毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
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生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

~2020年3月放送分までのサイトはこちら

Every Sun. 20:00~20:54

ハワイの素顔

2020/6/6 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、ハワイのスペシャリスト、そしてエッセイストの「近藤純夫」さんです。

近藤純夫さん

<今週は本のプレゼント! 応募方法はこのページのいちばん下に>

 近藤さんは1952年、札幌市生まれ。エッセイストのほかに、翻訳家、写真家、そして洞窟探検の専門家。1980年代からハワイに足繁く通い、ハワイ諸島の自然や文化に関する本や講演などを通して、ハワイ情報を発信。ハワイ火山国立公園アドバイザリー・スタッフとしての顔も持っていらっしゃいます。

 きょうは伝統的なフラや植物のこと、そして近藤さんおすすめの絶景スポットのお話などうかがいます。

☆写真提供:近藤純夫

90%以上は外来種!

※近藤さんは洞窟調査のためにハワイ島に行ったのをきっかけに、その後通うようになったそうですが、ハワイには洞窟がたくさんあるのでしょうか。

「火山洞窟がたくさんありまして、鍾乳洞というのはほとんどないんです」

●どうして、ハワイの洞窟だったんですか?

「はい、ふたつありまして、ひとつはハワイ諸島っていうのは火山の噴火でできた島なので、洞窟が多いから新しい発見があるんじゃないかな、というのがあるのと、それから規模の大きいのが既に見つかっているので世界クラスのが見つかるかな、というのがありました。それが一点。

 もう一点は僕がずっと勉強させていただいている先生がいらっしゃって、この先生の講演会を含む国際洞窟学会という、いろんな大学や研究所が集まる世界会議みたいのがハワイ島であったんです。(その会議に)行ったところ、お前は洞窟の調査をやっているなら、ここの地域が空いているからやってみないか? と言われたんですね。じゃあやらせてください! ということで始めたのが最初です」

●いちばん初めは洞窟というのがきっかけだったということですけれども、それから興味もいろんなところに広がっていったというような感じなんですか? 

「はい、そうです。そういう僕も最初はですね、洞窟に通っている時にお花を見たりとかはあったんですけど、あ、花か〜くらいで、それ以上に興味を持つこともなく、何年も過ぎてからちょっとしたきっかけがあって、花も面白そうだねっていうような感じになりました。

 女性もあるかもしれませんけど、男性って何か物を集めるのは結構好きだったりすると思うんです。僕の場合はそのお花の匂い、たまたま蜜の、すごく甘い香りを出していたんです。この花は何なんだろう? っていうのを気になって調べた時に、ほかの色もあるよとか書いてあって、それは全部見たいなとか、写真に収めたいなと思うのがきっかけだったんです」

●ハワイの花は色鮮やかな花も多いですものね〜

「でもね、その90%以上は外国の花なんです」

●そうなんですか!?

「これは知っているよってお花の名前を上げると、多分99%ぐらいまで跳ね上がって外来種です。外国のお花です」

●そうなんですか!? じゃあハワイそのもののお花というのはそんなに…

「見るチャンスは比較的意識しないとないと思います。例えばハイビスカスだとか、プルメリアだとかブーゲンビリアって名前は聞きますよね。これ全部外来種なんです」

●ハイビスカスはハワイそのもののイメージでした。

「ハワイのハイビスカスもあるんですけども、実は山の中にあって、観光で見る人たちのものっていうのはみんな園芸品種で、ほかのものなんですね」

ハワイの夕陽

写真提供:近藤純夫

※近藤さんはこの時期に新しい本を出すにあたって、何か意識したことはあったのでしょうか。

「そうですね、ちょうどタイミング的にもお家でおとなしくしてなくちゃいけないっていう時ですから、この本が窓のような役割をしてくれればいいなと思っていましたので、本を通じてちょっとハワイを感じてもらいたいというメッセージは込めました」

●ハワイの日々が1日1日記録されていますけれども、特にこの7月7日の”光の帯”っていうタイトルで、満天の星空に天の川がある写真にすごく感動しました。美しかったです! 

「これもね、ちょっとした事件というか、ありまして、僕はこの時、人を連れて夜に星を見せる予定だったんですね。ところが、これハワイ島なんですけれども、どこへ行っても曇りで、山の上も曇りで星がひとつもなかったんです」

●え?! そうなんですか! 

「ええ。で、この写真を撮ったのは、結構低い位置で標高800メートルぐらいしかないところなんです。そこの天気図を見たら、ちょっと雲の切れ間があるっていうのが分かって、行って到着して1時間くらい見たら、もう雲に覆われてしまったという、本当にピンポイントで見た時の(写真)ですね」

●そうなんですね! 

「逆にいうと、普通めぼしいところに行って、どこも雲だっていったら諦めますよね、日本だったら。ちょっと車で行くっていうようなレベルではないですよね、日本の場合は。でもね、ハワイというのは地域によって全く天候が違うので、これが可能なんですよ」

●そういったところもハワイの魅力のひとつですね。

「そうですね。だから気象とか気候というものも、ちょっと勉強しておくと、こういうことができちゃうというのはあります」

●この“黄色のサンセット”っていうのもすごく素敵でした! こんな綺麗な夕陽は見たことない! っていうような写真で、燃え立つような黄色とかオレンジ色の夕陽ですね。

「そうですね。本の構成上1枚しか載せていませんけども、別の日に行くとサーモンピンクになったり、別の日に行くと真っ赤になったりとか、黄色になったりとか、本当に色が変わるんですよ」

●夕陽の色が変わるんですか? 

「そうです、変わるんですよ。それがハワイのいいところ。多分人が周りにいないと、なんかその空に溶け込みそうな感覚ってのがあります」

●うわー素敵ですね〜! この“7月24日:黄色のサンセット”はどこで撮った写真ですか?

「これはね、カウアイ島のワイメアという町の海岸です」

●橋がありますね? 

「これはね、桟橋であまり使われてないんですけども、今はほとんど釣りをしたりとか、夕方の散歩に地元の人が訪れるだけですけど、ここね、ちょっとした“いわく”があるんです。なにかと言うと、ポリネシアの人以外で外国から初めて人が来た、つまりハワイを発見したのはキャプテン・クックって人なんですけども、クックが初めて上陸したハワイの場所ってここなんです!」

●そうなんですか!

「そうなんですよ。この町は小さいですけど、小さなクックの銅像も建っています」

<ハワイ諸島の特徴と成り立ち>

 私にとっても憧れのリゾート、常夏の楽園・ハワイ、改めてどんな所なのか、おさらいしてみましょう。

 ハワイは1959年にアメリカの50番目の州となった、最も新しい州ですが、それ以前にもネイティヴ・ハワイアンの十数世紀に渡る歴史があります。およそ1500年前、無人島だったハワイ島にポリネシア人が初めて到達し、その500年後にはタヒチから多くの移住者がやってきて、ハワイ文化の基礎を築きました。

 1778年にキャプテン・クックがカウアイ島に上陸して西洋との関わりが始まり、その後も様々な歴史を積み重ねて現在に至ります。

 ハワイ諸島は500万年前の海底噴火で隆起したあと、プレートの移動で北西にずれて島が次々に造られ、130以上の島や岩礁で形成されています。

 州都・ホノルルがありハワイ観光の拠点となっているオアフ島や、活発な噴火活動が続くキラウエア火山があるハワイ島、かつてカメハメハ大王が王朝の拠点を置いたマウイ島のほか、カウアイ島、モロカイ島、そしてラナイ島の合わせて6つの島が世界有数のリゾートアイランドとして知られています。

 年間を通して平均気温25度以上と、温暖な気候ですが、標高の高い地域では雪が降り、ハワイ島最高峰のマウナケアでは積もることもあるんだそうです。

 実はハワイ諸島、現在も太平洋プレートの移動とともに、年に6センチから9センチくらいずつ北西側に動いています。ハワイ諸島の北西には日本列島があり、直線距離で6000キロちょっとなので、単純計算で1億年後くらいには日本とハワイがくっつくかも…と思いきや、実際は、太平洋プレートは日本海溝で北米プレートの下に沈み込んでいるので、ハワイ諸島もいずれは、といっても地球規模の気の遠くなるような時を経て、日本海溝に沈んでしまうそうです。

フラは道!?

写真提供:近藤純夫

※近藤さんの新しい本にはフラダンスではなく「フラ」と書いてありました。フラとフラダンスは、同じと考えていいのでしょうか。

「うーん、イエスでもあるし、ノーでもあります。何故かというと、まずフラっていう言葉ってどうしてもダンスと結びつきやすいですよね。でもフラってダンスだけじゃないんです。

 例えばフラっていうのは、元々は神様に捧げるための、カフナと言うんですけども、日本でいうと住職さんだとか神主さんとかああいう人たちのことで、そういう人が神に祈りを捧げる時に、それを聞いている周りの人々に分かりやすくするために、祈りの内容をジェスチャーで教えた。そうするとただ声を聞いているよりも目に入ってきやすいんじゃないですか。それが元々のフラなんですよ」

●そうだったんですね。

「それをちゃんと守っている人たちは今もいて、名前は省略するにしても、伝統的なフラをやる人たちがいます。そのフラがダンスというか、踊りを通して何かを表現するっていうことになった時に、フラダンスって言葉も英語として出てきたんですけども、いまはふたつ(のフラが)あります。

 ひとつはさっき言ったように伝統的な踊りのフラを“フラカヒコ”、それからもうひとつは今風のドレスとか着てやる“アウワナ”という名前のフラがあって、このふたつをいう時にはフラダンスといってもそんなに違和感はないかもしれない。

 本当に古いものになると・・・楽器も、普通は楽器と言いますけども、(フラの)楽器は使ったことありますか?」

●使ったことはないです。

「ないですか、楽器を見たことはありますか?」

●あります! 

「それを先生は楽器と、もしかして言っているかもしれませんけども、本来それは楽器ではなくて神具、神様の道具なんです。だから勝手に触っちゃいけない、生徒が」

●へぇー! 

「という厳しいところもあれば、まあそんなに固くやらなくてもいいんじゃないのって、いうところもありますけども、いろんなところがあるんですよ。だから例えば日本の茶道だとか、そういう道と名前が付いて長い歴史を持っているものには、いろんな決まり事があるじゃないですか。フラもそれと同じようなもので、すごくいっぱいあるんですよ」

●ハワイの方々にとってフラっていうのはどんな存在なんですか。もうそれこそ神だったりとか?

「有名な言葉があって、”フラは人生だ”っていうのがある。フラ・イズ・ライフっていうのがありますね」

サンセットはシルエットで

新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』

※取材のためにハワイに、毎年のように通っていらっしゃる近藤さんが行くたびに必ず訪れる場所はどこなんでしょうか。

「訪れる場所ですね〜、行く島がどこかにもよるので、6つぐらいの島はどなたでも行けるんですけども、オアフ島だったらこことか、マウイ島だったらここっていうのはあります」

●いちばんのおすすめというのは? 

「そうですね。僕が最も多く行くのはハワイ島なので、ハワイ島では人には会う、久しぶりだねって言ってその町に住んでる人に会って、よもやま話をするっていうのはまず楽しみですよね。

それから食べるもの、ここに来たらこれ食べるしかないよねって食べ物もあるし、それも面白いのは、言い方は悪いけど、決して美味しいわけじゃないけども(苦笑)、でもハワイの味だよねっていうのがあって、それを食べて、あ、戻ってきたなって思ったりしますね」

●おすすめのハワイのソウルフードはなんですか? 

「そうですね、サイミン」

●サイミン? 

「サイミンっていうのはね、ラーメンみたいな麺なんです。ラーメンって言ったらちょっと違うよねって思うかもしれないんですけども、なんとも奇妙な味なんです。でもそれはハワイの完全に国民食と言うか、島民食なので、なんと!マクドナルドのメニューにもあります。そのぐらいスタンダードなんですよ。

 食べ方も地元の人の食べ方っていうのがあります。一応ラーメンみたいなもんだから蓮華が付いてくるんですけども、必ずマスタードも付いてくるんですよ」

●え?! 

「マスタードをどうするのかっていうと、それをすくってスープに入れるんじゃなくて、スープを飲む時に蓮華の下にちょんとマスタードを付けて、付けた状態でスープをすくうと、ほんのりとマスタードの香りがスープに溶け込むという、面白いでしょ」

●へ〜〜〜面白いですね。これから自由に海外に行けることになった時に、リスナーのみなさんがハワイに行った時にこういう風に楽しんでっていうのがあれば、是非教えてください!

「夕方になると、大体みなさんビーチにいることが多いと思うんです。例えばワイキキ・ビーチとか行った時に、海岸にたくさんの人が立ってサンセットを見たりしているんですけども、僕のおすすめはその砂浜から100メートルぐらい後ろに、陸地の方にちょっと後ずさりして戻ってもらう。ビルの後ろじゃなくて海が見えている状態で戻るんですけども、そうするとヤシの木だとか、ライフガードの建物だとか、点々とシルエットになる。その方がずーっと綺麗です。それを楽しんでいただくのは、どこでもできますから、是非一度やってみるといいなと思います。僕もそういう写真をこの本の中にいくつか入れています」

☆過去の近藤純夫さんのトークはこちらをご覧下さい


INFORMATION

近藤純夫さん情報

新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』

新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔

 近藤さんがハワイの日々を記録し、暮らすような感覚で1年をつづってあります。1ページに一枚の写真と短いエッセイで構成されていて、ハワイの暮らしや街の風情、自然や絶景など、まさに「ハワイの素顔」を感じられる一冊です。

 『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』は誠文堂新光社から絶賛発売中!

