毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。

生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

~2020年3月放送分までのサイトはこちら

Every Sun. 20:00~20:54

依頼主を笑顔にする、庭師さんが始めた「植木の里親」活動!

2025/10/12 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、庭師の「山下力人(やました・りきと)」さんです。

 山下さんは1977年生まれ、東京都八王子市出身。お母さんの実家、東京都檜原村での 自然との触れ合いが、植物を愛おしく思う気持ちを育み、小学生の頃にテレビ番組で見た 庭師の半纏(はんてん)姿に憧れ、庭師の道へ。

 高校生の時から造園会社でアルバイトを始め、卒業後にそのまま就職。剪定の技術などは、師匠のやり方を見て学んだそうです。

 そして12年修行して独立し、ひとり親方、いわゆる個人事業主として、庭師の仕事に打ち込んだそうです。ちなみに、庭師には造園技能士や造園施工管理技士という資格があるそうです。

 日々仕事として、樹木と向き合っている山下さんは植物のリユースと言える「植木の里親」という活動を行なっていて、多くのメディアで紹介されたり、また、さまざまな賞を受賞するなど、大変注目されています。

 きょうは、そんな山下さんに「植木の里親」を始めたきっかけや植木を保管する「もらえる植物園」、そして樹木と対話する庭師の思いなどうかがいます。

☆写真協力:やましたグリーン

山下力人さん

人と植物が親友に!

※ひとり親方としての活動のあと、2012年に地元八王子に株式会社「やましたグリーン」を設立されました。会社を立ち上げたのは、どうしてなんですか?

「個人で2008年から約4年間(庭師を)やっていたんですけど、2012年に伐採作業をしていた時に大木の下敷きになって、頸椎を骨折する大怪我をしてしまったんですね。半年間の入院中に、いろいろなことを考えて、そこで考え方を改めて、初心に戻って、もっとお客さんに思いを伝えられるようなことをやっていきたいと、思い切って会社にしました。
 入院している間に造園の資格より上位の造園施工管理の一級を取ったりとか、個人から法人にするための勉強をして、退院してからすぐ法人にしました」

●「やましたグリーン」の業務は、いわゆる造園業っていうことになるんですよね?

「そうですね。やましたグリーンは造園会社ですね」

●「やましたグリーン」のテーマみたいなものってあるんですか?

「テーマは『人と植物が親友になれるように』って、みんなに言っているんですけど、その中でもやっぱり庭師っていう職業を子供たちが憧れる職業NO,1にするっていうテーマを持って日々活動を行なっています。

 半纏を着て仕事をして、僕自身が半纏姿の庭師さんに憧れたので、半纏を着て庭師が働く姿も庭の景色の一部だっていうことをみんなには言っています。剪定したりとか植物と関わっている時も、カッコよくあろうっていうことを意識してやっていますね」

写真協力:やましたグリーン

 ●「やましたグリーン」のサイトを見ると山下さんの写真が載っています。背中に猫の絵が書かれていましたけれども、これはロゴですよね? なぜ猫をモチーフにしようと思われたんですか?

「庭師さんの半纏ってだいたい家紋を入れるんですね。家紋になると子供たちにとっては、少しわかりづらいマークになってしまうので、子供たちが見た時に、すごくキャッチーなマークにしたいな~と思って、猫を選んで猫を背中に背負っていますね。

●猫がお好きなんですか?

「そういうわけじゃないんですけど、やっぱり日本庭園には猫が似合うなと思って猫にしました」

(編集部注:半纏の背中に猫のロゴマーク、どんなマークなのか、ぜひ「やましたグリーン」のサイトを見てください。ちなみに猫の名前は「ベスティ」、これは「親友」という意味があるそうです。

 「やましたグリーン」の社員は現在10人、事務担当のおひとりを除いて、みんな職人さんだそうですよ)

☆「やましたグリーン」:https://www.yamashitagreen.com

写真協力:やましたグリーン

※庭師のかたの1日のスケジュールは、どんな感じなんですか?

「朝、まずトラックに道具を積み込んで、お客さんの家に行って、たとえば剪定の作業をするんですね。枝葉が伸びた庭木の剪定作業を行なって、まあ10時ぐらいになるとだいたいお客さんがお茶を出してくれます。

 そこで一緒にお茶を飲みながら庭木について話をしたりして、その後、午前中いっぱい仕事をしてお昼休み挟んで、午後の3時にもう一回お茶を出してくれるタイミングっていうのがあるんですね。
 午後3時にお茶を飲みながら、お客さんとまた話をして、夕方5時ぐらいになったら仕事を終えて会社に帰ってくるっていうのが、だいたいのルーティンですね。

●お客さんとの会話も大事な時間になりそうですね。

「そうですね。お客さんの要望とか、植木に対する思いとか、ヒアリングしながら、それに見合ったような剪定の方法をやるとか、すごく大事な時間ですね」

「庭じまい」〜家族のストーリー

写真協力:やましたグリーン

※山下さんが取り組んでいる「植木の里親」について教えてください。今回、初めて「植木の里親」という活動を知りました。具体的にはどんな活動なんですか? 

「造園業界では、庭を新しく造るというお客さんがだんだんと減っているんですね。逆に庭木がある庭を駐車場にしたり、駐輪場にしたりと、いわゆる『庭じまい』と呼ばれる、庭をどんどん解体していくようなことが広まっています。

 私たちも庭じまいの仕事を受けていたんですけど、そんな中でお客さんが“本当はこの植木は伐採したくないのよね”というふうにおっしゃったんですね。

 “どうしてですか?”って聞いたら、“実は家族がとっても大事にしていた植木だから伐採しないで、何とか生かしてあげたいんだけど、しょうがないわよね“と言われたんです。

 それだったら“私たちが生かしたまま移植して育てますよ”と言ったのを皮切りに、植木を引き取っていきました。その引き取った植木を育ててくれる里親さんを探していくっていうのが、この事業の内容ですね」

●庭木にはその家庭ごとのストーリーがありますよね。

「そうですね。みなさん、お話を聞いていると、“もう亡くなったおばあちゃんと一緒に梅を収穫して梅ジュースを作ってもらったんだ“とか、”毎年この花が咲いた時に家族みんなで写真を撮ったんだ“みたいな、本当にたくさんのストーリーがありますね」

●植木のリユースみたいな感じですかね?

