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オンエア・ソング 12月17日(日)

2023/12/17 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. YOUR SMILING FACE / JAMES TAYLOR
M2. GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN / CYNDI LAUPER
M3. DON’T WORRY BABY / VAPOUR TRAILS
M4. RELIGHT MY FIRE / DAN HARTMAN
M5. TWO HEARTS / PHIL COLLINS
M6. THIS CHRISTMAS / MARY J. BLIGE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第17弾!〜食品廃棄物から作る新素材の可能性〜

2023/12/10 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第17弾!今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から、おもに「つくる責任 つかう責任」そして「産業と技術革新の基盤をつくろう」について考える事案をご紹介します。

 お話をうかがうのは、100%食品廃棄物から作る新素材を開発し、注目を集めているベンチャー企業「fabula(ファーブラ)」株式会社の代表取締役CEO「町田紘太(まちだ・こうた)」さんです。

 町田さんは、お父さんの仕事の関係で小学生の3年間をオランダで過ごし、学校の授業で地球温暖化を研究・発表することがあって、それがきっかけで、環境問題に興味を持つようになったそうです。趣味は海外旅行で、これまでに60カ国以上を訪れているほどの旅好き。

 そして東京大学に進学し、卒業研究で食品廃棄物から新素材を作る技術を開発。2021年に幼馴染みの3人で「あらゆるゴミの価値化」を目指し、「fabula」株式会社を設立されています。

 町田さんが開発した技術を使えば、捨てられてしまう食材がお皿などの小物から建築用の資材などに生まれ変わるんです。今回は、東京大学生産技術研究所・駒場リサーチキャンパスに町田さんを訪ね、お話をうかがってきました。今回は、食品廃棄物を原料に作る新素材の可能性に迫ります。

☆写真協力:fabula Inc.

写真協力:fabula Inc.

fabulaはラテン語で「物語」

※「fabula」のオフィシャルサイトのトップに「ゴミから感動をつくる」というフレーズが載っています。改めて「fabula」ではどんな事業を行なっているのか、ご説明いただきました。

「ひとことでいうと、食品廃棄物から新しい素材だったり、製品を作っているような会社です。もともとは東大の研究室から生まれたというか、私が研究室にいた時に開発したその素材を、実装化するために作った会社で、技術のおおもとは大学で作られています」

●創業は2021年ということですけれども、社名になっている「fabula」には、どんな思いが込められているんですか?

「この言葉自体はラテン語なんですけど、日本語に訳すと、物語とかそんな感じの意味があります。食品廃棄物から、ゴミから、新しい製品とかプロダクトに変えるにあたって、普通の産業で行なわれているようなストーリー性があったりとか、背景に思いのある物作りをしたいなと思って、こういう社名にしています」

●改めて、この会社を起業されたのは、どうしてなんですか?

「シンプルにいうと、面白そうだったからというのがありますけど(笑)」

●面白そうだという理由で起業するって、すごいことですね。

「そうですね。普通にやってみようと思ったのと、ある意味、失敗してもいいんじゃないかなっていうような、わりかし楽観的な気持ちもあった気がしますね」

●そもそもすごくさかのぼって、この分野を研究しようと思ったきっかけは、何だったんですか?

「もともと(私が)いた研究室自体がコンクリートに関する研究室で、コンクリートってものすごく環境負荷が高い素材なんですけど、環境負荷の高いコンクリートをリサイクルしたりとか、コンクリートに代わる素材を作る、そういう研究室にいたんです。

 で、そこに入った時に私の指導教官の酒井先生が、それにまつわる研究をずっとやっていて、その中で先生としては、食べられるコンクリートがあったら面白いんじゃないかって、ちょっとファンシーな思いがあったりとか・・・。
 僕自身もともと環境問題を含め、社会課題に対してすぐ取り組める研究があったほうがいいなって思っていたのもあって、その辺が合わさって、食品から何か作ろうかなみたいな話になっています」

写真協力:fabula Inc.

●この「fabula」は幼馴染みの3人で作られた会社ということですけれども、ほかのメンバーおふたりも同じ思いでいらっしゃるということですよね。

「だと信じていますけど(笑)」

●お誘いしたのは、やはり町田さんですか?

「そうですね、2年くらい前に・・・」

●おふたりも、やろうやろうっていう感じでしたか?

「そうですね。やっぱり素材自体に魅力を感じてくれて、ふたりが働いていたバックグラウンドだったりとか、興味があることとか、そういう中でもともと持っていた思いとかも合わさって、今一緒にやっているようなところです」

●町田さんが声をかけて、おふたりの思いはどんな感じだったんですか?

「松田と大石というふたりなんですけど、松田はもともとコーヒーを輸入する商社に勤めていたんですね。そういう中で、コーヒーってまさしく抽出かすだったりとか、いろんな廃棄物が出て、それは消費する日本でもそうですし、生産するブラジルとか中南米とか、そういうところでも実際にいろんな廃棄物が出ています。

 そういうものに対しての課題感をずっと持っていて、そういう課題の解決にもつながるし、この素材の特徴も見て、これは何でもできるって、彼は言っていて、そこがたぶん思いとしてあったのかなと思うのと・・・。

 大石はもともと感性工学と言って、音とか光とか、感性的な情報が人の行動にどういう影響を与えるかっていうような研究をしていました。そういう中でこういうちょっと香りがする素材で、人々の行動がどう変わるのかなとか、お皿に見えるけど、香りがしたりとかすることで違う影響とか、カレーの匂いを嗅いだらカレーを食べちゃう、みたいなことに近いかもしれないですけど、そういうようなことを素材を通じてやりたいというふうに言っています」

町田紘太さん

技術はシンプル、「たこ煎餅」と同じ!?

※ここからは「fabula」が作っている新素材について、具体的にお話をうかがっていきます。まずは、食品廃棄物を新素材にする技術について、なんですが、明かせる範囲内で構わないので、どんな技術なのか教えてください。

「技術自体はとってもシンプルです。例えば、白菜とか野菜のクズみたいなやつを乾燥させて粉末にして、それを熱圧縮成型というような方法で素材化します。乾燥と粉砕までは本当に野菜の粉を作るみたいな感覚に近いので、そこから熱圧縮成型っていう・・・漢字5文字が並ぶと怖いですけど(笑)、簡単にいうと熱と圧力でギュッと潰しているような技術ですね。江ノ島のたこ煎餅とか、ああいうものを工業的にやっているような感覚です」

●その技術ってどうやって開発されたんですか?

「熱圧縮成型っていう技術自体は、かなりトラディショナルなというか古典的な技術です。プラスチックでもずっと使われてきていたりとか、身近なものだとベニヤ板みたいな、ああいう木材の合板でも使われてきた技術で、それを食品のくずというか、こういうものに転用してみたっていうところが新しいポイントなのかなと思います」

●開発までの道のりって、どんな感じだったんですか? 

「基本的には一個一個条件を潰していくというか、温度とか時間とか圧力とか、粉の状態とか、綺麗に作るための条件なんですけど、それをいろいろ、何度だったらいいかなとか、これぐらい圧力をかけたらいいかなっていうのを、トライ&エラーで繰り返していった感じです」

●新素材になるまで、どれぐらいの日数がかかるんですか?

「基本的にプレスをする時間は、数分とかそのレベルです。あとは乾燥で結構時間がかかるものなので、 1日かかるのか、機械によっても違いますけど、本当に早ければ、すぐできるくらいです」

脱脂粉乳!? コーヒーかす!?

※開発した技術で作った新素材をもとに、これまでにどんな製品を作ったんですか?

「当初はコースターとか、ちょっとした小物入れとか、雑貨類を作っていたりとか・・・。最近だとお香立てとかも、アーティストさんとコラボして作ったりとかしているんですけど、もともとコンクリートから出発しているのもあって、建材もちょこちょこやっています。

 例えば、建築の展示会用に茶室を作る機会があったんですけど、その設計会社さんに、茶室なので、お茶でできた建材みたいなものを少し提供したりとか、今度の(大阪)万博でも使用していただく予定があったりとか、そういうような感じですね」

茶室
茶室

●今回、コースターと小皿、あと小物入れ、深いお皿も用意していただきました。これが本当に食品廃棄物だったんですね。

「そうですね、もともとは」

●ちょっと触ってみてもいいですか。ツルツルで、見た目もおしゃれですし、これが廃棄物だったとは全く思えないんですけど、え〜〜すごいですね! これはもともとなんだったんですか?

