2025/12/21 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. WONDERFUL CHRISTMASTIME / PAUL MCCARTNEY
M2. BLOWIN’ IN THE WIND / PETER,PAUL AND MARY
M3. WILLOW / TAYLOR SWIFT
M4. IF / BREAD
M5. LONGER / DAN FOGELBERG
M6. HEART OF GOLD / NEIL YOUNG
M7. ORINOCO FLOW / ENYA
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/12/14 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、シンガー・ソングライターの「イルカ」さんです。
1975年、「なごり雪」の大ヒットで、シンガーとしての地位を確立。現在も毎年全国ツアーを行なうなど、精力的に音楽活動を続け、来年、活動55周年をお迎えになります。
音楽以外にも絵本作家、エッセイスト、ラジオのパーソナリティ、母校の女子美術大学・客員教授などの顔もあり、幅広く活動。そして2004年にIUCN国際自然保護連合の初代親善大使に就任。2022年からはIUCNの日本委員会と共に活動を続けていらっしゃいます。
きょうはそんなイルカさんに、IUCNでの活動のほか、台所に立つ主婦目線のエコ意識、そして最新シングルに込めた思いなどうかがいます。
☆写真協力:イルカオフィス

「あいのたね♡まこう!」
●今週のゲストは、シンガーソングライターのイルカさんです。この度はありがとうございます。20年ぶりのご出演となります。
「あっという間に20年経ったんですね」
●私は初めてお話をうかがいます。改めて、イルカさん、よろしくお願いいたします。
「よろしくお願いいたします」
●イルカさんは来年、活動55周年をお迎えになるということで、おめでとうございます!
「ありがとうございます。来年の5月からになるので、“5・5・5”という感じになりますね(笑)」
●今年はプレ55周年イヤーということなんですよね?
「そうですね」
●半世紀以上、音楽活動を続けてこられて、今どんな思いがありますか?
「そうですね~、短い感じもするんですけど、いろいろ思い返すと長いな〜と思ったり・・・それから最近思うのは、あとどのくらい歌っていけるのかな~って感じですね」
●去年は紅白歌合戦にもご出演されて、大変話題にもなりました。
「ありがとうございます。32年ぶりということでね」
●そして最新の配信限定シングルが『あいのたね♡まこう!』という曲です。この曲にはどんな思いが込められているんですか?
「この言葉自体がちょうど、おととしあたりかな~、なんかね私、曲が生まれる時っていつも自分の目の前にふわっと現れるんですね。で、“あいのたね、まこう”って何だろう? そんなの当たり前じゃないかって、自分でもすごく否定気味だったんですけれども・・・。
でも周りを見ると、やっぱりニュースを聞いたり見たりしていても、非常に不安定なことがずっと続いていて・・・やはり災害がものすごく多くなった。それから戦争なんていう・・・まさか自分が生きているうちに、こんなにたくさんのところで戦争が起きてしまうなんて・・・というものがあったり・・・。
それから、ウイルスのパンデミックということがあって、そして自然破壊というようなことがいろいろ日々、織り重なるようにどんどん拡大しているような気がして・・・。
そして何よりも、いちばん恐ろしいなと思ったのは、人々同士が憎しみ合ってしまうことですね。やはり悲惨な目にあったら、相手を憎んでしまうタネが生まれてしまうのかもしれないんですね。
じゃあ、どうしたらいいのかということは、ひとりの力ではどうにもならないんですけれども、どんなに小さくてもいいから、一粒でもいいから、私が生きているうちに“愛のタネ”を蒔いていったら、いつか花が咲いて、そこから芽が出るかもしれないな~っていうそんな気がしたんですね。だから、“ばあちゃんの遺言のような歌”って言っているんですよ」