●誠文堂新光社のHP:https://www.seibundo-shinkosha.net

●近藤純夫さんのFacebook:https://www.facebook.com/kondo.sumio

●近藤純夫さんのハワイ塾:https://www.facebook.com/halenaauao/

●新刊『ハワイごよみ365日』:
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784416520369

<プレゼントの応募方法>

近藤さんの新刊『ハワイごよみ365日〜季節ごとに楽しむ、島々の素顔』を抽選で3名の方にプレゼントいたします。ご希望の方は「ハワイの本、希望」と書いて、メールでご応募ください。

メールアドレスは、flint@bayfm.co.jp です。

あなたの住所、氏名、年齢、電話番号をお忘れなく。番組を聴いた感想なども書いてくださると嬉しいです。応募の締め切りは、6月10日到着分まで。当選者の発表は本の発送を持って替えさせていただきます。たくさんのご応募、お待ちしています。

このページの上部にある「メッセージを送る」からも応募できます。

応募は締め切られました。たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。

ゆるゆる、きょろきょろ、ゆる山歩き

2020/5/30 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、登山ガイドでフリーライターの「西野淑子(にしの・としこ)」さんです。

西野淑子さん

 西野さんは山口県生まれ、埼玉育ち。立教大学卒業後、旅行ガイドブックを多く手掛ける出版社で編集のアルバイトを経て、1999年からフリーライターそして編集者に。2017年に日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドの資格を取得。現在はフリーランスとして原稿書きや編集のお仕事をしつつ、初心者向けハイキング講座の講師なども務めていらっしゃいます。

 また、東京新聞の首都圏版に、ゆる山歩きのコラムを連載中で先頃、その記事をまとめたシリーズ3作目となる本『もっともっとゆる山歩き〜まいにちが山日和』を出されました。

 きょうはそんな“ゆる山歩き”をテーマに、西野さん流の山の楽しみ方やチェックしておきたい、おすすめのコースなどうかがいます。

☆写真提供:西野淑子

街を歩く時の2倍ゆっくり

※西野さんは山岳会に所属され、日本アルプスを縦走したりと本格的な山登りもされています。そんな西野さんがゆる山歩きに目覚めたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

「やっぱり登山を始めると、初めはどんどん歩く距離を伸ばしたいとか、もっと高い山に行きたい、山の会に入ってもっと難しい登山がしたいという風にずっと思って、どんどん出ていたんです。

 『東京近郊ゆる登山』という、初心者で登山を始めたい方向けのガイドブックを作って、それがご縁で初心者の方と一緒に山を歩くようなお仕事を始める中で、結局そういう方とご一緒する時って本当にゆっくりと周りを見ながら歩くんですね。私自身もみなさんにこれが見えますよとか、これこれがありますよ、こんな景色が見えます、みたいにご案内をしながら歩くことで、ゆっくり歩いて、いろんなものを見る楽しさに目覚めたというか、知るというか。上をひたすら目指さなくても周りを見ることで、もっと山自体の良さを味わうようになったという感じですね。

 だから結局その知り合った初心者の方々、山に慣れていない方々が、私にゆる山歩きの楽しさを教えてくれて、目覚めるきっかけになったのかなって思っています」

鋸山山頂。地獄のぞきと絶景。
鋸山山頂。地獄のぞきと絶景。

●この本の中にも街を歩く時の2倍ゆっくりで歩くという風に書いてありましたけれども、かなりゆっくりというような感じなんですね? 

「そうですね。実際、山を歩き始めると、街で歩くのと同じように歩いてしまうと結局、山って多少傾斜があったりとか、あと歩きづらい不整地な面、ボコボコの面だったりするので、どうしても歩きにくくて、いつもの街歩きのペースで歩くと、ちょっと息が上がって疲れてしまったりするんですね。なので2倍ゆっくり歩くというのは、周りのものを見る余裕を楽しむというのも あるし、あと疲れないコツでも実はあるんですよね 」

急がず、自由に楽しむ

奥多摩・弁天山の山頂(最寄り駅から1時間弱で山頂に立てる山)。 ミツバツツジが緑に映えて美しい。
奥多摩・弁天山の山頂(最寄り駅から1時間弱で山頂に立てる山)。
ミツバツツジが緑に映えて美しい。

※続いて、西野さん流の山の楽しみ方についてうかがいました。

「多分私はそんなマニアックでもないですし、普通の人とあんまり変わらない楽しみ方をしているとは思うんです。とにかくきょろきょろしながら、ものを探しながら歩くのが好きなんですよね。

 例えば春先ですとお花を見るのが私とても好きで、もともと山でお花を見たくて山歩きを始めたようなところもあるので、とにかく歩くペースをゆっくりにして、ここにこんな花が咲いてそうとか、きょろきょろしながら、じわじわ歩くような感じですよね。秋になるとちっちゃくてよくわからないキノコがたくさん生えていたりするのを、これもまた探しながら、きょろきょろしながら歩いています。

山で見られるスミレ。
山で見られるスミレ。

 きょろきょろしていると、“あなたお財布落としたの?”みたくね、親切なおばさまから声かけられちゃったりするぐらい、きょろきょろしています。あとは眺めのいいところでは足を止めて“ほへ〜”とか休んでしまったり、見えている山が気になって、あれはなに山かしら? とかね、地図を取り出して山の方向を見て、あれはなに山かな? とか見たりするのも好きです。
 あとは大きな木を見つけると抱きかかえてしまう悪い癖があります(笑)」

●抱き抱える?(笑)

「なんですかね、木から気をもらうっていうんですかね。あと大木だとこれってどのくらい大きいんだろうって気になってしまって、例えばどなたかとお友達と歩いていると、何人でひと回りできるかっていう、みんなで手を繋いでぐるっと木の周りを囲んで、人3人分の太さ! とかそういうのをなんかね、遊んだりするのも好きですね。割となんか自由に遊んじゃっている感じですかね (笑)」

おすすめは高尾山と鋸山!

※西野さんの新刊『もっともっとゆる山歩き〜まいにちが山日和』では季節ごとにおすすめの山を紹介しています。夏から秋にかけてのおすすめはどこなんでしょうか。

「どうしても暑いんですけど、気持ちよく樹林の中を歩いて、暑さも楽しむということだと、そうですね、あまり山に慣れていない方でも行きやすい山で、私も講座の方とよく行ったりとか、プライベートでもちょこちょこと行くのは、やっぱり東京の高尾山ですかね。

 高尾山ですと途中までケーブルカーとか、リフトで行けるルートもありますし、いちばん有名なルートだとそれこそ歩くところ全部コンクリート舗装の道で山頂まで行けて、ケーブルカーを使うと乗り場から山頂まで、健康な普通の体力の方だと1時間くらいで歩けちゃいます。

高尾山山頂の大見晴らし園地から眺める富士山
高尾山山頂の大見晴らし園地から眺める富士山

 しかも山頂からの眺めも富士山がバン! と見えたりするので、もちろんお天気にもよりますけれど、眺めもいいですし、気持ちよく歩けて、さらに途中に薬王院さんというパワースポットもありますので、薬王院さんでパワーもいただいて木々の緑からパワーもいただいて、山頂で気持ちよく過ごせるということで、高尾山は私的にはちょっとおすすめだったりします」

●千葉の低い山で何かおすすめはございますか? 

「千葉の山といえば、私が大好きなのは鋸山という、房総半島の山がありまして、これもまた、ロープウェイで、ちゃらっと山頂近くまで行けてしまう、非常にいい山です。しかも海の眺めが本当によくて、ロープウェイでも、ちゃらっと行けてしまうんですけれども、 JR の駅の浜金谷駅から歩いていただくと、暖かい山地の木々の雰囲気が、私たちが普段歩いている東京の森とちょっと違う雰囲気の森で、さらに石切場の跡を見たりすることもできて山自体も非常に楽しめます。

鋸山・石切場跡(車力道を歩くと立ち寄れる)。
鋸山・石切場跡(車力道を歩くと立ち寄れる)。

 なおかつ、ものすごく悪い歩行困難な場所とかもないので、もちろん階段登りとかはあったりするので、疲れずに歩けますかといわれると、それなりにいい感じに疲れることができて、しかもその山頂から見るご褒美感がハンパない、すごくいい山なので、こちらもまた是非行ってみていただきたいなと思います 」

<鋸山の情報>

きょうのゲスト、西野淑子さんもおすすめの鋸山(のこぎりやま)は千葉県鋸南町(きょなんまち)にあり、標高は330メートル。
 室町時代から1982年まで建築(けんちく)石材(せきざい)の房州石(ぼうしゅういし)を切り出していたため、現在も切り立った石切り場の跡が残っていて、その名の通り鋸の歯のような険しい稜線(りょうせん)が特徴です。
 斜面には、およそ10万坪という広い境内を誇るお寺『日本寺(にほんじ)』があり、日本最大の、石で造られた大仏や、石切り場跡の石の壁に掘られた高さおよそ30メートルの『百尺(ひゃくしゃく)観音(かんのん)』、そして山頂展望台の絶景ポイント『地獄のぞき』などをハイキング感覚でめぐることができます。

 この地獄のぞき、房州石を切り出した跡の絶壁から景色を眺められますが、せり出した石の先端まで行けて、まさに地獄をのぞきこむようなスリルが味わえます。
 晴れていれば東京湾はもちろん、三浦半島や富士山、さらには伊豆大島まで見えるそうで、高所恐怖症でない方は行ってみる価値あり!
 このほか、名所をすべてまわるには丸2日かかると言われるくらい、見どころの多いお寺なんです。

 そんな鋸山は車やロープウェイで気軽に山頂まで行けますが、石切り場を間近で見たいなら、山頂まで徒歩で登るのがおすすめだそうです。
 最寄りのJR浜金谷(はまかなや)駅からいくつかのハイキングコースが設定されているので、 自由に山に行けるようになったら、鋸山にも行ってみたいと思います。

ちょっとの失敗は楽しい思い出

新刊『もっともっとゆる山歩き~まいにちが山日和』

※私のような初心者が山歩きをするときは、ガイドさんを頼むほうがいいのでしょうか。

「ガイドさんとまでいかなくても、ちょっと不安だなという方は登山の経験があるか、山を歩き慣れているお友達やご家族の方とご一緒されるだけでもいいかなと思うんですね。

 今は何気に山歩きが、ひと頃ブームがあって、だいぶ落ち着いてはきているんですけど、結構探すと私、山歩いたことがあるのよとか、山歩きが趣味なのよっていう方って、ちょっと探すと割といたりするので、そういう方に“今度、私でも歩けそうなところにちょっと連れて行ってくれない?”っていう風にお願いをすると、ちょっといい山にご案内してくれたりとかするかも、その声をかけた方に合った、体力とかに見合った山を一緒に歩いてくれたりとかすると思うのでいいかなと思うんです。

 実際になかなかそういう方が見つからないわよねという方は、私のゆる山歩きの本の、本当に歩く時間が1時間とか40分みたいな、探すとあります。あとほぼ平地で渓谷歩道みたいなものもあります。

 ひとりで行くとなにかあった時やっぱり心配ですので、あまり慣れていないお友達同士でとか、あるいはご家族とご一緒にとにかく気軽に歩いてみていただけると良いかなと思います。歩いてみてちょっと道が分かりづらかったわとか、なんかちょっと疲れちゃったわとかいう場合も、そういった多少失敗してもいいと思うんですよね。100%成功しなきゃ登山ダメとかではないと思っていますので、ちょっと失敗したぐらいの方がなんか楽しい思い出として残ったりとかします。

 なのであんまり失敗したらどうしようとかね、分からなかったらどうしようとか、怒られちゃうんじゃないかと思わずに、行ってみたいなと思ったところにちょっと行ってみていただけるといいかなと思います 」

☆過去の西野淑子さんのトークはこちらをご覧下さい


INFORMATION

西野淑子さん情報

新刊『もっともっとゆる山歩き~まいにちが山日和』

新刊『もっともっとゆる山歩き〜まいにちが山日和

 首都圏から行ける季節ごとのおすすめ、全50コースが掲載されています。
見ているだけで山を歩いている気分になれますよ。
自由に山に行けるようになったら、ぜひ「ゆる山歩き」に出掛けませんか。
東京新聞から絶賛発売中です。

●東京新聞のHP:https://www.tokyo-np.co.jp/article/3729

●西野淑子さんのHP:http://westfield.sakura.ne.jp

彩色写真の幻想的な世界 〜モノクロ写真に絵筆で想いをのせる〜

2020/5/23 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、写真をもとに斬新な作品を創っている新世代アーティスト! 彩色写真画家の「安斉紗織」さんです。

安斉紗織さん

 安斉さんは1983年、東京生まれ。子供の頃から絵を描くのが大好きで、女子美術大学に進学。学生時代に、ハワイ、沖縄、ニュージーランドなど島を巡り、撮影を行ない、卒業後に西表島に滞在し、作品づくり。2015年から彩色写真画家として活動を始め、先頃、代表作を集めた彩色写真画集を発表されました。

 きょうはそんな安斉さんに、彩色(さいしき)写真とはどんな手法なのか、自然の景観や花などを題材にした作品にどんな想いを込めているのか、などいろいろお話をうかがいます。

☆写真提供:安斉紗織

名嘉睦稔さんが命名!?

(C) SAORI ANZAI

※まずは彩色写真とは、どんな手法なのか、教えていただきました。

「ちょっと聞き慣れない言葉だと思うんですけど、モノクロの写真に手彩色で絵の具を塗る手法で制作している作品です。私は見たそのままの色を彩色するだけじゃなくて自分の想いをのせて彩色しています」

●写真なのか絵なのか分からないほど、幻想的だなっていう印象があったんですけれども・・・。

「みなさんそう言ってくださって嬉しいですね。元々この彩色写真画という言葉はオリジナルで、以前こちらの番組にも出演されている木版画家の名嘉睦稔さんを私は大尊敬していて、その方が”これは新しい手法だから何か名前を付けた方がいいんじゃないか”っていうことで、この呼び名を付けてくださいました」

●そうなんですか。このモノクロ写真の現像は安斉さんがされているんですか? 