「このちょっと深いお皿は、脱脂粉乳ですね」

●それがこんな立派な小物入れ、深いお皿になるんですね。この緑色のようなカーキのようなコースターは?

「緑茶です」

●緑茶なんですね! 香りとかはしないですよね?

「そうですね。コーティングがしてあるので、たぶん香りが抑えられていると思います」

●なるほど、なるほど・・・。

「もう一個のほうは、香りで判断できる気がしますけど・・・」

●これは、茶色の・・・なんでしょう?

「それはコーヒーですね」

●あっ、コーヒー、確かに! コーヒーがこの平皿になるんですね〜、コーヒーのかすで・・・。

「コーヒーの抽出かすですね」

●確かに濃い茶色と黒色でシックなお皿になっていますけれども、コーヒーのかすからできているんですね〜。この新素材を作るにあたって、いちばん苦心されたのってどんなことですか?

「本当にいろんな条件をいじっていくっていう、数打っていくっていうところですかね、やっぱり」

写真協力:fabula Inc.

コンクリートより優れた強度

※「fabula」で開発した新素材の主な特徴を改めてご説明いただけますか。

「今まさしく嗅いでいただいたように香りがあったりとか、色味とかもともとの原料のイメージが残っていたりとか・・・。いわゆる廃棄物から作ったっていうと、イメージだとちょっとグレーで茶色くてとか、もしかしたらそういう感覚で、ちょっと臭い匂いがするかもしれないとか、そういうイメージとは結構逆側の、原料の特徴を活かしながら物作りをしているのがひとつと・・・。

 あとは強度がそこそこあるよっていうのがあります。コンクリートと比べても強いものだと4倍ぐらいの、“曲げ強度”って言って曲げる力に対する強度があったりします」

●かなり強いですね!

「そうですね。プラスチックほどではないですけど、まあまあ強いかもしれないです」

●一度作った新素材をまた作り直すっていうこともできるんですか?

「はい、それは可能です。こういうお皿とかを回収して、もう一回、粉々にして作り直すことはできます 」

●先ほどご紹介いただいたコースターやお皿は、原材料が緑茶とかコーヒーとかですけれども、食品廃棄物がなんでも原材料になるわけではないですよね?

「基本的になんでも使えます」

●なんでも大丈夫なんですか?

「例えば、コンビニの廃棄物、いわゆる生ゴミみたいな、ああいうものでも大丈夫です」

● これまでどんなものを原材料にされてきたんですか?

「だいたい80種類か90種類ぐらいやってきていて、食品なので無限にありますけど、カニの殻とかそういうのもやったりとか・・・。脱脂粉乳みたいなちょっと動物性のものとかもやっていますし、なんかいろいろ(使っています)」

●いくつか組み合わせても大丈夫なんですか?

「合わせても大丈夫です。バジルとトマトとパスタを混ぜて、ジェノベーゼとか言ってふざけて作っていたりしました(笑)」

●すごいですね~。そういった食品廃棄物はどこから手に入れているんですか?

「食品加工の工場だったりとか、あとは飲食店、例えばコーヒーチェーンみたいなそういうところだったりとかから買い取っていますね」

写真協力:fabula Inc.

価値あるものへ変えていく文化

※「fabula」で開発した新素材は、将来的には食べることも考えているそうですね。どういうことなのか、教えてください。

「食べられなくはないよっていうのが、僕らの伝えていることというか・・・。思い返すと食品だけで、もともとは食べられるものだけで作っているので、食べてもいいかもしれないっていうところはあるんです。
 例えば、規格外野菜みたいな、形が悪いだけで美味しいですよっていう、そういうものから作ると、本当に食品から作っていることに近いので、食べたりもできるだろうし・・・。

 もっとリアルなところで言うと、本当に最悪の場合、交通が分断して物が届かなくなったりとか、もしくは離島とか砂漠の真ん中なのか宇宙空間なのか、なかなか物流が難しいようなところとかで、最後に生きるために食べても悪くはないかなっていうところですね」

●今後、建築用の資材を作る予定はあるんですか?

「そうですね。基本的に将来的には建材を目指しているので、万博での使用だったり、そういうのを通じて、性能とか強度もそうですし、実際に使っていく事例を増やしていくのが今後かなと思います」

●町田さんが開発した技術を、今後世界でどんどん展開していく予定もあるんですか?

「海外に出ていくってことも考えてはいますね」

●具体的にどこにとか、技術の公開も考えていらっしゃいますか?

「そうですね。まだまだ海外での事例自体はないんですけど、問い合わせベースだと、非常に多いのはヨーロッパからの問い合わせと、また東南アジアからも結構問い合わせが来るので、きっとここら辺の感度が高いだろうというところに対して、アプローチしていこうかなと思います。

 例えばですけど、特許の出願をしているので、特許出願をすると必然的に(技術は)公開されるものになるんですね。そういうものはもちろんありますし、技術自体を自分だけのものにするっていうよりは文化として、食品に限らずゴミって呼ばれているものを、新しい価値あるものに変えていく文化を作っていくことが、とても大事かなとは思っています。そういう意味ではいろんな人と協業していくことはとっても大事かなと思います」


INFORMATION

写真協力:fabula Inc.

 「fabula」で制作している小皿やコースター、タイルなどの商品は、受注生産になりますが、ECサイトから購入できます。100%天然素材なので、風合いが微妙に違う、どれも一点ものです。どんな商品なのか、価格はいくらなのか、ぜひ「fabula」のECサイトをチェックしてください。

◎「fabula」ECサイト:https://store.fabulajp.shop

◎「fabula」:https://fabulajp.com

 ちなみに、現在、国立科学博物館で開催されている特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵」のショップでも販売しているそうです。

オンエア・ソング 12月10日(日)

2023/12/10 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. MATERIAL GIRL / MADONNA
M2. BEST FRIEND / JASON MRAZ
M3. CHANGE THE WORLD / ERIC CLAPTON
M4. THE 3 R’S / JACK JOHNSON
M5. 新しいYES / Salyu
M6. EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT / SWEETBOX
M7. BRIGHTER DAYS / SYBIL

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第16弾!〜ケニアのために、ビーチサンダルをアップサイクル 〜

2023/12/3 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第16弾! 今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「働きがいも経済成長も」、そして「つくる責任 つかう責任」に関係する事案をご紹介します。

 お話をうかがうのは、慶應大学 環境情報学部の3年生で、合同会社「Uzuri(ウズリ)」を立ち上げた「山岸 成(やまぎし・なる)さんです。

 山岸さんはお父さんの仕事の関係で、小学生の3年間をケニアの首都ナイロビで過ごしています。実はこの経験が山岸さんのその後を大きく左右するんです。

 ナイロビは、山岸さんいわく、ビルが立ち並ぶ都会ではあるものの、一歩踏み出すと、すぐ隣りに国立公園やサバンナが広がっていて、先日訪れた時も改めて、とてもいい国だと感じたそうです。

 そして現在は大学でビジネスに関することを学びながら、会社経営にチャレンジ、さらに陸上競技の選手としても活躍されています。

 きょうは、子供の頃に暮らしていたケニアのために、アフリカの海岸や路上に捨てられたビーチサンダルを、スマートフォンケースにアップサイクルするプロジェクトを進めている山岸さんに、起業した思いや、「Uzuri」という会社で進めている事業についてお話をうかがいます。

☆写真協力:Uzuri

写真協力:Uzuri

スワヒリ語で「Uzuri」とは・・・

※まずは、山岸さんが立ち上げた「Uzuri」という会社では、どんな事業を行なっているのか、教えてください。

「私たちは、途上国のブランドや企業さん、その中でも特に社会貢献性の強い事業を行なっているところと、パートナーシップを締結させていただいて、そのパートナーと共同で日本市場に適用した商品を開発して、それを日本で売ります。

 その時にそのブランドとか企業の既存の商品も一緒に販売して、我々が作ったコラボ商品を主軸にしながら、いろんな商品を販売し、彼らが掲げているミッションであったりとか、ブランドストーリーを一緒に広げていくような形の事業です。彼らの雇用状況の改善だったりとか、雇用機会の拡大にもつなげていけたらなという事業内容になっております」

山岸 成さん

●「Uzuri」を立ち上げたのは、いつ頃なんですか?