みんな生き物同士、一心同体
※この番組「ザ・フリントストーン」のテーマが「自然」や「環境」です。改めてになるんですが、イルカさんの「自然感」のようなものをお聞きしたいと思います。生まれも育ちも東京ですよね。どんなお子さんでしたか?
「私は自分が思っていることを一切、言えない子供でした。だから学校でも、手を挙げて、“は~い!”とか “先生、わかります!”とか言うことが絶対できない子だったんですよ。
それでいつも心の中にいろんなことが、膨らんで膨らんで膨らんでいるような子で、ひとり遊びばっかりしているような、そんな子だったんですね。その時に相手になって遊んでくれたのは、石ころとかアリンコとか葉っぱとか、そういう身近にあるようなものだったんですね。
(生まれは)東京ですから、そんなにいろんなものに囲まれているわけじゃないんだけど、私の昭和の子供の時代(苦笑)、東京でも中野区で生まれ育ったんですけど、それでもまだまだ身近にいろんな虫がいたりして、そういう虫とかアリンコとか、石ころで遊んでいたので、自分が人間で相手が動物で鉱物で、とかっていう境がないんですよね、私の中には。
だからこの地球の上に棲んでいる、みんな生き物同士っていう、そういう感覚が今でも続いていますね」
●そうだったんですね。お花を摘んだりとか虫取りしたりとか、植物とか小さな生き物に対する好奇心は旺盛だったっていうことなんですね?
「好奇心っていうよりか、横にいてくれる友達って感じですね」
●自然や生き物から教わったことってありますか?
「それはもうたくさんあると思いますね。やっぱり生きる力っていうのがすごいなと思ってね。
アリンコの行列を見ていると、ものすごく小さいのにものすごく大きなものを運んで、頭の上にいっぱい乗っけて、だ~っと・・・(アリは)何のためにやっているのかなとかいろいろ思って、これは冬を迎えるために準備しているのかとか、そういうお話の中から小さな頭でいろんなことを考えてみるんですけども・・・。
それでも中には死んでいるアリがいたりするわけですよね、暑い夏。それから人に踏まれている生き物もいたり、そうすると、あ~あ・・・でもこれが土に返って、またいつか新しい命として生まれるんだな~とかね。そんなことも虫とか土とか葉っぱとか、そういうものから本当に教わった気がしますね」
●そういった子供の頃の体験は、曲作りに活かされているって思われますか?
「活かそうっていう気持ちは全然ないんですよ、私の中には。それしかないから(苦笑)。自分で活かしているのかどうかわからないんだけれども、私の場合は逆にラヴ・ソングを書くほうが難しくて・・・活かせるような恋をいっぱいすれば、よかったなと思うぐらい・・・(苦笑)
だから生き物たちっていうのは、常に何か一心同体のような感じがしているので、風がさ~っと吹いてきたものを見れば、あ〜、葉っぱをひとつずつ揺らしていくんだなとか、そこから一曲生まれたりとかね。すべての、何て言うんですかね、“森羅万象”から受け取れるメッセージっていうものを、今でもとても大切にしていますね」
IUCN親善大使、日本委員会
※イルカさんは2004年7月にIUCN国際自然保護連合の初代親善大使に就任され、2022年からはIUCNの日本委員会と一緒に活動を続けているということなんですが・・・そもそもIUCNの初代親善大使に就任されたのは、何かきっかけがあったんですか?
「これは外務省と環境省が国家会員という形で(IUCNに)入って、外務省のほうから私に“親善大使として、いかがですか?”っていうのが、まずあったんですよ。なぜかというとIUCN自体の歴史は古いんですけども、特にアジア地域においてはなかなか、みなさんに知っていただけないと・・・じゃあ親善大使という形で誰か選出したらいいんじゃないかっていうことだったらしくて、いろいろリサーチされたらしいの。
それでスポーツ選手のかただとか、女優さんだとか俳優さんだとか、いろいろなかたたちをリサーチされていたらしいんですけど、その中で“あっ! イルカっていう人は、いろいろ生き物の歌をたくさん作って歌っているらしい“ということで、調べられたんでしょうね、きっと(笑)。
それで“この人だったら、やってくれるかな?”っていうことで、私のところに“(親善大使をお願いしたいのですが)いかがですか?”ということで(お話を)いただいて、“それは大変光栄なことですね”っていうことで、2004年から(IUCNの)親善大使という形で・・・ですからその時、世界で初めて親善大使っていうシステムを作ったわけですね。
で、先ほど2022年から日本委員会っておっしゃってくださったのは、実はコロナ禍ということもあって、世界中に少しずつ少しずつ親善大使は増えていったんですけれども、なかなか(コロナ禍で)みなさん、あまり活動ができなかったということもあったと思うんですね。それで“親善大使というシステムをやめましょう”ということになったんですよ。
それで私がそのことを受け取ったんですけれども、逆に、“いや、ちょっと待ってよ。私は任命されてから毎年IUCNのためのコンサートをやっているし、募金活動もやっているし、いろいろな形ですごくアピールしてきた。物作りとかそういうものも・・・”。なので今さら“そうですか。はい、やめます”っていうのは、今まで協力してくださったみなさまに対して大変申し訳ないから、私は“何か違う形で、自分たちで進めていく方法を考えたい”って言ったら・・・、
“イルカさんは今まで(IUCNに)大変貢献してくださったことは、本当にみんなが認めていることなので、イルカさんが独自に、IUCNの世界での親善大使システムはやめたとしても、イルカさんはぜひ続けてください!“ということになって、“じゃあ日本委員会のみなさんと頑張りましょう!”っていうことで、公認いただいたという形ですね。これはみなさまにも発表しています」
●イルカさんから日本委員会に、いろいろ提案をされたりもするんですか?
「いや、私はひたすら勉強させてもらう立場です。私はやっぱり物作りをする人間で専門家ではないので・・・。私、小さい頃は本当にジャングルの奥地に行って、調査をしたり、野生生物を救う、そういう仕事しようって決めていた人間なんだけど、気がついたら歌っていたんですよ(笑)。
だから学者のみなさんのことも大変尊敬していて、そういうみなさまは本当に1日も欠かさず、世界中で素晴らしい調査と活動をたくさんのかたがされているんですね。そういう今の地球のレアな情報を聞かせていただき、学ばせていただくってことは、私にとってものすごく大きなことです。それをものすごく噛み砕いて(一般の)みなさんに、“こんな感じなんだよ!”っていうことを、硬くない感じで伝えるのが親善大使としての役目だと思っています」
●もともとは自然の道に進もうと、そう考えていたんですね?
「そうなの! 小さい頃はね。だからまず獣医さんになって、それから密林に入ろうと思っていました(笑)」
ネイチャー・ポジティヴ! ユース世代の育成
※IUCNの日本委員会で、いまいちばん力を入れていることは、なんでしょうか?
「全体としては“生物多様性”ということを基本に置いていますけれども、最近いろんな言葉を提案しています。『ネイチャー・ポジティヴ』という、みなさんもいろんなところでそろそろ聞いていらっしゃると思いますけど・・・。
今まで絶滅危惧種とか、そういう観点からみなさんに提案したり、調査の発表をしているんですけど、やっぱり今の地球は“どんどん悪くなっているよ~。大変だよ~。危機感を持って!”っていうことばかりを伝えてきたんですね。
それだけじゃなくて、私たちが何とか頑張れば回復する力も持っているんだ! ということを、もうちょっと伝えていこうじゃないかということです。事実、回復している部分もあるんですね。
ですから、“最後だ、最後だ、もうダメだ “ってそういうことではなく、まだまだいろんなことをポジティヴに考えていこうってことで、『ネイチャー・ポジティヴ』、それにはやっぱりこれから生まれてくる子供たちとか、それから若い人たちに頑張ってもらわなきゃいけないということで、特に私は2、3年前からユースのみなさん、若者のみなさんの育成に募金を使わせていただいています」
(編集部注:募金で集まったお金は、頻繁に開催される国際会議にユース世代が参加するための渡航費用に充てているそうです。若い人が国際会議の現場に行くと、見違えるように成長して帰ってくると、イルカさんはおっしゃっていました。
イルカさんは、IUCN国際自然保護連合の活動をひとりでも多くのかたに知ってもらいたいという思いで「イルカwith Friends」というコンサートを毎年のように開催。IUCNの活動を紹介するコーナーがあったり、会場のロビーに展示ブースも設置。来年は20回目のコンサートが予定されています。
イルカさんがおっしゃるには出演者の顔ぶれが毎回変わるので、出演してほしいゲストにお手紙を書いて協力をお願いするため、準備に半年ほどかかるとのことでした)
地球を汚すものは買わないぞ! 主婦の権限!?
※イルカさんは、以前のインタビューで「お台所でいろいろ考えることが多い」とおっしゃっていたんですが、これはやはり「食」のことですか?
「そうですね。『わたしのキッチンファーム』っていう歌ができたのは、息子がとってもまだちっちゃい頃なんですけれど、私は働く主婦なので家にいる時も忙しいから、息子が赤ちゃんの頃から台所で遊ばせながら、料理したり家事をやっていたんですよ。
息子がやっと片言で喋れるようになった時に、大根の土を洗っていたら、“お母さん、この土はどこへいくの?”って聞かれたんです。その時に“これはね、ここから流れて、下水から川に行くんだよ。で、川から海につながっているから、うちのお台所は世界の海につながっているんだよ“って言った時に、自分でハッとなって・・・そうだよって。
だから、その当時はまだ息子のママ友っていうのかな? お母さんがた、仕事している人はそんな多くなかった、まだね。もう40年ぐらい前ですから・・・。それで、私は仕事しているけど、そういうお母さんたちが、“主婦業ってなんかつまんないし、それからすごく自分が社会から隔絶されたところにいるような気がして、寂しくなる時がある“っていうそんな話をよく聞かされたんですよ。
私は“いや、そんなことないよ! 本当にこのお台所から地球につながっているんだから、そういうことの根底を握っているのが主婦なんだから、お互いに頑張ろうよ“って話をしたら、”あっ! そうなんだ!“って言って喜んでくれたんですよ、みんな。
それで『わたしのキッチンファーム』っていう歌を作ったんだけど、自分の中では今でもお台所仕事はそういう意味で、洗剤ひとつ選ぶことに関してもそうだし、お野菜も極力、自然農法で作ったものを食べたいと思っているし、自分自身はできないけれども、そういうお仕事をしているみなさんを支持したり応援するってことは、私たち主婦がその権限を持っているんだ!(笑)ということで、“納得しないものは買わないぞ! 世の中、地球を汚すものは買わないぞ!“っていう、そういうことでも私たち環境活動に参加できるんだよ! って、そんな話をよくしていたんですよね」
●私も今年の5月に息子を出産したんですけれども・・・。
「おめでとうございます!」
●ありがとうございます! 確かに今イルカさんのお話を聞いて、ハッとしました!
「あらっ!」
●台所から地球につながっていますね。そうですね~!
「そうなのよ! ですから、子供ってそういうものをいろいろ教えてくれるから、これから楽しみですね! 若いお母さん!」
●ありがとうございます! ちゃんといいものを選ばなきゃっていう感じですね。
「そうよ! だって一日一日食べているものの積み重ねで、私達の体ができているからね。だからそういう意味では、未来の子供たちには、やっぱりこれでいいやっていうことにはならないでしょ、ねっ!」
●自然や環境のために普段の生活で心がけていることってありますか?
「極力ね。ですから生きているだけで、私たちって地球に対して申し訳ないことをいっぱいしているんだって、いつも思うんですね。だからこれ以上、地球に迷惑をかけないように生きていかなきゃって思うと、水や土や空気を汚さないものは何だろうっていうことを、衣食住の中で常に考えてチョイスするということですね。
それには正確な情報がないと自分で選べないじゃないですか。だからそういう意味では、IUCNの学者さんたちが、“今こんな感じで、ここの地域はこんな感じ”って言うことを、レポートで教えていただいたことを、なるべくみなさんにわかるような形で、“今やっぱり海水の温度がすごく上がってしまっているんだってよ “とか、”異常気象っていうのは、私たちが作ったものかもしれないね“とかね。そういうことを私の言葉でお伝えできたらいいなと思っています」
今この地球に生きている
※私たち人間が地球と仲良くして、よりよい地球を次の世代に渡すためには、改めて、どんなことが大事になってくると思いますか?
「まずやっぱり意識ですよね。自分は今この地球に生きているんだって。これ、息子がお腹にいる時に思ったんですよ。 “どんな息子さんを望みますか?”なんてよく聞かれたの。その時なんだろう・・・いちばん何を望む? まず健康で生まれてきてほしいっていうのは、みなさん同じなんだけれども、それ以上、何か? って言ったら、“今僕はこの瞬間にこの地球に生きているんだ!”ってことを、常に意識して生きてほしいと思ったんですよね。
だって、ご先祖様がず~っとつなげてくれた命じゃないですか。これは自分で終わらせちゃダメなんですよ。自分のこの世代で、私達の世代で、この地球を破壊して終わらせちゃったら、本当に申し訳ないじゃないですか。だから次の世代、未来の子供たちのために、今の地球を預かっているんだっていう、そういう意識ですよね。
そう思っているので、常に何千年も先の子供たちのためにっていう、そういう気持ちで生きています。でもできないことのほうが多いけどね・・・」
●本当に私たちの子供の世代、孫たちの世代、ずっとずっとその先も、よりいいものにしていかないといけないですよね。
「そうですね。それができるのは今だからね。今が未来につながっているでしょ。だから今を壊しちゃったら、やっぱり申し訳ないので・・・壊しちゃったら、“ごめんなさい!”って少しでもじたばたして修復しないとね」
●来年、活動55周年をお迎えになります。音楽を通してどんなことをいちばん伝えたいですか?
「そうですね。音楽は本当に音を楽しむものですからね、感性で・・・。メッセージ・ソングっていうことも、とても大切にしているんですけれども、あまりお説教ぽくならないように気をつけていますね(苦笑)。
夫はもう亡くなって18年経つんですけれども、夫がいつも私に言っていたのは、 “活動家になるな!”と・・・。“君はすぐそういう方向に行きがちだから、活動家になるのは、そういう専門の人がやればいいことであって、君はミュージシャンであり、アーティストなんだから、やっぱり作品としての美しさがなければいけない。だから説教くさいことを言ったりとかっていうのは、ほかの人に任せておけばいい。君には君にしかできないことがあるんだから、“美しさ、まあ言ってみれば「真善美(しんぜんび)」を失うな!“ということですね、アーティストとしての。
だからそこはいつも気をつけて、お説教くさい歌は作らないように気をつけて(苦笑)、少しでも芸術性の高いものを作って、みなさんがご自身の心の中で消化していただけるような作品を心がけたいなと思っていますね」
(編集部注:イルカさんは、親戚が呉服の仕事をやっていることもあって、2012年から「生物多様性」をテーマに着物のデザインも手掛けていらっしゃいます。展示会で一般のかたに、生物多様性のことなどをアピールできる良い機会になるとおっしゃっていました。以前は1年に一作つくっていたそうですが、コロナ禍があってストップしてしまったので、来年再開したいとのことでした)
INFORMATION

