2025/10/26 UP!
◎古澤純一郎(NPO法人「海さくら」理事長)
『江の島の海をきれいに! NPO法人「海さくら」の「日本一楽しいゴミ拾い!」』(2025.10.26)
◎kazumi(モデル)
『どんどん好きが増えていく「旅」が大好き!』(2025.10.19)
◎山下力人(庭師)
『依頼主を笑顔にする、庭師さんが始めた「植木の里親」活動!』(2025.10.12)
◎渡部潤一(天文学者)
『宇宙や星の不思議、わからないことだらけだから面白い!』(2025.10.5)
2025/10/26 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、NPO法人「海さくら」の理事長「古澤純一郎(ふるさわ・じゅんいちろう)」さんです。
今回は、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第26弾! 「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「つくる責任 つかう責任」そして「海の豊かさを守ろう」。
古澤さんは1975年、船具屋、船の用具を扱う会社の長男として誕生。慶應大学では体育会テニス部に所属し、部活に没頭。卒業後は大手デパートを経て広告代理店に入り、マーケティング営業に従事。その後、実家の船具屋・古沢工業に入社し、現在は代表として活躍されています。
そして2005年に大好きな江の島をきれいにしたいという熱い思いで、NPO法人「海さくら」を設立。「目指せ! 日本一楽しいゴミ拾い!」をキャッチフレーズにユニークで楽しい、いろんな活動に取り組んでいらっしゃいます。
古澤さんは、ゴミ拾いを楽しくするために、いろんな企画を考えるアイデアマンなんです。
きょうは「どすこいビーチクリーン」や「ブルーサンタ」などとってもユニークなゴミ拾いイベントのほか、タツノオトシゴが生息できるきれいな海を取り戻す活動のことなどうかがいます。
☆写真協力:NPO法人「海さくら」

目指せ! 日本一楽しいゴミ拾い!
※「海さくら」という団体は、おもに江の島でゴミ拾い活動をされている、ということなんですが、どんな思いで「海さくら」を立ち上げたんですか?
「単純に海が好きで、海が汚かったので、絶対にきれいにするぞ! という気持ちで立ち上げました」
●何かきっかけがあったんですか?
「きっかけはいろいろあったんですけれども、第一子が生まれるタイミングであったり、私自身が船の道具屋さんってこともあったり・・・。
BEGINっていうバンドが沖縄で『うたの日コンサート』っていうのをやっています。それが押し付けがましくないんだけれども、戦争のこととか、おじいやおばあへの感謝の気持ちを伝えるようなコンサートに出会って、社会貢献っていうのは押し付けなくても、こんなに楽しく展開できるんだとか、そういういろんなことが重なって、この活動をするって決めました」
●最初はおひとりで始めたんですか?
「そうです。ひとりでもこの浜ぐらいだったらきれいにできると思っていたんです。そしたら全然できなかったっていう(苦笑)」
●最終的な目標としては、どんなことを掲げているんですか?
「江の島に昔、タツノオトシゴという魚がいたんですけれども、それが戻ってくるくらい海をきれいにするという目標を持っています」
●「海さくら」というネーミングも素敵ですよね。どんな思いでこの「海さくら」という名前にしたんですか?
「ちょっとロマンチックなんですけど、江の島近辺から海を見ていて、夕陽が沈む時に海面がキラキラキラってゴールドになるのは、みなさんご存知だと思いますが、ピンクにキラキラキラって桜の花びらみたいに見える瞬間があります。だけど、足もとは汚かったので、足もとまで海の桜を守っていきたいという気持ちで、恥ずかしながら(笑)(そう名付けました)」
●いや〜素敵です! 江の島を活動場所にされたのは、やはり地元だからっていう感じですか?
「いえ、地元は東京の隅田川付近なんですけれども、好きでTUBEだったりサザン(オールスターズ)だったり、加山雄三・・・昔からの憧れもあって、デートも常に江の島だったので、江の島をきれいにしたいと思いました」
●「海さくら」のオフィシャルサイトを拝見すると、とっても賑やかでいろんなイベントをされていますよね。キャッチフレーズが「目指せ! 日本一楽しいゴミ拾い!」ということで、楽しいというのがポイントなんですか?
「そうですね。なかなかゴミ拾いしようって言っても、僕も行きたくないですし、みんなも来てくれない。僕は本当に単純なことだと思っていて、ゴミ拾いをもっと楽しくすれば、海に来て海の素晴らしさを感じてもらって、一回でもゴミ拾いをすると、ガラッと変わるんですよね。
まずは来てもらいたくて、来てもらうためには、どうしたらいいのかって思ったら、やっぱり楽しくないとみんな来ないし、僕たち自身の(活動の)継続も危うくなってくるので、始めて5年ぐらいしてから『目指せ! 日本一楽しいゴミ拾い!』という合言葉をつけました」
●初めは違ったんですか?
「最初はめちゃめちゃ真面目にやって、どんどん人を無理やり呼んで、あんなに押し付けちゃダメだと思いながら始めたのに、実際自分が始めると、プライドだったり、見栄だったりあるのかわからないんですけど、電話して”来てよ!”とか、みんなに言って無理やり来てもらって、疲弊しちゃったんですよ、友達たちも・・・。それはいろんなボランティア団体でもあるとは思うんですけれども、そこから脱却したんですね」

(編集部注:江の島の海岸で行なっている月一回のゴミ拾いは、誰でも参加できて、現在は400人から500人規模の大イベントになっているそうです。古澤さんがおっしゃるには、ゴミ拾いに参加すると江の島の海・空・風を感じることができるし、なにより海に来ると気持ちがいい。それがいちばんの醍醐味だそうです。
ちなみに参加者のかたには、スタンプカードを配っていて、12回参加すると、ゴミ拾いの達人T シャツ! 5年がんばると、ゴミ拾い用の「ブラック・トング」がもらえるそうですよ。どんな景品なのか、「海さくら」のオフィシャルサイトを見てくださいね)
どすこいビーチクリーン!
※スタンプカードもそうなんですが、ゴミ拾いを楽しくするために、そして誰もが参加したくなるような、いろんな仕掛けをされています。特に面白いと思ったのが「どすこいビーチクリーン」! ネーミングでわかるようにお相撲さんと一緒にゴミ拾いをするんです。
お相撲さんが参加するようになったのは、古澤さんがマーケティングの仕事で、江東区にある大鵬道場・大嶽部屋に行ったのが始まり。親方にゴミ拾いの話をしたら、協力してもらえることになったとか。現在は、5つの相撲部屋に協力してもらっているそうです。
●砂浜でお相撲さんと相撲をとったりしている写真がサイトに載っていましたね。
「ピッカピカにした、要は自分たちがゴミ拾いをして、土俵というか遊ぶ場所もピッカピカにして、投げられてもいいぐらいにピッカピカにして、そこで子供たちも大人たちも現役のお相撲さんに闘いに行くわけですよね。はっけよい、のこった! って言って、ぶん投げられたりしても最高のイベントです!」

●楽しそうですね〜!
「なかなかお相撲さんと触れ合う機会はないので、一回、僕もお相撲さんのおへその中に指を突っ込んだらイソギンチャクみたいな感じだったし、なんかね、とってもいいんですよ、お相撲さんって(笑)」
●それもきれいな砂浜じゃないとできないですよね?
「その通りですね。汚くても土俵の円ふたつは絶対にきれいにすれば遊べますし、きれいにしたらやっぱり笑顔も広がりますよね。遊ぶ場所も増えるから、とてもシンプルなゴミ拾いだと思います」
●ほかにもスポーツチームと一緒にゴミ拾いをする「LEADS TO THE OCEAN」というのをやっていますよね。スポーツチームと組むのは何か意図があるんですか?
「『海さくら』を2005年に立ち上げて、拾っても拾ってもゴミがやってくるということに気づくわけですね。なんでだろうって思っていろいろ調べていったら、海ゴミの約7割、8割が川、町からやってくるってことに気づくんですね。
だから最初、ひとりでやり始めた時は、ひとりで全部拾っちゃえば、長い時間、海はきれいにできると思っていたんですけど、町がきれいになれば、逆に海がきれいになるってことがわかってきました。
でも町の人に伝えるって、ものすごく大変で、どうしたらいいかなと思っている時に、我々の本拠地、神奈川県藤沢市のチームは湘南ベルマーレなので、湘南ベルマーレの選手が『海さくら』のゴミ拾いに来てくれていたんですよ。
選手が来るから、ゴミ拾い行こうっていうのもひとつの・・・お相撲さんが来るからゴミ拾い行こう、ベルマーレの選手がいるからゴミ拾い行こうと一緒で・・・。それで当時の社長、大倉社長と、実は町からゴミがやってくるから、湘南ベルマーレのホームスタジアム、今は『レモンガススタジアム平塚』って言うんですけど、1万5千人も収容するんですよ。
そこの大画面で、海のゴミは町からやってくるっていうのを伝えさせてもらって、試合終了後にホームゲームは全部ゴミ拾いをさせてほしいと・・・それで始まったのが2015年で、今では24チームのプロスポーツチームと協同してやっています」