「はい! モノクロ写真の現像も私がしています」

●で、そこに絵の具で色を付けているんですよね? 

「そうですね。絵の具はアクリル水彩と透明水彩を使って彩色しています」

(C) SAORI ANZAI

●へぇー! そもそもどうしてこのような手法で作品を作ろうと思われたんですか? 

「そうですね。先ほどもお話しした木版画家の名嘉睦稔さんの影響をいちばん受けているんですけど、(睦稔さんは)裏手彩色木版画という手法で作品を作られていて、モノクロの木版画に裏から色を付けるというやり方で作品を作っているんですね。そこからインスピレーションを得て自分はこのような形で作っていますね」

●作品自体ってどれくらいの大きさなんですか? 

「作品は小さいとハガキサイズからいちばん大きいと2 メートル くらいの大作になります!」

●すごいですね! ひとつの作品を仕上げるのにどれくらい時間ってかかるんですか? 

「ひとつの作品というと旅に出る前の準備から、出かけて撮影をして現像してプリントをして彩色するとなると、全部で半年くらいかかりますね 」

自然のパワーを作品に込めて

(C) SAORI ANZAI

※モノクロの写真に絵具で色を付ける彩色写真というお話でしたが、作品づくりは、まず何から始めるのでしょうか。

「まずは次に行きたい場所を決めまして、だいたい今まで旅して行ったことがある場所が多いんですけど、何かそこに呼ばれているなーっていうような気がして、それで出かけて撮影をしてから始まりますね」

●被写体は自然の景観ですとか、花とかが多いようなイメージがあったんですけれども・・・。

「やっぱり自然からパワーをいただいて、それを作品に込めていきたいなと思って作っているので、お花とか海とか山が多くなっていますね」

●まず写真撮影をして、現像して、その写真に絵の具で色を付けていくっていうことなんですか? 

「はい、そうですね。その時に見た気持ちとか感動した感情とか、いただいた命のパワーを込められたらいいなと思って彩色をしています」

●本当にモノクロ写真に色が付くと命が吹き込まれているような感じになりますよね! すごく感動しました。

「そう言っていただけると嬉しいですね。やっぱり世界にはすごくそういう幸せな美しい世界がいっぱいあるので、そういうものを伝えられたらいいなと思って作っています!」

●作品作りでいちばんこだわっている点ってどんなところですか?

「今と同じような話になるんですけど、見たそのままではなくてその場にいるような、その時のパワーが伝わればいいかなと思って作っています 」

きっかけはフラダンス!?

(C) SAORI ANZAI

※安斉さんの作品は自然の景観や花などを題材にしていますが、撮影する場所はどうやって決めているのでしょうか。

「撮影の場所は今まで旅で行ったところが多いんですけれど、やっぱりそこにまた行きたいなーって思える、なんか心の故郷みたいなところが出てくるんですね。そこにまた行って撮影することが多いですね」

●国内だけではないですよね? 

「はい、そうですね。元々海外が好きでハワイとかニュージーランドとか、島が多いんですけど」

●ハワイやニュージーランドに行かれたきっかけって何かあったんですか? 

「元々20年ぐらい前からフラダンスを習っていて、それからハワイに興味を持って、本場のハワイにフラダンスを習いに行ったのが最初のきっかけですね」

●私もフラダンスをやるので嬉しいです!(笑)。ハワイに習いに行かれたんですね。

「地元の先生から教えていただいて、フラダンス漬けの毎日を送っていました。それからポリネシアの文化にそのまま興味が移っていって、ニュージーランドのマオリ族もハワイと同じような文化を持っているので、マオリ族のお宅にホームステイをさせていただいて日々過ごしていた思い出があります」

●ホームステイもなさっていたんですか!

「はい。そこから島が大好きになりました !」

充分に幸せだと気づく

安斉紗織 彩色写真画集 2015-2020

※安斉さんは西表島で作品作りを行なっていました。どうして西表島だったのでしょうか。

「西表島と言いますと何もなさそうなジャングルのイメージなんですけれど、そちらに私の尊敬する染色家の石垣昭子さんという方が工房を開いていまして、その方の工房にお邪魔をして作品を作るということで、西表島にしばらく住んでいました」

●あ、住んでいらしたんですね? 

「はい! しばらくひとり暮らしをしているおばあちゃまのお家に間借りさせていただいて、工房に行きながら作品を作っていました」

●西表島での生活はいかがでした? 

「島では本当にもう目の前が海の生活をしていたので、幸せでしたね(笑)。疲れたらちょっと海に行って浸かったりとか、あと虫が遊んでいるとか動いているのを見たりとかしたり、島のお祭りで節祭(しち)という祭りがあるんですけれど、そちらにも参加させていただいたり、すごく楽しい思い出です」

●安斉さんの作品を見た方にどんなことを感じ取ってもらいたいですか? 

「作品を見ていただく方にこう思って欲しいっていうのはないんですけど。最近こういう状況なので特に思うのは、やっぱり不安になったり、落ち込んでしまったりとかってあるんですけれど、自然の中に行くと山とか海とか空気とか、自然からたくさん力をいただいて、幸せに満ちている気持ちになるんですね。充分に幸せなんだなっていうことに改めて気づくので、つい忘れてしまうんですけれど、そういうことを自分でも忘れないように作品に込めていきたいなと思って作っていますね」

●作品画集の中にあった桜の作品も今年はお花見が出来なかったので、すごくこの作品を見て癒されました。

「ありがとうございます! これは3年前に青森の弘前で撮影をした桜の作品なんです。青森ってやっぱり冬の間すごく寒くて、外にみなさん出られないんですけれど、桜が咲いた頃になると一気にお外に出られて、青森のみなさんの幸せそうな雰囲気、そういうものを感じながら撮影をしたので、それが伝わるといいなと思っています」

●今後こんな作品を作ってみたいっていうのは何かありますか?

「作品を作れるだけで幸せなんですけど、実はいちばんの夢というのがいつか宇宙に行って、宇宙から地球を眺め、写真を撮って、その時の気持ちを作品に込めたいなと。地球を撮った作品を作りたい! っていうのがいちばんの夢です 」


INFORMATION

安斉紗織さん情報

安斉紗織 彩色写真画集 2015-2020

『安斉紗織 彩色写真画集 2015-2020』

 これまでに発表した作品の中から、選りすぐりの54点を掲載したカタログブックともいえる画集をぜひご覧ください。安斉紗織さんの彩色写真画集は、アイランドギャラリーから絶賛発売中です。

●アイランドギャラリーのHP:https://islandgallery.jp

初心者でも手軽にキャンプ!  〜おうちでキャンプ気分!?

2020/5/16 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、アウトドア・プロデューサーの「長谷部雅一(はせべ・まさかず)」さんです。

写真提供:長谷部雅一

 長谷部さんは1977年、埼玉県生まれ。2000年から丸一年かけて世界一周の旅を行ない、今もロングトレイルや秘境を、ザックを背負って歩く旅人でもあるんです。自然の通訳「ネイチャー・インタープリター」やBE-NATURE SCHOOLの中心メンバーとしても活躍中。また、アウトドアの経験や自然遊びの知識を活かし、子供たちの自然体験活動もサポートされています。

 そんな長谷部さんが先頃、キャンプの入門書を出されたということで、きょうは初心者に向けて、キャンプの初歩的なお話や楽しくなるコツ、そして、おうちでキャンプ気分を味わえるヒントなどうかがいます。

☆写真提供:長谷部雅一

小さい頃からアウトドア

※まずは長谷部さんが、いつ頃からアウトドア派になったのか、お聞きしました。

「僕、アウトドアといっていいか分からないんですけれども、外で遊ぶっていうことでいうと、おおよそ年長さんぐらいの時になんか秘密基地で遊ぶとか、から始まっているんじゃないかなと思っています」

●秘密基地! では、キャンプはいつ頃になるんですか? 

「キャンプはですね、僕、ボーイスカウトを昔やっていてですね、その時に初めて経験をしたので、小学校2年生とか、多分それぐらいですかね」

●もう子どもの頃からやってらしたということなんですね。

「そうなんです」

●へー! では、もう楽しみ方の知恵みたいなものも身に付けていましたね、小さい頃からだったら。

「と、思います!(笑)」

●私は全く泊まりのキャンプをしたことがないんですけれども、私のようなキャンプの初心者はまず何から始めたらいいのでしょうか? 

「初めからテントを張ったり、タープを張ったりって自分でやるのはとっても大変なので、まずはログハウスとかコテージみたいなところに泊まるっていう、ちょっと日常に近くて、さらに旅館や民宿みたいに宿泊するっていう感覚で、気軽に自然の中で宿泊されるのがいちばんおすすめです」

●キャンプといってもいろいろなスタイルがありますよね?

「そうですね。必ず自分たちで持っているテントやタープを張って、椅子やテーブルを持っていって使わなければキャンプではない、ということではないので、ご自由な形で。さらに自分たちが疲れ過ぎずにちゃんと楽しめるっていうラインでやっていただくといいかと思います」

●本の中に「イエス・ノー・チャート」というのがあって、私もやってみたんですけれども、私は「まずはここから気軽なデー・キャンプ」ということで、日帰りキャンプという項目が出たんです。ほかにもいろんな項目があるんですよね。

「はい! たくさん用意させていただいています。これから始めてみてはいかがですか? っていうゴールのところで言いますと、そのほかにあと4つあります。例えばグランピング、もしくはロッジ、コテージに泊まってみるという方法でしたり、テントに泊まりたいけど、道具を買うまではちょっと……っていう方は、道具を全部レンタルしてみましょうってことでしたり、ファミリーでキャンプをしてみましょうっていう場合でしたり、たまにはちょっとひとりでっていう方用にソロキャンプ、ひとりでキャンプはいかがですか? というようなゴールを用意させていただいています」

どんどん手を抜きましょう!?

※初心者には、いったいどんなキャンプ道具からそろえればいいのか、気になりますよね。まずは、どんな道具を買えばいいのでしょうか。

「これがなかなか難しいところです。もしもデーキャンプも少しレベルを変えてみようかっていうことであれば、通常は明るい時間にデーキャンプをされると思うんですけれども、夜の時間も味わえるデーキャンプにしていただくとより面白いかな〜と思うんですね。そう考えるといわゆるランタンって言われている灯ですとか、個人それぞれがおでこのところにくっ付けられるヘッドライトみたいなものとか、夜を過ごすための道具から揃えてみるっていうのも面白いかもしれないですね」

●なるほど! 本当に楽しみ方がいっぱいあるということですね。

「そうですね。時間軸を変えるための道具っていうのが面白いかと思います」

●キャンプって意外に忙しいと聞いたことがあるんですけれども・・・。

「そうなんです。1泊2日で、ましてや例えば最近テントを買いました、タープを買いました、椅子を買いました、いろんな道具を買いました、これを持ってキャンプしに行こうとなると、まずはチェックインが午後からだとすると、行ったらまず全部、あーでもないこーでもないって言いながら設営。終わったら夕食を作って、気づいたらもう暗いから疲れて寝ることになる。翌朝になったらすぐ片付けろーなんてなるので、全部自前でやろうと思うと初めはとっても忙しいかもしれないですね」

●どうしたらよろしいんですか? 

「僕はどんどん手を抜きましょうっていう話をよくさせていただいています。例えば、それこそ小屋に泊まってみるですとか、キャンプ場さんの方でテントやタープも全部張っといてくれているキャンプ場もありますので、そこに体験だけをしに行くっていう方法もあります。で、だんだん自分たちの道具をちょっとずつ足して、それは立てる、それは使うっていう風にやっていくと、テクニックも手早くできるようになることを覚えていくので、いいんじゃないかなと思ってます。そうすると楽しむことをまず初めに体感できますから、じゃあ今度はテントを立ててみようって、少しずつステップアップしてみるのがいいんじゃないかなと思います 」

オススメはサンドイッチ!

写真提供:長谷部雅一

※キャンプの楽しみのひとつに、やっぱりご飯がありますよね。そこで長谷部さんおすすめの、手間のかからないレシピを教えていただきました。

「いちばん楽しくって簡単でわくわくするのは、多分、朝食やランチタイムなんかに向いているんですけれども、自分自身でサンドイッチを作ってみるっていうのがいいかなって思います」

●へー! 具材はどんなもので? 

「何でもいいんですけれども、例えば、卵をいっぱい、サラダ用にしといてもいいですし、アボカドを切って置いといてもいいですし、ハムをいっぱい置いておいてもいいです。とにかく具材をいっぱい並べて自分たちが食べたいものを、具材を囲みながら自分で挟んで食べるっていうような、手巻き寿司みたいな感覚で楽しむのがいいかなと思います 」

●いいですね。自然の中で好きなものを食べるって気持ち良さそうですね。

「気持ちいいですし、美味しいんですよ!」

●キャンプの醍醐味ですね!? 

「醍醐味です!」

●お子さんを連れてのキャンプですと、安全面も含めて、心がけておきたいことなど何かありましたら是非教えてください。

「はい、まずお子さんの変化を常に見ておくっていうことが大事になるんです。いつもと違うアウトドアでずっと過ごしていますから、やっぱりちょっと熱が出てしまったりですとか、熱中症になりかけているですとか、顔が疲れているですとかってあるんですけれども、そこをキャッチすることがいちばん大事ですね。そのためには、まずは自分自身がリラックスして疲れないような状況で楽しむっていうことが大事になってきます」

●長谷部さんはキャンプで何をしている時がいちばん楽しいですか? 