「立ち上げたのは本当に最近ですね、8月末とかに・・・」

●今年の、ですか?

「今年の8月です」

●そうなんですね~。おひとりで立ち上げたんですか?

「大学の友人と一緒に立ち上げました」

●じゃあ、今おふたりで「Uzuri」をやっていらっしゃるんですね?

「そうです」

●「Uzuri」という社名ですけど、独特の響きがありますよね? これはどんな意味があるんです?

「これはスワヒリ語です。ケニアの公用語は英語なんですけれど、スワヒリ語も広く使われていて、 “ビューティー”っていう意味です。日本語訳すると“美しい”であったりとか、“華やか”とか“いいこと“みたいな意味合いを持つんです。

 先ほど説明した事業内容のところで、パートナーの掲げている“いいこと”、もちろん美しい商品もそうですし、彼らの行なっている活動も美しい、そんなものを広げる会社でありたいなっていうところで、この『Uzuri』っていう名前にしました」

●素敵な名前ですね! 起業されようと思ったのは、何かきっかけがあったんですか?

「きっかけは、大学で経営とかビジネスに関することをたくさん学んでいく中で、なんか自分ができること、ビジネスの視点で何かできることがあるんじゃないかなって思った時に、やっぱりアフリカで、僕が何かする形で、彼らに貢献できるのであればいいなという思いから始まりました。

 あと最近の社会貢献性みたいなことの強まりで・・・でも、ただいいことだけしていてもいけないよなっていうところで、社会貢献性と利益の追求の両立みたいなことにチャレンジしてみたいなっていう思いが、大学で学んでいく中で出てきて、やってみよう!と思って立ち上げました」

スマホケースにアップサイクル!

※山岸さんが、現在タッグを組んでいるのは、ケニアで海岸をきれいにする活動を行なっているNPO「Ocean Sole(オーシャン・ソール)」。廃棄されたビーチサンダルをアップサイクルして、ゾウやシマウマなどの動物のオブジェを作っている団体です。

 山岸さんはこの団体を、ナイロビで暮らしていた頃から知っていたので、最初に手掛ける事業は「Ocean Sole」と一緒にやっていきたいという強い思いがあったそうです。そして、パートナーシップを結んで開発したのがスマートフォンのケースです。

山岸 成さん

●きょうはそのサンプルをスタジオにお持ちいただきました! とってもカラフルですね~。

「そうなんですよ(笑)。これ、染色とかも一切していなくて、サンダルそのものの色でできています」

●なんかケニアっぽいって言ったら、あれですけど、ほんとにカラフルで・・・蛍光ピンクとかオレンジとかイエローグリーンも・・・様々な色が溢れていて、いいですね~!

「今ケニアっぽいっておっしゃったかと思うんですけど、アフリカっぽさもありつつ・・・ただなんだろう・・・手に取りづらさみたいなのは、ないデザインかなと思っていて・・・」

●ないです! 可愛い~、老若男女みんなが持てるような感覚ですよね!

「現地のアーティストが全部デザインして制作しているので、そこでもきちんと雇用機会になっています」

●なるほど! これ、しかも裏はコルクになっているんですね!

「はい、裏はコルクで、Ocean Soleのミッション自体が海洋汚染の解決を掲げていますので、プラスチックを使わずに制作したいなという思いで、100%リサイクルのコルクを使用して作っております」

●へえ~、このスマホケースはオリジナル商品っていうことですよね?

「オリジナル商品というよりかは、UzuriとOcean Soleのコラボ商品で、これからはいろんなところとコラボする形でやっていけたらなと思って、その1個目の商品がこのスマホケースになります」

写真協力:Uzuri

●ボーダーだったり、ドットだったり、四角だったりって、いろんな柄がありますけど、これって唯一無二っていうことなんですか?

「はい! そうなんです。その時にあったサンダルの形とか、削れ具合とかを考慮して、最適なデザインを現地のデザイナーさんがチョイスして制作しているので、同じものは一生作れない、あなただけの1点ものってことになります」

●すごい! そうなんですね~、世界でひとつだけの!

「そう、そうなんです」

●お洒落です! そもそもなぜスマホケースにしようと思われたんですか?

「それがですね・・・いろいろ僕も考えた結果、このスマホケースになっていまして、普段(Ocean Soleは)動物のオブジェを作っているところなんですけど・・・」

●動物のオブジェも持ってきていただきました。可愛いですね! こちらもカラフルです!

「可愛い動物たちなんですけど、これを日本に広めようと思った時に、なかなか難しいハードルもあるんじゃないかなと思っています。まずは、輸送でかさばってしまうものなんですね。
 今回は手のひらぐらいのサイズのオブジェをお持ちしたんですけど、ほかにも(人の)身長ぐらいのサイズのもあったりとかします。そういった商品は持ってくるとやっぱり大変ですし、環境負荷もかかってしまうっていうところで、もっとコンパクトで、みんなに使ってもらえるようなものがないかなってすごく考えていました。

写真協力:Uzuri

 その時に思いついたのがiPhone用ケースです。日本はiPhoneのシェア率がめちゃめちゃ高いっていうのもあって、iPhoneなら、いろんな人が手に取ってくれて、いろんな人が手に取ってくれれば、日常生活でいろんな人がこのカラフルなのを見て、“それ、綺麗だね”とか言ってくれるんじゃないかなと思って・・・そんな形で広がってくれればいいなという思いを込めてiPhoneケースにしました」

●これは絶対、友達が使っていたら「何それ、可愛い!」って言うと思いますよ!

「僕も今サンプルを使っているんですけど、本当に知らない人から、“そのスマホケース、可愛いね”ってカフェで言われたりとかもあって、そんな形で広がってくれたら嬉しいなって思っています」

山岸 成さん

(編集部注:iPhone用のケース、カラフルでとっても可愛いんです。裏の素材はコルクなので軽いし、衝撃吸収性に優れているのも特徴です。また、職人さんがひとつひとつ手作りしているので同じものがほかにない、つまり一点ものなのも魅力ですね。
 販売に関しては、年内から始まる予定。またイベントなどでの販売も検討しているそうです。販売価格も含め、詳しくは以下のサイトを見てください)

◎Uzuri 公式オンラインショップ: https://uzuri-japan.square.site

子供たちを学校に行かせたい

※今年、ケニアに行ってきたそうですね。どんなことをされてきたんですか?

「9月に行ったのはOcean Soleと、これからどういう形で進めていくかっていうのを詳細に話すのと、今回お持ちしたサンプルを作成するために行ってきました。

 工場とオフィスのあとは、サンダルの回収現場にも行って参加してきて、働く人々とコミュニケーションをしっかりとるところまでやってきました」

写真協力:Uzuri

●具体的にどんな話し合いが行なわれたんですか?

「オフィスのほうでは“こんなデザインがいいよ!”とか、“もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない!?“みたいなディスカッションをさせていただきましたね。

 工場ではどんな感じで作っているのかを、細かくヒアリングさせていただいたんです。いちばん印象的だったのが・・・(サンダルの)回収現場にも行って、ちょっと都心部から離れて、海岸沿いに行ってきたんです。

 いわゆるサプライチェーンの上流、いちばん上で働く人たちともコミュニケーションをとりたいっていう思いと、その現状も見たいっていう思いもあって、行ってきたんですけど、 そこでの出来事がすごく僕の中で印象的でしたね。

 働く人たちがすごく幸せそうに働くんですよ。ゴミを拾う作業なんですけど、すごく幸せそうに、みんな楽しそうに拾うんです。

写真協力:Uzuri

 その人たちが最後に僕たちにメッセージをくれて、『私たちの子供は学校に行けていない。だから私たちのこの活動を、君たちが日本にぜひ広げてください。そして私たちの現状を一緒に伝えてほしい。それが世界に広がって、私たちの子供たちが学校に行けるようになる。子供たちには未来があるから、私たちは(子供たちを)学校に行かせてあげたいから、ぜひ伝えてほしい』というメッセージをいただいたんです。

 それが僕の中ですごく印象的でした。それこそUzuriが大切にしている、パートナーのミッションとか背景をきちんと、多くの人に伝えることが必要なんだなっていうのをすごく実感した場面でした。

 最初(作業現場に)行った時は幸せそうに、すごく楽しそうにやっていたんで、意外と経済的なところもあまり彼らの中では、ネックになってないのかなとも一瞬思っちゃったんですけど、やっぱりそんなことはないんだなということで、我々のできることをやっていきたいなって強く思いました」

●「Ocean Sole」は現地生産ということで、雇用にもつながっていますよね?