●あと「BLUE SANTA」というのもありました。これは何でしょうか?
「これは、つるの剛士さんとも協力して、いろいろやっているんですけれども、『海の日』というのは海の恩恵に感謝をする日ですよね。ただゴミ拾いをする、感謝するっていうのではインパクトがないので、たくさんの人に『海の日』だけでも海への思いをアクションに変えてもらえないかと思っています。
赤いサンタクロースは、クリスマスの日に白い袋から子供たちにプレゼントする、青いサンタクロースは『海の日』に白い袋にゴミを入れて、未来の子供たちのためにいい浜を作っていくというコンセプトで、これも10年ぐらいやっています」
(編集部注:スポーツチームと一緒にやるゴミ拾い「LEADS TO THE OCEAN」にはJリーグのチームはほとんど参加していて、ジェフユナイテッド市原・千葉とも一緒に活動しているそうですよ)
エノシゴくんに、ブルーマン!?
※ゴミ拾いイベントに、キャラクターが登場することがありますよね。
「そうなんです。特に10代の子供たちの、”海離れ”のデータがあるんですけれども今、海に関心がない10代の子供は4割もいるんですよ。その子たちが大きくなったら、海なんかどうでもいいやって(なると思うんです)。
僕は危機感をすごく持っていて、やっぱり自然の中で遊ぶと、怖さもありますし、感謝の気持ちもわきます。僕は子供のうちにいろんなことを体験するべきだと思っています。
子供たちにゴミ拾いがあるから来てって言っても、なかなか来てもらえないので、いろんなキャラクターを作って、子供たちに来てもらえるような、親御さんにも来てもらえるような、子供たちのために(キャラクターを)作っていますね」

●「エノシゴくん」というキャラクターもいますけれども、これはどんなキャラクターなんですか?
「これは江の島の『エノ』と、僕たちが(江の島の海に)戻したいタツノオトシゴの『シゴ』を取って、『エノシゴくん』と名付けたキャラクターの着ぐるみです。黒く汚れちゃって怒っているんですね、人間に対して。で、その着ぐるみはお腹が金色で、触ると金運が上がると、大人たちにもPRしています(笑)」
●ほかにも全身をブルーのタイツに身を包んだ「CHANGE FOR THE BLUE MAN」というキャラクターがいますけれども、これは・・・?
「これは僕なんですよ。すごく評判が悪くてですね」
●ええ〜っ!? すごく素敵です! 面白いなと思って・・・(笑)
「本当ですか・・・? コンプライアンス的にギリギリだって言われているんですけども・・・」

●リスナーさんに、写真をご覧になっていただきたいんですけれども、古澤さんだったんですね!
「そうなんですよ」
●ブルーのタイツに身を包んだブルーマンは、何をアピールするキャラクターなんですか?
「本当にこれはふざけているわけじゃなくて、”Change for the blue”と胸に書いてあるんですけれども、ゴミ拾いとか環境活動って、どうしても始めた時に、”偽善者だ”とか、”仕事じゃないの?”とか、なかなか受け入れてもらえない、今でもそうなんですけど、そんなことがあって・・・。
ゴミ拾いって誰でもできるんだよっていう、決して真面目じゃなくたっていいんだよと、思いがあればできるってことをちょっとPRしたくて、真面目な人=ゴミ拾いじゃなくても、ふざけていてもゴミ拾いはできると、いろんなやり方があるんじゃないかってことを体で表してます!」
●全身で表現されていますね!
「どうやらその趣旨がなかなか伝わらないので、聞いていただいて、ありがとうございます」
(編集部注:ほかにも「海洋戦士シーセーバー」というキャラクターがいて、スーパーヒーローとして番組を制作し、TVKで放映していたそうですよ)

※月一回のゴミ拾いで、どれくらいの量のゴミが集まりますか?
「日によって全然違うんですね。先ほど町からゴミがやってくる、川を通じたり下水道を通じたりしてやってくるんですけれども、雨が多い次の日はものすごく海岸にゴミが打ち上がります。
台風のあとなんて、拾っても拾ってもとんでもない量になりますので、基本的に日によって違うというのが正直なところですね」
●拾っても拾ってもなくならないよ~っていう、諦めに似た気持ちになったことはなかったですか?
「ないですね。絶対にきれいにしたい! という本当に夢があって、ひとりから始めて、今は『BLUE SANTA』でも全国で1万人以上やってくれるようになったりして、諦めなければ絶対にきれいにできると思っています。
本当に海はきれいなほうがいいと思うので、できる! と思ってやっています。だから一回も思ったことないです」
(編集部注:古澤さんは、町と海は川や排水溝とつながっている。排水溝は「海の入り口」だと思ってもらえたら、とおっしゃっていました)
タツノオトシゴを江の島の海に!
※ゴミ拾いのほかに「海さくら」の大きな柱として「海創造プロジェクト」というのがあります。どんなプロジェクトなのか、ご説明いただけますか?
「僕たちの目標のタツノオトシゴを(江の島の海に)戻すということにおいて、ゴミを拾っているだけだと、どうやったらタツノオトシゴが戻ってくるかってわからないじゃないですか。
本当にタツノオトシゴを戻したいと思って、いろいろ勉強していくうちに、海底に森がないとタツノオトシゴが戻ってこないということがわかったんです」
●海底に森・・・!?
「はい、ワカメとかヒジキとか、アカモクとかホンダワラとか、そういった海藻類があることを『海の森』と言っているんですね。
それがあると、まず植物性プランクトンが生まれて、動物性プランクトンが生まれて、それを食べる小さな魚が生まれて、それを食べる中くらいの魚が生まれて、それを食べる大きな魚、頂点のところにはサメとかクジラとかがいるんですね。
その生物生態系とか食物連鎖って言われているピラミッドの底辺、いちばん大事なところというか、どこも大事なんですけど、海底の森がなければ、タツノオトシゴも戻ってきませんし、その頂点にいる魚にも影響するので、海底に森を作ろうと思いました。
ここ10年ぐらいで海底の森が本当になくなったんですよ。海藻類も10年前は海岸に上がってきちゃって浜が磯臭くなったり、鎌倉とかドライヴすると、ワカメとかたくさん上がっていたんですけど、今はほぼゼロです。
実際ダイビングを僕もするんですけど、15年前ぐらい前、同じ湘南の葉山でダイビングしたら、海藻をかき分けながら水中を潜るんですよ。今ほとんどないですから・・・江の島周りなんてもう何もなくなっちゃっています」
●海底に森を作るには、どんなことが必要になってくるんですか?
「僕たちは『アマモ』という海藻を選択して、どこかから根こそぎ取ってきたら、そこがなくなっちゃうので、そこからタネを・・・タネと根から育つのがアマモなんですよ。そのタネをもらってきて、ちょっとだけお借りしてきて、それを水槽で育てて、大きくなったらダイバーと一緒に植えるという作業を繰り返しています」