「僕はですね、もうキャンプは泊まるための手段になってきてますね。いつもは家族でSUPっていう立って手漕ぎで漕ぐサーフィンみたいなのがあるんですけど、あれで遊んだりですとか、ロッククライミングをしたりですとか、山登りをしたりですとか、そういうことをしてから寝る場所に、キャンプ地に戻ってくるので、もうキャンプの時間でいうと、夜みんなであれが楽しかったね、これが楽しかったねなんて言いながら、星を眺めながらダラダラ焚き火をして過ごすのが好きですね 」

●うわー、素敵ですね! なかなか普段話せないような話もそこではできそうですね。

「できます。もうアウトドアでの遊び自体も何故かいつもよりも感情がいっぱい出てくるので、そんな状況で帰ってきてからキャンプ地で話すと、もっともっと話が盛り上がりますね」

●キャンプのいちばんの魅力って何ですかね?

「やっぱり自然にいちばん近いところで過ごせるっていうことなんじゃないかなって思います。人も自然の一部ですから、やっぱりどこかのタイミングで自然と馴染む時間を持たないと、どうしてもバランスが崩れていってしまうと思いますね。そういった意味でやっぱり自由で自然な状態でいられるようになる、自然と一体化するっていうのが醍醐味なんじゃないかなと思います 」

空を見てキャンプ気分!?

いちばんやさしいキャンプ入門

※今、おうちでキャンプ気分を楽しんでいる人って多いのでしょうか? 

「今、結構いらっしゃいます」

●どういう風に楽しむんですか? 

「今は、キャンプのスタイルを可能な範囲で自宅に持ち込むという形が多くてですね。例えば、お部屋に小さなテントを張って過ごしてみたりですとか、外を感じるためにベランダで食事をしてみたりですとか、お庭がある方はバーベキューをして、そのまま夜テントを張って寝てみるということが多いみたいですね」

●おうちでキャンプ気分を楽しむコツがあれば、是非教えてください! 

「はい! みなさん住んでいらっしゃる環境が全然違うかと思いますので、いちばん身近なところでいうと、朝・昼・晩、ベランダから空を見てみるっていうのが、実は入りやすいんじゃないかなと思いますね」

●空ですか? 

「ドアを開けて誰でも感じられる自然のいちばん身近なものが空だと思いますので、空を見ながら過ごす機会がいっぱい増えると、ちょっとキャンプ気分に近くなるかなと思います」

●まさに長谷部さんの本は、本当に何から始めたらいいのか分からないっていう方には、たくさんのヒントが載っているので、参考にするっていうのがいいですね。

「この本にはただキャンプ場に行った時だけの楽しみ方が書いてあるのではなくて、キャンプに行く前の楽しみ方が書いてありますので、その部分だけでも、ご家族で挑戦してみるだけでも、充分キャンプ気分、もしくはキャンプの練習、いつかのキャンプのために、なんてワクワク感が感じられるんじゃないかなと思っています」

●そうですね。この期間はワクワク感を高めるには最適かもしれませんね! 

「最適だと思います! 我が家はいつも、キャンプに行ったらこれやりたいから、これをおうちで料理してみようみたいな形で、日々楽しく過ごしています」


INFORMATION

長谷部雅一さん情報

いちばんやさしいキャンプ入門

新刊『いちばんやさしいキャンプ入門

 長谷部雅一さんの新刊『いちばんやさしいキャンプ入門』は、キャンプを始めてみたいと思っている人にとっては、ほんとにわかりやすくて親切に書いてある本ですよ。新星出版社から絶賛発売中です。ぜひ読んでください。

●新星出版社のHP:http://www.shin-sei.co.jp/np/isbn/978-4-405-08226-7/

 長谷部さんのオフィシャル・サイトもご覧ください。

●長谷部雅一さんのHP:http://hasebemasakazu.com

歩く旅、心まで前向きに 〜シェルパ斉藤の遊歩見聞録〜

2020/5/9 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストはバックパッカー、そして紀行作家の「シェルパ斉藤」さんです。

写真協力:斉藤政善

 本名は斉藤政喜さん、1961年、長野県生まれ。学生時代に中国の大河、揚子江をゴムボートで下ったことがきっかけで、フリーランスの物書きに。そして、アウトドア雑誌BE-PALでバックパッキングや自転車、ヒッチハイク、犬連れなど、自由な旅の連載を、30年以上続けています。1995年に八ヶ岳山麓に移住。自分で建てたログハウスで田舎暮らし。踏破した国内外のトレイルは60本以上と、まさに歩く旅のスペシャリストでいらっしゃいます。

 そんな斉藤さんが作家デビュー30年を機に、BE-PALの連載記事から「歩く旅」を厳選し、先頃、一冊の本として出版されました。きょうは歩く旅の魅力や忘れられないエピソードなどうかがいます。

☆写真協力:斉藤政善

「歩き=生活」という感覚

※まずは、斉藤さんはいつ頃、歩く旅に目覚めたのか、お聞きしました。

写真協力:斉藤政善

「30年以上前になりますね、最初は歩く旅じゃなかったんですよ。オートバイをやって、で、オートバイだと物足りないからっていうのもあって、自力で行こうと思って自転車に移ったんですね。それで自転車でアジアをずっと旅をしている時に、パキスタンとかインドとかずっと回ってネパールに入ったんですよ。

 で、ネパールに入った時に外国人のバックパッカーたちが割と普通に“ヒマラヤにトレッキング行ってくるから〜”って言って気楽に出かけていたんですよね。これまでヒマラヤのトレッキングといったら本当にちゃんとした技術があったりとか、山専門の方の専門分野だと思っていたのが、意外にみんな旅人がふら〜っと行くもんだから、じゃあ自分も行ってみよう! と思って行ったらすごく楽しかったんですね。

 それは何が楽しかったっていうと、本当にね、みんな歩いているっていう感覚。例えば、日本だとモータリゼーションというか、車が当たり前なので、歩いてしか行けないところって、実はあんまりなかったりするんですけど、ネパールを旅した時にはそこに生活している人はみんな歩いている、その中に僕が歩いて入り込んでいくっていう、本当に“歩き=生活”だっていう感覚をその時に味わって、それからですね、歩く旅って面白いなって。

 それまでの僕はどっちかと言うと“遠くまで行かなければ! より遠くへ! ”って思いがあったんですけど、逆に歩くことで、遠くへ行かなくても楽しめることが分かった。しかも早く行く必要もないってこともその時に分かりましたね」

父と息子の男旅

※続いて、国内外の各地やトレイルを数多く歩いてこられた斉藤さんに特に思い出深い旅はどこだったのか、お聞きしました。

写真協力:斉藤政善

「実はまだ終わっていない旅なんですけれど、東日本大震災の被災地を一本の道で繋ぐ、みちのく潮風トレイルってあるんですよ。それを僕は(そのトレイルが)できる前からずっと関わっていたもんですから。距離が1000キロあるんですよ、それをずーっと小まめに歩いていまして。 
 歩き始めて7年経つんですが、未だに全然終わっていないんですよ(笑)。多分全体の2割もいっていないくらい。毎回行くことによってある意味、被災地に対する支援にもなっているかなって思いもありますし、それから子どもと歩いたりもしたんですよ、息子を連れて行ったりとか」

●父と息子の絆を深める「ザ・男旅」っていう、すごく、男同士の旅いいなー! って思いました! 

「本当に僕もすごく印象に残っています。滅多に一緒に歩くってことがないし、小っちゃい子と歩く、まあ小学生くらいと歩くならいろいろと、お父さんがお父さんが! とかって感じになるんだけど、もう大人になってからの息子と歩くっていうのは・・・。ほとんど喋らないんですよ、あいつ!」 

●そうなんですか〜(笑)

「僕もあえて喋らないし、黙ったまま。だからタイトルで“ザ・男旅”って付けたのも、喋らないんだなぁ。だけど、じゃあつまらないかっていったらそうでもなくて。その時うちの子が進路で悩んでいたんですよね。で、ああしろ! こうしろ! とは言わないけれども、父親としてアドバイスくらいはできるかなと。それを語る上で、家とは違って、歩いてからテントを張って、夜、焚き火を囲んで語り合うって、なんかいいんじゃないかな、っていう思いもあって連れて行ったんですけどね」

●なかなか普段だとそういった深い話とかもできないですもんね! 

「そういう意味では、うん、歩く旅よかったかも知れないですね」

<みちのく潮風トレイル>

 さて、きょうのゲスト「シェルパ斉藤」さんが特に思い出深い旅と話してくださった「みちのく潮風トレイル」。以前この番組でも私の名前、小尾渚沙にちなんで、東北の渚を歩くトレイルとして少しお話したことがありますが・・・改めてご紹介すると、『みちのく潮風トレイル』は青森県八戸(はちのへ)市から福島県相馬(そうま)市まで、東北4県・28市町村の太平洋沿岸をつなぐ総延長1000キロの自然歩道で、東日本大震災からの復興支援を目的に、環境省が中心となって整備しました。

 最大の魅力は、海の景観をダイナミックに感じられるスポットの豊富さで、日本一美しい断崖や、リアス式海岸ならではの風景、世界有数の豊かな漁場などを、のんびりと歩いてめぐることができます。自然が作り出した素晴らしい景色や、海の幸・山の幸など自然の恵みを楽しむことができる一方、津波の痕跡など、自然の厳しさを見せつけられる場所もあります。
 そしてそんな自然と向き合ってきた東北の人々の歴史や文化にも触れられます。

『みちのく潮風トレイル』を歩く上で必要な情報は公式サイトに詳しく掲載されていて、歩く距離やルート、立ち寄りスポットなどを分かりやすく説明したモデルコースもいくつか設定されています。

 また、宮城県名取市にある『名取トレイルセンター』ではハイカーや地域住民がくつろぎ、交流できる空間を提供しています。『みちのく潮風トレイル』の全線踏破を目指す方は、『名取トレイルセンター』のホームページをチェックしてみてください。全線踏破した方に証明書を発行したり、達成した人だけが購入できる記念品などが掲載されています。

◎みちのく潮風トレイル:http://tohoku.env.go.jp/mct/

◎名取トレイルセンター:https://www.mct-natori-tc.jp

歩くことで前向きに

※続いて、歩く旅のいちばんの魅力について、お話いただきました。

「なんかつらい時とかね、特に今は本当につらい状況がどこも続いていると思うんですけど、それでも前向きな感じになれるんですよね」

●前向き? 

写真協力:斉藤政善

「常に前に進んでいるからかも知れないんだけれども、割と肯定的に考えられるんですよ。
 僕の場合はひとり旅をしているからっていうのもあるんだけど、ひとりで歩いていて何が面白いんですか? って言われちゃうんだけど(笑)なんか歩けばね、答えが見つかる気がするんですよ。

 今じゃあ自分が何をすべきかとか、落ち込んだ時でも歩いていれば、なんかいいアイデアが浮かんだり。わずかながらでも進んでいる感じは“少しずつでも歩けば、必ず解決するんだ!”っていうポジティブ・シンキングになれるんですよね。自分の体力でここまで来たっていう自信というか、それもあるかもしれないし。それから、あまり人と会わないから、会う人に対して優しくなれるっていうか・・・。

 実は家からずっと2日間、犬と歩く旅ってやったんですよ。誰とも会わないんですよね。
 僕は今八ヶ岳の麓に25年間住んでいますが、歩いたことがない道があって、そこを歩くと、“あ、こんなところあったんだ!”っていう発見がありましたね。これがひとりで歩く旅の魅力かなと改めて思いました」

道草を喰いやすく

シェルパ斉藤の遊歩見聞録

※「歩く旅」にこだわってきた斉藤さん、年齢を重ね、旅を重ねて、自分の中に何か変化はあったのでしょうか。

「ありますね、歳を重ねていろんな経験を重ねてくるとですね、“ここはこんな風になっているのか。それはどういう意味なんだろう”っていうことが考えられる。だから割と思考回路が働きながら歩くっていうのもあるし。それと欲張らなくなってくるんですよね。より遠くまで行きたいとかが、ここでやめてもいいやっていう、ある意味開き直りじゃないけど(笑)。すぐ妥協しちゃうところが、まぁそれは道草を喰いやすくなっているっていうことかなぁ」

●今後行きたい旅先はどこですか? 

「矛盾しちゃうんだけど、要するにいろんなところに行けるって意味では、近くもいいけど遠くも単純に行きたいって思いもあって、フェロー諸島。デンマーク自治領か何かなんですけれども、そこは特異な景色が、すごい絶景があるらしくて。たまたま10年くらい前にオーストラリアのトレイルを歩いていた時に、そのフェローアイランドから来ている旅人と知り合って、“うち、いいからおいでよ!”って言われて、それからずーっと気になっているところです」

●へぇー! 