「そうですね。わかりやすくいうと植木のリユースになりますね」

●うちの庭木を引き取って欲しいっていう依頼は多くなりましたか?

「はい、かなり多くなりましたね。この事業を始めたのが2012年なんですけど、その時に比べると、もう本当に何十倍っていう数の問い合わせが来ています」

写真協力:やましたグリーン

●そうなんですね。ちなみに月何件ぐらいの依頼がありますか?

「月でいうと・・・実行されるのが6件、7件ぐらいの引き取りを行なっています」

●無料で引き取るんですか?

「引き取る時にかかる職人の労務費だったりとか、運賃をいただいているっていう形です」

面会は「もらえる植物園」

写真協力:やましたグリーン

※引き取った樹木はどこに保管しておくんですか?

「会社の前に『もらえる植物園』って呼んでいる植木の管理地があるんですね。そこに置いて植木を管理しています」

●その「もらえる植物園」は「やましたグリーン」の中にあるんですか?

「はい」

●敷地ってどれぐらいの広さなんですか?

「敷地は約2000坪です」

●誰でも入れるんですか?

「そうですね。開放していて、“誰でもいつでも来て、お散歩してください”っていふうにしているので、そこで気に入った植物があれば、里親になれるっていう仕組みですね」

写真協力:やましたグリーン

●樹木の種類はいろいろあると思うんですけれども、現在は何本ぐらいの樹木を預かっているんですか?

「今は500本ぐらいの樹木を預かっています」

●どんな樹木でも預かるんですか?

「はい。どんな樹木でも樹種を問わずに預かっています」

●断るケースとかはないんですか?

「断るケースはないですね」

●今、預かっている樹木は具体的にいうと、どんな種類の木があるんですか?

「やっぱり花が咲いたりとか、実がなるものが結構多くて、梅、桜、柿とか、あとみかんとか、そんなものが多いですかね。松も多いですね」

●里親をネットで募ったりとかされるんですか?

「はい、ホームページで発信して、ネット上から問い合わせをいただくこともあるんですけど、最終的に里親になってもらう時は、実際に見に来ていただいて、大きさとかをちゃんと見てもらってから、里親になってもらうっていう仕組みにしています」

写真協力:やましたグリーン

●実際、見てもらって里親になりますって決まったら、その後の流れはどうなるんですか?

「その後の流れは(樹木を)植える場所まで私たちが運搬して植栽する。その時にかかる運搬費と労務費をいただくという形になりますね」

●そうなんですね。植栽までしてくださるんですね。里親になるかたに、もとの持ち主のストーリーや、思いというのをお話しされるんですか?

「聞かれればお伝えしていますね。こんな場所で育っていましたとか・・・」

(編集部注:山下さんは「植木の里親」を広めるために、定期的に「もらえる植物園」で剪定教室、枝を使ったクラフトやドライフラワーづくりのワークショップなどを開催しています。

 また、山下さんの活動を知った小中学校から、SDGs授業の講師を依頼され、「植木の里親」活動が事業としても成り立っていることなどを説明するそうです。生徒さんは樹木を生かすために、別の場所に移植できることを知って、驚きの表情を見せることもあるとか)

お客さんを笑顔に!

※庭師としてのキャリアは30年以上になるかと思いますが、日々樹木と向き合って、どんなことを感じますか?

「樹木と向き合っていると、30年間いろんな樹木の状態を見たりとかしていると、人間の言葉はしゃべらないけど、彼らは彼らなりに葉っぱの色を変化させたりとか、幹の水分量が変わったりとか、彼らなりに話しているなっていうのは、なんとなくわかる感じがするんですよね。その辺を見ていると、やっぱり生きているんだな~っていう感じはしますね」

●親友にっていうことですよね。

「そうですね。やっぱり同じ地球で生きる仲間、そして私たち人間が生きる上でなくてはならない存在なので、こちらから歩み寄ってどんどん親友になっていきたいと思っていますね」

写真協力:やましたグリーン

●樹木と対話するような仕事だと思うんですけれども、どんなこと望んでいるのかって、どういうふうにしたらわかるんですか?

「やっぱりよく見てあげることですよね。さっきも言った通り、人間の言葉をぺらぺらとしゃべってくれれば、すごくわかりやすいんですけど、それができないので、葉っぱの様子とか幹のしなり具合とかをよ~く見ていると、何かわかってくることがあるんですよね。そのあたりをよく見ていると、なんとなく対話ができるのかな~っていう気はしますね」

●どんな時にやりがいとか幸せを感じますか?

「やっぱりこれまでやってきた『庭じまい』の仕事とかは、植木を処分することでお客さんが悲しい状態になって、仕事が終わるっていうことが多かったんですよね。だけど、この『植木の里親』っていう仕事にチェンジしたことで、お客さんは植物を手放ことは同じだけど、笑顔になってくれたんですよね。

 お客さんが笑顔になる時がすごく大好きで、里親さんが見つかった時も育てていたかたに写真を送ったり、手紙を送ったりするんですね。“これからはこんなところで育ちますよ!”みたいな、その時にまたすごく喜んでくれて、お礼言ってくれたりとか手紙を返してくれたりするので、そんな時にすごく喜びを感じますね」

●自分のもとでは育てられなくても、どこかでまた輝いてくれているって思うと、もとの持ち主さんたちも嬉しいですよね。

「そうですね。そこで命が終わるんじゃなくて、次の場所でセカンドライフを送ってくれている。それがたとえば保育園に植えられて、子供たちが楽しんでくれる木になったとか、そんなことが起こったりすると、すごくやりがいを感じて嬉しくなりますね」

写真協力:やましたグリーン

サステナブル・ガーデン!?

※今後、チャレンジしてみたいことがあったら、教えてください。

「この取り組みをやっているのがあまりいないので、全国的に協力してくれる会社とかを広めていって、全国どこでも手軽に利用できるような仕組みにしていきたいなと思っています」

●サステナブルなお庭というお話も聞いたんですけれども、具体的にどんなお庭なんでしょうか?