●もともとは江の島の海にタツノオトシゴはいたんですか?
「いたんです! 本当にいたんです! 海底に森を作る時にダイバーさんと潜っていると『ハナタツ』という、タツノオトシゴとほぼ見かけは一緒なんですけど、見つけました」
●ご覧になったこともあるんですね!
「あります! 葉山にはいます。江の島の住民のかたたちも、“昔は泳いでいたら見られたよ“っていうこともいろいろ調査して・・・もちろんいたから、それを戻すということですね」
●専門のかたがたにも協力してもらって、海底に森を作ろうっていうことをやっていらっしゃるんですよね?
「そうなんです。海底に手を入れるというのはものすごくデリケートで、何か変なことをしてしまって駄目にしちゃいやなので、神奈川県水産技術センターの工藤孝浩さんという、さかなクンの師匠だったり、いろんな人に協力していただいて慎重にやっています」
(編集部注:アマモを植えているのは、もともと藻場があったエリアで、江の島の裏側、稚児ケ淵(ちごがふち)あたりだそうです。
現在、五代目のアマモを植えてあるそうですが、ヘドロが堆積していて思うように増えていかないとか。海底の土の改善ができれば、一気に増える可能性もあるとのことです)
海が大ピンチ! みんなで一緒にきれいに!
※古澤さんが「海さくら」を立ち上げて、20年が経ちました。振り返ってみて、どんな思いがありますか?
「もうね、あっという間っていう感じで、もう20年経ったんだっていうのが正直なところと、結果が出ていないので悔しい思いと、本当に(江の島を)きれいに絶対したいので頑張っていきたいなって思っています」
●20年が経って本も出版されたんですよね?
「はい、しました!」

●『目指せ! 日本一楽しいゴミ拾い! 行動力が海を変える 20年の軌跡』という本ですけれども、これはどんな内容なんですか?
「今『海さくら』のホームページを見たかたは、たぶん(これまでの活動が)順風満帆で、たくさんのスポンサーがついてっていうふうに思われがちなんですけど、そんなことないよと・・・ひとつひとつやって失敗してきて今があるっていったところと、これを読むと、海の現状がちょっとわかってくるような本になっています」
●今後のゴミ拾いで、また何か新しい仕掛けとか考えていらっしゃいますか?
「あまり考えていないんですね(笑)。誠実にしっかりやっていきたいと思っています」
●今後、特に力を入れていきたい活動はありますか?
「やっぱり二本柱の一本『海底に森を作る』というところで、今、土壌改善に燃えています」
●改めて「海さくら」の活動を通して、どんなことを伝えていきたいですか?
「とにかく海が大ピンチだと思っています。一瞬きれいに見える浜でも膝をつくとプラスチックだらけ、やっぱりゴミがある海が当たり前と思っちゃいがちなんで、いやそんなことないと。
自分の町にある浜にゴミがなくなってきれいになったら、魚もやってくるし、そういうのを子供たちと一緒に見たり、恋人と見たり・・・おじいちゃん、おばあちゃんになって見たら、絶対幸せだと、絶対はないけど、いいと思うんですよ。
それは力を合わせれば、町からゴミをなくしていけば、絶対できるので、やりましょう! っていうか、ワクワクの海を、ひとりじゃ無理なので、みなさんと、できると思えば、できるので、一緒にやりたいなと思います」
☆この他のシリーズ「SDGs〜私たちの未来」もご覧ください。
INFORMATION
次回のゴミ拾いイベントは、11月15日(土)の予定です。今回はスクーバダイビングの団体PADIとの対談や、海岸で拾ったプラスチックでアート作品を作るワークショップなどが予定されているそうです。参加ご希望の方は、事前に「海さくら」のオフィシャルサイトからお申し込みください。参加は無料です。
『目指せ!日本一楽しいゴミ拾い! 行動力が海を変える 20年の軌跡』
「海さくら」の発足から20年の節目に出版した本は、古澤さんの情熱と挑戦と、20年の奮闘ぶりが手に取るようにわかる力作です。ぜひ読んでください。
「はるかぜ書房」から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎はるかぜ書房:https://harukazeshobo.com/2025/09/01/
「海さくら」の活動についてはぜひオフィシャルサイトを見てください。いろんな活動をされていて、きっと驚くと思いますよ。
◎海さくら:https://umisakura.com/
2025/10/26 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. 勝手にシンドバッド / サザンオールスターズ
M2. 恋しくて / BEGIN
M3. アイデア / 星野源
M4. ONLY THE OCEAN / JACK JOHNSON
M5. EVERY BREAKING WAVE / U2
M6. BURN ONE DOWN / BEN HARPER
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/10/19 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、モデルのkazumiさんです。
ファッションモデルとして活躍中のkazumiさんは旅が大好きで、旅先で撮った写真をSNSで発信。また、ナチュラルなライフ・スタイルも注目され、フォロワー数が10万人を超えるほどの大人気なんです。
kazumiさんは奈良県出身。もともと旅好きで、気づいたら休みのたびに旅行に行っていたそうです。国内では温泉地や神社仏閣巡り、海外はここ数年、韓国にハマっていて、月に一度は出かけているそうですよ。
ちなみに初めての海外はグアム。学生時代にモデルのお仕事として、CM撮影のために行ったとか。同じ国に行くことも多くあるそうで、これまでにプライベートを含め、20カ国くらいを旅したそうです。
そんなkazumiさんが先頃、大好きな韓国のガイドブック『わたしの週末ソウル』を出されました。
きょうは韓国ソウルのお話はもちろん、今年、プライベートで出かけたインドやメキシコでのアクティヴィティ体験のことなどうかがいます。
☆写真協力:『わたしの週末ソウル』宝島社
『リンネル』宝島社

旅先の情報はガイドブックで収集!?
※韓国ソウルのお話の前に、kazumiさん流の旅のスタイル的なことからうかがっていきましょう。プライベートな旅の場合、どこに行くのか、決め手になることはどんなことですか?
「決め手は・・・ひとりで行く時は、近場の台湾だったり韓国だったりするんですけれども、プライベートだと夫と行くことがいちばん多いので、ふたりともちょこちょこ海外には行くので、ふたりとも行ったことがない国を、ここ数年は探すようにしていて、去年はインドに行ったりとかしています」
●旅先の情報は、どうやって調べるんですか?
「ガイドブックが好きなので、ガイドブックを読むこともありますし、SNSをたくさん見て、そこから行きたいところをピックアップしたりですとか・・・。YouTubeも見ますし、情報収集はすごくするほうなので、事前に下調べはたくさんしてから旅に出かけることが多いです」
●旅先でのスケジュールも、きっちり決めてから行く感じですか?
「ひとりの時はすごく効率よく回りたいなと思うので、きっちりスケジュールを決めていくことが多いんですね。友人とだったり夫婦の旅は、割とゆったりでもいいのかなと思うので、決めては行くんですけど、ゆとりあるスケジュールで動いたりですとか、何もせずにホテルでのんびり過ごしたりみたいなこともあります」
●旅先で必ずやることはありますか?
「旅先で必ずやることは、ローカルフードを食べに行くことですね。ご飯を食べるのがすごく好きなので、少しいいお店に行くのも好きですし、地元の人が通うようなお店に行くのも好きなので、探して行くことが多いです」
●今まで食べたローカルフードの中で、いちばん美味しかったものは何ですか?
「いちばんって言うとすごく迷うんですけれども・・・近々だと去年、インドで食べたカレーはすごく美味しかったです!」
●本場のカレー!
「はい! とっても暑かったので、すごく汗もかいていますし、香辛料のあるちょっとピリッと辛いものだったりとか、刺激的なものを食べた瞬間にすごく生き返った感じがしました。
あとローカルフードではないですけれども、すごく暑かったので、その時飲んだコーラも美味しく感じて(笑)・・・っていうのが思い出にありますね」
旅のファッションは、その土地の「色」!?
※去年はインド、今年はメキシコの高級リゾート地、ロスカボスへ行かれたそうですね。
インドでは民族衣装を着ている写真もSNSで拝見しました。インドは気温や湿度が高い場所だと思いますが、実際にインドの民族衣装を着て、どうでしたか?