「そこは大して長い距離はないんだけど、島から島へ、ゆっくり絶景を見ながらのんびり歩きたいなと思っていますね」

☆過去のシェルパ斉藤さんのトークはこちらをご覧下さい


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シェルパ斉藤さん情報

シェルパ斉藤の遊歩見聞録

新刊『シェルパ斉藤の遊歩見聞

 シェルパ斉藤さんの新刊『シェルパ斉藤の遊歩見聞録』は、アウトドア雑誌BE-PALに連載してきた紀行文の中からハイライトともいえる旅を選び、「山を歩く」「島を歩く」「犬連れで歩く」など7つの章に分け、書き下ろしも加え、「歩く旅」の魅力に迫っています。また、歩く旅に必要な装備や犬連れ旅のアドバイスなども載っていますよ。
 小学館から絶賛発売中です。ぜひ読んでください。

●小学館のHP:https://www.shogakukan.co.jp/books/09388766

 斉藤さんのオフィシャル・サイトもぜひご覧ください。

●シェルパ斉藤さんのHP:https://team-sherpa.wixsite.com/sherpa

冬の旅 インド北部のザンスカールへ 〜自然を畏れ敬う謙虚さを知る〜

2020/5/2 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、フリーライターで写真家の「山本高樹」さんです。

山本高樹さん

 山本さんは、1969年、岡山生まれ。出版社勤務と海外放浪のあと、2001年からフリーランスとして活動。2007年からはインド北部の山岳地帯「ラダック」地方を長期取材。その後、ラダックでの取材をライフワークにしながら、世界各地を巡る日々を送ってらっしゃいます。

 そんな山本さんの新刊が『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』。ザンスカールとはラダックの中心地からおよそ450キロ、標高4000メートル級の峠を越え、やっとたどり着ける、秘境ともいえる場所で、大自然とともに生きる人々が暮らしているそうです。 今週は、極寒の高地で人知れず開かれるお祭りや、現地の人々の生活、そして秘境の旅の魅力などうかがいます。

☆写真提供:山本高樹

見たこともない祭り

写真提供:山本高樹

※ではまず、なぜザンスカールへ行こうと思ったのか、お聞きしました。

「僕は元々、このザンスカールがあるラダック地方を集中的に取材をしていたんですね。2007年から2008年にかけて、1年半ぐらいかけてザンスカールに長期滞在して、『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』という本を2009年に出したんですけれども、その長期滞在の頃からずっとこの土地を気になっていて、取材をし続けていたんですね。で、当時もこのザンスカールに夏だったり冬だったり訪れていたんですけれども、特に冬のザンスカールに関して、ちょっと伝えきれてなかったなっていう部分があったように感じていました。

 それで今回の旅を思いついたのが、ザンスカールのいちばん奥のところにプクタルゴンパっていう古い仏教の僧院があって、そこで真冬にプクタルグストルっていうお祭りが行なわれるらしいって話を聞いて、ただ真冬にそこに訪れるのはすごく大変なんで、ほとんど外部の人は見たことがないお祭りなんですね。それをなんとかして見れないかっていうのと、前から思っていた冬のザンスカールの真の有り様みたいなものを見届けることができないかなと思って、この旅をすればそれを見ることができるんじゃないかと思って、思いついたのが今回の旅のきっかけだったんです」

●本当に非常に過酷な場所ですよね? 

「そうですよね。標高が3500メートルぐらい平均でありますし、周りが5000メートル以上の山で囲まれているところなので、冬は峠を越える道に雪が積もって行き来ができなくなってしまうんですね。ただ本当に真冬になると地元のザンスカールの人たちが使っている道ができていて、それは氷の川の上を歩いていく道なんですね。
 それを現地ではチャダルっていう風に言われているんですけれども、冬にザンスカールに行くためにはそこを歩いていくことしか基本的に方法がないっていうことなので、僕も今回そのチャダルという氷の川の上を歩いて旅をして、真冬のザンスカールを合計で4週間近くかけて旅をした、それが今回の冬の旅という本ですね」

●旅を続けるってすごく大変なことなんじゃないですか? 

「ただ今回は10年以上前からの友達であるザンスカール人のパドマ・ドルジェという友達がいるんですけれども、彼は本当にこのチャダルを数え切れないくらい旅をしたことのあるスペシャリストでガイドなんですね。で、彼と彼の従兄弟のゾクパ・タルチンという若い男の子が一緒に来てくれて、彼らとずーっと旅をしていたんですね。本当にもう珍道中みたいな感じで(笑)くだらないことばっかり話しながら歩いていたんで、だから大変なのは大変だったんですけれども、つらいとかそういう感じではなかったなぁという風に思っていました、はい」

●一緒に行く仲間たちってすごく大事な存在ですね! 

「そうですよね。すごく彼らに助けられたし、彼らを通じてその現地の人たちとも交流することができましたから、すごく貴重な体験をさせてもらったなぁという風に思っています」

食べ物のありがたみ

写真提供:山本高樹

※山本さんは、新刊『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』の中で「自然と人の間にあるものを、いつからか追い求めるようになった」と書かれています。自然と人の間には何があったのでしょうか。

「ザンスカールの人たちっていうのはすごく強大な自然の力を前にして、その中で生まれ育って人生を過ごしてくっていうことをやっているんですけれども、彼らはやっぱり自然に対して畏れ、恐怖のほうじゃなくて、畏れ敬うという意味での畏れを抱いているところはあるかなと思うんですね。自然の力を身をもって知っていながらも、ただ怖れるだけじゃなくって尊敬の念、畏敬の念も抱いているっていう部分もあると思うので、彼らはやっぱりそういう思いを抱いているからこそ、あの自然の中で生きていけるんじゃないかなという風に個人的には感じました」

●旅をしていていちばん大きなハプニングなどはなにかありました? 

「本を読んでいただけたら分かると思うんですけど、だいたい毎日何か起こっているんですよ(笑)」

●確かにそうですね(笑)

「だいたい全部ハプニングだったっていう(笑)、まぁ、でも一緒に旅をしてくれたパドマ・ドルジェとゾクパ・タルチンがいてくれたおかげで、僕は本当に安心して、彼らを信頼して旅をすることができていたので、大丈夫だとは思っていました」

写真提供:山本高樹

●色々な旅の中での出会いっていうのもありましたよね。

「そうですね。僕は現地の言葉が少し喋れるので、それで少し彼らとの交流、コミュニケーションもできたかなという風に思っていますし、ちょっとでもこちらがあっちの言葉を喋るとみんなすごく喜ぶんですよね、お前分かってんだな、みたいな感じで。だからそれはすごく楽しかったです」

●旅の中でいちばんの楽しみっていうと何でしたか?

「やっぱりご飯ですかね(笑)。食事はやっぱり1日の中での楽しみというか、食べないと身体が温まらないっていうのもあるので、ちゃんと食べて身体を温めて、ちゃんと歩けるようにするっていう意味でもやっぱり食べ物はすごく大事です。長い旅だったので、材料も限られているので、同じようなメニューばっかりになってしまうんですけれども、それでも食べられるものがあるだけありがたいっていうのはすごく感じました。
 あとザンスカールに入ると行く先々の村でご飯を出していただいたんです。冬なので僅かな蓄えから少しずつ出している簡素な食事なんですけれども、やっぱり本当に美味しかったですし、おもてなしの心を感じたっていう部分もありました」

●現地で親しまれている食っていうと、どんなものなんですか?

「チベット文化圏なのでチベットに由来のある料理、例えばモモってわかりますかね、チベット風の蒸し餃子みたいなものなんですけれども。あとはチベット風煮込み料理のトゥクパっていう、うどんのような料理だったりとか、大麦を炒って粉にして食べるツァンパという食べ物だったりとか。あとはバターとお茶を攪拌して作るバター茶とか、そういったものがあります」

押し寄せる変化の波

写真提供:山本高樹

※続いて、ザンスカールの旅で出会った人たちの暮らしぶりについて聞いてみました。

「彼らにとっては1年の半分ぐらいの間、あの場所は大自然の力によってロックダウンされてるようなものなんですよね。外部とも簡単に行き来はできないですし。で、短い夏の間に僅かな畑を耕して、食料を蓄えて、家畜の餌だったり、冬の間、燃料にするものだったり、いろんなものを蓄えて、冬の間はお祈りをしたりしながら、ひっそりと過ごすっていうのが彼らのライフスタイルなんですね」

●なかなか外部の方々が行って見ることができないお祭りを実際にご覧になっていかがでした? 

「なんだろう・・・お祭りそのものの行事も大切なんですけれども、彼らはそのお祭りを通じて交流というか、近況報告をしあったり、若い人同士の間では携帯のワッツアップのアドレスを交換したりとかして、出会いの場にもなっていたりします。もちろん山奥なんで携帯はなかなか繋がらないんですけど(笑)、街に出た時にはやりとりしようよ、みたいな感じで情報交換をしていたりとか。本当に彼らにとっての生活の一部であるし、祈りの行事でもあるし、すごく大事な行事だったんだなっていうのは、現場に居合わせてやっぱり一際強く感じたところだったですね。

 これは10年以上前からそうなんですけれども、僕はこのザンスカールだったり、ラダックだったりという場所をずっと定点観測的に見守り続けていかなきゃな、って思っているところがすごくあります。特にここ10年くらいでザンスカールもすごく大きな変化の波が押し寄せていて、開発も進んでいる部分もあって、もしかするとあと10年くらいしたら、この本に書いた物事が全部失なわれてしまうかもしれないっていう風に思っているんですよね。

 現代社会がもたらす変化が全部悪いとは思わないんですけれども、それによってもしかしたら永久に失なわれてしまうかもしれないものもあるので、やっぱり人間はそういうことをもっと気にかけるべきだと思うし、それはザンスカールに限らず、日本でも世界のどこの場所でも言えることなのかなと思っていますね。だからそういうことをなんとかしてずっと伝え続けていきたいなと、個人的には思っています」

自然に対して謙虚に

『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』

※最後に、山本さんは秘境と言われる場所を多く旅されていますが、そんな旅からどんなことをいちばん感じるのか、お話しいただきました。

「そうですね、割と本当におっしゃるように秘境とか辺境ばっかり行ってるんですけれども(笑)、人間ってそんな大層な存在ではなくって、自然を構成する要素の中のひとつでしかないんじゃないかなっていう風に思っているところが僕はあるんですね。
 でも、人間ってのは結構傲慢なところもあるので、その傲慢さによって、それまで保たれていたバランスみたいなものが、急にガタガタって崩れてしまうことがあると思いますし、世界中にそういう例はもう既にあっちこっちにあると思うんですね。やっぱり人間はもうちょっと自然に対して謙虚であるべきなんじゃないかな、っていうのはすごく思っていますね」

☆過去の山本高樹さんのトークはこちらをご覧下さい


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山本高樹さん情報

『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』

新刊『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ

 山本高樹さんの新刊『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』は雷鳥社から絶賛発売中です。
 山本さん曰く、この本は一緒に旅をしてくれたザンスカールの友や出会った人々、そして、はるか昔から何世代にもわたって、文化や伝統をつむいできたザンスカールに生きる人々の「冒険の物語」だそうです。ぜひ読んでください。

  山本さんの近況を含め、詳しくはオフィシャル・サイトをご覧ください。

●山本高樹さんのHP:http://ymtk.jp/ladakh/

清水国明「ログハウス、面白いですよ!」 〜番組恒例の定点観測25回目!

2020/4/25 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、芸能界きってのアウトドアズ・マン「清水国明」さんです。

清水国明

 清水さんは1950年、福井県生まれ。73年に原田伸郎さんとコンビを組み、「あのねのね」でデビュー。「赤とんぼの唄」が大ヒットし、一躍人気者となりました。90年代は、アウトドア活動に夢中になり、2005年に河口湖に自然体験施設「森と湖の楽園」をオープン。その後、瀬戸内海の無人島「ありが島」に海の体験施設を作り、企業の社員研修などを行なっています。また、経営者やビジネスマンが集う「国明会」を主宰されています。
 今週は、そんな清水さんに電話でお話をうかがいました。

ワクワクは大人になっても

※まずは、いつ頃からアウトドアにハマったのか、お聞きしました。

「今を去ること69年前ですかね(笑)」

●何かきっかけがあったんですか?

「田舎に生まれたということですよね。もう大自然の中にごろんと生まれ落ちまして、見渡す限り山と川と木とね、そんなもんの中で育ったんで、そこからアウトドアをずっとやっているという感じでしょうかね」

●小さい頃から自然がすぐ側にあったわけですね。

「そうですね、森の中で生まれ育ちましたから。いつからアウトドアをやっているかっていうような境目はないですね、ずっとアウトドアです。はい!」

●ご家族で無人島でキャンプされたり、ご自身でログハウスを建てられたり、バスフィッシングに夢中になられたりですとか、いろいろなことをされてきたそうですけれども、こういったスキルっていうのはどうやって身に付けられたんですか?

「小っちゃい頃、1歳〜3歳ぐらいの時から魚を手づかみしたりですね、池の鯉を釣って親父に怒鳴られたりですね、木に登ってその木の上に隠れ家作ったり、ヘビ捕まえたり、赤トンボを捕ってアブラムシにしたりですね(笑)、そういうことをずっとやってきたんですよ。
 それがだんだん、例えば1〜2歳から10歳になったとすると、10歳の時もちょっとスケールはでかいけど、同じようなことをしていましたね。竿を使って魚を捕るとか銛で突くとかですね、もうちょっと大きな家を建てるとか。
 それが20歳になるとさらにもうちょっとでかい魚を捕りに行ったり、行動範囲も広くなる。
 何が言いたいかというと、結局小っちゃい頃やっていたことをそのまま大人になっても、スケールアップしてやっているっていう、そんな感じですね」

●やはり小さい頃の自然体験っていうのは大人になってからも大事なものなんですね。

「そうやね、この歳になって振り返ってみると、結局子どもの時に一番ワクワクしていたことを大人になっても、ちょっと環境は変わるけれども、同じことで。大人になって新しいことをやるんじゃなくて、結局子どもの時にやっていたことのスケールアップっていうような、グレードアップっていうのかな? そんな感じしませんか?」

●そうですよね! 

「小尾さんって渚沙さんだよね? どんなところで生まれて育ったんですか? 」

●私は千葉県千葉市出身なんですけれども、ただ、森に行ってとか、ログハウス建てたりっていう経験はなかなかしてこなかったので、大人になってからというような感じですかね。

「それは多分、みんな自然の中で遊ぶノウハウっていうかスイッチはあるはずなんで、そのスイッチを入れないまま大人になってしまった、もったいない人が結構いるんですよね」

●いや、本当にそう思います〜。

「だから何かの弾みでね、スイッチが入って、山がすごく好きになったり、木に登りたくなったり、海に飛び込みたくなるようなね(笑)、そういうなんていうか、食べず嫌いみたいな感じで、まだ使ってないところをいっぱい隠し持っている人が、周りにもたくさんいるような気がしますね」

18棟目のログハウス

※清水さんは、ログハウスを作るログビルダーでもあるんです。自分で何かを作るのがお好きなんでしょうか?