「はい、ケニアは雇用機会が少ないのが結構深刻な問題になっていて、職業訓練校もいろんなNPOや NGOがやっているんですけど、そこを卒業しても雇用機会がなくて、職に就けない現状があるので、雇用機会を作るのは非常に重要なことなのかなと思っています」

(編集部注:ケニアで、捨てられたビーチサンダルが目立つは、まだまだ経済的には豊かではないので、価格的に安いサンダルの需要が高く、また壊れやすいこともあるそうです。山岸さんが今年9月に「Ocean Sole」の活動を視察したときも、回収したサンダルが山積みになっていて、その量に驚いたそうですよ)

写真協力:Uzuri

次の一手! 新しいパートナー!?

※会社として「Uzuri」が大切にしていることはなんですか?

「まずは、社会貢献性っていうバックグラウンドに頼りすぎないっていうのを大切にしたいなと思っています。もちろん近年、社会貢献性が顧客にも浸透してきているのは感じてはいるんですけど、社会貢献性のデメリットとして価格が高くなってしまったりとか、あとは品質の部分がちょっと劣ってしまうみたいなことがあると思うんです。
 そこを克服することが大事だなと思っていて、きちんと機能性であったりとか、このスマホケースに関してはデザイン性に注力していて、バックグラウンドを知らずとも手に取ってもらえるみたいなところは、大事にしていきたいなって思っています。

 あともうふたつあるんですけど・・・ひとつが、しっかりパートナーのヒアリング・・・パートナーシップを結んだ企業とかブランドの現状とか、掲げているミッションや思いはきっちりヒアリングして、可能であれば現地に足を運んで、直接コミュニケーションをとったりとか、実際に現状を自分の目で見る、それを僕たちが伝えるっていうことは大切にしていきたいなと思っています。

 最後は、公正公平な取引、いわゆるフェアトレードなんですけど、きちんとした価格で取引をして、現地にもきちんとお金を落として、働く人たちが満足できる、生活水準を上げていけるような形になればいいなと思っています」

●素晴らしいですね~。今後「Ocean sole」以外に提携していきたい団体はありますか?

「はい、今ちょうどふたつ目の企業さんとお話させていただいていて、まだ具体的なことは言えないんですけど・・・。
 9月に(ナイロビに)行ってきた時に、たまたま街中を歩いていて、いいな! って思って、その店員さんに“これはどんな商品なの?”っていろいろ聞いて・・・今回詳しくはご説明できないんですけど、似た感じのアップサイクルの素材で素敵な商品を作っていたので、すぐ“社長の電話番号を教えて”って聞いて、次の日に工場まで行ってきました。
 話を聞いて感銘を受けて、日本に帰ってきた時にあっちのかたも“これからコラボしていこう!”って毎日のように連絡くれて、もう嬉しい限りですね。ぜひ一緒にやりたいなと!」

写真協力:Uzuri

「Uzuri」の未来予想図

●では最後に、未来予想図として、現在、山岸さんは21歳でいらっしゃいますから、29年後、たとえば山岸さんが50歳になった時に「Uzuri」はどんな会社になっていますか?

「そうですね・・・それこそ発展途上国のいろんなブランド、本当にたくさんのブランドとコラボレーションをして、我々とのコラボ商品をたくさん作って、Uzuriとコラボしているから、Uzuriとのコラボ商品がきっかけで、そのブランドを知って好きになりましたとか、Uzuriとコラボしているから、このブランドは信頼できるブランドだ!みたいになっていれば、嬉しいなと思っています。

 やっぱり今どうしてもアフリカの商品って、若干の手を出しづらさみたいなところはあると思うんですけど、僕たちが今、最初に目指しているのは、手に取った商品が実はあとから知ったらアフリカ産だった!みたいなのができれば、嬉しいなと思っているんです。
 本当に先の未来には、アフリカ産だから買いました!みたいな、日本製だから信頼ができて買いました!みたいなのと同じ感覚で、アフリカ産だから買いました! みたいな形ができれば、すごく嬉しいなと思っています」


INFORMATION

写真協力:Uzuri

 気になるiPhone用のケース、カラフルで本当に素敵です。職人さんがひとつひとつ手作りしたものなので一点ものです。販売に関しては、年内からオンラインサイトで始まる予定。またイベントなどでの販売も検討しているそうです。販売価格を含め、詳しくは以下のサイトをご覧ください。

◎Uzuri 公式オンラインショップ: https://uzuri-japan.square.site

 「Ocean Sole」が制作している動物のオブジェはすでに販売されています。ゾウやキリン、シマウマ、ペンギンなどなど、カラフルでほんと可愛いんです。ぜひチェックしてください。

◎インスタグラム @uzuri_japan
https://instagram.com/uzuri_japan?igshid=NGVhN2U2NjQ0Yg%3D%3D&utm_source=qr

オンエア・ソング 12月3日(日)

2023/12/3 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. AFRICA / TOTO
M2. BEAUTIFUL / CHRISTINA AGUILERA
M3. OCEAN BLUE / ABC
M4. BEAUTIFUL PEOPLE / ED SHEERAN
M5. Everything / Misia
M6. LINK UP / NE-YO
M7. CLOCKS / COLDPLAY

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

2023年11月のゲスト一覧

2023/11/26 UP!

◎阪口克(秩父在住の写真家)
子供と一緒にアウトドア料理にチャレンジ!~焚き火料理は冒険だ~』(2023.11.26)

◎水野雅弘(「SDGs QUEST みらい甲子園」総合プロデューサー)
シリーズ「SDGs〜私たちの未来」特別編!~高校生のアイデアコンテスト「SDGs QUEST みらい甲子園」』(2023.11.19)

◎縄さん・文さん(週末縄文人)
平日はサラリーマン、週末は縄文人!?~ゼロから文明を築く』(2023.11.12)

◎鈴木夕子(一般社団法人「MSCジャパン」広報担当シニア・マネージャー)
シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第15弾! ~持続可能な漁業のための認証制度とMSC「海のエコラベル」』(2023.11.05)

子供と一緒にアウトドア料理にチャレンジ!〜焚き火料理は冒険だ〜

2023/11/26 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、秩父在住の写真家「阪口克(さかぐち・かつみ)」さんです。

 阪口さんは1972年、奈良県生まれ。写真スタジオ勤務を経て、オーストラリアに渡り、自転車による 大陸一周1万2千キロの旅を達成。これまでに訪れた国は40カ国以上。現在はフリーカメラマンとして、旅やアウトドア雑誌の撮影を担当。ほかにも海外の辺境に暮らす人々の一般家庭に居候する取材も続行中。また、暮らしの中の焚き火を数多く経験し、それをもとに焚き火の本も出されています。

 阪口さんの活動テーマは「旅と自然の中の暮らし」ということで、現在は埼玉県秩父の山里に、ご自分で建てた家に、ご家族と一緒に暮らしていらっしゃいます。

 セルフ・ビルドした家の顛末も、実は本になっています。奥さまを説得し、貯金をはたいて、秩父に280坪ほどの土地を購入。経験ゼロなのに国産材による伝統工法にこだわり、悪戦苦闘しながら、木造の平家をなんと6年かけて建築。総工費はおよそ560万円だったそうです。

 きょうはそんな阪口さんに、ご自分で建てたマイホームのことや、世界辺境の旅、そして先頃出された、子供向けアウトドア料理レシピ集『冒険食堂』から、おすすめ焚き火料理のお話などうかがいます。

☆写真:阪口 克

『冒険食堂〜子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』

6年間の家づくり

※そもそも、なんですが、なぜ自分で家を建てようと思ったんですか?