「すごく可愛いんですけれども、インドの気候に慣れていないので、日本よりはるかに暑くて、すごく汗だくになっちゃいました」
●やはりモデルという職業柄、着こなしにもこだわりがあるんじゃないですか?
「そうですね。旅のファッションにはこだわりがあって、事前に行く場所を調べて、その土地その土地に合ったお洋服を選んで着ていくことが多いんですね。
民族衣装もそれの延長というか、せっかく現地に行ったなら、民族のその土地ゆかりのあるお洋服を着たいな~と思って、民族衣装を着るのが最近ちょっとした趣味になりつつあります」
●土地に合ったファッションをするというのは、具体的に選ぶポイントはどんなところになるんですか?
「まず、行く場所にどういう建造物があるのかを調べて、その色合いとかを見ます。写真は必ず思い出として(残すために)撮るなっていうのは思っていますし、仕事柄、写真を撮る機会もすごく多いので、そこの土地に合った色合いであったり、TPOに合わせたファッションを選ぶようにしています。
土地によっては、肌を見せたりしてはダメなところもありますし、それも事前に調べたりとか、気温も調べたりとかして行きますね」
好奇心旺盛、何にでもチャレンジ
※kazumiさんが今年行ったメキシコの高級リゾート地、ロスカボス。その印象は、治安もよく、街もきれいで、夢のような場所だったそうですよ。
ロスカボスではクルーズ船に乗ったそうですね。

「クジラを見に行くホエール・ウォッチング・ツアーがあって、クルーズ船というか、比較的コンパクトな船ではあるんですけれども、それに乗ってクジラを見に行きました。
ロスカボスはクジラの遭遇率が96%を超えるぐらいの確率なんですね。なので、それを目的に観光に来られるかたもいらっしゃるくらいなんですけれども、そこでクジラを見たことはすごく感動しましたね。
想像以上に近い場所でクジラを見られるんですね。なので、すごく迫力も満点でしたし、クジラがジャンプして、また海に潜っていく姿だったりですとか・・・ロスカボスは親子の、大きいクジラと子供のクジラが泳いでいるのも見られたので、すごく神秘的な感じがしました」
●乗馬にもチャレンジされていましたよね?
「はい!」

●乗馬は結構されるんですか?
「そんなに頻繁にというわけではないんですけれども・・・。メキシコの地で初乗馬というわけではなくて、もともと高校時代の友人が馬の競技の選手をやっていたっていうのもあって、割と学生の頃から馬に乗る機会はちょこちょこありました。馬がすごく好きなので、またメキシコの地でも乗られて嬉しいなと思っています」
●旅先ではいろんなことにチャレンジされている印象があるんですけど、いかがですか?
「割と好奇心が旺盛な性格なので、何でもチャレンジするほうです。アクティヴィティもそうですし、食べたことないものも、とりあえず食べてみようかなみたいな感じで、ちょっと軽い感じで何にでもチャレンジします。
ダイビングをやったりですとか、気球に乗ったりパラグライダーをやったりとか、できるアクティヴィティは可能な限り挑戦するタイプですね」
●ダイビングは「海」で、気球は「空」ですけれども、どんなことを感じられましたか?
「そうですね・・・どちらも言えることなんですけれども、海は静かで穏やかで広~い世界が広がっていて、空も広大な景色が広がっていて・・・自分が小さいというか、悩みとかもあまり気にしなくていいな~って、いつもアクティヴィティを体験すると、悩んでいることとか、そんな大したことないな~っていうふうに思ってしまいます(笑)」
韓国は行くたびに発見、刺激的!

※ここからはkazumiさんが先頃、出されたガイドブック『わたしの週末ソウル』についてお話をうかがっていきます。この本はひとことでいうと、どんなガイドブックなんですか?
「韓国のソウルをメインに今回、ガイドブックを作らせていただきました。すぐに韓国に行く予定はないよというかただったり、行ったことないよっていうかたもいらっしゃるかなと思ったので、日本でも楽しめる内容にしています。
雑誌『リンネル』で『kazumiが学ぶ、ときめきの韓国』という連載を1年間やらせていただいていたんですけれども、そこでは日本にいながら、韓国料理だったり、韓国のお菓子のレシピだったりとかを学んだりする機会があったので、それを再編集して載せていたりもします。なので、韓国だけじゃなくて日本でも楽しめる内容になったかなと思っております」
●食、ファッション、美容、カルチャー、それから韓国料理のレシピまで載っていますけれども、コンセプトと言うとどんな感じになっていますか?
「コンセプトは・・・私が本当に行って良かったというところだけを厳選して載せています。私が大切な家族や友人たちを連れていくなら、どこに行きたいかっていう視点で、本当にお勧めだけを載せた厳選のガイドブックにしています」

●本の最初に子供の頃、ガイドブックを見ながら旅のしおりを作るのが好きだったと書かれていました。kazumiさんの原点が込められたような本ですよね。
「そうですね。夢が形になった本と言いますか、私のやりたいことを全部詰め込められたので、今回すごく満足の仕上がりになっています」
●料理研究家の「コウケンテツさんに学ぶ家庭料理」というページもありました。「キムチスンドゥブチゲ」が美味しそうでした!
「あっ、よかったです! すごく美味しいですけれども、コウケンテツさんのレシピは比較的簡単にとり入れやすくて、作りやすいレシピが多いんですね。YouTubeでも美味しいご飯のレシピをたくさん紹介されています。
この本に載っているレシピも、家にあるようなもの、スーパーで買えるようなもので、すぐに韓国料理を楽しめるレシピを今回教えていただいたので、そちらもぜひチェックしていただけたら嬉しいなと思っております」
●今回のガイドブックには、スケジュール別モデルコースというのが載っていて、弾丸24時間帰国とか、1泊2日、2泊3日とか、いろんなモデルコースが載っていました。弾丸24時間っていうのもできちゃうんですね!
「そうなんですよね。深夜の便で発っていただいて早朝に着くようにしていただけると、弾丸24時間で帰って来られるというモデルコースも、この本ではたっぷり紹介しております。
私がこの『わたしの週末ソウル』の撮影に行った後に、実際に追加で、自分で体験してきて、無理なく回れるかを確認してきたコースを載せております。そちらもぜひ本でチェックしていただけたら、その通りに行ったら24時間でも大満足していただけるんじゃないかなと思っております」

●kazumiさんを惹きつける韓国の魅力をひとつ挙げるとしたら、どんなことがありますかね?
「そうですね・・・韓国は行くたびに新たな発見があるんですね。というのも、韓国は割と流行りの移り変わりが激しいので、半年行かないだけで、その土地が全然違う様子になっていたりですとか、すごく人気店だったのがもう閉店していたりとか・・・。
逆に新しいホットスポットができていたり、行くたびにすごく刺激的で、行っても行っても、また次の新しいものに出会えるので、新たな発見があって飽きないところかなと思っております」

新たな自分を発見できる時間
※kazumiさんが旅先で心が躍るのは、どんな時ですか?
「見たことのない景色だったりとか、食べたことのないご飯、あとは人に出会った時はワクワクしますね!」
●今でも忘れられない風景はありますか?
「雑誌『リンネル』の撮影でニュージーランドに行ったことがあるんですけれども、『テカポ』という、星空がすごくきれいに見える地域があって、そこで見た星空は、今まで見た中でいちばん美しいなと思って、本当に感動したので忘れられない風景になっています」
●いろんな国を旅されていますけれども、逆に日本の良さを感じたことはありますか?
「帰国すると、日本の良さをやはり感じます。海外はすごく好きで、“いつか少し住んでみたいな~“とか淡い夢もあったりもするんですけれども、やはり帰国すると日本はトイレも綺麗ですし、道も綺麗ですし、人も親切ですよね。
あと、特にご飯がやっぱり美味しいというか口には合うので、帰ってからご飯とお味噌汁と納豆を食べると、すごく生き返る感じがして体に染み渡るなと思って、そこで日本の良さをいつも感じます」
●旅を経験していく中で、ご自身の日々の生活で何か変化ってありました?
「そうですね・・・どんどん身軽になってきているような気はします。なんだろう・・・韓国に行くようになって特にそうですけれども、韓国は海外とは言え、大阪に行くような感覚だったり、福岡に行くような感じで、私はふらりと24時間日帰りで行くことも多いので、旅をしているとそんな感じですぐにアクティヴになるというか・・・」
●では、kazumiさんにとって「旅」とは?
「新たな自分を発見できる時間かなと私は思っています。仕事でもプライベートでもやはり旅に出ると、どんどん興味が湧いてきて、やりたいことも、“もうちょっとこういうのもしたいな~”とか、どんどん好きが増えていく感じがするので、楽しいですし、人生が豊かになっていくなっていう気がします。なので、旅はすごく好きですね」