ログハウス

「そうやね、小尾さんは家を作ったことありますか? 」

●ないです!(笑)

「ないの!? 家とか部屋の中を飾り付けたりするのはどうですか? 」

●あ、好きです!  

「そうですよね、それの延長で自分の家を自分で作り始めたら、こんな面白いことってないですよ! 私は今18棟目のログハウスに取り掛かってますけれどもね」

●18棟!? 

「そうそう、こんな楽しいことを人にお願いしてやってもらうっていうのは、すごくもったいないなと思うように途中からなったんですよ。だから自分で木を伐って皮を剥いて丸太を転がしてですね、自分のログハウスを自分で作り始めたり、木の上に家を作ったりすると、これはもう寝食忘れてっていうか、ごはんを食べるのもその時間がもったいないくらい私はのめり込みましたね!」

●ログハウス作りの何がそんなに魅力なんですか?

「そうやね〜、自然の中に溶け込むような、自分のスペースを確保できるっていうのが、すごく嬉しかった。最初ね、丸太を四角く組むでしょ、井の字みたいな。それを一段組んでその真ん中に、木屑だらけになって、ゴロッと疲れて寝た時に、宇宙までズバーンとそのエリアが自分のものみたいに“このエリアは俺のもんや!”みたいな、すーっごい気持ちよかったんですよ!
 ところがね、今東京のマンションに住んでいるんですけどね。そこから通ったりしているんですけど、この上にもまだ何人も住んでいるし、下にも住んでいるし、タワーマンションに住んでいるんですけど、このエリアは俺のもんみたいな開放感は得られませんわな、都会ではな」

●そうですよねー。

「そんなのを感じましたね。ログハウス面白いですよ! 」

<ログハウスの歴史と特徴>

 さて、清水国明さんが夢中になっているログハウス、その歴史は古く、世界最初のログハウスは3500年以上前に出現したと言われています。起源ははっきりしませんが、北欧で生まれて発達してきた建築物で、森林資源の豊富な地域を中心に伝わり、それぞれの地域に合った形に進化を遂げてきました。

 森林を伐採し、開拓していく際に、伐採した丸太をそのまま使って最低限の工具で組み立てられたログハウスは、ある意味とても合理的な建物ですよね。北欧ではその後、工場で製造されたログ材を使用してシステマティックに建てられたマシンカットログが普及し、それに対して北米大陸では自然の中で暮らす“別荘”としての需要が高く、セルフビルド文化が根付いています。

 同じ木造でも、日本で一般的な木造住宅とログハウスは全然違いますが、日本国内でも古くは正倉院(しょうそういん)の校倉造(あぜくらづくり)や、中部の木曽川(きそがわ)沿い、信州の山間部で多く見られる板倉造(いたくらづくり)はログハウスに極めて近いものです。また、昭和8年に日本初の本格的な山岳リゾートホテルとして誕生した上高地帝国ホテルは日本における近代ログハウスの元祖ともいえる存在です。

 ログハウスのもうひとつの特徴は「木が、家が“生きている”」ということ。木材はログハウスとなってからも呼吸を続け、年月の経過とともに少しずつ変化していきます。木が縮んだり反ったり、ひびが入ることもあります。でも、しっかりメンテナンスすれば100年でも200年でも持ちますし、木の風合いが変われば部屋の雰囲気も違ってくる、そんな変化を楽しめるのもログハウスの魅力です。

 子供から孫へと、何世代にも渡って受け継いでいける家って、ステキですねー。

ひとりで寂しいから作った!?

※続いて、河口湖にある「森と湖の楽園」について。森の中に自然体験施設を作ろうと思ったきっかけはあったのでしょうか。

自然体験施設「森と湖の楽園」

「ふたり目の嫁さんの時に河口湖にいい場所があったんで、それで家族、子どもがその頃はまだ3人いたんだよね、それでみんな引き連れて“河口湖行くぞー!”って宣言したんですよ、“きょうから自然暮らしだー!”とか言ってね。そしたら家族全員が“行ってらっしゃーい”って言ったんですよ。“え、行かんの?”とか言って、で“しゃあないわ、ひとりで行くわ”って言ったら、その時のふたり目の嫁さんが、じゃあこれにハンコを押してって言って離婚届を出したんですよね。“ええ一緒に行かんの!?”って言ったら、子どもたちもそう言ったんだけどね、“いやパパは今までいろいろやってきたからいいけど、私らはこれから都会でも楽しみたいし、私には私の都合があるから”って言っていましたね」

●そうだったんですね。

「それでひとりで行ってさみしいから森と湖の楽園とか、自然楽校、自然を楽しむ校というのを作って、たくさんの人を招いてですね、みんなでわいやわいや言いながら自然体験をしているというような、そういう施設を作って、これが16年目になるかな」

●なるほど! そういった背景があったんですね。その河口湖の森と湖の楽園というのは改めてどんな広さ、なんですか? どんな楽園なんですか? 

「えーっとね、坪でしか言えないんだけど、1万坪ぐらいですね。結構広いわな。そこにウォークボードっていう森の回廊ってのを作ってですね。それからバーベキュー場もあって、バーベキューは今500人くらい一気に出来んのかな。でっかいバーベキュー場があって、それからドームハウスもあったり、あとトレーラーハウスも10台くらい置いてあって、そこにも泊まってもらえるようにしています」

●自然体験もいろいろできるということですよね?

「もちろん! ただね、あんまり施設としては整っていないんですよ。なんでもできますけども、遊園地みたいなジェットコースターがあったり、観覧車があったりっていうようなところではないので、そういうのを想像して来た人は“あれ? ここなんにもないじゃーん”とかって言う人がいるんですよ。そういう人にはすぐ近くにある富士急ハイランドの割引券がたくさん ありますんで、“それを持ってって向こう行ってください。向こうだったらお金さえ払えば、なんでもサービスしてもらえますよ!“って。うちはもうほったらかしなんですけれども、その代わりなんでも自由にできる、焚き火しても大丈夫な施設なんで、自分で楽しもうと思って来る人は楽しい場所です」

ユーチューバーになる!?

※最後に、今進めているプロジェクトについてお話しいただきました。

「千葉県なんですけれどもね。そこで今度はまず杉林を買いまして、その杉を伐ってその木の皮を剥いて組み上げるという、ログハウスをちょっとひとりでやってみようと思っているんです」

●へえー!

「ほんでそれを手伝いたい人は手伝いに来てくださいとか言って、皮を剥いてもらったり、ログハウスの作りかたをね、きっちり教えますんで、はい、そういうのを始めます。それで、ユーチューバーって今芸能人がやっていますよね、やってみようかなと」

●あら! 清水さんが? 

「うん、僕の相棒の原田伸郎ってのがいるんですけど、これが“のぶりんチャンネル”ってのを1年近くなんのかな、半年かな、始めていたんですよ。まあ今さらみっともないな、そんなの恥ずかしいぞと思っていたんですけども、なんと登録者数が、どのくらいだと思います? 300人ぐらいなんですね(笑)くっそ恥ずかしいでしょ?」

●いやいやいや! 

「(笑)だってほら(登録者数が)50万とか20万とかって人いるじゃないですか。そうやってあいつ赤とんぼの歌を歌ったりしていますけども、ほんで俺は絶対ユーチューブをやらんぞと思っていたんですが、今度のログハウス作りをチェーンソーを買うところから、土地を探して土地を決めるところから、ずーっとドキュメントで毎日ユーチューブにあげていこうかなと」

●面白そうですね! 

「そうでしょ、だからさっき言った家を作るということのイチから、チェーンソーの買いかた、どんな道具を買って、どんな場所でどういう風にしたら、1棟建てられるかというプロセスを全部見せようかなと。それを国明会の人たちにも見てもらって、みんなで自分のお城を造れるように、ユーチューブにあげようかなと。だから目標としては300人以上の登録する人がいるようなユーチューバーになろうかなと思ってます」

☆過去の清水国明さんの定点観測はこちらをご覧下さい


INFORMATION

清水国明さん情報

 企業の社員研修などで人気の、河口湖にある「森と湖の楽園」、そして瀬戸内海の無人島「ありが島」について、詳しくはそれぞれのホームページをご覧ください。

◎森と湖の楽園HP:http://www.workshopresort.com

◎ありが島HP:http://arigatou-island.jp

 清水さんの近況はオフィシャル・サイトを見てください。

◎清水国明さんのHP:http://kuniaki.plus/

地球が危うい!〜足るを知る。バケツ一杯の水!?〜

2020/4/18 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、奇跡の一枚をきりとる自然写真家「高砂淳二(たかさご・じゅんじ)」さんです。

写真提供:高砂淳二
写真提供:高砂淳二

 高砂さんは1962年、宮城県石巻市生まれ。ダイビング雑誌の専属カメラマンを経て、1989年に独立。世界中の国々を訪れ、精力的に撮影を行ない、これまでに数多くの写真集を発表。昨年は「水」をテーマにした写真集『PLANET of WATER』を出されています。
 そんな高砂さんの新刊が先頃、山と渓谷社から出版した『光と虹と神話』。この本は、これまで訪れた100カ国以上の中から選りすぐった34カ所で撮った写真と、その場所で感じたことを書き下ろした、集大成的フォトエッセイ集で、各地で目の当たりにした自然環境の変化にも言及しています。
 今週は、これまでの集大成とも言える新刊をもとに、とっておきの体験談などうかがいます。

僕らも生きていけない

※まずは今回の新刊で特にどんなことを伝えたいのか、高砂さんにお話をうかがいました。

「一番、僕の中ではやっぱり人がね、今の生活はどんどん豊かになって、物も作って、買って消費して捨ててっていう、そういうサイクルに入っちゃっていますよね。それがいかに影響を及ぼしているかってことも自分自身も反省しているし、なんとか変えていかないと僕らも生きていけない世の中になるっていうのが自分の中では一番大きいですね。他のことも伝えつつそれを一番感じてもらえるように形を整えていきたいなっていう風に思って作りました」

●やはり多くのフィールドを見てきた高砂さんですけれども、現在、自然が置かれている状況は、はっきり言っていい方向ではないよっていうことですよね?

写真提供:高砂淳二

「いい方向ではないですよね。温暖化もずっと叫ばれていますけれども、かなり酷い状況になっていますね。僕がグリーンランドや南極、カナダの流氷のあるところとか、いろんなところに行って撮影していますけれども、その辺がここのところ(温暖化の影響が)顕著に現れているっていうのも目の当たりにしていますし・・・。
 あとはプラスチックのゴミがどこ行ってもありますね。以前は自然が飲み込んでくれていたような感じがしましたけれども、今はもう飲み込みきれなくて突っ返されて、海岸線にどんどん戻されている感じがあってですね。生き物もどんどん(プラスチックごみの影響で)死んじゃっていますからね。それをなんとかしたいなと思って、自分でもやっぱり生活の中でプラスチックの物を買わないようにしたり、なんとか他の物で代用したりとかしています。そういうこともちょっとずつ話が出来たらいいなとも思っていますね」

自然からのプレゼント!?

※高砂さんの新刊『光と虹と神話』には選りすぐりの写真がたくさん掲載されています。その中にあるオーロラの写真についてお話しいただきました。

写真提供:高砂淳二

「あのオーロラの写真は、湖の前で撮っている写真で、湖にオーロラがそのまんま映っていたと思うんですけれども。普通オーロラっていうと寒い、雪と氷の中で見ているって印象があると思うんですけれど、実は、オーロラっていうのは実際、年中出ているんですよ。

 寒いところだと夏場は白夜になっていて、暗くならないのでオーロラが見えないんですね。僕が(オーロラの)写真を撮ったのはだいたい9月ぐらいで、白夜がちょうど終わって短い夜が始まった頃なんです。なので、まだ寒くなくて、湖も凍っていない時に快晴の空にオーロラが出て、それで静かな日だったので、水面にそのまんま鏡のように映ったと、そういう神秘的なシーンでしたね。

 そういうものって、オーロラだけじゃないんですけれども、たまに自然のいろんな条件がピタッと一致して“うわ! こんな状況が現れるんだ!”っていう、プレゼントみたいな時があるんですね。そういう時に“信じられない写真が撮れちゃった!”ってことがありますね」

●高砂さんの写真は、アザラシだったりペンギンだったり、生き物たちがとても近くに感じられたんですけれども、写真を撮る時、なにか心がけていることはあるんですか? 

写真提供:高砂淳二

「相手が生き物の時はやっぱりなるべく向こうの気持ちを、目とか仕草を見て、読むようにしています。向こうが嫌がっていると、さっさと逃げちゃう場合もあるし、あとは逃げないまでも表情が固くなったりとか、普段の生活、普段の仕草じゃなくなっちゃったりとかね。そういうこともあるので、なるべく向こうが安心している、もしくは警戒心よりも好奇心のほうが強い状況にできればしたいんですよね。

 なので怖がらせないように、その上でもしできるんであれば、向こうの気を引いて、なんだこのおじさんみたいな(笑)感じの気持ちになってくれると近寄ってくれたりとかする場合もあるんですよね。向こうの様子を見ながら、警戒心を解いて好奇心をなるべく膨らませてもらえるように撮影するっていうのを心がけていますね」

<プラスチックごみ問題>

 今週のゲスト「高砂淳二」さんもとても危惧されている世界的なプラスチックごみの問題。レジ袋やペットボトルなどの原料のプラスチックは自然分解されにくく、捨てられたプラスチック製品は風に吹かれ、川に流され、最終的に海を漂います。
 ビニール袋を、好物のクラゲと間違えて、ウミガメが飲み込み、犠牲になっていることを以前から指摘されていますが、他にも海鳥やアザラシ、イルカなど多くの生き物にも影響が出ています。もっと厄介なのが、波や紫外線で細かく砕かれ、およそ5ミリ以下になった「マイクロプラスチック」。最近の研究では魚からマイクロプラスチックが見つかり、問題となっているんです。

 プラスチックごみは推定で毎年およそ800万トンが海に流出し、2050年には海洋中の魚の重量を上回るとの試算もあり、対策が急がれています。
 今年7月からレジ袋の有料化が義務付けられます。これに先立ち、今月1日からレジ袋を有料にした店舗も多く、「エコバッグを持ち歩くようになった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そもそもなぜ義務化されるのか、経済産業省によりますと、「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすること」を目的としているとのことです。エコバッグやマイボトルを使うなど、まずはできることから始めて、ライフスタイルを少しずつ見直していくことが大切ですね。
 プラスチックごみを増やさない。そのためには、なるべく、すぐごみになるものは買わない、もらわない、そんなことを心掛けたいと思います。

進化はすごいシステム!

