2022/10/7 UP!
オリンピック正式種目のスポーツということで注目の競技なんですけれど、ダンスでどうやって競うのかなど、分からない部分もありますよね。今日は、スポーツとしてのブレイキンについてご紹介していきます。まずはブレイキンとは一体どういうものなのか、千葉県ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部部長の 佐々木俊己さんにお話を伺いました。

佐々木さん:ブレイキンとはですね、ブレイクダンスとも言われていまして、音楽に乗せて体のあらゆるところ、頭だったり、手だったり、背中だったり、いろんなところを使って回ったりはねたりとアクロバティックな動きを取り入れたダンスです。ブレイキンというのはですね、主にスポーツに特化したことをブレイキンと言わせていただきます。ブレイクダンス、ブレイキンの世界はですね、まず誰でも気持ち・やる気があれば誰でも出来て、そして差別が一切ないダンスだと僕は思います。人種だったり、ジェンダー、大人、子供、あとは体の不自由な方でも全然関係なく、もうやる気さえあれば受け入れるダンスだと思います。
ブレイキンは基本的には4つの要素のダンスから成り立っています。
- Toprock(トップロック)→ぐるぐる回る前の立って踊る導入のダンス、相手を挑発したりするステップ中心のダンス。
- Footwork(フットワーク)→床に手をつき足を動かしたり高速で足を捌くダンス。
- Freeze(フリーズ)→逆立ちの状態で動きを止める技、早い動きから一転して動きを止めてキメるダンス。
- Power Move(パワームーブ)→頭や背中で回るダンス
そもそもはヒップホップカルチャーの一つでしたが徐々にスポーツ、競技として認められてきたという事なんですね。それではその勝敗はどのようにつけているのでしょうか?

佐々木さん:スポーツとしてのブレイキンはですね、まず採点というものがありまして、一対一で戦って、そこからまずパフォーマンス、いいほうが点数がつく。そして例えばちょっと失敗したりとか、クラッシュやミスをすると減点という形になっています。スポーツとしてのブレイキンは同じ動きをしてはいけない。リピートしちゃいけないとか、あと人の動きを真似するようなのはもちろん減点になります。なので、一試合一試合をしっかり「ネタ」として作り上げてって戦いにみなさん挑んでいると思います。しかもですね、戦いの時に流れる音楽があるんですけれども、その音楽っていうのは事前に知らされてなくて、その時瞬時に流れる音でダンスを披露するということになります。その時の多種多様性が求められるダンスだと思います。
同じような動きを繰り返すとか、人の動きを真似してしまうと減点になることも。しかも踊るための音楽がかかるまでわからない、というのがすごいですよね。アドリブの力や適応力、ダンススタイルをどれだけ持っているのかが勝負ということになるんですね。他の採点競技、例えば新体操やアーティスティックスイミング、フィギュアスケートなどは、あらかじめ決めた音楽で何回も練習してその完成度を競うのに、こういう風に即応性が求められる競技ってあまり知らないですよね。
佐々木さんがブレイキンに出会ってから今まで、ブレイキンを取り巻く 環境はどう変わってきたんでしょうか。
佐々木さん:ブレイキンは僕のことになってしまうんですけども、ちょうど30年ぐらい前に「元気が出るテレビ」っていうのがありまして。その中でダンス甲子園というがコーナーがあって見て刺激を受けて、ダンスを始めたんですけども、そのころは仲間がですね、だれもいなくて、もう一人で一生懸命公園等で練習してて、そしたらやっぱり同じような子がだんだん集まって、で仲間が増えて11年前にスタジオ、ブレイクダンスのスタジオをやることができて、そこから体育の授業でダンスの授業が始まるということがありました。そして今、うちのスタジオではですね、才能のある子供たちがたくさんいるんですけれども、その中で、日本はもちろん、世界でも通用する代表選手もいます。

「ダンス甲子園」!大人気のテレビバラエティ番組の大人気企画でしたね。今から30年くらい前(1985~1996年)、高校生がいろんなダンスで競うもので、LLブラザーズとか、あの山本太郎さんも当時は「メロリンQ〜!」ってやってました。それを見てダンスを始めた中学生の佐々木さん。
佐々木さんがブレイクダンスを始めたころは「不良がやるダンス」とうとまれたりしたこともあったそうですが、少しづつ仲間が増えていくのが嬉しかったそうです。ちなみに、そのダンス甲子園よりも前に日本の芸能界でブレイクダンスを取り入れたのがタレントの風見しんごさんで、今ではブレイクダンス界のレジェンドとして尊敬されているんだそうです。最後に2024年パリオリンピックに向けて日本の強化選手のこと、そしてカルチャーとしてみんなが楽しめるブレイクダンスについてもお話いただきました。
佐々木さん:2024年にですね、パリオリンピック。そこでブレーキンが正式種目になりまして、そこで千葉県はですね、B-girl YUIKA(小手川結翔)という選手が今、強化選手として頑張っています。 で彼女は同時にですね、プロのDリーグというのがあるんですけれども、KOSE 8ROCKSというチームにも所属しています。ですのでぜひ B-girl YUIKAを皆さん、応援してください。一方ですね、カルチャーとしてのブレイクダンスもあります。こちらはですね、誰でもできる、年齢や男女、性別等、一切関係なく楽しくできるダンスだと思いますので、もしよろしかったらですね、お近くのどこかブレイクダンスやっているスタジオを覗いてみてください。よろしくお願いします。

Dリーグというダンスのプロリーグで活躍している B-girl YUIKAさん、千葉県出身で、佐々木さんの教え子!注目していきたいですね!
スポーツ競技としてだけでなく、カルチャーとしてのブレイクダンス楽しむ方も幅広く、佐々木さんのダンススタジオでは高齢の方も3歳の小さなお子さんもチャレンジしているそうです。年齢、ジェンダー、仕事、障がいなど全く関係なく誰でも自分にあわせた形で楽しめるのがブレイキン、ブレイクダンスのいいところ。一度、お近くのスタジオを訪ねてみてはいかがでしょうか?
※いろいろとポーズをかっこよく決めて下さったのはピックアクション所属 WASEDA BREAKERSの HAL さんでした。

※ちなみにスタジオでポーズを決めたのは、元気が出るテレビ世代のKOUSAKUと、クラシックバレエ歴15年の中西悠里さんでした!