「やっぱり庭木って成長するものなので、その管理が大変だから、庭じまいをするっていうかたが一定数いらっしゃるんですよね。

 そんなかたに対してのご提案として、庭木全部をなくすんじゃなくて、自分たちで管理できる本数を残して、あとは私たちが引き取って、こちらで里親を見つけるので全部、庭を潰してしまうんじゃなくて、庭のボリューム感を減らして維持していきましょうっていうのが、この『サステナブル・ガーデン』のコンセプトなんですね。

 それによって、今まで10本あったから毎年管理が大変だったけど、2本ぐらいだったら自分でちょっと剪定に挑戦してみようかなっていうかたも中にはいらっしゃます。そういった、庭という形を縮小させて持続させていこうっていうのが、このサステナブル・ガーデンの趣旨ですね」

●では最後に「植木の里親」活動を通して、どんなことをいちばん伝えたいですか?

「『植木の里親』活動を知らなかったことで、自分とか自分の家族が大事にしていた植木を伐採しちゃったりすると、罪悪感が残ってしまったりすると思うので、植木を生かす選択肢が今はあるんだっていうことを伝えていきたいですね」

(編集部注:山下さんは、女性の職人さんをもっと増やしたいという思いもあって、「やましたグリーン」には、現在2名の庭師がいらっしゃいます。山下さんがおっしゃるには、女性は仕事がきめ細やかだし、お客さんとの対話も上手で、すごく助かるし、活躍してくれているとのことでした)


INFORMATION

 山下さんが取り組んでいる「植木の里親」にぜひご注目ください。ご自宅の樹木の処分をお考えのかた、伐採する前に一度「やましたグリーン」にご相談されてみてはいかがでしょうか。
 また、「やましたグリーン」が預かっている樹木を引き取ってもいいというかた、「もらえる植物園」のサイトに、いろんな樹木の写真がアップされていますので、ぜひ見てください。

◎「やましたグリーン」:https://www.yamashitagreen.com

写真協力:やましたグリーン

 「やましたグリーン」では「植木の里親」活動をさらに進めるために、現在、新たにクレーン車を導入するための資金を、クラウドファンディングで募っています。
 いまある1台のクレーン車では、1日に対応できる件数に限りがあるため、引き取り依頼があってもお受けできないことがあるそうです。ぜひご支援ください。詳しくは専用サイトをご覧ください。

◎クラウドファンディング専用サイト:https://camp-fire.jp/projects/836485/view

オンエア・ソング 10月12日(日)

2025/10/12 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. I WANT YOU / SAVAGE GARDEN
M2. FOR A LIFETIME / MÊLÉE
M3. THE BEST DAY / TAYLOR SWIFT
M4. HEAVEN IS A PLACE ON EARTH / BELINDA CARLISLE
M5. World Tree / 冨田ラボ
M6. I LOVE YOUR SMILE / SHANICE
M7. FIGHT SONG / RACHEL PLATTEN

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

今後の放送予定

2025/10/12 UP!

10月19日


ゲスト:旅好きで知られるモデルの「kazumi」さん

 旅のファッションや民族衣装、海外のアクティヴィティ体験のほか、大好きな韓国ソウルのガイドブックのお話などうかがいます。

10月26日


ゲスト:NPO法人「海さくら」の理事長「古澤純一郎」さん

 シリーズ「SDGs~私たちの未来」の第26弾! 「目指せ! 日本一楽しいゴミ拾い」をキャッチフレーズに、江ノ島のゴミ拾いに取り組んでいるNPO法人「海さくら」をクローズアップ! 「どすこいビーチクリーン」や「ブルーサンタ」など、ゴミ拾いを楽しくする企画や、タツノオトシゴが生息できる海を取り戻す活動のことなどうかがいます。

イベント&ゲスト最新情報

2025/10/12 UP!

<『お天気よそうカード そらよみ』>

2025年10月12日放送

 空の探検家・気象予報士の武田康男さんと、気象予報士・防災士として活躍されている菊池真以さんが手掛けた気象カード教材です。全部で50種ある空や雲のカードで名前を覚えたり、天気を予想してみようというのがコンセプト。雲や天気のことが学べる小さなガイドブック付き。幻冬舎から絶賛発売中です。

◎幻冬舎:
https://www.gentosha-edu.co.jp/book/b669065.html

<「やましたグリーン」情報>

2025年10月12日放送

写真協力:やましたグリーン

 山下さんが取り組んでいる「植木の里親」にぜひご注目ください。ご自宅の樹木の処分をお考えのかた、伐採する前に一度「やましたグリーン」にご相談されてみてはいかがでしょうか。
 また、「やましたグリーン」が預かっている樹木を引き取ってもいいというかた、「もらえる植物園」のサイトに、いろんな樹木の写真がアップされていますので、ぜひ見てください。

◎「やましたグリーン」:https://www.yamashitagreen.com

写真協力:やましたグリーン

 「やましたグリーン」では「植木の里親」活動をさらに進めるために、現在、新たにクレーン車を導入するための資金を、クラウドファンディングで募っています。
 いまある1台のクレーン車では、1日に対応できる件数に限りがあるため、引き取り依頼があってもお受けできないことがあるそうです。ぜひご支援ください。詳しくは専用サイトをご覧ください。

◎クラウドファンディング専用サイト:https://camp-fire.jp/projects/836485/view

(山下さんが語る植木のお話など、詳しくは2025年10月12日放送の『依頼主を笑顔にする、庭師さんが始めた「植木の里親」活動!』をご覧ください)

<渡部潤一さん情報>

2025年10月5日放送

『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』

『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』

 渡部さんが監修された新しい本をぜひ読んでください。天体の雑学から宇宙の不思議と素朴な疑問、天体観測の進化、天文学の歴史などを図形やイラストを使って、それぞれを見開き2ページでわかりやすく解説。巻末には88星座の一覧も載っています。この本を読むと、きっと夜空を見上げたくなると思いますよ。
 日本文芸社から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎日本文芸社:https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b659225.html