イルカさんは現在、最新の配信シングル「あいのたね♡まこう!」をツアータイトルにした、プレ55周年の全国ツアーを展開中。年明け2026年1月には、宮城、北海道、福島、2月には栃木、愛知、3月には神奈川でコンサート、その合間にはジョイントコンサートも予定。
そして2026年5月からはいよいよ「イルカ55周年コンサート〜あいのたね♡まこう」のバンド編成ツアーがスタートします。スケジュールや開催場所について詳しくは、イルカさんのオフィシャルサイトをご覧ください。
なお、ソロコンサートの会場には募金箱を設置し、IUCNの支援活動は続けていくとのことです。
◎イルカ・オフィシャルサイト:http://www.iruka-office.co.jp
2025/12/14 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. JOY TO THE WORLD / THREE DOG NIGHT
M2. あいのたね♡まこう! / イルカ
M3. まあるいいのち / イルカ
M4. HAVE YOU EVER SEEN THE RAIN / CREEDENCE CLEARWATER REVIV-AL
M5. わたしのキッチンファーム / イルカ
M6. 人生フルコース / イルカ
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/12/7 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、世界を股にかける写真家「竹沢うるま」さんです。
「大地」と「人間」をテーマに撮影を続ける竹沢さんの作品は、国内外で高い評価を得ていて、2014年には「日経ナショナルジオグラフィック」の写真賞を受賞。そして2015年にニューヨークで開催した個展は、多くのメディアで取り上げられるなど、大きな反響を呼びました。
きょうは、そんな竹沢さんに100カ国以上を巡った旅の本質や、「大地」と「人間」の写真に込めた思い、そして、銀座のキャノンギャラリーで開催される写真展のことなどうかがいます。
☆写真:竹沢うるま

気がついたら3年、世界を放浪!?
竹沢さんは1977年生まれ、大阪府出身。18歳の時に初めて行った沖縄の海に感動し、水中写真を撮るようになったそうです。そして同志社大学の3年生の時に、就職活動が嫌になって1年間アメリカに滞在。半年ほど西海岸で過ごし、LAの沖に浮かぶカタリナ・アイランドでよく写真を撮っていたとか。その後、アメリカを転々としながら、出会った写真家に撮り方を教わるなど、独学で写真を学んだとのこと。
そして帰国後、仕事をするなら、やりたいことをやる、という思いで、ダイビング雑誌の出版社に写真や履歴書を送り、めでたく採用。社員カメラマンとして、おもに海外で撮影の仕事をこなし、2004年24歳の時に独立し、フリーランスに。
ところが、食べていくために写真を撮る日々に疑問を感じ、このまま写真を仕事として続けるなら、自分の写真について考える時間が必要だと思い、思い切って仕事をストップ。1年ほど日本を離れて、海外へ。結果、2010年から2012年までのおよそ3年間、103カ国を巡る旅になったそうです。
※この3年にわたる旅では、どんな国々を巡ったんですか?
「1年くらい日本を離れて旅してみようかなと思って、で、考えていたのは南米に半年、アフリカにちょこっと、ユーラシア、それで1年。長くなったとしても1年半かなと思って日本を出ました。
その時は海から離れて、いろんな伝統とか文化が色濃いところを訪ね歩いていってたんですけども、日本で考えていたよりも世界って広いんだなっていうのを、すごく実感して旅をしていましたね。
で、ここいいな〜、あそこも行ってみたいな〜っていうのを追い求めてやっていると、気がついたら1年経った時点で、南米にまだいたんですよ。やばいな〜、アフリカに行かないと、と思って、そこから中東に行ってアフリカに行きました。
全部陸路で、大陸を渡る時は飛行機ですけども、大陸の中では全部、バスとか鉄道だったんですね。で、アフリカを縦断して、アフリカは面白いな〜と思って、そのあとまた北のほうに上がって行って、気がついたらアフリカが終わった時点で2年経っていましたね。
こうなったらもういいや、行くだけ行こうと思って、結局、最後はユーラシアも最西端のポルトガルのロカ岬から陸路でずっと日本まで帰ってきたと・・・それでさらにまた1年かかって結局3年弱ぐらい・・・別に望んでいたわけではないんですけど(笑)、結果そうなった感じですね」

