうのがちゃんと、目と鼻と口のある顔だっていうふうな視覚的なイメージを頭に思い描いて、それを当てはめて見間違えてしまう。
同じようなことがシジュウカラにもあることがわかって、ってことは、やっぱり“ジャージャージャー”って聴こえる声は、ヘビを示す単語だってことがようやくわかった。実はそれが人間以外の動物で初めて、概念につながった言葉があることを証明した研究になったんですね」

(編集部注:ここでシジュウカラがどんな野鳥なのか、ご説明しておくと・・・体の大きさは14.5センチほど、体重は15グラム前後の、いわゆる小鳥。見た目の特徴は、白いほっぺたに、胸もとに黒いネクタイのような模様。日本全国に分布していて、市街地や公園などでもよく見られます。
春先に「ツツピー・ツツピー」と、よく通る声で鳴くので、きっと耳にしたことがあると思います。食べるものは、草木のタネや昆虫などで雑食性。春からちょうどこの時期が繁殖のシーズンで、木の穴などに巣を作り、オスとメスが共同で8羽前後のヒナを育てるそうですよ)
シジュウカラ語には文法がある!?
※先ほどのお話でシジュウカラには言葉があることはわかりましたが、鈴木さんは、シジュウカラは鳴き声を組み合わせて文を作ることができると本に書いています。これはどういうことなんですか?

「これは実は観察を始めて2〜3年で、すぐ気づいたことなんですよね。当たり前のように彼らはやっているなと・・・。具体的には、例えば“ピーツピ・ヂヂヂ”って声があるんですけども、“ピーツピ”って単独でも使うことがあって、それはカラスとかネコとか何らかの危険な動物が近くにいた時とかに、“警戒しろ! 注意しろ!”みたいな意味で“ピーツピ”って鳴くんですよね。
“ヂヂヂ”って声は、餌を見つけた時に仲間を呼んだりするための“集まれ”という意味で、それを組み合わせることがあって“ピーツピ・ヂヂヂ”っていう決まった順番に組み合わせるんですね。
それをよくよく観察してみて、どういう時やるかというと、天敵を群れを成して追い払いにいくことがあるんですよ。よくやるのがモズっていう肉食性の鳥で、20cmぐらいの鳥なんですけれども、スズメとかシジュウカラとかを襲って食べちゃうんですよね。
でもシジュウカラって結構勇敢なので、モズを見つけると“ピーツピ・ヂヂヂ、警戒して集まれ!“って言って、仲間を呼び集めて、みんなで羽をパチパチしながらモズに襲いかかる。そうやって自分たちの棲んでいる森からモズを追い払おうとするんですよね。その時の号令が“ピーツピ・ヂヂヂ、警戒して集まれ!”っていう二語文だって気づいたんです」
(*放送ではここでシジュウカラの鳴き声「ピーツビ・ヂヂヂ」を聴いていただきました)
●例えば、“ヂヂヂ・ピ-ツピ”ってみたいに語順をひっくり返すと、どうなるんですか?
「そうなんですよ! それも実験してみたんです。語順をひっくり返してスピーカーから聴かせてみると、実はシジュウカラは意味がわからなくなっちゃうんです。
要するに“ピーツピ・ヂヂヂ”って正しい語順で聴こえると、シジュウカラは警戒して近づいて集まってきて、モズがいたら追い払うんだけれども、“ヂヂヂ・ピ-ツピ”って語順をひっくり返して聴かせてしまうと意味が伝わらないらしくって、追い払う行動にいかないんですよ、ってことは、彼らには文法があるんじゃないかってこともわかってきた」
●そういうことなんですね~。ちなみにシジュウカラは、ほかにもこういった文、ふたつの鳴き声を組み合わせることってあるんですか?
「はい、実はたくさんあります。たとえば“チッチ、ヂヂヂ”とか“ヒッヒッヒ、ヂヂ”とかいろんな組み合わせがあって、これまでに録音できている組み合わせの文章のパターンは200パターン以上あるんですよね」
●そんなにあるんですね~。
「そんなにあるんです。おそらく人間以外で、最もちゃんと組み合わせて文章を作っている動物が、今知られている中だとシジュウカラなんじゃないかなと思います」
お互いの言葉を理解する鳥たちの世界!

※シジュウカラやコガラ、ヒガラなどの野鳥が群れを作るというのを聞いたことがあります。それはどうしてなんですか?