<国立天文台・三鷹キャンパス情報>

 国立天文台・三鷹キャンパスは一般のかたに公開されていて、随時見学できます。また、定例観望会などのイベントも開催。

 10月25日(土)には、特別公開として「三鷹・星と宇宙の日2025」が開催されます。普段は公開していない施設の見学のほか、最新の天文学研究などの展示や企画、天気が良ければ、観望会も行なわれる予定です。
 開催時間や参加方法、アクセスなど詳しくは国立天文台・三鷹キャンパスのオフィシャルサイトを見てくださいね。

◎国立天文台・三鷹キャンパス:
https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/

(渡部さんが語る宇宙のお話など、詳しくは2025年10月5日放送の『宇宙や星の不思議、わからないことだらけだから面白い!』をご覧ください)

<上田優紀さん情報>

2025年9月28日放送

『七大陸を往く 心を震わす風景を探して』

『七大陸を往く 心を震わす風景を探して』

 世界85カ国を訪れた自然写真家の、旅の記憶と挑戦の記録が、175枚の素晴らしい写真と、親しみやすい文章で綴られています。副題にあるように、心が震えるシーンに出会えますよ。ウユニ塩湖で撮った神秘的な写真は、特に必見です。
 光文社新書シリーズの一冊として、絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎光文社:https://books.kobunsha.com/book/b10143515.html

 上田さんのオフィシャルサイトやSNS もぜひ見てくださいね。

◎上田優紀:https://yukiueda.jp

◎上田優紀Instagram:https://www.instagram.com/photographer_yukiueda/

(上田さんが語る世界の風景や写真のお話など、詳しくは2025年9月28日放送の『辺境秘境の写真家「別世界の風景で、人の心を豊かに」』をご覧ください)

<牧田 習さん情報>

2025年9月21日放送

『昆虫博士・牧田 習の虫とり完全攻略本』

『昆虫博士・牧田 習の虫とり完全攻略本』

 牧田さんの新しい本には、これまで培ってきた虫とりのワザが網羅されています。虫とり用の網のテクニックや、樹木や草むら、朽木など、どこを見れば、虫がいるかなど、この本さえあれば、森や原っぱ、水辺など、あらゆるフィールドで虫とりができますよ。また、虫をつかまえるための、いろいろなトラップの紹介、さらに牧田さんが大好きなゲンゴロウの飼い方なども載っています。

 ぜひこの本を持って、お子さんと一緒に虫とりに出かけましょう! 
 小学館から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎小学館:https://www.shogakukan.co.jp/books/09227443

 牧田さんのYouTubeチャンネル「昆虫ハンター牧田 習の 昆虫大好きランド」もぜひ見てくださいね。

◎「昆虫ハンター牧田 習の 昆虫大好きランド」:
https://www.youtube.com/channel/UCe6DM7O_OrLrg7ZmkfDJz8w

(牧田さんが語る虫とりのお話など、詳しくは2025年9月21日放送の『“熱狂的虫愛”昆虫ハンター「牧田 習」、虫のことは虫に聞こう!』をご覧ください)

<財前直見さん情報>

2025年9月14日放送

『直見工房2 それからのこと』

『直見工房2 それからのこと』

 財前さんの新しい本をぜひ読んでください。ふるさと大分で、じいじやばあば、そしてゆかいな仲間たちと、生き生きと生活されている財前さんの暮らしぶりが満載です。丹精込めて育てた作物を使った、とっておきのレシピ、生活の知恵や道具のほか、新しいおうちが豊富な写真とともに紹介されています。見ているだけで田舎暮らしの豊かさが伝わってくる一冊です。
 宝島社から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎宝島社:https://tkj.jp/book/?cd=TD061423

(財前さんが語る田舎暮らしのお話など、詳しくは2025年9月14日放送の『財前直見、ふるさと大分・生き生き田舎暮らし』をご覧ください)

<宗次郎さん情報>

2025年9月7日放送

『すべては自分の心の中に』

『すべては自分の心の中に』

 宗次郎さんの最新作をぜひ聴いてください。収録曲は13曲、オカリナの美しい音色に癒されるし、ほっとしますよ。インナーに曲名を入れ込んだ詩のような文章が綴られていて、宗次郎さんの想いを感じ取ることができます。そして、アートワークに使われている、宗次郎さんが尊敬する画家「さきやあきら」さんの絵にもご注目ください。CDのお買い求めは、宗次郎さんのオンラインサイトから、どうぞ。

オカリナ生活50周年記念コンサート、開催決定!

宗次郎さん

 オカリナ生活50周年を記念したコンサートが11月15日(土)に東京都あきる野市の「S&D 秋川キララホール」で開催されます。宗次郎さんによれば、ストリングスやピアノ、ギターなどをバックに演奏、代表曲を網羅したベスト盤的な選曲になるそうです。もちろん最新作からも数曲演奏する予定とのこと。ほかにも続々とコンサートが決まっています。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎宗次郎オフィシャルサイト:http://sojiro.net

(宗次郎さんが語るオカリナのお話など、詳しくは2025年9月7日放送の『オカリナ生活50年! すべては自分の心の中に』をご覧ください)

<シンポジウム:森と共に生きる「里山化楽工房」を信濃町に>

2025年8月31日放送

 長野県信濃町にある野尻高原大学村の創立60周年記念事業。以前、当番組にご出演いただいた京都大学名誉教授「田中 克」先生も登壇。森と共に生きる未来の形として「里山化楽工房」構想を紹介、新たな里山創生を提案するシンポジウムです。ぜひご参加ください。

シンポジウム:森と共に生きる「里山化楽工房」を信濃町に

◎開催日時:9月27日(土)13:30〜16:00  
◎会場:(長野県)信濃町立黒姫童話館ホール

<「おさんぽや」情報>

2025年8月31日放送

 「おさんぽや」の活動に共感し、支援したいと思われたかたはぜひ「子育て応援基金」へのご協力をお願いします。個人で一口3,000円から、法人で一口10,000円からとなっています。振り込み先などはオフィシャルサイトをご覧ください。また「おさんぽや」の活動についても、ぜひサイトやSNSを見てくださいね。

◎おさんぽや:https://osanpoya.studio.site/top

◎おさんぽやInstagram:https://www.instagram.com/osanpoya138/

(安藤さんが語る「おさんぽや」のお話など、詳しくは2025年8月31日放送の『子育て支援の「おさんぽや」〜自然体験が「生きる力」「心のお守り」に』をご覧ください)