「雑誌の取材を僕は多数やっていまして、田舎へ移住されたかたへの取材を一時期よくしていたんですね。自分で古民家を改造したり、あるいは自分で一から家を建てたりする人に取材する機会が非常に多かったんですよ。それで自分でもそういうことをやってみたいなというのが、始まりですね」

●家は自分で建てられるんですね!

「家は(自分で)建てられますね(笑)」

●ひとりで建てたわけじゃないですよね?

「そうですね。加工とかはひとりでもできるんですけども、大きな構造材を組み立てるとなると人手が必要なんで、もちろん家族であるとか友人にその時は助っ人を頼んで(家を)作っていきました」

●家作りのアドバイザーのようなかたはいらっしゃったんですか?

「いや、それはいなかったです。本で調べたりインターネットで調べたりしながら、やっていました」

写真:阪口 克

●その6年間という年数ですけど、具体的にどういう流れで6年間になったわけですか?

「まずは、土地を探して購入して、次に近所の材木屋さんに行きまして、正直に自分で家を建てるんだ!って言って、構造材に使う材料を売ってもらうっていう感じですね。
 並行して、建築確認申請っていうのはどうしても必要なので、その確認申請は建築士さんの資格を持っていないとできないんですよね。なので、自分で書いた設計図を建築士さんにお願いして清書してもらって、法律上問題ない手続きをしてもらって建築をスタートしたという形ですね」

●どんなことがいちばん大変でした?

「そうですね・・・いちばん体力的に大変なのは、大きな材木を持ち上げるとか屋根の上で炎天下、延々屋根の板を張るとかが大変だったんですけども、どちらかというと最初の2年ぐらいは、始めてみたけど、本当に(家が)できるんだろうかという心配ですよね。メンタルのほうがだんだん、こんなこと始めちゃって大丈夫かなってなってきましたね。家族も巻き込んでいますし、そこはやっぱりちょっと辛かったですね。で、2年過ぎてある程度、形になってきてからは気分が楽になって楽しくなってきたっていう感じでしょうかね」

●6年経って、実際できあがった家をご覧になっていかがでしたか?

「まあ、ずーっと毎日6年間見ているんで(笑)、意外と感動とかもないですよね。住み始めた日はもちろんあるんですけども、ずっとそこにいましたからね。家族で引っ越して、最初の晩御飯を食べたとか最初にお風呂に入ったっていうのは、もちろん嬉しかったですけども、まあやっと終わったかっていう感じですかね」

写真:阪口 克

辺境の一般家庭に居候!?

※阪口さんは、これまでに世界40か国以上を旅されているそうですが、どちらかというと「辺境好き」・・・なんですよね?

「そうですね、わりかし・・・。いわゆる辺境というか、そういうところへ行くのは好きですね」

●どんな旅のスタイルなんですか?

「もちろんカメラマンですので、お客様の雑誌から依頼を受けて、取材に行くっていうのがメインなんですけども、そういう時はたいてい大きなホテルだったり、観光地だったりの取材になるんですね。
 それとは別に、相棒の旅行作家がいるんですけども、彼とふたりでいろんな国に行って、1週間一般家庭に居候をするっていうのをやっています。それがたまるとと週刊誌でその国の暮らしを紹介するというような形でずっとやっていました」

●印象に残っている旅先ってどこかありますか?

「もちろんどこも思い出深いんですけども、カメラマンとしてやっぱり視覚的な刺激が強かったのは、サハラ砂漠の遊牧民のお宅に居候した時はすごかったですよね」

●どうすごかったんですか?

「あたり一面、絵に描いたような砂漠ですよね。寝る時もずっと砂まみれですし、カメラのダイヤルもジャリジャリになるしね(笑)。すごいところに暮らしていらっしゃるなっていうのは正直なところでしたね」

●見たことのない景色に出会えるのも旅の醍醐味だと思うんですけど、人との出会も魅力がありますよね?

「もちろんそうですね。まあ居候なんで、それもお金持ちの邸宅じゃなくて一般家庭にお願いしているので、毎度そこのお父さん、お母さん、子供たち、おじいちゃん、おばあちゃんとも一週間寝食を共にする形になるので、なかなか深い付き合いができますね」

写真:阪口 克

●すぐにパッと思い出される人たちっていますか?

「もちろんそれは顔もすぐ浮かびますね。例えば、いちばん最初にこの居候の企画をやった時に、モンゴルで泊めてもらったベギさん一家はやっぱり思い出深いですね」

●どんなご一家だったんですか?

「それ以上にまず僕たちは、そういう居候取材まだ手探り状態だったんで、どうしていいかわかんなくて、思っていた以上に、まず英語が通じないっていうのがカルチャーショックでしたね。僕もそれほど英語が得意ではないんですけども、ワン、ツー、スリー、イエス、ノーも通じないんですよね。

 そうすると身振り手振りと、簡単なモンゴル語の単語帳みたいなのを手がかりに会話をするしかなくて、お願いしたドライバーさんはもう帰っちゃって大草原の中で逃げ場もないわけですよ。そこで一週間後発つまで、誰も迎えに来てくれないという状況だったんです。
 最初は僕も戸惑いましたけど、受け入れた先のベギさんも当然動揺していたようで、ここまでモンゴル語ができないやつが来たのか! っていう感じで、“こんにちは”の言い方すら簡単にしか知らなかったですからね」

●そんな中で共に生活をするっていうのはすごい経験ですよね?

「いや〜面白かったですね。今思い返せば面白かったですね(笑)」

写真:阪口 克

自分でやってみる「冒険食堂」

※阪口さんの新しい本が、子供向けアウトドア料理のレシピ集『冒険食堂』。この本は、毎日小学生新聞に連載した記事をまとめたものです。
 本には、阪口さんのお嬢さん「春音(はるね)」さんがモデルとして登場しているだけでなく、大人の味付けになりがちだったレシピを、春音さんの意見を取り入れ、より子供向けにするなど、参考にしながら作ったそうですよ。

写真:阪口 克

 『冒険食堂』の基本として「焚き火・炭火料理を楽しむための4つの約束」が書かれています。この4つの約束をご紹介いただけますか。

「焚き火料理を楽しんでもらうためには、まずいちばんに、どんなことも自分の力で挑戦しよう、としました。2番目が安全のための決まりを守る。3番目においしい料理はしっかりした準備で決まる。あと4番目は楽しんだあとは、来た時よりも美しく片付ける。この4つになります」

●やっぱり失敗してもいいから、自分でやることが大事なんですね?

「そうですね。この企画が始まった時にいちばんに浮かんだのは、この『冒険食堂』っていうタイトルだったんですね。単にアウトドア料理だと、美味しい料理っていうだけになると思うんですけども、そこに冒険っていうか、今まで自分がやったことがないもの、ちょっと怖いなと感じるものに対して、チャレンジするというのをテーマに掲げているので、ちょっと心配だから、お父さんやお母さんに頼んでみようとかなるところを、自分でやってほしいっていうのがやっぱりいちばんですね」

●まさに冒険ですね!

「そうですね」

●料理をするための熱源として、焚火と炭火を勧めてらっしゃいます。そこには子供たちに自分で火を起こせるようになってほしいっていう、そういう思いがあるからなんですか?

「そうですね。やっぱりキャンプと言えば、いちばんの楽しみで浮かぶのは、焚き火なんじゃないかと思うんですよ。さっきも言ったように冒険のひとつのきっかけとして、焚き火をいちばんに持ってきているんですよね。
 焚き火じゃなくて、例えば、魚を釣ったら自分でさばくとか、お肉をナイフで切ってみるとか、そういうことでも、もちろんいいんですけども、まずはキャンプ場に着いたら、自分の力で一回火をつけてみようっていうのは、僕は提案したいですね」

●阪口さんは焚火の本も出されていますけれども、やっぱり焚き火の技術とか作法を身につけるっていうのは、現代でも大事なことなんでしょうか?

