三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
首都圏からのアクセスもよく、
通勤圏でありながら海や里山の豊かな恵みをあわせもち、
自然とともにある生活を楽しめるエリアです。
そんな「千葉の魅力」を支えるさまざまな活動や
想いムーブメントなどにスポットを当て、
現地取材の声も通して「魅力あふれる千葉」をご紹介していきます。

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※「YOU 遊 チバ」は、ミンナノチカラ~CHIBA~と連動し週ごとにさまざまなテーマで千葉の魅力をお届けしているコーナーです。

Every Fri. 18:45~18:59

第51回:市川市

2021/6/25 UP!

今回は市川市を取材にいきました。市川市役所、文化芸術課で学芸員をされている中能淳子さんにお話を伺っています。

単刀直入に、中能さんにお尋ねしました。市川市ってどんなところなんですか?

「古くから、旧石器の頃から人が住み始めていたという遺跡といったものも残っておりますので、その頃から海に面していながら谷津といいますか谷になっているところ、またその間に川が流れていて、非常に、食生活にもまた居住空間としても住みやすい場所だったことがわかります。貝塚が市内に複数あるんですけれども、その中でも国の指定になっています史跡が、堀之内貝塚・曽谷貝塚・姥山貝塚、この大きな史跡が3つございます。縄文の住居の跡でしたりいろんなものが市川に残っておりますし、そういったものは堀之内貝塚の近くに考古博物館というところがございますので、そこで資料ですとか遺物ですとか、そういったものも ご覧いただくことができます。」

古くから人が住んでいた場所というところなんですね。文明的にはどうなんでしょうか?

「街を歩いていただくと表情がそれぞれ異なるといいますか、市川だったり、国府台という地名は国府台と書きますので、やはりそれは国府のあった場所、下総の国の中心地といいますか、役所、行政機関の中心地。また、国分寺・国分尼寺が学問所ということもありますので、文化の中心地。地方の都市ではありますけれど下総の中心がこの国府台にあったということですね。国衙といいますか、その役所があった場所ということで先ほどの国府台という地名の元々のルーツになりますね。大きな川も御座いますので、交通ですとか、そういう国の要所と言いますか、そういう中心的な場所であったということが伺われます。それからまた、行徳の方に行きますと塩に関連する塩浜ですとか塩焼ですとか、そういった地名もございますので、街を 散策するときに、その地名を見ていただくというのも、1つ町の成り立ちがわかるかな?ヒントになるかなと思います。」

人ば住んでいるだけでなく、要所になっていった市川地区、その後、文学の要所にもなっていくのです。

「近代になっても、文人といいますか、例えば、作家の幸田露伴さん、また北原白秋さん、そして永井荷風さんだったり、戦争によって永井荷風さんなんか焼け出されて、東京からこちらの方に移り住んで来たんですけど最後まで、亡くなるまで市川で過ごされた方もいらっしゃいます。「断腸亭日乗(だんちょうていにちじょう)」という日記を42年間ずっと綴られていました。その中で荷風さんは本当に散歩の達人として、川をずっと遡って行ったり、また下流のほうに歩いて行かれたり、そういったところを観察したことを 事細かに日記ですとか、それからご自身の作品「葛飾土産」ですとか、そういったところにも残されていますし、その荷風さんを慕って、作家の井上ひさしさんがこの地に移り住まわれたりとかですね、やはりその歴史や文化ですとか、そういった土壌とともに、自然豊かなところが皆様に好んでいただいた理由ではないかなと思われています。

断腸亭(だんちょうてい)日乗(にちじょう)、これは永井荷風が1917年(大正6年)の9月16日から、亡くなる前日の1959年(昭和34年)4月29日まで、市川で暮らしながら感じる世相や、散歩しながら得た季節感などを綴った日記なんですが、読み物としても、近代史の資料としても、荷風最大の傑作と言われています。その永井荷風を慕って、井上ひさしさんも引っ越してきちゃうという市川は引き寄せ効果もあるですね。日本文学を勉強すると出てくる名前もいくつか聞こえてきましたが、人が集うパワーがこの地は強いのがわかります。

そんな歴史を感じられるものが1月から展示されるようになったそうです。

彼がそこで亡くなられたんですけれども、6畳間の書斎をそのままこの市川市役所の中に、移築したんですね。市役所という文学に興味のある方も無い方も、皆様の大勢の目に触れる場所にということで、この市庁舎の一階に移築したようです。誰でも見学することができます。

そしてその横には永井荷風さんの実物大のフィギュア(?)が立ってらっしゃて。結構身長高い方だったんですね。175センチもあったそうです。ちょっとリアル、、、

中能さんのお話にもあった、市川ゆかりの文化人や芸術家の作品は、市川市文学ミュージアムで展示・紹介されていますので、 ご覧になっていただければ、市川をより深く知ることができますね。

都会の部分に目が行きがちな市川ですが、こうやって古くから人が集い、栄えてきた市川。歴史と文学の風を感じにお出かけになりませんか?ゆったり歩けば文学の発見や出会いがきっと待っていますよ

市川市 文学の散歩道

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