<たかのてるこさん情報>

2025年8月24日放送

『毎日ありがとう祭り“世界最強の幸せ言葉”で自分らしく生きる♪』

『毎日ありがとう祭り“世界最強の幸せ言葉”で自分らしく生きる♪』

 たかのさんが先頃出された日めくりカレンダーをぜひお部屋に飾って、素敵な笑顔の写真と言葉に出会ってください。めくるたびに元気になれますよ。たかのさんのオフィシャルサイトから購入できます。また、試し読みもできますから、ぜひアクセスしてみてください。たかのさんの近況や情報も、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。

◎たかのてるこ:https://takanoteruko.com

(たかのてるこさんが語る日めくりカレンダーのお話など、詳しくは2025年8月24日放送の『「すみません」と謝るよりも「ありがとう」の感謝を!〜『毎日ありがとう祭り “世界最強の幸せ言葉”で 自分らしく生きる♪』をご覧ください)

<シェルパ斉藤さん情報>

2025年8月17日放送

『シェルパ斉藤の還暦ヒッチハイク』

『シェルパ斉藤の還暦ヒッチハイク』

 斉藤さんの新しい本には、キャリア40年以上の旅で出会った「いい人」のエピソードが満載です。斉藤さん流の「受け身」のヒッチハイクだからこそ、一期一会の出会いがある。どんな出会いがあったのか、ぜひ本で確かめてください。巻末にある「ヒッチハイク攻略マニュアル」を参考にあなたも旅に出てみませんか。

 「わたしの旅ブックス」シリーズの一冊として、産業編集センターから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎産業編集センター:https://book.shc.co.jp/21762

 斉藤さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。

◎シェルパ斉藤:https://team-sherpa.wixsite.com/sherpa

(シェルパ斉藤さんが語るヒッチハイクのお話など、詳しくは2025年8月17日放送の『勇気を出してヒッチハイク! あなたにしかできないドラマチックな旅が始まる!』をご覧ください)

<野島智司さん情報>

2025年8月10日放送

『カタツムリの世界の描き方』

『カタツムリの世界の描き方』

 カタツムリのことをもっと知りたいと思ったかたは、野島さんの新しい本をぜひ読んでください。カタツムリのあまり知られていない不思議な生態を、写真やイラストを交えながら、わかりやすく解説。カタツムリを幅広い視点でとらえた本です。なにより、野島さんの「カタツムリ愛」を感じる一冊、おすすめです。三才ブックスから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎三才ブックス:https://www.sansaibooks.co.jp/item/book/9452/

 野島さんが主宰されている個人プロジェクト「マイマイ計画」については、オフィシャルサイトを見てくださいね。

◎マイマイ計画:https://www.maimaikeikaku.net

(野島さんが語るカタツムリのお話など、詳しくは2025年8月10日放送の『カタツムリの世界〜心にもっと、道草を。』をご覧ください)

<トライポッド・デザイン 情報>

2025年8月3日放送

 茨城県常陸太田市に建てた実験棟「KU-AN(空庵)」と「RU-AN(流庵)」、どんな建物なのか、オフィシャルサイトに写真が載っていますので、ぜひ見てください。

 この実験棟は、定期的に一般公開して、ワークショップなどを開催しているそうです。ワークショップや「超小集電」について、詳しくは「トライポッド・デザイン」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎トライポッド・デザイン:https://tripoddesign.com

(大竹さんが語る超小集電のお話など、詳しくは2025年8月3日放送の『微弱な電気を集める画期的な技術「超小集電」に注目!』をご覧ください)

<大竹英洋さん情報>

2025年7月27日放送

 現在、六本木・東京ミッドタウンのフジフィルム スクエアで開催中の企画写真展「希望(HOPE)〜みんなで考える動物の未来〜」にぜひお出かけください。若手の写真家、篠田岬輝さんが発起人となって実現した気鋭の自然写真家9名によるグループ展です。

写真協力:大竹英洋

 大竹さんのホッキョクグマのほか、以前この番組に出演してくださった柏倉陽介さんのオランウータンに加え、ジャイアントパンダ、ベンガルタイガー、エンペラーペンギンなどの素晴らしい写真が展示されています。開催は8月14日まで。

 なお、8月9日(土)午後2時から写真家9名によるトークセッション。また、8月11日(月・祝)の同じく午後2時から専門家を迎えて、自然環境トークディスカッションも開催されます。詳しくは、フジフィルム スクエアのサイトをご覧ください。

◎フジフィルム スクエア:https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250725_01.html

 あかちゃんのための写真絵本『もりのどうぶつ』もぜひチェックしてください。福音館書店から絶賛発売中です。

写真絵本『もりのどうぶつ』

◎福音館書店:https://www.fukuinkan.co.jp/book?id=7799

 大竹さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。
http://www.hidehiro-otake.net

(大竹さんが語るノースウッズのお話など、詳しくは2025年7月27日放送の『北米大陸「ノースウッズ」の大自然と野生動物に魅せられた気鋭の写真家、5年ぶりに出演!』をご覧ください)

<小林貞夫さん、小林奈々さん情報>

2025年7月20日放送

『今日 誰かに話したくなる 野菜・果物学』

『今日 誰かに話したくなる 野菜・果物学』

 私たちの身近にある野菜や果物が、こんなに不思議で奥深いものなのか、発見の連続だと思います。美しい絵と写真がたくさんに載っているので、見ているだけで楽しくなりますし、なにより解説がわかりやすいので、すっと入ってきますよ。おすすめです。
 エクスナレッジから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎エクスナレッジ:https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767834214

 小林奈々さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。

https://nana-kobayashi.jimdoweb.com

(小林貞夫さん、奈々さん親娘が語る植物やコロンビアのお話など、詳しくは2025年7月20日放送の『スイカは野菜!? それとも果物!? 〜野菜と果物の不思議』をご覧ください)

宇宙や星の不思議、わからないことだらけだから面白い!