「そうですね。焚き火の本を作った時に調べてみたら、人類と焚き火の付き合いってのは、何十万年にも及ぶんですよね。日本でも数万年前の焚き火の跡が残っていたりするので、そういう長い付き合いの中で、ほんのここ50年ぐらいで自分の周りから“直の火”っていうのが、ちょっと見えなくなっていると思うんですよ。

 我々は今、電気を使っていますけども、この電気も例えば、火力発電だったり原子力発電の火で発電されているわけじゃないですか。なので、火っていうのは人間の今の文化とか暮らしの、いちばんベースになっているエネルギーのひとつだと思うんで、それを一度自分の手元に戻してみるってのは、いいことなんじゃないかなと僕は思っているんですよね」

写真:阪口 克

(編集部注:『冒険食堂』には焚き火のベテラン、阪口さんが考案した「焚き火で守る9か条」も掲載されています。風の強い日には絶対にやらないなど、基本的なことはもちろんなんですが、もし、ウエアに火が燃え移るようなことがあったら行なう緊急時の対策法「ストップ!」「ドロップ!」「ロール!」がイラストとともに解説されています。
 これはアメリカの消防士さんが考えた対策法だそうで、「ストップ」止まって、「ドロップ」倒れて、「ロール」転がって、火を消す方法なんです。ぜひ阪口さんの本で、ご確認ください)

おすすめ焚き火料理!

※本に掲載されているアウトドア料理のレシピから、誰でも簡単に作れるおすすめ料理をご紹介いただけますか。

写真:阪口 克

「まず僕が基本にあげたのは、『野菜ごろごろポトフ』という1番目に出てくるメニューなんですけれども、特にこれからの季節、あったかいスープは非常に美味しいと思うので、ぜひ作ってほしいですね。今の時期ですと冬のキャベツが美味しいですから、キャベツをいっぱい入れて、ソーセージとかニンジンとか入れて、あったかいスープにすると、寒いキャンプ場で美味しいと思います」

●いいですね〜。この本を拝見していて思ったんですけど、ダッチオーブンがひとつあると、ぐぐっと焚き火料理の幅が広がるな~っていうふうに感じました。ダッチオーブン料理でおすすめってありますか?

「ダッチオーブンはいろんな料理を作れるんですけども、やっぱりダッチオーブンとキャンプ好きな人が聞いて、いちばんに思い浮かべるのは『チキンの丸焼き』だと思うんですよね。これはぜひ作ってほしいですね! すごく美味しいですから」

●具体的にどんなふうに作るんですか? 初心者でも作れますか?

「はい、比較的簡単だと思いますよ。スパイスと塩を揉み込んだ丸鶏を、ダッチオーブンに突っ込んで炭火にかけるだけなんです。コツとしては、ダッチオーブンの底に玉ねぎとかセロリなどの香味野菜を敷くのと、あとは、鉄の鍋のダッチオーブンは、上に炭火を乗せられる構造になっているんですね。なので、下の火は弱めにして蓋の上の火を強くすると、焦げないでジューシーな丸鶏が作れますね」

●すごいですね。見た目も豪華でいいですよね!

「これは間違いないですよ! 蓋を開けた時にみんなだいたい、わ~って言いますよね」

写真:阪口 克

●本を拝見して驚いたのが、牛乳パックでホットドッグを焼くというレシピもありました。どんなレシピなのか教えていただけますか?

「『カートンドッグ』って言いまして、アメリカでは比較的よくバーベキューで作っているみたいなんです。ホットドッグのパンにソーセージ、あるいは好きな具材、僕だとポテトサラダなんかを挟んで、それをアルミホイルで巻くんですね。

 で、牛乳パックに突っ込む、その牛乳パックに火をつけると、牛乳パックが燃えていく過程で、ホットドッグが過熱されるという形ですね。これは子供でも失敗せずに上手に焼けるので、ぜひチャレンジしてほしいですね」

写真:阪口 克

●ダンボール箱でオーブンを作って、お料理を作るというアイデアにもびっくりしたんですが、ローストビーフとか作れちゃうんですね?

「作れますね! ピザも焼けますし、ケーキを焼いたこともありますね。ダンボールオープンで・・・」

●なんかすぐに燃えちゃいそうだなと思ったんですけど・・・。

「いや、意外と紙って燃えないんですよ。紙の種類にもよるんですけども、だいたい紙の発火温度っていうのが250度から450度ぐらいなんですね。逆に言うと200度を超えなければ、紙は燃えないんで、ダンボールオーブン、もちろん直火にかけたら燃えちゃうんですけども、まずはダンボールの中に全面アルミホイルを貼ります。

 その中に熱した炭を入れたお皿を入れて、加熱するんですけども、この時に段ボールの中が大体180度ぐらいの、電気オーブンぐらいの温度になるんで、そこで調理する分には何の心配もないですね」

●へ~〜、じゃあ簡単にできちゃうんですね!

「そうですね。比較的簡単にできますね」

冬こそ、焚き火のキャンプ

※焚き火は、お料理を作ったり、暖を取ったりと、キャンプには欠かせないものだと思うんですけど、焚き火を楽しんだあとの、後始末が大事ですよね。どんなことに注意すればいいですか?

「まずは絶対、消火ですね。必ずつけた火は自分で消すってことですよね。よくある間違いが(地面に)埋めちゃえばいいっていう人がいるんですね。もちろん埋めることで酸素が遮断されて消えるっていうか火勢は弱まるんですけども、そんなに簡単には消えないんですね。
 もしなんかの拍子に次に来た人が掘り出したりとか動物が掘ったりしたら、そこで酸素が供給されて、ほんの少しでも火が残っていたら、そこからまたわっと火が燃え広がることがあるんですよ。

 なので、埋めて消火とかはなし! ましてや、地面の上で燃えているまま、帰ってしまうってのは絶対あり得ないことですから、必ず火消壺であるとかバケツの水に燃えてる火を沈めて、酸素を断って消すっていうのを習慣づけてほしいですね」

●改めて阪口さんは、焚き火にどんな思いがありますか?

「僕も昔、都市部に住んでいて、キャンプばっかり行っていた頃は、焚き火が大好きで、ずっと焚き火をしていたんですけど、今秩父の山里に暮らしていますと、日常で焚き火がいっぱい出てくるんですよ。なので、最近はちょっと暮らしの一部分になっているって感じでしょうかね」

●キャンプはオールシーズン楽しめるアクティビティだと思いますけれども、ウィンターシーズンの注意点ですとか、こんな楽しみ方があるよなど、何かアドバイスがあればぜひ教えてください。

「どっちかというと、焚火とかバーベキューは、秋冬のほうが向いているんですよ。夏は暑いじゃないですか、焚き火・・・そうすると冬場のほうが焚き火はより楽しめますよね。焚き火の火がつくまでは寒いんですけども、冬のキャンプはぜひ楽しんでほしいなと思います。虫も少ないですし、雪景色の山が遠くに見えたりして、すごく気分がいいと思うんで、みんなで焚火を囲みながら焚火料理を楽しんでもらえたら、すごくいいんじゃないかなと思うんですね」

●ぜひこの『冒険食堂』のレシピを見ながら・・・

「ぜひ楽しんでほしいですね!」

写真:阪口 克

INFORMATION

『冒険食堂~子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』

『冒険食堂〜子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』

 阪口さんがお嬢さんの春音さんの意見も取り入れながら作った本、お勧めです。子ども向けではありますが、大人でもとても役立ちますよ。火の起こし方から食材や調味料、作り方まで、写真をもとに解説してあるので、その手順に従ってやれば、初心者でも美味しくできると思います。どこにでも持ち歩ける便利なハンドブック・タイプ。ヤマケイ新書シリーズの一冊として絶賛発売中です。

◎山と渓谷社 :https://www.yamakei.co.jp/products/2823510830.html

『家をセルフでビルドしたい』

『家をセルフでビルドしたい』

 家をご自分で建てた顛末も本になっていますよ。先月、草思社から文庫で発売されました。

◎草思社 :https://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2686.html

 阪口さんのオフィシャルサイトもぜひ見てください。

https://sakaguti.org

オンエア・ソング 11月26日(日)