●バックパッカーみたいな旅だったんですか?
「そうですね。思いっきりバックパッカーですね。たぶん誰よりもバックパッカー的なバックパッカーだと思いますよ(笑)。バックパッカーの方法論はすべて実践してきた感じではありますけども、本当にいいスタイルだと思います。
今でも時々バックパックを担いで旅をしますけれども、バックパッカーの自由さというか、縛りがない感じは自分を解き放つ感じがして、それを旅の世界で表現していくっていう感覚がありましたね。
ある意味、バックパック・スタイルで旅をするっていうのは、自己表現なんだなっていうのもあったので、すごくいい旅をしていたんだなって今思いますけどね」
旅の本質は「移動」、「線」にある
※世界を巡る旅では、インフラが整っていない国や地域にも行ったんですよね?
「そういうところを中心に行ってましたね。そういったところのほうが、より人間の営みが濃いというか、大地の力強さがより強いとか、そういった感覚があったので、そういったところを好んで行ってたっていうのはありますね」
●目的地に着くまでも大変そうですけど・・・。
「まあ大変ですよ(笑)。大変だけど、目的地っていうのはただの目的地。旅の本質ってやっぱり移動にあるので、充実した移動であればあるほど・・・僕が言っている充実した移動というのは、効率的な移動ではなくて、自分の足で動いて行っている・・・きちんと途中の風景なり出会いというものを大切にして移動していく。
そこが旅の本質だと思うので、目的地は単なる便宜的なゴールであって、そこに着いて何かを見るっていうよりかは、移動中にこそ旅の見るべきものがあるんじゃないかなという感覚がありましたね。でも大変っちゃ大変でしたね。バスに乗って24時間の移動とかは近いなって感じだから・・・」
●ええ〜っ!?
「アフリカでは、おんぼろバスに40時間乗り続けるってこともあったし、いちばん長い移動だったのは中国ですね。ウイグルから四川省まで列車で移動したんですけれども、国慶節にかぶっていて、すごく大混雑する時期だったんですよ。
それで速い列車が取れなくて、しかも指定が取れなくて、席の奪い合いみたいなことをして、なんとか席を確保して、そこから80時間列車の中、乗りっぱなし・・・寝台でもなんでもない普通の列車に80時間乗りっぱなしとかもありましたけどね」
●80時間〜! でもその移動が竹沢さんにとっては、大事なポイントになるんですよね?
「そうですね。移動こそが、飛行機を使わなかったっていうのが、やっぱりそこなんですけども、点として旅を捉えるのではなくて、点と点がつながって線になっているっていう、線として自分の動いていった軌跡を残したいなっていうのもあって、線となったその旅の軌跡はやっぱり人それぞれ違うんですよ。どういう線になるのかっていうのは・・・。
旅が終わって振り返った時にひとつの線になっているわけですよね。それってやっぱり自己表現なんじゃないかなって、その人がやってきた旅の個性なんじゃないかなと思っていて、だからこそ線が大切である。で、線はどういうことかって言うと移動、そこが最も本質的なところなんじゃないかなと思っていますね」
(編集部注:竹沢さんがこれまでに訪れた国は、なんと145から150カ国ほどだそうです。とはいえ、この5〜6年は日本で撮影していることが多く、最近では鹿児島県三島村の黒島・硫黄島・竹島、トカラ列島の悪石島などに行って写真を撮っていたそうですよ)
日本にいちばん違和感!?
※2010年から2012年までの世界を巡る、およそ3年間の旅は竹沢さんにとって、どのような意味がありましたか?
「あの旅に関してはWalkaboutってタイトルにつけているんですけども、ひとことで言えば、”通過儀礼”だったなと思いますね。そのWalkaboutって何かって言うと、オーストラリアの先住民アボリジニのかたがたは、ある一定の年齢に達するとひとりで旅に出るんですね。
ひとりで旅に出て、半年から1年ぐらい何も持たずに、ずっと大地を旅するんですよ。その旅を終えて帰ってきた時にその村の一員として、大人として受け入れられるんですけども、その旅のことをWalkaboutって言うんですね。
一種の通過儀礼、ひとりの人間として成立する上での通過儀礼、自分にとって、この3年間の旅は通過儀礼だったんじゃないかなというところで、Walkaboutというタイトルをつけているんですよ」
●旅をする中で、やっぱり自分は日本人だなって思う瞬間はありましたか?
「異文化の人たち、全く違う価値観の人たちと会うので、どんどん自分っていうのは、こういう人間なんだなっていうアイデンティティは明確化していくと思うんですよ。自分ってやっぱり、日本人だなとは思わないんですけども、彼らとは違うんだなっていうのはすごく思います。
最終的に3年、旅して日本に帰ってきて、最後、韓国の釜山から船に乗って福岡にフェリーで帰ってきたんですね。
ちょうどクリスマスのタイミングで夜着いて、福岡市の駅に着いた時にイルミネーションがすごくて、人が多くて、みんな綺麗な服を着ていて、すごく歩くのが早くて・・・その時に、3年ぶりに帰ってきた時に思ったのは、この旅で103か国をまわったけど、日本がいちばん違和感があるなっていう(笑)、なんかちょっと違うとこに来ちゃったなみたいな感覚がすごくありましたね。
要は、もちろん旅をしている間に自分は、日本人っていうのを自覚することは多かったけれども、やっぱり会う人々、価値観、文化、伝統を出会うたびに自分の中に取り入れてきてたんだな、それが3年分集積されていて、自分を形成していたと・・・なので、3年ぶりに日本 帰ってくると、日本がすごく外国に見えたというか、そういう感じはありましたね」
人を撮る時、敬意を持って接する
※竹沢さんの撮影のテーマは「大地」、そして「人間」ということなんですが、特に人間を撮る時に心がけていることがあったら、教えてください。
「第一はやっぱり相手を尊重することかなと思いますね。相手の文化だったり価値観というものに、まずそこに対して敬意を持つこと。それプラス、写真を撮るっていう行為は結構、暴力的な行為なんですね。
その人に属している時間を写真に撮ることによって、写真に落とし込んで、それをいわゆる写真家である僕で言うと、自分の作品として発表するわけですね。その人に属している時間だったりとか、というものを自分のところに引き寄せてしまうという行為でもあるんですね。
非常に暴力的で、だからこそやっぱり相手に対しては、撮影する時は敬意を持って接する必要があるんだろうなと、そういうふうに考えていますよね」
●竹沢さんの作品を見ていると、人々の熱狂だったり祈りだったり、少女の笑顔があったり、その一方で厳しい自然の風景があったり、はたまたどういう状況の写真なのかなっていうのをすぐには掴めずに、じ~っと作品に見入ったりすることもあるという感じだったんですけれども、写真家として見る人に考えてもらうっていうことを意識されて作品を作られているんですか?
「いや、特に考えてもらうということはあまり意識してなくて、一時的には衝動的には撮っていますけども、僕としては見る側に、こうであってほしいなっていうのは、考えてもらうっていうよりかは、その写真がその人の中に深く長くとどまってくれるものであったら嬉しいかな~っていうのは、常々考えているとこではありますね」

●シャッターを押す時って、構図を考えてじっくり待ってから押すんですか? それとも、これだ! と思って瞬間的に押すんですか?
「僕の場合は瞬間的に押す場合が多いですね。写真って考えたものがビジュアルに落とし込まれると、だいたい退屈なんですよ。人間の想像の枠の範囲内のものしか出てこないので・・・そういったものは、見る側も読み取れてしまうので、この人こうやって考えたって・・・要は感覚として伝わってこないんですね。
表面的に、この人はこういうふうに考えたんだったなっていうのが先に伝わってしまうので、それよりかは何も考えずに衝動的に撮っていくほうが、よりその相手に何かしら伝えるものになっていくんじゃないかなとは思っていますね」
写真展「Boundary | 中心」〜世界の中心は?
※12月9日からキャノンギャラリー銀座で、写真展「Boundary | 中心」が開催されます。これはどんな写真展なんですか?
「この『Boundary(バウンダリー)』というシリーズは、これで2回目なんですけれども、1回目は『Boundary|境界』というテーマで、境界ってどういうことなんだろうかと・・・自分と相手を隔てる境界、もしくは国と国を隔てる境界、価値観と価値観を隔てる境界って何だろうか? そこを考えるシリーズだったんですね。
今回の『Boundary|中心』は、世界の中心って一体どこにあるんだろうか? その問いを自分の中に持って世界各地を旅して、撮影したところはインドネシア、ベナン、モンゴル、ペルー、クック諸島、インド、日本ですね。
世界のそういう国々の、いわゆる我々日本人から考えると、とても異質なもの、自分たちの価値観と遠く離れた価値観を持っている人たちを訪れて、果たして世界の中心ってどこにあるんだろうか? っていうのを写真で問いかける内容になっていますね」
●何点ぐらい展示されるんですか?
「展示は、60点ぐらいですね」
●写真展の開催に向けて、ここを見てほしいというようなポイントがあれば、ぜひ教えてください。

「写真展で展示している写真には、こっちを見つめている人の写真が多くあると思うんですよね。彼らの目線を捉えた時に、自分の中でどういった問いかけが起こるのかっていうのをぜひ感じてもらいたいなと・・・。
そういった写真の中で、彼らの目線から世界に中心ってどこにあるんだろうかっていう問いかけが来ると思いますので、それに対して自分はどういうふうに答えるんだろうかと、そういうふうに考えながら見てもらえると嬉しいかなと思いますね」
●これからの写真家人生のテーマも、変わらずに「人間」であり「大地」ですか?
「そうですね。これで一段落するわけですけど、次のテーマとしてやるとしたら・・・まあでも『人間』っていうのは変わらないかなと思います。やっぱり自分が旅を始めた頃に接した人たちは、今も変わらず、そこにいると思うんですよ。もう一回訪れてみたいなと思うんですよね。
それは何でかって言うと、やっぱり自分の考え方が変わったから・・・世界の中心はどこにあるんだろうかとか、境界って何なんだろうかって、そうやってこの5年ぐらいで多く旅をしてきたからこそ、辿り着いたテーマではあるんですけれども、その上で自分なりに結論みたいなものを得たので、そういった自分の今の感覚を持って、もう一度、人間に会いに行きたいなっていうのはありますね」
●では最後に、竹沢さんにとって写真とは?
「自分にとって写真とは、“存在証明”かなと思っていますね。自分が確かにその場に立って、風景でも人間でもいいけれども、その前に立って自分の心の揺らぎというか、流れみたいなものを確かに感じていたと、それが写真としてビジュアル化されたもの、それが写真なんだと、自分にとっての写真なんだと・・・だから自分が確かにそこに存在していたっていう存在証明なのかなと思っています」