「これはおもにふたつ理由があります。ひとつは、一緒に餌を探して見つけたら、みんなで共有するということをします。例えば、シジュウカラがいい餌を見つけると“ヂヂヂ”って鳴く。そうするとヤマガラ、コガラ、ヒガラなどが集まってきて、みんな近くで食べるんですよね。
ヒガラが気づかなかったような餌にも、シジュウカラが気づくかもしれないしっていうふうに、お互いちょっと目の付け所が違うから、餌を見つける効率がひとつ上がります。
それだけじゃなくて、最も大きな要因は、実は天敵に対する対策なんです。鳥たちは群れをなして生活するんですけれども、特に秋から冬にかけては、いろんな種類の鳥が集まって『混群』、混ざる群れと書いて、混群(こんぐん)と読むんですけれども、ひとつの群れを作って過ごす。それは何故かと言うと、シジュウカラもコガラもヤマガラも混群のメンバーみんなが、ハイタカやオオタカっていう猛禽類に食べられてしまうんです。
誰かがそれに気づけば、例えば、タカが来たという、シジュウカラだったら“ヒヒヒ”という警報を鳴らして、みんな一斉に藪に逃げて行ったりすることができる。つまり、群れで過ごしていたほうが誰かが天敵に気づきやすくなるし、誰も気づかなかったとしても、自分が襲われるリスクが確率的に減ります。だから鳥たちは一緒に過ごしているのです。
その中でいちばん大事なのは鳴き声の理解なんです。一緒に過ごしていてもお互いの言葉の意味が分からなければ、群れなすことってあんまり意味がないんですよね。効果が大きくなくて・・・。誰かが餌を見つけて鳴いたら、そこに集まろう。誰かがタカを見つけて鳴いたら、この声はタカだっていう意味だ! みんなで逃げなきゃいけないんですよね。
そのためには、ほかの種類の鳥の鳴き声の意味とかまでお互いにわからなきゃいけない。そういった世界もあることがわかってきて、実は鳥たちは種の壁を越えて、お互い会話ができるってこともわかってきたんです」
●へぇ~! つまりシジュウカラの“ヂヂヂ”というのが、“集まれ!”という意味であることがわかっているということですか? ほかの種の鳥も?
「そうです! だからシジュウカラが“ヂヂヂ”って鳴くと、シジュウカラが集まれって言っている。餌かなんかを見つけたのかな? って、ヤマガラやコガラとかほかの鳥も集まる。
コガラも集まれという声があって、それは“ディディディ”という声なんですよね。全然響きが違うんだけれども、シジュウカラもわかっていて、お互いに理解して、餌をみんなで見つけて、みんなで敵から身を守って暮らしている。それが本当に、ある意味、鳥たちの言葉の世界だったのですね」

羽をパタパタ、お先にどうぞ!?
※もうひとつ、本を読んで驚いたのが、シジュウカラのジェスチャーなんですが、これはどういうことなんでしょう?
「これまでは言葉を持つのは、人間だけだって考えられてきていて、実はジェスチャーも人間とか類人猿にしかないんじゃないの? っていうふうに研究者は考えていました。
というのも、赤ちゃんの発達を見てみると、小さい時にまずジェスチャー、指差しのジェスチャーとかが発達してきて、そこに言葉がくっついてくるという、そういった言葉の発達の仕方があるんですね。ジェスチャーっていうのは言葉の起源であって、チンパンジーとかボノボぐらいにまでにしかないんじゃないのってみんな考えていた。
それはなぜかと言うと、人間やチンパンジー、ボノボって二足で立つことができる動物ですよね。二足で立っている間、両手両腕が自由になる。その腕の動きを使って、手を振って“バイバイ”とか親指上げて“いいね!”とか、ジェスチャーするわけですね。
でも、鳥も枝に留まっている時、地面にいる時って、二足で立っていて翼が自由ですよね。私はシジュウカラの翼の動きに興味がいって、観察していて気づいたんです! 翼をパタパタって小刻みに震わせると、“お先にどうぞ!”という意味になっていると・・・」
●お先にどうぞ!? へぇ~、それっていつ(シジュウカラは)使うんですか?
「例えば、ちょうど今の時期、5月くらいはシジュウカラは子育てシーズンなんですね。シジュウカラがどういうところに巣を作るかというと、木の穴とか巣箱の中とか、ちょっとした空洞なんです。入り口が狭いんですよね。
オスとメス二羽でヒナに青虫を運んで子育てをするので、一緒に巣の前に来ちゃうと、どっちが先に入ろう!? っていう状況になるんですね。その時に片方がパタパタっとやると、もう片方が先に(巣に)入る。
人間の場合も“お先にどうぞ!”ってドアの前でやりますよね。手のひらを見せて“どうぞ!”って。そうしたら、どうぞ!ってやられたほうが先に入るんですけども、それと同じようなことをシジュウカラもやっていることがわかったんです。ジェスチャーの発見も実は世界で初めてです」
●そうだったんですね!
「そうなんです! 鳥類学者も翼は飛ぶためのものだよねって思い込んでいたので、まさか翼の動きでメッセージを伝えて、ジェスチャーになっている。そんなこと誰も考えていなかったんですよね。だからよくよく観察してみると、本当にいろいろな発見が次々にあって、まだそれが毎年毎年、新しい発見があるっていうのが、僕はずっと続いているんですけども・・・」
新しい学問「動物言語学」
※人間だけが言葉を持つ特別な存在というのは、間違いだったと言っていいんですよね?