INFORMATION
kazumiさんの新しい本をぜひ読んでください。最新の 食やファッション、美容やカルチャーの情報、そして韓国料理のレシピなど、韓国が大好きなkazumiさんの「好き」がいっぱい詰まったガイドブックです。写真が豊富に載っていて、見ているだけでソウルを旅しているような気分になりますよ。実際にkazumiさんが検証した、おすすめモデルコースもたっぷり! 宝島社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎宝島社:https://tkj.jp/book/?cd=TD068477
kazumiさんのインスタグラムやYouTubeチャンネル「kazumi room 」もぜひ見てくださいね。
◎Instagram:https://www.instagram.com/kazumi0728/?hl=ja
◎YouTubeチャンネル「kazumi room 」 :https://www.youtube.com/c/kazumiroom
2025/10/19 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. SOUL TRIPPIN’ / DELEGATION
M2. GOOD TIME / OWL CITY & CARLY RAE JEPSEN
M3. LOVE YOURSELF / JUSTIN BIEBER
M4. ADVENTURES IN PARADISE / MINNIE RIPERTON
M5. BANG BANG BANG / BIGBANG
M6. FOREVER YOUNG / BLACKPINK
M7. START OVER / GAHO
M8. ON TOP OF THE WORLD / IMAGINE DRAGONS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/10/12 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、庭師の「山下力人(やました・りきと)」さんです。
山下さんは1977年生まれ、東京都八王子市出身。お母さんの実家、東京都檜原村での 自然との触れ合いが、植物を愛おしく思う気持ちを育み、小学生の頃にテレビ番組で見た 庭師の半纏(はんてん)姿に憧れ、庭師の道へ。
高校生の時から造園会社でアルバイトを始め、卒業後にそのまま就職。剪定の技術などは、師匠のやり方を見て学んだそうです。
そして12年修行して独立し、ひとり親方、いわゆる個人事業主として、庭師の仕事に打ち込んだそうです。ちなみに、庭師には造園技能士や造園施工管理技士という資格があるそうです。
日々仕事として、樹木と向き合っている山下さんは植物のリユースと言える「植木の里親」という活動を行なっていて、多くのメディアで紹介されたり、また、さまざまな賞を受賞するなど、大変注目されています。
きょうは、そんな山下さんに「植木の里親」を始めたきっかけや植木を保管する「もらえる植物園」、そして樹木と対話する庭師の思いなどうかがいます。
☆写真協力:やましたグリーン

人と植物が親友に!
※ひとり親方としての活動のあと、2012年に地元八王子に株式会社「やましたグリーン」を設立されました。会社を立ち上げたのは、どうしてなんですか?
「個人で2008年から約4年間(庭師を)やっていたんですけど、2012年に伐採作業をしていた時に大木の下敷きになって、頸椎を骨折する大怪我をしてしまったんですね。半年間の入院中に、いろいろなことを考えて、そこで考え方を改めて、初心に戻って、もっとお客さんに思いを伝えられるようなことをやっていきたいと、思い切って会社にしました。
入院している間に造園の資格より上位の造園施工管理の一級を取ったりとか、個人から法人にするための勉強をして、退院してからすぐ法人にしました」
●「やましたグリーン」の業務は、いわゆる造園業っていうことになるんですよね?
「そうですね。やましたグリーンは造園会社ですね」
●「やましたグリーン」のテーマみたいなものってあるんですか?
「テーマは『人と植物が親友になれるように』って、みんなに言っているんですけど、その中でもやっぱり庭師っていう職業を子供たちが憧れる職業NO,1にするっていうテーマを持って日々活動を行なっています。
半纏を着て仕事をして、僕自身が半纏姿の庭師さんに憧れたので、半纏を着て庭師が働く姿も庭の景色の一部だっていうことをみんなには言っています。剪定したりとか植物と関わっている時も、カッコよくあろうっていうことを意識してやっていますね」

●「やましたグリーン」のサイトを見ると山下さんの写真が載っています。背中に猫の絵が書かれていましたけれども、これはロゴですよね? なぜ猫をモチーフにしようと思われたんですか?
「庭師さんの半纏ってだいたい家紋を入れるんですね。家紋になると子供たちにとっては、少しわかりづらいマークになってしまうので、子供たちが見た時に、すごくキャッチーなマークにしたいな~と思って、猫を選んで猫を背中に背負っていますね。
●猫がお好きなんですか?
「そういうわけじゃないんですけど、やっぱり日本庭園には猫が似合うなと思って猫にしました」
(編集部注:半纏の背中に猫のロゴマーク、どんなマークなのか、ぜひ「やましたグリーン」のサイトを見てください。ちなみに猫の名前は「ベスティ」、これは「親友」という意味があるそうです。
「やましたグリーン」の社員は現在10人、事務担当のおひとりを除いて、みんな職人さんだそうですよ)
☆「やましたグリーン」:https://www.yamashitagreen.com

※庭師のかたの1日のスケジュールは、どんな感じなんですか?
「朝、まずトラックに道具を積み込んで、お客さんの家に行って、たとえば剪定の作業をするんですね。枝葉が伸びた庭木の剪定作業を行なって、まあ10時ぐらいになるとだいたいお客さんがお茶を出してくれます。
そこで一緒にお茶を飲みながら庭木について話をしたりして、その後、午前中いっぱい仕事をしてお昼休み挟んで、午後の3時にもう一回お茶を出してくれるタイミングっていうのがあるんですね。
午後3時にお茶を飲みながら、お客さんとまた話をして、夕方5時ぐらいになったら仕事を終えて会社に帰ってくるっていうのが、だいたいのルーティンですね。
●お客さんとの会話も大事な時間になりそうですね。
「そうですね。お客さんの要望とか、植木に対する思いとか、ヒアリングしながら、それに見合ったような剪定の方法をやるとか、すごく大事な時間ですね」
「庭じまい」〜家族のストーリー

※山下さんが取り組んでいる「植木の里親」について教えてください。今回、初めて「植木の里親」という活動を知りました。具体的にはどんな活動なんですか?
「造園業界では、庭を新しく造るというお客さんがだんだんと減っているんですね。逆に庭木がある庭を駐車場にしたり、駐輪場にしたりと、いわゆる『庭じまい』と呼ばれる、庭をどんどん解体していくようなことが広まっています。
私たちも庭じまいの仕事を受けていたんですけど、そんな中でお客さんが“本当はこの植木は伐採したくないのよね”というふうにおっしゃったんですね。
“どうしてですか?”って聞いたら、“実は家族がとっても大事にしていた植木だから伐採しないで、何とか生かしてあげたいんだけど、しょうがないわよね“と言われたんです。
それだったら“私たちが生かしたまま移植して育てますよ”と言ったのを皮切りに、植木を引き取っていきました。その引き取った植木を育ててくれる里親さんを探していくっていうのが、この事業の内容ですね」
●庭木にはその家庭ごとのストーリーがありますよね。
「そうですね。みなさん、お話を聞いていると、“もう亡くなったおばあちゃんと一緒に梅を収穫して梅ジュースを作ってもらったんだ“とか、”毎年この花が咲いた時に家族みんなで写真を撮ったんだ“みたいな、本当にたくさんのストーリーがありますね」
●植木のリユースみたいな感じですかね?
「そうですね。わかりやすくいうと植木のリユースになりますね」
●うちの庭木を引き取って欲しいっていう依頼は多くなりましたか?
「はい、かなり多くなりましたね。この事業を始めたのが2012年なんですけど、その時に比べると、もう本当に何十倍っていう数の問い合わせが来ています」

●そうなんですね。ちなみに月何件ぐらいの依頼がありますか?
「月でいうと・・・実行されるのが6件、7件ぐらいの引き取りを行なっています」
●無料で引き取るんですか?
「引き取る時にかかる職人の労務費だったりとか、運賃をいただいているっていう形です」
面会は「もらえる植物園」

※引き取った樹木はどこに保管しておくんですか?
「会社の前に『もらえる植物園』って呼んでいる植木の管理地があるんですね。そこに置いて植木を管理しています」
●その「もらえる植物園」は「やましたグリーン」の中にあるんですか?
「はい」
●敷地ってどれぐらいの広さなんですか?
「敷地は約2000坪です」
●誰でも入れるんですか?
「そうですね。開放していて、“誰でもいつでも来て、お散歩してください”っていふうにしているので、そこで気に入った植物があれば、里親になれるっていう仕組みですね」