INFORMATION
写真展「Boundary |中心」

12月9日から24日まで、キャノンギャラリー銀座で開催。
開館時間は午前10時30分から午後6時30分まで。入場は無料です。
見るものに問いかけるような竹沢さんの作品をぜひご覧いただき、
「世界の中心」はどこにあるのか、考えてみてはいかがしょうか。
12月13日と20日のいずれも土曜日の午後2時から、
竹沢さんのギャラリートークが予定されています。
写真集『Boundary |中心』
12月中旬に青幻舎から発売予定の写真集にもぜひご注目ください。
384ページにも及ぶ渾身の一冊で、
日本人には想像もつかないような世界の写真が掲載されているそうです。
写真展「On The Shore〜波の音が生まれる場所」
竹沢さんは地元鎌倉でも、別のテーマで写真展を開催されます。
二拠点生活をしていた南太平洋のクック諸島と、鎌倉で撮った
およそ30点の写真を展示。
開催は12月15日から年明け1月18日まで。
会場は隣接するふたつの店舗「OFF SESSiON」と「海と本」のギャラリー。
入場は無料。
写真展や写真集について
詳しくは竹沢さんのオフィシャルサイトをご覧ください。
◎竹沢うるま:https://uruma-photo.com
2025/12/7 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. LIVING IN THE MOMENT / JASON MRAZ
M2. A TRAVELER / SPEECH
M3. I FEEL THE EARTH MOVE / CAROLE KING
M4. TURNING THE WORLD AROUND / RODDY FRAME
M5. 星の物語 / 松任谷由実
M6. HUMAN / BRANDY
M7. NOTHING’S GONNA CHANGE MY LOVE FOR YOU / GLENN MEDEIROS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/11/30 UP!
◎村上貴弘(岡山理科大学・理学部の教授)
『「アリがしゃべる」!?〜アリ語の解明に挑む「アリ先生」!』(2025.11.30)
◎矢部 淳(国立科学博物館・生命史研究部・進化古生物研究グループ長)
『国立科学博物館で開催中の『大絶滅展〜生命史のビッグファイブ』を特集!』(2025.11.23)
◎佐藤成祥(東海大学・海洋学部の准教授)
『イカやタコの奇想天外な繁殖方法〜リレーバトン方式!? 電車方式!?』(2025.11.16)
◎中島保寿(東京都市大学・准教授/古生物学者)
『海の古代生物たちを「ジュラシック水族館」で展示!?』(2025.11.09)
◎吉田友和(旅行作家)
『橋は面白い! 橋旅のすすめ!』(2025.11.02)
2025/11/30 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「アリ先生」として知られる岡山理科大学・理学部の教授「村上貴弘(むらかみ・たかひろ)」さんです。
村上さんは1971年、神奈川県生まれ。茨城大学卒業。北海道大学大学院で博士号を取得。研究テーマは「菌食アリの行動生態」。菌食アリは「菌を食べるアリ」と書くんですが、おもにハキリアリのことだそうです。
きょうは村上さんが出された新しい本『アリ先生、おしゃべりなアリの世界をのぞく』を参考に、農業をするアリ「ハキリアリ」の、音を使ったコミュニケーションや、コロニーを維持するための高度な社会性など、驚くべき生態に迫ります。