2023/11/26 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. DREAMTIME / DARYL HALL
M2. WE BUILT THIS CITY / STARSHIP
M3. ADVENTURES IN THE LAND OF MUSIC / DYNASTY
M4. FIRE / BABYFACE & DES’REE
M5. 勇者 / YOASOBI
M6. CARDBOARD BOX / FLO
M7. WINTER WONDERLAND / TONY BENNETT

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」特別編!〜高校生のアイデアコンテスト「SDGs QUEST みらい甲子園」

2023/11/19 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「SDGs QUEST みらい甲子園」の総合プロデューサー「水野雅弘(みずの・まさひろ)」さんです。
です。

 水野さんは、持続可能な環境社会を実現するための事業などを行なう株式会社TREEの代表取締役、そしてSDGs.TVのプロデューサーでもいらっしゃいます。

 SDGsはご存知の通り「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS」の頭文字を並べたもので、日本語にすると「持続可能な開発目標」。

 これからも地球で暮らしていくために、世界共通の目標を作って資源を大切にしながら経済活動をしていく、そのための約束がSDGs。2015年の国連サミットで採択され、全部で17の目標=ゴールが設定されています。

 当番組では17のゴールの中から、おもに自然や環境に関連するゴールを掲げ、定期的にシリーズ企画「SDGs〜私たちの未来」をお送りしていますが、今回は特別編! 高校生が考える社会課題解決のためのSDGsアクション・アイデアコンテスト
「SDGs QUESTみらい甲子園」をクローズアップします。

☆写真協力:みらい甲子園事務局

「SDGs QUESTみらい甲子園」

今回から千葉県大会を開催!

※まずは「SDGs QUESTみらい甲子園」の開催趣旨について教えていただけますか。

「本当に今、時代が大変革の時を迎えています。未来が予測困難な時代なんですけれども、そうした中においても、高校生が自ら未来をちゃんと考え向き合って、特に社会課題をどう解決していくかを起点にしながら探究し、そして、できれば主体的に行動力を高めるような、そんな機会を作ろうと思って始めたのが『SDGs QUESTみらい甲子園』です」

●今年で5回目の開催ということですけれども、開催エリアが年々増えているんですよね?

「そうですね。初年度は北海道と関西から始めまして、今年は19エリア32の都道府県で開催します」

●これまでどれぐらいの高校生たちが参加しているんですか?

「延べでいくと1万人を超えています。年々増えてきまして、昨年は5000人以上、チームでいうと1228チームがエントリーしてくれました」

写真協力:みらい甲子園事務局

●今年からは千葉県大会もあるんですよね。

「そうですね。去年までは首都圏大会という形で、千葉県も対象にしていたんですけれども、やはり千葉もたくさんの学校がありますので、千葉県大会をbayfmさんと一緒にやらせていただきます」

●千葉エリアならではのアイデアがどんどん出てくるといいですよね。

「そうですね。千葉は都会でありながらも、房総半島を考えますと本当に多様な社会課題に向き合っていますから、SDGsを起点にした素晴らしいアイデアを期待しています」

●この「SDGs QUESTみらい甲子園」の参加条件を教えてください。

「参加条件は、まずはチーム制です。高校1〜2年生を中心に、今年からリーダーでなければ、3年生も参加可能です。中高一貫校であれば、チームの中に中学生が入っても大丈夫です。2名〜6名で、部活で参加する場合は最大10名までは可能としています」

(編集部注:このコンテストは、競い合うというよりも、ほかの高校の生徒たちと交流してもらうことも目的としていて、応募する生徒たちも、それを楽しみにしているそうですよ。
 今回は、各エリアから選ばれた最優秀賞の19チームが全国交流会に進み、最終的にグランプリチームが選ばれることになっています。グランプリチームは、北海道美幌町にある「ユース未来の森」に招待されるそうです)

写真協力:みらい甲子園事務局<

高校生の柔軟な発想を期待!

※過去の応募作から、特に印象に残っているアイデアを教えてください。

「この番組に若干合わせて、環境的な視点から申し上げると、例えば静岡は卓球、静岡だけでピンポン玉を年間2.5トン廃棄するそうなんですね。それをリサイクルしてスマホケースを作るアイデアを考案した高校生がいたりとか・・・。

 あとは滋賀県から琵琶湖、やっぱり琵琶湖を綺麗な淡水にしていきたいっていうことがあって、自分たちで天ぷら油を集めて、粉せっけんにして、そこに”草津あおばな”という地元で採れる植物を入れて液体化すると、すごく綺麗な色になるんですね。それを彼らは“琵琶湖ブルー”と言っています。天然の液体洗剤を通して琵琶湖を守っていく、普及啓発にしていく、そんなチームもありました。

 あともうひとつお伝えすると、たぶん千葉でもたくさんの放置林があるんですね。竹です。日本は里山が竹によって、荒廃していく世界が多いんですけれど、その竹を使ったバイオ竹炭であるとか・・・竹問題っていうのは九州のほうが多かったです」

●大人では発想できない、高校生ならではの柔軟な発想だなという感じがありますよね。

「そうですね。高校生はある意味、グローバル意識はすごく高いんですけれども、社会課題となると、行動範囲が数十キロ圏内なので、地域に対する思いがありますね。地域の課題を環境だけではなくて、差別や相対的貧困やジェンダーの問題、様々なところから高校生らしい発想とアイデアが生まれてきています」

水野雅弘さん

※「SDGs QUESTみらい甲子園」の発案は水野さんなんですよね?

「そうですね。ネーミングも含めて考えました」

●どうして始めようと思われたんですか? その辺りの思いをぜひ聞かせてください。

「僕は2007年から『GREEN TV』というイギリス・メディアの日本代表になって、環境に関わる様々な発信をしてきたんですね。2015年にSDGsが国連で採択された時に、これは共通言語になっていくし、それを起点に普及させることで、無関心のかたたちと語り合える、もう行動しなくちゃいけないなと思い立ち、翌年の2016年に『SDGs.TV』という映像メディアを立ち上げたんですね。その映像メディアを視聴しているのが学校の先生が多かったんです。

 その学校の先生から、高校生たちが行動できるような発表の場をぜひ作ってくれないかっていう話をいただいて、大会というか野球の・・・全国それぞれの地域の課題や、世界の課題に向き合っていこうと思って組み立てたのが『SDGs QUESTみらい甲子園』です」

●中学生でもなく大学生でもなく、高校生を対象にしたのはどうしてなんですか?

「高校生になりますと、自分の進路をとても真剣に考え始めます。そういった意味では、キャリアとは言いませんけれども、進学や就職ということを考えた時に、社会課題に向き合っていく、いわゆる最初の芽が出る・・・。

 小学生中学生ですと知識的なものが多いですね。高校生になると、もうひとつは経済的な視点も入ってくる。だから大人と子供のちょうど中間になった時に、自分の進路がまだ不透明な大学生も多いんですけれど、やはり高校生の時になるべく早く自分のヒントというか、自分のやりたいことのためには、やっぱり未来を見つめることが比較的重要だと思いまして、高校生に絞りました」

(編集部注:「SDGs QUESTみらい甲子園」は、コンテストではあるんですが、実は、応募してくれた高校生には、大学入試などのポートフォリオとして活用できる参加証明書を発行。また、先生にとっては、学習プログラムとして活用できる、そんな側面もあるんです)

写真協力:みらい甲子園事務局

自分の心と大地にタネを植える

※「SDGs QUESTみらい甲子園」のオフィシャルサイトに、グランプリチームが北海道の「ユース未来の森」で木を植えている動画がありました。この「ユース未来の森」について教えていただけますか。

「これは実は今、気候危機と呼ばれている中で、気候変動に対して高校生たちが、何か未来に向けて、活動のひとつとして、森を作っていこうっていうことを昨年度から始めました。全国の高校生がなかなか全員は来られないので、地元の高校生たちと一緒に木を植えていくという形で、気候変動行動のひとつとして、みんなで森作りを始めた次第です」

●水野さんも行かれたことはありますか?