●樹木の種類はいろいろあると思うんですけれども、現在は何本ぐらいの樹木を預かっているんですか?
「今は500本ぐらいの樹木を預かっています」
●どんな樹木でも預かるんですか?
「はい。どんな樹木でも樹種を問わずに預かっています」
●断るケースとかはないんですか?
「断るケースはないですね」
●今、預かっている樹木は具体的にいうと、どんな種類の木があるんですか?
「やっぱり花が咲いたりとか、実がなるものが結構多くて、梅、桜、柿とか、あとみかんとか、そんなものが多いですかね。松も多いですね」
●里親をネットで募ったりとかされるんですか?
「はい、ホームページで発信して、ネット上から問い合わせをいただくこともあるんですけど、最終的に里親になってもらう時は、実際に見に来ていただいて、大きさとかをちゃんと見てもらってから、里親になってもらうっていう仕組みにしています」

●実際、見てもらって里親になりますって決まったら、その後の流れはどうなるんですか?
「その後の流れは(樹木を)植える場所まで私たちが運搬して植栽する。その時にかかる運搬費と労務費をいただくという形になりますね」
●そうなんですね。植栽までしてくださるんですね。里親になるかたに、もとの持ち主のストーリーや、思いというのをお話しされるんですか?
「聞かれればお伝えしていますね。こんな場所で育っていましたとか・・・」
(編集部注:山下さんは「植木の里親」を広めるために、定期的に「もらえる植物園」で剪定教室、枝を使ったクラフトやドライフラワーづくりのワークショップなどを開催しています。
また、山下さんの活動を知った小中学校から、SDGs授業の講師を依頼され、「植木の里親」活動が事業としても成り立っていることなどを説明するそうです。生徒さんは樹木を生かすために、別の場所に移植できることを知って、驚きの表情を見せることもあるとか)
お客さんを笑顔に!
※庭師としてのキャリアは30年以上になるかと思いますが、日々樹木と向き合って、どんなことを感じますか?
「樹木と向き合っていると、30年間いろんな樹木の状態を見たりとかしていると、人間の言葉はしゃべらないけど、彼らは彼らなりに葉っぱの色を変化させたりとか、幹の水分量が変わったりとか、彼らなりに話しているなっていうのは、なんとなくわかる感じがするんですよね。その辺を見ていると、やっぱり生きているんだな~っていう感じはしますね」
●親友にっていうことですよね。
「そうですね。やっぱり同じ地球で生きる仲間、そして私たち人間が生きる上でなくてはならない存在なので、こちらから歩み寄ってどんどん親友になっていきたいと思っていますね」

●樹木と対話するような仕事だと思うんですけれども、どんなこと望んでいるのかって、どういうふうにしたらわかるんですか?
「やっぱりよく見てあげることですよね。さっきも言った通り、人間の言葉をぺらぺらとしゃべってくれれば、すごくわかりやすいんですけど、それができないので、葉っぱの様子とか幹のしなり具合とかをよ~く見ていると、何かわかってくることがあるんですよね。そのあたりをよく見ていると、なんとなく対話ができるのかな~っていう気はしますね」
●どんな時にやりがいとか幸せを感じますか?
「やっぱりこれまでやってきた『庭じまい』の仕事とかは、植木を処分することでお客さんが悲しい状態になって、仕事が終わるっていうことが多かったんですよね。だけど、この『植木の里親』っていう仕事にチェンジしたことで、お客さんは植物を手放ことは同じだけど、笑顔になってくれたんですよね。
お客さんが笑顔になる時がすごく大好きで、里親さんが見つかった時も育てていたかたに写真を送ったり、手紙を送ったりするんですね。“これからはこんなところで育ちますよ!”みたいな、その時にまたすごく喜んでくれて、お礼言ってくれたりとか手紙を返してくれたりするので、そんな時にすごく喜びを感じますね」
●自分のもとでは育てられなくても、どこかでまた輝いてくれているって思うと、もとの持ち主さんたちも嬉しいですよね。
「そうですね。そこで命が終わるんじゃなくて、次の場所でセカンドライフを送ってくれている。それがたとえば保育園に植えられて、子供たちが楽しんでくれる木になったとか、そんなことが起こったりすると、すごくやりがいを感じて嬉しくなりますね」

サステナブル・ガーデン!?
※今後、チャレンジしてみたいことがあったら、教えてください。
「この取り組みをやっているのがあまりいないので、全国的に協力してくれる会社とかを広めていって、全国どこでも手軽に利用できるような仕組みにしていきたいなと思っています」
●サステナブルなお庭というお話も聞いたんですけれども、具体的にどんなお庭なんでしょうか?
「やっぱり庭木って成長するものなので、その管理が大変だから、庭じまいをするっていうかたが一定数いらっしゃるんですよね。
そんなかたに対してのご提案として、庭木全部をなくすんじゃなくて、自分たちで管理できる本数を残して、あとは私たちが引き取って、こちらで里親を見つけるので全部、庭を潰してしまうんじゃなくて、庭のボリューム感を減らして維持していきましょうっていうのが、この『サステナブル・ガーデン』のコンセプトなんですね。
それによって、今まで10本あったから毎年管理が大変だったけど、2本ぐらいだったら自分でちょっと剪定に挑戦してみようかなっていうかたも中にはいらっしゃます。そういった、庭という形を縮小させて持続させていこうっていうのが、このサステナブル・ガーデンの趣旨ですね」
●では最後に「植木の里親」活動を通して、どんなことをいちばん伝えたいですか?
「『植木の里親』活動を知らなかったことで、自分とか自分の家族が大事にしていた植木を伐採しちゃったりすると、罪悪感が残ってしまったりすると思うので、植木を生かす選択肢が今はあるんだっていうことを伝えていきたいですね」
(編集部注:山下さんは、女性の職人さんをもっと増やしたいという思いもあって、「やましたグリーン」には、現在2名の庭師がいらっしゃいます。山下さんがおっしゃるには、女性は仕事がきめ細やかだし、お客さんとの対話も上手で、すごく助かるし、活躍してくれているとのことでした)
INFORMATION
山下さんが取り組んでいる「植木の里親」にぜひご注目ください。ご自宅の樹木の処分をお考えのかた、伐採する前に一度「やましたグリーン」にご相談されてみてはいかがでしょうか。
また、「やましたグリーン」が預かっている樹木を引き取ってもいいというかた、「もらえる植物園」のサイトに、いろんな樹木の写真がアップされていますので、ぜひ見てください。
◎「やましたグリーン」:https://www.yamashitagreen.com

「やましたグリーン」では「植木の里親」活動をさらに進めるために、現在、新たにクレーン車を導入するための資金を、クラウドファンディングで募っています。
いまある1台のクレーン車では、1日に対応できる件数に限りがあるため、引き取り依頼があってもお受けできないことがあるそうです。ぜひご支援ください。詳しくは専用サイトをご覧ください。
◎クラウドファンディング専用サイト:https://camp-fire.jp/projects/836485/view
2025/10/12 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. I WANT YOU / SAVAGE GARDEN
M2. FOR A LIFETIME / MÊLÉE
M3. THE BEST DAY / TAYLOR SWIFT
M4. HEAVEN IS A PLACE ON EARTH / BELINDA CARLISLE
M5. World Tree / 冨田ラボ
M6. I LOVE YOUR SMILE / SHANICE
M7. FIGHT SONG / RACHEL PLATTEN
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2025/10/5 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、天文学者の「渡部潤一(わたなべ・じゅんいち)」さんです。
渡部さんは1960年、福島県生まれ。東京大学理学部から大学院を経て、理学博士に。専門は太陽系天文学で彗星や流星、小惑星などの観測や研究を行なっていらっしゃいます。
国立天文台・上席教授でもいらっしゃる渡部さんは、国際的に活躍されている天文学者のおひとりで、天文に関する本も数多く出していらっしゃいます。
先頃出版された『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』という本の監修もされたということで、渡部さんがいらっしゃる国立天文台・三鷹キャンパスを訪ね、宇宙や星の不思議、そして今年から来年にかけての注目すべき天体ショーのことなど、いろいろお話をうかがってきましたので、きょうはその時の模様をお届けします。