地球はアリの惑星!?
※本の最初に「地球はアリの惑星」と書いていらっしゃいます。その心は?
「意外に思われるかもしれないんですが、地球上にいるアリを全部集めて重さを測ると、全人類の重さより重くなるっていう研究があるんですよ」
●あんなに小さいアリなのに!?
「はい、しかも数的には二京、それぐらいの個体数がいて、地球のあらゆるところにいるので、実は地球は『アリの惑星』って言えるんじゃないかっていうことですね」
●ええ~っ! アリはいつ頃地球に出現したんですか?
「かなり昔で、だいたい1億1千万から2千万年前ぐらいにこの地球上に誕生したと言われています。人間が20万年前ぐらい前なんで、そう考えると随分(アリは)先輩だなという感じですね」
●大先輩なんですね~。現在、世界で何種類のアリが確認されているんですか?
「これも毎年新種が出るので、なかなか難しいんですけど、だいたい1万1千から2千種ぐらい記載されていまして、日本国内だと300種類ほど、記載されていますね」
●その中から村上さんがメインに研究されているのが「ハキリアリ」なんですよね?
「はい、そうです」
●改めて、どんな生態を持つアリなのか教えていただけますか。
「テレビとかで、葉っぱ運んでいるアリをよくご覧になることもあるかとは思いますが、あれがハキリアリです。日本には生息してなくて、アメリカ南部とか中米、ブラジルとかパナマとか、そういったところにしか棲んでないんですね。
森から葉っぱを切り出して、行列で運んで巣に持って帰るんですけど、直接あの葉っぱを食べるわけじゃなくて、それを細かくちぎって丸いボール状にして、そこにキノコを植え付けて、育てたキノコを女王とか幼虫が食べるっていう、そういう農業をするアリなんですよ」
●キノコは、どうやって育てているんですか?
「どうやってっていうか・・・我々、農業をするかたがやっているのと一緒で、肥料をあげたりとか、伸びすぎたら切り取ったりとか、雑草っていうか、ほかの菌が生えたら取り除いたりとかっていうのを、本当に日々細々、ず~っとお世話をして維持しているっていう感じですね」
●キノコアリということですよね?
「基本は、はい」
●そのキノコアリは世界に何種類いるんですか?
「キノコアリは、それも250種か260種ぐらいです」
●ハキリアリも、キノコアリの仲間なんですよね?
「仲間ですね。その中で、いっぱい葉っぱ切るのをハキリアリって呼んでいます。
●キノコを食料としているんですか?
「そうです。ただ働きアリがキノコをいっぱい食べるわけじゃなくて、女王アリと幼虫がメインでキノコを食べています」
●働きアリたちは何を食べているんですか?
「これが意外とご存知ないというか、なかなかシビアな話なんですけど、働きアリになると、実はあんまりご飯を食べないんですよね。だから葉っぱを切っている時にしみ出たお汁をちょっと吸うぐらいで・・・」
●ええ~っ!
「そうなんですよ」
●ハキリアリの女王アリは、ひとつのコロニーに1匹・・・?
「そうです」
●女王アリの寿命は、だいたいどれぐらいなんですか?
「これも非常に驚かれるんですけど、僕が調べた中でも21年ぐらい生きたやつがいて、だいたい20年ぐらいは生きているって言われています」
●その中で生涯産む卵の数はどれくらいなんですか?
「1個体で3000万個以上って言われているんで、それだけいっぱい卵を産むんですよ」
巨大な巣に、天然の換気システム
※ハキリアリの巣の大きさは、どれくらいなんですか?
「これも地域によってサイズがばらつくんですけど、ブラジルの草原に作るやつがいちばん大きくて、それはショベルカーで掘るほどの大きさで、だいたい直径が10mぐらい、深さが5mぐらいの巣になっちゃいます」
●どんな構造になっているんですか?
「だいたい直径15cmぐらいのキノコ畑が、その地中にマンションのように埋まっていて、10mぐらいの巣だと、2000個とか3000個ぐらいのキノコ畑がありますね」
●部屋が分かれている感じなんですね?
「そうですね、はい」
●本に「天然の換気システム」と書かれていました。これはどういうことなんですか?
「僕はテキサスとパナマで、ハキリアリの巣を10個ぐらい掘ったことがあるんですけど、そういったキノコ畑の部屋のほかに、脇のほうにもっと深い地中につながる大きな穴が開いているんですよ。
そこから冷たい空気がわ~と吹き込んできて、キノコが発酵している熱と混ざって、巣の中が27度、湿度がだいたい70%から80%ぐらいで、ず~っとキープされていて、余分な空気は煙突みたいなところから排気されるっていうふうになっています。なので、全く電気も使わないのにエアコンが完備されているっていう素晴らしいシステムになっていますね」
生まれた時から、仕事が決まっている!?
※そんな大きな巣は働きアリが作っていると思うんですけど・・・「働く」といっても、いろんな仕事があるんですよね?
「そうですね。僕は最初そういう研究をしていました。ハキリアリのワーカー、働きアリに1個1個、点を付けてマーキングして、どの個体がどんな仕事しているのかなっていうのを100時間ぐらい観察して、そうするとだいたい30ぐらいのタスク、お仕事しているっていうことがわかっています。33ぐらい・・・?」
●どんな仕事があるんですか?
「ありとあらゆる仕事があるんですけど、葉っぱを切ってきて戻ってきたら、その葉っぱを綺麗にする係もいれば、細かくちぎって組み上げるのもいれば、肥料をあげる係もいて、ゴミ捨てをする係もいて、巣の掃除、それから幼虫の世話、いろんな仕事がありますね」
●「私、ゴミ捨てやる」とか「私、掃除する」とか、そういうのって、どうやって決まるんですか?
「社会があんまり大きくないアリだと、年齢で決まっているんですよ」
●え~っ!
「これもちょっとなかなか、人間に当てはめると大変なんですけど、歳を取ると危険な仕事するんですよ」
●そうなんですか・・・?
「はい、若いうちに危険な仕事して命を落としちゃうと、コロニー全体の労働力にとって、すごく損失が出ちゃうんで、老い先短いほうが外に出て、何かあったとしても、ほぼ寿命だろうということにするんですが、ハキリアリぐらい(コロニーが)大きくなっちゃうと、それだとなかなか間に合わないので、基本的にハキリアリは遺伝的に生まれた時からだいたい仕事が決まっています」
●そうなんですか。生まれた時から決まっているんですか?
「はい、だから“私はキノコの世話しかしない”ってなったら、死ぬまでキノコの世話しかしない」
●ず~っと同じ仕事やり続けるっていうことなんですか?
「はい」
●え~っ!
「ただ先ほどハキリアリの女王アリは20年、生きるって言ったんですけど、働きアリは3ヶ月しか生きないので、一生と言っても短いんですよね」
●なるほど。働きアリって、休むこともありますよね?
「ハキリアリの働きアリは、ほとんど休まないです」
●そうなんですか。
「だから3ヶ月しか生きない・・・」
(編集部注:ハキリアリに限らず、働きアリは全部メス。女王アリはオスも産むそうですが、オスは1年のうち、限られた時期にしか出てこないそうです。
村上さんがおっしゃるには、オスは遺伝子的にいろんなことができないため、普段はなにもせず、巣の中をうろうろしているだけ。働きアリからは、煙たがられているそうです。
オスは翅があるので飛んでいって、ほかの巣の女王アリと交尾して、一生を終えるとのこと。言ってみれば、オスは繁殖のためだけにいるってことなんですね。
ちなみに、村上さんが初めてハキリアリに出会ったのは、1993年10月、パナマ運河に浮かぶ「バロ・コロラド島」という無人島。子供の頃から昆虫図鑑で知っていた、憧れのアリの実物に出会えたのは22歳の時で、その後、毎年のようにバロ・コロラド島に通ってハキリアリの調査・研究をされています)
ハキリアリはおしゃべり!?
※村上さんの本『アリ先生、おしゃべりなアリの世界をのぞく』のタイトルにある「おしゃべりなアリ」、これは村上さんが2012年から研究されている、ハキリアリが発する声というか、音なんですよね。
●ハキリアリってしゃべるんですか?
「そうなんですよ。ハキリアリだけじゃなくてアリの(種の)半分ぐらいがしゃべれるんですけど、我々の研究グループで開発した録音装置を使うと、ハキリアリだと、すごくおしゃべりをするっていうのを見つけたのが2012年ですね」
●言葉のようなもので、コミュニケーションをとっているっていうことなんですか?
「まあ言語と言っちゃうと怒られるんですけど、解析している感覚だとやっぱり言葉に近い、言語に近いものを使っているんじゃないかなって思って解析を進めています」
●どうしてそれに気づいたんですか?
「最初にハキリアリの巣の中に録音装置を入れてイヤフォンで聴いた時に、めちゃくちゃしゃべっているんですよ。音がすごく溢れていて、なんか宇宙人の会話を聴いているような、それぐらい音のやり取りがあって、何かしら意思の疎通をしているんじゃなかろうかっていうぐらい活発な音があって、これはちゃんと解析せにゃいけんなっていう感じでしたね」
●初めて聴いた時はどうでした?
「もう本当にびっくりして・・・なんかちょっと感動というよりは怖かったですね」
●なんだ、これという感じ?(笑)
「なんだ、これはっていう・・・これはやばい世界をそれこそ覗いてしまっている、盗み聴きしてしまっているんじゃないだろうかって・・・」
●ハキリアリにはその声というか、音を出す器官みたいなものがあるっていうことですか?
「はい、半分ぐらいのアリはそもそも発音する器官を持っていて、それは電子顕微鏡とかで確認しているんですね」
●会話ができているっていうことは、耳のような音を聴く器官もあるっていうことですよね?
「はい、意外なことにアリの耳がどこにあるかっていうのを、正確にはまだちょっとわかってなかったんですけど、一応我々の研究チームで耳の研究もしていまして、今のところアリの耳は確実にちゃんと、しかもいっぱいあるっていうのがわかっています」
●いっぱい、あるんですか?
「いっぱいあったんですよ」
●へぇ~、どこにあったんですか?
「各足に2個ずつあって、触覚にもあるので14個あるんですよ」
キュキュ、キョッキョッ・・・アリ語!?
※村上さんはハキリアリの、ごくごく小さな音を録音するために、15年ほど前に専門家と一緒に録音装置を共同開発。それは秋葉原などで市販されている安価なコンデンサーマイクを使って作った録音機材で、アンプとパソコンにつないで増幅して、音を聴くそうです。
●これまでにどれくらいの時間、録音して、どの程度、解析できたんですか?
「いちばん一生懸命、研究しているときだと3ヶ月まるまる使って・・・それでもファイルの時間数でいうと、合計で10時間分くらいなんですね。その解析に例えばひとつ15分のファイルで1ヶ月半ぐらいかかっています。その解析まで含めたら膨大な時間をかけてやっています」
●言葉のようなものをひとつひとつ拾っていくってことですよね?
「しかも別に参照するデータがあるわけじゃないので、この音は例えば僕らが聴こえる音の感じだと、“キュッ”なのか“キョッ”なのか“ギッ”なのかっていうのをちょっと当てはめてメモして、それを切り出して、音素解析っていうのをやっていくんですけど、さっき言った15分のファイルで1ヶ月半かかったファイルだと、7700回くらい音が出ているんですよ。
大学にいる間に解析が終わらないので、家に帰ってもやるんですけど、あまりに大変で寝落ちしちゃって、娘が起こしてくれたんですけど、その時に娘に向かって“キュキュキュキュ、キョッキョッキョッ”って・・・(笑)。(娘が)“お父さん、お父さん、アリ語、喋っているよ?”ってなってしまったぐらいな感じにはやっています」
●本当にたくさんの時間をかけて研究されていたんですね(笑)。これまでにわかった言葉のようなものって何種類ぐらいあるんですか?
「統計的に優位な差が出ているのは15種類あって、そのうち体のサイズも合わせてやるとなると、条件を厳しくして11種類になっているので、日本語で51音、英語で26音と考えると、音のタイプとしては結構多いんじゃないかなと思います」
●それぞれ意味があるんですよね?
「基本的には、この刺激とかこの状況でこういう音っていう・・・」
(*放送ではここで、特別にお借りしたハキリアリの音のデータを聴いていただきました。流した音は3つ。いずれも働きアリで「マメ科の葉っぱを切る時に発する音」「キノコ畑での警戒音」「幼虫の世話をいている時の音」)
●女王アリも音を発するんですか?
「女王アリの出す音は、ちょっと怖い音を出すっていうのがわかっています」
●ほかのアリとはまた別の音ですか?
「全然違いますね」
●どう違うんですか?
「(女王アリは)ものすごく大きい音を出すんですけど、その音を聴かせると働きアリはその場でフリーズしちゃうんですよ。
僕が女王アリの音を録っている時の状況は、どうしても巣を破壊している時が多いので、働きアリが右往左往としている時に、女王アリが大きい音を出すと、働きアリはそこで一瞬フリーズするんですね。
おそらくその隙に女王アリは逃げちゃうと・・・だからその音の役割としては、“あなたたちは、ここに留まって闘いなさいよ”っていう意味なんじゃないかなっていうふうに推測しています」
(*放送ではここで特別に、女王アリが発する音をお聴かせました)
●ハキリアリ以外のアリも、おしゃべりはするんですか?
「そうですね。これも僕の研究なんですけど、社会があまり大きくないグループって、おしゃべりじゃないんですよ。ちっちゃいコロニー、あまり働きアリがいっぱいいないやつは、すご~く静かな社会です。
社会がどんどん複雑になればなるほど、すごくおしゃべりになっていくので、これは別にアリに限ったことじゃなくて、やっぱり社会を維持するところでは、結構、普遍的な原理なのかなっていうふうに思っています」
アリとネゴシエーション!?
※村上さんの研究で、ハキリアリの言葉のようなものがわかってきて、今後「アリ語」の解明がもっと進めば、どんなことに役立つと思いますか?
「基本的には純粋にサイエンスを追求したいというのがあるんですが、ハキリアリは習性を知っていただければわかるように葉っぱを切っちゃうんで、非常に人間の社会にとっては影響が大きいと・・・。
例えば農作物とか果樹園の木の葉っぱを切っちゃって農業被害が出ちゃうんですが、ブラジルの国家予算の10%くらいがハキリアリ対策予算って言われていて、それがだいたい化学物質、農薬とか殺虫剤を使っちゃうんですけど、かなり環境の負荷が大きいんですね。
音を使ってアリに言うことを聞かせるっていうかネゴシエーションして、腹を割って話して、“こっちに来ないで”とか、もうちょっと進んだら、“うちの雑草を刈ってよ”とか、そういうふうなことができると、とてもいいなって思って研究しています」
●村上さんがアリ語をしゃべれたら、アリに何を聞きたいですか?
「もう30年くらいアリを飼育していたり、研究しているので、なんとなくはアリの言っていることはわかる気がするんですね。特別にこれを聞きたいっていうことはないんですけど、まあなんか日常会話をしてみたいなっていう気はしています」
●いずれは「アリ語辞典」とかも作ったりできるってことですよね?
「そうですね。だから一部、そういうふうなものを作りつつあるっていうことだとは思うんですけど・・・」
●寝言でアリ語をしゃべっちゃう村上さんですけど、アリになりたいと思ったことはありますか?(笑)
「だからそういうことしている時って、アリと人間の境目は割とない感じはしていて(笑)、一生懸命、行動観察とかしていても、どっちかっていうとアリの世界の中に降りていっている感じがしているから、既にアリの一部にはなっているんじゃないかなって思っています」
●では最後に、この本『アリ先生、おしゃべりなアリの世界をのぞく』を通して、どんなことをいちばん伝えたいですか?
「そうですね・・・さっきもちょっと言いましたけれど、やっぱりアリの多様な世界を見て、そして我々がなんとなく先入観で、進化ってすごくいいものが残るみたいに思っているんですけど、そうじゃなくて、多様でいろんなものがこの地球上には残る可能性があって、それはあまりカチカチと考えるんじゃなくて、アリをのんびり眺めていれば、よくわかるんじゃないかなっていうのが伝わるといいな~って思っています」
(編集部注:村上さんは小・中学生の子供達と「アリリンガル」プロジェクトを進めていらっしゃいます。アリとおしゃべりするための、アリ語翻訳機を子供たちと一緒に作っているそうですよ)では、結構、普遍的な原理なのかなっていうふうに思っています」
INFORMATION
村上さんの新しい本には、アリの生態に魅せられた村上さんの、少年時代のエピソードから、研究者になってからの、とんでもなくユニークな日々が綴られています。老若男女が楽しめるエッセイをぜひ読んでください。
巻末には、村上さんが描いたイラストによるアリ図鑑も掲載。そしてQRコードからハキリアリの発する音が聴ける特典がありますよ。ぜひ本をお買い求めのうえ、特典にアクセスしてください。
扶桑社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
2025/11/30 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. ありの歌 / やなわらばー
M2. Video / India Arie
M3. Make It On My Own / Alison Limerick
M4. Try Again / Aaliyah
M5. No One / Alicia Keys
M6. Speak Now / Taylor Swift
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/11/23 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、国立科学博物館・生命史研究部・進化古生物研究グループ長の「矢部 淳(やべ・あつし)」さんです。
現在、上野の国立科学博物館で好評開催中の『大絶滅展〜生命史のビッグファイブ』。この特別展は、地球に生命が誕生して40億年の間に起こった「大量絶滅」にスポットを当てた、これまでにはない展示となっています。
海の古代生物の化石や恐竜の骨格標本など、なかなかお目にかかれない貴重な標本が工夫を凝らして展示。迫力のある映像にも圧倒されます。
さらに音声ナビゲーターとして「福山雅治」さんが出演。また、福山さんが世界の秘境や辺境で撮った写真も展示されていて、こちらも話題になっています。
今週はそんな『大絶滅展〜生命史のビッグファイブ』をクローズアップ!
この特別展の総合監修を担当された国立科学博物館の古生物学者、矢部 淳さんをお迎えし、これまでに地球で起こった5回の大量絶滅を紐解きつつ、今回の特別展の見どころなど、お話しいただきます。
☆写真協力:国立科学博物館