※高砂さんは生き物たちのどんなところに魅力を感じているのでしょうか。

写真提供:高砂淳二

「たくましさもあるし、それから例えばマダガスカルなんかだと、生き物のほとんどが固有種なんですね。なぜかと言うと、マダガスカルっていうところは大陸に属したことのないところで、生き物がすごくユニークなまんま、その場所に合わせて進化してきているんですね。そういうのってなんか普通に考えてもたくましいなーと思いますよね。

 必要のないものはどんどんと削ぎ落とされて、それで必要とするものはだんだん身に付けていく、そういうのって何千年、何万年かけてそういう風になっていくわけです。このツノが欲しいとかこのトゲが欲しいとか、もうトゲがいらないとかって思って、それがずーっと続いていくうちに身体になって現れていくっていうのはすごいシステムだなと思っています」

●確かにそうですね!

「そういうのもダイナミックですよね」

バケツ一杯の水で充分!?

※最後に、ミクロネシアの小さな島での体験談をお話しいただきました。

「昔、トラック諸島って言いましたけども、そこにジープ島っていう島がありまして、だいたい直径が34メートルの、ヤシの木が20本くらい生えているだけの島なんですよ。そこは無人島じゃないんですけれども、現地のご夫婦が管理人として住んでいて、小屋がふたつ建っているところなんですね。

 僕らみたいな旅行者が一応泊まれるようになっていて、そこにはもちろん水道もなければ電気もなければ電波もきていないし、何もないんですね。そういうところで例えば人間が住むのに必要な水はどうするのかっていうと、雨水を貯めておくバケツが置いてありまして、そこに貯まった水の中から小さいバケツに採って、それをひとりバケツ一杯使うことができるっていうシステムになっているんですね。

 バケツ一杯で、歯を磨いて顔を洗って、それで身体を洗ってパンツも洗うみたいな感じなので、順番を考えてやらないといけないんですね。最初にパンツとか洗っちゃうと他にあんまり使えなくなっちゃうので(笑)、最後にパンツを洗って、それを頭から被ってシャワーにして寝るみたいな感じですけれども」

高砂淳二さん

●へぇー!

「だけどやってみると、意外にバケツ一杯の水っていうのは結構あるもんだな、これで充分いけるんだみたいな感じもありますね。
 これって不思議なものでね、日本に暮らしていると本当に湯水のようにって言いますけれど、シャワーなんかボンボンとバケツ何杯分使うのか分からないくらい使いますよね。でも、こうやって工夫すると水もこれだけで済むんだっていうことを感じますね。

 あとはチュークの人たちっていうのはそもそも仕事を持っていない人が多いんですね。南の島なので暖かいし、その辺にバナナとか植えておけばすぐにバナナもなったりとか、あとはパパイヤとかそれからパンの木とかもその辺に生えていたりとか。海に入れば魚が泳いでいるじゃないですか。なのでほとんど自給自足的な生活をしている人のほうが多いらしいんですね。

 若い人が獲った魚をお年寄りに分けてあげたりとか、畑のある人がなんか採れたものをそういう人たちにあげるとかね、そんなことで暮らしているので、例えば一生懸命ビジネスをやっている人とか営業している人みたいに、お世話様です〜とかなんかすごく気を遣ったり、そんなことをする必要もなくて。当たり前に物が採れて豊かだし、やっぱり余裕があるって言いますかね、食っていければいいじゃないみたいなところがあるんだな、それでいいんだよねと。

 実際でも日本だって本当はその辺に何か植えておけば、ちゃんと食べられるようなものも生えるし、季節になると魚もカツオとか泳いできたり、わざわざ脂のせて泳いで北から降りてきてくれる時もあれば、潜ったら貝も引っ付いているしとかね。

 元々はやっぱりこの地球って、その土地その土地でちゃんと生き物が暮らせるように食い物が、それから薬になるようなものも、ちゃんと生えているっていうのを改めてチュークに行って感じましたね。もっと自分の場所で生えているものとか、もしくはそこになくても自分でベランダででも育てて食べられるよね、とかね。そういうのも感じましたし、実際そういうこともあって僕は今、自分の家の小さなベランダでいろんな野菜を育てています」

●そうなんですか! 

「はい! それでかなり今、野菜は買わないで自分のところでなったやつを食べているんですよ。 それでスーパーでビニール袋に入った野菜も買わないでも済むし」


INFORMATION

高砂淳二さん情報

『光と虹と神話』

光と虹と神話

山と渓谷社(1800円+税)

 高砂淳二さんの新刊『光と虹と神話』は山と渓谷社から絶賛発売中です。高砂さんがこれまで撮影で訪れた100カ国以上の中から、選りすぐった34カ所の写真と、そこで感じたことが書かれています。ぜひ読んでください。

●山と渓谷社HP:
https://www.yamakei.co.jp/products/2819020490.html

 高砂さんのオフィシャル・サイトには本の情報ほか、
これまで発表した写真や近況なども載っています。ぜひご覧ください。

●高砂淳二さんのHP:
http://junjitakasago.com/blog

旅は妄想から始まる 〜マイナス50度! 脳が凍る街滞在記 & 舌が笑う南国旅〜

2020/4/11 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、旅好きイラストレーター「まえだ・なをこ」さんです。

まえだ・なをこさん

 「まえだ」さんは電子書籍で出版した、旅をテーマにした作品が大ヒット! そして先頃、人気作品をまとめた紙の本を出し、話題になっています。本のタイトルは『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記』!

  きょうは、冬はマイナス50度にもなるロシアの街の滞在エピソードや、マレー半島のおいしい南国旅のお話などうかがいます。

飛行機の羽が凍る!?

※まずはベルホヤンスクに行くきっかけはなんだったのか、お聞きしました。

「友人が、SNSで誰か同行者募集っていうのに食いついた感じなんです(笑)」

●あの、マイナス何度になるんですか? 

「最低気温としては、67.8度を記録したっていうことなんですけど、私たちが行った時はマイナス50度より下でした」

●実際、到着されてどんな気持ちでした? 

「ヤクーツクの乗り継ぎで飛行機の羽が凍っちゃって、それでなかなか飛び立たなくて、お湯をかけて羽を溶かしていて、それで本当に乗り継ぎ時間がギリギリになっちゃって焦って、それどころじゃなかったっていうか」

●飛行機の羽が凍ることってあるんですか!?  どんな服装で日本から行かれたんですか? 

「服装は、他の人は北極圏でも耐えられるみたいな服を持っていったりとか、買ったりとかしていたんですよね、私そんなお金ないし結構高いんですよね。だから自分で持っている一番暖かい服で行って、現地に行ったらもうブーツから帽子から全部借りました。

 ベルホヤンスクで借りたんですけど、ヤクーツクとかは割と都会なので建物に入っている間は別にそんなに問題なくて、暖かい空気をまとったまま、他の店にパッと行ったりするので、そこまでは。まぁ日本から持ってきた服でちょっと寒かったような気はするけど、事足りたかなっていう感じですね」

●フリースに、ダウンっていうような感じですか?

「ダウンにフリース二枚重ねに、暖かい下着ありますよね? そういうのを二枚重ねに、防寒防水ブーツでガシッと。その靴もなんか特殊な靴で、下がフェルトなんですよね、ゴムとかじゃなくて。あまりにも気温が低すぎてビシャビシャにならないので、下がそういう布っぽいものでもビシャビシャにならないで歩けるみたいな感じの、バーレンキっていうのかな? そういう靴なんですよね」

1日4食! 高カロリー!

※北極圏にあるベルホヤンスクに滞在している間はいったいどんな食事が出たんでしょうか。

まえだ・なをこさん

「主食は馬で、多分カロリーをすごく消費するから高カロリーのものばかりどんどん出てきて、1日4食という」

●4食? 

「はい、アテンドしてくれた方がいたんですけど、スケジュール表に、朝食、昼食、夕食、夜食ってあって、え? と思ったんですけど、寒いとカロリーをすごく消費するからたくさん食べるっていうことみたいです」

●例えばどんなものを食べるんですか?

「馬肉の茹でたもの、馬肉のハンバーグ、馬肉の刺身、馬肉のレバーとか、あと凍った魚を削って、ルイベみたいなものって分かりますかね? それをそのまま何もつけないで食べるっていう感じで。で、私は醤油とワサビ持っていって、みんなに“おぉ〜! ”って言われました(笑)」

●へぇー! 

「私が一番好きだったのはアイスです。外に放置していると出来るアイスで、ミルクとちょっとベリーを混ぜたもの。ベリーは、すごく短い夏があるんですけど、その間にバッて出てきたものを収穫して地下の天然の冷蔵庫に入れあるんですよ。それを混ぜたものを外に放置しているだけでアイスになるみたいな。それが私個人的に好きでした。かなり甘さ控えめなんですよね。

 あと友達がすごく喜んでいたのは馬が主食っていうことだったんですけど、馬の生レバーの凍ったやつが大好きで、すごく喜んで食べていました」

●現地の方々はどんな生活をされているんですか? 

「多分特殊なところなので半分くらいは研究員の方が住んでいる感じで。あとは狩りをしたりとか、河原に氷のブロックが積んであって、それを一輪車でガーッて運んで、各自ドラム缶の中に入れて水を作って、それをお風呂に使ったりとか、顔を洗ったりとか、そんな感じの生活をしています」

<サハ共和国って、どんな国?>

 さて、きょうのゲスト「まえだなをこ」さんが滞在したベルホヤンスクは、ロシア連邦の極東に位置するサハ共和国の都市で、共和国の首都ヤクーツクから北北東に675キロほどのところにあります。“共和国”…と言っても、もちろん独立国家ではなく、あくまでロシアの地域のひとつです。

 このサハ共和国、ほぼ全域が永久凍土地帯といいますから、それだけでも「寒い!」ってことは想像できます。冬は長く、厳しくて、1年のうち10月から4月までの7カ月は冬で、“最高気温”の平均がマイナス40度程度といいますから、その寒さ、もはや理解できません。

 一方で、夏には気温が30度を超えることもあるということで、1年の寒暖差は最大で100度!

 一体どんな人たちが暮らしているのかというと、最も多いのはチュルク系の民族のヤクート人で、その顔立ちはモンゴル人や日本人にそっくりなんだとか。

 厳しい土地だけに、手つかずの豊かな自然が残り、それが観光資源となっていますが、実は天然資源にも恵まれ、金やプラチナ、原油、天然ガスなどが採掘されていて、中でもダイヤモンドは世界最大の産地として知られます。世界に流通するダイヤモンドのうち少なくとも22%がサハ共和国産なんですって!
  皆さんが持っているダイヤモンドも、もしかしたらサハ共和国で採掘されたものかもしれません。

大好き! ニョニャ料理?

※続いて、マレー半島の旅でどんな料理に出会ったのか、お聞きしました。

まえだ・なをこさん

「本当に様々あって、例えばマレー半島っていっても、タイからマレーシアからシンガポールとかいっぱいあるんですけど、主にマレーシアのペナンって場所も好きで。そこは本当に中華とかインド、あとマレーの料理があって、中華とマレーのミックスされた“ニョニャ料理”っていうのもあって、私そのニョニャ料理がものすごく好きで」

●どういう料理なんですか? 

「口で説明するのはなかなか難しいんですけれど、中華系の男の人と、マレーの現地の女の人が結婚して出来た料理っていわれていて、すごく繊細で見た目も美しい料理なんですよね。例えばハーブが半分くらい入ったご飯とか、パリッとした揚げ物の中に、大根おろしじゃないんですけど、甘しょっぱいような野菜を細かく切ったようなものが入っているものとか色々あって、それが見た目が本当に綺麗で、食べたことがないような感じなんですけど、日本人の口にはすごい合うと私は思います」

●そうなんですね〜! 「まえだ」さんはマレー半島縦断されたっていうことですよね? すごいな〜! 縦断されてどうでしたか? 

「縦断して、国境越えとかもあるんですけれど、割と本当に簡単というか、すんなり何も問題はなくスルッと行けて。日本の感覚だと国境を越えるって結構、パスポート出して、税関あってとか色々あるんですけど、例えばマレーシアとシンガポールだと通勤でも使う人がいるくらいに スッと、本当に電車に乗り換えてチケット出すみたいな、それぐらいの感覚で行けるので、陸続きの国境越えって気楽だなって、すごく思いました」

旅慣れてもガイドブックは熟読

※最後に、旅のプロともいえる「まえだ」さんは、事前にしっかりスケジュールを立てて、出かけるのかお聞きしました。

まえだ・なをこさん

「スケジュールを立てるっていうのも楽しみのひとつなので、結構綿密にぎっしり書くんですよね。もしこうだったらっていう分岐まで書くんですけど、実際行く時は全然守らないですね」

●あ、そうなんですか? 

「自由になるのがすごく好きで、テーマもあるので、自分の立てたスケジュールからも自由でいたいっていうのがあって。そこはなんかよく分からないんですけど、スケジュール通りに動く必要もないっていうことがすごく快感なんですよね」

●不安はないですか? 