1972年10月8日、ジャコビニ流星群
※まずは、渡部さんのプロフィール的なお話から・・・子供の頃から、将来は天文学者になろうと思っていたのか、お聞きしました。
「小学生の時代はほとんど理科少年だったので、天文に限らず、石ころを集めたり虫を採ったり植物を採取したり、ラジオの工作をしたりっていうのを手広くやっていましたね。
宇宙時代ってこともあって、アポロの月着陸もありましたので、だんだん天文に寄っていったんですよね。決定的だったのは1972年の10月8日の夜『ジャコビニ流星群』が大出現するという予報があったんですよ。1時間に10万個100万個っていう流れ星が流れるっていう、こんなことは滅多にないので、理科少年みんなで観測しよう!と学校の校庭に集まって、夜通し流れ星を待っていたんですよね。
ところが、ひとつも出なかったんですよ・・・。ものすごくがっかりしたんですけど、逆にすごく面白いと思ったんです。何が面白いかって、専門家の先生がたがたくさん(流れ星が)出るって言ったのに出ないってことは、まだわからないことがあるってことがわかったんですよ。
流れ星って30分、空を見上げてりゃ、きょうは多い少ないって小学生でもわかるんですね。肉眼で観察するわけですから、望遠鏡なんかいりませんからね。これは自分でもフロンティアに立てると思ったんですね。
わかってないんだから、専門家の先生がきょうは出ないって言った日にたくさん出る可能性もあるわけですよ。それを監視しなきゃと思って、天文学者になろうと思ったんですね」
●わからないことが多いからワクワクしますよね。
「そうですね。自分がそれに貢献できると思ったんですね。ほとんど毎晩のように晴れれば、流れ星を数えていましたね」
●天文について、しっかりと学ぶようになったのは、大学に進学されてからになりますか?
「そうですね。やはり専門的に学ぶ場所が当時は少なかったですね。いわゆる帝国大学ぐらいしかなかったので、そういう場所に入ろうと思って、私の場合は東京大学を選んで、理学部の天文学科で専門的に学ぶようになりましたね」
●天文学といっても幅が広いと思うんですけれども、いろいろなジャンルがあるんですよね?
「そうですね。天体ごとに研究が分かれていますし、また光で見る研究者、紫外線やX線で見る研究者、電波で見る研究者と波長ごとにも分かれています。さらに実験で宇宙を問い直して謎解きをする、それからコンピューターを使って理論的に宇宙の謎を解こうとしているっていう、そういういろんな手法があります。
私の場合は光で流れ星をもともと見ていましたので、光でほうき星や流れ星といった太陽系の小天体を探っています」
(編集部注:国立天文台は「自然科学研究機構」という法人で、国内外に観測や研究のための施設があります。
海外ですと、ハワイ島マウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」や、南米チリのアタカマ砂漠に設置された「アルマ」という電波望遠鏡、この建設・運用は国際共同プロジェクトです。
国内ですと、長野県野辺山や岡山、石垣島や小笠原のほか、以前この番組に出演してくださった、ブラックホールの研究者「本間希樹(ほんま・まれき)」さんが所長を務める岩手県「水沢VLBI観測所」などがあります。

今回、私たち取材班がお邪魔した三鷹キャンパスは国立天文台の本部で、国内外にある観測施設のまとめや天文学の研究、新しい観測装置の開発、そして大学院生の教育などを行なっています。
一般のかたが見学できるということで、私たちは歴史を感じる「50センチ公開望遠鏡」や、日本最大の口径65センチの屈折望遠鏡がある「天文台歴史館」などを見学させていただきました)

スーパームーンは目の錯覚!?
※ここからは、渡部さんが監修された新しい本『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』を参考にお話をうかがっていきます。
私たちの身近な天体といえば、「月」だと思います。先月9月には「皆既月食」が話題になりました。11月には大きな満月が見られると聞いたんですが、これはどういうことなんですか?
「お月様というのは地球の周りをまわっているんですが、実は完全な円軌道でまわっているわけではなくて、少し歪んでいるんですね。そのために地球に近づく時と遠ざかる時があるんです。
平均して38万キロぐらいなんですが、36万キロぐらいまで近づくこともあれば40万キロを超えることもあって、大体1割ぐらい距離が違うんですよ。
そうすると、ちゃんと測ったり写真を撮ったりすると、1割ほど大きさが違って見えるんですね。11月の満月というのは、ちょうど地球に近い時に起きますので、それで1割ほど月が大きく見えますよという、いわゆる“スーパームーン”と呼ばれているんですけれどね」
●肉眼で見ても、ちょっと大きいなっていうのはわかりますか?
「それはわかりません。わからないです(笑)。それは比較しないと、やっぱり人間ってわからないんですよね。
お月様って、みなさん大きいな~大きいな~って思われるかもしれないですけど、実は5円玉を手に取って手を伸ばして、その5円玉の穴に入るぐらい小さいんです。
周りが暗かったりするので、とっても大きく錯覚しているだけで、人間の目ってものすごく錯覚を起こしやすいので、どうしてもスーパームーンだって言うと、みなさん、“あ~、きょうは確かに大きい!”っておっしゃるんですけど、わかっているはずがないんですね(笑)」
●そうなんですね(笑)。
「しかも地平線に(月が)ある時は大きく見えますよね。でも空の高いところにあると、月ってちっちゃく見えるんですよね。これも錯覚なんです。しかも理由がよくわかってないんです」
●へえ~〜〜。
「地平線に近いと、地平線近くにあるビルや山と一緒に見るので、大きく見えるんじゃないかというふうに言われているんです。心理学者の先生がたがいろいろ実験して試すんですけれども、どうも違うようなんですよね。理由がわからない・・・。まだまだ人間の脳っていうのはわからないんですね」
●面白いですね。夜空を見ていると星の色がオレンジの時もあれば、青の時もあるという感じで、違って見えますけれども、星の色が違うのはどうしてなんですか?
「星は基本的には、星座を作っている星は自分で光っている、太陽のように自分で光っているんですが、その表面の温度が違うんですね。温度が低い星は実は赤くて、温度が高くなればなるほど青白くなっていきます。
電熱線は、オーブン・トースターもそうですけれど、電源を入れると真っ黒な状態から赤くなりますよね。今のオーブン・トースターはちゃんと安全装置が働いているので、あまり温度が上がんないようにはなっているんですけれども、わざと電流を流して温度を高めていくと、実は電熱線がギラギラと白くなっていくんですよ。色が変わっていきます。それと星の色は同じなんですね」
●キラキラ点滅しているように見えるのは、どうしてなんですか?
「昼間、割と浅い川で(水が)流れているのを見ると、川底の石がゆらゆら揺れていますよね。あれと同じで、実は地球は大気がありますので、風が吹くとそういう大気の疎密があって、それを通して星の光を見るので、どうしても星の光がちらつくんですね。
言って見れば、我々は川底に住んでいるようなもので、川の底から空を見ると、川の流れで星や太陽がゆらゆらするのと同じなんですね」
知的な生命体はいる!?
※地球は自転していますが、回転のスピードは時速に換算すると、どれくらいなんですか?
「地球の一周がだいたい4万キロぐらいあるんですけど、それを24時間でぐるっと一周すると、だいたい時速1666キロ、まあ1700キロぐらいですかね。だからものすごいスピードでまわっているんですよね、僕ら(笑)」
●そうですよね。遠心力で飛ばされたり、みたいなことはないんですか?
「実は多少、遠心力が効くんですが、地球の場合は重力がものすごく強いので、我々もそうだし、地球そのものも遠心力によって、あまり歪んだりはしてないですね。重力があるためなんですね」
●ほかの惑星も自転していますか?
「基本的に天体は自転しているものなんですが、特に木星はものすごく速くて、地球よりもデカい惑星なんですけれども、10時間っていうスピードでまわっていますので、そのスピードが時速4万7000キロになります」
●ええ~〜〜っ!
「ですので、あまりにも速いので、木星を望遠鏡で見てもわかるんですけど、さっき言われた遠心力で、1割ぐらい南北と東西が違うんです。平べったくなっちゃう・・・」
●うわ〜〜、速すぎますね! 地球のある太陽系は天の川銀河の一部だと思うんですけれども、天の川銀河にはどれくらいの星があるとされているんですか?
「天の川銀河の星を全部数えた人はいないですけど(笑)、その質量とか近くの星から類推すると、1000億から2000億個ぐらいは星があるんじゃないかと言われています」