5回の大量絶滅「ビッグファイブ」
※矢部さんは1971年、茨城県生まれ。筑波大学から大学院、そして福井県立恐竜博物館を経て、2012年から国立科学博物館の古生物学者として活躍されています。
ご専門は植物の進化。日本全国、北は北海道から南は沖縄まで調査に出かけ、植物の化石などを採取。植物がどんな環境で移り変わってきたのかに注目し、研究。古代の植物から当時の環境と生き物との関係性を知ることができるそうです。
●それでは矢部さんにお話をうかがっていきます。今回の特別展は「大量絶滅」にフォーカスした展示になっています。大量絶滅をテーマにしたのは、どうしてなんですか?
「大量絶滅、今回は大絶滅という言い方もしているんですけども、みなさん一般的には、おそらく恐竜が絶滅したことがよく知られていると思うんですよね。多くのかたのイメージとしては、恐竜は隕石が衝突して絶滅した、その研究はもう終わってしまっていて・・・というふうな印象があるんじゃないかと思ったんですね。
実はこのあとお話をする5回の大量絶滅、全部について、現在も多くの研究が行なわれていて、研究会というか学術会ですごくホットなんですよね。
そういったことを紹介したいなっていうことがひとつと、もうひとつは現在、私たちが暮らす環境において、いろんな生物が絶滅の危機に瀕していることが知られていると思うんですけれども、過去に学ぶことで、私たちの今のことを考えるきっかけになればいいな、そういったふたつの思いがありました」

●この特別展の副題に「生命史のビッグファイブ」とあります。改めてこのビッグファイブとは、どういったことなんでしょうか?
「目に見えるサイズの化石が見つかるようになったのが、およそ5億4000万年ぐらい前なんですね。それ以降、化石がたくさん見つかるようになります。それはなぜかというと、殻を持つもの、あるいは骨格を持つものがその時期に現れたからなんですね。
それ以降の時代で、生物の多様性を並べてみた時に5回、多様性がすごく減る時期があることが知られていて、それが大量絶滅と言われるものなんですけれども、その5回を『ビッグファイブ』と呼んでいます」
●先ほど矢部さんからお話がありましたけれども、巨大な隕石が衝突して恐竜が絶滅したという話は聞いたことはありました。それ以外の大量絶滅は、どんな原因があったんですか?

「まだわかってないこともいろいろあるんですけれども、最近の研究でようやくわかってきたのが、5回のうちの4回、要は恐竜の絶滅以外の4回は、いずれも大規模な火山の活動によるものだったと考えられるようになってきています。
火山の活動が活発になると、小尾さんもたぶん想像できると思うんですけど、温室効果ガスがたくさん含まれているんですよね。CO2ですけども、それがたくさん含まれているものが放出されると、例えば温暖化するとか、逆に火山灰が地球の成層圏を覆ってしまうと、太陽の光が届かなくて寒冷化するとか、火山の活動がきっかけとなって、いろいろな環境の変化が起こる、それがいろんな生物に影響した、そういったことだと考えられるようになっています」
(編集部注:矢部さんによると、学者や研究者が大量絶滅に気づいたのは、意外に早くて、19世紀の中頃で、地層に残っていた化石が地質年代の前後で大きく変わることから、大絶滅があったとわかったそうです)

3番目の大絶滅が最大級!
※5回の大量絶滅それぞれで、どんな生き物が絶滅し、そのあと、どんな生物が繁栄していったのか、教えてください。
「5回の絶滅は古くなればなるほど、みなさんにあまり馴染みのない生き物が多くなるので、ちょっと難しいかもしれないんですが・・・いちばん最初の絶滅、これは古生代の前半、オルドビス紀とシルル紀という時代の境、およそ4億4500万年ぐらい前だと言われているんですね。
この時期の絶滅は、まだ陸上に生き物がほとんどいなかった時代なので、おもには海で起こっていて、その頃生きていた、例えば三葉虫とか腕足動物とか聞いたことありますかね・・・そういった生き物が大きな影響を受けていますね。
その後の世界は、実はそれまでにいなかった珊瑚の仲間がすごく発達して、そのお陰でそれを中心とした、例えば顎を持った魚とか、様々な生き物があとの世界で繁栄したと考えられています。
2番目の絶滅、これはデボン紀という時代の終わり頃に起こったと言われていて、3億7000万年前ですね。この時の絶滅では先ほど言った珊瑚類が結構、実は影響を受けて、三葉虫の仲間も影響を受けて、顎を持たない魚・・・これらの仲間が絶滅をしたと言われています」
その後の世界に出てくるのが、今私たちの身のまわりにいる魚に近い軟骨魚類、サメとか、硬骨魚類とか、そういった仲間が現れたり・・・この時期、ちょっと特徴的なのは、それより前の時代は海の生き物ばっかりだったっていう話をしたと思うんですけども、このデボン紀という時代の終わりの絶滅以降は、陸上の世界がすごく華やかになったと言われています。
で、3番目の絶滅ですが、これは古生代末、ペルム紀と中生代の最初の三畳紀という時代の境で起こった絶滅ですね。2億5000万年ぐらい前なんですけども、この時には先ほどまでずっと紹介してきた三葉虫の仲間、ここまでかろうじて生き延びてきたんですけれども、それが完全にいなくなったり、腕足動物もほとんどがいなくなったりというようなことが起こりました。陸上でも非常に大きな絶滅が起こりました。
実はこの時期の絶滅が5回のうちで最も大きくて、陸でも海でも90%を超えるような絶滅が起こったと考えられているので、本当にありとあらゆるものが絶滅したと言っていいと思うんですね。
その後は、かろうじて生き残ったものとして、私たち哺乳類につながるような仲間、キノドン類って言うんですけれども、そういった仲間とか・・・海の中では爬虫類の仲間なんですけど、魚竜と言って海の中で生きるような仲間がいるんですけれども、そういった生き物がその絶滅の後に繁栄したと言われたりしています」
進化のきっかけは大量絶滅!?
※続いて、4番目と5番目の絶滅について説明していただきました。
「4番目の絶滅、これは中生代の前半の三畳紀とジュラ紀の間、およそ2億年ぐらい前なんですけども、この時には海にいたアンモナイトであるとか、先ほど言った原始的な魚竜の仲間が絶滅して、その結果として、実は一般にすごく馴染みのある恐竜とか、いわゆる中生代を特徴づけるような生き物がこの後、華やかになっていったと言われています。