「不安はあんまり、もしかしたら感じない人種なのかもしれないんですけど(笑)。だけどすごく臆病であったほうがいいなと思っていて、海外だからやっぱり危ないこともあるし、日本の常識が通じないこともあるので、すごく気をつけているほうだと思います」

●例えばどんなところに? 

「旅慣れているのに、え? って言われるかもしれないんですけれど、ガイドブックを熟読します。例えば欄外に書いてあったりする、こういうところに気をつけろ!みたいなのは絶対読んだほうがいいし、危ない目にあうのは大体パターンがあるので、あんまり自分の勘をそこまで信じないほうがいいかなーって思いますね。

 旅は、どこに行きたいかなーみたいな妄想から始まっていて、まず検索して、実際行かないにしても行ったと仮定して、どのくらいで宿がとれるのかなーとか、いくらくらいでとれるのかなーとか、そこから空港までどうやって行くのかなとかめっちゃ調べる。で、それから行くか行かないかは気分とタイミング次第っていう感じ、まぁそこから始まっているかなっていう風に思います。本当に旅は色々楽しくて、行く前も楽しいし、行ってからも楽しいし、帰ってからもすごく堪能できる感じなんですよね」


INFORMATION

「まえだなをこ」さん情報

新刊『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記』

新刊『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記

 「まえだなをこ」さんの新刊『世界で一番寒い街に行ってきた〜ベルホヤンスク旅行記』をぜひ読んでください。「まえだ」さんが電子書籍で出版した人気の4作品をまとめた本です。講談社から絶賛発売中です。

●講談社のサイト:
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000333552

 「まえだ」さんのオフィシャル・サイトもぜひご覧ください。

●まえだなをこさんのHP:
https://www.nawoko.com/about

地球元気村から元気の輝きを! 〜人があって自然がある、自然があって人がある〜

2020/4/4 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、冒険ライダー、そして地球元気村の大村長「風間深志」さんです。

風間深志さん

 風間さんは1950年山梨市生まれ。バイクでエベレストの6005メートルまで登ったり、同じくバイクで北極点や南極点に到達と、人類史上初の3つの偉業を成し遂げた冒険家です。82年には、日本人として初めて「パリ・ダカールラリー」に参戦し、二輪部門で6位入賞という快挙!

 88年には大自然の素晴らしさや自分の体験を伝えたいという思いで、「地球元気村」を創設、現在はNPO法人として、自然体験イベントなどを実施しています。
 冒険への熱い思いは健在で2017年と2018年には息子の晋之介さんとともに「ダカールラリー」に出場、2年連続完走を果たしています。

 実は風間さんはこの番組の、記念すべき第1回目のゲスト! 以来、毎年4月の第1週に出てもらっています。きょうはそんな「風間」さんに、改めて「地球元気村」に込める熱い想いなどうかがいます。

理想社会ってなんだろう?

※まずは「地球元気村」とはどんなプロジェクトなのか、改めて教えていただきました。

「今も変わらないんですけれども、僕らはやっぱり、物に囲まれて豊かに過ごしている。で、本当に豊かってなんだろう? 本当の幸せってなんだろう? って考えていくとやっぱり、自然っていうベースに立った上で、人間が健やかに生きていくっていうクオリティの問題ね。

 ご飯がありさえすればいい、これって大事なことですけど、便利になればいいだけではない、やっぱり人間の幸せっていうのは、足元から考える活動として、自然の中で原理、原則を学びながら、人間の生きていく方法をよりいい方向に考え直そうよ、っていうことなんですね。

 で、当時1988年っていうのはね、文明や文化がどんどん進んでいって、その中に人間性とかそういったものを忘れさっていく時代だったんですね、そんな中“ちょっと待った! “って感じで、色んな文化人の方たちに協力してもらって、きょうに至っているんですけど、やっぱり目的は達成してない。

 なかなか人間難しいですね、人と自然の関わり、人があって自然がある、自然があって人がある、そんな中で人がいて、そしてそのコミュニティがあって、村があるっていうね。人と人との調和のとれた渾然一体となった理想社会ってなんだろう? ってことを常に考えていく。

 おそらくこれから10年、100年経ってもね、その答えは常にみんな見出そうとして、よりいい方向を、もっといい方法があるんじゃないか、って考えることが大事なことだと思ってやっています! 」

炎のマークは命の輝き

※続いて、地球元気村のシンボルにもなっているマークについてお話いただきました。

風間深志さん

「あのマークは炎のマークなんですね。最初は焚き火の炎だったんだけどね。人間は火を使うでしょ? まあここにいろいろ会社や家族のありかたや、自分の未来っていうものをね、枝葉を付けていくっていう、基本はここからなんだ、っていう意味合いだったんだけど、よく考えてみるとあれは最近は“命の輝き”だって言っているんですよ。

 で、元気ってなんだろう? っていうことを考えていくとなかなか難しいでしょ? これを僕は地球元気村の村長だからいろいろ考えました。元気っていうのはこれ!っていう形ではなくて現象なんですね。今この一瞬に元気が輝く、っていう一瞬のことを言っててね。

 それはやっぱり身体の健康を確保しながら、心が非常に豊かで幸せな時に元気が一瞬光るんですね。その一瞬の輝きこそが元気であって、例えば幸せとか豊かっていう価値観が、例えばですよ。古い人間だから古い言いかたをするけど(笑)高級乗用車をよその家のお父ちゃんが乗っていると、でも自分の家は軽トラ、これで寂しいなって思ったら元気じゃないんだよ。

 物とかそういうものに非常に囚われるから、ありとあらゆる自分を取り囲む生活、境遇の中で豊か、幸せを感じるってことはすごく大事で、その時に身体の健康状態がいいと元気が生まれるんですね。よし、行こう! って前向きなね。だからそこは身体ひとつで幸せに思えなかったり、非常に脆い部分なんだけど、人生っていうのは幸せをなんだろうと考えることも大事だし、元気を抽出するためにはいろんな組み立てがあるからね。そんなことを考えながらやっているんですけどね。

 だから僕らはアウトドアが中心だから自然の中で大いに遊ぼう、学ぼう、っていうわけで、カヌーやっている瞬間が一番楽しかったり、ハイキングやっている時が楽しかったりね。その手法をこの自然という部分をベースに考えているから、自然と人間が関わると遊びが生まれるじゃない? 結局そこで今まで取り組んできたのは結構アウトドアの啓蒙だったんですね。  ただ、アウトドアだけじゃないんだよね。やっぱり自然の中に芽生えたいろんな芸能だとか、郷土の民芸品だとか、そういうものもやっぱり豊かな自然の中に育んだ人間の生きる力だったり、創造性だったり、そういったものの中から常に学んでいこうよと、楽しいんですよ。あんまり楽しすぎて答え出てない(笑)」

小さい頃の経験はすごく大事!

※続いて、地球元気村では、どんなイベントをやっているのか、お聞きしました。

「アウトドアっていうと何を想像しますか? 」

● うーんなんでしょう……。釣りだったりとかカヌーだったりとか、木登りだったりとか。

「そういうのをやってきました」

一同(笑)

風間深志さん

「もう単刀直入にそういうのをやってきました(笑)。ただね、生きることを考えることだから、まあ遊びだけじゃなくてね。例えば狩猟、罠、とか、そういったこともやっぱり考える。その中に生きるための猟ってこともあるし、そういうので他の動物や昆虫とか、そういったものとの共存も大きなテーマですね。僕がいくら言ったって何も変わらないんだけど、人間のひとりとして、そういうことを考える人もいますってことですね」

●どんな方が参加されているんですか? 

「ほとんどね、中心はやっぱ家族が多いですね。まあ大人も子ども、家族が非常に多くを占めるっていうのは、やはり子育てに一生懸命従事している親御さんは、子どもにとっての遊びの環境、学びの環境とか体験っていうのは、どういうものがいいんだろうって真剣に考えているってことなんだよね。

 その人たちがこの地球元気村に来て、自分たち家族以外の人たちと交わること、それからまたそれを教えてくれる人たちに疑問を投げかけて答えを貰ったりとか、そういう学習。あるいは渓流の周りをトレッキングしたとか、石がゴツゴツしたアスファルトじゃない道を歩いた、そこで足が川に落っこちたら、冬だったから随分冷たかったとかね。

 で、凍っている雪のところを歩いたら、すべすべでどうやって歩いたらいいかとか。それはやっぱり、片方は慎重に歩きながらも片方はバッて大胆に踏み出していくっていう、両方があってこそ上手く人間は歩行出来るんだよ、とかいろんなことをやれば学ぶんですよ。やらないと口で言っても分からないっていう部分があるからね。小さい頃覚えた体験は一生覚えているね。

 僕が冒険活動をやってきて、冒険で例えば誰もいない北極の氷のところで、さてどっちに行くんだ、って選んだ時に、こういう時に真価が出るんですよ。誰から教わったんじゃなく僕の感性で、第六感でこっちだ! ってやった方向で、結果僕は死に至らなくて、ある目的を達成してゴールしたのね。

 あの時のひとつひとつの、選択肢の方向をどうやって選んでいたんだろう?って、何が基準だったんだろう?と思うと、これは僕が小さい時からね、僕は山梨県の山村の生まれですよ。山で育ってキジを猟犬と一緒に追っ掛けたりとか、それが春夏秋冬ね、寒い冬と暑い夏があって、その中でなんか俺こっちがいいなっていう風景があって、だから非常に厳しい地獄絵図のような中でも、こっちがいいって選んだ直感は、昔僕が培った経験値に基づいた、ひとつの美学なんですよ。  その美学は何に焼き付けられるかって、幼少の頃からのここまでの体験なんだよね。そうやって人間は体験や経験の中から自分のサバイバルの、煌めき、そういったものを培っていく、だから小さい頃の経験はすごく大事ですね」

土を作るのが農業!

※地球元気村では、農業の体験プログラムも実施しているそうです。

風間深志さん

「農業は、土をいじって、種をまいて、土を被せて、肥料をやって、水をあげて、ひとつの生命、生き物が出来上がるっていう、植物という生き物を種から育てて食する立体感を感じてほしいね。

 スーパーに行っていくらだったとかっていうことじゃなくて、自分が育てた食べ物ね、生き物と接するってことがすごい大事なんですね。

 僕たちはほかの生き物を自分たちの身体の中に入れて、自分たちは生きているんだと。つまりお互い様のひとつの食物連鎖とかあるでしょ? 

 農業をやることは、ナスを育てるキュウリを育てるっていうだけが農業じゃなくて、もうちょっと深いところ、例えばナスやキュウリやトマトは自然になるんだよね、自然に付くんですよ、実。ちゃんと日光があって水分があればね。

 それは俺が作ったんじゃなくて、もとを正せば土壌、土は全て微生物の塊です。何十億の生命の中でその種が生まれた。だからナスが勝手になったんだよね。そのナスがなるような環境を人間が整えるっていうことが農業であって、トマトを作ることが農業じゃないんだよね。土を作ることが大事だってことをやってみると学ぶんですよ。
 だからこの地球は全て自分たちのためにあって、全てのものの生み出すもとなんだよね、だから杉も松も一個一個の名前っていうものは大事だけど、それ以前にもっと大事なものは自然っていう大きな生き物のもとになるやつね、こういったものを考えるのも面白いですよね」

夢はエンドレス

※最後に、冒険を続けるモチベーションはどこからくるのか、うかがいました。

風間深志さん

「言っちゃいけないけどフェミニストではないけども、自分を好きであることね。自分自身の夢を大切に思う気持ちがやっぱりその夢の先にある想像性とかね。夢ってのは捨てられないわけよ、夢を諦めきれないわけ。

 だから絶対やりたいなというポジティブさだね。ポジティブっていうのはいたずらにポジティブになれないんだよね、やっぱり夢でしょ、もっとやるぞ! っていう今よりさらに、っていう何か、まぁそういうことなんだよね、それが冒険屋さんとか、アグレッシブにバイタリティを持って歩む人のひとつの共通項はその辺だと思うね」

●風間さんの夢はなんですか?

「夢? 夢はですね、僕はもう何年か夢を持ちながら実行できていない夢が南極点に障害者たちを連れていって、それも全世界のありとあらゆる国々の人たちと一緒に南極点まで行って、イェイ! イェイ! ってやりたいわけ(笑)。

 それが出来ていないからそれもあるし、僕自身の頭の中でもちろん諦めちゃった夢もありますよ。僕はバイクで一生今まで走ってきましたよね。それはバイクに乗ること自体を楽しんでいるんじゃなくて、バイク=俺は何を目指しているのか、地平線を目指している、地平線をどこまでも手繰り寄せていくんだっていうこと。

 僕のスタイルはバイクを使った旅のスタイルになっているでしょ。その先に見た夢は、月をバイクで走る。僕はこれは出来ていないんですよ。空間を手繰り寄せていく旅人は結局宇宙空間に行くんですね。人間がやっぱり宇宙空間にひとつの未来を見つめるってのは正しい、あっているひとつのベクトルなんだよね。
 やっぱり僕も、たかがバイクでも月を走りたかった、でも月を走ってもその先に見えるものは、太陽系を離れて銀河の中でまた銀河を眺めて、その銀河をさら違う星雲の中から眺めるっていうわけでね。究極、夢というのはエンドレスですね。そこに至ればまた次の夢が見えるんですよ。だからこれはね、遠大なひとつの生命活動だね」


INFORMATION

風間深志さん情報

 NPO 法人「地球元気村」では今年も風間さんの出身地、山梨市ほかで、アウトドアでの体験イベントや、畑での作物づくりなどを実施する予定です。

 また「地球元気村」の活動を支えてくださる村民を随時募集しています。ビジター村民で500円、個人村民で2000円、家族村民で3000円、村民になると年4回の季刊誌が届くほか、元気村イベントの参加費が割引になる特典もありますよ。

 詳しくは「地球元気村」のオフィシャルサイトをご覧ください。

・地球元気村のHP:https://www.chikyu-genkimura.com

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