●その中には地球と同じような星、生命体がいるような星もありそうですか?
「2000億っていうこの数値は、太陽のような自ら輝いている星の個数なんですね。その周りをまわっている、例えば太陽系の場合は太陽の周りに8つの惑星があって、そのうちのひとつが地球なんですけど・・・だからいわゆる恒星の数に比べてもっと多いはずなんですね。
8分の1としても10分の1だとしても2000億の10分の1っていうと200億ぐらいになるので、控えめに見積もっても1パーセントって言われているんですね。
だから20億ぐらいは地球のような天体があるだろうと・・・。
そうするとその中には、地球と同じように安定した気候で、安定した進化をして生命が進化して、もしかしたら知的な生命、我々のような宇宙を見つめて、何かいろいろ考えている人たちはいるでしょうね。
20億の1パーセントだって2000万ですから、2000万個の地球、しかも生命を持っている地球と似た星はあるでしょうと、今言われています。実際この星は怪しいっていうのは、もう見つかり始めています」
行けるとしたら「火星」へ
※天文学の発展には、最新のテクノロジーが欠かせないと思います。ガリレオ・ガリレイが使っていた望遠鏡から、今やNASAが中心となって開発した、宇宙空間にある「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の時代になっています。
この宇宙望遠鏡がとらえた画像を渡部さんが初めて見た時は、どんな思いになりましたか?
「これはずいぶんよく見えるようになったな~と思いますね(笑)。結局、視力がよくなるっていう・・・人間の目って実は双眼鏡なんですけどね、ある意味で・・・。
瞳の直径が6ミリとか8ミリぐらいしかない、ちっちゃなちっちゃな双眼鏡をそれぞれの個人が持っているわけですけど、ガリレオがそれを5センチにして、さらに後世、我々がどんどん大きくして遠くまで見えるようになったっていう・・・。


しかも地球の大気圏の外にその望遠鏡を持って行けば、大気の揺らぎがなくて鮮明に、しかもこの望遠鏡は赤外線なんですけど、赤外線で宇宙の彼方を見られるようになった、130億光年という、今まで手が届かなかったような場所の天体を調べ始めていますから、ひとつの時代が来たんだなと思いましたね」
●テクノロジーの発達で民間人が宇宙に行ける時代にもなってきました。宇宙に行けるとしたら渡部さんは、どの星に行って何をしたいですか?
「私は行きたくないです(笑)。宇宙に行くってやはり非常に厳しい・・・事故率は高いんですよ、実は今でも・・・。だからそういうことを考えると、ちょっと危ないなと思っちゃうんですけどね。
でも、もし行けるとしたら、やっぱり隣の惑星“火星”になると思います。火星は唯一、長期滞在、あるいはもしかしたら将来的には移住が可能じゃないかと言われている惑星なので・・・地球と同じように24時間ちょっとでまわっていますし、大気も薄いながらありますし、いい所じゃないかなと思いますね(笑)」
●今、いちばん注目している星は・・・では火星になりますか?
「火星ですね。火星はもしかしたら過去に生命が、地球と違った生命がいたかもしれないということで、今でも多くの探査機が探査をしています。
移住計画を進めている人たちは、本当に真面目に火星の地下都市計画も図面まで描いていますからね。どうやってエネルギーを取り出して、資源を循環させながら住むということを真面目に考えています。
遠い将来いつになるかわかりませんけど、技術的にはもう可能だと言われているので、移住する時代が来るかもしれませんね」
●最近、火星に生命の痕跡があったという記事が新聞に載っていましたけれども、それはどういうことなんでしょう?
「火星からの直接、サンプル資料、砂とか岩を持ってきてはいないんですけど、火星に隕石が落ちて、その破片が宇宙空間に飛び出して、それがしばらくして地球に落ちてくる“火星由来の隕石”っていうのが見つかっているんです。
この隕石の中から、どうも生命の痕跡ではないかというようなものが時々見つかるんですね。どうしても今までは決定的なことが言えないので、(生命体が)いたかいないかわからないってことで、探査機を送って実際調べているんですけど、まだ確証は得られてないですね」
12月14日、ふたご座流星群、条件良し!
※今年2025年後半から来年にかけて、注目すべき天体ショーがあったら、教えてください。
「12月の14日に毎年あるんですけど、ふたご座流星群というのが見られます。この流星群は、毎年ほぼ同じ数の流れ星を降らせることで有名で、安心して見ることができますね。
今年は月明かりの影響がないので・・・月が明るいと流れ星の数が減っちゃうんですね。ですので、今年は非常に条件よく見られると言われていますね。
ほかの流星群だと明け方にならないと数多くならないんですが、ふたご座流星群は日が沈んで夕方になったらもう飛び始めて、明け方までずっと見えているっていう、子供さんにも優しい流星群になりますね。
それから来年になりますと3月3日のひな祭りに、皆既月食があるんですね。先日の9月8日の皆既月食は明け方だったので、子供さんが見るにはちょっとしんどい時間帯、しかも月曜の朝だったんですね。
今回は時間帯がすごくよくて、午後7時から10時ぐらいまでの間です。真っ赤な月が現れるのが午後8時から9時という時間帯なので、多くの人が見ることができるんじゃないかと思いますね」
●いいですね! 夜更かししなくても見ることができるんですね。
「そうです」
●楽しみです。では新しい本『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』を通して、どんなことを伝えたいですか?
「この本は天文学っていう難しそうな話を、割と簡単に理解できるように工夫された本です。天文学ってなんか“学”って付いていると、なんとなく難しそうだなと思うかもしれないんですけど・・・。
確かに天文学は難しい本もあるんですが、誰でも気軽に単純な疑問から読み解いていけるような作りになっています。だから今まで天文学を敬遠されていたかたや、ちょっと読むには難しそうだなと思っていたかたも、ぜひ手に取って読み進めて、少し興味を持っていただけたらなと思っています」
●天文学を志す若いかたがたに向けて、何かアドバイスなどあればお願いします。
「もし天文学をやりたいと思ったら、門戸は開かれています。天文学は本当にオープンな学問で、会社に勤めながらアマチュアの研究者として、ガンガン面白い研究やっている人もいれば、あるいは夜な夜な新しい天体を探している人もいるぐらいです。そういう人たちも実は天文学にすごく貢献されているんですよね。
いろんな方法で天文学を学んだり、あるいは自分で研究したりもできますので、ぜひやりたいと思ったら臆せずに頑張っていただければな~と思っていますね」
INFORMATION
渡部さんが監修された新しい本をぜひ読んでください。天体の雑学から宇宙の不思議と素朴な疑問、天体観測の進化、天文学の歴史などを図形やイラストを使って、それぞれを見開き2ページでわかりやすく解説。巻末には88星座の一覧も載っています。この本を読むと、きっと夜空を見上げたくなると思いますよ。
日本文芸社から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎日本文芸社:https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b659225.html
国立天文台・三鷹キャンパスは一般のかたに公開されていて、随時見学できます。また、定例観望会などのイベントも開催。
10月25日(土)には、特別公開として「三鷹・星と宇宙の日2025」が開催されます。普段は公開していない施設の見学のほか、最新の天文学研究などの展示や企画、天気が良ければ、観望会も行なわれる予定です。
開催時間や参加方法、アクセスなど詳しくは国立天文台・三鷹キャンパスのオフィシャルサイトを見てくださいね。
◎国立天文台・三鷹キャンパス:
https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/
2025/10/5 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. STARS / SIMPLY RED
M2. ジャコビニ彗星の日 / 松任谷由実
M3. FLY ME TO THE MOON (IN OTHER WORDS) / FRANK SINATRA
M4. STARS / 中島美嘉
M5. SPACE COWBOY / JAMIROQUAI
M6. MOONLIGHT SERENADE / BARRY MANILOW
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」