「そうですね。人間だけが言葉を持っていて、動物の鳴き声は感情だというふたつの切り分け方は、僕は間違っていると思います。一方で、人間みたいに動物も喋っているんだっていう解釈も間違っていると思います。要するに童話とかにあるように、人間みたいに喋っているんだって擬人化して捉えてしまう。それも実は間違いです」
●それも間違いなんですね?
「はい、人間には人間の言葉があるように、シジュウカラにはシジュウカラの言葉があって、共通点もあれば、相違点違いもあるんですよね。そうやって、ひとつひとつ何が似ていて、何が違うのかっていうことをクリアにしていくことが、言葉ってどうやって生まれたんだろう。人間の言葉ってなんなんだろう。そういうことを考える上でも、とても大切なことだと思います。
でも実は研究者はずーっとそれやってこなかった。だから僕はそれを『動物言語学』という新しい学問として世界に広めていこうと頑張っているんです」
●動物言語学を牽引する立場として、今後どういった研究に力を入れていきたいですか?
「今やっていることは、研究室の学生と一緒にシジュウカラ以外の動物に対しての動物の言葉の研究をしています。例えば、モモンガとかネズミとか、あとツバメとかスズメとか、そういった哺乳類とか鳥類の言葉の研究を進めています。
自分としてはやっぱりシジュウカラとかその仲間、コガラやヤマガラの研究を続けているんですね。最近興味を持っているのは、海外にも実はシジュウカラの仲間がいて、外国のシジュウカラはどういう会話をしているんだろう・・・そういうことも実は、スウェーデンとかスペインの森の中に巣箱をたくさんかけて、それで向こうの研究者と一緒に彼らの言葉を調べて、国によってどう違うのかとかを解き明かしているところです」
●なるほど・・・。最後にもし鈴木さんがシジュウカラになれたら、何をしてみたいですか?
「シジュウカラにまず、なりたいんですけど、僕は本当に・・・!(笑) やっぱり研究していると、シジュウカラはこういう時にこう考えているなとか、わかってくる気がする。だけど、それってシジュウカラにならないと、わからないところとかあるんですよね。
人間もそうじゃないですか。あの人は僕のことをこう思っているに違いないと思っても、本当にそうなのかはわからない、その人にならないと・・・。まず、シジュウカラになりたい!
そして、シジュウカラになってやりたいことっていうのは、普通にシジュウカラの世界で暮らしてみたいっていうのもあるし、あとは誰かに実験されたいですね(笑)。僕がやっていた実験を、僕がシジュウカラになった状態で経験した時、例えば、本当に枝を見間違えてしまうとかね。“ジャージャー”って聴いたら、枝とヘビを見間違えて近づいちゃうみたいな! 語順をひっくり返した時にやっぱ変だな? と思うのかどうかとかね。
そういったところは、シジュウカラになんなきゃわからないところが実はあるんで、なってぜひ実験されたいです。いろいろ語順をひっくり返した声とかを聴いてみたいなと思います」
●鈴木さんが実験された鳥たちは多分幸せだったでしょうね。
「まあ幸せかわかんないんだけど(笑)、僕はできるだけそういった鳥たちに感謝したいなと思っていて、例えば、学会発表の謝辞とかに必ず“何羽の鳥に感謝します”っていうことを入れたりします」
INFORMATION
初めての著書は、鈴木さんが多くのかたと、シジュウカラの世界を共有したくて書いた本だそうです。シジュウカラの言葉などをどうやって調査・研究し、立証したのか、とても興味深い内容に溢れています。また、鈴木さんの人となりがわかるエピソードも満載です。
本の巻末には特別付録としてQRコードが載っていて、シジュウカラの鳴き声を聴けるようになっています。緑地や公園、街中で、賢くたくましく生きているシジュウカラに気づくと人生の楽しみになると、鈴木さんはおっしゃっていましたよ。
小学館から絶賛発売中! 詳しくは、出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎小学館:https://www.shogakukan.co.jp/books/09389184
◎小学館 特設サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/bokutori/
鈴木さんが国際的な学会でも提案され、作った新しい学問「動物言語学」、2年前に、東京大学・先端科学技術研究センター内に「動物言語学分野・鈴木研究室」が開設されています。研究内容などはぜひオフィシャルサイトを見てください。
◎動物言語学分野・鈴木研究室:
https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/research/suzuki_lab.html
2025/5/18 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. WILD BIRD / GEORGE BAKER
M2. DANGEROUS / ROXETTE
M3. SONG BIRD / FLEETWOOD MAC
M4. TALKING BIRD / DEATH CAB FOR CUTIE
M5. GET TOGETHER / BIG MOUNTAIN
M6. I’M LIKE A BIRD / NELLY FURTADO
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」