「この10月に僕も参加しまして、汗だくになって植えてきました」

●あの動画を見ていて、生徒さんたちもそうなんですけど、参加されている先生たちが、すごく生き生きとされているなっていう印象があったんですけど・・・。

「そうですよね。道内だけではなくて、今回グランプリをとった鹿児島の種子島から来た先生も、本当に汗をいっぱいかいて、楽しそうに活動していましたね。あの映像も僕が植樹しながらiPhoneで撮影した映像です」

●そうだったんですね~。みなさん、本当に楽しそうなのが印象的でした! やはり植樹体験で気づくこともいろいろあるんでしょうね

「そうですね。彼らにインタビューをすると、やっぱり木を植えることは当然初めてなんですね。林業のかたたちがこうして木を育てていく・・・植えることも大変だし、1年2年ではなくて、20年50年100年と、すごく大変な仕事なんだってことがよくわかったと、生徒たちのコメントからは聞けました」

●やっぱり人ごとではなく、自分ごとになることが大事になってきますよね。

「そうですね。植林が大切とか、間伐が大切とか、いろいろ頭で学んでも、やっぱり自ら大地に立って苗を植えるっていうのは、すごく貴重な体験ではないかなと思います。 ほとんどの生徒が、自分が大人になったら20年後30年後には、ぜひ自分が植えた木を見に行きたい!と・・・ある意味、ちょっと大袈裟かもしれないんですけど、環境を含めた地球への何か・・・自分の心と大地にタネを植えるって感じなんでしょうね」

写真協力:みらい甲子園事務局

SDGs.TVの多様なコンテンツ

※水野さんの会社TREEのオフィシャルサイトを拝見すると、当初はマーケティングの事業を展開され、現在は持続可能な環境社会を実現するための事業を柱に据えて活動されています。事業内容を変革する、なにかきっかけがあったのでしょうか?

「大企業のマーケティング・アドバイザーのような形で、いろんなマーケティングに関わってきたんですけれど、今から20年ほど前に、やはり株主中心で、ある意味、行き過ぎた利益追求ということが多くなったことによって、ヒューマンエラーだとか、いろんな法的な事件、事故につながることが多かったんですね。

 そうした点において、ガバナンスをしっかりするためには、やはり自分自身ももう少し環境や社会、いわゆる企業活動が与えていることを、しっかりとその企業にも提供すべきでしょうし、社会もそれに向かわなくちゃいけない、そういうことが舵を切ったきっかけですかね。

 もうひとつきっかけとして、ちょっと長くなってしまうんですけど、2010年に『生物多様性条約会議COP10』っていうのが名古屋でありまして、それの開会式のプロデュースをしたんです。 その時に全世界で生物多様性の危機的な状況がありました。
 これは生物多様性の危機的状況は気候変動もあるんですけど、私たちの消費生活、生産と消費にものすごく影響をもたらしているので、ここはやっぱり企業活動自身を、地球や社会のサステナブルのためにも取り組むべきだと考えました」

●今の主な事業としては「SDGsQUESTみらい甲子園」の学習プログラムにもなっているSDGs.TVというメディアになるんでしょうか?

「そうですね。メディア事業というよりも、これはひとつのプラットホームとしての教育ですね。これは小中高だけではなくて、企業の人材育成研修にも軸足を置いて、多くのかたたちがサステナブルな意識啓発になるようにと、研修事業を中心にしています」

●コンテンツはどんなものがあるんですか?

「SDGs.TVは本当に多様ですね。NGOのアクションから各国の政府の活動ですとか、もちろん国連や気象協会、様々な気候から生物多様性からLGBTQ、フェアトレードから途上国の話もあれば、日本国内のローカルな取り組みのものもあれば、課題から取り組みまで、様々なコンテンツを発信しています。

 テキストで学ぶよりは、やっぱりエモーショナルですし、映像にはストーリーがありますよね。そういった意味では全く無関心だった子供たちを見ていると、先生から一方的に教えられるものだと下向いているんですけど、映像を見て心が動いて、これは大人もそうです。映像を見た時にやっぱり腹落ちするというか腑に落ちるというか・・・ですから、映像の力は人々の行動を促すには、とても大切かなと思います」

(編集部注:ちなみにSDGs.TVには500タイトル以上の映像があるそうです。どんな作品があるのか、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください)

「気候行動探究ブック」を無料配布!

気候ブック

※学校の授業で地球温暖化や環境問題を学んでいる10代のみなさんは、私たち大人以上に危機意識を持っているように思います。その辺りは、いかがですか?

「この5〜6年、中学生高校生と出会っていると驚くのは、やっぱりエシカル意識がすごく高いです。 少し感度の高い子供たちはフェアトレードとかにも関心がありますね。
 最近は本当に美容院を選ぶにしても、物を買うにしても、店を選ぶ中において・・・究極は就職、大学生も就職をしていく中において、SDGsにちゃんと取り組んでいるかとか、そういうことに目線がいく若い10代は、私たちの時代とは違って多いなと思います。
 ただ気候変動で考えると、欧米と比べると日本人の10代は、まだそれだけの危機意識はちょっと弱いかなとは思います」

●「気候行動探究ブック」というものを全国の高校生に無料で配られたんですよね?

「そうですね。みらい甲子園はSDGsで申し上げると1番〜17番、それは社会課題は多様なもので構わないんですけど、やはり世界の気候変動教育ってすごく重要なんですね。イタリアやイギリスではもう国をあげて行なっているんですが、日本はまだまだ気候変動教育は進んでいませんので、行動を促すような教材を作りまして、全国およそ4300校に進呈しました」

●これはどんなブックになっているんですか?

「世界中の同じ世代の高校生たちの気候行動の情報ですとか、温暖化が与える影響、そして私たちがどういうことに取り組むべきかということをわかりやすく解説しています。
 国立環境研究所のかたや国連のかた、スウェーデン・ストックホルムのレジリエンス・センターのかた、そんな専門家からの映像メッセージも入れて、多様な行動をみんなで考えるような探究ブックにしています」

●「SDGs QUESTみらい甲子園」 に応募してくる高校生たちには、どんなことを期待していらっしゃいますか?

「アンケートをとったんですけれど、みらい甲子園に参加してSDGsの意識が高まったっていうかたは大半ですし、行動意識が変わったっていう結果が最も多いんですね。 ですから、エントリーした高校生には未来を切り開く力、そして自分たちが変えるんだと主体的な考え方、そんなことを持っている、ひとりでも多くの次世代が育っていくことを期待しています」

●一方で番組を聴いてくださっている大人のみなさんに、何か伝えたいことがありましたら、ぜひお願いいたします。

「これは高校生から聞いたことなんですけど、自分たちのアイデアを自治体に持っていったら、”こんなこと、できないよ”とか、結構否定されることが多かったらしいんです。 そうではなくて、やっぱり常識が通用しない未来を考えますと、これだけ生成AIも出てきて、本当に新しい社会が今始まろうとしている。そんな時には大人も、高校生や中学生から学ぶことがたくさんありますし、一緒に共創していく思い、それを持って応援していただきたいなと思います」


INFORMATION

「SDGs QUESTみらい甲子園」

 現在「SDGs QUESTみらい甲子園」千葉県大会では、高校生のみなさんのアイデアを募集しています。持続可能な社会を実現するために解決したい、あるいは、変えたいと考える「探究テーマ(課題)」をひとつ選び、その解決策となる具体的な「SDGsアクション」のアイデアをお送りください。

 参加条件は、千葉県の高校に通う1年生・2年生、ふたりから6人で構成するチーム。高校3年生だけのエントリーはできませんが、チームに入ることはできます。

 千葉県大会の応募の締め切りは、12月20日(水)午後1時。エントリー方法など、詳しくは「SDGs QUESTみらい甲子園」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎SDGs QUESTみらい甲子園 :https://sdgs.ac

 水野さんが代表を務める株式会社TREEのサイトもぜひ見てください。

◎株式会社TREE :https://tree.vc

オンエア・ソング 11月19日(日)

2023/11/19 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. I DON’T CARE / ED SHEERAN & JUSTIN BIEBER
M2. YOUNG HEARTS RUN FREE / CANDI STATON
M3. A MILLION DREAMS / ZIV ZAIFMAN,HUGH JACKMAN,MICHELLE WIL-LIAMS
M4. TRY EVERYTHING / SHAKIRA
M5. We Are / ONE OK ROCK
M6. POWER TO THE PEOPLE / BLACK EYED PEAS
M7. I NEED TO WAKE UP / MELISSA ETHERIDGE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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