5番目が、最初のほうにもお話をした中生代と新生代の境界、白亜紀と古第三紀の境界ですね。6600万年前、小惑星の衝突によって起こったという絶滅イベントなんですけども、この時にいわゆる鳥以外の恐竜が絶滅し、ほかにも海ではアンモナイトとか、海生の爬虫類の仲間が絶滅したり、様々な生き物がこの時も絶滅したんですね。その後の世界に私たち哺乳類の繁栄が訪れたということになります。
植物で言うと、それ以前から現れてはいたんですけれども、この後の時代に花を咲かせる植物、被子植物っていうんですが、それが非常に繁栄した、そんな変化がありました」
●絶滅っていうと、どうしてもネガティブなイメージがありますけれども、生命の進化というふうに考えるとネガティブではなさそうですね?
「いいところを強調していただいてありがとうございます。普段の絶滅というのも、進化の陰でというか、進化と同時に起こっているんですが、大量絶滅が特にその進化に影響したと考えられているんですね。
なぜかというと、例えば何十%とかっていう種がいなくなってしまうと、それらがいた場所がぽっかりと空くわけですよね。そうするとわずかに生き残った生き物がそこで多様に広がっていく機会ができる、そういった捉え方ができるのかなと思っています」
(編集部注:先ほど、最も大きかった3番目の大量絶滅では、陸でも海でも90%以上の生き物が絶滅したというお話がありましたが、ひとくちに大量絶滅といって40%から70%のこともあったりと、まちまちだそうです。それでも、生き物が60%から70%も絶滅するというのは凄まじいことだと矢部さんはおっしゃっていました)
6つのコーナーを束ねる「大絶滅スフィア」!
※今回の特別展は、総合監修の矢部さんを含め、10人の研究者のかたが監修にあたり、6つのコーナーに分けて、海の古代生物や恐竜の化石などを展示しています。その中から、見どころというか、特徴的な展示をいくつか教えてください。
「実は6つのコーナーを束ねる場所があって、展示のちょうど中央付近、私たち『大絶滅スフィア』って呼んでいるんですけど・・・スフィアってわかりますか? 地球儀のような球体を言うんですが、それが中央にでーんと鎮座しているんですね。

そこで何をしているかっていうと・・・先ほどまでお話してきた大絶滅、その大部分が火山の活動で起こっていることがわかってきていて、その火山の活動は、大地の動きが火山の原因であったり、火山の噴火の結果であったりするんですけども、大地の動きと火山の噴火、それがわかるようなモニターとして、大絶滅スフィアを置いています。
そこが展示のイントロであるとか、展示の全体の関連性みたいなのを知るのにすごくいいところなので、大変美しいモニターですし、ぜひ見ていただきたいなと思っています。
それ以外にも、本当にたくさんあるんですけども、実は6つのコーナーのそれぞれに、その時代を特徴づけるようなハイライト展示みたいなのを置いているんですね。それはお立ち台のようになっていて、そこにその時代を特徴づける生き物の化石であるとか、それを説明するための原寸大の模型のようなものを置いていて、それが非常にわかりやすいし、迫力があるかなと思っています。

展示しているものとしては、チラシとかでも紹介しているんですけど・・・オルドビス紀で言えば、『アノマロカリス』というカンブリア紀を代表する生き物がいるんですけども、それの仲間であるとか・・・。
私が好きなところでは、2番目の絶滅に関連しているところに『ダンクルオステウス』っていう、甲冑魚みたいな・・・体の外側に甲冑を持っているような巨大な魚で、そういったものが展示されていたり・・・。

あとは4番目の絶滅、三畳紀やジュラ紀のところでは、巨大な恐竜と恐竜ではない爬虫類が展示されていたりとか・・・そういったものをぜひ見ていただきたいなと思っています」
(編集部注:今回の特別展では、世界有数のコレクションで知られる、アメリカ・コロラド州にあるデンバー自然科学博物館の貴重な標本の数々が展示されています。その中には日本初公開の標本もあるんですよ)
「大絶滅展」のためにモロッコで発掘調査
※この特別展のためにモロッコで発掘調査をされて、その展示もありました。どうしてモロッコだったんですか?
「モロッコは、実は5回の絶滅事変の1番目、2番目、4番目に関係する地層、そして化石が見つかる場所なんですよ。なので今回『大絶滅展』を展示で扱うにあたって、新しい情報を自分たちで見つけて提供したいなって思った時に、その3つの絶滅事変に関係している地層があるっていうのはすごく魅力的で、それでモロッコで調査をしたいなと思ったわけなんですよね」
●いつ頃、どれぐらいの期間、発掘調査をされたんですか?
「2023年の12月年末ですね。3週間ぐらい発掘をしていました」
●矢部さんも参加されたんですね?
「あ、いえいえ、いかにも(発掘調査に参加)したかのよう言い方をしていましたけども、そうではなくて10名のうちの3名が参加して調査をしてきました」
●どんな化石が見つかりましたか?
「第1章、第2章で展示をしているような様々な無脊椎動物、脊椎動物の化石が見つかっているんですね。ちょっと聞き慣れない言葉かもしれないんですけども、オルドビス紀という、最初の絶滅の前の時代で、今世界的に注目されている化石群集っていうのがあって『フェゾウアタ化石群』っていうんですけども、そこの様々な化石を収集することができました。
その中には例えば、ウニやヒトデの仲間のとても原始的なものであるとか、先ほど言った『エーギロカシス』っていうアノマロカリス類の仲間であるとか、そういったものが見つかっているところなんです。そのフェゾウアタ化石群で、様々なものを見つけたっていうのがひとつあります。
もうひとつは、これは共同で発掘した、東京都市大学の発掘で見つかったものなんですね。デボン紀、2番目の絶滅イベントの絶滅前の時代ですけど、先ほど言ったダンクルオステウスっていう甲冑魚、その実物の化石が見つかっていて、それを模型と一緒に展示をしています。
あとは化石ばかりではなくて、絶滅イベントに関係した、そのきっかけとして火山活動があったと言いましたけども、その大規模な火山活動によって出てきた溶岩流とか、これは三畳紀末のものだったりするんですけども、それを観察して調査をして岩石を採取することができて、それも展示室で見ることができます」
●では最後に「大絶滅展」の総合監修を担当された矢部さんから、ここは特に見てほしい、そしてこんなことを感じてくれたら嬉しい、ということがあれば、ぜひお願いします。
「何度か申し上げていることかもしれないんですけども・・・絶滅というと、どうしてもネガティブに捉えがちだと思うんですけど、実はそうとばかりも言えない側面があることを知っていただきたいなというところですね。
展示会場は、さすがに(照明が)明るくてってことはないんですけども、デザインもすごくポップで楽しげな展示室にもなっているので、どういうふうにして今の多様な世界につながっているのか、そんなことを感じていただければいいかなと思っています」
INFORMATION
開催は来年の2月23日まで。開館時間は午前9時から午後5時まで。入館は4時30分まで。入場料は、当日券で 一般・大学生2,300円、小・中・高校生600円。福山雅治さんが音声ナビゲーターとして出演されている、音声ガイドのレンタル機器はおひとり1台650円。矢部さんもナビゲーターとして登場されますよ。

第二会場では特別企画として、福山さんが世界の秘境や辺境で撮った生き物や風景の写真を展示。つい最近取材で出かけたというガラパゴス諸島で撮った最新の写真も見ることができます。ぜひお出かけください。
詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎『大絶滅展〜生命史のビッグファイブ』:https://daizetsumetsu.jp
2025/11/23 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. Hello / 福山雅治
M2. LANDSLIDE / FLEETWOOD MAC
M3. LUCKY FELLOW / LEROY HUTSON
M4. I WILL SURVIVE / GLORIA GAYNOR
M5. My Body / HANA
M6. CLEAR THE AREA / IMOGEN HEAP
M7. MORE THAN A FEELING / BOSTON
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」







