2021/8/27 UP!
銚子にやってきました。


今回は犬吠埼灯台の歴史的価値などを研究しながら灯台を盛り上げていこうという市民団体「犬吠埼ブラントン会」の代表幹事・仲田博史さんに、犬吠埼灯台の歴史について伺いました。

仲田さん:日本における西洋式灯台は、このリチャード・ヘンリー・ブラントンというスコットランド人の土木技師が明治元年に、来日しまして、政府に雇われたわけですけれど、それで日本国中の灯台整備を手がけた・・その技術者集団のリーダーとして活躍したんです。ブラントンは明治9年まで日本にいたんですけれど、その間、25基の大きな灯台を建設しました。代表的なものとしては、この犬吠埼のほかに、静岡県の御前崎、同じく静岡県下田沖の神子元島灯台、それから九州の角島灯台、同じく、下関の部埼灯台、六連島灯台というようなところがございます。
スコットランド人の指導によって作られたという犬吠埼灯台。

ブラントン会の設立の経緯についても伺いました。

仲田さん:インターネットのプロバイダーを地方でもやろうじゃないかという友達同士で話し合いまして。じゃあ、ホームページというものがどんなものか、そういったものをこうみんなに知ってもらうために、何をテーマにしたらいいか?そうすると、やはり犬吠埼の灯台というのが、やはり銚子のシンボルっていいますか?みんながそういうふうに思っていると、それをテーマにして取り上げました。ホームページ作ったんが、調べているうちに、ブラントンのこととか、それから元々がスコットランド風の灯台の流れを汲んだ、日本の灯台だということも分かって、調べることのほうが面白くなりまして、友達を誘ってですね、「ブラントン会」ということを立ち上げました。結構詳しく泥臭くあの犬吠埼灯台を紹介したものができました。

そして、お仲間がどんどん増えていくうちに、灯台の建造物としての歴史的価値が認められるようになって、更に、今も現役の灯台であるということから、犬吠埼灯台は「世界の灯台100選」「日本の灯台50選」に選定され、2010年には国の登録有形文化財、さらに2020年には、国の重要文化財に指定されることになったんです。
ところで、灯台というのは、夜、決まった間隔で光が点滅することで、位置を知らせてくれる、暗い中を航海する船にとって、とても大事なものですが、実は大きなレンズを回すことで点滅して見えるんです。でも150年前は一晩中、正確にレンズを回しつづけるのはかなり大変だったようです。この後は、犬吠埼灯台ができた頃のお話を伺います。

仲田さん:昔は、犬吠崎灯台にも「灯台守さん」っていうか「人」が1晩中宿直をして、機械を止まらないように、事故がないように見てたわけですね。これを回転させるのにですね、時計仕掛け・・鳩時計を連想していただければいいんですけど「クロックワーク」という仕組みで、鉛のオモリを灯台のてっぺんから下まで降りていく力を利用して、それを横の回転に変えて灯台を回してたと。しかもその重りが地上まで届くと、1晩のうちに何回かあのハンドルを回して上までもう一度も巻き上げる・・それを何回か繰り返したというようなことで、本当に昔は、狭い、灯室っていうんですけど、灯台の部屋で宿直をして、換気の悪い中、湿気のある中で、本当に苦労されて光を絶やさなかったという努力があったわけです。

灯台守さんの休みのないお仕事です。大変だと思います。昼間はお休みできるのかと思ったらそうでもないようです。
昔は、光の元は炎でしたから、昼間はススなどで汚れた灯台のレンズを磨いたり、時計仕掛けの回転機構の整備など灯台守さん、一日中お忙しいようなんです。しかも、おやすみなしの365日稼働です。もし灯台が止まってしまうと船の安全が守れない。その使命感は強く、大変なお仕事だということもよく知られていたので、灯台守さんを描いた映画も作られて、ヒットしたそうです。
今はレンズの回転はモーターですし、動力も安定してますので、今、灯台守さんがいる灯台はありません。海上保安庁が管轄し、定期的な点検などは行われていますが、基本的に人は常駐していません。最後に、仲田さんに、今後のブラントン会の活動や夢について教えていただきました。

仲田さん:価値や魅力を、ぜひこのコロナ禍が終息しましたら、日本国中から、あるいは世界から来て、是非この「日本の灯台の父・リチャード・ヘンリー・ブラントン」のシンボル的な灯台と言うことで、犬吠埼灯台を我々の会としても盛り上げていきたいと。2、3年すると150周年にもなりますので、是非その辺を目安にブラントンのモニュメント・・・できれば設置したり、あるいはもう少しその資料文献を整備して、アーカイブ化するというようなことも踏まえて進めていけたらなという風に思っています。
訪問できるようになりましたら、ぜひ、詳しい説明を見ながら、灯台の偉大さを感じてみてください。
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