2025/10/5 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、天文学者の「渡部潤一(わたなべ・じゅんいち)」さんです。

 渡部さんは1960年、福島県生まれ。東京大学理学部から大学院を経て、理学博士に。専門は太陽系天文学で彗星や流星、小惑星などの観測や研究を行なっていらっしゃいます。

 国立天文台・上席教授でもいらっしゃる渡部さんは、国際的に活躍されている天文学者のおひとりで、天文に関する本も数多く出していらっしゃいます。

 先頃出版された『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』という本の監修もされたということで、渡部さんがいらっしゃる国立天文台・三鷹キャンパスを訪ね、宇宙や星の不思議、そして今年から来年にかけての注目すべき天体ショーのことなど、いろいろお話をうかがってきましたので、きょうはその時の模様をお届けします。

渡部潤一さん

1972年10月8日、ジャコビニ流星群

※まずは、渡部さんのプロフィール的なお話から・・・子供の頃から、将来は天文学者になろうと思っていたのか、お聞きしました。

「小学生の時代はほとんど理科少年だったので、天文に限らず、石ころを集めたり虫を採ったり植物を採取したり、ラジオの工作をしたりっていうのを手広くやっていましたね。

 宇宙時代ってこともあって、アポロの月着陸もありましたので、だんだん天文に寄っていったんですよね。決定的だったのは1972年の10月8日の夜『ジャコビニ流星群』が大出現するという予報があったんですよ。1時間に10万個100万個っていう流れ星が流れるっていう、こんなことは滅多にないので、理科少年みんなで観測しよう!と学校の校庭に集まって、夜通し流れ星を待っていたんですよね。

 ところが、ひとつも出なかったんですよ・・・。ものすごくがっかりしたんですけど、逆にすごく面白いと思ったんです。何が面白いかって、専門家の先生がたがたくさん(流れ星が)出るって言ったのに出ないってことは、まだわからないことがあるってことがわかったんですよ。

 流れ星って30分、空を見上げてりゃ、きょうは多い少ないって小学生でもわかるんですね。肉眼で観察するわけですから、望遠鏡なんかいりませんからね。これは自分でもフロンティアに立てると思ったんですね。

 わかってないんだから、専門家の先生がきょうは出ないって言った日にたくさん出る可能性もあるわけですよ。それを監視しなきゃと思って、天文学者になろうと思ったんですね」

●わからないことが多いからワクワクしますよね。

「そうですね。自分がそれに貢献できると思ったんですね。ほとんど毎晩のように晴れれば、流れ星を数えていましたね」

●天文について、しっかりと学ぶようになったのは、大学に進学されてからになりますか?

「そうですね。やはり専門的に学ぶ場所が当時は少なかったですね。いわゆる帝国大学ぐらいしかなかったので、そういう場所に入ろうと思って、私の場合は東京大学を選んで、理学部の天文学科で専門的に学ぶようになりましたね」

●天文学といっても幅が広いと思うんですけれども、いろいろなジャンルがあるんですよね?

「そうですね。天体ごとに研究が分かれていますし、また光で見る研究者、紫外線やX線で見る研究者、電波で見る研究者と波長ごとにも分かれています。さらに実験で宇宙を問い直して謎解きをする、それからコンピューターを使って理論的に宇宙の謎を解こうとしているっていう、そういういろんな手法があります。

 私の場合は光で流れ星をもともと見ていましたので、光でほうき星や流れ星といった太陽系の小天体を探っています」

(編集部注:国立天文台は「自然科学研究機構」という法人で、国内外に観測や研究のための施設があります。

 海外ですと、ハワイ島マウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」や、南米チリのアタカマ砂漠に設置された「アルマ」という電波望遠鏡、この建設・運用は国際共同プロジェクトです。

 国内ですと、長野県野辺山や岡山、石垣島や小笠原のほか、以前この番組に出演してくださった、ブラックホールの研究者「本間希樹(ほんま・まれき)」さんが所長を務める岩手県「水沢VLBI観測所」などがあります。

国立天文台・三鷹キャンパス

 今回、私たち取材班がお邪魔した三鷹キャンパスは国立天文台の本部で、国内外にある観測施設のまとめや天文学の研究、新しい観測装置の開発、そして大学院生の教育などを行なっています。

 一般のかたが見学できるということで、私たちは歴史を感じる「50センチ公開望遠鏡」や、日本最大の口径65センチの屈折望遠鏡がある「天文台歴史館」などを見学させていただきました)

国立天文台・三鷹キャンパス

スーパームーンは目の錯覚!?

※ここからは、渡部さんが監修された新しい本『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』を参考にお話をうかがっていきます。

 私たちの身近な天体といえば、「月」だと思います。先月9月には「皆既月食」が話題になりました。11月には大きな満月が見られると聞いたんですが、これはどういうことなんですか?

「お月様というのは地球の周りをまわっているんですが、実は完全な円軌道でまわっているわけではなくて、少し歪んでいるんですね。そのために地球に近づく時と遠ざかる時があるんです。

 平均して38万キロぐらいなんですが、36万キロぐらいまで近づくこともあれば40万キロを超えることもあって、大体1割ぐらい距離が違うんですよ。

 そうすると、ちゃんと測ったり写真を撮ったりすると、1割ほど大きさが違って見えるんですね。11月の満月というのは、ちょうど地球に近い時に起きますので、それで1割ほど月が大きく見えますよという、いわゆる“スーパームーン”と呼ばれているんですけれどね」

●肉眼で見ても、ちょっと大きいなっていうのはわかりますか?

「それはわかりません。わからないです(笑)。それは比較しないと、やっぱり人間ってわからないんですよね。
 お月様って、みなさん大きいな~大きいな~って思われるかもしれないですけど、実は5円玉を手に取って手を伸ばして、その5円玉の穴に入るぐらい小さいんです。

 周りが暗かったりするので、とっても大きく錯覚しているだけで、人間の目ってものすごく錯覚を起こしやすいので、どうしてもスーパームーンだって言うと、みなさん、“あ~、きょうは確かに大きい!”っておっしゃるんですけど、わかっているはずがないんですね(笑)」

●そうなんですね(笑)。

「しかも地平線に(月が)ある時は大きく見えますよね。でも空の高いところにあると、月ってちっちゃく見えるんですよね。これも錯覚なんです。しかも理由がよくわかってないんです」

●へえ~〜〜。

「地平線に近いと、地平線近くにあるビルや山と一緒に見るので、大きく見えるんじゃないかというふうに言われているんです。心理学者の先生がたがいろいろ実験して試すんですけれども、どうも違うようなんですよね。理由がわからない・・・。まだまだ人間の脳っていうのはわからないんですね」

●面白いですね。夜空を見ていると星の色がオレンジの時もあれば、青の時もあるという感じで、違って見えますけれども、星の色が違うのはどうしてなんですか?

「星は基本的には、星座を作っている星は自分で光っている、太陽のように自分で光っているんですが、その表面の温度が違うんですね。温度が低い星は実は赤くて、温度が高くなればなるほど青白くなっていきます。

 電熱線は、オーブン・トースターもそうですけれど、電源を入れると真っ黒な状態から赤くなりますよね。今のオーブン・トースターはちゃんと安全装置が働いているので、あまり温度が上がんないようにはなっているんですけれども、わざと電流を流して温度を高めていくと、実は電熱線がギラギラと白くなっていくんですよ。色が変わっていきます。それと星の色は同じなんですね」

●キラキラ点滅しているように見えるのは、どうしてなんですか?

「昼間、割と浅い川で(水が)流れているのを見ると、川底の石がゆらゆら揺れていますよね。あれと同じで、実は地球は大気がありますので、風が吹くとそういう大気の疎密があって、それを通して星の光を見るので、どうしても星の光がちらつくんですね。
 言って見れば、我々は川底に住んでいるようなもので、川の底から空を見ると、川の流れで星や太陽がゆらゆらするのと同じなんですね」

知的な生命体はいる!?

※地球は自転していますが、回転のスピードは時速に換算すると、どれくらいなんですか?

「地球の一周がだいたい4万キロぐらいあるんですけど、それを24時間でぐるっと一周すると、だいたい時速1666キロ、まあ1700キロぐらいですかね。だからものすごいスピードでまわっているんですよね、僕ら(笑)」

●そうですよね。遠心力で飛ばされたり、みたいなことはないんですか?

「実は多少、遠心力が効くんですが、地球の場合は重力がものすごく強いので、我々もそうだし、地球そのものも遠心力によって、あまり歪んだりはしてないですね。重力があるためなんですね」

●ほかの惑星も自転していますか?

「基本的に天体は自転しているものなんですが、特に木星はものすごく速くて、地球よりもデカい惑星なんですけれども、10時間っていうスピードでまわっていますので、そのスピードが時速4万7000キロになります」

●ええ~〜〜っ!

「ですので、あまりにも速いので、木星を望遠鏡で見てもわかるんですけど、さっき言われた遠心力で、1割ぐらい南北と東西が違うんです。平べったくなっちゃう・・・」

●うわ〜〜、速すぎますね! 地球のある太陽系は天の川銀河の一部だと思うんですけれども、天の川銀河にはどれくらいの星があるとされているんですか?

「天の川銀河の星を全部数えた人はいないですけど(笑)、その質量とか近くの星から類推すると、1000億から2000億個ぐらいは星があるんじゃないかと言われています」

国立天文台・三鷹キャンパス

●その中には地球と同じような星、生命体がいるような星もありそうですか?

「2000億っていうこの数値は、太陽のような自ら輝いている星の個数なんですね。その周りをまわっている、例えば太陽系の場合は太陽の周りに8つの惑星があって、そのうちのひとつが地球なんですけど・・・だからいわゆる恒星の数に比べてもっと多いはずなんですね。

 8分の1としても10分の1だとしても2000億の10分の1っていうと200億ぐらいになるので、控えめに見積もっても1パーセントって言われているんですね。
 だから20億ぐらいは地球のような天体があるだろうと・・・。

 そうするとその中には、地球と同じように安定した気候で、安定した進化をして生命が進化して、もしかしたら知的な生命、我々のような宇宙を見つめて、何かいろいろ考えている人たちはいるでしょうね。

 20億の1パーセントだって2000万ですから、2000万個の地球、しかも生命を持っている地球と似た星はあるでしょうと、今言われています。実際この星は怪しいっていうのは、もう見つかり始めています」

行けるとしたら「火星」へ

※天文学の発展には、最新のテクノロジーが欠かせないと思います。ガリレオ・ガリレイが使っていた望遠鏡から、今やNASAが中心となって開発した、宇宙空間にある「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の時代になっています。

 この宇宙望遠鏡がとらえた画像を渡部さんが初めて見た時は、どんな思いになりましたか?

「これはずいぶんよく見えるようになったな~と思いますね(笑)。結局、視力がよくなるっていう・・・人間の目って実は双眼鏡なんですけどね、ある意味で・・・。
 瞳の直径が6ミリとか8ミリぐらいしかない、ちっちゃなちっちゃな双眼鏡をそれぞれの個人が持っているわけですけど、ガリレオがそれを5センチにして、さらに後世、我々がどんどん大きくして遠くまで見えるようになったっていう・・・。

国立天文台・三鷹キャンパス
国立天文台・三鷹キャンパス

 しかも地球の大気圏の外にその望遠鏡を持って行けば、大気の揺らぎがなくて鮮明に、しかもこの望遠鏡は赤外線なんですけど、赤外線で宇宙の彼方を見られるようになった、130億光年という、今まで手が届かなかったような場所の天体を調べ始めていますから、ひとつの時代が来たんだなと思いましたね」

●テクノロジーの発達で民間人が宇宙に行ける時代にもなってきました。宇宙に行けるとしたら渡部さんは、どの星に行って何をしたいですか?

「私は行きたくないです(笑)。宇宙に行くってやはり非常に厳しい・・・事故率は高いんですよ、実は今でも・・・。だからそういうことを考えると、ちょっと危ないなと思っちゃうんですけどね。

 でも、もし行けるとしたら、やっぱり隣の惑星“火星”になると思います。火星は唯一、長期滞在、あるいはもしかしたら将来的には移住が可能じゃないかと言われている惑星なので・・・地球と同じように24時間ちょっとでまわっていますし、大気も薄いながらありますし、いい所じゃないかなと思いますね(笑)」

●今、いちばん注目している星は・・・では火星になりますか?

「火星ですね。火星はもしかしたら過去に生命が、地球と違った生命がいたかもしれないということで、今でも多くの探査機が探査をしています。

 移住計画を進めている人たちは、本当に真面目に火星の地下都市計画も図面まで描いていますからね。どうやってエネルギーを取り出して、資源を循環させながら住むということを真面目に考えています。
 遠い将来いつになるかわかりませんけど、技術的にはもう可能だと言われているので、移住する時代が来るかもしれませんね」

●最近、火星に生命の痕跡があったという記事が新聞に載っていましたけれども、それはどういうことなんでしょう?

「火星からの直接、サンプル資料、砂とか岩を持ってきてはいないんですけど、火星に隕石が落ちて、その破片が宇宙空間に飛び出して、それがしばらくして地球に落ちてくる“火星由来の隕石”っていうのが見つかっているんです。

 この隕石の中から、どうも生命の痕跡ではないかというようなものが時々見つかるんですね。どうしても今までは決定的なことが言えないので、(生命体が)いたかいないかわからないってことで、探査機を送って実際調べているんですけど、まだ確証は得られてないですね」

12月14日、ふたご座流星群、条件良し!

※今年2025年後半から来年にかけて、注目すべき天体ショーがあったら、教えてください。

「12月の14日に毎年あるんですけど、ふたご座流星群というのが見られます。この流星群は、毎年ほぼ同じ数の流れ星を降らせることで有名で、安心して見ることができますね。

 今年は月明かりの影響がないので・・・月が明るいと流れ星の数が減っちゃうんですね。ですので、今年は非常に条件よく見られると言われていますね。

 ほかの流星群だと明け方にならないと数多くならないんですが、ふたご座流星群は日が沈んで夕方になったらもう飛び始めて、明け方までずっと見えているっていう、子供さんにも優しい流星群になりますね。

 それから来年になりますと3月3日のひな祭りに、皆既月食があるんですね。先日の9月8日の皆既月食は明け方だったので、子供さんが見るにはちょっとしんどい時間帯、しかも月曜の朝だったんですね。

 今回は時間帯がすごくよくて、午後7時から10時ぐらいまでの間です。真っ赤な月が現れるのが午後8時から9時という時間帯なので、多くの人が見ることができるんじゃないかと思いますね」

●いいですね! 夜更かししなくても見ることができるんですね。

「そうです」

●楽しみです。では新しい本『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』を通して、どんなことを伝えたいですか?

「この本は天文学っていう難しそうな話を、割と簡単に理解できるように工夫された本です。天文学ってなんか“学”って付いていると、なんとなく難しそうだなと思うかもしれないんですけど・・・。

 確かに天文学は難しい本もあるんですが、誰でも気軽に単純な疑問から読み解いていけるような作りになっています。だから今まで天文学を敬遠されていたかたや、ちょっと読むには難しそうだなと思っていたかたも、ぜひ手に取って読み進めて、少し興味を持っていただけたらなと思っています」

●天文学を志す若いかたがたに向けて、何かアドバイスなどあればお願いします。

「もし天文学をやりたいと思ったら、門戸は開かれています。天文学は本当にオープンな学問で、会社に勤めながらアマチュアの研究者として、ガンガン面白い研究やっている人もいれば、あるいは夜な夜な新しい天体を探している人もいるぐらいです。そういう人たちも実は天文学にすごく貢献されているんですよね。

 いろんな方法で天文学を学んだり、あるいは自分で研究したりもできますので、ぜひやりたいと思ったら臆せずに頑張っていただければな~と思っていますね」


INFORMATION

『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』

『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』

 渡部さんが監修された新しい本をぜひ読んでください。天体の雑学から宇宙の不思議と素朴な疑問、天体観測の進化、天文学の歴史などを図形やイラストを使って、それぞれを見開き2ページでわかりやすく解説。巻末には88星座の一覧も載っています。この本を読むと、きっと夜空を見上げたくなると思いますよ。
 日本文芸社から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎日本文芸社:https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b659225.html

<国立天文台・三鷹キャンパス情報>

 国立天文台・三鷹キャンパスは一般のかたに公開されていて、随時見学できます。また、定例観望会などのイベントも開催。

 10月25日(土)には、特別公開として「三鷹・星と宇宙の日2025」が開催されます。普段は公開していない施設の見学のほか、最新の天文学研究などの展示や企画、天気が良ければ、観望会も行なわれる予定です。
 開催時間や参加方法、アクセスなど詳しくは国立天文台・三鷹キャンパスのオフィシャルサイトを見てくださいね。

◎国立天文台・三鷹キャンパス:
https://www.nao.ac.jp/about-naoj/organization/facilities/mitaka/

オンエア・ソング 10月5日(日)

2025/10/5 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. STARS / SIMPLY RED
M2. ジャコビニ彗星の日 / 松任谷由実
M3. FLY ME TO THE MOON (IN OTHER WORDS) / FRANK SINATRA
M4. STARS / 中島美嘉
M5. SPACE COWBOY / JAMIROQUAI
M6. MOONLIGHT SERENADE / BARRY MANILOW

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

サイトTOPへ戻る
WHAT’s NEW
  • 依頼主を笑顔にする、庭師さんが始めた「植木の里親」活動!

     今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、庭師の「山下力人(やました・りきと)」さんです。  山下さんは1977年生まれ、東京都八王子市出身。お母さんの実家、東京都檜原村での ……

    2025/10/12
  • オンエア・ソング 10月12日(日)

    オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」 M1. I WANT YOU / SAVAGE GARDENM2. FOR A LIFE……

    2025/10/12
  • 今後の放送予定

    10月19日 ゲスト:旅好きで知られるモデルの「kazumi」さん  旅のファッションや民族衣装、海外のアクティヴィティ体験のほか、大好きな韓国ソウルのガイドブックのお話などうかがい……

    2025/10/12
  • イベント&ゲスト最新情報

    <『お天気よそうカード そらよみ』> 2025年10月12日放送  空の探検家・気象予報士の武田康男さんと、気象予報士・防災士として活躍されている菊池真以さんが手掛けた気象カード教材です……

    2025/10/12